説明

新規の重合体及びその製造方法

【課題】新規の重合体及びその重合体を製造する方法を提供することである。
【解決手段】本発明に係る重合体は、下記式(1)で表される繰り返し単位を有する。
【化1】


(上記式(1)において、A、A、A、及びAは、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、シリル基、シロキシ基、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、アミド基、イミド基又は炭化水素チオ基を表す。A、A、A、及びAはその連結する炭素ごとに独立しており、互いに連結していてもよい。m、n、及びkはそれぞれ2〜20の整数を表す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規の重合体及びその製造方法に関し、特に環状構造を含有する新規の重合体及び当該重合体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
環状構造を主鎖内に有する種々の重合体が知られている。例えば、特許文献1には、非共役ジエン化合物をモノマーとして用いて得られたシクロペンタン−1,3−ジイル構造を、主鎖内に有する重合体が記載されている。また、特許文献2には、非共役ジエン化合物をモノマーとして用いて得られたシクロヘキサン−1,3−ジイル構造を、主鎖内に有する重合体が記載されている。さらに、特許文献3には、遷移金属化合物、アルキルアルミノキサン、及び硼素化合物からなる触媒を用いてシクロヘキセン単量体を重合して得られたシクロヘキセン付加重合体が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−239975号公報(2008年10月9日公開)
【特許文献2】特開2009−227995号公報(2009年10月8日公開)
【特許文献3】特開2003−26718号公報(2003年1月29日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した各重合体においては、含有する環状構造内で主鎖への結合部位同士が近接しているため、得られる重合体の主鎖は屈曲している。したがって、環状構造を有する主鎖構造を改良した新規の重合体の開発が強く要求されている。
【0005】
そこで、本発明の目的は、新規の重合体及びその重合体を製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る重合体は、下記式(1)で表される繰り返し単位を有する重合体である。
【0007】
【化1】

【0008】
(上記式(1)において、A、A、A、及びAは、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、シリル基、シロキシ基、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、アミド基、イミド基又は炭化水素チオ基を表す。A、A、A、及びAは、その連結する炭素ごとに独立しており、互いに連結していてもよい。m、n、及びkは、それぞれ2〜20の整数を表す。)
また、本発明に係る重合体を製造する方法は、上記式(1)で表される繰り返し単位を有する重合体を製造する方法であって、下記式(5)で表される化合物を重合するものである。
【0009】
【化2】

【0010】
(上記式(5)において、A、A、A、及びAはそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、シリル基、シロキシ基、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、アミド基、イミド基又は炭化水素チオ基を表す。A、A、A、及びAはその連結する炭素ごとに独立しており、互いに連結していてもよい。m、n、及びkはそれぞれ2〜20の整数を表す。)
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、新たな重合体を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<1.本発明に係る重合体>
本発明に係る重合体は、下記式(1)で表される繰り返し単位を有する。
【0013】
【化3】

【0014】
上記式(1)において、A、A、A、及びAはそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、シリル基、シロキシ基、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、アミド基、イミド基又は炭化水素チオ基であればよい。A、A、A、及びAはその連結する炭素ごとに独立しており、互いに連結していてもよい。m、n、及びkはそれぞれ2〜20の整数であればよい。
【0015】
上記式(1)中のA、A、A、及びAにおけるハロゲン原子として、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子を例示することができる。中でも、好ましくはフッ素原子である。
【0016】
上記式(1)中のA、A、A、及びAにおけるアルキル基としては、直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基、及び環状アルキル基等が挙げられる。直鎖状アルキル基としては、メチル基、エチル基、及びn−ブチル基等;分岐状アルキル基としては、イソプロピル基、イソブチル基、及びtert−ブチル基、ネオペンチル基等;環状アルキル基としては、シクロヘキシル基及びシクロオクチル基等が挙げられる。該アルキル基は、置換基を有してもよい。該置換基としては、ハロゲン原子、炭化水素オキシ基、ニトロ基、スルホネート基、及びシアノ基等が挙げられる。
【0017】
上記式(1)中のA、A、A、及びAにおけるアラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、2−メチルベンジル基、3−メチルベンジル基、4−メチルベンジル基、2,6−ジメチルベンジル基、及び3,5−ジメチルベンジル基等が挙げられる。該アラルキル基は、置換基を有してもよい。該置換基としては、ハロゲン原子、炭化水素オキシ基、ニトロ基、スルホネート基、シリル基、及びシアノ基等が挙げられる。
【0018】
上記式(1)中のA、A、A、及びAにおけるアリール基としては、フェニル基、トリル基、及びメシチル基等が挙げられる。該アリール基は、置換基を有してもよい。該置換基としては、ハロゲン原子、炭化水素オキシ基、ニトロ基、スルホネート基、シリル基、及びシアノ基等が挙げられる。
【0019】
上記式(1)中のA、A、A、及びAにおけるシリル基は、置換基を有してもよく、置換されたシリル基としては、1置換シリル基、2置換シリル基、及び3置換シリル基等が挙げられる。1置換シリル基としては、メチルシリル基、エチルシリル基及びフェニルシリル基等;2置換シリル基としては、ジメチルシリル基、ジエチルシリル基、及びジフェニルシリル基等;3置換シリル基としては、トリメチルシリル基、トリメトキシシリル基、ジメチルメトキシシリル基、メチルジメトキシシリル基、トリエチルシリル基、トリエトキシシリル基、トリ−n−プロピルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリ−n−ブチルシリル基、トリ−sec−ブチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、トリイソブチルシリル基、tert−ブチルジフェニルシリル基、n−ヘキシルジメチルシリル基、トリシクロヘキシルシリル基、及びトリフェニルシリル基等が挙げられる。該置換されたシリル基は、さらに置換基を有してもよい。該置換基としては、ハロゲン原子、炭化水素オキシ基、ニトロ基、スルホネート基、及びシアノ基等が挙げられる。
【0020】
上記式(1)中のA、A、A、及びAにおけるシロキシ基は、置換基を有してもよく、置換されたシロキシ基としては、トリメチルシロキシ基、トリメトキシシロキシ基、ジメチルメトキシシロキシ基、メチルジメトキシシロキシ基、トリエチルシロキシ基、トリエトキシシロキシ基、トリ−n−プロピルシロキシ基、トリイソプロピルシロキシ基、トリ−n−ブチルシロキシ基、トリ−sec−ブチルシロキシ基、tert−ブチルジメチルシロキシ基、トリイソブチルシロキシ基、tert−ブチルジフェニルシロキシ基、n−ヘキシルジメチルシロキシ基、トリシクロヘキシルシロキシ基、及びトリフェニルシロキシ基等のシロキシ基が挙げられる。該置換されたシロキシ基は、さらに置換基を有してもよい。該置換基としては、ハロゲン原子、炭化水素オキシ基、ニトロ基、スルホネート基、及びシアノ基等が挙げられる。
【0021】
上記式(1)中のA、A、A、及びAにおけるアルコキシ基としては、直鎖状アルコキシ基、分岐状アルコキシ基、及び環状アルコキシ基等が挙げられる。直鎖状アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシキ基及びn−ブトキシ基等;分岐状アルコキシ基としては、イソプロポキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基、及びネオペントキシ基等;環状アルコキシ基としては、シクロヘキシロキシ基及びシクロオクチロキシ基等が挙げられる。該アルコキシ基は、置換基を有してもよい。該置換基としては、ハロゲン原子、炭化水素オキシ基、ニトロ基、スルホネート基、シリル基、及びシアノ基等が挙げられる。
【0022】
上記式(1)中のA、A、A、及びAにおけるアラルキルオキシ基として、ベンジロキシ基、フェネチロキシ基、2−メチルベンジロキシ基、3−メチルベンジロキシ基、4−メチルベンジルロキシ基、2,6−ジメチルベンジロキシ基、及び3,5−ジメチルベンジロキシ基等が挙げられる。該アラルキルオキシ基は、置換基を有してもよい。該置換基としては、ハロゲン原子、炭化水素オキシ基、ニトロ基、スルホネート基、シリル基、及びシアノ基等が挙げられる。
【0023】
上記式(1)中のA、A、A、及びAにおけるアリールオキシ基として、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、2−エチルフェノキシ基、2−n−プロピルフェノキシ基、2−イソプロピルフェノキシ基、2−n−ブチルフェノキシ基、2−イソブチルフェノキシ基、2−tert−ブチルフェノキシ基、3−メチルフェノキシ基、3−イソプロピルフェノキシ基、3−n−ブチルフェノキシ基、3−tert−ブチルフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、4−イソプロピルフェノキシ基、4−n−ブチルフェノキシ基、4−tert−ブチルフェノキシ基、2,3−ジメチルフェノキシ基、2,4−ジメチルフェノキシ基、2,5−ジメチルフェノキシ基、2,6−ジメチルフェノキシ基、3,5−ジメチルフェノキシ基、2,6−ジイソプロピルフェノキシ基、2,6−ジ−tert−ブチルフェノキシ基、及びナフトキシ基等を例示することができる。該アリールオキシ基は、置換基を有してもよい。該置換基としては、ハロゲン原子、炭化水素オキシ基、ニトロ基、スルホネート基、シリル基、及びシアノ基等が挙げられる。
【0024】
上記式(1)中のA、A、A、及びAにおけるアミノ基は、置換基を有してもよく、置換されたアミノ基としては、直鎖状アルキルアミノ基、分岐状アルキルアミノ基、及び環状アルキルアミノ基等が挙げられる。直鎖状アルキルアミノ基としては、N−メチルアミノ基、N−エチルアミノ基、N−n−ブチルアミノ基、N,N−ジメチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基、及びN,N−ジ−n−ブチルアミノ基等;分岐状アルキルアミノ基としては、N,N−ジイソプロピルアミノ基、N,N−ジイソブチルアミノ基、N,N−ジ−tert−ブチルアミノ基、及びN,N−ジネオペンチルアミノ基等;環状アルキルアミノ基としては、N,N−ジシクロヘキシルアミノ基及びN,N−ジシクロオクチルアミノ基等が挙げられる。該置換されたアミノ基は、さらに置換基を有してもよい。該置換基としては、ハロゲン原子、炭化水素オキシ基、ニトロ基、スルホネート基、及びシアノ基等が挙げられる。
【0025】
上記式(1)中のA、A、A、及びAにおけるアミド基は、置換基を有してもよく、置換されたアミド基としては、エタンアミド基、N−n−ブチルエタンアミド基、N−メチルエタンアミド基、N−エチルエタンアミド基、N−n−ブチルヘキサンアミド基、イソプロパンアミド基、イソブタンアミド基、tert−ブタンアミド基、及びネオペンタンアミド基、シクロヘキサンアミド基及びシクロオクタンアミド基等のアミド基が挙げられる。該置換されたアミド基は、さらに置換基を有してもよい。該置換基としては、ハロゲン原子、炭化水素オキシ基、ニトロ基、スルホネート基、及びシアノ基等が挙げられる。
【0026】
上記式(1)中のA、A、A、及びAにおけるイミド基は、置換基を有してもよく、置換されたイミド基としては、スクシンイミド基、マレイミド基、フタルイミド基等のイミド基が挙げられる。該置換されたイミド基は、さらに置換基を有してもよい。該置換基としては、ハロゲン原子、炭化水素オキシ基、ニトロ基、スルホネート基、及びシアノ基等が挙げられる。
【0027】
上記式(1)中のA、A、A、及びAにおける炭化水素チオ基としては、直鎖状炭化水素チオ基、分岐状炭化水素チオ基、及び環状炭化水素チオ基等が挙げられる。直鎖状炭化水素チオ基としては、メチルチオ基、エチルチオ基及びn−ブチルチオ基等;分岐状炭化水素チオ基としては、イソプロピルチオ基、イソブチルチオ基、tert−ブチルチオ基、及びネオペンチルチオ基等;ならびに、環状炭化水素チオ基としては、シクロヘキシルチオ基及びシクロオクチルチオ基等が挙げられる。該炭化水素チオ基は、置換基を有してもよい。該置換基としては、ハロゲン原子、炭化水素オキシ基、ニトロ基、スルホネート基、及びシアノ基等が挙げられる。
【0028】
上記式(1)中のm、n、及びkは、それぞれ2〜20の整数であればよい。m及びnは、好ましくは2〜8であり、より好ましくは2〜4である。kは、好ましくは2〜10であり、より好ましくは2〜8である。
【0029】
本発明に係る重合体における繰り返し単位は、上記式(1)にて表されるものである限り、1種又は2種以上を含んでもよい。上記式(1)にて表される繰り返し単位を1種含む重合体は、後述する単量体を1種のみ用いて重合した単独重合体として得ることができる。また、上記式(1)にて表される繰り返し単位を2種以上含む重合体は、例えば、後述する単量体を2種以上用いて重合した共重合体として得ることができる。
【0030】
本発明に係る重合体は、上記式(1)に示す環状の繰り返し単位内において、主鎖に連結する部位同士がm、nの数だけ離れており、近接していない。したがって、環状構造を有する主鎖の屈曲がある程度解消することが期待される。
【0031】
また、本発明に係る重合体において、上記式(1)で表される繰り返し単位が、下記式(2)で表される繰り返し単位であってもよい。
【0032】
【化4】

【0033】
上記式(2)において、A、A、A、及びAはそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、シリル基、シロキシ基、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、アミド基、イミド基又は炭化水素チオ基であればよい。A、A、A、及びAはその連結する炭素ごとに独立しており、互いに連結していてもよい。m、n、及びkはそれぞれ2〜20の整数であればよい。
【0034】
また、本発明に係る重合体において、上記式(1)で表される繰り返し単位が、下記式(3)で表される繰り返し単位であってもよい。
【0035】
【化5】

【0036】
上記式(3)において、及びAは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、シリル基、シロキシ基、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、アミド基、イミド基又は炭化水素チオ基であればよい。m、n、及びkはそれぞれ2〜20の整数であればよい。
【0037】
また、本発明に係る重合体において、上記式(1)で表される繰り返し単位が、下記式(4)で表される繰り返し単位であってもよい。
【0038】
【化6】

【0039】
上記式(4)において、kは2〜20の自然数であればよい。また、kは2〜10の整数であることがより好ましく、2〜8の整数であることが最も好ましい。
【0040】
上記式(2)、(3)及び(4)に示すように、本発明に係る重合体は、重合体の主鎖を構成する繰り返し単位内の環状構造を基準にして、主鎖がトランス型に結合する主鎖立体構造を有していてもよい。上記トランス型としては、式(4)に示すような1,4−トランス型であってもよい。以下の説明では、上記式(2)、(3)及び(4)に示す構造の繰り返し単位をトランス型の繰り返し単位と称し、繰り返し単位内の環状構造を基準にして主鎖がシス型に結合するものをシス型の繰り返し単位と称する場合もある。
【0041】
本発明に係る重合体は、シス型の繰り返し単位のみ、トランス型の繰り返し単位のみ、或いはシス型の繰り返し単位とトランス型の繰り返し単位との双方を含んで構成されていてもよい。
【0042】
また、耐熱性の観点では、本発明に係る重合体の主鎖立体構造は、当該重合体が有する繰り返し単位の全量を100mol%としたとき、70〜100mol%がトランス型の繰り返し単位であることが好ましく、ほぼ100mol%がトランス型の繰り返し単位であることがより好ましい。本発明に係る重合体の主鎖立体構造は、公知の測定方法により測定することができ、例えば、13C−NMRを用いて測定するとよい。
【0043】
13C−NMRスペクトルは、13C−NMRスペクトルに関する成書(例えば、R.M.Silverstein、外著,「有機化合物のスペクトルによる同定法 第6版−MS,IR,NMRの併用」,東京化学同人出版,p.214〜245)、Gaussianなどの化学計算プログラムなどを利用して、分子構造に帰属される。
【0044】
本発明に係る重合体の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは1000〜10000000であり、より好ましくは1000〜1000000であり、最も好ましくは1000〜100000である。したがって、本発明に係る重合体は、新規の環状構造含有高分子である。
【0045】
本発明に係る重合体の分子量分布は、好ましくは1.0〜8.0であり、より好ましくは1.0〜6.0であり、最も好ましくは1.0〜4.0である。
【0046】
<2.重合体を製造する方法>
本発明に係る重合体の製造方法は、下記式(5)で表される化合物を重合させることによって、本発明に係る重合体を製造する。
【0047】
【化7】

【0048】
(上記式(5)において、A、A、A、及びAはそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、シリル基、シロキシ基、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、アミド基、イミド基又は炭化水素チオ基を表す。A、A、A、及びAはその連結する炭素ごとに独立しており、互いに連結していてもよい。m、n、及びkはそれぞれ2〜20の整数を表す。)
本発明に係る重合体を製造する方法によれば、上記式(1)で表される繰り返し単位を有する重合体を製造することが可能であり、さらに、当該重合体が有する繰り返し単位の総量を100mol%としたとき、ほぼ100mol%がトランス型の繰り返し単位である重合体を好適に製造することができる。
【0049】
〔2−1.単量体〕
本発明における単量体は、上記式(5)で表される化合物である。上記式(5)において、A、A、A、及びAは、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、シリル基、シロキシ基、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、アミド基、イミド基又は炭化水素チオ基であればよい。また、上記アルキル基、上記アラルキル基、上記アリール基、上記シリル基、上記シロキシ基、上記アルコキシ基、上記アラルキルオキシ基、上記アリールオキシ基、上記アミノ基、上記アミド基、上記イミド基又は上記炭化水素チオ基は置換基を有してもよい。さらに、m、n、及びkはそれぞれ2〜20の整数であればよい。
【0050】
上記式(5)中のA、A、A、及びAにおける水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、シリル基、シロキシ基、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、アミド基、イミド基又は炭化水素チオ基として好ましい元素、又は置換基は、上記式(1)中のA、A、A、及びAにおける水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、シリル基、シロキシ基、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、アミド基、イミド基又は炭化水素チオ基として好ましい元素、又は置換基と同一である。
【0051】
また、上記式(5)中のA、A、A、及びAにおける水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、シリル基、シロキシ基、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、アミド基、イミド基又は炭化水素チオ基が有してもよい置換基は、上記式(1)中のA、A、A、及びAの水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、シリル基、シロキシ基、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、アミド基、イミド基又は炭化水素チオ基が有してもよい置換基と同一である。
【0052】
また、単量体として、下記式(6)で表される化合物を用いてもよい。
【0053】
【化8】

【0054】
上記式(6)において、及びAは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、シリル基、シロキシ基、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、アミド基、イミド基又は炭化水素チオ基であればよく。m、n、及びkはそれぞれ2〜20の整数であればよい。
【0055】
本発明に係る重合体を製造する方法によれば、上記式(6)で表される化合物を重合させることによって、上記式(3)で表される繰り返し単位を有する重合体を製造することが可能である。
【0056】
単量体として、α−アルケニルシクロヘキサン、α−アルケニルシクロヘプタン、α−アルケニルシクロオクタン、及びα−アルケニルシクロデカン(ただし、α−アルケニル基の炭素数が2〜20の整数である)からなる群より選択される少なくとも1種を用いることが好ましく、α−アルケニルシクロヘキサンを用いることがより好ましい。単量体として用いるα−アルケニルシクロヘキサンとして、ビニルシクロヘキサン、アリルシクロヘキサン、4−シクロヘキシル−1−ブテン、4−シクロヘキシル−1−ヘキセン、4−シクロヘキシル−1−オクテン、及び4−シクロヘキシル−1−デセンを例示することができる。単量体として用いるα−アルケニルシクロヘプタンとして、ビニルシクロヘプタン、アリルシクロヘプタン、4−シクロヘプチル−1−ブテン、4−シクロヘプチル−1−ヘキセン、4−シクロヘプチル−1−オクテン、及び4−シクロヘプチル−1−デセンを例示することができる。単量体として用いるα−アルケニルシクロオクタンとして、ビニルシクロオクタン、アリルシクロオクタン、4−シクロオクチル−1−ブテン、4−シクロオクチル−1−ヘキセン、4−シクロオクチル−1−オクテン、及び4−シクロオクチル−1−デセンを例示することができる。単量体として用いるα−アルケニルシクロデカンとして、ビニルシクロデカン、アリルシクロデカン、4−シクロデシル−1−ブテン、4−シクロデシル−1−ヘキセン、4−シクロデシル−1−オクテン、及び4−シクロデシル−1−デセンを例示することができる。
【0057】
本発明に係る重合体を製造する方法によれば、α−アルケニルシクロヘキサンを重合させることによって、上記式(4)で表される繰り返し単位を有する重合体を製造することが可能である。
【0058】
〔2−2.触媒〕
本発明に係る重合体を製造する方法において、上記単量体を重合させるときに使用する触媒は、ホウ素化合物と遷移金属化合物とを接触させてなるものであればよい。
【0059】
(遷移金属化合物)
本発明における遷移金属化合物は、下記式(7)で表される遷移金属化合物であればよい。
【0060】
【化9】

【0061】
(上記式(7)において、Mは鉄原子、コバルト原子、ニッケル原子、パラジウム原子又は銅原子を表し、R及びRはそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、アルコキシ基、アラルキルオキシ基又はアリールオキシ基を表し、R〜R10はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アミノ基、アミド基又は炭化水素チオ基を表し、RとRとは互いに連結していてもよい。)
上記式(7)において、Mは鉄原子、コバルト原子、ニッケル原子、パラジウム原子又は銅原子であればよい。好ましくは、パラジウム原子である。
【0062】
上記式(7)において、R及びRはそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、アルコキシ基、アラルキルオキシ基又はアリールオキシ基であればよく、互いに連結して環を形成したものであってもよい。また、上記アルキル基、上記アラルキル基、上記アリール基、上記アルコキシ基、上記アラルキルオキシ基又は上記アリールオキシ基は置換基を有してもよい。
【0063】
上記式(7)中のR及びRにおけるハロゲン原子として、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子を例示することができる。中でも、好ましくは塩素原子又は臭素原子である。
【0064】
上記式(7)中のR及びRにおけるアルキル基としては、直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基、及び環状アルキル基等が挙げられる。直鎖状アルキル基としては、メチル基、エチル基、及びn−ブチル基等;分岐状アルキル基としては、イソプロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基、及びネオペンチル基等;環状アルキル基としては、シクロヘキシル基及びシクロオクチル基等が挙げられる。該アルキル基は、置換基を有してもよい。該置換基としては、ハロゲン原子、炭化水素オキシ基、ニトロ基、スルホネート基、及びシアノ基等が挙げられる。中でも、好ましくは炭素原子数1〜20のアルキル基、より好ましくは炭素原子数1〜12の直鎖状無置換アルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
【0065】
上記式(7)中のR及びRにおけるアラルキル基として、ベンジル基及びフェネチル基等が挙げられる。該アラルキル基は置換基を有してもよい。該置換基としては、ハロゲン原子、炭化水素オキシ基、ニトロ基、スルホネート基、シリル基、及びシアノ基等が挙げられる。中でも、好ましくは炭素原子数7〜12のアラルキル基、より好ましくは炭素原子数7〜12の無置換アラルキル基、さらに好ましくはベンジル基である。
【0066】
上記式(7)中のR及びRにおけるアリール基として、フェニル基、ナフチル基、4−トリル基、メシチル基、及び4−フェニルフェニル基等が挙げられる。該アリール基は、置換基を有してもよい。該置換基としては、ハロゲン原子、炭化水素オキシ基、ニトロ基、スルホネート基、シリル基、及びシアノ基等が挙げられる。中でも、好ましくは炭素原子数6〜20のアリール基、より好ましくは炭素原子数6〜12のアリール基、さらに好ましくはフェニル基、4−トリル基、又はメシチル基である。
【0067】
上記式(7)中のR及びRにおけるアルコキシ基として、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−ドデシルオキシ基、n−ペンタデシルオキシ基、及びn−エイコシルオキシ基等が挙げられる。
【0068】
上記式(7)中のR及びRにおけるアラルキルオキシ基として、ベンジルオキシ基、(2−メチルフェニル)メトキシ基、(3−メチルフェニル)メトキシ基、(4−メチルフェニル)メトキシ基、(2,3−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,4−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,5−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,6−ジメチルフェニル)メトキシ基、(3,4−ジメチルフェニル)メトキシ基、(3,5−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,6−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,4,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,4,6−トリメチルフェニル)メトキシ基、(3,4,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4,5−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4,6−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,5,6−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(ペンタメチルフェニル)メトキシ基、(エチルフェニル)メトキシ基、(n−プロピルフェニル)メトキシ基、(イソプロピルフェニル)メトキシ基、(n−ブチルフェニル)メトキシ基、(sec−ブチルフェニル)メトキシ基、(tert−ブチルフェニル)メトキシ基、(n−ヘキシルフェニル)メトキシ基、(n−オクチルフェニル)メトキシ基、(n−デシルフェニル)メトキシ基、ナフチルメトキシ基、及びアントラセニルメトキシ基等が挙げられる。該アラルキルオキシ基は、置換基を有してもよい。該置換基としては、ハロゲン原子、炭化水素オキシ基、ニトロ基、スルホネート基、シリル基、及びシアノ基等が挙げられる。中でも、好ましくは炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基、より好ましくはベンジルオキシ基である。
【0069】
上記式(7)中のR及びRにおけるアリールオキシ基として、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、3−メチルフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、2,3−ジメチルフェノキシ基、2,4−ジメチルフェノキシ基、2,5−ジメチルフェノキシ基、2,6−ジメチルフェノキシ基、3,4−ジメチルフェノキシ基、3,5−ジメチルフェノキシ基、2−tert−ブチル−3−メチルフェノキシ基、2−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ基、2−tert−ブチル−5−メチルフェノキシ基、2−tert−ブチル−6−メチルフェノキシ基、2,3,4−トリメチルフェノキシ基、2,3,5−トリメチルフェノキシ基、2,3,6−トリメチルフェノキシ基、2,4,5−トリメチルフェノキシ基、2,4,6−トリメチルフェノキシ基、2−tert−ブチル−3,4−ジメチルフェノキシ基、2−tert−ブチル−3,5−ジメチルフェノキシ基、2−tert−ブチル−3,6−ジメチルフェノキシ基、2,6−ジ−tert−ブチル−3−メチルフェノキシ基、2−tert−ブチル−4,5−ジメチルフェノキシ基、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ基、3,4,5−トリメチルフェノキシ基、2,3,4,5−テトラメチルフェノキシ基、2−tert−ブチル−3,4,5−トリメチルフェノキシ基、2,3,4,6−テトラメチルフェノキシ基、2−tert−ブチル−3,4,6−トリメチルフェノキシ基、2,6−ジ−tert−ブチル−3,4−ジメチルフェノキシ基、2,3,5,6−テトラメチルフェノキシ基、2−tert−ブチル−3,5,6−トリメチルフェノキシ基、2,6−ジ−tert−ブチル−3,5−ジメチルフェノキシ基、ペンタメチルフェノキシ基、エチルフェノキシ基、n−プロピルフェノキシ基、イソプロピルフェノキシ基、n−ブチルフェノキシ基、sec−ブチルフェノキシ基、tert−ブチルフェノキシ基、n−ヘキシルフェノキシ基、n−オクチルフェノキシ基、n−デシルフェノキシ基、ナフトキシ基、及びアントラセノキシ基等を挙げることができる。該アリールオキシ基は、置換基を有してもよい。該置換基としては、ハロゲン原子、炭化水素オキシ基、ニトロ基、スルホネート基、シリル基、及びシアノ基等が挙げられる。中でも、好ましくは炭素原子数6〜20のアリールオキシ基である。
【0070】
上記式(7)中のR及びRは、好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、又はアリール基であり、さらに好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、又はアリール基であり、さらに好ましくは水素原子、ハロゲン原子、又は炭素原子数1〜12の直鎖状無置換アルキル基であり、特に好ましくは塩素原子又はメチル基である。
【0071】
上記式(7)において、R〜R10はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アミノ基、アミド基又は炭化水素チオ基であればよい。また、上記アルキル基、上記アラルキル基、上記アリール基、上記アルコキシ基、上記アラルキルオキシ基、上記アリールオキシ基、上記アシル基、上記アルコキシカルボニル基、上記アラルキルオキシカルボニル基、上記アリールオキシカルボニル基、上記アミノ基、上記アミド基又は上記炭化水素チオ基は置換基を有してもよい。
【0072】
上記式(7)中のR〜R10におけるハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、及びアリールオキシ基として例示できるものは、それぞれ、上述したR及びRにおけるハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、及びアリールオキシ基として例示できるものと同じである。
【0073】
上記式(7)中のR〜R10におけるアシル基として、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、イソバレリル基、ピバロイル基、ヘプタノイル基、及びデカノイル基等が挙げられる。該アシル基は、置換基を有してもよい。該置換基としては、ハロゲン原子、炭化水素オキシ基、ニトロ基、スルホネート基、シリル基、及びシアノ基等が挙げられる。
【0074】
上記式(7)中のR〜R10におけるアルコキシカルボニル基として、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、及びデシルオキシカルボニル基等が挙げられる。該アルコキシカルボニル基は、置換基を有してもよい。該置換基としては、ハロゲン原子、炭化水素オキシ基、ニトロ基、スルホネート基、シリル基、及びシアノ基等が挙げられる。
【0075】
上記式(7)中のR〜R10におけるアラルキルオキシカルボニル基として、2−フェニルエチルオキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、1−フェニルエチルオキシカルボニル基、3−フェニルプロピルオキシカルボニル基、及び4−フェニルブチルオキシカルボニル基等が挙げられる。該アラルキルオキシカルボニル基は、置換基を有してもよい。該置換基としては、ハロゲン原子、炭化水素オキシ基、ニトロ基、スルホネート基、シリル基、及びシアノ基等が挙げられる。
【0076】
上記式(7)中のR〜R10におけるアリールオキシカルボニル基として、フェニルオキシカルボニル基、2−メチルフェニルオキシカルボニル基、4−メチルフェニルオキシカルボニル基、4−メトキシフェニルオキシカルボニル基、1−ナフチルオキシカルボニル基、2−メチル−1−ナフチルオキシカルボニル基、3−メチル−1−ナフチルオキシカルボニル基、4−メチル−1−ナフチルオキシカルボニル基、6−メチル−1−ナフチルオキシカルボニル基、2−ナフチルオキシカルボニル基、1−メチル−2−ナフチルオキシカルボニル基、3−メチル−2−ナフチルオキシカルボニル基、4−メチル−2−ナフチルオキシカルボニル基、及び6−メチル−2−ナフチルオキシカルボニル基等が挙げられる。該アリールオキシカルボニル基は、置換基を有してもよい。該置換基としては、ハロゲン原子、炭化水素オキシ基、ニトロ基、スルホネート基、シリル基、及びシアノ基等が挙げられる。
【0077】
上記式(7)中のR〜R10におけるアミノ基は、置換基を有してもよく、置換されたアミノ基としては、直鎖状アルキルアミノ基、分岐状アルキルアミノ基、及び環状アルキルアミノ基等が挙げられる。直鎖状アルキルアミノ基としては、N−メチルアミノ基、N−エチルアミノ基、N,N−n−ブチルアミノ基、N,N−ジメチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基、及びN,N−ジ−n−ブチルアミノ基等;分岐状アルキルアミノ基としては、N,N−ジイソプロピルアミノ基、N,N−ジイソブチルアミノ基、N,N−ジ−tert−ブチルアミノ基、及びN,N−ジネオペンチルアミノ基等;環状アルキルアミノ基としては、N,N−ジシクロヘキシルアミノ基及びN,N−ジシクロオクチルアミノ基等が挙げられる。該置換されたアミノ基は、さらに置換基を有してもよい。該置換基としては、ハロゲン原子、炭化水素オキシ基、ニトロ基、スルホネート基、及びシアノ基等が挙げられる。
【0078】
上記式(7)中のR〜R10におけるアミド基は、置換基を有してもよく、置換されたアミド基として、エタンアミド基、N−n−ブチルエタンアミド基、N−メチルエタンアミド基、N−エチルエタンアミド基、N−n−ブチルヘキサンアミド基、イソプロパンアミド基、イソブタンアミド基、tert−ブタンアミド基、ネオペンタンアミド基、シクロヘキサンアミド基及びシクロオクタンアミド基等が挙げられる。該置換されたアミド基は、さらに置換基を有してもよい。該置換基としては、ハロゲン原子、炭化水素オキシ基、ニトロ基、スルホネート基、及びシアノ基等が挙げられる。
【0079】
上記式(7)中のR〜R10における炭化水素チオ基として、アルキルチオ基、アリールチオ基、及びアラルキルチオ基等が挙げられる。アルキルチオ基としては、メチルチオ基、エチルチオ基、イソプロピルチオ基、及びtert−ブチルチオ基等;アリールチオ基としては、フェニルチオ基、及びナフチルチオ基等;ならびに、アラルキルチオ基としては、ベンジルチオ基、9−フルオレニルメチルチオ基等を例示することができる。該炭化水素チオ基は、置換基を有してもよい。該置換基としては、ハロゲン原子、炭化水素オキシ基、ニトロ基、スルホネート基、及びシアノ基等が挙げられる。
【0080】
上記式(7)中のR及びRは、それぞれ独立に炭素原子数1〜20の炭化水素基であってもよい。該炭化水素基は、アルキル基又はアリール基であってもよい。また、該炭化水素基は、置換基を有してもよい。該置換基としては、ハロゲン原子、炭化水素オキシ基、ニトロ基、スルホニル基、及びシリル基等が挙げられる。該アルキル基として、直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基、及び環状アルキル基等が挙げられる。直鎖状アルキル基としては、メチル基、エチル基、及びn−ブチル基等;分岐状アルキル基としては、イソプロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基、及びネオペンチル基等;環状アルキル基としては、シクロヘキシル基及びシクロオクチル基等を例示することができる。中でも、好ましくは炭素原子数1〜20のアルキル基であり、より好ましくは炭素原子数1〜12の直鎖状アルキル基であり、さらに好ましくはメチル基又はエチル基である。該アリール基として、フェニル基、ナフチル基、4−トリル基、及びメシチル基等を例示することができる。中でも、好ましくは炭素原子数6〜20のアリール基であり、より好ましくは炭素原子数6〜12のアリール基であり、さらに好ましくはフェニル基又はメシチル基である。
【0081】
上記式(7)中のRとRとは互いに連結して、Rが結合している炭素原子とRが結合している炭素原子と共に、環を形成してもよい。形成される環として、脂肪族の環及び芳香族の環が挙げられる。これらの環は置換基を有してもよい。脂肪族の環におけるRとRとの連結によって形成される2価の基として、1,2−エチレン基、エテン−1,2−ジイル基、シクロヘキサン−1,2−ジイル基、ノルボルナン−1,2−ジイル基、ブタン−2,3−ジイル基、2,3−ジメチルブタン−2,3−ジイル基、及びペンタン−2,4−ジイル基等が挙げられる。芳香族の環におけるRとRとの連結によって形成される2価の基として、1,2−フェニレン基及びナフタレン−1,8−ジイル基等を例示することができ、好ましくはナフタレン−1,8−ジイル基である。
【0082】
上記式(7)中のR及びRは、好ましくはアルキル基であり、より好ましくは炭素原子数1〜12のアルキル基であり、さらに好ましくは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、又はtert−ブチル基である。
【0083】
上記式(7)中のR及びRは、それぞれ独立に、炭素原子数7〜20のアリール基であってもよい。該アリール基として、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2,3−ジメチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、2,5−ジメチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、3,4−ジメチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、ナフチル基、2−メチル−1−ナフチル基、3−メチル−1−ナフチル基、4−メチル−1−ナフチル基、2,3−ジメチル−1−ナフチル基、2,4−ジメチル−1−ナフチル基、2,5−ジメチル−1−ナフチル基、2,6−ジメチル−1−ナフチル基、3,4−ジメチル−1−ナフチル基、3,5−ジメチル−1−ナフチル基、3,6−ジメチル−1−ナフチル基、アントラセニル基、2−メチル−1−アントラセニル基、3−メチル−10−アントラセニル基、4−メチル−10−アントラセニル基、2,3−ジメチル−10−アントラセニル基、2,4−ジメチル−10−アントラセニル基、2,5−ジメチル−1−10−アントラセニル基、2,6−ジメチル−10−アントラセニル基、3,4−ジメチル−10−アントラセニル基、3,5−ジメチル−10−アントラセニル基、3,6−ジメチル−10−アントラセニル基、及び2−メチル−10−アントラセニル基等が挙げられる。中でも、好ましくは置換フェニル基、ナフチル基、又はアントラセニル基であり、さらに好ましくは2−メチル−フェニル基又はナフチル基である。
【0084】
上記式(7)において、R及びR10は、好ましくは水素原子又はアルキル基であり、より好ましくは水素原子又は炭素原子数1〜12のアルキル基であり、さらに好ましくはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、又はイソブチル基である。
【0085】
また、遷移金属化合物として、下記式(8)で表される遷移金属化合物を用いてもよい。
【0086】
【化10】

【0087】
また、遷移金属化合物として、下記式(9)で表される遷移金属化合物を用いてもよい。
【0088】
【化11】

【0089】
(ホウ素化合物)
本発明におけるホウ素化合物は公知の化合物であってもよい。ホウ素化合物として、下記の各化合物及びそれらの1種以上の組み合わせを例示することができる。
【0090】
(X1)式:BQで表されるホウ素化合物;
(X2)式:G(BQで表されるホウ素化合物;及び
(X3)式:(J−H)(BQで表されるホウ素化合物;
ただし、上記式(X1)〜(X3)において、Bは3価の原子価状態のホウ素原子を表し、Q〜Qはそれぞれ独立に、ハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、シリル基、シロキシ基、アルコキシ基、アミノ基、アミド基、又はイミド基を表し、Gは無機又は有機のカチオンを表し、Jは中性ルイス塩基を表し、(J−H)はブレンステッド酸を表す。
【0091】
上記式(X1)〜(X3)におけるQ〜Qは、好ましくは、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基、炭素原子数1〜20のシリル基、シロキシ基、炭素原子数2〜20の炭化水素基で置換されたアミノ基、炭素原子数2〜20の炭化水素基で置換されたアミド基、又は炭素原子数2〜20の炭化水素基で置換されたイミド基であり、より好ましくは、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭素原子を含む炭化水素基、又は炭素原子数1〜20の炭素原子を含むハロゲン化炭化水素基であり、さらに好ましくは、少なくとも1個のフッ素原子を含む炭素原子数1〜20のフッ素化炭化水素基であり、特に好ましくは、少なくとも1個のフッ素原子を含む炭素原子数6〜20のフッ素化アリール基である。
【0092】
上記式(X1)で表されるホウ素化合物として、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,3,4,5−テトラフルオロフェニル)ボラン、トリス(3,4,5−トリフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,3,4−トリフルオロフェニル)ボラン、及びフェニルビス(ペンタフルオロフェニル)ボラン等を例示することができる。
【0093】
上記式(X2)で表されるホウ素化合物における無機のカチオンであるGとして、フェロセニウムカチオン、アルキル置換フェロセニウムカチオン、及び銀陽イオンを例示することができる。有機のカチオンであるGとして、トリフェニルメチルカチオンを例示することができる。
【0094】
上記式(X2)における(BQとして、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(2,3,4,5−テトラフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(3,4,5−トリフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(2,3,4−トリフルオロフェニル)ボレート、フェニルトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレ−ト、及びテトラキス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ボレート等を例示することができる。
【0095】
上記式(X2)で表されるホウ素化合物として、リチウムテトラキス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ボレート、ナトリウムテトラキス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ボレート、カリウムテトラキス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ボレート、銀テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、フェロセニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、1,1’−ジメチルフェロセニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラブチルホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラフェニルホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラメチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリメチルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、及びトリフェニルカルベニウムテトラキス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ボレート等を例示することができる。中でも、最も好ましくは、ナトリウムテトラキス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ボレートである。
【0096】
上記式(X3)中の(J−H)として、トリアルキル置換アンモニウム、N,N−ジアルキルアニリニウム、ジアルキルアンモニウム及びトリアリールホスホニウムを例示することができ、(BQとして上記と同様のものを例示することができる。
【0097】
上記式(X3)で表されるホウ素化合物として、トリエチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジエチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチル−2,4,6−トリメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ボレート、ジイソプロピルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(メチルフェニル)ホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、及びトリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等を例示することができる。
【0098】
本発明におけるホウ素化合物は、好ましくは、上記式(X3)で表されるホウ素化合物であり、特に好ましくはナトリウムテトラキス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ボレートである。
【0099】
(触媒の製造方法)
本発明における触媒の製造方法は、ホウ素化合物の少なくとも一種と、上述した遷移金属化合物とを接触させる方法を用いることができる。接触させる方法は、例えば、単に混合するだけでもよく、適宜攪拌してもよい。
【0100】
本発明における遷移金属化合物及びホウ素化合物のそれぞれは、溶液として用いてもよい。溶液の溶媒として、塩化メチレン、クロロホルム、トルエン、ペンタン、ヘキサン、及びヘプタンを例示することができる。中でも、塩化メチレン、クロロホルム、又はトルエンが好ましい。
【0101】
遷移金属化合物溶液の濃度は、通常0.01〜500μmol/Lであり、好ましくは0.05〜100μmol/Lであり、より好ましくは0.05〜50μmol/Lである。ホウ素化合物溶液の濃度は、通常0.01〜500μmol/Lであり、好ましくは0.05〜200μmol/Lであり、より好ましくは0.05〜100μmol/Lである。遷移金属化合物溶液の濃度を0.01μmol/L以上とすることで、また、ホウ素化合物溶液の濃度を0.01μmol/L以上とすることで、溶媒の使用量を低減させることができ、コスト面で有利である。また、遷移金属化合物溶液の濃度を500μmol/L以下とすることで、また、ホウ素化合物溶液の濃度を500μmol/L以下とすることで、これら化合物を十分に溶解させることができ、当該化合物の析出を抑制することができる。
【0102】
なお、本発明における触媒は、無機化合物の粒子状物質又は有機化合物の粒子状物質からなる担体と組合せてもよい。無機化合物として、シリカゲル及びアルミナを例示することができる。また、有機化合物として、スチレン重合体を例示することができる。
【0103】
〔2−3.重合方法〕
本発明における重合方法として、バッチ式又は連続式の、気相重合法、塊状重合法、及び、適当な重合溶媒を使用しての溶液重合法又はスラリー重合法が挙げられる。重合溶媒は、重合触媒を失活させない溶媒であればよく、ベンゼン、トルエン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、及びシクロヘキサン等の炭化水素溶媒や、塩化メチレン及びクロロホルム等のハロゲン化溶媒が挙げられる。
【0104】
本発明における重合温度は、−100〜250℃であることが好ましく、より好ましくは−50〜200℃である。重合温度が−100℃以上であると、触媒が重合反応に十分な活性を示し、250℃以下であると、より高い分子量の重合体を得ることができたり、異性化反応のような副反応の生起を抑制したりすることができる。
【0105】
得られる重合体の分子量を調節するために、連鎖移動剤を使用してもよい。連鎖移動剤としては例えば水素等が挙げられる。
【0106】
本発明における重合時間は、1分から72時間であることが好ましい。重合時間が1分以上であれば、十分な収量にて重合体を得ることができ、72時間以下とすることで、重合体の製造コストを抑えることができる点で有利である。
【0107】
以下に実施例を示し、本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。
【実施例】
【0108】
各実施例において、以下の各項目についての測定における条件を説明する。
【0109】
(立体的位置関係)
重合体の主鎖と環との立体的位置関係について、トランス型の割合は、13C−NMR測定により求めた。測定条件は次の通りである。
<実施例1〜7>
測定スペクトル:13C−NMRスペクトル
日本電子社製 LA−500
測定溶媒:1,1,2,2−テトラクロロエタン−d
測定温度:130℃
試料濃度:50mg/0.5ml
基準物質:1,1,2,2−テトラクロロエタン 74.0ppm
<実施例8〜12>
測定スペクトル:13C−NMRスペクトル
装置:日本電子社製 JNM−AL400
測定溶媒:1,2−ジクロロベンゼン−d
測定温度:135℃
試料濃度:100mg/0.4ml
基準物質:132.6ppm(ODCB−Cl根元炭素)
PD:1.8sec
ACQTM:1.2sec
Pulse:5.8μsec
炭素の級数:DEPT135度スペクトルにより同定。
【0110】
13C−NMRスペクトルにおいて、
38.5ppm付近のシグナルは下記式(A)のaの3級炭素に帰属され、
33.6ppm付近のシグナルは下記式(A)のbの2級炭素に帰属され、
34.8ppm付近のシグナルは下記式(A)のcの2級炭素に帰属され、
38.1ppm付近のシグナルは下記式(B)のdの3級炭素に帰属され、
33.6ppm付近のシグナルは下記式(B)のeの2級炭素に帰属され、
38.0ppm付近のシグナルは下記式(B)のfの2級炭素に帰属され、
24.3ppm付近のシグナルは下記式(B)のgの2級炭素に帰属された。
【0111】
【化12】

【0112】
上記帰属は、トランス−1,4−ジメチルシクロヘキサン、シス−1,4−ジメチルシクロヘキサン、トランス−1,2−ジメチルシクロヘキサン、シス−1,2−ジメチルシクロヘキサン、及びメチルシクロヘキサン等の低分子化合物の13C−NMRスペクトルデータ(参考:独立行政法人産業技術総合研究所の有機化合物のスペクトルデータベースシステム)を用いたスペクトル解析により決定された。
【0113】
(融点、結晶化温度及びガラス転移点)
<実施例1〜7>
物質の融点及びガラス転移点は、セイコー電子工業(株)社製DSC−6200Rなる名称の機種を用いた示差走査熱量(DSC)測定により、以下の条件で測定した。
昇温:25℃から300℃(10℃/分) 5分間保持
冷却:300℃から−60℃(20℃/分) 5分間保持
測定:−60℃から300℃(10℃/分で昇温)
<実施例8〜12>
物質の融点、結晶化温度及びガラス転移点は、セイコー電子工業(株)社製SSC−5200なる名称の示差走査熱量計を用いて次の条件で示差走査熱量測定曲線を測定し、結晶化温度は降温時の示差走査熱量測定曲線から、ガラス転移点及び融点は2回目の昇温時の示差走査熱量測定曲線から求めた。
昇温(1回目):20℃から300℃まで10℃/分で昇温し、その後、300℃で10分間保持した。
降温:1回目の昇温の操作後、直ちに300℃から−50℃まで10℃/分で降温し、その後、−50℃で10分間保持した。
昇温(2回目):降温の操作後、直ちに−50℃から300℃まで10℃/分で昇温した。
【0114】
セイコー電子工業(株)社製TG/DTA6200を用いた示差熱熱重量同時(TG)測定により、下記の条件で5%分解点(T)を求めた。
昇温:室温から500℃まで(10℃/分)
窒素下。
【0115】
(数平均分子鎖長及び分子量分布)
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、下記の条件で測定した。検量線は標準ポリスチレンを用いて作成した。分子量分布は重量平均分子鎖長(Aw)と数平均分子鎖長(An)との比(Aw/An)で評価した。重量平均分子鎖長(Aw)は、ポリスチレン換算の重量平均分子量をポリスチレンの分子量104で除し、2.52オングストローム(炭素−炭素の連鎖軸における炭素1つおきの連鎖軸の長さ)で掛けた値であり、数平均分子鎖長(An)は、ポリスチレン換算の数平均分子量をポリスチレンの分子量104で除し、2.52オングストローム(炭素−炭素の連鎖軸における炭素1つおきの連鎖軸の長さ)で掛けた値である。
機種: ミリポアウオーターズ社製 150C型
カラム: TSK−GEL GMH−HT 7.5×600×2本
測定温度:152℃
溶媒: オルトジクロロベンゼン、
測定濃度:5mg/5ml
分子量標準物質:ポリスチレン。
【0116】
(極限粘度)
極限粘度([η]、単位:dl/g)はウベローデ型粘度計を用い、テトラリンを溶媒として135℃で測定した。
【0117】
〔実施例1〕
クロロ(メチル)[N,N’−(1、2−ジヒドロアセナフチレン−1,2−ジイリデン)ビス(2,6−ジイソプロピルアニリン−κN)]パラジウム(6.6mg、0.01mmol)、及びナトリウムテトラキス{3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル}ボレート(10.6mg、0.012mmol)の入った25mLシュレンク管に、塩化メチレン(1.5mL)を加えて5分間撹拌した。そこにビニルシクロヘキサン(0.33g、3.0mmol)を加えて室温で1時間攪拌した。反応後、沈殿したポリマーを単離し、回収した。
【0118】
その結果、0.21gのポリマーが得られた。得られたポリマーは室温で固体状態であり、DSC測定においては、300℃以下でガラス転移点を確認できなかった。TG測定において、5%分解点(T)は427℃であった。
【0119】
〔実施例2〕
実施例1において、遷移金属錯体を、クロロ(メチル)[N,N’−(1、2−ジヒドロアセナフチレン−1,2−ジイリデン)ビス(2,6−ジイソプロピルアニリン−κN)]パラジウム0.01mmolから、クロロ(メチル)[N,N’−(1、2−ジヒドロアセナフチレン−1,2−ジイリデン)ビス(2,4,6−トリメチルアニリン−κN)]パラジウム0.01mmolに変更した以外は同様にして、ポリマーの合成を行った。
【0120】
その結果、0.33gのポリマーが得られた。
【0121】
〔実施例3〕
実施例1において、モノマーを、ビニルシクロヘキサン(0.33g、3.0mmol)をアリルシクロヘキサン(0.37g、3.0mmol)に変更し、室温で20分攪拌した以外は同様にして、ポリマーの合成を行った。
【0122】
その結果、0.36gのポリマーが得られ、数平均分子鎖長(An)は1016であり、分子量分布(Aw/An)は2.5であった。得られたポリマーは室温で固体状態であり、DSC測定においては、融点は226℃であった。TG測定において、5%分解点(T)は442℃であった。
【0123】
〔実施例4〕
実施例3において、遷移金属錯体を、クロロ(メチル)[N,N’−(1、2−ジヒドロアセナフチレン−1,2−ジイリデン)ビス(2,6−ジイソプロピルアニリン−κN)]パラジウム0.01mmolから、クロロ(メチル)[N,N’−(1、2−ジヒドロアセナフチレン−1,2−ジイリデン)ビス(2,4,6−トリメチルアニリン−κN)]パラジウム0.01mmolに変更した以外は同様に行った。
【0124】
その結果、0.32gのポリマーが得られ、数平均分子鎖長(An)は1195であり、分子量分布(Aw/An)は1.8であった。
【0125】
〔実施例5〕
実施例1において、モノマーを、ビニルシクロヘキサン(0.33g、3.0mmol)から4−シクロヘキシル−1−ブテン(0.42g、3.0mmol)に変更し、室温で20分攪拌した以外は同様に行った。
【0126】
その結果0.20gのポリマーが得られた。得られたポリマーの融点は195℃であった。
【0127】
〔実施例6〕
実施例5において、遷移金属錯体を、クロロ(メチル)[N,N’−(1、2−ジヒドロアセナフチレン−1,2−ジイリデン)ビス(2,6−ジイソプロピルアニリン−κN)]パラジウム0.01mmolから、クロロ(メチル)[N,N’−(1、2−ジヒドロアセナフチレン−1,2−ジイリデン)ビス(2,4,6−トリメチルアニリン−κN)]パラジウム0.01mmolに変更した以外は同様に行った。
【0128】
その結果0.26gのポリマーが得られ、数平均分子鎖長(An)は1095であり、、分子量分布(Aw/An)は2.1であった。
【0129】
〔実施例7〕
実施例1において、クロロ(メチル)[N,N’−(1、2−ジヒドロアセナフチレン−1,2−ジイリデン)ビス(2,6−ジイソプロピルアニリン−κN)]パラジウムを0.012mmolとし、ナトリウムテトラキス{3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル}ボレートを0.020mmolとし、モノマーを、ビニルシクロヘキサン(1.102g、10.0mmol)及びアリルシクロヘキサン(1.242g、10.0mmol)とし、反応時間を3時間に変更した以外は同様に行った。
【0130】
その結果、1.12gのポリマーが得られた。
【0131】
実施例1〜7で得られたポリマーについて13C−NMR測定を行ったところ、33〜40ppm付近にシクロヘキシル環として帰属される2本のシグナルが確認された。低分子モデル化合物と比較して、各ポリマーを、1,4−トランス型の環構造を有する共重合体と同定した。
【0132】
〔実施例8〕
乾燥窒素で置換した400mlのステンレス製容器内に、工業用ヘキサン175ml、アリルシクロヘキサン30.7mlを加え、当該容器の内温を35℃にした。クロロ(メチル)[N,N’−(1、2−ジヒドロアセナフチレン−1,2−ジイリデン)ビス(2,6−ジイソプロピルアニリン−κN)]パラジウム32.9mg(0.05mmol)を1,2−ジクロロエタン3.3gに溶解した溶液と、ナトリウムテトラキス{3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル}ボレート53mg(0.06mmol)を1,2−ジクロロエタン2.7gに溶解した溶液とをフラスコ内で2分間混合し、得られた混合溶液の全量をステンレス製容器内に加えた。当該容器の内温を35℃に維持し、当該容器内の溶液を180分間攪拌した。次に、アセトニトリル4mlを触媒失活剤として当該容器内に加え、当該容器内の溶液を攪拌した。当該容器内の反応溶液を約500mlのアセトンに投入した。生成したポリマー沈殿をろ別にて分離し、120℃減圧下にて乾燥した。その結果、9.6gのポリマーが得られた。
【0133】
得られたポリマーの融点は212℃、結晶化温度は180℃、ガラス転移点は56℃、数平均分子鎖長は4140、及び分子量分布は1.6であった。
【0134】
13C−NMRスペクトル及びDEPTスペクトルの測定により、1,4−トランスシクロヘキセニル構造の3級炭素に基づくシグナルが38.1ppmに観測され、1,4−トランスシクロヘキセニル構造の2級炭素に基づくシグナルが33.6ppmに観測された。また、2級炭素に基づくシグナルが38.0ppm及び24.3ppmにも観測された。
【0135】
3級炭素に基づくシグナル(38.1ppm〜42.2ppm)の総面積に対する、1,4−トランスシクロヘキセニル構造の3級炭素に基づくシグナル(38.1ppm)の面積の割合は91%であった。これより、1,4−トランスシクロヘキセニル構造の割合は約91%と考えられる。
【0136】
〔実施例9〕
ステンレス製容器内に加える工業用ヘキサンの量を147mlとし、ビニルシクロヘキサン27.2mlをステンレス製容器内に加えた以外は、実施例8と同様にしてポリマーの合成を行った。その結果、9.8gのポリマーが得られた。
【0137】
得られたポリマーの融点は230℃、結晶化温度は203℃、ガラス転移点は61℃、数平均分子鎖長は2580、分子量分布は1.6、及び極限粘度は1.46dl/gであった。
【0138】
13C−NMRスペクトル及びDEPTスペクトルの測定により、1,4−トランスシクロヘキセニル構造の3級炭素に基づくシグナルが38.5ppm及び38.1ppmに観測され、1,4−トランスシクロヘキセニル構造の2級炭素に基づくシグナルが33.6ppmに観測された。また、2級炭素に基づくシグナルが38.0ppm、34.8ppm及び24.3ppmにも観測された。
【0139】
3級炭素に基づくシグナル(38.1ppm〜42.2ppm)の総面積に対する、1,4−トランスシクロヘキセニル構造の3級炭素に基づくシグナル(38.1ppm〜38.5ppm)の面積の割合は94%であった。これより、1,4−トランスシクロヘキセニル構造の割合は約94%と考えられる。
【0140】
また、上記式(A)の炭素c(ビニルシクロヘキサン単位の2級炭素)に基づくシグナル(34.8ppm)と上記式(B)の炭素g(アリルシクロヘキサン単位の2級炭素)に基づくシグナル(24.3ppm)とから計算したビニルシクロへキサン含量は10mol%であった。
【0141】
〔実施例10〕
ステンレス製容器内に加える工業用ヘキサンの量を149ml、アリルシクロヘキサンの量を15.3mlとし、ビニルシクロヘキサン40.7mlをステンレス製容器内に加えた以外は、実施例8と同様にしてポリマーの合成を行った。その結果、9.4gのポリマーが得られた。
【0142】
得られたポリマーの融点は263℃、結晶化温度は248℃、ガラス転移点は70℃、数平均分子鎖長は2870、分子量分布は1.6、及び極限粘度は1.51dl/gであった。
【0143】
13C−NMRスペクトル及びDEPTスペクトルの測定により、1,4−トランスシクロヘキセニル構造の3級炭素に基づくシグナルが38.5ppm及び38.1ppmに観測され、1,4−トランスシクロヘキセニル構造の2級炭素に基づくシグナルが33.6ppmに観測された。また、2級炭素に基づくシグナルが38.0ppm、34.8ppm及び24.3ppmにも観測された。
【0144】
3級炭素に基づくシグナル(38.1ppm〜42.2ppm)の総面積に対する、1,4−トランスシクロヘキセニル構造の3級炭素に基づくシグナル(38.1ppm〜38.5ppm)の面積の割合は91%であった。これより、1,4-トランスシクロヘキセニル構造の割合は約91%と考えられる。
【0145】
また、上記式(A)の炭素c(ビニルシクロヘキサン単位の2級炭素)に基づくシグナル(34.8ppm)と上記式(B)の炭素g(アリルシクロヘキサン単位の2級炭素)に基づくシグナル(24.3ppm)とから計算したビニルシクロへキサン含量は31mol%であった。
【0146】
〔実施例11〕
乾燥窒素で置換した400mlのステンレス製容器内に、工業用ヘキサン175ml、アリルシクロヘキサン30.7mlを加え、当該容器の内温を35℃にした。クロロ(メチル)[N,N’−(1、2−ジヒドロアセナフチレン−1,2−ジイリデン)ビス(2,4,6−トリメチルアニリン−κN)]パラジウム28.7mg(0.05mmol)を1,2−ジクロロエタン3.3gに溶解した溶液と、リチウムテトラキス{ペンタフルオロフェニル}ボレートエチルエーテルコンプレックス59mgを1,2−ジクロロエタン2.7gに溶解した溶液とをフラスコ内で2分間混合し、得られた混合溶液の全量をステンレス製容器内に加えた。当該容器の内温を35℃に維持し、当該容器内の溶液を180分間攪拌した。次に、アセトニトリル4mlを触媒失活剤として当該容器内に加え、当該容器内の溶液を攪拌した。当該容器内の反応溶液を約500mlのアセトンに投入した。生成したポリマー沈殿をろ別にて分離し、120℃減圧下にて乾燥した。その結果、14.5gのポリマーが得られた。
【0147】
得られたポリマーの融点は145.6℃、結晶化温度は96.4℃、ガラス転移点は41.9℃、数平均分子鎖長は2590、分子量分布は1.9、及び極限粘度は1.31dl/gであった。
【0148】
13C−NMRスペクトル及びDEPTスペクトルの測定により、1,4−トランスシクロヘキセニル構造の3級炭素に基づくシグナルが38.1ppmに観測され、1,4−トランスシクロヘキセニル構造の2級炭素に基づくシグナルが33.6ppmに観測された。また、2級炭素に基づくシグナルが38.0ppm及び24.3ppmにも観測された。
【0149】
3級炭素に基づくシグナル(38.1ppm〜42.2ppm)の総面積に対する、1,4−トランスシクロヘキセニル構造の3級炭素に基づくシグナル(38.1ppm)の面積の割合は72%であった。これより、1,4−トランスシクロヘキセニル構造の割合は約72%と考えられる。
【0150】
〔実施例12〕
乾燥窒素で置換した400mlのステンレス製容器内に、工業用ヘキサン176ml、アリルシクロヘキサン15.3ml、ビニルシクロヘキサン15.3mlを加え、当該容器の内温を35℃にした。クロロ(メチル)[N,N’−(1、2−ジヒドロアセナフチレン−1,2−ジイリデン)ビス(2,4,6−トリメチルアニリン−κN)]パラジウム28.7mg(0.05mmol)を1,2−ジクロロエタン3.3gに溶解した溶液と、リチウムテトラキス{ペンタフルオロフェニル}ボレートエチルエーテルコンプレックス59mgを1,2−ジクロロエタン2.7gに溶解した溶液とをフラスコ内で2分間混合し、得られた混合溶液の全量をステンレス製容器内に加えた。当該容器の内温を35℃に維持し、当該容器内の溶液を180分間攪拌した。次に、アセトニトリル4mlを触媒失活剤として当該容器内に加え、当該容器内の溶液を攪拌した。当該容器内の反応溶液を約500mlのアセトンに投入した。生成したポリマー沈殿をろ別にて分離し、120℃減圧下にて乾燥した。その結果、13.9gのポリマーが得られた。
【0151】
得られたポリマーのガラス転移点は50.3℃であった。数平均分子鎖長は1250、分子量分布は3.1、及び極限粘度は1.24dl/gであった。
【0152】
13C−NMRスペクトル及びDEPTスペクトルの測定により、1,4−トランスシクロヘキセニル構造の3級炭素に基づくシグナルが38.5ppm及び38.1ppmに観測され、1,4−トランスシクロヘキセニル構造の2級炭素に基づくシグナルが33.6ppmに観測された。また、2級炭素に基づくシグナルが38.0ppm、34.8ppm及び24.3ppmにも観測された。
【0153】
3級炭素に基づくシグナル(38.1ppm〜42.2ppm)の総面積に対する、1,4−トランスシクロヘキセニル構造の3級炭素に基づくシグナル(38.1ppm〜38.5ppm)の面積の割合は78%であった。これより、1,4−トランスシクロヘキセニル構造の割合は約78%と考えられる。
【0154】
また、上記式(A)の炭素c(ビニルシクロヘキサン単位の2級炭素)に基づくシグナル(34.8ppm)と上記式(B)の炭素g(アリルシクロヘキサン単位の2級炭素)に基づくシグナル(24.3ppm)とから計算したビニルシクロへキサン含量は19mol%であった。
【産業上の利用可能性】
【0155】
本発明に係る重合体は、例えば自動車部品、家庭電化製品の部品、光学材料等に利用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で表される繰り返し単位を有する重合体。
【化1】

(上記式(1)において、A、A、A、及びAは、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、シリル基、シロキシ基、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、アミド基、イミド基又は炭化水素チオ基を表す。A、A、A、及びAはその連結する炭素ごとに独立しており、互いに連結していてもよい。m、n、及びkはそれぞれ2〜20の整数を表す。)
【請求項2】
上記式(1)で表される繰り返し単位が、下記式(2)で表される、請求項1に記載の重合体。
【化2】

(上記式(2)において、A、A、A、及びAはそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、シリル基、シロキシ基、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、アミド基、イミド基又は炭化水素チオ基を表す。A、A、A、及びAはその連結する炭素ごとに独立しており、互いに連結していてもよい。m、n、及びkはそれぞれ2〜20の整数を表す。)
【請求項3】
上記式(1)で表される繰り返し単位が、下記式(3)で表される、請求項1に記載の重合体。
【化3】

(上記式(3)において、Aは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、シリル基、シロキシ基、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、アミド基、イミド基又は炭化水素チオ基を表す。m、n、及びkはそれぞれ2〜20の整数を表す。)
【請求項4】
上記式(1)で表される繰り返し単位が、下記式(4)で表される、請求項1に記載の重合体。
【化4】

(上記式(4)において、kは2〜20の自然数を表す。)
【請求項5】
上記式(1)で表される繰り返し単位の70〜100mol%がトランス型の繰り返し単位である、請求項1に記載の重合体。
【請求項6】
単独重合体である、請求項1〜5の何れか1項に記載の重合体。
【請求項7】
下記式(5)で表される化合物を重合し、下記式(1)で表される繰り返し単位を有する重合体を製造する方法。
【化5】

(上記式(5)において、A、A、A、及びAはそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、シリル基、シロキシ基、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、アミド基、イミド基又は炭化水素チオ基を表す。A、A、A、及びAはその連結する炭素ごとに独立しており、互いに連結していてもよい。m、n、及びkはそれぞれ2〜20の整数を表す。)
【化6】

(上記式(1)において、A、A、A、及びAはそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、シリル基、シロキシ基、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、アミド基、イミド基又は炭化水素チオ基を表す。A、A、A、及びAはその連結する炭素ごとに独立しており、互いに連結していてもよい。m、n、及びkはそれぞれ2〜20の整数を表す。)
【請求項8】
上記式(1)で表される繰り返し単位が、下記式(2)で表される、請求項7に記載の方法。
【化7】

(上記式(2)において、A、A、A、及びAはそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、シリル基、シロキシ基、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、アミド基、イミド基又は炭化水素チオ基を表す。A、A、A、及びAはその連結する炭素ごとに独立しており、互いに連結していてもよい。m、n、及びkはそれぞれ2〜20の整数を表す。)
【請求項9】
上記式(5)で表される化合物が、下記式(6)で表され、
上記式(1)で表される繰り返し単位が、下記式(3)で表される、請求項7に記載の方法。
【化8】

(上記式(6)において、Aは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、シリル基、シロキシ基、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、アミド基、イミド基又は炭化水素チオ基を表す。m、n、及びkはそれぞれ2〜20の整数を表す。)
【化9】

(上記式(3)において、Aは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、シリル基、シロキシ基、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、アミド基、イミド基又は炭化水素チオ基を表す。m、n、及びkはそれぞれ2〜20の整数を表す。)
【請求項10】
上記式(5)で表される化合物が、α−アルケニルシクロヘキサン(ただし、α−アルケニル基の炭素数が2〜20の整数である)であり、
上記式(1)で表される繰り返し単位が、下記式(4)で表される、請求項7に記載の方法。
【化10】

(上記式(4)において、kは2〜20の自然数を表す。)
【請求項11】
ホウ素化合物と遷移金属化合物とを接触させてなる触媒の存在下において重合することを特徴とする請求項7〜10の何れか1項に記載の方法。
【請求項12】
上記遷移金属化合物が、下記式(7)で表される、請求項11に記載の方法。
【化11】

(上記式(7)において、Mは鉄原子、コバルト原子、ニッケル原子、パラジウム原子又は銅原子を表し、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、アルコキシ基、アラルキルオキシ基又はアリールオキシ基を表し、R〜R10はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アミノ基、アミド基又は炭化水素チオ基を表し、RとRとは互いに連結していてもよい。)


【公開番号】特開2011−225849(P2011−225849A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−73090(P2011−73090)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(304021417)国立大学法人東京工業大学 (1,821)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】