説明

方向入力装置

【課題】 中間方向への操作が確実に検出できるようにした方向入力装置を提供すること。
【解決手段】 ホルダアッパジョイント6と一体的に動作するジョイパッドノブ2の押下部2c〜2fは、隣り合うタクトスイッチ13a〜13dの間となる方向入力に対して、隣り合うタクトスイッチ13a〜13dの両方で検出されるよう動作するものであり、隣り合うタクトスイッチ13a〜13d間への操作入力の際に、前記可動部が動作しやすくなるよう、隣り合う前記検出部の両方が検出する位置へ誘導する手段を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中立位置から、多方向へ向かって操作入力を行うことで、方向入力を行う方向入力装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、中立位置に対して4方向にスイッチを配置し、操作部を倒しと際にスイッチが押されることで、操作入力された方向を検出する。2つのスイッチが同時に押された際には、その中間の角度方向に操作入力されたとして、合計8方向を検出している(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−123690号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来にあっては、スイッチの中間の検出において、2つのスイッチが両方押される状態は、1つのスイッチが押される検出よりも、検出されにくいものであった。そのため、中間方向への操作を行った際に、検出されないことがあった。
【0004】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、中間方向への操作が確実に検出できるようにした方向入力装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1記載の発明では、多方向への入力操作により動作する可動部と、前記可動部に対して多方向へ配置され、前記可動部の動作を検出する複数の検出部と、を備えた方向入力装置において、前記可動部は、隣り合う前記検出部の間となる方向入力に対して、隣り合う前記検出部の両方で検出されるよう動作するものであり、隣り合う前記検出部間への操作入力の際に、前記可動部が動作しやすくなるよう、隣り合う前記検出部の両方が検出する位置へ誘導する手段を設けた、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
請求項1記載の発明にあっては、中間方向への操作が確実に検出できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、この発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0008】
以下、実施例1を説明する。
実施例1の方向入力装置は、方向入力の他に回転入力、押圧入力も行うものである。
図1は本発明の実施例1の方向入力装置を示す全体分解図、図2は本実施例1の方向入力装置を示す平面図(サーキットアッシは省略)、図3は本実施例1の方向入力装置の側面図(サーキットアッシは省略)、図4は図2のS4−S4線における断面図、図5は図2のS5−S5線における断面図、図6は図2のS6−6線における断面図である。
【0009】
図7は図2のS4−S4線における斜め方向入力時の作用を説明する図、図8は図2のS5−S5線における十字方向入力時の作用を説明する図である。図9は図2のS6−S6線における十字方向入力時の作用を説明する図である。
【0010】
先ず、全体構成を説明する。
図1〜6に示すように、本実施例1の方向入力装置は、ダイヤルノブ1と、ジョイパッドノブ2と、決定ノブ3と、決定スプリング4と、ホルダジョイパッド5と、ホルダアッパジョイント6と、ジョイパッドスプリング7と、スライダジョイパッド8と、ガイドライト9と、ベースダイヤル10と、ベースジョイパッド11と、プッシュロッド12a〜12dと、サーキットアッシ17を備えている。
【0011】
ダイヤルノブ1は、全体が略円筒形状に形成される他、その上端部1aは略平坦に形成されると共に、この上端部1aから径方向外側に向かって突出した複数の突出部1bが同心配置されている。
また、ダイヤルノブ1の下端の径方向4箇所には、開口部1cを有して下方に延設された固定部1d(図1、3、5参照)が設けられると共に、各々の開口部1cにベースダイヤル10の爪部10aが凹凸結合されることにより、ダイヤルノブ1の下端がベースダイヤル10の外周に外嵌した状態で両者が一体的に固定されている。
【0012】
ベースダイヤル10の下端には、下方に延設された複数の舌片部10bが同心配置されると共に、各々の舌片部10bは略円筒形状のベースジョイパッド11に形成された外溝11a内に挿入された状態となっている。
また、ベースダイヤル10は、その上端がベースジョイパッド11の径方向4箇所に設けられた爪部11b(図1参照)によって位置決めされた状態で周方向に摺動可能に支持され、その下端が外溝11aの一部でもある突部11cに位置決めされた状態で摺動可能に支持された状態となっている。
【0013】
ベースジョイパッド11の下端の径方向4箇所には、爪部11dを有して下方に延設された脚部11eが形成されると共に、各々の爪部11eがサーキットアッシ17を貫通した状態で係止固定されることにより、両者が一体的に固定されている。
従って、ダイヤルノブ1とベースダイヤル10は、ベースジョイパッド11(及びサーキットアッシ17)に対して周方向に回転可能に設けられている。
【0014】
ジョイパッドノブ2は、略円筒形状に形成される他、その上端部2aはダイヤルノブ1の上端部1aから上方へ露出した状態で配置されている。
ジョイパッドノブ2上における中心Oの十字方向には、上方へ突出した円弧形状の突起部2bがそれぞれ形成される。
また、突起部1bが配置された十字方向と45°の角度を有して直交する位置に、ジョイパッドノブ2の内側から下方に延設された円柱状の押下部2c〜2fが形成されている。
【0015】
押下部2c〜2fの下端には、ベースジョイパッド11の貫通溝11fに摺動可能に支持された略棒状のプッシュロッド12a〜12dの上端が当接され、さらに、プッシュロッド12a〜12dの下端には、サーキットアッシ17に設けられたタクトスイッチ13a〜13dのスイッチ面が当接されている。
また、ジョイパッドノブ2の中央は中心Oにいくにつれて低く傾斜した円形状の開口部2gが設けられ、ここに略円柱形状の決定ノブ3の上方が突出した状態で配置されている。
【0016】
決定ノブ3は、下方に開口した円周溝3aが形成されると共に、この円周溝3a内に設けられた決定スプリング4によってその上方をダイヤルノブ1の開口部2gの下端に付勢され、さらに、その側方をホルダアッパジョイント6の外側筒部6aの内側に摺動可能に支持されることにより、ホルダアッパジョイント6の外側筒部6a内で上下動可能に設けられている。
また、決定ノブ3の側方一部には、L字状に下方へ屈折した押下部3b(図1、5参照)が形成されると共に、該押下部3bは、上述した押下部2c〜2fと同様に、プッシュロッド14を介してタクトスイッチ15のスイッチ面が当接されている。
【0017】
ホルダアッパジョイント6の外側筒部6aの下方に突出するように、外側筒部6aよりも細い係合部6cが、ホルダアッパジョイント6には形成されている。
実施例1では、係合部6cは4角柱形状であり、その内側にジョイパッドスプリング7で下方に付勢された略円柱形状のスライダジョイパッド8が設けられると共に、このスライダジョイパッド8の下方は、ガイドライト9の円錐溝9aの傾斜したテーパ角9bに付勢された状態で上下動可能に設けられている。なお、本実施例のスライダジョイパッド8の下端は半球形状に形成されている。
【0018】
ガイドライト9は、径方向外側へ突出された複数の脚部9cがベースジョイパッド11に固定されている。
また、ガイドライト9は、透明な素材を用いて形成されると共に、図示を省略する光源が下方に配置されることにより、光源の光を上方に透過させて後述する操作者における操作の視覚的補助を行うように構成されている。
さらに、ガイドライト9の円錐溝9aは、上部が開口した、ホルダアッパジョイント6の係合部6c、スライダジョイパッド8、スプリング7を挿入する凹形状部分の底に設けられる。このガイドライト9の凹形状部分の円錐溝9aの上部、つまり凹形状の内筒は、ホルダアッパジョイント6の係合部6cの外周方向に位置することになる4角穴形状の制限部9dとなる(図10参照)。
【0019】
制限部9dの4角穴形状は、ホルダアッパジョイント6の係合部6cより大きな4角穴とし、中立状態でのそれぞれの角部の方向位置は合わせる。つまり、制限部9dは係合部6cの動きを制限する部分となる。
円錐溝9aは、中央に行くに従って下方へ向かう円錐形状である。
受穴部9eは、円錐溝9aの円錐の頂点部分を無くすように設けられる。これにより、円錐溝9aの下端部分は円周状になる。
【0020】
この制限部9dと係合部6cの4角形状の角部は、タクトスイッチ13a,13bの中間、13b,13cの中間、13c,13dの中間、13d,13aの中間、つまり、中心Oに対して外周方向に配置した、タクトスイッチ13a〜13dの周方向に隣合う2つの中間方向を向くように配置する。
【0021】
また、ホルダアッパジョイント6の外側筒部6aには、径方向外側へ突出する係止ピン6b(図1参照)が形成されると共に、この係止ピン6bが略円筒形状のホルダジョイパッド5に設けられた係止孔5aに回転可能に軸支され、さらに、このホルダジョイパッド5における上記係止ピン6bの直交する位置に設けられた係止ピン5bがベースジョイパッド11に対して回転可能に軸支されることにより、上述したジョイパッドノブ2(及び決定ノブ3、決定スプリング4、ホルダジョイパッド5、ホルダアッパジョイント、ジョイパッドスプリング、スライダジョイパッド)はジョイパッドノブ2上の十字方向と斜め方向の合計8方向に、ダイヤルノブ1(及びガイドライト9、ベースダイヤル10、ベースジョイパッド11、プッシュロッド12a〜12d、サーキットアッシ16)に対して回動可能に構成されている。
【0022】
なお、図示を省略するが、ダイヤルノブ1及びベースダイヤル10には、ダイヤルノブ1の回転に伴うベースダイヤル10の舌片部10bとベースジョイパッド11の外溝11aとの相対位置を検出してダイヤルノブ1の回転位置を検出するための回転位置検出機構が設けられる他、ダイヤルスプリングポジション20(図1参照)で径方向外側に付勢されたダイヤルスライダポジション21をベースダイヤル10の内側の凹凸溝10cに凹凸嵌合させながらダイヤルノブ1を回転させることで操作者に間欠的な操作反力を与えるクリック機構が設けられている。
【0023】
次に、作用を説明する。
このように構成された方向入力装置は、サーキットアッシ17が図外の車載装置、例えば車載モニタ、ナビゲーション装置などに電気的に接続された状態で車両に搭載され、操作者は、車載モニタ等の画面を見ながら後述するダイヤルノブ1の回転操作、決定ノブ3の押下操作、ジョイパッドノブ2の回動操作を行うことにより、様々な情報を得たり車載装置の設定・指示を行う。
【0024】
[ダイヤルノブの回転操作について]
操作者が、ダイヤルノブ1を指で掴んで適宜回転させると、回転位置検出機構がベースダイヤル10の舌片部10bとベースジョイパッド11の外溝11aとの相対位置の変化を検出し、これにより、ダイヤルノブ1の回転位置を検出できる。
また、この際、操作者はクリック機構の間欠的な操作反力によって適度なクリック感を得ることができる。
【0025】
[決定ノブの押下操作について]
操作者が、決定ノブ3を指で押下した場合には、決定ノブ3の押下部3bが決定スプリング4の付勢力に反してプッシュロッド14を介してタクトスイッチ15のスイッチ面を押下し、これにより、タクトスイッチ15がオンとなって決定ノブ3の押下操作を検出できる。
なお、補足ではあるが、操作者が決定ノブ3から指を離すと決定スプリング4の復元力によって、決定ノブ3は元の位置に戻る。
【0026】
[ジョイパッドノブの方向入力操作について]
操作者が、ジョイパッドノブ2上の斜め方向、例えば、図2のA方向に回動操作する場合には、図7に示すように、ダイヤルノブ1の上端部1aとジョイパッドノブ2上のA方向位置の上端部2aに指30を掛けてジョイパッドノブ2を押下することにより、ジョイパッドノブ2(及び決定ノブ3、決定スプリング4、ホルダジョイパッド5、ホルダアッパジョイントと、ジョイパッドスプリング7、スライダジョイパッド8)を回動させて図4に示す第1の位置から図7に示す第2の位置に移動させると共に、ジョイパッドノブ2の押下部2cがプッシュロッド12aを介してタクトスイッチ13aのスイッチ面を押下し、これによって、タクトスイッチ13aがオンとなってA方向の方向入力操作を検出できる。
【0027】
なお、スライダジョイパッド8の下端は、上記回動時において円錐溝9aのテーパ角9bから位置ずれした状態となるが、操作者がジョイパッドノブ2から指を離した際に、ジョイパッドスプリング7の復元力によってパッドノブ2が元の位置に戻るのに伴ってスライダジョイパッド8の下端も円錐溝9aの傾斜に摺動しながら元の位置に戻る。言い換えて説明すると、円錐溝9aの下端の受穴部9eにスライダジョイパッド8の下端球形部分が安定して係合した状態が中立状態であり、この中立状態から方向入力の際には、受穴部9eから外れ、ジョイパッドスプリング7を圧縮しつつ、円錐溝9aのテーパを登る動きを行うことで、適度な操作入力感、つまり反力を得られるようにし、操作入力がなくなると確実
に中立位置へ戻る動きを行うのである。
【0028】
また、ジョイパッドノブ2を回動させ、スライダジョイパッド8が中立位置から移動する際には、同じ方向へホルダアッパジョイント6の係合部6cが回転傾動する。この操作方向の場合には、係合部6cの動きは、図11に示す動きとなる。つまり、係合部6cの外周形状の4角柱の1面の1辺が、ガイドライト9の制限部9dの4角穴の1面の1辺に当接する動きとなり、それ以上の回転傾動する動きをさせないようにする。この動きを制限した状態では、4つのタクトスイッチ13a〜13dのうちのいずれか1つが確実に押圧により入力されている。
【0029】
次に、操作者がジョイパッドノブ2上の十字方向、例えば、図2のB方向に方向入力操作する場合には、図8に示すように、ダイヤルノブ1の上端部1aとジョイパッドノブ2上のB方向位置の突起部2bに指30を掛けてジョイパッドノブ2を押下することにより、ジョイパッドノブ2(及び決定ノブ3、決定スプリング4、ホルダジョイパッド5、ホルダアッパジョイントと、ジョイパッドスプリング7、スライダジョイパッド)を回動させて図5に示す第1の位置から図8、9に示す第2の位置に移動させると共に、ジョイパッドノブ2の押下部2c,2dがプッシュロッド12a,12bを介してタクトスイッチ13a,13bのスイッチ面を同時に押下し、これによって、タクトスイッチ13a,13bがオンとなってB方向の方向入力操作を検出できる。
【0030】
また、ジョイパッドノブ2を回動させ、スライダジョイパッド8が中立位置から移動する際には、同じ方向へホルダアッパジョイント6の係合部6cが回転傾動する。この操作方向の動きの場合には、係合部6cの動きは、図12に示す動きとなる。つまり、係合部6cの外周形状の4角柱の1つの角部が、ガイドライト9の制限部9dの4角穴の1つの角に向かう動きとなる。
この際に、係合部6cの外周形状の4角形状より、制限部9dの4角穴形状は大きいため、この形状範囲内で係合部6cは、位置ずれが可能である。この方向の操作入力の際に、係合部6cの角部と制限部9dの角部が位置ずれを起こしている際には、制限部9dの角部を形成する2面または接触の状態により2辺のどちらかに、係合部6cが接触することになる。すると、ジョイパッドノブ2へ加わる操作力が位置ずれや角度のある程度のずれを起こしていても、制限部9dの角部を形成する2面、または2辺が角部の頂点へ斜めに向かう傾斜となり、その傾斜で摺動する動きを係合部6cがするため、係合部6cは角部の頂点へ向かって移動し、タクトスイッチ13a〜13dの隣り合う2つが押圧入力される範囲へ確実に導かれる。図13を参照して説明すると、それぞれ1つのタクトスイッチが検出する範囲はaa,bb,cc,ddであり、2つのタクトスイッチが検出する角部範囲がab,bc,cd,adとなる。
【0031】
つまり、図13に示す制限部9dで形成される係合部6cの可動境界範囲において、タクトスイッチ13a〜13dの2つがONとなる領域の両側の可動境界線と、中心Oから外周方向へ延長した線の、両スイッチがONとなる領域側になす角Dを90度より小さくするため、係合部6cが可動境界範囲で摺動し、確実に両スイッチで検出される領域へ移動する。
【0032】
さらに、この方向入力操作の際に、可動境界範囲に沿って移動する係合部6cが位置ずれした位置から角部へ向かう際に、その抵抗が大きいと、操作者は入力したとして操作を止めてしまうことがある。この場合には、その方向入力が不確実なものとなる。実施例1では、操作入力された力を効率よく両スイッチの検出位置へ導くため、抵抗は小さく、より確実な操作入力となる。
これにより、13a〜13dを検出すべきジョイパッドノブ2の入力方向(8方向)よりも少ない構成数としながらも、ジョイパッドノブ2の入力方向を確実に検出でき、これによって、装置全体のコンパクト化や部品点数、製造コスト、重量の削減を達成できるものである。
【0033】
本実施例1では、タクトスイッチが2つ同時に押されることが1つ押されることに対して有する確実性の低さを、方向入力される際に動作する部材の動きを制限・誘導して、その部材の動きとしてはタクトスイッチが2つ同時に押される方向へ動きやすいようにすることで、タクトスイッチの数を節約しながらも、タクトスイッチより多くした多くの方向入力の確実性を向上させるものである。
【0034】
次に、効果を説明する。
本実施例1にあっては、以下に列挙する効果を有する。
(1)多方向への入力操作により動作するホルダアッパジョイント6の係合部6cと、係合部6cに対して多方向へ配置され、係合部6cの動作を検出する複数のタクトスイッチ13a〜13dとを備えた方向入力装置において、ホルダアッパジョイント6と一体的に動作するジョイパッドノブ2の押下部2c〜2fは、隣り合うタクトスイッチ13a〜13dの間となる方向入力に対して、隣り合うタクトスイッチ13a〜13dの両方で検出されるよう動作するものであり、隣り合うタクトスイッチ13a〜13d間への操作入力の際に、前記可動部が動作しやすくなるよう、隣り合う前記検出部の両方が検出する位置へ誘導する手段を設けたため、中間方向への操作が確実に検出できる。
【0035】
(2)ホルダアッパジョイント6の係合部6cの可動範囲を制限するガイドライト9の制限部9dを設け、誘導する手段を制限部9dの可動境界形状としたため、タクトスイッチ13a〜13dとの関係から、押下させ過ぎることを、係合部6cと制限部9dの係合で防ぐようにする。この係合部6cは、本来、スプリング7、スライダジョイパッド8のガイドとなり、その外周部を用いるため、スペースに無駄がない。さらに、この外周が係合する制限部9dの形状で決まる可動境界形状により、操作されたことにより加わる力で、隣り合う前記検出部の両方が検出する位置へ誘導するため、コストを増加させることなく、且つ占有するスペースを増加させることなく、中間方向への操作が確実に検出できる。
【0036】
(3)可動境界形状は、隣りあうタクトスイッチ13a〜13dの両方が検出する位置を頂点とする角部を有する形状であるため、角部を形成する面へ辺を摺動させ、角部へ向かって係合部6cを誘導して、中間方向への操作が確実に検出できる。
【0037】
(4)角部は、角部を構成する2辺又は2面が90度以下の角を形成するため、操作により入力された力を効率よく係合部6cが角部へ向かう力にし、且つ摺動しやすくして、中間方向への操作が確実に検出できる。
【0038】
(5)係合部6cの外周に突状の角部を設けたため、係合部6cの突状角部が、制限部9dの角部へ嵌合するようにして、さらに確実に中間方向への操作が確実に検出できる。
【実施例2】
【0039】
実施例2は、可動境界形状を、角部間を内部に向かうよう湾曲させる形状にした例である。
図14は実施例2の可動境界形状を示す説明図である。図15は実施例2の係合部及び制限部を示す断面図である。
実施例2の構造を説明する。
実施例2では、ホルダアッパジョイント6の係合部6cを実施例1と同様、4角柱形状とし、ガイドライト9の制限部9dの断面形状を、4つの角部を有し、角部頂点間を中心Oに向かうよう湾曲させた形状にする。
【0040】
作用を説明する。
[ジョイパッドノブの方向入力操作について]
実施例2において、タクトスイッチ13a〜13dの隣り合うものの中間方向への操作、つまり、図14の角部頂点方向への操作が、ずれた入力となっている場合について説明する。具体的に、例えば中心Oからの操作方向が角度ずれの場合、可動境界線と操作方向の角部側に成す角を角度Dとする。すると、実施例2では、角部頂点間を湾曲形状にしたことにより、角部頂点間を直線で結ぶ形状、つまり4角形状に比較して、角度Dはさらに小さくなる。これにより、図14に示す角部付近の両スイッチがONとなる範囲へ係合部6cが移動しやすくなる。
【0041】
また、タクトスイッチ13a〜13d方向への操作位置から少しずれでもずれると、湾曲形状の作用になり角度Dが小さくなり角部へ移動しやすくなる。そのため、タクトスイッチ13a〜13d方向への操作から、タクトスイッチ13a〜13dの中間方向への操作へ変更する際もスムーズに移行する。
さらに、4角柱形状の係合部6cとの接触面積が小さくなるために、タクトスイッチ13a〜13dの中間方向への操作、及び操作方向切り替えの際に摺動抵抗が小さくなり、スムーズな移行となる。
【0042】
効果を説明する。
(6)可動境界形状は、隣り合う角部の頂点間を内側に凹ませるよう湾曲させたため、さらに確実に中間方向への操作が確実に検出できる。また、タクトスイッチ方向と中間方向との操作の切り替えをスムーズに行うことができる。
その他構成、作用効果は実施例1と同様であるので、説明を省略する。
【実施例3】
【0043】
実施例3は、ホルダアッパジョイント6の係合部6cの外周形状を円柱形状とした例である。
図16は実施例3の係合部及び制限部を示す断面図である。
実施例3では、係合部6cの外周形状を円柱形状とし、タクトスイッチ13a〜13dの中間方向への動きの際には、制限部9dの角部を構成する2辺のそれぞれに外周の2点が接する。この状態以外では、円と直線又は円柱と平面が点、または線状の非常に小さい接触となり、抵抗少なく摺動することができる。
このような係合部6c形状であってもよい。
その他構成、作用効果は実施例1と同様であるので、説明を省略する。
【実施例4】
【0044】
実施例4は、ホルダアッパジョイント6の係合部6cの外周形状を4角柱形状とし、非接触部分を設けた例である。
図17は実施例4の係合部及び制限部を示す断面図である。
実施例4では、係合部6cの外周形状を4角柱形状とし、さらに、係合部6cの断面形状において、角部と角部を結ぶ直線の中央を内部側へ凹ませる。つまり、それぞれの角部周辺のみ辺部分を有し、中央部分を凹ませ、タクトスイッチ13a〜13d方向への操作の際に角部周辺のみ制限部9dに接触する形状である。
このような形状にして、接触面積を減らし、摺動抵抗を少なくするとともに、安定した制限部9dへの接触となるようにしてもよい。
その他構成、作用効果は実施例1と同様であるので、説明を省略する。
【0045】
以上、本実施例を説明してきたが、本発明は上述の実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。
【0046】
実施例1〜実施例4においては、制限部に対する係合部の動きは、係止ピン5b及び係止ピン6bによる回動する動きによる。そのため、係合部6cの下端、又は制限部9dの下端が接触する動きとなる。これに対し、例えば操作入力に対しスライド移動する構造であっても、係合部及び制限部を有していればよく。この構造に限られない。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の実施例1の方向入力装置を示す全体分解図である。
【図2】本実施例1の方向入力装置を示す平面図(サーキットアッシは省略)である。
【図3】本実施例1の方向入力装置の側面図(サーキットアッシは省略)である。
【図4】図2のS4−S4線における断面図である。
【図5】図2のS5−S5線における断面図である。
【図6】図2のS6−S6線における断面図である。
【図7】図2のS4−S4線における斜め方向回動時の作用を説明する図である。
【図8】図2のS5−S5線における十字方向回動時の作用を説明する図である。
【図9】図2のS6−S6線における十字方向回動時の作用を説明する図である
【図10】図4のS7−S7線における断面図である。
【図11】図7のS8−S8線における斜め方向回動時の作用を説明する断面図である。
【図12】図8のS9−S9線における十字方向回動時の作用を説明する断面図である。
【図13】可動境界形状を示す説明図である。
【図14】実施例2の方向入力装置の可動境界形状を示す説明図である。
【図15】実施例2の方向入力装置の係合部及び制限部を示す断面図である。
【図16】実施例3の方向入力装置の係合部及び制限部を示す断面図である。
【図17】実施例4の方向入力装置の係合部及び制限部を示す断面図である。
【符号の説明】
【0048】
1 ダイヤルノブ
1a 上端部
1b 突出部
1c 開口部
1d 固定部
2 ジョイパッドノブ
2a 上端部
2b 突起部
2c、2d、2e、2f、3b 押下部
2g 開口部
3 決定ノブ
3a 円周溝
3b 押下部
4 決定スプリング
5 ホルダジョイパッド
6 ホルダアッパジョイント
6a 外側筒部
6b 係止ピン
6c 係合部
7 ジョイパッドスプリング
8 スライダジョイパッド
9 ガイドライト
9a 円錐溝
9b テーパ角
9c、11e 脚部
9d 制限部
10 ベースダイヤル
10a 上方筒部
10b 舌片部
10c 凹凸溝
11 ベースジョイパッド
11a 外溝
11b、11d 爪部
11c 突部
11f 貫通溝
12a、12b、12c、12d、14 プッシュロッド
13a、13b、13c、13d、15 タクトスイッチ
17 サーキットアッシ
20 ダイヤルスプリングポジション
21 ダイヤルスライダポジション
30 指

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多方向への入力操作により動作する可動部と、
前記可動部に対して多方向へ配置され、前記可動部の動作を検出する複数の検出部と、
を備えた方向入力装置において、
前記可動部は、隣り合う前記検出部の間となる方向入力に対して、隣り合う前記検出部の両方で検出されるよう動作するものであり、
隣り合う前記検出部間への操作入力の際に、前記可動部が動作しやすくなるよう、隣り合う前記検出部の両方が検出する位置へ誘導する手段を設けた、
ことを特徴とする方向入力装置。
【請求項2】
請求項1に記載の方向入力装置において、
前記可動部の可動範囲を制限する可動範囲制限手段を設け、
前記誘導手段は、
前記可動範囲制限手段の可動境界形状である、
ことを特徴とする方向入力装置。
【請求項3】
請求項2に記載の方向入力装置において、
前記可動境界形状は、
隣り合う検出部の両方が検出する位置を頂点とする角部を有する形状である、
ことを特徴とする方向入力装置。
【請求項4】
請求項3に記載の方向入力装置において、
前記角部は、
角部を構成する2辺又は2面が90度以下の小さい角を形成する、
ことを特徴とする方向入力装置。
【請求項5】
請求項3又は請求項4に記載の方向入力装置において、
前記可動範囲制限手段により制限される前記可動部部分の外周に突状角部を設けた、
ことを特徴とする方向入力装置。
【請求項6】
請求項3〜請求項5のいずれか1項に記載の方向入力装置において、
前記可動境界形状は、
隣り合う角部の頂点間を内側に凹ませるよう湾曲させた、
ことを特徴とする方向入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2006−318687(P2006−318687A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−138143(P2005−138143)
【出願日】平成17年5月11日(2005.5.11)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】