説明

施療機

【課題】 施療者の身体側部と肩部とを施療可能とする施療機において、それら身体側部及び肩部に対する夫々の施療における相乗的な効果をもたらす事が可能な施療機を提供する。
【解決手段】座部11aと背当て部12aからなり、背当て部12aの左右両側に前方に向かって突出した側壁部2aと、該側壁部2aの上部から幅方向中心に向かって突起する突起体22aを夫々備え、側壁部2a及び突起体22aに夫々膨縮袋4aを設けた施療機1aであり、突起体22aの膨縮袋4aにより施療者の少なくとも肩部を施療または保持する事が可能な構成となっている。側壁部2aや、また側壁部2aに対して突起体22aを可動させて、施療者個人の身長差や要望等に適応するようにし、更に突起体22aにおける施療を行わない場合は、突起体22aが施療者の肩部に当接しないよう収納状態にする事ができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、施療者の身体側部及び肩部を施療する事ができると共に、身体側部及び肩部に対する夫々の施療における相乗的な効果をもたらす事が可能な施療機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、空気の給排気により膨縮する膨縮袋等を、施療者が背部を当接させるための背当て部に設けて、身体背中を後方から施療したり、またはその左右側部を施療したりする事が可能な施療機としては、椅子型やマット型の他携帯型等のような施療機が多数存在する。
【0003】
例えば、椅子型の施療機としては、図14に示すような座部2、背凭れ部(背当て部)3、フットレスト(足載せ部)4からなるマッサージ機(施療機)1があり、着座した施療者の身体背中に対して後方から機械的刺激を与える施療子6を左右に備えたマッサージ機構5を該背凭れ部3に備え、該マッサージ機構5は背凭れ部3の長さ方向において昇降するようになっている。
【0004】
また、前記マッサージ機1は、背凭れ部3の左右両側に、夫々前方に延設された部分(側壁部)を有しており、この部分の内側に設けた空気袋(膨縮袋)3fにより、施療者の上腕部及び肩の側部を押圧施療する事ができるよう構成している。
【0005】
更に、前記マッサージ機構5の移動上限位置より上方の部分には、被施療者の頸部の側部及び肩の上部に後方から押圧して刺激を与えるための空気袋(膨縮袋)3gが設けられ、それらの施療部位を押圧施療する事ができるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−260099号公報(第9頁、図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、前記のような従来の施療機は、背当て部の左右側壁部にある膨縮袋による施療者の上腕や肩などの身体側部に対する施療を実施しながら、他の膨縮袋によって肩の上部を後方から押圧して施療する場合、肩位置の膨縮袋が後方から押圧する事で、施療者の身体上方が背当て部の前方へ押し出されてしまい、その結果、左右側壁部の膨縮袋による施療位置がずれて、的確な身体側部に対する施療を実施する事が困難であった。
【0008】
また、施療者の肩位置には個人差があり、身長が比較的大きな施療者にとって、例えば肩部を施療する膨縮袋が肩甲骨の下部に位置したり、また身長が比較的小さな施療者は、該膨縮袋が肩部に届かなかったりして、快適な施療を施す事ができないという問題もあった。
【0009】
そこで、本発明は、上記問題点を解消する為に成されたものであり、施療者の身体側部及び肩部を施療する事ができると共に、身体側部及び肩部に対する夫々の施療における相乗的な効果をもたらす事が可能な施療機を提供する事を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
すなわち、本発明の施療機は、施療者の臀部または大腿部が当接する座部と、人体背部が当接する背当て部を有し、該背当て部の左右両側に前方に向かって突出した側壁部を夫々備えると共に各側壁部に膨縮袋を設け、空気の給排気により各膨縮袋を膨縮または膨張保持させて施療者の身体の左右両側を施療または保持する事ができるようにした施療機において、該施療機の各側壁部に、その上部から背当て部の幅方向中心に向かって突出する突起体を夫々設けると共に各突起体に膨縮袋を設け、空気の給排気により各膨縮袋を膨縮または膨張保持させて施療者の少なくとも肩部を施療または保持する事ができるよう構成したものである。
【0011】
また、本発明の施療機は、前記突起体が前記側壁部に対し可動するようにした事を特徴としている。
【0012】
また、本発明の施療機は、前記突起体の前記側壁部に対する可動は、空気の給排気により膨縮する膨縮袋によるものとした事を特徴としている。
【0013】
更に、本発明の施療機は、前記突起体が人体に当接しないよう収納状態にしておく事を可能にした事を特徴としている。
【0014】
更に、本発明の施療機は、前記左右の側壁部は、前記背当て部の幅方向において可動するよう構成した事を特徴としている。
【0015】
更にまた、本発明の施療機は、前記左右の側壁部は、前記背当て部の長さ方向において可動するようにした事を特徴としたものである。
【発明の効果】
【0016】
よって、本発明の施療機は、施療者の臀部または大腿部が当接する座部と、人体背部が当接する背当て部を有し、該背当て部の左右両側に前方に向かって突出した側壁部を夫々備えると共に各側壁部に膨縮袋を設け、空気の給排気により各膨縮袋を膨縮または膨張保持させて施療者の身体の左右両側を施療または保持する事ができるようにした施療機において、該施療機の各側壁部に、その上部から背当て部の幅方向中心に向かって突出する突起体を夫々設けると共に各突起体に膨縮袋を設け、空気の給排気により各膨縮袋を膨縮または膨張保持させて施療者の少なくとも肩部を施療または保持する事ができるようした構成のものであるため、前記左右の側壁部に設けた膨縮袋によって、施療者の身体の左右両側を施療すると共に、前記側壁部に設けた前記左右の突起体の膨縮袋により、施療者の肩部を施療する事ができる。また、前記側壁部の膨縮袋によって、施療者の身体の左右両側をしっかりと保持しながら、前記突起体の膨縮袋により、施療者の肩部を効果的に施療する事ができる。さらに、前記突起体の膨縮袋により施療者の肩部をしっかり保持した場合には、前記側壁部の膨縮袋によって、施療者の身体の左右両側を効果的に施療する事ができる。このように、本発明の施療機は、身体側部及び肩部に対する夫々の施療における相乗的な効果をもたらす事ができるのである。
【0017】
また、前記背当て部に他の膨縮袋や施療子などを設けた構成であれば、前記側壁部や前記突起体の膨縮袋により保持する事により、前記背当て部における背部からの施療を効果的に実施する事ができる。
【0018】
更に、施療機が椅子型の場合、前記背当て部に施療者が凭れる時に、前記左右の突起体の膨縮袋が収縮した状態であれば身体をその内部に納め易くなる。
【0019】
また、本発明の施療機は、前記突起体は前記側壁部に対し可動する構成のものであるため、施療者の肩位置の個人差や所望に応じて突起体の位置を調節する事ができる。
【0020】
また、本発明の施療機は、前記突起体の前記側壁部に対する可動は、空気の給排気により膨縮する膨縮袋によるものとするため、前記側壁部や前記突起体に設けた前記膨縮袋と同じ動力源を使用して構造の簡素化を図れる。
【0021】
更に、本発明の施療機は、前記突起体は人体に当接しないよう収納状態にしておく事が可能な構成のものであるため、前記左右の突起体に設けた前記膨縮袋による施療や保持を行わない場合に、不必要に突起体が施療者に当接して不快感をもたらす事を回避でき、また、施療機が椅子型の場合には、前記背当て部に凭れようとする施療者の障害とならないようにする事ができる。
【0022】
更に、本発明の施療機は、前記左右の側壁部は、前記背当て部の幅方向において可動するような構成にしているため、身体側部に対する施療感または保持感を調節したり、前記側壁部の前記膨縮袋の施療または保持の最中に、左右の側壁部を動かしたりする場合は、人体に対する前記膨縮袋による施療感や保持感を調節する事ができ、更に、側壁部を一定の周期で幅方向において移動するよう繰り返す事により、嘗てなかった新たな施療感または保持感をもたらす事になる。
【0023】
更にまた、本発明の施療機は、前記左右の側壁部は、前記背当て部の長さ方向において可動するようにした構成のものであるため、施療者が所望する突起体の高さ位置となるよう調節が可能であり、また、前記突起体に設けた前記膨縮袋の施療または保持の最中に、左右の側壁部を動かした場合は、人体に対する前記膨縮袋による施療感や保持感を調節する事ができ、更に、側壁部を一定の周期において上下移動するよう繰り返すならば、嘗てなかった新たな施療感または保持感をもたらす事になる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の施療機の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】本発明の施療機の一実施形態を示す使用状態図である。
【図3】本発明の施療機の一実施形態を示す右側面図である。
【図4】本発明の施療機の一実施形態を示す右側面図である。
【図5】本発明の施療機の背当て部及び側壁部の一実施形態を示す断面説明図である。
【図6】本発明の施療機の背当て部及び側壁部の一実施形態を示す断面説明図である。
【図7】本発明の施療機の背当て部及び側壁部の一実施形態を示す断面説明図である。
【図8】本発明の施療機の背当て部、側壁部、突起体の一実施形態を示す正面説明図である。
【図9】本発明の施療機の背当て部、側壁部、突起体の一実施形態を示す正面説明図である。
【図10】本発明の施療機の背当て部、側壁部、突起体の一実施形態を示す正面説明図である。
【図11】本発明の施療機の背当て部、側壁部、突起体の一実施形態を示す正面説明図である。
【図12】本発明の施療機の背当て部、側壁部、突起体の一実施形態を示す正面説明図である。
【図13】本発明の施療機の背当て部、側壁部、突起体の一実施形態を示す正面説明図である。
【図14】従来技術を示す参考図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、本発明の施療機を、図面に示す一実施形態に基づきこれを詳細に説明する。図1は本発明の施療機の一実施形態を示す斜視図であり、図2は本発明の施療機の一実施形態を示す使用状態図であり、図3及び図4は本発明の施療機の一実施形態を示す右側面図であり、図5乃至図7は本発明の施療機の背当て部及び側壁部の一実施形態を示す断面説明図であり、図8乃至図13は本発明の施療機の背当て部、側壁部、突起体の一実施形態を示す正面説明図であり、図14は従来技術を示す参考図である。
【0026】
すなわち、本発明の施療機は、少なくとも施療者の臀部または大腿部が当接する座部と、人体背部が当接する背当て部を設けてなるものであり、図1及び図2の実施形態で示したものは、それら座部11aと、該座部11aの後側にリクライニング可能に連結する背当て部12aに加えて、該座部11aの前側に上下方向へ揺動可能に連結した足載せ部13aとから椅子型に構成した施療機1aであり、前記座部11aの両側に肘掛け部14aを立設すると共に、前記背当て部12aの左右両側に前方に向かって突出した側壁部2aを夫々配設している。
【0027】
図1に示すように、前記背当て部12aには、その中央部に左右一対の施療子31aを備えた昇降自在の施療子施療機構3aを設けている。該施療子施療機構3aは、背当て部12aの内部左右に設けた左右一対のガイドレール32aに沿って背当て部12aの上端から下端にかけて昇降するようにしている。
【0028】
前記左右一対の施療子31aは、モータ等を駆動源とした機械式の施療機構であり、前記背当て部12aに凭れた施療者の首部、背部、腰部、臀部等の背面全域を、たたき、揉み、ローリング、振動、指圧などの多様な形態で施療するようにしたものである。
【0029】
また、前記施療機1aの各所定の位置には、空気の給排気により膨縮を繰り返す事が可能な膨縮袋4aを夫々埋設している。該膨縮袋4aは、エアーコンプレッサー及び各膨縮袋4aに空気を分配するための分配器等からなる空気給排装置41aによる給排気により膨縮動作を行うようにしており、該空気給排装置41aは前記座部11aの下部空間に配備している。
【0030】
前記空気給排装置41aによる各前記膨縮袋4aの膨縮動作によって、施療者の所定の施療部位を押圧、指圧等を実施する事ができ、対となるよう複数の膨縮袋4aを対設させるならば、挟圧等の施療も行う事ができる。また膨縮袋4aを膨張状態に保つ場合は、施療者の所定の部位を一定の時間保持する事も可能としている。
【0031】
また、前記施療機1aは、前記背当て部12aの左右側において、上部、中部、下部に夫々膨縮袋4aを設けており、施療者の背中及び腰部を押圧、または左右両側から挟圧するような施療を行うよう構成している。図1の場合、中部の左右各膨縮袋4aは左右上腕或いはその付近の左右背中の位置にくるように、また上部の左右各膨縮袋4aは左右肩甲骨付近の位置にくるように夫々配設している。
【0032】
また、前記座部11aには、後部側に臀下部用、また腿部用の膨縮袋4aを夫々埋設して、主に下方から上方に押圧する施療を行うようにしている。
【0033】
前記足載せ部13aは、人体の脛部及び足先部を夫々嵌入させる左右一対の凹部を夫々形成したものであり、各凹部に膨縮袋4aを左右一対として対設するよう配設させて、凹部内部で人体の脛部及び足先部に対する挟圧施療を実施するようにしている。
【0034】
前記左右の肘掛け部14aの上部には、人体の手や前腕を嵌入保持して施療するための凹部を形成する腕保持部15aを設けており、図1の場合、該腕保持部15aの内部において、上下に各膨縮袋4aを夫々対設するよう配設し、凹部内部で人体の手や前腕に対する挟圧施療を実施するようにしている。
【0035】
前記左右の側壁部2aは、座部11aに着座した施療者の肩または上腕側方となる位置に配設しており、図1及び図5に示すように、該左右の側壁部2aの内側面には夫々左右方向に重合した膨縮袋4aを並列状態に埋設している。これら重合した膨縮袋4a・4aはその基端部のみを側壁部2aの基端部に取り付けているため、膨張時には重合した膨縮袋4a・4aが扇状に広がって施療者の身体側部を挟圧しつつ、身体前方まで覆うようになる。
【0036】
よって、前記左右側壁部2aの前記膨縮袋4aは、膨縮動作により身体側部を施療する事ができるだけでなく、一定の時間において膨張状態を保つならば、施療者の身体が前記背当て部12aから離れないようにしっかりと保持する事ができ、図5に示すように施療者の身体を固定したままの状態で前記施療子施療機構3aの前記施療子31aによる背部からの施療を効果的に受ける事が可能となるのである。
【0037】
更に前記施療機1aには、図1及び図2に示すように、前記左右の側壁部2aの上部から幅方向中心に向かって突起する突起体22aを夫々設けており、該各突起体22aには人体肩部の上面やその前面に対して施療または保持するための膨縮袋4aを夫々配設している。
【0038】
前記各突起体22aに設けた前記各膨縮袋4aは、図8に示すように重合状にして膨縮幅が大きくなるようにする事ができる。このように構成した各膨縮袋4aは、人体肩部の上面やその前面までも覆うような仕方で大幅に膨張するのである。
【0039】
よって、前記各突起体22aの前記各膨縮袋4aは、人体肩部の上面やその前面を施療する事ができると共に、膨張状態を一定期間保つ事によりそれらの人体部位を前記背当て部12aにおいてしっかり保持する事が可能となり、その状態で前記施療子施療機構3aの前記施療子31aによる背部からの肩部周辺の施療を効果的に実施する事が可能となるのである。
【0040】
図3に示すのは、前記突起体22aを備えた左右の側壁部2aを前記背当て部12aの長さ方向において上下に可動させて、施療者が所望する突起体22aの高さ位置となるよう調節を可能とした構成であり、このようにして施療者個人の身長差に対応したものである。
【0041】
そのため、前記左右の側壁部2aの基部には、夫々側壁可動部21aを設けている。図3の場合は、前記背当て部12aの長さ方向に沿って移動するようにしたものである。
【0042】
前記背当て部12aにおける前記左右の側壁部2aの移動は、手動で行って施療者が所望する位置で係止するようにしてもよいし、またはモータなどを使用した自動で行われるようにしてもよい。
【0043】
更に、前記背当て部12aにおける前記左右の突起体22aの適正な高さ位置の調節が自動的になされるようにするため、突起体22aの適所に図示しないが感圧センサを設け、背当て部12aに当接した施療者の上方から前記左右の側壁部2aにモータを使用する。このような構成により、突起体22aが自動で降下させてゆき、突起体22aが施療者の肩部上面に接する事で該感圧センサが一定の圧力を感知した時に、該モータの回転を停止させるように構成する事ができる。
【0044】
尚、前記突起体22aの前記感圧センサが人体肩部上面からの一定の圧力を感知した直後に、必要に応じて上方に一定の距離を移動させてもよい。このようにするならば、突起体22aに設けた前記膨縮袋4aによる施療や保持を行わない時に、該突起体22aが施療者の肩に不必要に当接して不快感をもたらす事を回避できる。
【0045】
また、前記突起体22aに設けた前記膨縮袋4aの施療または保持の最中に、左右の側壁部2aを上記の方法で動かすならば、人体に対する施療感や保持感を調節する事ができる。例えば、強い施療または保持を行うのであれば、側壁部2aを下方に移動させて突起体22aにより人体肩部の上面や前面に対する圧力を増加させる事ができる。
【0046】
更に、前記背当て部12aにおける前記左右の側壁部2aの移動をモータで行うと共に、一定の周期において上下移動を繰り返すならば、さらに新たな施療感または保持感をもたらす事になる。
【0047】
前記左右の突起体22aに設けた前記膨縮袋4aによる施療や保持を行わない場合は、該突起体22aが人体に当接しないように最上部に位置させて収納状態にしておく事ができる。
【0048】
図4に示すのは、前記左右の側壁部2aに設けた前記左右の突起体22aを突起体可動部221aにより前後方向に夫々回動するようにした構成のものである。このようにする事で、施療者の肩部上面から前面の人体胸部付近にかけて、突起体22aの位置を施療者の所望に応じて調節する事ができる。尚、手動かモータなどを使用する自動かは問わず、適宜移動機構を使用すればよい。
【0049】
図6及び図7に示すのは、前記左右の側壁部2aを幅方向において、側壁可動部21aにより回動するようにした構成のものである。この構成において、側壁部2aの膨縮袋4aの施療または保持の最中に、左右の側壁部2aを幅方向に回動させるならば、人体に対する施療感や保持感を調節する事ができる。例えば、強い施療または保持を行うのであれば、側壁部2aを幅方向内側に回動移動させて、上腕または肩部の側面や上面に対する圧力を増加させる事ができる。
【0050】
また、前記背当て部12aにおける前記左右の側壁部2aの移動をモータ、または図7で示したような可動用膨縮袋211aの膨縮で行うと共に、一定の周期において左右回動移動を繰り返すならば、さらに新たな施療感または保持感をもたらす事になる。
【0051】
更に図7で示す状態においては、突起体22aが、側壁可動部21aの回動動作により前記左右の側壁部2aとともに施療者の前方側に位置することになるので、施療者の前方側から肩部上方を覆うような形態で突起体22aに設けた膨縮袋4aによる施療または保持を行い、同時に、側壁部2aの内側面に設けた膨縮袋4aによる上腕及び肩部の側面への施療または保持、背当て部12aに設けた膨縮袋4aによる背中及び腰部の押圧若しくは左右両側からの挟圧施療、施療子施療機構3aの施療子31aによる背部からの肩部周辺施療を行うことで、相乗的かつ効果的に施療者の身体側部及び肩部の全領域を施療する事が可能となる。
【0052】
図8の構成は、前記側壁部2aと前記突起体22aとを分離させた構成であり、側壁部2aに対する突起体22aの上下位置関係を変更したり、または、側壁部2aの上下位置を変更せず突起体22aのみで施療者の所望する肩位置に該突起体22aがくるように調節する事ができるようにしている。図面では突起体可動部221aを設けているが手動及び自動を問わない。
【0053】
図8のように構成する事により、例えば前記左右の側壁部2aにより施療者の所望する施療または保持の位置を変えずに、前記左右の突起体22aのみの高さ位置を変更する事ができるので、突起体22aに設けた膨縮袋4aによる人体肩部の上面や前面への施療時における当接力を変化させることができる。また、前記左右の突起体22aに設けた前記膨縮袋4aによる施療や保持を行わない場合は、該突起体22aが肩部に当接しないように最上部に位置させて収納状態にしておく事もできる。
【0054】
前記背当て部12aにおける前記左右の突起体22aの適正な高さ位置の調節が自動的になされるようにするため、突起体22aの適所に前述したような感圧センサ(図示せず)を設けてもよい。また、前述したように突起体22aの該感圧センサが人体肩部上面からの一定の圧力を感知した直後に、必要に応じて上方に一定の距離を移動させてもよい。
【0055】
また図8に示すように、前記突起体22aに設けた前記膨縮袋4aの施療または保持の最中に、側壁部2aに対して突起体22aを前記突起体可動部221aにより動かすならば、人体に対する施療感や保持感を調節する事ができる。
【0056】
更に、前記側壁部2aに対する前記突起体22aの移動をモータなどで可動する前記突起体可動部221aによって行うと共に、一定の周期において上下移動を繰り返すならば、さらに新たな施療感または保持感をもたらす事になる。
【0057】
図8の構成の場合も、前記左右の突起体22aに設けた前記膨縮袋4aによる施療や保持を行わない場合は、該突起体22aが肩部に当接しないように最上部に位置させて収納状態にしておく事ができるようにしている。
【0058】
図9乃至図13の構成は、前記側壁部2aに対して前記突起体22aを突起体可動部221aにより幅方向に回動移動させるようにしたものである。すなわち、突起体22aの前記膨縮袋4aによる施療または保持を行う場合は、該左右の突起体22aの各先端が向かい合うようにし、膨縮袋4aによる施療または保持を行わない場合は、突起体22aが側壁部2aと直線上に位置するようにして収納状態にする事ができる。尚、突起体可動部221aは前述の構成と同じく手動及び自動を問わない。また図10及び図11の構成は、突起体可動部221aを前記空気給排装置41aから給排気される空気により膨縮する膨縮袋としたものであり、前記膨縮袋4aと同じ動力源を使用するので構造の簡素化を図れる。
【0059】
前記左右の突起体22aの適正な高さ位置の調節が自動的になされるようにするため、突起体22aの適所に前述したような感圧センサ(図示せず)を設けてもよい。また、前述したように突起体22aの該感圧センサが人体肩部上面からの一定の圧力を感知した直後に、必要に応じて上方に一定の距離を移動させてもよい。
【0060】
また図9及び図11に示すように、前記突起体22aに設けた前記膨縮袋4aの施療または保持の最中に、側壁部2aに対して突起体22aを前記突起体可動部221aにより動かすならば、人体に対する施療感や保持感を調節する事ができるし、更に、側壁部2aに対する突起体22aの移動をモータなどで可動する前記突起体可動部221aによって行うと共に、一定の周期において左右回動移動を繰り返すならば、さらに新たな施療感または保持感をもたらす事になる。
【0061】
図9乃至図13の構成において、前記突起体22aが前記側壁部2aと直線上に位置する場合、前述したように突起体22aの収納状態となるのだが、これに限らずその状態で突起体22a及び側壁部2aの前記各膨縮袋4aによって、施療者の側面や前面を施療または保持するようにしてもよい。その場合、側壁部2aは最下部まで降下させておき、突起体22aの膨縮袋4aを上腕または肩部の側面に位置するようにする。このようにして、突起体22a及び側壁部2aの全ての各膨縮袋4aによって、施療者の上腕または肩部の側面や前面を施療または保持する事ができる。
【0062】
更に、上記の状態から前記側壁部2aを上昇させる場合、前記突起体22a及び側壁部2aの各膨縮袋4aの位置は変更されると共に、突起体22aは、施療者の肩上面付近にまで移動する事になるが、前述したように突起体22aの適所に感圧センサを設けて、一定の圧力を感知するまで前記突起体可動部221aによる突起体22aの人体方向への可動を常時行うようにしておく事により、突起体22aは側壁部2aを上昇させても施療者の肩部のラインに沿って、肩部上面の適正な位置にくるまで回動移動を自動的に行うのである。
【0063】
すなわち、これまで施療者の上腕または肩部の側面や前面から一定の圧力を感知していた前記突起体22aの前記感圧センサは、施療者の肩上面付近に差し掛かってさらに上方へ移動する事に伴い圧力を感知しなくなるのだが、一定の圧力を感知するまで突起体22aは人体方向への可動を行って人体に当接しようとし、該当接において再び一定の圧力を感知した時点で突起体可動部221aの動作を停止させる構成となっている。
【0064】
尚、図12及び図13に示す構成は、前記突起体22aにおける前記膨縮袋4aの施療または保持を行わない場合に、突起体22aを前記側壁部2aの外側面に収納するものであり、図13に示す突起体22aの膨縮袋4aの使用状態と比べて、図12に示す不使用状態は、側壁部2aの長さ方向においてコンパクトになり、突起体22aにおける施療または保持を所望しない施療者に対して、不必要に狭小感を与えないようにする事ができる。
【0065】
前記施療機1aの操作を行うため、図3に示すように、リモートコントローラ等の操作部5aを前記左右の腕保持部15aの片側上方位置に備えており、該操作部5aによって、主電源の入切、前記施療子施療機構3aや前記空気給排装置41a及び各前記膨縮袋4aによる施療の種類や強度等の選択、また、前記背当て部12aのリクライニングや前記足載せ部13aの上下動の調節、前記側壁部2aに対する前記突起体22aの回動移動等、施療機1aのほとんどの機能に対する操作を行うようにしている。尚、操作部5aの操作は、図示しないが、液晶画面等の操作表示部や操作ボタンまたはダイヤル等の操作指示部等で行うようにしてもよい。
【0066】
更に、前記操作部5aによる前記施療機1aの操作に伴う制御は、電子制御であり、また、予めプログラムされたデータに基づく動作や、施療者が任意に入力したプログラムデータに基づいて動作するようにしてもよい。
【0067】
また、前記左右の側壁部2aは、前記背当て部12aの左右両側に固設したものを上記図面で示したが、その他の形態として、側壁部2aを背当て部12aの左右両側から連続的に形成したものであってもよい。
【0068】
前記施療機1aに関しては、これまで主に椅子型のものを示したが、これに限らず、例えば他に少なくとも施療者の臀部または大腿部が当接する座部と人体背部が当接する背当て部を設けてなるマット型やベッド型にも上記の構成を適用する事ができ、そのような形態の場合は、施療者の背中が当接する背当て部の左右両側に夫々前述した側壁部2a・2aを設ける事ができる。
【符号の説明】
【0069】
1a 施療機
11a 座部
12a 背当て部
13a 足載せ部
14a 肘掛け部
15a 腕保持部
2a 側壁部
21a 側壁可動部
211a 可動用膨縮袋
22a 突起体
221a 突起体可動部
3a 施療子施療機構
31a 施療子
32a ガイドレール
4a 膨縮袋
41a 空気給排装置
5a 操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
施療者の臀部または大腿部が当接する座部と、人体背部が当接する背当て部を有し、該背当て部の左右両側に前方に向かって突出した側壁部を夫々備えると共に各側壁部に膨縮袋を設け、空気の給排気により各膨縮袋を膨縮または膨張保持させて施療者の身体の左右両側を施療または保持する事ができるようにした施療機において、該施療機の各側壁部に、その上部から背当て部の幅方向中心に向かって突出する突起体を夫々設けると共に各突起体に膨縮袋を設け、空気の給排気により各膨縮袋を膨縮または膨張保持させて施療者の少なくとも肩部を施療または保持する事ができるよう構成した事を特徴とする施療機。
【請求項2】
前記突起体は前記側壁部に対し可動する事を特徴とする請求項1記載の施療機。
【請求項3】
前記突起体の前記側壁部に対する可動は、空気の給排気により膨縮する膨縮袋による事を特徴とする請求項1及び請求項2記載の施療機。
【請求項4】
前記突起体は人体に当接しないよう収納状態にしておく事が可能である事を特徴とする請求項1乃至請求項3記載の施療機。
【請求項5】
前記左右の側壁部は、前記背当て部の幅方向において可動する事を特徴とする請求項1乃至請求項4記載の施療機。
【請求項6】
前記左右の側壁部は、前記背当て部の長さ方向において可動する事を特徴とする請求項1乃至請求項5記載の施療機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−115657(P2011−115657A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−63155(P2011−63155)
【出願日】平成23年3月22日(2011.3.22)
【分割の表示】特願2006−149035(P2006−149035)の分割
【原出願日】平成18年5月29日(2006.5.29)
【出願人】(000136491)株式会社フジ医療器 (137)
【Fターム(参考)】