説明

新規メタセシス触媒

本発明は、式(I)の新規化合物、その製造、製造のための中間体及び多様なメタセシス反応における式(I)の化合物の触媒としての使用に関する。簡単に入手可能な前駆生成物から得られる前記の新規化合物は高い活性を有し、かつ各種のメタセシス反応に使用可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式Iの新規化合物、その製造、製造のための中間体及び多様なメタセシス反応における式Iの化合物の触媒としての使用に関する。
【化1】

【0002】
背景技術
式Aのルテニウム錯体はWO 02/14376 A2から公知であり、活性の、空気安定性でかつ回収可能なメタセシス触媒として記載されている。さらにこの種の触媒は公知であり(Angew. Chem. 2002, 114, Nr. 5, 832-834; Angew. Chem. 2002, 114, Nr. 13, 2509-2511; Angew. Chem. 2002, 114, Nr. 21, 4210-4212)、前記触媒は、Aよりも高い活性を有する式B、C及びDにより記載されている。
【0003】
Aと比較してB及びCの活性の改善は、フェニル環の置換基の立体的効果及び電子的効果に起因し、Dの場合には前記リガンドのエーテル基の脂肪族残基中での特別な変更に起因する。
【化2】

【0004】
意外にも、Dと比較した場合でも、式Aのルテニウム触媒の更なる活性の向上は、前記リガンドのエーテル基の脂肪族残基中へのケト基の導入により達成することができることが見出された。
【0005】
本発明の詳細な説明
本発明の主題は、式1
【化3】

[式中、
X及びX′は、アニオン性リガンド;有利にハロゲン、特に有利にCl又はBrを表し;
Lは、中性リガンドを表し;
a、b、c、dは、相互に無関係に、H、−NO2、C1〜C12−アルキル、C1〜C12−アルコキシ又はフェニルを表し、その際、フェニルは場合により、C1〜C6−アルキル及びC1〜C6−アルコキシのグループから選択される基で置換されていてもよく;
1は、C1〜C12−アルキル、C5〜C6−シクロアルキル、C7〜C18−アラルキル、アリールを表し;
2は、H、C1〜C12−アルキル、C5〜C6−シクロアルキル、C7〜C18−アラルキル、アリールを表し;
3は、H、C1〜C12−アルキル、C2〜C12−アルケニル、C2〜C12−アルキニル、アリールを表す]の新規ルテニウム錯体及びそのメタセシス触媒としての使用である。
【0006】
この場合、式1の化合物
[式中、
X及びX′はハロゲンを表し;
Lは、中性リガンドを表し;
a、b、c、dは、相互に無関係に、H、−NO2、C1〜C6−アルキル、C1〜C6−アルコキシ又はフェニルを表し、その際、フェニルは場合により、C1〜C4−アルキル及びC1〜C4−アルコキシのグループから選択される基で置換されていてもよく;
1は、C1〜C6−アルキル、C5〜C6−シクロアルキル、C7〜C11−アラルキル、アリールを表し;
2は、H、C1〜C6−アルキル、C5〜C6−シクロアルキル、C7〜C11−アラルキル、アリールを表し;
3は、H、C1〜C6−アルキル、C2〜C6−アルケニル、C2〜C6−アルキニル、アリールを表す]が有利であり、その中で、式1の化合物
[式中、
X及びX′は、Cl又はBrを表し;
Lは、中性リガンドを表し;
a、b、c、dは、相互に無関係に、H、−NO2、メチル、エチル、イソプロピル、メトキシ又はフェニルを表し、その際、フェニルは場合によりメチル及びメトキシのグループから選択される基で置換されていてもよく;
1は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ヘプチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、2−メチルシクロヘキシル、2,4−ジメチルシクロヘキシル、ベンジル、1−フェニルエチル、2−フェニルエチル、フェニル、o−、m−、p−トリル及び3,5−ジメチルフェニルを表し;
2は、H、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ヘプチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、2−メチルシクロヘキシル、2,4−ジメチルシクロヘキシル、ベンジル、1−フェニルエチル、2−フェニルエチル、フェニル、o−、m−、p−トリル及び3,5−ジメチルフェニルを表し;
3は、H、メチル、エチル、フェニルを表す]が特に有利である。
【0007】
一般式1の前記の化合物の中で、R1、R2、R3、X、X′及びLは前記の意味を表すことができ、
a、b、cは、Hを表し、かつ
dは、C1〜C6−アルキル及びC1〜C6−アルコキシのグループから選択される基で置換されていてもよいフェニルを表すか;又は
a、c、dは、Hを表し、かつ
bは−NO2を表す化合物が特に有利である。
【0008】
さらに、一般式1の前記の化合物の中で、R1、R2、R3、X、X′、a、b、c及びdは、前記の意味を表すことができ、
Lは、P(R43又は式L1、L2、L3又はL4のリガンドを表し、その際、
【化4】

【0009】
4は、C1〜C6−アルキル、シクロアルキル又はアリールを表し、
5及びR6は、相互に無関係に、H、C1〜C6−アルキル又はアリールを表し、
7及びR8は、相互に無関係に、H、C1〜C6−アルキル、C2〜C6−アルケニル又はアリールを表すか;又は
7及びR8は、一緒になって、3員又は4員のアルケン架橋を形成し;かつ
Y及びY′は、ハロゲン;有利にCl又はBrを表す化合物が特に有利である。
【0010】
X及びX′はClを表し;
LはL1を表し;
a、b、c、dはHを表し;
1はメチルを表し;
2はHを表し;
3はHを表し;
5及びR6はメシチルを表し;
7及びR8はHを表す、一般式1の化合物が最も有利である。
【0011】
さらに、本発明は、更なる実施態様の場合に、一般式1の化合物を有し、その際、X、X′、L並びにR1、R2及びR3は請求項1に記載された意味を有し、かつその際、
a、b、c、dは、相互に無関係に、H、−NO2、C1〜C12−アルキル、C1〜C12−アルコキシ又はフェニル、その際、フェニルは場合により、C1〜C6−アルキル及びC1〜C6−アルコキシのグループから選択される基で置換されていてもよく;ハロゲン;シアノ;アリール又はヘテロアリール;
1箇所又は数箇所ハロゲン化されたアリール基又はヘテロアリール基(例えば、−C65、−C64F又は−C632);1箇所又は数箇所ハロゲン化されたC1〜C6−アルキル基(例えば、−CF3、−C25);
1箇所又は数箇所ハロゲン化されたC1〜C6−アルキル置換アリール基(例えば、−C64−CF3、−C64−C47);C1〜C6−アルキルカルボニル基;1箇所又は数箇所ハロゲン化されたC1〜C6−アルキルカルボニル基;C1〜C6−アルコキシカルボニル基;1箇所又は数箇所ハロゲン化されたC1〜C6−アルコキシカルボニル基;アリールカルボニル基;
1箇所又は数箇所ハロゲン化されたアリールカルボニル基;アリールオキシカルボニル基;1箇所又は数箇所ハロゲン化されたアリールオキシカルボニル基;
−(C=O)−N(Ra2−基(その際、Raは、C1〜C6−アルキル基又はアリール基、特にハロゲン化されたC1〜C6−アルキル基又はアリール基である);
−NH−(C=O)−Ra−基(その際、Raは、C1〜C6−アルキル基又はアリール基、特にハロゲン化されたC1〜C6−アルキル基又はアリール基であり);
1〜C6−アルキルスルホニル基(例えばCH3SO2−);
1〜C6−アルキルスルフィニル基(例えばCH3S(O)−);
−P(=O)(Ra2−基(その際、Raは、C1〜C6−アルキル基又はアリール基、特にハロゲン化されたC1〜C6−アルキル基又はアリール基である);
−SO2−NH−SO2−Ra−基(その際、Raは、C1〜C6−アルキル基又はアリール基、特にハロゲン化されたC1〜C6−アルキル基又はアリール基であり);
−N[(SO2)Ra2−基(その際、Raは、C1〜C6−アルキル基又はアリール基、特にハロゲン化されたC1〜C6−アルキル基又はアリール基である)を表すことができる。
【0012】
一般式1の新規化合物は、式2のプレリガンドと式3のルテニウム錯体との反応により得られる:
【化5】

[式中、前記反応の所定の実施態様の場合に、R3、a、b、c及びdは、請求項1に記載された意味を有し、かつ
1は、C1〜C12−アルキル、C5〜C6−シクロアルキル、C7〜C18−アラルキル、アリール;有利にC1〜C6−アルキル、C5〜C6−シクロアルキル、C7〜C11−アラルキル、アリールを表し;
1は、H、C1〜C12−アルキル、C5〜C6−シクロアルキル、C7〜C18−アラルキル、アリール;有利にC1〜C6−アルキル、C5〜C6−シクロアルキル、C7〜C11−アラルキル、アリールを表し;
11及びR12は、相互に無関係に、H、C1〜C6−アルキル(場合により1箇所又は数箇所ハロゲンで置換された)、又はアリール(場合により1箇所又は数箇所ハロゲン又はC1〜C6−アルキルで置換された);有利にH、C1〜C6−アルキル又はアリールを表し;
Lは、中性のリガンド;有利にL1、L2、L3又はL4を表し;
9及びR10は、相互に無関係に、H、C1〜C6−アルキル(場合により1箇所又は数箇所ハロゲンで置換された)、又はアリール(場合により1箇所又は数箇所ハロゲン又はC1〜C6−アルキルで置換された);有利にH、C1〜C6−アルキル又はアリールを表す]。
【0013】
前記反応の有利な実施態様の場合には、基R9及びR10は環系(例えばインデニリデン系)を形成する式3によるルテニウム錯体を使用する。
【0014】
前記反応の他の有利な実施態様の場合には、置換基a、b、c及びdは請求項9に記載された意味を有する一般式2の化合物を使用する。
【0015】
従って、本発明の他の主題は、式2
【化6】

[式中、所定の実施態様の場合に、R3、a、b、c及びdは、請求項1に記載された意味を有し;かつ
1は、C1〜C12−アルキル、C5〜C6−シクロアルキル、C7〜C18−アラルキル、アリールを表し;
2は、H、C1〜C12−アルキル、C5〜C6−シクロアルキル、C7〜C18−アラルキル、アリールを表し;
11及びR12は、相互に無関係に、H、C1〜C6−アルキル(場合により1箇所又は数箇所ハロゲンで置換された)、又はアリール(場合により1箇所又は数箇所ハロゲン又はC1〜C6−アルキルで置換された)を表す]の化合物である。
【0016】
この場合、
1は、C1〜C6−アルキル、C5〜C6−シクロアルキル、C7〜C11−アラルキル、アリールを表し;
2は、H、C1〜C12−アルキル、C5〜C6−シクロアルキル、C7〜C11−アラルキル、アリールを表し;
11及びR12は、相互に無関係に、H、C1〜C4−アルキル(場合により1箇所又は数箇所ハロゲンで置換されている)又はアリール(場合により1箇所又は数箇所ハロゲン又はメチルで置換されている)を表す、式2の化合物が有利である。
【0017】
1は、メチル、シクロヘキシル、ベンジル、フェニルを表し;
2は、H、メチル、シクロヘキシル、ベンジル、フェニルを表し;
11は、Hを表し、
12は、H又はメチルを表す式2の化合物が特に有利である。
【0018】
さらに、本発明は、他の有利な実施態様の場合に、式2の化合物も含み、その際、R3は請求項1に記載された意味を有し、R1、R2、R11及びR12は請求項8に記載された意味を有し、その際、
a、b、c、dは、相互に無関係に、H、−NO2、C1〜C12−アルキル、C1〜C12−アルコキシ又はフェニル、その際、フェニルは場合により、C1〜C6−アルキル及びC1〜C6−アルコキシのグループから選択される基で置換されていてもよく;ハロゲン;シアノ;アリール又はヘテロアリール;
1箇所又は数箇所ハロゲン化されたアリール基又はヘテロアリール基(例えば、−C65、−C64F又は−C632);1箇所又は数箇所ハロゲン化されたC1〜C6−アルキル基(例えば、−CF3、−C25);
1箇所又は数箇所ハロゲン化されたC1〜C6−アルキル置換アリール基(例えば、−C64−CF3、−C64−C47);C1〜C6−アルキルカルボニル基;1箇所又は数箇所ハロゲン化されたC1〜C6−アルキルカルボニル基;C1〜C6−アルコキシカルボニル基;1箇所又は数箇所ハロゲン化されたC1〜C6−アルコキシカルボニル基;アリールカルボニル基;
1箇所又は数箇所ハロゲン化されたアリールカルボニル基;アリールオキシカルボニル基;1箇所又は数箇所ハロゲン化されたアリールオキシカルボニル基;
−(C=O)−N(Ra2−基(その際、Raは、C1〜C6−アルキル基又はアリール基、特にハロゲン化されたC1〜C6−アルキル基又はアリール基である);
−NH−(C=O)−Ra−基(その際、Raは、C1〜C6−アルキル基又はアリール基、特にハロゲン化されたC1〜C6−アルキル基又はアリール基であり);
1〜C6−アルキルスルホニル基(例えばCH3SO2−);
1〜C6−アルキルスルフィニル基(例えばCH3S(O)−);
−P(=O)(Ra2−基(その際、Raは、C1〜C6−アルキル基又はアリール基、特にハロゲン化されたC1〜C6−アルキル基又はアリール基である);
−SO2−NH−SO2−Ra−基(その際、Raは、C1〜C6−アルキル基又はアリール基、特にハロゲン化されたC1〜C6−アルキル基又はアリール基であり);
−N[(SO2)Ra2−基(その際、Raは、C1〜C6−アルキル基又はアリール基、特にハロゲン化されたC1〜C6−アルキル基又はアリール基である)を表すことができる。
【0019】
前記されたリガンド及び錯体は、純粋な鏡像異性体又は鏡像異性体対であることができる。本発明の範囲内で、従って、場合によるラセミ体に対して付加的に、同様に純粋な鏡像異性体も含み、これは立体中心により前記鏡像異性が触媒反応の間に基質に移ることができる。
【0020】
本発明の付加的な主題は、それぞれ1つのオレフィン性二重結合を有する2種の化合物を反応させるか又は化合物の一方が少なくとも2つのオレフィン性二重結合を有する2種の化合物を反応させ、かつ触媒として一般式1の上記の化合物の1つを使用することによりメタセシス反応を実施する方法、又は閉環メタセシス反応(RCM)を実施する方法又は2つのオレフィン性二重結合を有する化合物を基質としてかつ式1の化合物の1つを触媒として関与されている交差メタセシス反応(CM)である。
【0021】
使用概念及び定義
「アニオン性リガンド」(X又はX′)とは、本発明の範囲内で、電子供与体特性を有する負電荷を有する分子又は原子であると解釈される。これについての例は、この場合、ハロゲン、例えばフッ素、塩素、臭素又はヨウ素が挙げられる。
【0022】
「中性リガンド」(L)とは、本発明の範囲内で、電子供与体特性を有する電荷を持たないか又は電荷的に中性の分子又は原子であると解釈される。この場合、脂肪族、脂環式及び芳香族炭化水素基を含有する第3級ホスフィン、例えばトリオクチルホスフィン、トリドデシルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリス−(2−メチルシクロヘキシル)ホスフィン及びトリス−(o−トリル)ホスフィンが例示的に挙げられる。特に有利な中性リガンドとして、NHC−リガンド、例えば式L1、L2、L3及びL4により記載された化合物:
【化7】

[式中、
5及びR6は、相互に無関係に、H、C1〜C6−アルキル又はアリールを表し、
7及びR8は、相互に無関係に、H、C1〜C6−アルキル、C1〜C6−アルケニル又はアリールを表すか、又は一緒になって、3員又は4員のアルキレン架橋を形成し、かつ
Y及びY′は、ハロゲンを表す]が挙げられる。
【0023】
「C1〜C12−アルキル」(これは他の基の構成部分であることもある)の概念とは、1〜12個の炭素原子を有する分枝及び非分枝のアルキル基であると解釈され、それに応じて、「C1〜C6−アルキル」の概念とは、1〜6個の炭素原子を有する分枝及び非分枝のアルキル基であると解釈され、かつ「C1〜C4−アルキル」の概念とは、1〜4個の炭素原子を有する分枝及び非分枝のアルキル基であると解釈される。1〜6個の炭素原子、特に1〜4個の炭素原子を有するアルキル基が有利である。これについて例示的に次のものが挙げられる:メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、neo−ペンチル又はヘキシル。場合により、前記基について省略形Me、Et、n−Pr、i−Pr、n−Bu、i−Bu、t−Bu等が使用される。他に記載がない限り、プロピル、ブチル、ペンチル及びヘキシルの定義は、それぞれの基の考えられる全ての異性体の形を含む。例えば、プロピルはn−プロピルとイソプロピルとを含み、ブチルはイソブチルと、sec−ブチルと、tert−ブチルとを含む。
【0024】
「C2〜C12−アルケニル」(これは他の基の構成部分であることもある)の概念とは、少なくとも1つの二重結合を有する、2〜12個の炭素原子を有する分枝又は非分枝のアルケニル基であると解釈される。それに応じて、「C2〜C6−アルケニル」の概念とは、2〜6個の炭素原子を有するアルケニル基であると解釈され、かつ「C2〜C4−アルケニル」の概念とは、2〜4個の炭素原子を有する分枝又は非分枝のアルケニル基であると解釈される。2〜6個の炭素原子、特に2〜4個の炭素原子を有するアルケニル基が有利である。これについて例示的に次のものが挙げられる:エテニル又はビニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル又はヘキセニル。他に記載がない限り、プロペニル、ブテニル、ペンテニル及びヘキセニルの定義は、それぞれの基の考えられる全ての異性体の形を含む。例えば、プロペニルは1−プロペニルと2−プロペニルとを含み、ブテニルは1−、2−及び3−ブテニル、1−メチル−1−プロペニル、1−メチル−2−プロペニルを含む。
【0025】
「C2〜C12−アルキニル」(これは他の基の構成部分であることもある)の概念とは、少なくとも1つの三重結合を有する、2〜12個の炭素原子を有する分枝又は非分枝のアルキニル基であると解釈される。それに応じて、「C2〜C6−アルキニル」の概念とは、2〜6個の炭素原子を有するアルキニル基であると解釈され、かつ「C2〜C4−アルキニル」の概念とは、2〜4個の炭素原子を有する分枝又は非分枝のアルキニル基であると解釈される。2〜6個の炭素原子、特に2〜4個の炭素原子を有するアルキニル基が有利である。これについて例示的に次のものが挙げられる:エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル又はヘキシニル。他に記載がない限り、プロピニル、ブチニル、ペンチニル又はヘキシニルの定義は、それぞれの基の考えられる全ての異性体の形を含む。例えば、プロピニルは1−プロピニルと2−プロピニルとを含み、ブチニルは1−、2−及び3−ブチニル、1−メチル−1−プロピニル、1−メチル−2−プロピニルを含む。
【0026】
「C1〜C12−アルコキシ」(これは他の基の構成部分であることもある)の概念とは、1〜12個の炭素原子を有する分枝及び非分枝のアルコキシ基であると解釈され、それに応じて、「C1〜C6−アルコキシ」の概念とは、1〜6個の炭素原子を有する分枝及び非分枝のアルコキシ基であると解釈され、かつ「C1〜C4−アルコキシ」の概念とは、1〜4個の炭素原子を有する分枝及び非分枝のアルコキシ基であると解釈される。1〜6個の炭素原子、特に1〜4個の炭素原子を有するアルコキシ基が有利である。これについて例示的に次のものが挙げられる:メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ又はペントキシ。場合により、前記の基について省略形MeO、EtO、PrO等が使用される。他に記載がない限り、プロポキシ、ブトキシ及びペントキシの定義は、それぞれの基の考えられる全ての異性体の形を含む。例えば、プロポキシはn−プロポキシとイソプロポキシとを含み、ブトキシはイソブトキシと、sec−ブトキシと、tert−ブトキシとを含む。
【0027】
「C5〜C6−シクロアルキル」(これは他の基の構成部分であることもある)の概念とは、5〜6個の炭素原子を有する環状アルキル基であると解釈される。これについて例示的に次のものが挙げられる:シクロペンチル又はシクロヘキシル。他に記載がない限り、前記環状アルキル基は、メチル、エチル、イソプロピル、tert−ブチル、ヒドロキシ、フルオロ、クロロ、ブロモ及びヨードからなるグループから選択される1つ以上の基で置換されていてもよい。
【0028】
「アリール」(これは他の基の構成部分であることもある)の概念とは、6又は10個の炭素原子を有する芳香族環系であると解釈される。これについて例示的に次のものが挙げられる:フェニル又はナフチル、有利にアリール基はフェニルである。他に記載がない限り、前記芳香族基は、メチル、エチル、イソプロピル、tert−ブチル、ヒドロキシ、フルオロ、ブロモ及びヨードからなるグループから選択される1つ以上の基で置換されていてもよい。
【0029】
「C7〜C18−アラルキル」(これは他の基の構成部分であることもある)の概念とは、6又は10個の炭素原子を有する芳香族環系で置換されている1〜8個の炭素原子を有する分枝又は非分枝のアルキル基であると解釈され、相応して、「C7〜C11−アラルキル」の概念は、6個の炭素原子を有する芳香族環形で置換されている1〜4個の炭素原子を有する分枝又は非分枝のアルキル基であると解釈される。これについて例示的に次のものが挙げられる:ベンジル、1−又は2−フェニルエチル。他に記載がない限り、前記芳香族基は、メチル、エチル、イソプロピル、tert−ブチル、ヒドロキシ、フルオロ、ブロモ及びヨードからなるグループから選択される1つ以上の基で置換されていてもよい。
【0030】
化合物の製造
式3のルテニウム錯体と式2のプレリガンドとの反応は、不活性溶剤、例えばCH2Cl2中で、約0℃〜80℃で実施される。CuClを反応混合物に添加するのが有利である。この反応体は、特に等モル量で使用されるが、収率を高めるためにはこのそれぞれの高価な成分を過剰量で使用することもできる。式3の錯体を、他のルテニウム化合物とリガンド前駆体、例えばジヒドロイミダゾリニウム塩とからin situで生成させ、それから生じた式3の錯体を経由して、それぞれ所望のリガンド組み合わせを有する式1の新規メタセシス触媒にすることも有利である。
【0031】
リガンド交換反応により製造された式1のメタセシス触媒は、反応混合物中で不溶性である他の反応生成物から、その溶液の濾過により分離され、前記溶液の濃縮後にクロマトグラフィー又は晶析により純粋な形で得ることができる。しかしながら、この粗製生成物又はこのin situで製造された触媒を、メタセシス反応の実施のために直接使用することも可能である。
【0032】
式2のプレリガンドは、公知の方法でo−アルケニルフェノールから、α−ハロゲンケトンを用いるアルキル化により製造することができる。
【0033】
場合により相応して置換されたフェニルアリルエーテルから出発し、これをクライゼン(Claisen)転位及び触媒による二重結合異性化により場合により相応して置換された2−アルケニルフェノールにし、これを次いでα−ハロゲンケトンを用いるアルキル化により式2の化合物に反応させる新規の組合せ法が特に有利である。
【0034】
フェノールをアルキル化してアルキルフェニルエーテルにすることは当業者に周知であり、このアルキル化は通常では溶剤中で塩基性物質の存在で求核試薬との反応により実施される。α−ハロゲンケトンとの反応は、特に円滑でかつ良好な収率で行われる。溶剤として、例えばアルコール、例えばエタノール又は非プロトン性極性溶剤、例えばジメチルホルムアミドが挙げられる。このアルキル化は、相間移動条件下でも実施することができる。塩基性物質として、アルキル金属炭酸塩が挙げられ、同様に芳香族結合した遊離OH基を有する中間生成物のアルカリ金属塩も前記反応のために使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】公知のメタセシス触媒並びに本発明による触媒1a及び1bの添加率を比較するグラフ。
【0036】
次の実施例は本発明を詳説する。
【0037】
実施例1
式1aのメタセシス触媒の製造
1.1 式2aの新規プレリガンドの製造
2−プロペニルフェノール(E/Z−混合物)7.112g(50.0mmol)、炭酸カリウム7.041g(50.0mmol)及びアセトン20mlの混合物を、還流冷却下で沸騰温度で20分間撹拌した。その後で、予め室温でお一晩中撹拌することにより活性化された、クロロアセトン6.94g(75.0mmol)、ヨウ化カリウム0.171g(1.0mmol)及びアセトン6.5mlの混合物を、前記反応混合物に添加し、この反応混合物を還流下で沸騰温度で一晩中撹拌した。この反応混合物を室温に冷却し、水50mlに添加し、ジエチルエーテル40mlでそれぞれ3回抽出した。この有機相を5%の苛性ソーダで洗浄し、分離し、Na2SO4で乾燥し、蒸発させた。この粗製生成物の減圧下での蒸留により、式2aの2−プロペニルフェニルオキシメチル−メチルケトン6.788g(収率:理論値の67%)が得られた。
【0038】
【化8】

【0039】
1.2 式1aのメタセシス触媒の製造
シュレンク管中に、化合物2a 62mg(0.32mmol)、CuCl 34mg(0.34mmol)及びジクロロメタン12mlを装入した。その後で、第2世代グラブス触媒230mg(0.27mmol)を添加した。この反応混合物を、アルゴン下で20分間還流温度で撹拌した。濾過し溶剤を留去した後に得られた粗製生成物をクロマトグラフィーにより精製した。(シリカゲルMerck Typ 9385、溶離剤AcOEt/シクロヘキサン1:1)。式1aの純粋な触媒142mg(理論値の82%)が得られた。
【0040】
【化9】

【0041】
実施例2
式1bのメタセシス触媒の製造
実施例1に記載された方法様式と同様に、2−プロペニル−フェノール(E/Z−混合物)とクロロメチル−エチルケトンとの反応によりプレリガンドの2−プロペニルフェニルオキシメチル−エチル−ケトンが得られた。このプレリガンドと第2世代グラブス触媒との反応により、理論値(純粋生成物)の63%の収率で、式1bの触媒が生じた。
【0042】
【化10】

【0043】
比較実施例
A) 4−メトキシスチレンと(E)−1,2−ジクロロエテンとの交差メタセシス:
それぞれ4−メトキシスチレン(0.5mmol)と(E)−1,2−ジクロロエテン(1.0mmol)とのジクロロメタン25ml中の溶液に、式1aの触媒及び(公知の比較のための触媒として)式Dの触媒(この出願の第2頁参照)それぞれ0.005mmol並びに、第2世代グラブス触媒を同様に固体としてそれぞれ0.005mmolの量で添加した。この反応混合物をそれぞれ40℃で24時間加熱した。
【0044】
GC(内部標準ノナン)により、公差メタセシス生成物(4−メトキシ−ω−クロロスチレン)の次の収率が測定された:第2世代グラブス触媒の使用下での収率は:理論値の25%。式Dの触媒の使用下での収率は:理論値の35%。本発明による触媒1aの使用下での収率は:理論値の57%。
【0045】
B) ビス−アリル−マロン酸ジエチルエステルの閉環メタセシス(RCM)の比較
ジクロロメタン20ml中のビス−アリル−マロン酸ジエチルエステル(基質)それぞれ0.4mmolの溶液に、それぞれ公知のメタセシス触媒(第2世代グラブス触媒及び第2世代ホベイダ−グラブス触媒)並びに本発明による触媒1a及び1b(それぞれジクロロメタン1ml中に溶かした)0.004mmolの溶液を添加した。前記RCM(0℃で)のガスクロマトグラフィーによる調査は、本発明による触媒1a及び1bの明らかに高い活性を示す(図1参照)。
【0046】
この本発明による触媒は、公知の種類の触媒と比べて上回る活性を特徴とするだけではない。前記触媒は、さらに、空気安定性でかつ貯蔵安定性であり、工業的利用性に対してさらに有利である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式1
【化1】

[式中、
X及びX′は、アニオン性リガンドを表し;
Lは、中性リガンドを表し;
a、b、c、dは、相互に無関係に、H、−NO2、C1〜C12−アルキル、C1〜C12−アルコキシ又はフェニルを表し、その際、フェニルは場合により、C1〜C6−アルキル及びC1〜C6−アルコキシのグループから選択される基で置換されていてもよく;
1は、C1〜C12−アルキル、C5〜C6−シクロアルキル、C7〜C18−アラルキル、アリールを表し;
2は、H、C1〜C12−アルキル、C5〜C6−シクロアルキル、C7〜C18−アラルキル、アリールを表し;
3は、H、C1〜C12−アルキル、C2〜C12−アルケニル、C2〜C12−アルキニル、アリールを表す]の化合物。
【請求項2】
a、b、cはHを表し;及び
dは、C1〜C6−アルキル及びC1〜C6−アルコキシのグループから選択される基で置換されたフェニルを表す、請求項1記載の一般式1の化合物。
【請求項3】
a、b、c及びdはHを表す、請求項1又は2記載の一般式1の化合物。
【請求項4】
Lは、式P(R43のリガンドを表し、その際、R4は、C1〜C6−アルキル、シクロアルキル又はアリールを表す、請求項1から3までのいずれか1項記載の一般式1の化合物。
【請求項5】
Lは、式L1、L2、L3又はL4のリガンド
【化2】

[式中、
5及びR6は、相互に無関係に、H、C1〜C6−アルキル又はアリールを表し;
7及びR8は、相互に無関係に、H、C1〜C6−アルキル、C2〜C6−アルケニル又はアリールを表すか;
又は
7及びR8は一緒になって、3員又は4員のアルキレン架橋を形成し;かつ
Y及びY′は、ハロゲンを表す]を表す、請求項1から3までのいずれか1項記載の一般式1の化合物。
【請求項6】
X及びX′はClを表し;
LはL1を表し;
a、b、c、dはHを表し;
1はメチルを表し;
2はHを表し;
3はHを表し;
5及びR6はメシチルを表し;
7及びR8はHを表す、請求項5記載の一般式1の化合物。
【請求項7】
X、X′、L並びにR1、R2及びR3は、請求項1に記載された意味を表し、その際、
a、b、c、dは、相互に無関係に、H、−NO2、C1〜C12−アルキル、C1〜C12−アルコキシ又はフェニル、その際、フェニルは場合により、C1〜C6−アルキル及びC1〜C6−アルコキシのグループから選択される基で置換されていてもよく;ハロゲン;シアノ;アリール又はヘテロアリール;
1箇所又は数箇所ハロゲン化されたアリール基又はヘテロアリール基;
1箇所又は数箇所ハロゲン化されたC1〜C6−アルキル基;
1箇所又は数箇所ハロゲン化されたC1〜C6−アルキル置換されたアリール基;
1〜C6−アルキルカルボニル基;
1箇所又は数箇所ハロゲン化されたC1〜C6−アルキルカルボニル基;
1〜C6−アルコキシカルボニル基;
1箇所又は数箇所ハロゲン化されたC1〜C6−アルコキシカルボニル基;
アリールカルボニル基;
1箇所又は数箇所ハロゲン化されたアリールカルボニル基;
アリールオキシカルボニル基;
1箇所又は数箇所ハロゲン化されたアリールオキシカルボニル基;
−(C=O)−N(Ra2−基(その際、Raは、C1〜C6−アルキル基又はアリール基、特にハロゲン化されたC1〜C6−アルキル基又はアリール基である);
−NH−(C=O)−Ra−基(その際、Raは、C1〜C6−アルキル基又はアリール基、特にハロゲン化されたC1〜C6−アルキル基又はアリール基であり);
1〜C6−アルキルスルホニル基;
1〜C6−アルキルスルフィニル基;
−P(O)(Ra2−基(その際、Raは、C1〜C6−アルキル基又はアリール基、特にハロゲン化されたC1〜C6−アルキル基又はアリール基である);
−SO2−NH−SO2−Ra−基(その際、Raは、C1〜C6−アルキル基又はアリール基、特にハロゲン化されたC1〜C6−アルキル基又はアリール基であり);
−N[(SO2)Ra2−基(その際、Raは、C1〜C6−アルキル基又はアリール基、特にハロゲン化されたC1〜C6−アルキル基又はアリール基である)を表すことができる、一般式1の化合物。
【請求項8】
【化3】

[式中、R3、a、b、c及びdは、請求項1に記載された意味を表し;及び
1は、C1〜C12−アルキル、C5〜C6−シクロアルキル、C7〜C18−アラルキル、アリールを表し、
2は、H、C1〜C12−アルキル、C5〜C6−シクロアルキル、C7〜C18−アラルキル、アリールを表し、
11及びR12は、相互に無関係に、H、C1〜C6−アルキル(場合により1個以上のハロゲンにより置換された)、又はアリール(場合により1個以上のハロゲン又はC1〜C6−アルキルにより置換された)を表す]の式2の化合物。
【請求項9】
3は、請求項1に記載された意味を有し、かつR1、R2、R11及びR12は、請求項8に記載された意味を有し、かつその際、
a、b、c、dは、相互に無関係に、H、−NO2、C1〜C12−アルキル、C1〜C12−アルコキシ又はフェニル、その際、フェニルは場合により、C1〜C6−アルキル及びC1〜C6−アルコキシのグループから選択される基で置換されていてもよく;ハロゲン;シアノ;アリール又はヘテロアリール;
1箇所又は数箇所ハロゲン化されたアリール基又はヘテロアリール基;
1箇所又は数箇所ハロゲン化されたC1〜C6−アルキル基;
1箇所又は数箇所ハロゲン化されたC1〜C6−アルキル置換されたアリール基;
1〜C6−アルキルカルボニル基;
1箇所又は数箇所ハロゲン化されたC1〜C6−アルキルカルボニル基;
1〜C6−アルコキシカルボニル基;
1箇所又は数箇所ハロゲン化されたC1〜C6−アルコキシカルボニル基;
アリールカルボニル基;
1箇所又は数箇所ハロゲン化されたアリールカルボニル基;
アリールオキシカルボニル基;
1箇所又は数箇所ハロゲン化されたアリールオキシカルボニル基;
−(C=O)−N(Ra2−基(その際、Raは、C1〜C6−アルキル基又はアリール基、特にハロゲン化されたC1〜C6−アルキル基又はアリール基である);
−NH−(C=O)−Ra−基(その際、Raは、C1〜C6−アルキル基又はアリール基、特にハロゲン化されたC1〜C6−アルキル基又はアリール基であり);
1〜C6−アルキルスルホニル基;
1〜C6−アルキルスルフィニル基;
−P(O)(Ra2−基(その際、Raは、C1〜C6−アルキル基又はアリール基、特にハロゲン化されたC1〜C6−アルキル基又はアリール基である);
−SO2−NH−SO2−Ra−基(その際、Raは、C1〜C6−アルキル基又はアリール基、特にハロゲン化されたC1〜C6−アルキル基又はアリール基であり);
−N[(SO2)Ra2−基(その際、Raは、C1〜C6−アルキル基又はアリール基、特にハロゲン化されたC1〜C6−アルキル基又はアリール基である)を表すことができる、式2の化合物
【請求項10】
式2の化合物を式3のルテニウム錯体と反応と反応させる、
【化4】

[式中
X及びX′は、アニオン性リガンドを表し;
Lは、中性のリガンド;有利にL1、L2、L3又はL4を表し;
1は、C1〜C12−アルキル、C5〜C6−シクロアルキル、C7〜C18−アラルキル、アリール;有利にC1〜C6−アルキル、C5〜C6−シクロアルキル、C7〜C11−アラルキル、アリールを表し;
2は、H、C1〜C12−アルキル、C5〜C6−シクロアルキル、C7〜C18−アラルキル、アリール;有利にC1〜C6−アルキル、C5〜C6−シクロアルキル、C7〜C11−アラルキル、アリールを表し;
3は、H、C1〜C12−アルキル、C2〜C12−アルケニル、C2〜C12−アルキニル、アリールである;
11及びR12は、相互に無関係に、H、C1〜C6−アルキル(場合により1箇所又は数箇所ハロゲンで置換された)、又はアリール(場合により1箇所又は数箇所ハロゲン又はC1〜C6−アルキルで置換された);有利にH、C1〜C6−アルキル又はアリールを表し;
9及びR10は、相互に無関係に、H、C1〜C6−アルキル(場合により1箇所又は数箇所ハロゲンで置換された)、又はアリール(場合により1箇所又は数箇所ハロゲン又はC1〜C6−アルキルで置換された);有利にH、C1〜C6−アルキル又はアリールを表し;
前記置換基a、b、c、dは、請求項1に記載された意味を有する]一般式1の化合物の製造方法。
【請求項11】
前記置換基a、b、c、dは、請求項9に記載された意味を有する、請求項10記載の方法。
【請求項12】
基R9及びR10は環系、例えばインデニリデン系を形成する、請求項10又は11記載の方法。
【請求項13】
それぞれ1つのオレフィン性二重結合を有するか又は化合物の一方が少なくとも2つのオレフィン性二重結合を有する2種の化合物を反応させ、かつ、触媒として請求項1から7までのいずれか1項記載の化合物の1つを使用する、メタセシス反応を実施する方法。
【請求項14】
2つのオレフィン性二重結合を有する化合物を基質として、かつ請求項1から7までのいずれか1項記載の化合物の1つを触媒として関与させる、閉環メタセシス(RCM)又は交差メタセシス(CM)を実施する方法。
【請求項15】
メタセシスのための触媒としての、請求項1から7までのいずれか1項記載の化合物の使用。

【図1】
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【公表番号】特表2010−503713(P2010−503713A)
【公表日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−528627(P2009−528627)
【出願日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際出願番号】PCT/EP2007/007972
【国際公開番号】WO2008/034552
【国際公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(501399500)ユミコア・アクチエンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト (139)
【氏名又は名称原語表記】Umicore AG & Co.KG
【住所又は居所原語表記】Rodenbacher Chaussee 4,D−63457 Hanau,Germany
【Fターム(参考)】