説明

新規分子

本発明は少なくともアミノ酸配列X123456WX8910を含む分子又はそのアナログに関し、ここでX4,6,9はいずれかのアミノ酸残基であり、X1はI、L又はVであり、X2はCではなく、X3はA、E、Q、R又はYであり、X5はRではなく、X8はI又はLであり、X10はHではなく、及びここで前記分子は約10〜約100アミノ酸残基の長さを有する。本発明はまた前記分子を含む組成物及び細菌、ウイルス、酵母を含む真菌、及び寄生虫の如き微生物と闘うための本発明に係る分子及び/又は組成物の使用にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は少なくともアミノ酸配列X123456WX8910を含む分子又はそのアナログに関し、ここでX4,6,9はいずれかのアミノ酸残基であり、X1はI、L又はVであり、X2はCではなく、X3はA、E、Q、R又はYであり、X5はRではなく、X8はI又はLであり、X10はHではなく、及びここで前記分子は約10〜約100アミノ酸残基の長さを有する。本発明はまた前記分子を含む組成物及び細菌、ウイルス、酵母を含む真菌、及び寄生虫の如き微生物と闘うための本発明に係る分子及び/又は組成物の使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
いくつかの感染はヒトの如き哺乳類の免疫系によりうまく闘われる。しかしながら、いくつかの場合、細菌、真菌又はウイルスは必ずしも除去されるとは限らず、そのことは局在的又は一般的急性感染を引き起こしうる。これは周産期の、火傷の又は集中治療部で、及び免疫無防備状態の個体において重要な関心事である。他の場合、上皮表面での連続した細菌残存は慢性疾患を引き起こし又はさらに悪化させうる。ヒトにおいて、これは慢性皮膚潰瘍、アトピー性皮膚炎及び他の型の湿疹、ざ瘡又は尿生殖器感染により例示される。例えば、グラム陽性細菌Staphylococcus aureusでのコロニー形成又は感染はアトピー性皮膚炎において誘発させる又は悪化させる因子であるというかなりの証拠がいまや存在する。全てのアトピー性皮膚炎患者の約90%がS. aureusによりコロニー形成され又は感染され、一方で健康な個人の5%のみがその細菌を有する。上記細菌により生成される超抗原はケラチン生成細胞及びT−リンパ球を刺激し、及び炎症プロセスを誘発する。炎症は損なわれた皮膚バリア機能を引き起こす。
【0003】
症状的感染はさまざまな医薬によって処置されうる。いくつかの疾患はまた例えば、ワクチンによって闘われうる。しかしながら、ワクチンは必ずしも最も良い処置選択ではなく、及びいくつかの微生物についてはワクチンが入手可能でない。保護が使用可能でないとき、疾患の処置が遂行される。しばしば、上記処置は微生物を殺す抗生剤の使用により行われる。しかしながら、近年、いくつかの微生物は抗生剤に対して抵抗性になっている。おそらく、抵抗性問題は近い将来において増大するであろう。さらに、何人かの個人は抗生剤に対するアレルギーを発展しており、それによりいくつかの抗生剤を効果的に使用する可能性を減少させる。
【0004】
さまざまな生物の上皮表面は絶えず細菌に暴露される。最近、抗菌ペプチドに基づいた生来の免疫系は感染しやすい生物学的限界での細菌の初期除去において重要な役割を果たすとされている(Lehrer, R. I., and Ganz, T.(1999) Curr Opin Immunol 11:23−27, Boman, H. G.(2000) Immunol. Rev. 173, 5−16)。分子は細菌の膜に浸透することにより細菌を殺し、及びしたがって、特定の分子微生物標的がないことは抵抗性発展を最小限にする。
【0005】
本明細書中に記述されるペプチドに関連しないいくつかのペプチド及びタンパク質は本分野において知られる。
米国特許第6,503,881号は分子として使用されるインドリシヂンアナログである陽イオン性ペプチドを開示する。動物及び植物を含む異なる種に由来する陽イオン性ペプチド。
米国特許第5,912,230号は抗真菌の及び抗菌のヒスタチンに基づくペプチドを開示する。天然ヒトヒスタチンのアミノ酸配列の定義される部分に基づくペプチド及び真菌及び細菌感染の治療方法。
米国特許第5,717,064号はメチル化リジンリッチ分解ペプチドを開示する。トリプシン消化抵抗性及び非天然である分解ペプチド。上記分解ペプチドはin vivo投与に好適である。
【0006】
米国特許第5,646,014号はペプチドを開示する。上記ペプチドは蚕血リンパからの抗菌フラクションから単離された。上記ペプチドはEscherichia coliStaphylococcus aureus及びBacillus cereusの如きいくつかの細菌株に対する優れた抗菌活性を示す。
WO2004016653はアズロシヂンの20〜44配列に基づくペプチドを開示する。このペプチドはヂスルフィド架橋によりつなげられるループ構造を含む。
【0007】
米国特許第6495516号及び関連特許は殺菌55kDaタンパク質殺菌/浸透性増大タンパク質(BPI)に基づいたペプチドを開示する。上記ペプチドは抗菌効果を発揮した、及びLPS−中和能を有した。
WO 01/81578は、多くの疾患に使用されうるG−連結型タンパク質受容体関連ポリペプチドをコードする多くの配列を開示する。
現在、セクロピン、デフェンシン、マガイニン及びカテリシヂンを含む、700を超える異なるペプチド配列が知られる(www.bbcm.univ.trieste.it/〜tossi/search.htm)。
【0008】
今日比較的多数の入手可能なペプチドがあるが、微生物、抗生剤及び/又は他の抗菌剤に対して抵抗性又は耐性である微生物と闘うために使用されうる新規改善ペプチドの増大される要求がまだある。より重要には、ヒトの如き哺乳類に導入されるとき非アレルギー性である新規分子について要求がある。細菌は顕著な抵抗性の誘発なしに進化の間に内因的に生成された分子と対抗してきた。
【発明の開示】
【0009】
発明の要約
第一の態様にしたがって、本発明は少なくともアミノ酸配列X123456WX8910を含む分子又はそのアナログに関し、ここでX4,6,9はいずれかのアミノ酸残基であり、X1はI、L又はVであり、X2はCではなく、X3はA、E、Q、R又はYであり、X5はRではなく、X8はI又はLであり、X10はHではなく、及びここで前記分子は約10〜約100アミノ酸残基の長さを有する。
【0010】
第二の態様にしたがって、本発明は上記に定義される少なくとも1の分子を含む組成物に関する。
第三の態様にしたがって、本発明は前記分子及び/又は前記組成物を含む製品に関する。
第四の態様にしたがって、本発明は医薬における使用のための前記分子の使用に関する。
第五の態様にしたがって、本発明は微生物感染を治療する又は予防するための微生物の減少及び/又は消去のための抗菌組成物の製造のための前記分子又は前記組成物の使用に関する。
最後に、本発明は、本発明に係る分子(単数)又は分子(複数)を含む治療的に有効な量の医薬組成物を哺乳類に投与することを含む、上記に定義される分子(単数又は複数)又は上記に定義される組成物又は製品の使用により微生物感染を含む疾患及び/又は障害を治療する及び/又は予防するために微生物を減少させる及び/又は消去する方法に関する。
【0011】
上記分子を提供することにより、分子に対するアレルギー反応についての危険性は、上記分子が内因性タンパク質及び/又はペプチドのポリペプチド配列に由来するという事実のために減少されうる。短いペプチドを使用することにより、より長いペプチド及びタンパク質に比較して、上記ペプチドの安定性は増大され及び生産コストは減少され、それにより本発明は経済的に有利でありうる。さらに、短いペプチドは、より長いポリペプチドとは対照的に、固体相合成の如き本分野において知られる合成方法を用いて容易に調製されうる。容易に変性されるより長いポリペプチドとは対照的に、短いペプチドはより安定である。この事実のために、医薬組成物を製造するための上記短いペプチドの使用は保存される活性の点で前記医薬組成物において使用される他の成分の制限を軽減する。
【0012】
本発明に係るペプチドは微生物の有効な予防、減少又は消去を促進する組成物を提供する。それにより、現在の抗生剤に対して抵抗性又は耐性である微生物と闘う可能性は増大されうる。さらに、商業的に入手可能な抗菌剤に対してアレルギーである哺乳類は処置されうる、及び上記分子は処置される哺乳類にとって毒性でない。内因性の改善されたタンパク質に由来する医薬組成物を提供することにより、哺乳類がこれらの特定のペプチドに対してアレルギーを発展するであろう可能性は減少されうる又は消去されうることさえある。このため、上記医薬組成物は、上記医薬組成物が医薬として又は感染を予防するための添加剤として哺乳類と接触するいくつかの適用のために有用である。
【0013】
さらに、短いペプチドの使用はバイオアベイラビリティを改善しうる。さらに、グラム陰性及びグラム陽性細菌又は真菌に対して特異的な又は好ましい活性を有する構造的に明らかなペプチドの使用はさまざまな微生物の特異的標的化を可能にし、したがって抵抗性及び生態学的問題の発展を最小限にする。既に哺乳類内に存在するペプチドに類似の補充ペプチドを使用することにより、新規抗生物質による追加の生態学的圧力の危険性はさらに減少される。最後に、これらの調合物はまた内因性分子の効果をも高めうる。したがって、本発明は改善された特性を有する及び1のサブセットが適用内で挙げられるいくつかの定義される問題を解決する新規分子に関する。
【0014】
さらに、本発明に係る分子は哺乳類内の生理学的環境中で安定である、すなわち、活性であり及び分解しない又はいずれかのプロテアーゼによって分解されないであろう。微生物により引き起こされる感染中、異なるプロテアーゼの如き哺乳類及び微生物におけるいくつかの系は活性化される。1の例は好中球エラスターゼである。さらに、本発明に係る分子は、上記分子がヒトの環境をまねる生理学的塩中に溶解されるとき、P. aeruginosaの如きグラム陰性細菌の如き異なる微生物に対して活性であるはずである。
【0015】
したがって、真核細胞溶解は微生物の溶解に必要とされる濃度と比較してより高い濃度の最もよく知られる(抗菌)ペプチドで起こるので、(抗菌)ペプチドの選択的な細胞溶解活性は興味のある1の特徴である。それゆえいくつかの状況において、いくつかの臨床的適用を考えるとき、上記ペプチドが例えば、溶血可能性により計測されるように低い値の哺乳類細胞膜活性を有することは興味深い。適用の例は、非限定的に、結膜炎、角膜炎、中耳炎等である。一方でいくつかの他の適用について、上記ペプチドが(より高い程度の溶血を有することを意味する)あるレベルの哺乳類膜標的化活性を開始し、例えば、傷治癒活性、免疫学的防御機構、血管新生の開始(新脈管形成)、血管新生の予防(抗新脈管形成)等を誘発することは興味深くもある。例えば、溶血により計測されるように、高い程度の膜活性はしたがって上記ペプチドが選択された適用において治療的な可能性を有することを可能にしうる、すなわち、高い活性及び低い活性の両方を有するペプチドは上記ペプチドが使用されるべき目的に因り興味深い。溶血はヒト血漿又は傷体液の如き生理学的環境においてブロックされ又は停止されうる。したがって、in vitroで上記ペプチドの毒性を変化させることにより、一連のテンプレートがin vivoの推定上の治療適用のために作出される。
【0016】
本発明に係る分子は非限定的に、ヒトの如き哺乳類を襲う又は哺乳類に感染するものを含む、全ての種類の適用において微生物を予防する、減少させる又は消去するための選択において助けとなる抗菌剤のリストを増加させる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
発明の詳細な説明
定義
本出願及び発明の文脈において、以下の定義が適用する:
用語「ヌクレオチド配列」は2以上のヌクレオチドの配列を意味すると意図される。上記ヌクレオチドはゲノムDNA、cDNA、RNA、半合成又は合成起源又はそれらの混合物のものでありうる。上記用語はDNA又はRNAの一重鎖及び二重鎖形を含む。
【0018】
用語「抗菌組成物」は、抗生物質及び他の剤の如き1以上の追加の抗菌剤を含む組成物はもちろん、哺乳類を攻撃する微生物と闘うために有用な医薬組成物の如き、本発明にしたがう発明されたペプチドを含むどんな組成物をも意味すると意図される。
用語「置換される」はアミノ酸残基が他のアミノ酸残基により置き換えられることを意味すると意図される。例えば、F2Kは配列ID番号:2中の位置番号2のフェニルアラニンアミノ酸残基がリジンにより置換された、すなわち、置き換えられたことを意味する。
【0019】
用語「そのアナログ」は配列ID番号:1のポリペプチドの部分又は全部がアミノイソブチル酸(Aib)、ノルバリンガンマ−アミノブチル酸(Abu)又はオルニチンの如き、非タンパク質アミノ酸残基に基づくことを意味すると意図される。他の非タンパク質アミノ酸残基の例はhttp://www.hort.purdue.edu/rhodcv/hort640c/polyam/po00008.htm.で見られうる。
用語「除去される」は少なくとも1のアミノ酸残基が他のアミノ酸残基により置換されることなく、ポリペプチドから除去された、すなわち、放出されたことを意味すると意図される。
【0020】
用語「配列同一性」は等しい長さの2のアミノ酸配列の間の又は2の核酸配列の間のホモロジーの程度の定量的計測を示す。比較される2の配列が等しい長さでない場合、それらは、ギャップの挿入又はあるいは、ポリペプチド配列又はヌクレオチド配列の末端での切り取りを許容して、最もよい可能なフィットを与えるよう整列されなければならない。上記配列同一性は
【数1】

として計算されることができ、ここでNdifは整列されるときの2の配列中の非同一残基の総数であり、及びここでNrefは上記配列の1中の残基の数である。したがって、DNA配列AGTCAGTCは配列AATCAATCと75%の配列同一性を有するであろう(Ndif=2及びNref=8)。ギャップは特定の残基(単数又は複数)の非同一性としてカウントされる、すなわち、DNA配列AGTGTCはDNA配列AGTCAGTCと75%の配列同一性を有するであろう(Ndif=2及びNref=8)。アミノ酸配列に関する本発明の全ての態様について、1以上の配列の間の配列同一性の割合はまたデフォルト設定でclustalWソフトウェアを用いた整列に基づきうる(http://www.ebi.ac.uk/clustalW/index.html)。
【0021】
用語「分子」は微生物を予防する、阻害する、減少させる又は破壊するペプチドを意味すると意図される。上記抗菌活性は実施例3中の方法の如き、どんな方法によっても決定されうる。上記用語分子はまた置換、エステル化の如き化学改変の如き改変を伴う又は伴わないペプチドを意味すると意図される。
【0022】
用語「両親媒性」は、α−ヘリックス構造、β−鎖、直線、環状又は他の二次コンフォメーションの反対面に沿った及びペプチド一次構造の反対の端に沿った親水性及び疎水性アミノ酸残基の分布を意味すると意図され、それは上記分子の1の面又は端が主に荷電し及び親水性であり、及びもう一方の面又は端が主に疎水性であることをもたらす。ペプチドの両親媒性の程度は、例えば、さまざまなウェブに基づいたアルゴリズム、例えば、http://us.expasy.org/cgi−bin/protscale.pl又はhttp://www.mbio.ncsu.edu/BioEdit/bioedit.html上に見られるものによりアミノ酸残基の配列をプロットすることにより評価されうる。疎水性残基の分布はヘリックスホイールダイアグラムにより視覚化されうる。GORIV及びAGADIRの如き二次構造予想アルゴリズムはwww.expasy.com.で見られうる。
【0023】
用語「陽イオン性」は約4〜約10の範囲内の如き、約2〜約12のpH範囲内で正味正の電荷を有する分子を意味すると意図される。
用語「微生物」はどんな生きている微生物をも意味すると意図される。微生物の例は細菌、真菌、ウイルス、寄生虫及び酵母である。
【0024】
用語「抗菌剤」は微生物の命を妨げる、阻害する又は破壊するどんな剤をも意味すると意図される。抗菌剤の例はThe Sanford Guide to Antimicrobial Therapy(32nd edition, Antimicrobial Therapy, Inc, US)中に見られうる。
【0025】
本文脈中で、アミノ酸名称及び原子名称はIUPAC命名法(IUPAC Nomenclature and Symbolism for Amino Acids and Peptides(residue names, atom names etc.), Eur J Biochem.,138,9−37(1984)及びEur J Biochem., 152,1(1985)中のそれらの訂正を伴う)に基づくProtein DataBank(PDB)(www.pdb.org)により定義されるように使用される。用語「アミノ酸」はアラニン(Ala又はA)、システイン(Cys又はC)、アスパラギン酸(Asp又はD)、グルタミン酸(Glu又はE)、フェニルアラニン(Phe又はF)、グリシン(Gly又はG)、ヒスチヂン(His又はH)、イソロイシン(Ile又はI)、リジン(Lys又はK)、ロイシン(Leu又はL)、メチオニン(Met又はM)、アスパラギン(Asn又はN)、プロリン(Pro又はP)、グルタミン(Gln又はQ)、アルギニン(Arg又はR)、セリン(Ser又はS)、スレオニン(Thr又はT)、バリン(Val又はV)、トリプトファン(Trp又はW)及びチロシン(Tyr又はY)又はそれらの誘導体から成る群からのアミノ酸を示すと意図される。
【0026】
説明
分子
本発明は抗菌活性を有する及び1以上の凝固タンパク質に由来するアミノ酸配列を有するペプチドに関する。凝固因子トロンビン(因子II)、因子VII、因子IX、因子X、因子XI、因子XII、タンパク質C及び血漿カリクレインはトリプシン様セリンプロテアーゼのスーパーファミリーに由来するペプチダーゼS1ファミリーに属する。それらはヂスルフィド結合により結合される軽鎖及び重鎖のヘテロダイマーから成る。上記重鎖は、それぞれ6鎖のアンチパラレルβ−バレルとして配置される2のドメインに折りたたまれるペプチダーゼS1ドメインを含む。全てのこれらのタンパク質のカルボキシル末端はα−ヘリックスで終わる(データは示されていない)。上記タンパク質のこのα−ヘリックスカルボキシル末端部分に由来するペプチドは抗菌特性を有することが発見されている。さらに、上記カルボキシル末端α−ヘリックスの約55残基さらにアミノ末端の暴露されたヂスルフィド結合ループに由来するペプチドもまた抗菌特性を示す。上記ペプチダーゼのこれらの領域についてのタンパク質配列は高く保存される(図1及び2)。
【0027】
本発明は、配列ID番号:2中に示されるアミノ酸配列を含む分子又はV1L、V1I、F2K、F2T、I8L、Q9R及びQ9Kから成る群から選ばれる少なくとも1のアミノ酸残基が置換されている点で配列ID番号:2中に示されるアミノ酸配列とは異なる分子の如き、少なくともアミノ酸配列
123456WX8910
を含む新規発明された分子又はそのアナログに関し、ここで
4,6,9はいずれかのアミノ酸残基であり
1はI、L又はVであり
2はCではなく
3はA、E、Q、R又はYであり
5はRではなく
8はI又はLであり
10はHではなく
及びここで前記分子は約10〜約100アミノ酸残基の長さを有する。用語「アナログ」は上記に定義される。そのようなモチーフを含むペプチドは、上記ペプチドが抗菌活性を有するような構造、電荷、両親媒性及び疎水性の微妙な相互作用を与えるアミノ酸組成を有する。特に、上記抗菌強度は固有のヘリックス安定性よりむしろ、膜をまねる環境におけるα−ヘリックスコンフォメーションの誘導可能性に関連する。1の例はV1L、F2K、I8L、Q9R及びQ9Kから成る群から選ばれる少なくとも1のアミノ酸残基が置換されている点で配列ID番号:2中に示されるアミノ酸配列とは異なる分子である。上記分子は、例えば、C−末端から4〜24アミノ酸残基で終わるように、内因性ポリペプチドのC−末端部分に由来するペプチドでありうる。
【0028】
上記新規に発明された分子は細菌、ウイルス、酵母を含む真菌、及び寄生虫の如き微生物と闘うために使用されることができ、及び上記に定義される問題を解決する。上記分子は10〜約35アミノ酸残基の如き、約10〜約50アミノ酸残基の長さを有しうる。例は10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34又は35アミノ酸残基の長さである。α−ヘリックスにおけるターンは3.6アミノ酸残基を必要とし、及びしたがって10以上のアミノ酸残基のペプチドは少なくとも3ターンのα−ヘリックスを形成し、抗菌ペプチドに必要なフレームワークを作出することができるはずである。
【0029】
本発明はまた少なくともアミノ酸配列
123456WX8910111213
を含む分子であって、ここで
4,6,9,11はいずれかのアミノ酸残基であり
1はI、L又はVであり
2はCではなく
3はA、E、Q、R又はYであり
5はRではなく
8はI又はLであり
10はHではなく
12はI、M又はTであり
13はD、K、Q又はRであり
及びここで前記分子は約20〜約100アミノ酸残基の長さを有する分子又は少なくともアミノ酸配列
123456WX891011121314151617
を含む分子であって、ここで
4,6,9,11,14,15はいずれかのアミノ酸残基であり
1はI、L又はVであり
2はCではなく
3はA、E、Q、R又はYであり
5はRではなく
8はI又はLであり
10はHではなく
12はI、M又はTであり
13はD、K、Q又はRであり
16はG又はDであり
17はE、L、G、R又はKであり
及びここで前記分子は約20〜約100アミノ酸残基の長さを有する分子に関する。
【0030】
したがって、本発明は配列ID番号:1中に示されるアミノ酸配列を含む分子又はV1L、F2K、I8L、Q9R、Q9K、I12T、D13K、D13R、E17K及びE17Rから成る群から選ばれる少なくとも1のアミノ酸残基が置換されており、及びここでE17は場合により欠損されている点で配列ID番号:1中に示されるアミノ酸配列とは異なる分子の如き、V1L、V1I、F2K、F2T、I8L、Q9R、Q9K、I12T、D13K、D13R、Q14L、Q14I、E17K及びE17Rから成る群から選ばれる少なくとも1のアミノ酸残基が置換されており、及びここでE17は場合により欠損されている点で配列ID番号:1中に示されるアミノ酸配列とは異なる分子に関する。分子の例は配列ID番号:3〜49中に見られる。第二の局面にしたがう分子は約17〜約35アミノ酸残基の長さの如き、約17〜約50アミノ酸残基の長さを有しうる。例は17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34又は35アミノ酸残基の長さである。
【0031】
さらに、上記ペプチドは2〜21アミノ酸残基の如き、1以上のアミノ酸残基において置換されうる。例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19アミノ酸残基は除去され及び/又は置換されうる。
上記ペプチドは合成又は半合成であることはもちろん、内因性ヒトペプチドに由来しうる。
発明されたペプチドの安定性はもちろん、抗菌活性が残る限り、1以上のアミノ酸残基は除去され及び/又は置換されうる。
【0032】
上記分子は1〜100アミノ酸残基、10〜50アミノ酸残基、5〜50アミノ酸残基又は6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29又は30アミノ酸残基の如き、1以上のアミノ酸残基により延長されうる。上記追加のアミノ酸は非抗菌タンパク質に由来する分子の配列に隣接する配列を二重にしうる。追加される数はペプチドの安定性、毒性、処置される哺乳類又は上記ペプチドが含まれるべき製品及び上記分子が基づくペプチド構造を含む、闘われる微生物に因る。上記ペプチドに追加されるアミノ酸残基の数はまた生産の選択、例えば、発現ベクター及び発現ホスト及び医薬組成物の製造の選択にも因る。延長は、それが上記ペプチドの抗菌効果を破壊しない限り、上記分子のN−若しくはC−末端部分で又は両方の部分でありうる。上記分子はまた上記分子が他のペプチドに融合される融合タンパク質でもありうる。
【0033】
さらに、上記分子は他のペプチド、脂質、タンパク質、オリゴ糖、多糖、他の有機化合物又は無機物質の如き、他の既知の分子又は他の物質に使用可能につなげられうる。例えば、上記分子は、上記分子が微生物の命を阻害する、妨げる又は破壊する前に上記分子が哺乳類内で分解されることから保護する物質にカップリングされうる。
したがって、上記分子はアミド化又はエステル化によりC−末端部分で及びアシル化、アセチル化、PEG付加、アルキル化等によりN−末端部分で改変されうる。
上記分子はヒト細胞、c−DNA、ゲノムクローンからの如き天然の源から得られ、化学合成され又は細胞源からの発現生成物として組換えDNA技術により得られうる。
【0034】
上記分子は自動化手順による合成を含む、標準の化学方法により合成されうる。一般的に、ペプチドアナログはカップリング剤としてのHATU(N−[ヂメチルアミノ−1H−1.2.3.−トリアゾロ[4,5−B]ピリヂン−1−イルメチル]−N−メチルメタンアミニウムヘキサフルオロフォスフェートN−オキシド)又はHOAt−1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾールの如き他のカップリング剤を伴って標準の固体相Fmoc保護法に基づいて合成される。上記ペプチドは、側鎖官能基を脱保護する適切なスカヴェンジャーを含むトリフルオロ酢酸で固体相樹脂から切断される。粗ペプチドは調製済み逆相クロマトグラフィーを用いてさらに精製される。分割クロマトグラフィー、ゲルろ過、ゲル電気泳動又はイオン交換クロマトグラフィーの如き他の精製方法が使用されうる。tBoc保護法の如き本分野において知られる他の合成技術又は異なるカップリング試薬の使用等は同等のペプチドを生成するために使用されうる。
【0035】
ペプチドはあるいは組換え生産により合成されうる(例えば、米国特許第5,593,866号を参照のこと)。E. coliの如き細菌、Saccharomyces cerevisiae又はpichiaの如き酵母、Sf9の如き昆虫、及びCHO又はCOS−7の如き哺乳類細胞を含む、さまざまなホスト系はペプチドアナログの生産のために好適である。上記ホストのそれぞれに使用されるために入手可能な多くの発現ベクターがあり、及び本発明は、上記ベクター及びホストが上記分子を生産することができる限りそれらのいずれかに限定されない。ベクター及びE. coliにおけるクローニング及び発現のための手順は例えば、Sambrook et al. (Molecular Cloning:A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., 1987)及びAusubel et al. (Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publishing Co., 1995)中に見られうる。
【0036】
最後に、上記ペプチドは血漿、血液、さまざまな組織等から精製されうる。上記ペプチドは内因性であり又は精製されたタンパク質の酵素的又は化学的消化後に生成されうる。例えば、タンパク質はトリプシンにより消化され、及び生ずる抗菌ペプチドはさらにより大きなスケールで単離されうる。
上記分子をコードするDNA配列はホストに適切な好適な発現ベクターに導入される。好ましい態様において、上記遺伝子は融合タンパク質を作出するためにベクターにクローニングされる。上記ペプチド配列の単離を促進するために、化学的切断(例えば、CNBr)又は酵素的切断(例えば、V8プロテアーゼ、トリプシン)にかかりやすいアミノ酸が上記ペプチド及び融合パートナーを架橋するために使用される。E. coliにおける発現のために、上記融合パートナーは好ましくは発現を封入体形成に向かわせる通常の細胞内タンパク質である。上記の場合、最終生成物を放出するための切断後、上記ペプチドの巻き戻りのための必要性がない。本発明において、融合パートナー及びペプチド遺伝子を含むDNAカセットは発現ベクターに挿入されうる。好ましくは、上記発現ベクターはホスト内で挿入されたDNA配列の効率的な転写を促進するための誘導可能又は構成的プロモーターを含むプラスミドである。
【0037】
上記発現ベクターはカルシウム仲介技術、エレクトロポーレーション又は当業者に周知の他の方法によるように、慣用の形質転換技術によりホストに導入されうる。上記分子をコードする配列は哺乳類細胞、存在するcDNA又はゲノムクローンの如き天然源に由来し又は合成されうる。使用されうる1の方法は、抗菌DNAテンプレートの5’及び3’末端に由来し、及び典型的に上記ベクターのクローニング部位について選択される制限酵素部位を組み込む増幅プライマーを用いるPCRの助けによる上記分子の増幅である。必要な場合、翻訳開始及び停止コドンは上記プライマー配列中に作出されうる。上記分子をコードする配列は、上記コドンの選択が処置される最終的な哺乳類を考慮して作出される限り、特定のホスト内での発現を促進するためにコドン最適化されうる。したがって、例えば、上記分子が細菌内で発現される場合、上記コドンは細菌について最適化される。
【0038】
上記発現ベクターは導入された分子の発現を促進するためのプロモーター配列を含みうる。必要な場合、1以上のエンハンサー、リボソーム結合部位、転写停止シグナル配列、分泌シグナル配列、複製起源、選択可能マーカー等の如き、調節配列もまた含まれうる。上記調節配列は転写及び続く翻訳を許容するよう互いに使用可能につなげられる。上記分子が細菌内で発現される場合、上記調節配列は細菌内で使用されるよう設計されるものであり、及びそのようなものは当業者に周知である。構成的及び誘発可能プロモーターの如き好適なプロモーターは広く入手可能であり、及びT5、T7、T3、SP6ファージからのプロモーター、及びtrp、lpp、及びlacオペロンを含む。
上記分子を含むベクターが細菌内で発現される場合、起源の例は高いコピー数を生ずるもの又は低いコピーを生ずるもののいずれか、例えば、f1−ori及びcol E1 oriである。
【0039】
好ましくは、上記プラスミドは、形質転換された細胞が同定される及び/又は選択的に生育されることを許容する、ホスト内で機能的である少なくとも1の選択可能マーカーを含む。細菌ホストに好適な選択可能マーカー遺伝子はアンピシリン抵抗性遺伝子、クロラムフェニコール抵抗性遺伝子、テトラサイクリン抵抗性遺伝子、カナマイシン抵抗性遺伝子及び本分野において知られる他のものを含む。
【0040】
細菌内での発現のためのプラスミドの例はpET発現ベクターpET3a、pET11a、pET12a−c、及びpET15b(Novagen, Madison, Wis.から入手可能)を含む。低コピー数ベクター(例えば、pPD100)はE. coliホストに有害なペプチドの効率的な過剰生産のために使用されうる(Dersch et al., FEMS Microbiol. Lett. 123:19,1994)。
【0041】
好適なホストの例は細菌、酵母、昆虫及び哺乳類細胞である。しかしながら、しばしばE. coliの如きいずれかの細菌が使用される。
発現される分子はアフィニティ、サイズ除外又はイオン交換クロマトグラフィー、HPLC等の如き慣用の単離技術により単離される。異なる精製技術はA Biologist’s Guide to Principles and Techniques of Practical Biochemistry(eds. Wilson and Golding, Edward Arnold, London)中に又はCurrent Protocols in Molecular Biology(John Wiley & Sons, Inc)中に見られうる。
【0042】
したがって、上記分子はさまざまなグラム陰性細菌からのリポ多糖に結合し及びそれらを不活性化することができ、したがって、リポ多糖誘発炎症の阻害剤としてはたらく。上記分子はまた真核細胞の成長をも調節しうる。
さらに、本発明は前記分子を含む組成物又は上記に示される分子及び医薬として許容される緩衝液、希釈剤、担体、補助剤又は賦形剤を含む医薬組成物に関する。他の分子の如き追加の化合物は上記組成物中に含まれうる。他の分子の例はWO 2005/061535及びWO 2005/001737中に開示される。他の例はEDTA、EGTA又はグルタチオンの如きキレート化剤を含む。上記医薬組成物は十分に貯蔵安定で及びヒト及び動物への投与のために好適である本分野において知られる様式で調製されうる。上記医薬組成物は例えば、凍結乾燥、スプレイ乾燥又はスプレイ冷却をとおして凍結乾燥されうる。
【0043】
「医薬として許容される」は上記活性成分、すなわち、上記分子(単数又は複数)の生物学的活性の有効性を減少させない非毒性物質を意味する。そのような医薬として許容される緩衝液、担体又は賦形剤は本分野において周知である(Remington’s Pharmaceutical Sciences, 18th edition, A.R. Gennaro, Ed., Mack Publishing Company(1990)及びhandbook of Pharmaceutical Excipients, 3rd edition, A. Kibbe, Ed., Pharmaceutical Press(2000)を参照のこと)。
【0044】
用語「緩衝液」はpHを安定化する目的で酸−塩基混合物を含む水溶液を意味すると意図される。緩衝液の例はTrizma、Bicine、Tricine、MOPS、MOPSO、MOBS、Tris、Hepes、HEPBS、MES、リン酸塩、炭酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、グリコール酸塩、乳酸塩、ホウ酸塩、ACES、ADA、酒石酸塩、AMP、AMPD、AMPSO、BES、CABS、カコヂル酸塩、CHES、DIPSO、EPPS、エタノールアミン、グリシン、HEPPSO、イミダゾール、イミダゾール乳酸、PIPES、SSC、SSPE、POPSO、TAPS、TABS、TAPSO及びTESである。
【0045】
用語「希釈剤」は上記医薬調製物中に上記ペプチドを希釈する目的を有する水性又は非水性溶液を意味すると意図される。希釈剤は1以上の塩水、水、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、エタノール又は(ベニバナ油、トウモロコシ油、ピーナッツ油、綿実油又はセサミ油の如き)油でありうる。
【0046】
用語「補助剤」は上記ペプチドの生物学的効果を増大させるために調合物に添加されるどんな化合物をも意味すると意図される。補助剤は異なる陰イオン、例えば、非限定的に、異なるアシル組成物のフッ化物、塩化物、臭化物、ヨー化物、チオシアネート、亜硫酸塩、水酸化物、リン酸塩、炭酸塩、乳酸塩、グリコール酸塩、クエン酸塩、ホウ酸塩、酒石酸塩、及び酢酸塩を伴う1以上の亜鉛、銅又は銀塩でありうる。
【0047】
上記賦形剤は1以上の炭水化物、重合体、脂質及び鉱物でありうる。炭水化物の例は、例えば、凍結乾燥を促進するために上記組成物に添加されるラクトース、スクロース、マンニトール、及びサイクロデキストリンを含む。重合体の例は、例えば、粘性制御のために、生物接着を達成するために又は化学及びタンパク質分解から脂質を保護するために、上記組成物に添加される、全ての異なる分子量の、デンプン、セルロースエーテル、セルロースカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸塩、カラゲーニン、ヒアルロン酸及びその誘導体、ポリアクリル酸、ポリスルフォネート、ポリエチレングリコール/酸化ポリエチレン、酸化ポリエチレン/酸化ポリプロピレン共重合体、異なる程度の加水分解のポリビニルアルコール/ポリビニル酢酸塩、及びポリビニルピローリドンである。脂質の例は、重合体についてのものと同様の理由のために上記組成物に添加される、異なるアシル鎖長及び飽和の全ての、脂肪酸、リン脂質、モノ−、ヂ−、及びトリグリセリド、セラミド、スフィンゴリピド及び糖脂質、卵レシチン、大豆レシチン、水素化卵及び大豆レシチンである。鉱物の例は液体蓄積の減少又は有利な色素特性の如き利点を得るために上記組成物に添加される、タルク、酸化マグネシウム、酸化亜鉛及び酸化チタンである。
【0048】
発明された調合物はまたキシリトール、ソルビトール、マンニトール、ラクチチオール、イソマルト、マルチトール又はキシロシド、及び/又はモノラウリンの如きモノアシルグリセロールの如き1以上の単糖又は二糖をも含みうる。上記担体の特徴は投与経路に因る。1の投与経路は局所投与である。例えば、局所投与のために、好ましい担体は上記活性ペプチドを含む乳化クリームであるが、重合体ゲル、液体結晶相及びマイクロエマルジョンはもちろん、あるワセリン/鉱物に基づいた及び植物に基づいた軟膏の如き他の通常の担体は使用されうる。
【0049】
上記組成物は上記医薬組成物中に1、2、3又は4の異なる分子の如き、1以上の分子を含みうる。1の例において、本発明はEnterococcus faecalisEschericia coliPseudomonas aeruginosaProteus mirabilisStreptococcus pneumoniaeStreptococcus pyogenesStaphylococcus aureusFinegoldia magnaの如き、グラム陽性及びグラム陰性細菌の両方の細菌、ウイルス、寄生虫、Candida albicans及びCandida parapsilosi並びにMalassezia種の如き真菌及び酵母を阻害する、予防する又は破壊するために使用されうる抗菌組成物に関する。異なる分子の組み合わせを用いることにより、効果は増大されうる及び/又は上記微生物が上記抗菌剤に対して抵抗性及び/又は耐性でありうる可能性。しかしながら、ほとんどの場合、1の分子/ペプチドは調節プロセスのためにより好適である。上記組成物はまた異なる細菌、異なるウイルスの混合物等又はウイルス、細菌、真菌、酵母及び原生動物等の混合物の如き、1以上の異なる微生物の混合物により引き起こされる障害又は疾患を予防する/軽減する又は治療するためにも使用されうる。
【0050】
塩としての上記分子/ペプチドは塩酸、硫酸、硝酸、臭化水素酸、リン酸、過塩素酸、チオシアン酸、ホウ酸等の如き、無機酸を伴う又は蟻酸、酢酸、ハロ酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、クエン酸、酒石酸、琥珀酸、グルコン酸、乳酸、マロン酸、フマル酸、アントラニル酸、安息香酸、桂皮酸、p−トルエンスルフォン酸、ナフタレンスルフォン酸、スルファニル酸等の如き有機酸を伴う酸付加物でありうる。全て対応する陰イオンを伴う、一価のナトリウム、カリウム又は二価の亜鉛、マグネシウム、銅カルシウムの如き無機塩は上記抗菌組成物の生物学的活性を改善するために添加されうる。
【0051】
本発明に係る医薬組成物はまたミセル、不溶性単層及び脂質結晶として凝集された形態で存在する脂質の如き両親媒性の剤を伴う、他の医薬として許容される担体に加えて、上記ペプチドが混合されるリポソームの形態でも存在しうる。リポソーム調合物のために好適な脂質は、非限定的に、モノグリセリド、ヂグリセリド、スルファチド、リソレシチン、フォスフォリピド、サポニン、胆汁酸等を含む。上記リポソーム調合物の調製は例えば、米国特許第4,235,871号中に見られうる。
【0052】
本発明に係る医薬組成物はまた生分解性微小球の形態でも存在しうる。ポリ(乳酸)(PLA)、ポリ(グリコール酸)(PGA)、PLA及びPGAの共重合体(PLGA)又はポリ(カルプロラクトン)(PCL)の如き脂肪族ポリエステル、及びポリ無水物は微小球の生産において生分解性重合体として広く使用されている。上記微小球の調製は米国特許第5,851,451号中に及びEP0213303中に見られうる。
【0053】
本発明に係る医薬組成物はまたデンプン、セルロースエーテル、セルロースカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸塩、カラゲーニン、ヒアルロン酸及びその誘導体、ポリアクリル酸、ポリスルフォン酸塩、ポリエチレングリコール/酸化ポリエチレン、酸化ポリエチレン/酸化ポリプロピレン共重合体、異なる程度の加水分解のポリビニルアルコール/ポリビニル酢酸塩、及びポリビニルピローリドンの如き重合体が上記ペプチドを含む溶液の濃化のために使用される、重合体ゲルの形態でも存在しうる。
上記医薬組成物はテルペンの如き1以上の精油を含みうる。1の例はセスキテルペン及びファルネソールである。
【0054】
あるいは、上記分子は塩水、水、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、エタノール又は(ベニバナ油、トウモロコシ油、ピーナッツ油、綿実油又はゴマ油の如き)油、トラガカントゴム、及び/又はさまざまな緩衝液中に溶解されうる。上記医薬組成物はまた分子の活性の強化のためにイオン及び定義されたpHをも含みうる。
上記医薬組成物は滅菌の如き慣用の医薬操作にかけられうる、及び/又は例えば、本明細書中のどこかに開示されるような、保存剤、安定化剤、浸潤剤、乳化剤、緩衝液、充填剤等の如き慣用の補助剤を含みうる。
【0055】
本発明にしたがう医薬組成物は局所的に又は体系的に投与されうる。投与経路は局所、眼、鼻、肺、頬、非経口(静脈内、皮下、及び筋内等)、耳、口、膣、点滴(例えば、泌尿器腔等)及び直腸を含む。インプラントからの投与もまた可能である。好適な抗菌調製形態は例えば、顆粒、粉末、錠剤、コーティングされた錠剤、(微小)カプセル、坐剤、シロップ、ヴァジトリー、エマルジョン、長い範囲の秩序により特徴付けられるが短い範囲の無秩序によっては特徴付けられない系として定義される、水、油及び界面活性剤、液体結晶相から成る光学的に等方性の熱力学的に安定な系として定義されるマイクロエマルジョン(例は水−又は油連続的な、層状の、六方晶系の及び立方晶系の相を含む)又はそれらの分散された対照物、ゲル、軟膏、分散物、懸濁物、クリーム、スプレイ、うがい薬、エーロゾル、アンプル形態中の小滴又は注入可能溶液及びまたその調製物中で賦形剤、希釈剤、補助剤又は担体は上記に示されるように慣例上使用される、活性化合物の延長された放出を伴う調製物である。上記医薬組成物はまた包帯、硬膏において又は縫合等においても提供されうる。
【0056】
上記医薬組成物は医薬として有効な用量で患者に投与されるであろう。「医薬として有効な用量」によりそれが投与される状態に関連して所望の効果を作出するのに十分な用量が意味される。正確な用量は上記化合物の活性、投与の様式、障害の性質及び重篤さ、患者の年齢及び体重に因り、異なる用量が必要とされうる。上記用量の投与は個々の用量単位又は他のいくつかのより小さい用量単位の形態で単一の投与により及びまた特定の間隔で分けられた用量の複数の投与により実行されうる。
【0057】
本発明に係る医薬組成物は単独で又は抗生物質、抗炎症又は抗細菌剤の如き防腐剤、抗真菌剤、抗ウイルス剤、及び抗寄生虫剤の如き他の治療用剤と共に投与されうる。例はペニシリン、セファロスポリン、カルバセフェム、セファミシン、カルバペネム、モノバクタム、アミノグリコシド、グリコペプチド、キノロン、スペルミン、スペルミヂン、テトラサイクリン、マクロリド、及びフルオロキノロンである。防腐剤はヨーヂン、銀、銅、クロルヘキシヂン、ポリヘキサニド及び他のビグアニド、キトサン、酢酸、及び過酸化水素を含む。これらの剤は同じ医薬組成物の部分として組み込まれうる又は別々に投与されうる。上記医薬組成物はまたステロイド及びマクロラクタム誘導体の如き抗炎症薬をも含みうる。
【0058】
本発明はヒト及び数ある中でウマ、イヌ、ネコ、ウシ、ブタ、ラクダの如き他の哺乳類の両方に関する。したがって、上記方法はヒト治療及び獣医学的適用の両方に適用可能である。そのような処置のために好適な対象は熱、脈、生物の培養等の如き感染の十分に確立された証明により同定されうる。上記分子で処置されうる感染は微生物により又は微生物のために引き起こされるものを含む。微生物の例は細菌(例えば、グラム陽性、グラム陰性)、真菌(例えば、酵母及びカビ)、寄生虫(例えば、原生動物、線虫、条虫及び吸虫)、ウイルス、及びプリオン並びにそれらの混合物を含む。これらのクラスの特定の生物は周知である(例えば、Davis et al., Microbiology, 3.sup.rd edition, Harper & Row, 1980を参照のこと)。感染は、非限定的に、慢性皮膚潰瘍、感染された急性の傷及び火傷の傷、感染された皮膚湿疹、とびひ、アトピー性皮膚炎、ざ瘡、外耳炎、膣感染、脂漏性皮膚炎、経口感染及び歯周炎、カンジダ間擦疹、結膜炎及び他の眼の感染、及び肺炎を含む。
したがって、上記医薬組成物は火傷の傷、手術後及び皮膚外傷後の予防処置のために使用されうる。上記医薬組成物はまたコンタクトレンズ、整形外科用インプラント、及びカテーテルの如き、ヒトの体と接触する外部材料の貯蔵及び処置のために意図される溶液中に含まれうる。
【0059】
さらに、上記医薬組成物はアトピー性皮膚炎、とびひ、慢性皮膚潰瘍、感染された急性の傷及び火傷の傷、ざ瘡、外耳炎、真菌感染、肺炎、脂漏性皮膚炎、カンジダ間擦疹、カンジダ膣炎、中口腔咽頭カンジダ症、眼の感染(細菌性結膜炎)、及び(MRSA輸送を含む)鼻の感染の処置のために使用されうる。
上記医薬組成物はまたレンズ消毒薬の如き清浄溶液及び貯蔵溶液において使用され又は泌尿器系カテーテル使用又は中枢静脈カテーテルの使用に関連して細菌感染を予防するために使用されうる。
さらに、上記抗菌組成物は硬膏、ばんそうこう、縫合において手術後感染の予防のために使用され又は傷ドレッシング中に組み込まれうる。
【0060】
上記分子はまた抗菌表面又は化粧品を作出するために重合体、ウェットティッシュ、織物等において使用されることができ、及び個人的ケア製品(石鹸、シャンプー、歯磨き粉、抗ざ瘡、日焼け止めクリーム、タンポン、ダイヤパー等)は上記医薬組成物で補充されうる。
本発明はまた医薬における上記に定義される分子(単数又は複数)及び医薬組成物の使用にも関する。
本発明はまた細菌感染を治療する又は予防するための微生物の減少及び/又は消去のための抗菌組成物の製造のための上記に定義される分子又は上記に定義される組成物の使用にも関する。
最後に、本発明は治療的に有効な量の上記に定義される医薬組成物を患者に投与することを含む、上記に定義される医薬組成物を用いる、微生物感染を有する又はアレルギーを患う哺乳類の如き哺乳類の治療方法に関する。
【実施例】
【0061】
実施例
配列の定義
示される抗菌ペプチドのアナログを見つけるために、配列パターンを特定の領域について定義した。Swiss−Protタンパク質データベース中のヒトタンパク質(http://www.expasy.org/sprot/)をScanPrositeサーチツール(http://www.expasy.org/tools/scanprosite/)を用いて検索した。
ScanPrositeツールはPROSITEデータベース中に貯蔵されるパターン、プロファイル及び規則性(モチーフ)の存在について(UniProt Knowledgebase(Swiss−Prot/TrEMBL)又はPDBからの又はユーザーにより提供される)タンパク質配列(単数又は複数)をスキャンすること又は特定のモチーフ(単数又は複数)によるヒットについてタンパク質データベース(単数又は複数)を検索することを許容する。
【0062】
保存領域についてのパターンを以下のシンタックスにしたがって構築した:
PROSITEデータベースにおいて使用されるパターンシンタックス:
1.アミノ酸についての標準のIUPAC一文字コドンが使用される。
2.シンボル「x」はどんなアミノ酸でも許容される位置について使用される。
3.あいまいさは角括弧「[]」の間に、ある位置について許容可能なアミノ酸を列挙することにより示される。例えば:[ALT]はAla又はLeu又はThrを示す。
4.あいまいさはまた、ある位置で許容されないアミノ酸を一対の曲り括弧「{}」の間に列挙することにより示される。例えば:{AM}はAla及びMet以外のアミノ酸を示す。
5.パターンにおけるそれぞれのエレメントは「−」によりその近隣から分離される。
6.パターンのエレメントの繰返しは数値でそのエレメントに続けることにより又はそれがギャップ(「x」)である場合、括弧内の数字範囲により示されうる。
例:
x(3)はx−x−xに対応する。
x(2,4)はx−x又はx−x−x又はx−x−x−xに対応する。
A(3)はA−A−Aに対応する。
注意:範囲は「x」でのみ使用しうる、すなわち、A(2,4)は確実なパターンエレメントではない。
7.パターンがN−又はC−末端のいずれかの配列に限定されるとき、そのパターンは「<」のシンボルで開始する又は「>」のシンボルでそれぞれ終了する。いくつかの珍しい場合には(例えば、PS00267又はPS00539)、「>」はまたC−末端エレメントについての角括弧内にも起こりうる。「F−[GSTV]−P−R−L−[G>]」は「F−[GSTV]−P−R−L−G」又は「F−[GSTV]−P−R−L>」のいずれかが考えられることを意味する。
【0063】
実施例1
ヒトプロテアーゼに由来する抗菌ペプチドのペプチド構造の同定
70のヒトプロテアーゼを同定し、及びアミノ酸配列を互いに比較した(図1を参照のこと)。
全てのこれらのタンパク質におけるカルボキシル末端は抗菌活性を示すことが示されているα−ヘリックスで終わる。
以下の共通のアミノ酸配列モチーフはα−ヘリックスに由来する。
X(2)−[PFY]−X(2)−[AFY]−[AITV]−X−[ILV]−X(5)−W−[IL]−X(3,32)>
【0064】
比較を以下に定義される8のヒト凝固因子のみを包含することに限定して、1の以下の共通のアミノ酸配列モチーフは
{DS}−X−[PFY]−G−[FIV]−Y−T−X−V−{C}−[AEQRY]−X−{R}−X−W−[IL]−X−{H}−X(4,24)>
に由来した。
【化1】

【0065】
表1.狭いモチーフで発見されるペプチダーゼS1ファミリーに属する8のヒト凝固因子からのカルボキシル末端抗菌配列
上記の定義されるペプチドはまたこれもまた抗菌活性を示すカルボキシル末端α−ヘリックスの約55残基さらにアミノ末端のヂスルフィド結合ループを含みうる(図2)。
全てのヂスルフィド結合ループの比較は以下の共通のアミノ酸配列モチーフを明らかにした:
C−{P}−X(2)−{I}−X(6,16)−M−[FILMV]−C−[AV]−G
抗菌活性を示した他のペプチドもまた同定された。上記ペプチドは配列ID番号:9中に示され、及びヒトタンパク質C阻害剤(PCI)に由来する。上記ペプチドはPCIのアミノ酸残基283−302に対応する。
【0066】
実施例2
抗菌ペプチド
上記ペプチドをInnovagen AB, Ideon, SE−22370,Lund, Swedenにより合成した。これらのペプチドの純度(>95%)及び分子量をマススペクトル分析により確認した(MALDI.TOF Voyager)(表2を参照のこと)。
表2
研究において使用される抗菌ペプチド。
UniProtKB/Swiss−Protエントリー中のプロセスされていない前駆体にしたがう名称及び番号(http://www.expasy.org/sprot/)。
【表1】

【0067】
抗菌ペプチドLL−37は実施例3−6における比較として含まれた。LL−37はさまざまなグラム陽性及びグラム陰性細菌、真菌、及びウイルス病原体に対して広いスペクトルの抗菌活性を有する(Niyonsaba, F. and Ogawa, H., 2005, J. Derm. Sci., 40, 157−168)。それはカテリシヂンファミリーに属する18kDaのヒト陽イオン性抗菌タンパク質(hCAP18)に由来する。成熟抗菌ペプチドLL−37はエラスターゼ及びプロテイナーゼ3による切断をとおして遊離される(Sorensen O. E. et al., 2001, Blood 97, 3951−3959)。
【0068】
上記の表中に挙げられるペプチドに加えて、35アミノ酸残基を含む及びTHRB HUMANに由来するより大きなペプチド(VSWGEGCDRDGKYGFYTHVFRLKKWIQKVIDQFGE、配列ID番号:49)を調べ、及び抗菌効果及び他の効果を有することがわかった。このことからより長い配列を支持するべきである。
以下に示される結果に基づいて、VFR17をさらなる研究のために選択した。VFR17の配列に基づく、46の新規ペプチド(配列ID番号:3−48)を上記に示されるように合成した。In silico評価は配列ID番号:1の10のはじめのアミノ酸(VFRLKKWIQK、配列ID番号:2)は活性に重要であることを示すように見える。これらのペプチドは表2A中に示される。いかに示されるように決定されるそれらの抗菌及び溶血効果もまた示される。
【0069】
表2A
【表2】

【表3】

【0070】
微生物
Eschericia coli ATCC25922、Pseudomonas aeruginosa ATCC27853、Staphylococcus aureus ATCC29213、Bacillus subtilis ATCC6633細菌単離物、及び真菌単離物Candida albicans ATCC90028はDepartment of Bacteriology, Lund University Hospitalから得られた。
【0071】
実施例3
ラジアル拡散分析
ラジアル拡散分析(RDA)を本質的に以前に示されるように(Lehrer, R. I., Rosenman, M., Harwig, S. S., Jackson, R. & Eisenhauer, P.(1991) Ultrasensitive assays for endogenous antimicrobial polypeptides, J Immunol Methods. 137, 167−73)行った。結果は図3a−e中に示される。
簡単に述べると、細菌(E. coliP. aeruginosaS. aureusB. subtilis)又は真菌(C. albicans)を10mlの完全な強度(3%w/v)のトリプチカーゼソイブロス(TSB)(Becton−Dickinson, Cockeysville, MD)中で中間−対数相まで生育させた。上記微生物を10mM Tris, pH7.4で一回洗浄した。4×106細菌cfu又は1×105真菌cfuを0.03%(w/v)TSB、1%(w/v)low−electroendoosmosistype(Low−EEO)アガロース(Sigma, StLouise MO)及び0.02%(v/v)の最終濃度のTween20(Sigma)から成る、5mlの下敷きアガロースゲルに添加した。上記下敷きを直径85mmのペトリ皿に注いだ。アガロースが凝固した後、4mm−直径ウェルに穴を開け、及び6μlの試験サンプルをそれぞれのウェルに添加した。プレートを37℃で3時間インキュベートし、上記ペプチドの拡散を許容した。上記下敷きゲルをその後5mlの融解した上張り(dH2O中の6%TSB及び1%Low−EEOアガロース)で覆った。ペプチドの抗菌活性は細菌については37℃での及びCandida albicansについては28℃での18〜24時間のインキュベーション後それぞれのウェルの周りの透明な領域として視覚化される。
【0072】
実施例4
溶血分析
EDTA−血液を800gで10分間遠心分離し、その後血漿及び軟膜を除去した。赤血球を3回洗浄し、及び5%PBS、pH7.4中に再懸濁した。上記細胞をその後ペプチド(3〜60μM)の存在下でエンド−オーバー−エンド回転で37℃で1時間インキュベートした。2%Triton X−100(Sigma−Aldrich)を陽性コントロールとした。上記サンプルをその後800gで10分間遠心分離した。ヘモグロビン放出の吸収をλ540nmで計測し、及びTritonX−100誘発溶血の%として表されるプロットにする(図4)。
【0073】
実施例5
リポソーム調製及び漏れ分析
乾燥脂質フィルムをクロロフォルム中にヂオールオイルフォスファチヂルコリン(Avanti Polar Lipids, Alabaster, AL)(60mol%)及びコレステロール(Sigma, St Louis, MO)(40mol%)又はヂオールオイルフォスファチヂルコリン(30mol%)、ヂオールオイルフォスファチヂン酸(Avanti Polar Lipids, Alabaster, AL)(30mol%)及びコレステロール(40mol%)のいずれかを溶解し、及びその後上記溶媒を真空下で一晩蒸発させることにより除去することにより調製した。続いて、追加の150mM NaClを伴う又は伴わない10mM Trisを含む緩衝溶液、pH7.4を0.1Mカルボキシフルオレセイン(CF)(Sigma,St Louis, MO)と共に添加した。水和後、上記脂質混合物を液体窒素中での凍結及び60℃までの加熱から成る8の凍結−融解周期にかけた。(cryo−TEMで見つけられるように;結果は示されていない)約130nmの直径を有する単層リポソームをLipoFastミニエクストルーダー(Avestin, Ottawa, Canada)中にのせられたポリカーボネートフィルター(ポアサイズ100nm)をとおる複数回の押し出しにより作出した。捕えられなかったカルボキシフルオレセインをその後関連するTris緩衝液を溶離液として2の連続したSephadex G−50カラムをとおるろ過により除去した。押し出し及びろ過両方ともに22℃で行った。リポソーム漏れ分析において、CFの周知の自己消滅を使用した。したがって、100mMでCFは自己消滅し、及び捕えられたCFを含むリポソームからの記録された蛍光強度は低い。リポソームからの漏れに際して、放出されたCFは消滅されない、及びそれゆえ蛍光を発する。CF放出をリポソーム分散物(10mM Tris pH7.4中の10mM脂質)から520nmで放出される蛍光をモニターすることにより決定した。絶対漏れスケールを0.8mM Triton X100(Sigma, St Louis, MO)の添加をとおして実験の終わりにリポソームを破壊し、それにより100%放出及びCFの脱消滅を引き起こすことにより得る。SPEX−fluorolog 1650 0.22mダブルスペクトロメーター(SPEX Industries, Edison, NJ)をリポソーム漏れ分析のために使用した(表3、図5を参照のこと)。
表3
【表4】

【0074】
実施例6
CD−スペクトロスコピー
溶液中の上記ペプチドのCDスペクトルをJasco J−810 Spectropolarimeter(Jasco, U.K.)上で計測した。計測を37℃で10mm石英キュベット中で撹拌下で行い、及びペプチド濃度は10μMであった。100μMの脂質濃度でのリポソームのペプチド二次構造に対する効果を200−250nmの範囲内でモニターした。調査された状態下で観察された唯一のペプチドコンフォメーションはα−ヘリックス及びランダムコイルであった。α−ヘリックスコンフォメーション中のペプチドの断片、Xα
【数2】

から計算され、ここでAは225nmで記録されたCDシグナルであり、及びAα及びACはそれぞれ、100%α−ヘリックス及び100%ランダムコイルコンフォメーション中のリファレンスペプチドについての225nmでのCDシグナルである。100%α−ヘリックス及び100%ランダムコイルリファレンスをそれぞれ、0.1M NaOH及び0.1M HCl中の0.133mM(単量体濃度)ポリ−L−リジンから得た。計測間の器械的差を説明するために(ペプチドシグナルが存在しない250nmで検出される)バックグラウンド値を引いた。大量の溶液からのシグナルもまた訂正した(表4を参照のこと)。
【0075】
表4
凝固カスケードのタンパク質に由来するペプチドの、緩衝液中及びリポソーム分散物中のヘリックス含有量(%で、10mM Tris、pH7.4中)。抗菌ペプチドLL−37は比較のために含まれる。
【表5】

【0076】
実施例7
表2A中のペプチド(配列ID番号:3−48)を上記に示されるように評価した。データは表2A中に示される。
【0077】
実施例8
表2A中に示される配列ID番号:3−10を有するペプチドを2の異なるクリームに有効な量/gクリームで添加した。
クリーム1;1gクリームは以下のものを含む:グリセロール200mg、水素化菜種油、コレステロール、モノステアリン酸グリセロール、ステアリン酸マクロゴル、セトステアリールアルコール、ヂメチコン、液体パラフィン、固体パラフィン、ワセリン、プロピル−及びメチルパラヒドロキシ安息香酸塩及び精製水。
クリーム2;1gクリームは以下のものを含む:プロピレングリコール200mg、乳酸45mg、セトステアリールアルコール、マクロゴル25セトステアリールエーテル、液体パラフィン、白色ワセリン、水なしクエン酸、水なしクエン酸ナトリウム、保存剤(メチルパラヒドロキシ安息香酸塩E218)及び精製水。
上記クリームをアトピー性皮膚炎に類似の状態を患う哺乳類に適用し、及び効果を有することを発見した。
【0078】
実施例9
実施例8中と同じペプチドを水中に溶解し、及び硬膏上に噴霧した。上記硬膏を風乾させた。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1−1】同定された70のヒトプロテアーゼ及び互いに比較されるアミノ酸配列を示す。示される検索モチーフに対応する配列の部分は囲みで示される。
【図1−2】同定された70のヒトプロテアーゼ及び互いに比較されるアミノ酸配列を示す。示される検索モチーフに対応する配列の部分は囲みで示される。
【図1−3】同定された70のヒトプロテアーゼ及び互いに比較されるアミノ酸配列を示す。示される検索モチーフに対応する配列の部分は囲みで示される。
【図1−4】同定された70のヒトプロテアーゼ及び互いに比較されるアミノ酸配列を示す。示される検索モチーフに対応する配列の部分は囲みで示される。
【図1−5】同定された70のヒトプロテアーゼ及び互いに比較されるアミノ酸配列を示す。示される検索モチーフに対応する配列の部分は囲みで示される。
【図2−1】これもまた抗菌活性を示すカルボキシル末端α−ヘリックスの約55残基さらにアミノ末端のヂスルフィド結合ループを含む67のヒトプロテアーゼを示す。
【図2−2】これもまた抗菌活性を示すカルボキシル末端α−ヘリックスの約55残基さらにアミノ末端のヂスルフィド結合ループを含む67のヒトプロテアーゼを示す。
【図3a】凝固因子のペプチドの抗菌活性。上記ペプチドの阻害効果はRDAにおける細菌クリアランスの区域として視覚化され、及びy−軸上に示される(mmで)。
【図3b】凝固因子のペプチドの抗菌活性。上記ペプチドの阻害効果はRDAにおける細菌クリアランスの区域として視覚化され、及びy−軸上に示される(mmで)。
【図3c】凝固因子のペプチドの抗菌活性。上記ペプチドの阻害効果はRDAにおける細菌クリアランスの区域として視覚化され、及びy−軸上に示される(mmで)。
【図3d】凝固因子のペプチドの抗菌活性。上記ペプチドの阻害効果はRDAにおける細菌クリアランスの区域として視覚化され、及びy−軸上に示される(mmで)。
【図3e】凝固因子のペプチドの抗菌活性。上記ペプチドの阻害効果はRDAにおける細菌クリアランスの区域として視覚化され、及びy−軸上に示される(mmで)。
【図4】凝固タンパク質由来ペプチドの溶血効果の分析。比較のために、ヒト抗菌ペプチドLL−37が含まれた。
【図5】37℃で10mM Tris、pH7.4中のヂオールオイルフォスファチヂルコリン/コレステロールリポソームについてのCF漏れ。t=0で、1μMのペプチドを添加し、及び漏れを蛍光スペクトロスコピーによりモニターした。グラフは個々のランを示すが、三重標準偏差は全ての場合において±5%以下であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともアミノ酸配列
123456WX8910
を含む分子又はそのアナログであって、ここで
4,6,9はいずれかのアミノ酸残基であり
1はI、L又はVであり
2はCではなく
3はA、E、Q、R又はYであり
5はRではなく
8はI又はLであり
10はHではなく
及びここで前記分子は約10〜約100アミノ酸残基の長さを有する分子又はそのアナログ。
【請求項2】
前記分子は少なくともアミノ酸配列
123456WX8910111213
を含み、ここで
4,6,9,11はいずれかのアミノ酸残基であり
1はI、L又はVであり
2はCではなく
3はA、E、Q、R又はYであり
5はRではなく
8はI又はLであり
10はHではなく
12はI、M又はTであり
13はD、K、Q又はRであり
及びここで前記ペプチドは約20〜約100アミノ酸残基の長さを有する、請求項1に記載の分子。
【請求項3】
前記分子は少なくともアミノ酸配列
123456WX891011121314151617
を含み、ここで
4,6,9,11,14,15はいずれかのアミノ酸残基であり
1はI、L又はVであり
2はCではなく
3はA、E、Q、R又はYであり
5はRではなく
8はI又はLであり
10はHではなく
12はI、M又はTであり
13はD、K、Q又はRであり
16はG又はDであり
17はE、L、G、R又はKであり
及びここで前記ペプチドは約20〜約100アミノ酸残基の長さを有する、請求項2に記載の分子。
【請求項4】
上記分子は配列ID番号:2中に示されるアミノ酸配列を含む又は前記分子はV1L、V1I、F2K、F2T、I8L、Q9R及びQ9Kから成る群から選ばれる少なくとも1のアミノ酸残基が置換されている点で配列ID番号:2中に示されるアミノ酸配列とは異なる、請求項1に記載の分子。
【請求項5】
前記分子はV1L、F2K、I8L、Q9R及びQ9Kから成る群から選ばれる少なくとも1のアミノ酸残基が置換されている点で配列ID番号:2中に示されるアミノ酸配列とは異なる、請求項1に記載の分子。
【請求項6】
上記分子は配列ID番号:1中に示されるアミノ酸配列を含む又は前記分子はV1L、V1I、F2K、F2T、I8L、Q9R、Q9K、I12T、D13K、D13R、Q14L、Q14I、E17K及びE17Rから成る群から選ばれる少なくとも1のアミノ酸残基が置換されており及びここでE17は場合により欠損されている点で配列ID番号:1中に示されるアミノ酸配列とは異なる、請求項2に記載の分子。
【請求項7】
前記分子はV1L、F2K、I8L、Q9R、Q9K、I12T、D13K、D13R、E17K及びE17Rから成る群から選ばれる少なくとも1のアミノ酸残基が置換されており及びここでE17は場合により欠損されている点で配列ID番号:1中に示されるアミノ酸配列とは異なる、請求項6に記載の分子。
【請求項8】
上記分子は配列ID番号:3〜49中に示されるアミノ酸配列を含む、請求項6に記載の分子。
【請求項9】
前記分子は約10〜約50アミノ酸残基の長さを有する、請求項1及び4〜5に記載の分子。
【請求項10】
前記分子は約10〜約35アミノ酸残基の長さを有する、請求項1及び4〜5に記載の分子。
【請求項11】
前記分子は10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34又は35アミノ酸残基の長さを有する、請求項1及び4〜5に記載の分子。
【請求項12】
前記分子は約17〜約50アミノ酸残基の長さを有する、請求項2〜3及び6〜8に記載の分子。
【請求項13】
前記分子は約17〜約35アミノ酸残基の長さを有する、請求項2〜3及び6〜8に記載の分子。
【請求項14】
前記分子は17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34又は35アミノ酸残基の長さを有する、請求項2〜3及び6〜8に記載の分子。
【請求項15】
上記分子はアミド化、エステル化、アシル化、アセチル化、PEG付加又はアルキル化により改変される、前記請求項のいずれかに記載の分子。
【請求項16】
前記分子は1、2、3、4、5又は6アミノ酸残基の置換により改変される、前記請求項のいずれかに記載の分子。
【請求項17】
前記請求項のいずれかに記載の少なくとも1の分子を含む組成物。
【請求項18】
請求項1〜16のいずれかに記載の2〜4の分子を含む、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
医薬として許容される緩衝液、希釈剤、担体、補助剤又は賦形剤を含む、請求項17又は18に記載の組成物。
【請求項20】
1以上の抗生物質及び/又は防腐剤(単数又は複数)及び/又は抗炎症剤を含む、請求項17〜19のいずれかに記載の組成物。
【請求項21】
請求項1〜16に記載の分子又は請求項17〜20に記載の組成物を含む製品であって、包帯、ウェットティッシュ、硬膏、縫合、石鹸、タンポン、ダイヤパー、シャンプー、歯磨き粉、抗ざ瘡化合物、日焼け止めクリーム、織物、粘着物、傷ドレッシング、クリーニング溶液又はインプラントから成る群から選ばれる製品。
【請求項22】
医薬における使用のための請求項1〜16のいずれかに記載の分子。
【請求項23】
微生物感染を治療する又は予防するための微生物の減少及び/又は消去のための抗菌組成物の製造のための、請求項1〜16のいずれかに記載の分子又は請求項17〜20に記載の組成物の使用。
【請求項24】
前記微生物感染は細菌感染及び/又は真菌感染である、請求項23のいずれかに記載の使用。
【請求項25】
前記抗菌組成物は局所組成物である、請求項23〜24のいずれかに記載の使用。
【請求項26】
処置されるべき前記微生物感染はアトピー性皮膚炎、とびひ、慢性皮膚潰瘍、感染された急性の傷及び火傷の傷、ざ瘡、外耳炎、真菌感染、肺炎、脂漏性皮膚炎、カンジダ間擦疹、カンジダ膣炎、中口腔咽頭カンジダ症、眼の感染及び鼻の感染から成る群から選ばれる、請求項25に記載の使用。
【請求項27】
前記微生物組成物は火傷の傷、手術後又は皮膚外傷後における微生物感染を予防するためである、請求項25に記載の使用。
【請求項28】
治療的に有効な量の請求項1〜16に記載の分子又は請求項17〜20に記載の医薬組成物又は請求項21に記載の製品を哺乳類に投与することを含む、疾患及び/又は障害を治療する及び/又は予防するために微生物を減少させる及び/又は消去する方法。

【図1−1】
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【図1−2】
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【図1−3】
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【図1−4】
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【図1−5】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図3d】
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【図3e】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−526046(P2009−526046A)
【公表日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−554193(P2008−554193)
【出願日】平成19年2月12日(2007.2.12)
【国際出願番号】PCT/SE2007/000125
【国際公開番号】WO2007/091959
【国際公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【出願人】(505429005)デルマゲン アクティエボラーグ (5)
【Fターム(参考)】