説明

方法、組成物及び化合物

【課題】インクジェットに使用される化合物及びインクには過酷な性能が要求されるされるため、これらの要求に合致した化合物及びインクを提供する。
【解決手段】基材上に、以下の式(1):


の金属キレート化合物及びその塩を含有するインクを、インクジェット印刷機によって、それに適用することを含む、イメージを印刷するための方法。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の分野】
【0002】
本発明は、化合物、インク及びインクジェット印刷(“IJP”)におけるこれらの使用に関する。IJPは、インクの液滴を、微細なノズルから基材上にノズルを基材と接触させることなく射出する非衝撃的印刷技術である。
【背景技術】
【0003】
IJPに使用される化合物及びインクに対して、多くの過酷な性能の要求が存在する。例えばこれらは、好ましくは良好な耐水堅牢性、耐光堅牢性及び光学濃度を有する鮮明な、にじみのないイメージを与える。インクは、基材に適用された場合に、にじみを防止するために急速に乾燥することがしばしば要求されるが、しかしこれらは、インクジェットノズルの先端に硬皮を形成してはならず、これは印刷機の作業を停止するためである。インクは、更に、微細なノズルを閉塞することができる分解又は沈殿を形成することなく、長時間の保存に対して安定でなければならない。
【0004】
国際特許出願公開WO01/48090は、ナフトール成分及び複素環基を含む金属キレートアゾ化合物に関する。然しながら、WO01/48090は、トリアゾール環によって更に置換されたこのような化合物を開示してはいない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
IJPの過酷な性能の要求に合致し、そして特別に、高い彩度(即ち明度)、高い耐光堅牢性及び酸化性ガス(例えばオゾン)に対する堅牢性の良好な組み合わせを有する化合物に対する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の側面によれば、以下の式(1):
【0007】
【化1】

【0008】
の金属キレート化合物及びその塩が提供され、
式中:
A及びBの片方は、OHであり、そして他方は、アゾトリアゾール基であり;
それぞれのWは、独立にカルボキシ又はカルボンアミド基であり;
それぞれのXは、独立にH、スルホンアミド、カルボキシ、スルホ及びカルボンアミド以外の置換基であり;
Jは、スルホンアミド基であり;
Mは、金属又はホウ素であり;
a、p、q及びnは、それぞれ独立に0、1、2、3又は4であり;そして
(p+q+a+n)は、0、1、2、3又は4である。
【0009】
好ましくはnは、1、2又は3であり、更に好ましくは1又は2である。
好ましいアゾトリアゾール基は、以下の式(2a)、(2b)、(2c)、(2d)又は(2e):
【0010】
【化2】

【0011】
のものであり、
式中:
Zは、H、−OH、−Br、−Cl、−F、−CN、−NO、−PO、−SOH、−COH、所望により置換されたホスホルアミド、所望により置換されたアルキル、所望により置換されたアルケニル、所望により置換されたアルキニル、所望により置換されたアリール、所望により置換されたアラルキル、−SR、−SO、−SONR、−SOR、−OR、−C(O)R、−C(O)OR、−C(O)NR、−NR、NHCORであり;そして
Yは、CF又はZに対して定義した基のいずれか一つであり;そして
ここにおいて:
、R及びRは、それぞれ独立にH、所望により置換されたアルキル、所望により置換されたアルケニル、所望により置換されたアルキニル、所望により置換されたアリール又は所望により置換されたアラルキルであるか;或いは
及びRは、これらが接続している窒素といっしょに、所望により置換された5又は6員の環を形成する。
【0012】
Y又はZが、所望により置換されたホスホルアミドである場合、このホスホルアミドは、好ましくは所望により置換されたアルキル、所望により置換されたアリール又は所望により置換されたアラルキルによって置換されている。好ましい置換基は、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、ヒドロキシエチル、所望により置換されたフェニル又は所望により置換されたベンジルを含む。
【0013】
Y又はZが所望により置換されたアルキルである場合、このアルキル基は、好ましくは所望により置換されたC1−4−アルキル、更に好ましくはハロ、ヒドロキシ、カルボキシ、スルホ又はシアノによって所望により置換されたC1−4−アルキルである。例は、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、トリフルオロメチル、ヒドロキシエチル、シアノエチル、スルホプロピル及びカルボキシエチルを含む。然しながら、Y又はZが、所望により置換されたアルキルである場合、このアルキル基がメチル、エチル又はトリフルオロメチルであることが特に好ましい。
【0014】
Y又はZが、所望により置換されたアルケニルである場合、Y又はZは、好ましくは所望により置換されたC−Cアルケニルである。
【0015】
Y又はZが、所望により置換されたアルキニルである場合、Y又はZは、好ましくは所望により置換されたC−Cアルキニルである。
【0016】
Y又はZが、所望により置換されたアリールである場合、このアリールは、好ましくは所望により置換されたフェニル、所望により置換されたナフチル又は所望により置換されたヘテロアリールである。Yが、所望により置換されたアリールである場合、これが、所望により置換されたフェニル又は所望により置換されたヘテロアリールであることが特に好ましい。
【0017】
Yが、所望により置換されたアリールである場合のYにおける好ましい所望による置換基は、スルホ、カルボキシ、ニトロ、シアノ、ハロ(好ましくはクロロ)、アルコキシ(好ましくはC1−6−アルコキシ)、アルキル(好ましくはC1−6−アルキル)(該アルキルはハロゲン(好ましくはフルオロ)、ヒドロキシ、カルボキシ、リン酸及びスルホによって所望により置換されていてよい)を含む。Yが所望により置換されたアリールである場合のYにおける特に好ましい所望による置換基は、C1−4−アルキル、カルボキシ、リン酸及びスルホから選択される。然しながら、Yが所望により置換されたアリールである場合、アリール基がカルボキシによって置換されていることが最も好ましい。
【0018】
Zが所望により置換されたアリールである場合のZにおける好ましい所望に
よる置換基は、スルホ、カルボキシ、ニトロ、シアノ、ハロ(好ましくはクロロ)、アルコキシ(好ましくはC1−6−アルコキシ)、アルキル(好ましくはC1−6−アルキル)(該アルキルはハロゲン(好ましくはフルオロ)、ヒドロキシ、カルボキシ、リン酸及びスルホによって所望により置換されていてよい)を含む。所望により置換されたアリールとしてのZにおける特に好ましい所望による置換基は、カルボキシ又はハロゲン(好ましくはクロロ)から選択される。
【0019】
Y又はZが、所望により置換されたアラルキルである場合、このアラルキル基は、好ましくは所望により置換されたベンジルである。
【0020】
然しながら、式(2a)、(2b)、(2c)、(2d)又は(2e)中のYは、好ましくはH、チオール、カルボキシ、ハロ(好ましくはクロロ)、アルキル((好ましくはC1−6−アルキル)(該アルキルはヒドロキシ、カルボキシ、ハロ(好ましくはフルオロ)又はスルホによって所望により置換されていてよい)である。式(2a)ないし(2e)中のYが、H、C1−4−アルキル或いはカルボキシ又はスルホであることが特に好ましい。然しながら、YがH又はCOHであることが、最も特に好ましい。
【0021】
式(2a)ないし(2e)中のZは、好ましくはH、エチルエステル又はヒドロキシ、カルボキシ、ハロ(好ましくはフルオロ)又はスルホによって所望によって置換されたアルキル(好ましくはC1−4−アルキル)である。式(2a)ないし(2e)中のZが、H又はC1−4−アルキルであることが特に好ましい。然しながら、ZがHであることが最も特に好ましい。
【0022】
一つの態様において、ZはHであり、そしてYがH又はCOHである。
、R及びRは、それぞれ独立に、好ましくはH、所望により置換されたC1−4−アルキル又は所望により置換されたアリール、更に好ましくはH、ヒドロキシ、カルボキシ、スルホ又はシアノによって所望により置換されたC1−4−アルキル、或いはヒドロキシ、カルボキシ、スルホ、ニトロ、トリフルオロメチル又はシアノによって所望により置換されたフェニルである。R、R及びRによって表される基の例は、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、ヒドロキシエチル、シアノエチル、スルホプロピル、カルボキシエチル又はカルボキシフェニルを含む。然しながらR、R及びRが、H、所望により置換されたC1−4−アルキル、例えばトリフルオロメチル、ヒドロキシエチル若しくはシアノエチル、又は所望により置換されたアリール、例えばカルボキシによって所望により置換されたフェニルであるか;或いはR及びRがこれらが接続している窒素といっしょに5又は6員の環(好ましくはモルホリン、ピペリジン又はピペラジン)を形成することが特に好ましい。
【0023】
所望による置換基Xは、好ましくは−OH、−Br、−Cl、−F、−CF、−CN、−NO、−PO、所望により置換されたアルキル、所望により置換されたアルケニル、所望により置換されたアルキニル、所望により置換されたアリール、所望により置換されたアラルキル、−SR、−SO、−SOR、−OR、−C(O)R、−C(O)OR、又は−NRであり;
ここにおいて:
、R及びRは、それぞれ独立にH、所望により置換されたアルキル、所望により置換されたアルケニル、所望により置換されたアルキニル、所望により置換されたアリール、所望により置換されたアラルキルであるか;或いは
及びRは、これらが接続している窒素といっしょに、所望により置換された5又は6員の環を形成し;そして
は、Rのために定義した基のH以外のいずれか一つである。
【0024】
Xが、所望により置換されたアルキルである場合、これは、好ましくは所望により置換されたC1−4−アルキル、更に好ましくはハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、スルホ又はシアノによって所望により置換されたC1−4−アルキルである。例は、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、ヒドロキシエチル、シアノエチル、スルホ、プロピル及びカルボキシエチルを含む。然しながら、Xが、所望により置換されたC1−4−アルキルである場合、これが、シアノ又はハロゲン(好ましくはフルオロ)によって置換されていることが特に好ましい。
【0025】
Xが、所望により置換されたアルケニルである場合、これは、好ましくは所望により置換されたC−Cアルケニルである。
【0026】
Xが、所望により置換されたアルキニルである場合、これは、好ましくは所望により置換されたC−Cアルキニルである。
【0027】
Xが、所望により置換されたアリールである場合、これは、好ましくは所望により置換されたフェニル又は所望により置換されたナフチルである。Yが、所望により置換されたアリールである場合、これは、所望により置換されたフェニルであることが特別好ましい。
【0028】
Xが所望により置換されたアリールである場合のXにおける好ましい所望による置換基は:スルホ、カルボキシ、ハロゲン(好ましくはクロロ)アルコキシ(好ましくはC1−6−アルコキシ)又はハロゲン、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、カルボキシ、リン酸若しくはスルホによって所望により置換されたアルキル(好ましくはC1−6−アルキル)を含む。
【0029】
Xが、所望により置換されたアラルキルである場合、これは好ましくはベンジルによって所望により置換されている。
【0030】
Xが、電子求引性基、例えばニトロ、シアノ又はトリフルオロメチルであることが特に好ましい。
【0031】
XがCNであることが最も特に好ましい。
所望により置換されたスルホンアミド基Jは、好ましくは式SONRのものであり、式中、R及びRは、それぞれ独立にH、所望により置換されたアルキル、所望により置換されたアルケニル、所望により置換されたアルキニル、所望により置換されたアリール、所望により置換されたアラルキルであるか;或いは
及びRは、これらが接続している窒素といっしょに、所望により置換された5又は6員の環を形成する。
【0032】
及びRが、所望により置換されたアルキルである場合、それぞれは、好ましくは所望により置換されたC1−4−アルキル、更に好ましくはハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、スルホ又はシアノによって所望により置換されたC1−4−アルキルである。例は、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、ヒドロキシエチル、シアノエチル、スルホ、プロピル及びカルボキシエチルを含む。然しながら、R10及びR11のいずれかが、所望により置換されたC1−4−アルキルである場合、それぞれがシアノ又はハロゲン(好ましくはフルオロ)によって置換されていることが特に好ましい。
【0033】
又はRが、所望により置換されたアルケニルである場合、それぞれは、好ましくは所望により置換されたC−Cアルケニルである。
【0034】
又はRが、所望により置換されたアルキニルである場合、それぞれは、好ましくは所望により置換されたC−Cアルキニルである。
【0035】
又はRが、所望により置換されたアリールである場合、それぞれは、好ましくは所望により置換されたフェニル又は所望により置換されたナフチルである。R又はRが、所望により置換されたアリールである場合、それぞれが、所望により置換されたフェニルであることが特に好ましい。
【0036】
又はRが所望により置換されたアリールである場合のR又はRにおける好ましい所望による置換基は:スルホ、カルボキシ、ニトロ、シアノ、ハロゲン(好ましくはクロロ)、アルコキシ(好ましくはC1−6−アルコキシ)又はハロゲン、(好ましくはフルオロ)、ヒドロキシ、カルボキシ、リン酸若しくはスルホによって所望により置換されたアルキル(好ましくはC1−6−アルキル)を含む。
【0037】
又はRが所望により置換されたアラルキルである場合、それぞれは、好ましくはベンジルによって所望により置換されている。
【0038】
及びRは、それぞれ最も好ましくは独立にH、或いは所望により置換されたアリール、最も好ましくは所望により置換されたフェニル又は所望により置換されたナフチルである。R又はRが所望により置換されたアリールである場合のR又はRにおける特に好ましい所望による置換基は、C1−4−アルキル、カルボキシ、リン酸又はスルホを含む。然しながら、R及びRの片方がHであり、そして他方が所望により置換されたアリール、好ましくはカルボキシ基を保持するアリール基であることが最も特に好ましい。
【0039】
Wが、カルボンアミド基である場合、これは、好ましくは式−C(O)NRのものであり、ここにおいてR及びRは、独立に本明細書中で先に定義した通りである。
【0040】
然しながら、Wは、最も好ましくは式COHのカルボン酸基又はその塩或いは式CONRのカルボンアミド基であり、式中、R及びRの片方はHであり、そして他方は、所望により置換されたアリール、好ましくは所望により置換されたフェニルであり、ここにおいてフェニル基は、一つ又はそれより多い水溶性基を保持する。このような水溶性基の例は、リン酸、カルボキシ及びスルホを含む。
【0041】
Mは、好ましくはホウ素或いは一つ又はそれより多い次の金属:ニッケル、クロム、コバルト、銅、亜鉛、鉄又はマンガンを含む。金属は、好ましくは角カッコ内に示した化合物の部分に、それぞれ1:1、2:1、2:2、2:3の比で配位結合することが可能である。然しながら、Mが、ニッケルであることが、これが得られる化合物の良好な彩度特性となるために、特別に好ましい。Mが、角カッコ内の部分と1:1及び2:1の比で配位結合することが可能であることも更に好ましい。
【0042】
第1の好ましい態様
本発明の第1の側面の第1の好ましい態様において、pは、1、2、3又は4であり;a、q及びnは、それぞれ独立に0、1、2、3又は4であり;そして(p+q+a+n)は、1、2、3又は4である。
【0043】
本発明の第1の側面の第1の好ましい態様の化合物に特定的な選択は:
pが、1、2又は3、更に好ましくは1又は2であることが好ましい。
【0044】
nが、0、1又は2、更に好ましくは1又は2であることが好ましい。
qが、0、1又は2、更に好ましくは0又は1であることが好ましい。
【0045】
aが、0、1又は2、更に好ましくは0又は1、特に0であることが好ましい。
【0046】
好ましくは本発明の第1の側面の第1の好ましい態様の化合物は、一つ又はそれより多い水溶性基、例えば、スルホ、カルボキシ又はリン酸基、更に好ましくは少なくとも一つのスルホ基を含む。
【0047】
好ましくは(p+q+a+n)は、1、2、3又は4、更に好ましくは2又は3である。
【0048】
第2の好ましい態様
本発明の第1の側面の第2の好ましい態様において、式(1)の化合物は、以下の式(1a):
【0049】
【化3】

【0050】
の金属キレート化合物又はその塩であり、
式中:
n及びaは、それぞれ独立に0、1、2、3又は4であり;
qは、1、2、3又は4であり;
(a+q+n)は、1、2、3又は4であり;そして
A、B、X、J及びMは、本明細書中で先に定義した通りである。
【0051】
本発明の第1の側面の第2の好ましい態様の化合物に特定的な選択は:
nが、0、1又は2、更に好ましくは1又は2、そして特に1であることが好ましい。
【0052】
aが、0、1、2又は3、更に好ましくは0、1又は2、特に0又は1、さらに特に0であることが好ましい。
【0053】
qが、1又は2であることが好ましい。
好ましくは(a+q+n)の値は、2又は3である。
【0054】
好ましくは式(1a)の化合物は、一つ又はそれより多い、例えばスルホ、カルボキシ又はリン酸基のような水溶性基を含む。
【0055】
式(1a)の化合物が、以下の式(1a−1)又は(1a−2):
【0056】
【化4】

【0057】
の金属キレート化合物であることが特に好ましく、
式中:
Dは、アゾトリアゾール基、好ましくは本明細書中で先に定義した通りの式(2a)、(2b)、(2c)、(2d)又は(2e)であり;
qは、1又は2であり;
nは、1又は2であり;
aは、0又は1であり;
Mは、金属、好ましくはニッケルであり;そして
J及びXは、本明細書中で先に定義した通りである。
【0058】
好ましくは(a+q+n)は、2又は3である。
金属キレート化合物が式(1a−1)のものである場合、ナフチレン環の2位にあるDに対して、一つのスルホンアミド基がナフチレン環の4位に、そして一つのスルホンアミド基がナフチレン環の8位に存在することが好ましい。
【0059】
金属キレート化合物が式(1a−2)のものである場合、ナフチレン環の1位にあるDに対して、少なくとも一つのスルホンアミド基がナフチレン環の3位に存在するか、又は一つのスルホンアミド基がナフチレン環の6位に存在することが好ましい。
【0060】
前述の選択の観点から、式(1a)の化合物は、好ましくは以下の式(1a−3)又は(1a−4):
【0061】
【化5】

【0062】
の金属キレート化合物又はその塩であり、
式中:
D、M及びJは、本明細書中で先に定義した通りである。
【0063】
式(1a−3)又は(1a−4)において、Dは、好ましくは本明細書中で先に定義した通りの式(2a)、(2b)、(2c)、(2d)又は(2e)である。
【0064】
式(1a−3)及び(1a−4)の化合物に対して、JがSONRであることが特に好ましく、ここにおいてR又はRの片方はHであり、そして他方は所望により置換されたアリール、更に特にカルボキシ基を保持するアリール基である。然しながら、R又はRの片方がHであり、そして他方がカルボキシフェニル基であることが最も好ましい。
【0065】
第3の好ましい態様
本発明の第1の側面の第3の好ましい態様において、式(1)の化合物は、以下の式(1b):
【0066】
【化6】

【0067】
の金属キレート化合物又はその塩であり、
式中:
aは、1、2、3又は4であり;
nは、0、1、2、3又は4であり;
(a+n)は、1、2、3又は4であり;そして
A、B、X及びMは、本明細書中で先に定義した通りである。
【0068】
式(1b)の化合物に特定的な選択は、以下の通りである:
nが、0、1又は2、更に好ましくは1又は2であることが好ましい。
【0069】
aが、1、2又は3、更に好ましくは1又は2、そして特に1であることが好ましい。
【0070】
好ましくは(a+n)の値は、2、3又は4、更に好ましくは2又は3、特に3である。
【0071】
好ましくは式(1b)の化合物は、一つ又はそれより多い水溶性基、例えばスルホ、カルボキシ又はリン酸基を含む。更に好ましくは式(1b)の化合物は、二つのスルホ基を保持する。
【0072】
式(1b)の化合物が、以下の式(1b−1)又は(1b−2):
【0073】
【化7】

【0074】
の金属キレート化合物であることが特に好ましく、
式中:
Dは、アゾトリアゾール基、好ましくは本明細書中で先に定義した通りの式(2a)、(2b)、(2c)、(2d)又は(2e)であり;
Xは、−OH、−Br、−Cl、−F、−CF、−CN、−NO、−PO、所望により置換されたアルキル、所望により置換されたアルケニル、所望により置換されたアルキニル、所望により置換されたアリール、所望により置換されたアラルキル、−SR、−SO、−SOR、−OR、−C(O)R、−C(O)OR、又は−NRであり;
ここにおいて:
、R及びRは、それぞれ独立にH、所望により置換されたアルキル、所望により置換されたアルケニル、所望により置換されたアルキニル、所望により置換されたアリール、所望により置換されたアラルキルであるか;或いは
及びRは、これらが接続している窒素といっしょに、所望により置換された5又は6員の環を形成し;そして
は、Rのために定義した基のH以外のいずれか一つである。
【0075】
Mは、金属、好ましくはニッケルであり;
aは、1又は2;好ましくは1であり;そして
nは、1又は2である。
【0076】
第4の好ましい態様
本発明の第1の側面の第4の好ましい態様において、式(1)の化合物は、以下の式(1c):
【0077】
【化8】

【0078】
の金属キレート化合物又はその塩であり、
式中:
nは、0ないし4であり;そして
A、B及びMは、本明細書中で先に定義した通りである。
【0079】
式(1c)の化合物に特定的な選択は、以下の通りである:
nが、0、1、2又は3、更に好ましくは1、2又は3、特に1又は2であることが好ましい。
【0080】
式(1c)の化合物が、以下の式(1c−1)又は(1c−2):
【0081】
【化9】

【0082】
の金属キレート化合物であることが特に好ましく、
式中、Dは、アゾトリアゾール基、好ましくは本明細書中で先に定義した通りの式(2a)、(2b)、(2c)、(2d)又は(2e)のものであり;nは、1又は2であり;そしてMは、ニッケルである。
【0083】
金属キレート化合物が式(1c−1)のものである場合、ナフチレン環の2位にあるDに対して、一つのスルホン酸基がナフチレン環の4位に、そして一つのスルホン酸基がナフチレン環の8位に存在することが好ましい。
【0084】
金属キレート化合物が式(1c−2)のものである場合、ナフチレン環の1位にあるDに対して、一つのスルホン酸基がナフチレン環の3位に、そして一つのスルホン酸基がナフチレン環の7位に存在することが好ましい。
【0085】
前述の選択の観点から、式(1c)の化合物は、好ましくは以下の式(1c−3)又は(1c−4):
【0086】
【化10】

【0087】
の金属キレート化合物又はその塩であり、
式中:
Dは、本明細書中で先に定義した通りの、そして好ましい式(2a)、(2b)、(2c)、(2d)又は(2e)の基であり、Mは、金属、更に好ましくはニッケルである。
【0088】
Dが、式(2a)、(2b)、(2c)、(2d)又は(2e)の基である場合、Yは、好ましくはH又はCOHであり、そしてZは、好ましくはHである。
【0089】
第2、第3及び第4の態様の化合物は、これらの良好な彩度、耐光堅牢性及び酸化性ガスに対する堅牢性の優れた組み合わせのために、第1の好ましい態様の化合物より好ましい。これらの化合物は、Mがニッケルである場合に特別に好ましい。
【0090】
本発明の化合物は、色がマゼンタであることが特に好ましい。好ましくは本発明の化合物は、普通紙に印刷された場合、少なくとも50の彩度を有する。
【0091】
本発明の第1の側面の化合物は、インクジェット印刷のインクに組み込まれた場合、高い耐光堅牢性及び良好な光学密度を示す印刷物を与える。本発明の第1の側面の化合物は、更に高度に可溶性であり、これは、操作性を改良し、そしてこの化合物を含有するインクをインクジェット印刷機で使用した場合に、硬皮形成及びノズルの閉塞を減少する。
【0092】
本発明の第1の側面の化合物は、好ましくは繊維反応性基を含まない。用語、繊維反応性基は、当技術において公知であり、そして例えばEP0356014A1中に記載されている。繊維反応性基は、適した条件下で、セルロース質繊維中に存在するヒドロキシル基又は天然の繊維中に存在するアミノ基と反応して、繊維及び染料間に共有連結を形成することが可能である。好ましくは本発明の第1の側面の化合物中に存在しない繊維反応性基の例は、硫黄原子に対してベータ位の硫酸エステル基を含有する脂肪族スルホニル基、例えばベータ−スルファト−エチルスルホニル基、脂肪族カルボン酸のアルファ、ベータ−不飽和アシルラジカル、例えばアクリル酸、アルファ−クロロ−アクリル酸、アルファ−ブロモアクリル酸、プロピオル酸、マレイン酸並びにモノ−及びジクロロマレイン酸;更にアルカリの存在中でセルロースと反応する置換基を含有する酸のアシルラジカル、例えばクロロ酢酸、ベータクロロ及びベータ−ブロモプロピオン酸並びにアルファ、ベータ−ジクロロ−及びジブロモプロピオン酸のようなハロゲン化脂肪族酸のラジカル、或いはビニルスルホニル−又はベータ−クロロエチルスルホニル−若しくはベータ−スルファトエチル−スルホニル−エンド−メチレンシクロヘキサンカルボン酸のラジカルを挙げることができる。セルロース反応性基の他の例は、テトラフルオロシクロブチルカルボニル、トリフルオロ−シクロブテニルカルボニル、テトラフルオロシクロブチルエテニルカルボニル、トリフルオロ−シクロブテニルカルボニル;活性化されたハロゲン化1,3−ジシアノベンゼンラジカル;並びに複素環式環中の1、2又は3個の窒素原子及び環の炭素原子上の少なくとも一つのセルロース反応性置換基を含有する複素環ラジカルである。
【0093】
本発明の第1の側面の化合物は、遊離酸又は塩の形態であることができる。好ましい塩は、水溶性、例えばアルカリ金属塩、特にリチウム、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、置換されたアンモニウム及びこれらの混合塩である。好ましいアルカリ金属塩は、ナトリウム又はリチウムアンモニウムとのもの及び置換されたアルキルアンモニウム塩である。
【0094】
好ましいアンモニウム及び置換されたアルキルアンモニウム塩は、式NVのカチオンを有し、ここにおいて、それぞれのVは、独立にH又は所望により置換されたアルキルであるか、或いはVによって表される二つの基がH又は所望により置換されたアルキルであり、そしてVによって表される残りの二つの基が、これらが接続しているN原子といっしょに、5又は6員の環(好ましくはモルホリニル、ピリジニル又はピペリジニル環)を形成する。
【0095】
好ましくはそれぞれのVは、独立にH又はC1−4−アルキル、更に好ましくはH、CH又はCHCH、特にHである。
【0096】
カチオンの例は、NH、モルホリニウム、ピペリジニウム、ピリジニウム、(CHH、(CH、H(CH)(CHCH)、CH、CHCH、H(CHCH、CHCHCH、(CHCHN、N(CH、N(CHCH、Nメチルピリジニウム、N,Nジメチルピペリジニウム及びN,Nジメチルモルホリニウムを含む。
【0097】
化合物が、ナトリウム、リチウム、カリウム、アンモニウム、又は置換されたアンモニウム塩の形態であることが、これらの塩が、インクジェット印刷用インクに組み込まれた場合に、高い耐光堅牢性を示す印刷物を与えることが見出されているために、特に好ましい。
【0098】
好ましくは金属キレート化合物は、以下のリガンドaないしe:
【0099】
【化11】

【0100】
のいずれもの銅又はニッケルキレート或いはこれらのいずれもの塩ではない。
好ましくは金属キレート化合物は、以下のリガンドf:
【0101】
【化12】

【0102】
のクロムキレート又はそのいずれもの塩ではない。
好ましくは金属キレート化合物は、以下のリガンドg又はh:
【0103】
【化13】

【0104】
のコバルトキレート或いはこれらのいずれもの塩ではない。
好ましくは金属キレート化合物は、以下のリガンドi又はj:
【0105】
【化14】

【0106】
のクロムキレート或いはこれらのいずれもの塩ではない。
好ましくは金属キレート化合物は、以下のリガンドk、l又はm:
【0107】
【化15】

【0108】
の金属キレート或いはこれらのいずれもの塩ではない。
好ましくは金属キレート化合物は、上記のリガンドf及びmを含むfないしm、更に好ましくはa及びmを含むaないしmのいずれもの金属キレート、又はこれらのいずれもの塩ではない。
【0109】
本発明の第1の側面の化合物は、金属キレート化合物の調製のための慣用的な技術を使用して調製することができる。例えば適した方法は、金属塩の溶液を、以下の式(3):
【0110】
【化16】

【0111】
の化合物の溶液にいっしょに加えることを含んでなり、
式中:
A、B、J、X、W、n、a、p及びqは、式(1)の化合物に関して本明細書中で先に定義した通りである。
【0112】
上記の方法の生成物は、本明細書中で先に記載した通りの慣用的な技術によって、塩に転換することができる。別の方法として、生成物は、反応混合物を酸性化することによって、好ましくは無機酸、例えば塩酸を使用してその遊離酸の形態で単離することができ、そして生成物が固体として沈殿する場合、これは混合物から濾過によって分離することができる。所望しないアニオンは、この方法の生成物から透析、浸透、限外濾過又はこれらの組み合わせによって除去することができ、そして好ましくは除去される。別の方法として、生成物の溶液は、生成物を単離せずに上記の精製に直接かけられる。
【0113】
式(3)の化合物は、例えば式A−NHの化合物をジアゾ化して、ジアゾニウム塩を得て、そして得られたジアゾニウム塩を以下の式(3a):
【0114】
【化17】

【0115】
の化合物とカップリングすることによって調製することができ、式中、Aはトリアゾール基であり、L又はBの片方はOHであり、そして他方はHであり、そしてJ、X、W、n、p及びqは、本明細書中で先に定義した通りである。
【0116】
ジアゾ化は、好ましくは6℃より低い温度で、更に好ましくは−10℃ないし5℃の範囲の温度で行われる。好ましくはジアゾ化は、水中で、好ましくは7より低いpHで行われる。希釈無機酸、例えばHCl又はHSOが所望する酸性の条件を達成するためにしばしば使用される。
【0117】
本発明は、更に二つ又はそれより多い本発明の第1の側面の化合物又はその塩を含む混合物を包含する。更に、本発明の第1の側面の化合物は、商業的に入手可能な染料、特にInternational Colour Indexに列挙されているものと混合して、色調又は他の特性を所望するように調節することができる。
【0118】
本発明の第2の側面によれば:
(a)一つ又はそれより多い本発明の第1の側面による化合物;及び
(b)一つ又はそれより多い本発明の第1の側面による化合物以外の水溶性染料;
を含む組成物が提供される。
【0119】
水溶性染料は、好ましくは水溶性マゼンタ染料、例えばキサンテン染料、アゾ又はビスアゾ染料、更に好ましくはアニオン性アゾ又はビスアゾ染料、そして特にスルホン酸、カルボン酸及びチオカルボン酸基から選択される一つ又はそれより多い基を含有するアゾ又はビスアゾ染料である。
【0120】
好ましい水溶性マゼンタ染料は、C.I.酸性赤50、52、87、91、92、95、249及び289;C.I.直接バイオレット106及び107;WO96/24636の8及び9頁に記載されている化合物100ないし107、200及び201;米国特許第5,542,970号の第4ないし10欄に示し記載されている化合物1ないし24;EP−A−682 088の7ないし17頁に記載されている化合物1ないし55;EP−A−194,885の実施例1ないし6に示されている化合物1ないし14;EP−A−717 089の8ないし13頁に記載されている化合物1ないし24;米国特許第5,262,527号の第5ないし11欄の実施例1ないし16に記載されている化合物;及びWO94/16021の実施例1ないし21に記載されている染料を含む。
【0121】
本発明の第2の側面による組成物中で使用するための特に好ましい水溶性マゼンタ染料は、C.I.酸性赤52、C.I.酸性赤289又は以下の式(4)、(5)及び(6):
【0122】
【化18】

【0123】
の染料並びにこれらの塩を含む。
式(4)の染料は、EP 0 559 310の実施例1に記載されている方法を使用して調製することができる。式(5)の染料は、PCT公開番号WO94/16021の実施例3に記載されている方法を使用して調製することができる。式(6)の染料は、WO96/24636の実施例1に記載されている方法を使用して調製することができる。
【0124】
本発明の第2の側面による組成物は、好ましくは:
(a)合計で1ないし99、更に好ましくは3ないし70、そして特に5ないし50部の本発明の第1の側面による化合物(類);及び
(b)合計で99ないし1、更に好ましくは30ないし97部、そして特に95ないし50部の水溶性マゼンタ染料(類);
を含んでなり、ここにおいて部は重量により、そして部の合計(a)+(b)=100である。
【0125】
組成物は、本発明の第1の側面による単一の染料又はこれらの混合物を含有することができる。同様に、組成物は、単一の水溶性マゼンタ染料或いは二つ又はそれより多い水溶性マゼンタ染料の混合物を含有することができる。
【0126】
本発明の第1及び第2の側面による化合物及び組成物は、これらがインクジェット印刷のためのインク中に組み込まれる前に、所望しない不純物を除去するために精製することができ、そして好ましくは精製される。慣用的な技術、例えば限外濾過、逆浸透及び/又は透析を精製のために使用することができる。
【0127】
本発明の第3の側面によれば:
(a)本発明の第1の側面による化合物、又は本発明の第2の側面による組成物;及び
(b)液体媒体;
を含むインクが提供される。
【0128】
好ましくはインクの成分(a)は、本発明の第1又は第2の側面に関連して本明細書中で先に記載した通りの好ましい化合物又は組成物の一つであるか、又は含む。
【0129】
液体媒体は、好ましくは:
(i)水;
(ii)水及び有機溶媒の混合物;又は
(iii)水を含まない有機溶媒;
を含む。
【0130】
インクの成分(a)の重量部の数は、好ましくは0.01ないし30、更に好ましくは0.1ないし20、特に0.5ないし15、そして更に特に1ないし5部である。成分(b)の重量部の数は、好ましくは99.99ないし70、更に好ましくは99.9ないし80、特に99.5ないし85、そして更に特に99ないし95部である。部(a+b)の数は、100であり、そして本明細書中で記述した全ての部は、重量による。
【0131】
好ましくは成分(a)は、成分(b)中に完全に溶解する。好ましくは成分(a)は、20℃で少なくとも10%の成分(b)中の溶解度を有する。これは、濃縮物の調製を可能にし、これは、更に希釈したインクの調製のために使用することができ、そして保存中に液体媒体の蒸発が起こった場合に、インクの成分(a)の化合物(類)が沈殿する機会を減少する。
【0132】
液体媒体が水及び有機溶媒の混合物を含む場合、水と有機溶媒の重量比は、好ましくは99:1ないし1:99、更に好ましくは99:1ないし50:50そして特に95:5ないし80:20である。
【0133】
水及び有機溶媒の混合物中に存在する有機溶媒が、水混和性有機溶媒又はこのような溶媒の混合物であることが好ましい。好ましい水混和性有機溶媒は、C1−6−アルカノール、好ましくはメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−ペンタノール、シクロペンタノール及びシクロヘキサノール;直鎖アミド、好ましくはジメチルホルムアミド又はジメチルアセトアミド;ケトン及びケトンアルコール、好ましくはアセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン及びジアセトンアルコール;水混和性エーテル、好ましくはテトラヒドロフラン及びジオキサン;ジオール、好ましくは2ないし12個の炭素原子を有するジオール、例えばペンタン−1,5−ジオール、エチレングリコール、プロピレングルコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール及びチオジグリコール並びにオリゴ−及びポリ−アルキレングリコール、好ましくはジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコール;トリオール、好ましくはグリセリン及び1,2,6−ヘキサントリオール;ジオールのモノ−C1−4−アルキルエーテル、好ましくは2ないし12個の炭素原子を有するジオールのモノ−C1−4−アルキルエーテル、特に2−メトキシエタノール、2−(2−メトキシエトキシ)エタノール、2−(2−エトキシエトキシ)−エタノール、2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エタノール、2−[2−(2−エトキシエトキシ)エトキシ]エタノール及びエチレングリコールモノアリルエーテル;環式アミド、好ましくは2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、カプロラクタム及び1,3−ジメチルイミダゾリドン;環式エステル、好ましくはカプロラクトン;スルホキシド、好ましくはジメチルスルホキシド及びスルホランを含む。好ましくは液体媒体は、水及び2種類又はそれより多い、特に2ないし8種類の水混和性有機溶媒を含む。
【0134】
特に好ましい水混和性有機溶媒は、環式アミド、特に2−ピロリドン、N−メチル−ピロリドン及びN−エチル−ピロリドン;ジオール、特に1,5−ペンタンジオール、エチレングリコール、チオジグリコール、ジエチレングリコール及びトリエチレングリコール;並びにジオールのモノ−C1−4−アルキル及びC1−4−アルキルエーテル、更に好ましくは2ないし12個の炭素原子を有するジオールのモノ−C1−4−アルキルエーテル、特に2−メトキシ−2−エトキシ−2−エトキシエタノールである。
【0135】
好ましい液体媒体は:
(a)75ないし95部の水;及び
(b)合計で25ないし5部のジエチレングリコール、2−ピロリドン、チオジグリコール、N−メチルピロリドン、シクロヘキサノール、カプロラクトン、カプロラクタム及びペンタン−1,5−ジオールから選択される一つ又はそれより多い溶媒;
を含んでなり、ここにおいて、部は重量により、そして部(a)及び(b)の合計=100である。
【0136】
もう一つの好ましい液体媒体は:
(a)60ないし80部の水;
(b)2ないし20部のジエチレングリコール;及び
(c)合計で0.5ないし20部の2−ピロリドン、N−メチルピロリドン、シクロヘキサノール、カプロラクトン、カプロラクタム、ペンタン−1,5−ジオール及びチオジグリコールから選択される一つ又はそれより多い溶媒;
を含んでなり、ここにおいて、部は重量により、そして部(a)、(b)及び(c)の合計=100である。
【0137】
水及び一つ又はそれより多い有機溶媒の混合物を含む、更なる適したインク媒体の例は、米国特許第4,963,189号、米国特許第4,703,113号、米国特許第4,626,284号及びEP4,251,50A中に記載されている。
【0138】
液体媒体が水を含まない(即ち1重量%より少ない水)有機溶媒を含む場合、溶媒は、好ましくは30°ないし200℃、更に好ましくは40°ないし150℃、特に50ないし125℃の沸点を有する。有機溶媒は、水非混和性、水混和性又はこのような溶媒の混合物であることができる。好ましい水混和性有機溶媒は、本明細書中で先に記載したいずれもの水混和性有機溶媒及びこれらの混合物である。好ましい水非混和性溶媒は、例えば脂肪族炭化水素;エステル、好ましくは酢酸エチル;塩素化された炭化水素、好ましくはCHCl;及びエーテル、好ましくはジエチルエーテル;並びにこれらの混合物を含む。
【0139】
液体媒体が水非混和性有機溶媒を含む場合、好ましくは極性溶媒が、これが染料の液体媒体中に溶解性を向上するために含まれる。極性溶媒の例は、C1−4−アルコールを含む。前述の選択の観点から、液体媒体が水を含まない有機溶媒である場合、これがケトン(特にメチルエチルケトン)及び/又はアルコール(特にエタノール又はプロパノールのようなC1−4−アルカノール)を含むことが特に好ましい。
【0140】
水を含まない有機溶媒は、単一の有機溶媒或いは二つ又はそれより多い有機溶媒の混合物であることができる。媒体が水を含まない有機溶媒である場合、これが2ないし5種類の異なった有機溶媒の混合物であることが好ましい。これは、インクの乾燥特性及び保存安定性に対して良好な制御を与えるように、媒体を選択することを可能にする。
【0141】
水を含まない有機溶媒を含むインク媒体は、迅速な乾燥時間が要求される場合、そして特別に、疎水性及び非吸収性の基材、例えばプラスチック、金属及びガラス上に印刷する場合に特別に有用である。
【0142】
特に好ましいインクは:
(a)合計で1ないし10部の本発明の第1又は第2の側面による化合物又は組成物;
(b)2ないし60、更に好ましくは5ないし40部の水溶性有機溶媒;及び
(c)30ないし97、更に好ましくは40ないし85部の水;
を含んでなり、ここにおいて、全ての部は重量により、そして部の合計(a)+(b)+(c)=100である。
【0143】
インク中の液体媒体が、水及び有機溶媒の混合物;又は水を含まない有機溶媒を含む場合、インクの成分(a)は、本発明の第1の側面に関連して本明細書中で先に定義した通りの化合物を含むことができる。
【0144】
好ましい低融点固体媒体は、60℃ないし125℃の範囲の融点を有する。適した低融点固体媒体は、長鎖脂肪酸又はアルコール、好ましくはC18−24鎖を持つもの、及びスルホンアミドを含む。本発明の第1の側面の化合物は、低融点固体中に溶解することができるか、又はその中に微細に分散することができる。
【0145】
本発明によるインクは、更にインクジェット印刷用インク中に慣用的に使用される付加的な成分、例えば粘度及び表面張力改良剤、腐食防止剤、殺生物剤、コゲーション(kogation)減少添加剤、紙が曲がるのを減少するための抗しわ剤、及びイオン性又は非イオン性であることができる界面活性剤を含有することができる。
【0146】
インクのpHは、好ましくは4ないし11、更に好ましくは7ないし10である。
【0147】
インクの25℃における粘度は、好ましくは50cPより低く、更に好ましくは20cPより低く、そして特に5cPより低い。
【0148】
本発明によるインクがインクジェット印刷用インクとして使用される場合、インクは、好ましくは100万分の500部より低い、更に好ましくは100万分の100部より低いハロゲン化物イオンの濃度を有する。インクが100万分の100部より低い、更に好ましくは50部より低い二価及び三価金属を有することが特に好ましく、ここにおいて部は、インクの全重量に対する重量部を指す。インクを精製して、これらの所望しないイオンの濃度を減少することが、特に熱式インクジェット印刷機において、インクジェット印刷用ヘッドのノズルの閉塞を減少することが見出されている。
【0149】
本発明の第4の側面は、基材上にイメージを印刷するための、インクジェット印刷機によって、本発明の第1の側面による化合物又は本発明の第2の側面による組成物を含有するインクを、その上に適用することを含む方法を提供する。
【0150】
この方法に使用されるインクは、好ましくは本発明の第3の側面において定義した通りである。
【0151】
インクジェット印刷機は、好ましくは基材上に小さいオリフィスを通して射出される液滴の形態で、インクを基材に適用する。好ましいインクジェット印刷機は、圧電式インクジェット印刷機及び熱式インクジェット印刷機である。熱式インクジェット印刷機において、プログラムされた熱のパルスが、貯蔵器中のインクにオリフィスに隣接した抵抗器によって適用され、これによってインクが小さい液滴の形態で基材及びオリフィス間の相対的な動きの中で、基材に向かって射出されることを起こす。圧電式インクジェット印刷機においては、小さい結晶の振動がオリフィスからのインクの射出を起こす。
【0152】
基材は、好ましくは紙、プラスチック、織物、金属又はガラス、更に好ましくは紙、オーバーヘッドプロジェクターのスライド又は織物生地、特に紙である。
【0153】
好ましい紙は、普通紙又は酸性、アルカリ性若しくは中性の特質を有することができる処理紙である。商業的に入手可能な紙は、HP Premium Coated Paper、HP Photopaper(全てHewlett Packard Inc.から入手可能)、Stylus Pro 720dpiCoated Paper、Epson Photo Quality Glossy Film、Epson Photo Quality Glossy Paper(Seiko Epson Corp.から入手可能)、CanonHR101 High Resolution Paper、Canon GP201 Glossy Paper、Canon HG101 High Gloss Film(全てCanon Inc.から入手可能)、Wiggins Conqueror Paper(Wiggins Teape Ltdから入手可能)、Xerox Acid Paper及びXerox Alkaline Paper、Xerox Acid Paper(Xeroxから入手可能)を含む。
【0154】
本発明の第5の側面は、本発明の第3の側面によるインクで、又は本発明の第4の側面の側面による方法によって印刷された基材、好ましくは紙、オーバーヘッドプロジェクターのスライド又は織物生地を提供する。
【0155】
本発明の第6の側面によれば、容器及びインクを含むインクジェット印刷機用カートリッジが提供され、ここにおいて、インクは容器内に存在し、そしてインクは、本発明の第1又は第2の側面による化合物又は組成物を含有する。好ましくはインクは、本発明の第3の側面によるインクである。
【0156】
本発明の第7の側面によれば、インクジェット印刷機用カートリッジを含有するインクジェット印刷機が提供され、ここにおいてインクジェット印刷機用カートリッジは、本発明の第6の側面において定義した通りである。
【0157】
本発明は、以下の実施例によって更に例示され、ここにおいて全ての部及びパーセントは、他に記述しない限り重量による。
【実施例】
【0158】
実施例1
Mがニッケルである化合物(1)の調製
【0159】
【化19】

【0160】
段階(a):
3−アミノ−1,2,4−トリアゾール−5−カルボン酸水和物(1.28g、0.01mol)を、水(50ml)中に懸濁し、そして2MのNaOHのpH8までの添加によって溶解した。亜硝酸ナトリウム(0.76g、0.011mol)を加え、そして溶液を亜硝酸ナトリウムが溶解するまで撹拌した。次いで混合物を、氷水(30g)及び濃HCl(3.0ml)の0−5℃に冷却された混合物に滴下により加え、混合物を30分間0−5℃で撹拌し、そして次いで過剰の亜硝酸をスルファミン酸を加えることによって除去した。ジアゾの懸濁液を、3−ヒドロキシ−ナフタレン−2−カルボン酸(1.88g、0.01mol)の水(100ml)中のpH7−8(2NのNaOH)の5℃より低く冷却された溶液にゆっくりと加えた。次いで反応混合物を0−5℃で1時間撹拌し、生成物を2NのHClによるpH4への酸性化によって沈殿させ、そして濾過によって収集した。生成物を水で洗浄し、そして次いで真空のデシケーター中で乾燥して、2.8gのオレンジ色の固体を得た。
【0161】
段階(b):
酢酸ニッケル四水塩(1.43g、0.0057mol)の水(10ml)中の溶液を、pH7(2NのNaOH)の水(100ml)中に溶解された段階(a)の生成物(2.5g、0.0076mol)に滴下により加えた。反応混合物を周囲温度で2時間撹拌し、SpectraPor膜管(遮断分子量3500)を使用して低伝導度まで(<100μs)透析した。化合物(1)を減圧下の蒸発によって得て、暗色の結晶質固体(3.5g)を得た。
【0162】
実施例2ないし11
表1に記載された化合物(2)ないし(11)を、段階(a)において、表1に示したナフトール(N)を3−ヒドロキシ−ナフタレン−2−カルボン酸の代わりに使用した以外は、実施例1に記載したものと類似の方法を使用して調製した。
【0163】
【表1】

【0164】
【表2】

【0165】
実施例12
Mがニッケルである化合物(12)の調製
【0166】
【化20】

【0167】
段階(a):
3−アミノ−1,2,4−トリアゾール−5−カルボン酸水和物(3.84g、0.03mol)を、水(180ml)中に懸濁し、そして2MのNaOHのpH8までの添加によって溶解した。亜硝酸ナトリウム(2.27g、0.033mol)を加え、そして溶液を亜硝酸ナトリウムが溶解するまで撹拌した。
【0168】
次いで混合物を氷水(150g)及び濃HCl(10ml)の0−5℃に冷却された混合物に滴下により加え、混合物を30分間0−5℃で撹拌し、そして次いで過剰の亜硝酸をスルファミン酸を加えることによって除去した。ジアゾの懸濁液を、2,7−ジヒドロキシナフタレン−3,6−ジスルホン酸二ナトリウム塩(10.9g、0.03mol)のpH7−8(2NのNaOH)の水中の5℃より低く冷却された懸濁液にゆっくりと加えた。次いで反応混合物を0−5℃で更に1時間撹拌し、生成物を2NのHClによるpH4への酸性化によって沈殿させ、そして濾過によって収集した。生成物を15%の食塩水で洗浄し、そして次いで真空のデシケーター中で乾燥して、11.4gのオレンジ色の固体(85%収率)を得た。
【0169】
段階(b):
酢酸ニッケル四水塩(2.30g、0.0093mol)の水(20ml)中の溶液を、pH7−8(2NのNaOH)の水(100ml)中に溶解された段階(a)の生成物(5.0g、0.0093mol)に滴下により加えた。反応混合物を2時間50−60℃で撹拌し、SpectraPor膜管(遮断分子量3500)を使用して低伝導度まで(<100μs)透析した。化合物(12)を蒸発によって暗色の結晶質固体(4.2g)として得た。
【0170】
実施例13
Mがニッケルである化合物(13)の調製
【0171】
【化21】

【0172】
化合物(13)を、段階(a)において、3−ヒドロキシ−7−ニトロ−ナフタレン−1−スルホン酸を2,7−ジヒドロキシナフタレン−3,6−ジスルホン酸の代わりに使用した以外は、実施例12に記載したものと類似の方法を使用して調製した。
【0173】
実施例14及び15
表2に記載した式(A)の化合物(14)及び(15)を、段階(a)において、2,7−ジヒドロキシナフタレン−3,6−ジスルホン酸の代わりに、表2に示したナフトール(N)を使用し、そしてカップリング反応をpH10−10.5で行った以外は、実施例12に記載したものと類似の方法を使用して調製した。Mはニッケルであり、そしてXはそれぞれエトキシ及びヒドロキシである。
【0174】
【化22】

【0175】
【表3】

【0176】
実施例16
Mがニッケルである化合物(16)の調製
【0177】
【化23】

【0178】
段階(a):2−アセトキシナフタレン−3,6−ジスルホン酸の調製
【0179】
【化24】

【0180】
無水酢酸(350ml、3.8mol)を、2−ヒドロキシナフタレン−3,6−ジスルホン酸二ナトリウム塩(87g、0.25mol)の、N,N−ジメチルアセトアミド(350ml)中の懸濁液に滴下により加えた。反応混合物を125℃で24時間撹拌し、室温まで冷却し、そしてアセトン(2500ml)を加えた。生成物を濾過して取り出し、アセトン(3×100ml)で洗浄し、そして乾燥して、95.2gのクリーム色の固体を得た。
【0181】
段階(b):3,6−ビス−(4−カルボキシ−フェニルスルファモイル)−2−ヒドロキシ−ナフタレンの調製
【0182】
【化25】

【0183】
POCl(50ml、0.538mol)を、段階(a)の生成物(50g、0.128mol)の還流中のアセトニトリル(250ml)中の懸濁液に滴下により加えた。反応混合物を3時間70℃で撹拌し、冷却し、氷/水(4000ml)に加え、そして塩化ナフタレンジスルホニルをジクロロメタン(4×300ml)で抽出した。混合した抽出物をMgSOで乾燥し、減圧下で蒸発し、そして残留物をN,N−ジメチルアセトアミド(400ml)中に溶解した。4−アミノ安息香酸(34.3g、0.25mol)を上記の溶液に加え、反応混合物を一晩室温で撹拌し、そして次いで水(3000ml)中に加えた。次いでpHを濃HSOで0.5まで下げ、そして沈殿した生成物を酢酸エチル(4×300ml)から抽出した。混合した抽出物を1NのHCl(600ml)で洗浄し、MgSOで乾燥し、そして減圧下で蒸発した。残留物をpH12(2NのNaOH)の水(1000ml)中に溶解し、そして次いで1時間50−60℃で撹拌した。溶液を冷却させ、pHを濃HClでpH4まで下げ、そして生成物を濾過して取り出し、そして乾燥して、41.5g(53%収率)の黄褐色の固体を得た。
【0184】
段階(c):
3−アミノ−1,2,4−トリアゾール−5−カルボン酸水和物(1.28g、0.01mol)を、水(50ml)中に懸濁し、そして2MのNaOHのpH8までの添加によって溶解した。亜硝酸ナトリウム(0.76g、0.011mol)を加え、そして溶液を亜硝酸ナトリウムが溶解するまで撹拌した。次いで混合物を、氷水(30g)及び濃HCl(3.0ml)の0−5℃に冷却された混合物中に滴下により加え、混合物を30分間0−5℃で撹拌し、そして次いで過剰の亜硝酸をスルファミン酸を加えることによって除去した。ジアゾの懸濁物を、段階(b)の生成物(5.42g、0.01mol)のpH7−8(2NのNaOH)の水(100ml)中の5℃より低く冷却された溶液にゆっくりと加えた。次いで反応混合物を0−5℃で更に1時間撹拌し、生成物を2NのHClによるpH4への酸性化によって沈殿させ、そして濾過によって収集した。次いで生成物を水で洗浄し、そして真空のデシケーター中で乾燥して、6.4gのオレンジ色の固体を得た。
【0185】
段階(d):化合物(16)の調製
酢酸ニッケル四水塩(1.38g、0.0055mol)の水(10ml)中の溶液を、pH7(2NのNaOH)の水(100ml)中に溶解された段階(c)の生成物(5.0g、0.0073mol)に滴下により加えた。反応混合物を2時間周囲温度で撹拌し、SpectraPor膜管(遮断分子量3500)を使用して低伝導度まで(<100μs)透析した。生成物を減圧下の蒸発によって得て、暗色の結晶質固体(6g)を得た。質量スペクトルによる分析の実測値m/z 1419。M=1420を必要とする。
【0186】
実施例17ないし20
Mがニッケルである式(B)の表3に記載された化合物(17)ないし(20)を、段階(b)において、表3に示したアミノ化合物を4−アミノ安息香酸の代わりに使用した以外は、実施例16に記載したものと類似の方法を使用して調製した。
【0187】
【化26】

【0188】
【表4】

【0189】
実施例21
Mがニッケルである化合物(21)を、段階(b)において、5−アミノイソフタル酸を1:1のモル比(5−アミノイソフタル酸:塩化ジスルホニル)で4−アミノ安息香酸の代わりに使用した以外は、実施例16に記載したものと類似の方法を使用して調製した。
【0190】
【化27】

【0191】
実施例22及び23
式(C)の表4に記載したMがニッケルである化合物(22)及び(23)を、段階(c)において、表4のアミノトリアゾール化合物を3−アミノ−1,2,4−トリアゾール−5−カルボン酸の代わりに使用した以外は、実施例1に記載したものと類似の方法を使用して調製した。
【0192】
【化28】

【0193】
【表5】

【0194】
実施例24
Mがニッケルである化合物(24)の調製
【0195】
【化29】

【0196】
段階(a):3−ヒドロキシナフタレン−2,6−ジスルホン酸の調製
【0197】
【化30】

【0198】
7−ヒドロキシナフタレン−2−スルホン酸(250g、1.16mol)を、濃HSO(950g)及び水(50g)の混合物に分割して加えた。混合物を110−120℃で3時間撹拌し、室温に冷却し、氷及び水の混合物(5000ml)中に加え、そして生成物を塩化ナトリウムの添加によって沈殿させた。スラリーを90℃に温めて、生成物を溶解し、1時間この温度で撹拌し、そして次いで冷却させた。生成物を濾過して取り出し、そして湿った生成物を、濃水酸化ナトリウム溶液の添加によるpH10の水(3000ml)中に溶解した。次いで溶液を濾過して、少量の不溶性物質を除去した。濾液のpHを濃HClで7に下げ、そして生成物を塩化ナトリウムの添加によって沈殿させた。生成物を濾過して取り出し、そして真空オーブン中で乾燥して、117gのクリーム色の固体(68%収率)を得た。
【0199】
段階(b):
化合物(24)を、段階(a)において、3−ヒドロキシナフタレン−2,6−ジスルホン酸を2−ヒドロキシナフタレン−3,6−ジスルホン酸の代わりに使用した以外は、実施例16に記載したものと類似の方法を使用して調製した。質量スペクトルによる分析の実測値m/z 1417(M−H)
【0200】
実施例25
Mがニッケルである化合物(25)の調製
【0201】
【化31】

【0202】
化合物(25)を、段階(a)において、3−ヒドロキシナフタレン−2,6−ジスルホン酸を2−ヒドロキシナフタレン−3,6−ジスルホン酸の代わりに使用し、そし段階(c)において、3−アミノ−1,2,4−トリアゾールを3−アミノ−1,2,4−トリアゾール−5−カルボン酸の代わりに使用した以外は、実施例16に記載したものと類似の方法を使用して調製した。
【0203】
実施例26
Mがニッケルである化合物(26)の調製
【0204】
【化32】

【0205】
段階(a):
【0206】
【化33】

【0207】
1,8−ナフトスルトン(25g、0.119mol)を、濃HSO(75ml)中に分割して加えた。次いで混合物を80℃で1時間撹拌し、冷却させ、そして次いで氷水(150ml)中に温度を40℃より低く維持しながらゆっくりと加えた。硫酸ナトリウム(46g)を反応混合物に加え、得られた懸濁液を10分間撹拌し、そして次いで濾過により収集した。湿った生成物を水(150ml)中に45−50℃に温めることによって溶解し、そして次いで塩化ナトリウム(35g)を加えることによって沈殿させ、そして冷却させた。生成物を濾過によって収集し、そして真空オーブン中で40℃で乾燥して、40gのクリーム色の固体(86%収率)を得た。
【0208】
段階(b):
【0209】
【化34】

【0210】
段階(a)の生成物(10g、0.035mol)を、イソブチルアミン(25ml)中に分割して加えた。反応混合物を30分間40−50℃で撹拌し、減圧下で蒸発し、そして残留物をアセトン(200ml)中でスラリー化した。生成物を濾過によって収集し、そして乾燥して、6gの淡緑色の粉末を得た。
【0211】
段階(c):
【0212】
【化35】

【0213】
3−アミノ−1,2,4−トリアゾール−5−カルボン酸水和物(1.28g、0.01mol)を、水(50ml)中に懸濁し、そして2MのNaOHのpH8までの添加によって溶解した。亜硝酸ナトリウム(0.76g、0.011mol)を加え、そして溶液を亜硝酸ナトリウムが溶解するまで撹拌した。
【0214】
次いで混合物を、氷水(30g)及び濃HCl(3.0ml)の0−5℃に冷却された混合物中に滴下により加え、混合物を30分間0−5℃で撹拌し、そして次いで過剰の亜硝酸をスルファミン酸を加えることによって除去した。ジアゾの懸濁物を、段階(b)の生成物(3.6g、0.01mol)のpH10−10.5(2NのNaOH)の水(100ml)中の5℃より低く冷却された溶液にゆっくりと加えた。次いで反応混合物を0−5℃で1時間撹拌し、生成物を2NのHClによるpH4への酸性化によって沈殿させ、そして濾過によって収集した。生成物を水で洗浄し、そして次いで真空のデシケーター中で乾燥して、4.2gのオレンジ色の固体を得た。
【0215】
段階(d):化合物(26)の調製
化合物(26)を、実施例16、段階(c)の生成物の代わりに実施例26、段階(c)の生成物を使用した以外は、実施例16、段階(d)に記載したものと類似の方法を使用して調製した。質量スペクトルによる分析の実測値m/z 1051(M−H)
【0216】
実施例27
Mがニッケルである化合物(27)の調製
【0217】
【化36】

【0218】
段階(a):
3−ヒドロキシナフタレン−2,6−ジスルホン酸を、実施例24、段階(a)に記載した方法によって調製した。
【0219】
段階(b):
【0220】
【化37】

【0221】
3−アミノ−1,2,4−トリアゾール−5−カルボン酸水和物(3.84g、0.03mol)を、水(180ml)中に懸濁し、そして2MのNaOHのpH8までの添加によって溶解した。亜硝酸ナトリウム(2.27g、0.033mol)を加え、そして溶液を亜硝酸ナトリウムが溶解するまで撹拌した。
【0222】
次いで混合物を、氷水(150g)及び濃HCl(10ml)の0−5℃に冷却された混合物中に滴下により加え、混合物を30分間0−5℃で撹拌し、そして次いで過剰の亜硝酸をスルファミン酸を加えることによって除去した。ジアゾの懸濁物を、3−ヒドロキシナフタレン−2,6−ジスルホン酸(13.4g、0.03mol)のpH7−8(2NのNaOH)の、そして5℃より低く冷却された水(300ml)中の溶液にゆっくりと加えた。次いで反応混合物を0−5℃で更に1時間撹拌し、生成物を2NのHClによるpH4への酸性化によって沈殿させ、そして濾過によって収集した。生成物を15%の食塩水溶液で洗浄し、そして次いで真空のデシケーター中で乾燥して、20gのオレンジ色の固体(60%収率)を得た。
【0223】
段階(c):化合物(27)の調製
酢酸ニッケル四水塩(2.5g、0.01mol)の水(20ml)中の溶液を、pH7−8(2NのNaOH)の水(100ml)中に溶解された段階(b)の生成物(7.43g、0.01mol)に滴下により加えた。反応混合物を2時間20℃で撹拌し、SpectraPor膜管(遮断分子量3500)を使用して低伝導度まで(<100μs)透析した。化合物(27)を減圧下の蒸発によって得て、暗色の固体(5g)を得た。質量スペクトルによる分析の実測値m/z 499(M−H)。M=500を必要とする。
【0224】
実施例28ないし31
式(D)の化合物(28)ないし(31)を、段階(c)において、表5に示した金属塩を酢酸ニッケルの代わりに使用した以外は、実施例27に記載したものと類似の方法を使用して調製した。
【0225】
【化38】

【0226】
【表6】

【0227】
実施例32ないし34
表6に記載した式(E)の化合物(32)ないし(34)を、段階(b)において、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール−5−カルボン酸の代わりに表2に示したトリアゾール化合物を使用した以外は、実施例27に記載したものと類似の方法を使用して調製した。得られた化合物の名称は表6の3列目に示した。Mはニッケルである。
【0228】
【化39】

【0229】
【表7】

【0230】
実施例35
表7に記載した式(F)の化合物(35)を、段階(b)において、3−ヒドロキシナフタレン−2,6−ジスルホン酸の代わりに2−ヒドロキシナフタレン−3,6−ジスルホン酸を使用した以外は、実施例27に記載したものと類似の方法を使用して調製した。
【0231】
表7に記載した式(F)の化合物(36)及び(37)を、段階(b)において、3−ヒドロキシナフタレン−2,6−ジスルホン酸の代わりに2−ヒドロキシナフタレン−3,6−ジスルホン酸を、そして3−アミノ−1,2,4−トリアゾール−5−カルボン酸の代わりに表3に示したアミノトリアゾール化合物を使用した以外は、実施例27に記載したものと類似の方法を使用して調製した。
【0232】
【化40】

【0233】
【表8】

【0234】
実施例38
Mが銅である化合物(38)
【0235】
【化41】

【0236】
化合物(38)を、段階(b)において、2−ヒドロキシナフタレン−3,6−ジスルホン酸を3−ヒドロキシナフタレン−2,6−ジスルホン酸の代わりに、そして段階(c)において、酢酸銅を酢酸ニッケルの代わりにを使用した以外は、実施例27に記載したものと類似の方法を使用して調製した。
【0237】
実施例39
Mがニッケルである化合物(39)の調製
【0238】
【化42】

【0239】
段階(a):
【0240】
【化43】

【0241】
実施例27段階(a)の生成物(5g)、(0.016mol)を、30分の経過間に27%発煙硫酸(10ml)中に撹拌しながら室温で分割して加えた。27%発煙硫酸の第2の部分(10ml)を加え、そして反応混合物を一晩室温で撹拌した。次いで反応混合物を3.5時間120℃で撹拌し、冷却し、そして生成物を焼結漏斗を使用した濾過によって収集し、そして濃HSO(5ml)で洗浄した。粗製生成物を水(20ml)中に溶解し、そして塩化ナトリウムの添加によって沈殿させた。固体を濾過によって収集し、そして乾燥して、淡いピンク色の固体を得た。
【0242】
段階(b):Mがニッケルである化合物(40)の調製
【0243】
【化44】

【0244】
化合物(40)を、段階(b)において、2−ヒドロキシ−ナフタレン−1,3,5,7−テトラスルホン酸を3−ヒドロキシナフタレン−2,6−ジスルホン酸の代わりに使用した以外は、実施例27に記載したものと類似の方法を使用して調製した。質量スペクトルによる分析の実測値m/z 579(M−H)
【0245】
実施例41
Mがニッケルである化合物(41)の調製
【0246】
【化45】

【0247】
化合物(41)を、段階(b)において、7−ヒドロキシナフタレン−1,3,6−トリスルホン酸を3−ヒドロキシナフタレン−2,6−ジスルホン酸の代わりに使用した以外は、実施例27に記載したものと類似の方法を使用して調製した。質量スペクトルによる分析の実測値m/z 1101(M−H)
【0248】
実施例42
Mがニッケルである化合物(42)の調製
【0249】
【化46】

【0250】
段階(a):以下の化合物の調製:
【0251】
【化47】

【0252】
3−アミノ−1,2,4−トリアゾール−5−カルボン酸水和物(1.28g、0.01mol)を、水(50ml)中に懸濁し、そして2MのNaOHのpH8までの添加によって溶解した。亜硝酸ナトリウム(0.76g、0.11mol)を加え、そして溶液を亜硝酸ナトリウムが溶解するまで撹拌した。
【0253】
次いで混合物を、氷水(30g)及び濃HCl(3.0ml)の0−5℃に冷却された混合物中に滴下により加え、混合物を30分間0−5℃で撹拌し、そして次いで過剰の亜硝酸をスルファミン酸を加えることによって除去した。ジアゾの懸濁物を、4−ヒドロキシ−ナフタレン−1−スルホン酸ナトリウム塩(2.46g、0.01mol)のpH10−10.5(2NのNaOH)の、そして5℃より低く冷却された水(100ml)中の溶液にゆっくりと加えた。次いで反応混合物を0−5℃で更に1時間撹拌し、生成物を2NのHClによるpH4への酸性化によって沈殿させ、そして濾過によって収集した。生成物を水で洗浄し、そして次いで真空のデシケーター中で乾燥して、2.9gのオレンジ色の固体を得た。
【0254】
段階(b):化合物(42)の調製
酢酸ニッケル四水塩(1.3g、0.005mol)の水(10ml)中の溶液を、pH7−8(2NのNaOH)の水(100ml)中に溶解された段階(a)の生成物(1.9g、0.005mol)に滴下により加えた。反応混合物を2時間20℃で撹拌し、SpectraPor膜管(遮断分子量3500)を使用して低伝導度まで(<100μs)透析した。生成物を減圧下の蒸発によって得て、暗色の固体(1.7g)を得た。質量スペクトルによる分析の実測値m/z 781(M−H)
【0255】
実施例43及び44
式(G)の表8に記載した化合物(43)及び(44)を、段階(b)において、表8に示した金属塩(M)を酢酸ニッケルの代わりに使用した以外は、実施例42に記載したものと類似の方法を使用して調製した。
【0256】
【化48】

【0257】
【表9】

【0258】
実施例45
Mがニッケルである化合物(45)の調製:
【0259】
【化49】

【0260】
化合物(45)を、段階(a)において、3−アミノ−5−メチルチオ−1,2,4−トリアゾールを3−アミノ−1,2,4−トリアゾール−5−カルボン酸の代わりに使用した以外は、実施例42に記載したものと類似の方法を使用して調製した。質量スペクトルによる分析の実測値m/z 785(M−H)
【0261】
実施例46
Mがニッケルである化合物(46)の調製:
【0262】
【化50】

【0263】
段階(a):
【0264】
【化51】

【0265】
1,8−ナフトスルトン(25g、0.119mol)を、濃硫酸(75ml)中に分割して加え、次いで混合物を80℃で2時間撹拌し、そして次いで氷(70g)及び水(20ml)の混合物中に加えた。無水の硫酸ナトリウム(46g)を分割して反応混合物に30℃で加え、生成物を濾過により収集し、そして次いで水(120ml)中に50℃で溶解した。生成物を塩化ナトリウム(25重量/容量%)の添加によって沈殿させ、40℃で1時間撹拌し、そして次いで濾過によって収集した。固体を真空オーブン中で乾燥して、30gのピンク色の固体(76%)を得た。
【0266】
段階(b):4−ヒドロキシ−1,5−ジスルホナフタレンの調製
【0267】
【化52】

【0268】
段階(a)の生成物(30g)を、2Nの水酸化ナトリウムの添加によりpH11の水(200ml)中に溶解した。溶液を室温で2時間撹拌して、加水分解を完結し、そして生成物の溶液を次の段階で単離せずに使用した。
【0269】
段階(c):
化合物(46)を、実施例42、段階(a)の方法において、4−ヒドロキシ−1,5−ジスルホナフタレンを4−ヒドロキシ−ナフタレン−1−スルホン酸の代わりに使用した以外は、実施例42に記載したものと類似の方法を使用して調製した。質量スペクトルによる分析の実測値m/z 941(M−H)
【0270】
実施例47及び48
式(H)の表9に記載した化合物(47)及び(48)を、段階(a)において、4−ヒドロキシ−ナフタレン−1,5−ジスルホン酸を4−ヒドロキシ−ナフタレン−1−スルホン酸の代わりに、そして3−アミノ−1,2−4−トリアゾール−5−カルボン酸の代わりに表9に示したアミノトリアゾール化合物を使用した以外は、実施例42に記載したものと類似の方法を使用して調製した。
【0271】
【化53】

【0272】
【表10】

【0273】
実施例49
Mがニッケルである化合物(49)の調製:
【0274】
【化54】

【0275】
化合物(49)を、段階(a)において、8−ヒドロキシナフタレン−1,3,6−トリスルホン酸を4−ヒドロキシ−ナフタレン−1−スルホン酸の代わりに使用した以外は、実施例42に記載したものと類似の方法を使用して調製した。質量スペクトルによる分析の実測値m/z 1157(M−H)
【0276】
実施例50
Mがニッケルである化合物(50)の調製:
【0277】
【化55】

【0278】
化合物(50)を、段階(a)において、8−ヒドロキシ−ナフタレン−1,3,6−トリスルホン酸を4−ヒドロキシ−ナフタレン−1−スルホン酸の代わりに使用し、そして3−アミノ−1,2,4−トリアゾールを3−アミノ−1,2,4−トリアゾール−5−カルボン酸の代わりに使用した以外は、実施例42に記載したものと類似の方法を使用して調製した。質量スペクトルによる分析の実測値m/z 534(M−H)
【0279】
実施例51−化合物(27)の比較染料1との比較
Mがニッケルである以下の構造:
【0280】
【化56】

【0281】
を有する、EP1,241,232 A1、19頁、実施例2−2に記載されている化合物(本明細書中で以下“比較染料1”)を調製した。
【0282】
更に上記実施例27の化合物(27)を調製した。
それぞれの化合物を含有するインクを調製し、そしてインクをHP Plain Paperに印刷した。化合物(27)から調製された得られた印刷物は、鮮明であり、そして良好な耐光堅牢性及び対オゾン堅牢性を有していた。対照的に、比較染料1から調製された印刷物は、化合物(27)より不良な対オゾン堅牢性及び化合物(27)と同じか、やや悪い耐光堅牢性で、非常に不鮮明であった。
【0283】
実施例52−化合物(23)の比較染料2との比較
以下の構造:
【0284】
【化57】

【0285】
を有するEP1,241,232 A1、25頁、実施例4−1に記載されている化合物(本明細書中で以下“比較染料2”)を調製した。
【0286】
更に上記実施例23の化合物(23)を調製した。
それぞれの化合物を含有するインクを調製し、そしてインクをHP Plain Paperに印刷した。化合物(23)から得られた印刷物は、鮮明であり、そして良好な耐光堅牢性及び対オゾン堅牢性を有していた。対照的に、比較染料2から調製された得られた印刷物は、化合物(23)より不良な対オゾン堅牢性及び耐光堅牢性で、非常に不鮮明であった。
【0287】
インク
表I、II、III、IV、V、VI、VII及びVIIIに記載したインクを調製することができ、ここにおいて第1列目に記載された化合物は、上記の同番号の実施例で製造された化合物である。第2列目以降に引用された数字は、関連する成分の部の数字を表し、そして全ての部は重量による。インクは、紙に熱式又は圧電式インクジェット印刷によって適用することができる。
【0288】
以下の略語が表I、II、III、IV、V、VI、VII及びVIIIにおいて使用される:
PG=プロピレングリコール
DEG=ジエチレングリコール
NMP=N−メチルピロリドン
DMK=ジメチルケトン
IPA=イソプロパノール
MEOH=メタノール
2P=2−ピロリドン
MIBK=メチルイソブチルケトン
P12=プロパン−1,2−ジオール
BDL=ブタン−2.3−ジオール
CET=臭化セチルアルミニウム
PHO=NaHPO及び
TBT=第三ブタノール
TDG=チオジグリコール
【0289】
【表11】

【0290】
【表12】

【0291】
【表13】

【0292】
【表14】

【0293】
【表15】

【0294】
【表16】

【0295】
【表17】

【0296】
【表18】

本発明の態様
[1]
基材上に、以下の式(1):
【化58】

[式中:
A及びBの片方は、OHであり、そして他方が、アゾトリアゾール基であり;
それぞれのWは、独立にカルボキシ又はカルボンアミド基であり;
それぞれのXは、独立にH、スルホンアミド、カルボキシ、スルホ及びカルボンアミド以外の置換基であり;
Jは、スルホンアミド基であり;
Mは、金属又はホウ素であり;
a、p、q及びnは、それぞれ独立に0、1、2、3又は4であり;そして
(p+q+a+n)は、0、1、2、3又は4である;]
の金属キレート化合物又はその塩を含有するインクを、インクジェット印刷機によって、それに適用することを含む、イメージを印刷するための方法。
[2]
pが、1、2、3又は4であり;
a、q及びnが、それぞれ独立に0、1、2、3又は4であり;そして
(p+q+a+n)が、1、2、3又は4である、
1に記載の方法。
[3]
前記化合物が、以下の式(1a):
【化59】

[式中:
n及びaは、それぞれ独立に0、1、2、3又は4であり;
qは、1、2、3又は4であり;
(a+q+n)は、1、2、3又は4であり;そして
A、B、X、J及びMは、1において定義した通りである;]
の化合物又はその塩である、1に記載の方法。
[4]
前記化合物が、以下の式(1b):
【化60】

[式中:
aは、1、2、3又は4であり;
nは、0、1、2、3又は4であり;
(a+n)は、1、2、3又は4であり;そして
A、B、X及びMは、1において定義した通りである;]
の化合物又はその塩である、1に記載の方法。
[5]
前記化合物が、以下の式(1c):
【化61】

[式中:
nは、0ないし4であり;そして
A、B及びMは、1において定義した通りである;]
の化合物又はその塩である、1に記載の方法。
[6]
前記アゾトリアゾール基が、以下の式(2a)、(2b)、(2c)、(2d)又は(2e):
【化62】

[式中:
Zは、H、−OH、−Br、−Cl、−F、−CN、−NO、−PO、−SOH、−COH、所望により置換されたホスホルアミド、所望により置換されたアルキル、所望により置換されたアルケニル、所望により置換されたアルキニル、所望により置換されたアリール、所望により置換されたアラルキル、−SR、−SO、−SONR、−SOR、−OR、−C(O)R、−C(O)OR、−C(O)NR、−NR、NHCORであり;そして
Yは、CF又はZに対して定義した基のいずれか一つであり;そして
ここにおいて:
、R及びRは、それぞれ独立にH、所望により置換されたアルキル、所望により置換されたアルケニル、所望により置換されたアルキニル、所望により置換されたアリール又は所望により置換されたアラルキルであるか;或いは
及びRは、これらが接続している窒素といっしょに、所望により置換された5又は6員の環を形成する;]
のものである、1ないし5のいずれか1項に記載の方法。
[7]
Mがニッケルである、1ないし6のいずれか1項に記載の方法。
[8]
ZがHであり、そしてYがCOH又はHである、6に記載の方法。
[9]
ZがHであり、YがCOH又はHであり、そしてMがニッケルである、6に記載の方法。
[10]
Mがニッケルであり、そして前記アゾトリアゾール基が、以下の式(2a)、(2b)、(2c)、(2d)又は(2e):
【化63】

のものであり、式中、ZがHであり、そしてYがCOH又はHである、3、4又は5のいずれか1項に記載の方法。
[11]
前記金属キレート化合物が、以下のリガンドaないしe:
【化64】

のいずれかの銅或いはニッケルキレート又はそのいずれもの塩ではない、1ないし10のいずれか1項に記載の方法。
[12]
(p+q+a+n)が、2又は3である、1又は2のいずれか1項に記載の方法。
[13]
前記インクジェット印刷機が、基材上に微細なオリフィスを通って前記射出される液滴の形態で基材にインクを適用する、1ないし12のいずれか1項に記載の方法。
[14]
前記インクジェット印刷機が、圧電式インクジェット印刷機又は熱式インクジェット印刷機である、1ないし13のいずれか1項に記載の方法。
[15]
以下の式(1):
【化65】

[式中:
A及びBの片方は、OHであり、そして他方が、アゾトリアゾール基であり;
それぞれのWは、独立にカルボキシ又はカルボンアミド基であり;
それぞれのXは、独立にH、スルホンアミド、カルボキシ、スルホ及びカルボンアミド以外の置換基であり;
Jは、スルホンアミド基であり;
Mは、金属又はホウ素であり;
a、p、q及びnは、それぞれ独立に0、1、2、3又は4であり;そして
(p+q+a+n)は、0、1、2、3又は4である;]
の金属キレート化合物又はその塩。
[16]
pが、1、2、3又は4であり;
a、q及びnが、それぞれ独立に0、1、2、3又は4であり;そして
(p+q+a+n)が、1、2、3又は4である、
15に記載の化合物。
[17]
以下の式(1a):
【化66】

[式中:
n及びaは、それぞれ独立に0、1、2、3又は4であり;
qは、1、2、3又は4であり;
(a+q+n)は、1、2、3又は4であり;そして
A、B、X、J及びMは、15において定義した通りである;]
の15に記載の化合物又はその塩。
[18]
以下の式(1b):
【化67】

[式中:
aは、1、2、3又は4であり;
nは、0、1、2、3又は4であり;
(a+n)は、1、2、3又は4であり;そして
A、B、X及びMは、15において定義した通りである;]
の15に記載の化合物又はその塩。
[19]
以下の式(1c):
【化68】

[式中:
nは、0ないし4であり;そして
A、B及びMは、15において定義した通りである;]
の15に記載の化合物又はその塩。
[20]
前記アゾトリアゾール基が、以下の式(2a)、(2b)、(2c)、(2d)又は(2e):
【化69】

のものであり、式中、ZがHであり、そしてYがCOH又はHである、15ないし19のいずれか1項に記載の化合物。
[21]
Mがニッケルである、15ないし19のいずれか1項に記載の化合物。
[22]
以下の式のリガンドf及びmを含むfないしm:
【化70】

【化71】

の金属キレート、又はそのいずれもの塩以外の、15ないし20のいずれか1項に記載の化合物。
[23]
以下の式のリガンドa及びmを含むaないしm:
【化72】

【化73】

【化74】

【化75】

の金属キレート、又はそのいずれもの塩以外の、15ないし20のいずれか1項に記載の化合物。
[24]
nが1又は2である、15ないし23のいずれか1項に記載の化合物。
[25]
(a)一つ又はそれより多い15ないし24のいずれか1項に記載の化合物;及び
(b)一つ又はそれより多い15ないし24のいずれか1項に記載の化合物以外の水溶性マゼンタ染料;
を含む組成物。
[26]
(a)一つ又はそれより多い15ないし24のいずれか1項に記載の化合物、又は25に記載の組成物;及び
(b)液体媒体;
を含むインク。
[27]
前記液体媒体が、界面活性剤並びに水及び有機溶媒の混合物を含む、26に記載のインク。
[28]
26又は27のいずれか1項に記載のインク、或いは1に記載の方法によって印刷された基材。
[29]
容器及びインクを含んでなり、前記インクが前記容器内に存在し、そしてインクが26又は27のいずれか1項に記載の化合物を含有する、インクジェット印刷機用カートリッジ。
[30]
インクジェット印刷機用カートリッジを含有し、前記インクジェット印刷機用カートリッジが、29において定義した通りである、インクジェット印刷機。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)以下の式(1):
【化1】

[式中:
A及びBの片方は、OHであり、そして他方が、アゾトリアゾール基であり;
それぞれのWは、独立にカルボキシ又はカルボンアミド基であり;
それぞれのXは、独立に、Hでもスルホンアミドでもカルボキシでもスルホでもカルボンアミドでもないこれら以外の置換基であり;
Jは、スルホンアミド基であり;
Mは、金属又はホウ素であり;
a、p、q及びnは、それぞれ独立に0、1、2、3又は4であり;そして
(p+q+a+n)は、0、1、2、3又は4である;]
の金属キレート化合物又はその塩;並びに
(b)(a)の化合物以外の一種以上の水溶性染料
を含む組成物。
【請求項2】
(b)によって示される水溶性染料が、水溶性マゼンタ染料である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記の水溶性マゼンタ染料が、キサンテン染料、アゾ染料又はビスアゾ染料である、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
以下の式(1c−1):
【化2】

[式中、Dはアゾトリアゾール基であり;nは1又は2であり;そしてMはニッケルである]
の金属キレート化合物又はその塩。
【請求項5】
ナフチレン環の2位にあるDに対して、一つのスルホン酸基がナフチレン環の4位に、そして一つのスルホン酸基がナフチレン環の8位に存在する、請求項4に記載の式(1c−1)の金属キレート化合物又はその塩。
【請求項6】
以下の式(1c−2):
【化3】

[式中、Dはアゾトリアゾール基であり;nは1又は2であり;そしてMはニッケルであるが、ただし、ナフチレン環の1位にあるDに対して、一つのスルホン酸基がナフチレン環の3位に、そして一つのスルホン酸基がナフチレン環の7位に存在することを条件とする]
の金属キレート化合物又はその塩。
【請求項7】
以下の式:
【化4】

[式中、Mはニッケルである]
の、請求項4に記載の金属キレート化合物又はその塩。
【請求項8】
以下の式(1a):
【化5】

[式中:
n及びaは、それぞれ独立に0、1、2、3又は4であり;
qは、1、2、3又は4であり;
(a+q+n)は、1、2、3又は4であり;そして
A、B、X、J及びMは、請求項1において定義した通りである;]
の金属キレート化合物又はその塩。
【請求項9】
以下の式:
【化6】

[式中、Mはニッケルである]
の請求項8に記載の金属キレート化合物又はその塩。
【請求項10】
前記アゾトリアゾール基が、以下の式(2a)、(2b)、(2c)、(2d)又は(2e):
【化7】

のものであり、式中、ZがHであり、そしてYがCOH又はHである、請求項4ないし9のいずれか1項に記載の化合物又はその塩。
含む
【請求項11】
(a)請求項1ないし3のいずれか1項に記載の組成物、又は請求項4ないし10のいずれか1項に記載の化合物;及び
(b)液体媒体;
を含むインク。
【請求項12】
前記液体媒体が、水及び有機溶媒の混合物を含む、請求項11に記載のインク。
【請求項13】
さらに界面活性剤を含む、請求項11又は12に記載のインク。

【公開番号】特開2007−51292(P2007−51292A)
【公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−227055(P2006−227055)
【出願日】平成18年8月23日(2006.8.23)
【分割の表示】特願2003−146368(P2003−146368)の分割
【原出願日】平成15年5月23日(2003.5.23)
【出願人】(506139635)フジフィルム・イメイジング・カラランツ・リミテッド (75)
【Fターム(参考)】