説明

新規ポリイソシアネート混合物、それらの製造方法およびそれらの被覆組成物における使用

【課題】要求される被覆特性の幅広いスペクトルを満足することができる新規ポリイソシアネート組成物を提供する。
【解決手段】i)NCO含量5%〜25重量%、NCO官能価≧2および23℃での粘度150〜200,000mPa・sを有するポリイソシアネートから製造され、およびii)下記式(I)で示される構造単位を含有するポリアクリレート-変性ポリイソシアネート。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリイソシアネートおよびポリアクリレート単位に基づく変性ポリイソシアネート混合物、それらの製造方法およびポリウレタン被覆組成物における硬化成分としてのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタン被覆組成物において、特にそれらが自動車、工業または家具分野において使用される場合、特に大きな価値があることは、通常、異なる環境の影響に対するこのような被覆組成物の耐性である。その基準は、しばしば、硬度、耐薬品性および耐溶媒性、耐スクラッチ性(いわゆる「リフロー」を含む)、光安定性および耐候性である。
【0003】
「リフロー」は、フィルムを引っ掻くことまたはフィルムへの衝撃によってもたらされる軽微なフィルム損傷(μmの範囲)を、損傷部位への被覆組成物のコールドフローによって補修する硬化被覆物(フィルム)の能力を意味する。
【0004】
耐スクラッチ性を改善するため、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)に基づくポリイソシアネートオリゴマーがしばしばポリイソシアネート成分として使用される。このような成分から製造されたポリウレタン被覆組成物は、通常、強靭であり、良好なリフローを有する弾性である。このような被覆組成物の欠点としては、室温およびわずかに高温において幾分ゆっくり乾燥すること、ならびに、穏やかな酸にのみ耐性であることである。非常に良好な耐酸性を有する、硬く、迅速に乾燥するポリウレタン被覆組成物は、通常、イソホロンジイソシアネート(IPDI)に基づくポリイソシアネート硬化剤を用いて得られる。しかしながら、このような被覆組成物の耐スクラッチ性およびリフローは、通常、不十分である。さらに、IPDIベースのポリイソシアネートは、高粘度を有し、比較的低いイソシアネート含量を有する。
【0005】
米国特許US-A 4,419,513(特許文献1)は、HDIおよびIPDIの混合三量体化によって得られるイソシアヌレートポリイソシアネートを記載する。該混合三量体は、硬度および弾性に関する所望の特性を有することが開示されている。これらの混合三量体についての不都合な結果は、付随する経済的な不利益を有すると共に、必要とされる硬度および迅速な物理的乾燥に必要であるIPDIの画分に起因して、(分子量に対する)イソシアネート基の量が純粋なHDI三量体の場合よりも低いことである。
【0006】
欧州特許EP-A 0 646 608(特許文献2)は、その多官能性アルコールとの反応またはこのようなアルコールの存在下での三量体化のいずれかの後の少なくとも一つの脂肪族または脂環族ジイソシアネートの環式三量体化によって得られるポリイソシアネートに関する。このようなポリイソシアネートは、高官能価を有するけれども、製造されたポリイソシアネート分子中の多官能性アルコールの画分は、分子当たりのイソシアネート基の重量画分を低下させ、そして、ウレタン基が形成される結果として、粘度の著しい上昇が存在する。ポリイソシアネートの使用に関して、これは、経済的に望ましくない多量のポリイソシアネート硬化剤および被覆組成物の塗布粘度を調整するための溶媒の体積の増加を必要とする。
【0007】
米国特許US-A 4,454,317(特許文献3)は、HDIを三量体化することによって得られ得るイソシアヌレート基を含有するポリイソシアネートを記載する。例示の目的で記載されたものは、NCO含量20.8重量%および室温にて粘度14Pasを有するHDI三量体である。この特許は、このような高粘度のポリイソシアネートを使用して、適当なポリオールと組み合わせて、改善された耐薬品性を有するポリウレタン被覆組成物を製造する可能性に関して、何ら開示していない。
【0008】
独国特許DE-A 100 13 187(特許文献4)に開示された変性ポリイソシアネート混合物は、高いイソシアネート官能価に関して顕著であるが、これは、概して、各々のポリイソシアネートのイソシアネート含量を犠牲にして得られる。既知のイソシアネート反応、例えばビウレット化、ウレタン化、三量体化およびアロファン化による、ジイソシアネートのオリゴマー化による高官能価または高分子量ポリイソシアネートの製造において、数多くのイソシアネート基は、通常、これらの分子量の上昇および官能価を構築するイソシアネート反応のために消費される。一般に、ポリイソシアネートの分子量が高くなるほど、最終生成物のイソシアネート含量はより低下する。この状況は、経済的な不利益を宿している。
【特許文献1】米国特許US-A 4,419,513
【特許文献2】欧州特許EP-A 0 646 608
【特許文献3】米国特許US-A 4,454,317
【特許文献4】独国特許DE-A 100 13 187
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、ポリウレタン被覆組成物における硬化成分として作用し、その際、要求される被覆特性の幅広いスペクトルを満足することができ、先行技術のポリイソシアネートの上記欠点を示さない新規ポリイソシアネート組成物を提供することが本発明の目的である。これらの新規ポリイソシアネート組成物は、達成可能なイソシアネート含量、分子量および官能価に関して、変動可能であり、そして最適値を示すべきである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本目的は、必要とされる特性を示す、本発明のポリアクリレート-変性ポリイソシアネートによって達成することができる。これらの新規ポリイソシアネートは、既知のポリイソシアネートとヒドロキシ-官能性不飽和化合物との部分反応によって、ウレタン基を形成し、その後、不飽和基を重合させることによって、および必要に応じて他の不飽和化合物と共重合させることによって、得ることができる。これらの新規ポリイソシアネート混合物は、それらの組成物、それらの分子量およびそれらの官能価に関して、したがって、それらの全ての特性プロフィールに関して、幅広く変化可能である。
【0011】
本発明は、i)NCO含量5%〜25重量%、NCO官能価≧2および23℃にて溶媒非含有樹脂として測定された粘度150〜200,000mPa・sを有する、芳香族、芳香脂肪族、脂環族および/または脂肪族ポリイソシアネートから製造され、およびii)式(I)
【0012】
【化1】

【0013】
〔式中、
Rは、水素またはメチル基であり、
は、必要に応じてヘテロ原子を含有する炭化水素基であり、
は、少なくとも一つのイソシアネート基および必要に応じてウレタン、アロファネート、ビウレット、ウレトジオン、イソシアヌレートまたはイミノオキサジアジンジオン基を有する炭化水素基であり、そして
nは、≧1の数値である。〕
で示される少なくとも一つの構造単位を含有する、ポリアクリレート-変性ポリイソシアネートに関する。
【0014】
また、本発明は、これらのポリイソシアネートの製造方法であって、
A)出発ポリイソシアネートのイソシアネート基部分を、
B)アクリレートおよび/またはメタクリレート基を含有するモノアルコールと反応させてウレタン基を形成し、
ウレタン化に次いでまたはこれと同時に、フリーラジカル的に開始した重合によって得られた反応生成物の不飽和基を、必要に応じて
C)他の不飽和モノマーと反応させること
を含む、方法に関する。
【0015】
また、本発明は、必要に応じてブロックされたNCO基を有する本発明のポリアクリレート-変性ポリイソシアネートと、NCO反応性基を有する化合物を含んでなる、結合剤組成物に関する。
【0016】
また、本発明は、NCO基の一部がポリエーテル単位で親水的に変性されている、本発明のポリアクリレート-変性ポリイソシアネートと、NCO反応性基を有する化合物を含んでなる、水で希釈可能なまたは水性結合剤組成物に関する。
【発明の効果】
【0017】
本発明の変性ポリイソシアネート混合物は、多数のポリオールとの非常に良好な適合性を有し、幅広い特性スペクトルを有するポリウレタン被覆組成物に処方することができる。対応するベースのポリイソシアネートと比較した場合の特に有利なことは、靭性および弾力性、良好なリフローまたは高い耐スクラッチ性を損なうことなく、対応するポリウレタン被覆組成物(特にHDIに基づくもの)よりも、物理的乾燥が顕著に改善され、および耐溶媒性および耐薬品性が顕著に高いことであるとわかった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
炭化水素基Rは、好適には芳香族、脂環族、芳香脂肪族および/または脂肪族ジ-および/またはポリイソシアネートに基づき、および好適には少なくとも一つの任意の構造単位を含有する。
【0019】
出発ポリイソシアネートA)としては、ポリウレタン化学において既知のジ-および/またはポリイソシアネートが挙げられる。これらのイソシアネートがホスゲンを用いて製造されたか、あるいはホスゲン非含有方法によって製造されたかは重要でない。好適な出発ポリイソシアネートは、ウレタン、ウレトジオン、アロファネート、ビウレット、イソシアヌレートおよび/またはイミノオキサジアジンジオン基を含有するラッカーポリイソシアネートであり、これは、モノマーのジ-またはトリイソシアネートから製造される。
【0020】
単独または混合物で使用され得るモノマーのイソシアネートとしては、1,6-ジ-イソシアナトヘキサン、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート)、4,4'-ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン、4-イソシアナトメチル-1,8-オクタンジイソシアネート、1,4-ジイソシアナトシクロヘキサン、1-メチル-2,4-ジイソシアナトシクロヘキサンおよびそれらの総混合物に基づいて35重量%までの1-メチル-2,6-ジイソシアナトシクロヘキサンとの混合物、ならびに2,4-ジイソシアナトトルエン(TDI)およびその総混合物に基づいて35重量%までの2,6-ジイソシアナトトルエンとの混合物が挙げられる。
【0021】
好適には、ラッカーポリイソシアネートは、成分A)として使用される。それらとしては、ウレタン基を含有するラッカーポリイソシアネートが挙げられる。これらは、例えば、2,4-および必要に応じて2,6-ジイソシアナトトルエンまたは1-メチル-2,4-および必要に応じて1-メチル-2,6-ジイソシアナトシクロヘキサンを、不足当量の量のトリメチロールプロパンまたはそのモノマージオールとの混合物(例えば異性体プロパンジオールまたはブタンジオール)と反応させることによって製造される。これらの実質的にモノマー非含有形態のウレタン基を含有するラッカーポリイソシアネートの製造は、例えば、独国特許DE-A 109 01 96中に記載されている。
【0022】
ビウレット基を含有するラッカーポリイソシアネートとしては、特に1,6-ジイソシアナトヘキサンに基づくものが挙げられる。これらは、例えば、欧州特許EP-A 0 003505、独国特許DE-B 1 101 394、米国特許US-B 3 358 010または米国特許US-B 3 903 127中に記載されるように製造される。
【0023】
イソシアヌレート基を含有するラッカーポリイソシアネートとしては、上記に例示されたジイソシアネートの三量体または混合三量体、例えば、英国特許GB-A 1 060 430、英国特許GB-A 1 506 373または英国特許GB-A 1 485 564に記載されたような、TDIに基づくイソシアヌレート基含有ポリイソシアネート;および、例えば、独国特許DE-A 164 480 9または独国特許DE-A 314 467 2に記載されるようなTDIと1,6-ジイソシアナトヘキサンの混合三量体が挙げられる。好適なイソシアヌレート基を含有するラッカーポリイソシアネートは、例えば、米国特許US-B 4 324 879、米国特許US-B 4 288 586、独国特許DE-A 310 026 2、独国特許DE-A 310 026 3、独国特許DE-A 303 386 0または独国特許DE-A 314 467 2に記載されたように得られる、1,6-ジイソシアナトヘキサンおよび/またはイソホロンジイソシアネートに基づく脂肪族、脂肪族/脂環族および/または脂環族三量体または混合三量体である。
【0024】
他の適当なラッカーポリイソシアネートは、例えば、欧州特許EP-A 798 299、欧州特許EP-A 896 009、欧州特許EP-A 962 454および欧州特許EP-A 962 455に記載されたように製造され得る、イミノオキサジアジンジオン基を含有するものである。
【0025】
特に好適な出発ポリイソシアネートは、排他的に脂肪族的および/または脂環族的に結合したNCO基を含有する、ウレタン、ウレトジオン、アロファネート、ビウレット、イソシアヌレートおよび/またはイミノオキサジアジンジオン基含有ポリイソシアネートである。
【0026】
出発ポリイソシアネートA)は、好適には5%〜25重量%のNCO基含量、2.0〜5.0、好適には2.8〜4.0の平均NCO官能価、および1重量%未満、好適には0.5重量%未満の残りのモノマーのジイソシアネート含量を有する。出発ポリイソシアネートは、DIN 53019にしたがって回転式粘度計を使用して測定した場合、23℃にて150〜200,000mPa・sの粘度を有する。
【0027】
好適なアクリレートおよび/またはメタクリレート基含有モノアルコールB)としては、アクリルおよび/またはメタクリル酸のヒドロキシ-官能性エステルが挙げられる。適当なエステルとしては、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート(プロピレンオキシドとアクリル酸との付加反応において形成された異性体混合物)、ヒドロキシプロピルメタクリレート(プロピレンオキシドとメタクリル酸との付加反応において形成された異性体混合物)およびブタンジオールモノアクリレートが挙げられる。
【0028】
また、適当なものは、上記アクリルまたはメタクリル酸のヒドロキシエステルと、異なる量の環式ラクトンまたはモノエポキシドの反応生成物である。好適な環式ラクトンは、ε-カプロラクトンであり、および好適なモノエポキシドは、エチレンオキシド、プロピレンオキシドまたはそれらの混合物である。
【0029】
また、ヒドロキシル-官能性化合物B)として適当なものは、グリシジルアクリレートまたはグリシジルメタクリレートとモノカルボン酸との反応生成物、またはアクリルまたはメタクリル酸とモノエポキシドとの反応生成物である。
【0030】
(メタ)アクリレート-官能性モノアルコールに加えて、他の適当な化合物B)としては、アリルアルコールまたはそのアルコキシル化生成物、例えば、モノ、ジ-またはポリエトキシル化アリルアルコールが挙げられる。しかしながら、好適には、化合物B)としての上記(メタ)アクリレート-官能性アルコールの排他的使用が挙げられる。
【0031】
また、B)におけるヒドロキシル-官能性不飽和アルコールに加えて、非官能性オレフィン性不飽和モノマー、例えば、スチレン、メチルメチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレートおよびアクリロニトリルなどを添加することができる。これらのモノマーは、A)における出発イソシアネートと反応しないが、その後、アルコールB)の不飽和基と共重合し得る。
【0032】
A)とB)の反応は、溶媒の非存在下、または溶媒の存在下に生じ得る。適当な溶媒は、イソシアネート基またはヒドロキシル基と反応しないものである。例としては、脂肪族、脂環族および/または芳香族炭化水素、例えばアルキルベンゼン、トルエンおよびキシレン;エステル、例えばエチルアセテート、n-プロピルアセテート、イソプロピルアセテート、n-ブチルアセテート、n-ヘキシルアセテート、2-エチルヘキシルアセテート、エチルプロピオネート、ブチルプロピオネート、ペンチルプロピオネート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテートおよび対応するメチルエーテルアセテート;エーテル、例えばエチレングリコールアセテートモノメチル、モノエチルおよびモノブチルエーテル;ケトン、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンおよびメチルn-アミルケトン;およびこれらの溶媒の混合物が挙げられる。
【0033】
ウレタン化反応において、A)およびB)は、互いに、A)のNCO基の幾らかのみが消費されるような比率で反応する。出発ポリイソシアネートA)におけるイソシアネート基のモルに基づいて、40モル%以下、好適には30モル%以下、より好適には25モル%以下および最も好適には20モル%以下がウレタン基に変換されるような量で成分B)を使用することが好適である。
【0034】
ウレタン化は、室温(23℃)にて行うことができるが、その温度より高い温度またはその温度未満で行うこともできる。反応を促進するため、160℃までの温度にて行うことができる。より高い温度は好適ではない。なぜなら、アクリレートまたはメタクリレート基の制御できない重合が発生するためである。
【0035】
好適には、不飽和(メタ)アクリレート基は、ウレタン化が終了するまで、フリーラジカル(共)重合によって反応しない。
【0036】
不飽和ウレタン化ポリイソシアネートC)の不飽和基の(共)重合を行うための適当な開始剤は、さらなる非官能性化合物の不飽和基が必要とされる場合、以下に特定される温度範囲内で、その存続時間が重合に十分である半減期、すなわち、約5秒〜約60分の半減期を有するアゾまたはペルオキシド化合物に基づく既知のフリーラジカル開始剤である。適当な例としては、アゾジイソブチロニトリル、アゾビス-2-メチルバレロニトリル、2,2'-アゾビス(2-メチルプロパンニトリル)、2,2'-アゾビス(2-メチルブタンニトリル)、1,1'-アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、対称性ジアシルペルオキシド(例えばアセチル、プロピオニルまたはブチリルペルオキシド)、ベンゾイルペルオキシド(例えば、臭素、ニトロ、メチルまたはメトキシ基によって置換されたもの)、ラウリルペルオキシド、ペルオキシジカーボネート(例えばジエチル、ジイソプロピル、ジシクロヘキシルおよびジベンゾイルペルオキシジカーボネート)、tert-ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、tert-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート、tert-ブチルペルオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート、tert-ブチルペルベンゾエート、tert-ブチルペルオキシジエチルアセテート、tert-ブチルペルオキシイソブチレート、ヒドロペルオキシド(例えばtert-ブチルヒドロペルオキシド、およびキュメンヒドロペルオキシド)、ジアルキルペルオキシド(例えばジクミルペルオキシド、tert-ブチルクミルペルオキシド、ジ-tert-ブチルペルオキシドおよびジ-tert-アミルペルオキシド)、1,1-ジ-tert-ブチルペルオキシ-3,3,5-トリメチルシクロヘキサンおよび1,1-ジ-tert-ブチルペルオキシシクロヘキサンが挙げられる。
【0037】
好適には、重合反応は、50〜240℃、より好適には60〜220℃および最も好適には70〜200℃の温度で行う。重合は、15バールまでの圧力下で行うことができる。
【0038】
開始剤は、B)における不飽和化合物の全量に基づいて、0.05重量%〜15重量%、好適には0.1重量%〜10重量%およびより好適には0.2重量%〜8重量%の量で使用される。
【0039】
重合反応を行うため、ウレタン-変性ポリイソシアネート混合物C)を所望の重合温度に加熱する。次いで、フリーラジカル開始剤を該反応混合物に計量供給し、そして、フリーラジカル開始剤の分解によって開始されるフリーラジカル重合を、設定した重合温度で行う。また、この重合温度は、特定分子量の調整のために所望により変化させることができる。重合終了後、反応混合物を室温に冷却する。得られた本発明のポリアクリレート-変性ポリイソシアネートは、溶媒を用いた場合、通常、淡色の粘性の液体または溶液である。
【0040】
また、不飽和ポリイソシアネートC)とその後に共重合し得る他の非官能性不飽和モノマーを、重合の間、反応混合物に計量供給することができる。
【0041】
また、本発明の方法において、既知の添加剤、例えばPU触媒(例えば、N,N-ジメチルベンジルアミン、N-メチルモルホリン、亜鉛オクトエート、スズ(II)オクトエートまたはジブチルスズジラウレート)を添加することもできる。
【0042】
本発明のポリアクリレート-変性ポリイソシアネートは、ポリウレタンベースの被覆、接着またはシーラント組成物を製造するための結合剤組成物の製造用の価値ある原料を構成する。
【0043】
本発明のポリアクリレート-変性ポリイソシアネートの反応性イソシアネート基は、ブロック剤でブロックされ、次いで1K(一成分)ポリウレタン(PU)被覆組成物における架橋剤として使用され得る。適当なブロック剤としては、ε-カプロラクタム、ブタノンオキシム、フェノールおよび/またはフェノール誘導体、第二級アミン、3,5-ジメチルピラゾール、アルキルマロネートまたはモノアルコールが挙げられる。
【0044】
適当なNCO反応性基を有する化合物は、被覆技術から既知のOHおよび/またはNH-官能性樹脂である。例としては、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリカーボネートまたはポリエーテルが挙げられる。また、適当なものは、ハイブリッド樹脂または異なるヒドロキシ官能性樹脂の混合物である。
【0045】
好適に使用される樹脂は、ヒドロキシ-官能性および/またはアミノ-官能性であり、カルボン酸および/またはスルホン酸基またはエポキシド基を含有し得る。また、物理的または酸化的に乾燥する非官能性樹脂を、本発明のポリイソシアネート混合物のための結合剤化合物および反応パートナーとして、単独でまたはヒドロキシ-官能性樹脂と組み合わせて、使用することもできる。
【0046】
これらの樹脂は、樹脂固形物に基づいて、0.5重量%〜15.0重量%、好適には0.5重量%〜12.0重量%、より好適には1.0重量%〜10.0重量%および最も好適には1.0重量%〜8.0重量%のヒドロキシル含量を有する。固体樹脂の酸価は、50mgKOH/g未満、好適には30mgKOH/g未満、より好適には20mgKOH/g未満および最も好適には15mgKOH/g未満である。
【0047】
さらなるポリマーおよび/またはポリエステル(特にポリアクリレート)に基づく上記樹脂は、自動車のOEM、自動車の再仕上げおよび大きな乗り物の仕上げ、一般の工業的被覆、プラスチック被覆、腐食制御、ならびに木材および家具の被覆分野において必要とされるレベルに関して、特に興味深いものである。建設部門において、または鉱物基材を被覆するため、ポリエーテルベースの樹脂を用いることが好適である。
【0048】
本発明の結合剤組成物において、結合剤中のNCO反応性基に対する遊離およびブロックされたNCO基の当量比は、5:1〜1:2、好適には2:1〜1:2、より好適には1.5:1〜1:1.5および最も好適には1.2:1〜1:1.2である。
【0049】
本発明のポリアクリレート-変性ポリイソシアネートのNCO基がブロックされていない場合、該結合剤組成物は、約3〜24時間の制限された加工寿命しか有しないが、それら自身(透明被覆組成物)としてか、あるいは既知の添加剤をさらに使用してかのいずれかで加工される。これらの任意の添加剤は、それらを混合する前に、混合物か、あるいは個々の成分のいずれかに添加することができる。
【0050】
適当な添加剤としては、溶媒、例えばエチルアセテート、n-プロピルアセテート、イソプロピルアセテート、n-ブチルアセテート、n-ヘキシルアセテート、n-ヘプチルアセテート、2-エチルヘキシルアセテート、メトキシプロピルアセテート、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレン、高級芳香族混合物、揮発油およびそれらの混合物が挙げられる。
【0051】
他の添加剤としては、可塑剤、例えばリン酸トリクレジル、フタル酸ジエステルおよび塩素化パラフィン;顔料および充填剤、例えば二酸化チタン、硫酸バリウム、チョークおよびカーボンブラック;触媒、例えばN,N-ジメチルベンジルアミン、N-メチルモルホリン、亜鉛オクトエート、スズ(II)オクトエートおよびジブチルスズジラウレート;流動調整剤;増粘剤;安定化剤、例えば置換フェノール;粘着促進剤としての有機官能性シラン;光安定化剤;およびUV吸収剤が挙げられる。光安定化剤の例は、例えば、独国特許DE-A 2 417 353および独国特許DE-A 2 456 864に記載されたような、立体障害アミンである。好適な光安定化剤は、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリド-4-イル)セバケート、ビス(2,2,6,6-テトラメチルピペリド-4-イル)セバケート、およびビス(1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリド-4-イル)n-ブチル(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)マロネートである。
【0052】
充填剤および顔料中に存在する水分は、予め乾燥することによって、または吸水剤(例えば分子篩ゼオライト)をさらに使用することによって、除去することができる。
【0053】
本発明の結合剤組成物から得られた被覆物は、冒頭に述べた最適の特性を達成するために、温度を上昇させる必要なく、室温で乾燥することができる。しかしながら、結合剤を再仕上げ被覆組成物として用いる場合、20〜60分の間の約60〜100℃(好適には60〜80℃)への温度上昇は、乾燥時間および硬化時間を短縮するために、しばしば望ましい。
【0054】
得られた被覆フィルムは、高硬度、良好な弾力性、卓越した風化安定性および耐薬品性、および高光沢度に関して顕著である。特に最初の物理的乾燥および化学架橋のための硬化時間は、非常に短い。すなわち、非ポリアクリレート-変性ポリイソシアネートを使用する場合よりも短い。その結果、被覆された供給品は、非常に迅速に耐溶媒性および耐薬品性となり、供給され得る。
【0055】
本発明にしたがって用いられる被覆組成物は、大きな乗り物、例えば飛行機、鉄道の客車および路面電車および貨物列車を仕上げるのに特に適当である。さらなる好適な使用分野は、自動車の再仕上げおよびプラスチックの被覆である。さらに、被覆組成物は、腐食制御用途(例えば橋および電柱の被覆)、木材および家具の被覆、一般の工業的被覆および自動車のOEM被覆に適当である。
【0056】
これらの被覆組成物は、通例の方法、例えば噴霧、注型、浸し塗り、刷毛塗り、噴射またはローリングによって、塗布される。本発明の被覆組成物は、プライマーコートの製造およびタイコートの製造の両方に適当であり、被覆される基材上に着色トップコート、ベースコートおよびクリアコートを製造するのに特に適当である。
【実施例】
【0057】
本発明をさらに説明するが、本発明を以下の実施例により制限することを意図しない。全ての「部」および「%」で示される量は、他に示さない限り、重量基準である。
【0058】
(使用される略語および成分)
HEA:ヒドロキシエチルアクリレート
HEMA:ヒドロキシエチルメタクリレート
HPMA:ヒドロキシプロピルメタクリレート
【0059】
Desmodur(登録商標)HL BA:トルエンジイソシアネート/ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)に基づく芳香族-脂肪族ポリイソシアネート(ブチルアセテート中60%、NCO含量10.5%)、Bayer MaterialScience AG(レバークーゼン、独国)から入手可能。
Desmodur(登録商標)IL BA:トルエンジイソシアネートに基づく芳香族ポリイソシアネート(ブチルアセテート中51%、NCO含量8.0%)、Bayer MaterialScience AG(レバークーゼン、独国)から入手可能。
Desmodur(登録商標)3200:HDIに基づく脂肪族、ビウレット基含有ポリイソシアネート(溶媒非含有、NCO含量23.0%)、Bayer MaterialScience AG(レバークーゼン、独国)から入手可能。
Desmodur(登録商標)N 3300:HDIに基づくイソシアヌレート基含有ポリイソシアネート(溶媒非含有、NCO含量21.8%)、Bayer MaterialScience AG(レバークーゼン、独国)から入手可能。
Desmodur(登録商標)N 3600:HDIに基づく低粘度、イソシアヌレート基含有ポリイソシアネート(溶媒非含有、NCO含量23.0%)、Bayer MaterialScience AG(レバークーゼン、独国)から入手可能。
Desmodur(登録商標)N 75 BA:HDIに基づく脂肪族、ビウレット基含有ポリイソシアネート(ブチルアセテート中75%、NCO含量16.5%)、Bayer MaterialScience AG(レバークーゼン、独国)から入手可能。
Desmodur(登録商標)Z 4470 BA:イソホロンジイソシアネートに基づくイソシアヌレート基含有ポリイソシアネート(ブチルアセテート中70%、NCO含量11.9%)、Bayer MaterialScience AG(レバークーゼン、独国)から入手可能。
Desmodur(登録商標)XP 2410:ヘキサメチレンジイソシアネートに基づく低粘度、イミノオキサジアジンジオン基含有ポリイソシアネート(溶媒非含有、NCO含量23.7%)、Bayer MaterialScience AG(レバークーゼン、独国)から入手可能。
Peroxan(登録商標)PO 49B:tert-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート(ブチルアセテート中49%)、Pergan GmbH(ボホルト、独国)から入手可能。
【0060】
以下の特性を決定した:固形分(厚膜法:蓋、1g試料、125℃で1時間、対流式オーブン、原理:DIN EN ISO 3251);粘度(Haake GmbH(カールスルーエ、独国)からの回転式粘度計VT 550、<10,000mPa・s/23℃の粘度についてMV-DINカップ、>10,000mPa・s/23℃の粘度についてSV-DINカップ);NCO含量(溶媒:アセトン、ジブチルアミン過剰、尿素形成、1mol/lHClで滴定、原理:DIN EN ISO 11909);およびハーゼン色数(ハーゼン色数:原理DIN 53995、Lico(登録商標)400色数計測器、Dr. Lange GmbH(ベルリン、独国))。
【0061】
(ポリアクリレート-変性ポリイソシアネートの製造)
攪拌機、還流冷却器および滴下漏斗を備えた1Lの三口フラスコに、反応性出発ポリイソシアネート、および適切であれば、溶媒としてブチルアセテートを充填し、この最初の充填物を、窒素雰囲気下、130℃に加熱した。次いで、不飽和モノアルコールを、10分間に亘って計量供給し、次いで、該混合物を、所望の重合温度(T)に設定する前に130℃で1時間さらに攪拌した。この温度に到達したとき、重合開始剤、Peroxan(登録商標)PO 49Bを少しずつ添加した。その後、攪拌を設定した重合温度で1時間行った。次いで、該混合物を室温に冷却することで、淡色の粘性のポリイソシアネート(PIC)を得た。
【0062】
反応性原料、比率および反応条件を以下の表1に示す。量は、グラム単位である。
【0063】
【表1】

【0064】
本発明のポリイソシアネートPIC1〜18の特性を以下の表2に示す。
【0065】
【表2】

【0066】
(変性ポリイソシアネートPIC19の製造)
ポリイソシアネート1〜18について記載した手順を使用して、ブチルアセテート(35.0g)中のDesmodur(登録商標) XP 2410(604.8g)を、HEA(23.94g)と反応させ、次いで、ブチルアセテート(35.64g)中のtert-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート(0.62g)を添加することによって、100℃で重合した。得られた無色ポリイソシアネート混合物は、固形分90重量%、粘度1181mPa・s、イソシアネート含量19.8重量%および色数16APHAであった。
【0067】
(変性ポリイソシアネートPIC20の製造)
ポリイソシアネート1〜18について記載した手順を使用して、Desmodur(登録商標) Z 4470(676.63g)を、溶媒ナフサ100(7.00g)中のHPMA(15.63g)と反応させ、次いで、該生成物を、ジ-tert-ブチルペルオキシド(0.74g)を添加することによって、150℃で重合した。得られた淡色ポリイソシアネート混合物は、固形分72.6重量%、粘度2602mPa・s、イソシアネート含量10.6重量%および色数54APHAであった。
【0068】
(変性ポリイソシアネートPIC21の製造)
ポリイソシアネート1〜18について記載した手順を使用して、Desmodur(登録商標) N 3200(676.62g)を、ブタンジオールモノアクリレート(22.33g)反応させ、次いで、該生成物を、ジ-tert-ブチルペルオキシド(1.05g)を添加することによって、160℃で重合した。得られた淡色ポリイソシアネート混合物は、固形分98.8重量%、粘度46,272mPa・s、イソシアネート含量21.7重量%および色数50APHAであった。
【0069】
(変性ポリイソシアネートPIC22の製造)
ポリイソシアネート1〜18について記載した手順を使用して、Desmodur(登録商標) N 75(676.65g)を、メトキシプロピルアセテート(MPA)/キシレン1:1(5.81g)中のHPMA(16.75g)と反応させ、次いで、該生成物を、ジ-tert-ブチルペルオキシド(0.79g)を添加することによって145℃で重合した。得られた淡色ポリイソシアネート混合物は、固形分74.9重量%、粘度308mPa・s、イソシアネート含量15.6重量%および色数16APHAであった。
【0070】
(変性ポリイソシアネートPIC23の製造)
ポリイソシアネート1〜18について記載した手順を使用して、Desmodur HL(登録商標)(676.59g)を、ブチルアセテート(9.38g)中のHPMA3)(13.40g)反応させ、次いで、該生成物を、ブチルアセテート中50%のtert-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート(0.63g)を添加することによって、130℃で重合した。得られた淡色ポリイソシアネート混合物は、固形分62.3重量%、粘度2182mPa・s、イソシアネート含量10.3重量%および色数39APHAであった。
【0071】
(変性ポリイソシアネートPIC24の製造)
ポリイソシアネート1〜18について記載した手順を使用して、Desmodur IL(登録商標)(676.60g)を、ブチルアセテート(11.48g)中のHPMA(13.39g)反応させ、次いで、該生成物を、ブチルアセテート中50%のtert-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート(0.54g)を添加することによって、130℃で重合した。得られた淡色ポリイソシアネート混合物は、固形分52.1重量%、粘度2522mPa・s、イソシアネート含量7.35重量%および色数94APHAであった。
【0072】
(変性ポリイソシアネートPIC25の製造)
ポリイソシアネート1〜18について記載した手順を使用して、ブチルアセテート(35.0g)中のDesmodur(登録商標)N 3600(601.9g)の溶液を、HEMA(13.42g)と反応させた。その後、スチレン(13.42g)を添加し、次いで、該混合物を、ブチルアセテート(35.64g)中のtert-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート(0.62g)を添加することによって、100℃で重合した。得られた無色ポリイソシアネート混合物は、固形分89.7重量%、粘度1531mPa・s、イソシアネート含量18.7重量%および色数9APHAであった。
【0073】
(変性ポリイソシアネートPIC26の製造)
ポリイソシアネート1〜18について記載した手順を使用して、ブチルアセテート(35.0g)中のDesmodur(登録商標)N 3600(601.9g)を、HEMA(13.42g)と反応させた。その後、メチルメタクリレート(13.42g)を添加し、次いで、該混合物をブチルアセテート(35.64g)中のtert-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート(0.62g)を添加することによって、100℃で重合した。得られた無色ポリイソシアネート混合物は、固形分89.9重量%、粘度2662mPa・s、イソシアネート含量18.9重量%および色数15APHAであった。
【0074】
(変性ポリイソシアネートPIC27の製造)
ポリイソシアネート1〜18について記載した手順を使用して、ブチルアセテート(35.0g)中のDesmodur(登録商標) N 3600(601.9g)を、HEMA(13.42g)と反応させた。その後、スチレン(13.42g)を添加し、次いで、該混合物をブチルアセテート(35.64g)中のtert-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート(0.62g)を添加することによって、100℃で重合した。得られた無色ポリイソシアネート混合物は、固形分89.7重量%、粘度1531mPa・s、イソシアネート含量18.7重量%および色数9APHAであった。
【0075】
(変性ポリイソシアネートPIC28の製造)
ポリイソシアネート1〜18について記載した手順を使用して、ブチルアセテート(35.0g)中のDesmodur(登録商標) XP 2410(601.9g)を、HEMA(13.42g)と反応させた。その後、スチレン(13.42g)を添加し、次いで、該混合物をブチルアセテート(35.64g)中のtert-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート(0.62g)を添加することによって、100℃で重合した。得られた無色ポリイソシアネート混合物は、固形分89.8重量%、粘度1010mPa・s、イソシアネート含量18.65重量%および色数16APHAであった。
【0076】
(変性ポリイソシアネートPIC29の製造)
ポリイソシアネート1〜18について記載した手順を使用して、ブチルアセテート(35.0g)中のDesmodur(登録商標) XP 2410(601.9g)を、HEMA(13.42g)と反応させた。その後、メチルメタクリレート (13.42g)を添加し、次いで、該混合物をブチルアセテート(35.64g)中のtert-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート(0.62g)を添加することによって、100℃で重合した。得られたポリイソシアネート混合物は、固形分90.0重量%、粘度919mPa・s、イソシアネート含量19.2重量%および色数11APHAであった。
【0077】
(使用例)
これらの実施例は、対応する非ポリアクリレート-変性出発ポリイソシアネートと比較した、ポリイソシアネート(PIC)に基づく、直ぐに使用可能な被覆組成物、これらの被覆組成物の塗布、および得られた被覆フィルムの試験を記載する。
【0078】
一般的な被覆特性を、透明ワニスを製造することによって評価した。その目的のため、ポリイソシアネートをそれぞれ、1:1のNCO/OH当量比にて、ポリオールと組み合わせた。使用したポリオールは、Desmophen(登録商標)A 870(Bayer MaterialScience AG(レバークーゼン、独国)から入手可能なポリアクリレートポリオール。これは、ブチルアセテート中の固形分70重量%、23℃での粘度3500mPa・s、酸価7.5mgKOH/g(供給形態に基づく)およびOH含量2.95重量%(供給形態に基づく)を有する)であった。樹脂固形物(ポリオールおよびポリイソシアネートの固形物画分の合計)に基づいて、以下の量の添加剤を使用した。
【0079】
【表3】

【0080】
溶媒ナフサ100、メトキシプロピルアセテート、キシレンおよびn-ブチルアセテートの混合物(1:1:1:1)を添加した。その結果、結合剤含量56重量%および添加剤含量2重量%が生じた。得られたワニスのフロータイム(DIN 53 211、4mmのノズル)は、25秒であった。ワニスは、直ぐに噴霧可能な処方物であり、VOC(揮発性有機化合物)含量3.5ポンド/ガロンを有する。
7時間に亘ってワニスの粘度上昇を測定することによって、ポットライフを試験した。
【0081】
ワニスを、23℃および相対湿度50%にてガラスプレートに塗布し、室温および60℃の両方で30分間乾燥し(その間、乾燥速度(DIN 53 150)を決定した)、次いで、室温で7日間保存した。乾燥フィルムの厚みは、55〜60μmであった。その後、ケーニッヒ硬度(DIN 53 157)、角度20°でのガードナー光沢、ヘーズ(DIN 67 530)、および、水、スーパーグレードのガソリン、メトキシプロピルアセテートおよびキシレンを使用した水および耐溶媒性[即時、および60℃で30分間の硬化後1、4および7日間後]を試験した。
【0082】
試験した本発明のワニスおよび比較ワニスの試験結果を以下の表3に示す。
【0083】
【表4】

【0084】
【表5】

【0085】
ポリアクリレート-変性ポリイソシアネートに基づく本発明のワニスおよびポリイソシアネートB)に基づく比較ワニスの両方は、顕著な粘度上昇もなく長い加工寿命を有し、そして非常に低いヘーズ値を有する高光沢度のワニスフィルムを生じさせた。また、試験により、PIC1、2、4および5に基づく本発明の被覆剤は、未変性ポリイソシアネートB1に基づく比較ワニスと対照的に、迅速な乾燥、より高い硬度およびわずかに良好な耐溶媒性を示すことが明らかになった。また、同様の結果は、未変性ポリイソシアネートB2に基づく比較ワニスと比較した場合、PIC8、PIC9、PIC11およびPIC12に基づく本発明のワニスによって得られた。試験結果は、特に自動車の再仕上げにおいて重要な役割を担う、乾燥速度、硬度および早期のび耐水性および耐溶媒性の重要な特性に関する本発明のワニスのはっきりとした利点を明らかにした。
【0086】
本発明を上記で例示の目的をもって詳細に説明したが、このような詳説が単にその目的のためであって、本発明は、特許請求の範囲によって限定され得る場合を除いて、本発明の精神および範囲を逸脱することなく、当業者によって変形がなされ得ると理解されるべきである。
【0087】
本発明の好適な実施態様を以下に示す。
〔1〕i)NCO含量5%〜25重量%、NCO官能価≧2および23℃にて溶媒非含有樹脂として測定された粘度150〜200,000mPa・sを有する、芳香族、芳香脂肪族、脂環族および/または脂肪族ポリイソシアネートから製造され、およびii)式(I)
【0088】
【化2】

【0089】
〔式中、
Rは、水素またはメチル基であり、
は、必要に応じてヘテロ原子を含有する炭化水素基であり、
は、少なくとも一つのイソシアネート基および必要に応じてウレタン、アロファネート、ビウレット、ウレトジオン、イソシアヌレートまたはイミノオキサジアジンジオン基を有する炭化水素基であり、そして
nは、≧1の数値である。〕
で示される少なくとも一つの構造単位を含有する、ポリアクリレート-変性ポリイソシアネート。
〔2〕Rは、少なくとも一つのウレタン、アロファネート、ビウレット、ウレトジオン、イソシアヌレートおよび/またはイミノオキサジアジンジオン基を含有する、上記第〔1〕項に記載のポリアクリレート-変性ポリイソシアネート。
〔3〕上記第〔1〕項に記載のポリアクリレート-変性ポリイソシアネートの製造方法であって、
A)出発ポリイソシアネートのイソシアネート基部分を、
B)アクリレートおよび/またはメタクリレート基を含有するモノアルコールと反応させてウレタン基を形成し、
ウレタン化に次いでまたはこれと同時に、フリーラジカル的に開始した重合によって得られた反応生成物の不飽和基を、必要に応じて
C)他の不飽和モノマーと反応させること
を含む、方法。
〔4〕出発ポリイソシアネートA)は、ウレタン、ウレトジオン、アロファネート、ビウレット、イソシアヌレートまたはイミノオキサジアジンジオン基を含有し、脂肪族的および/または脂環族的に結合したNCO基を排他的に含有するポリイソシアネートを含んでなる、上記第〔3〕項に記載の方法。
〔5〕上記第〔1〕項に記載のポリアクリレート-変性ポリイソシアネートから製造された、ポリウレタンおよび/またはポリ尿素。
〔6〕上記第〔1〕項に記載のポリアクリレート-変性ポリイソシアネートを含んでなる、被覆、接着、またはシーラント組成物。
〔7〕上記第〔6〕項に記載の被覆組成物で被覆された基材。
〔8〕必要に応じてそのNCO基の幾つかまたは全てがブロックされた上記第〔1〕項に記載のポリアクリレート-変性ポリイソシアネートと、NCO反応性基を有する化合物を含んでなる、結合剤組成物。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
i)NCO含量5%〜25重量%、NCO官能価≧2および23℃にて溶媒非含有樹脂として測定された粘度150〜200,000mPa・sを有する、芳香族、芳香脂肪族、脂環族および/または脂肪族ポリイソシアネートから製造され、およびii)式(I)
【化1】

〔式中、
Rは、水素またはメチル基であり、
は、必要に応じてヘテロ原子を含有する炭化水素基であり、
は、少なくとも一つのイソシアネート基および必要に応じてウレタン、アロファネート、ビウレット、ウレトジオン、イソシアヌレートまたはイミノオキサジアジンジオン基を有する炭化水素基であり、そして
nは、≧1の数値である。〕
で示される少なくとも一つの構造単位を含有する、ポリアクリレート-変性ポリイソシアネート。
【請求項2】
請求項1に記載のポリアクリレート-変性ポリイソシアネートの製造方法であって、
A)出発ポリイソシアネートのイソシアネート基部分を、
B)アクリレートおよび/またはメタクリレート基を含有するモノアルコールと反応させてウレタン基を形成し、
ウレタン化に次いでまたはこれと同時に、フリーラジカル的に開始した重合によって得られた反応生成物の不飽和基を、必要に応じて
C)他の不飽和モノマーと反応させること
を含む、方法。
【請求項3】
請求項1に記載のポリアクリレート-変性ポリイソシアネートから製造された、ポリウレタンおよび/またはポリ尿素。
【請求項4】
請求項1に記載のポリアクリレート-変性ポリイソシアネートを含んでなる、被覆、接着、またはシーラント組成物。
【請求項5】
請求項4に記載の被覆組成物で被覆された基材。
【請求項6】
必要に応じてそのNCO基の幾つかまたは全てがブロックされた請求項1に記載のポリアクリレート-変性ポリイソシアネートと、NCO反応性基を有する化合物を含んでなる、結合剤組成物。

【公開番号】特開2006−152294(P2006−152294A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−337102(P2005−337102)
【出願日】平成17年11月22日(2005.11.22)
【出願人】(504037346)バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト (728)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience AG
【Fターム(参考)】