説明

施療装置及び椅子式マッサージ機

【課題】アキレス腱や脹ら脛などをストレッチ可能な施療装置の提供。
【解決手段】脚部用マッサージ装置1が、足部Fを支持する足部マッサージ部2と、脚部Lを支持する下腿マッサージ部3とを有し、足部マッサージ部2と下腿マッサージ部3とがストレッチのために踵に対して爪先側を回動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は身体のマッサージ等を行う施療装置に関し、更に詳しくは、脹ら脛や足首等のストレッチングを可能とする施療装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、市販される家庭用脹ら脛マッサージ装置においては、フットレストとレッグレストを備え、それぞれには足部と下腿を施療する施療子を備えたマッサージ装置があった(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−310682号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の家庭用脹ら脛マッサージ装置の場合、下腿と足部をそれぞれ施療するだけであった。
【0004】
本発明は、このような従来の家庭用脹ら脛マッサージ装置の有する問題に着目してなされたものであり、下腿を施療する施療子を利用して下腿を支持した状態で足支持部を回動させて下腿に対して足部を回動させるストレッチングを可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の施療装置は、上記課題を解決するために、踝部以下の足部を支持する足支持部と、前記踝部以上の下腿部を施療する施療子を有すると共に、前記施療子で前記下肢部を支持する下腿支持部とからなる施療装置であって、前記施療装置は、前記下腿支持部が下腿部を支持した状態で前記足支持部の踵側に対して爪先側を回動させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明にかかる施療装置によれば、下腿支持部が下腿部を支持した状態で足支持部の踵側に対して爪先側を回動させるので、アキレス腱や脹ら脛のストレッチングを行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明にかかる施療装置を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
【0008】
図1は、実施の形態にかかる施療装置としての脚部用マッサージ装置を示している。この脚部用マッサージ装置1は、脹ら脛を載せるオットマン型マッサージ装置と言われるものであり、アキレス腱や脹ら脛などを伸ばすストレッチ可能な施療装置であって、足部Fを支持する足支持部としての足部マッサージ部2と、脚部Lを支持する下腿支持部としての下腿マッサージ部3とを有する。足部マッサージ部2と下腿マッサージ部3には、上下方向の開き角度が所定の周期で変化する開閉運動機構5が設けられている。この脚部用マッサージ装置1は、図示しない椅子型マッサージャーとは別体に設けられているが、椅子型マッサージャーと一体に設けられていても良い。また、この発明では、身体の下肢のうち踝以下を足部と言い、踝以上の部位を脚部と言い、脚部のうち膝関節から踝までを下腿部と言い、脚部のうち膝関節から上を大腿部として説明する。
【0009】
脚部用マッサージ装置1は、足部Fを保持する足部マッサージ部2と、下腿部をマッサージする下腿マッサージ部3と、下腿マッサージ部3を固定して支持するベース部4と、足部マッサージ部2と下腿マッサージ部3との開き角度を所望の周期で変化させることが可能な開閉運動機構5を有する。
【0010】
足部マッサージ部2は略矩形状の平面形状を有したブロック状の形態を有し、足部マッサージ部2の上に人が佇立可能な強度を備えており、足部マッサージ部2の上面部には左右の足部Fをそれぞれ個別に挿入する保持溝6、6が形成されている。保持溝6、6は平行な向きを有し、保持溝6、6同士は左右の足部Fを楽に揃えることが出来る間隔で離間している。
【0011】
ここでは、一つの足部マッサージ部2の上面部に平行な一対の保持溝6、6が所望の間隔で平行に形成されているが、左右の足部Fを別々にマッサージするために、足部マッサージ部2が分離して一対形成され、一対の足部マッサージ部2の各々が独立しているものであっても良い。
【0012】
保持溝6は大略「U」字形の断面形状を有しており、保持溝6の水平な底部とほぼ垂直な一対の縦壁面とを有する。保持溝6の幅は大人の男性の標準的な足幅より若干大きな幅とされ、保持溝6の長さは、大人の男性の標準的な足部Fの前後に余裕を持たせた長さを有し、保持溝6の深さは、マッサージする際に足部Fが保持溝6から左右に外れないように、足裏から足の甲の高さ程度の深さとされている。
【0013】
保持溝6の底部及び左右の縦壁面の表面は、厚みのある軟らかいマット(図示省略)により覆われており、保持溝6の左右の縦壁面であって足の甲より高い位置に、例えば足部Fのストレッチの際に足の甲を拘束するエアーバッグ7Aが左右一対設けられている。また、保持溝6の底部には、足裏の土踏まずをマッサージするマッサージ手段としてのエアーバッグ7Bが(施療子)設置されている。
【0014】
足の甲を拘束する一対のエアーバッグ7Aは、足部Fの左右両側から足の甲の上に突出可能な形状を有しており、脚部用マッサージ装置1がストレッチモードの際に、図2のエアーポンプPから圧縮空気が供給されることによって足の甲を保持溝6の中に拘束可能とされている。土踏まずのマッサージ用のエアーバッグ7Bは、足裏の土踏まずに対応した形状を有しており、脚部用マッサージ装置1がマッサージモードの際に、図示しないマッサージ用のエアーポンプから圧縮空気が供給・排出されることによって所定の周期で膨張・収縮を繰り返し、足裏をマッサージ可能とされている。なお、保持溝6の底部に設けるマッサージ手段はエアーバッグに限らず、ローラや指圧子などでも良い。
【0015】
下腿マッサージ部3も足部マッサージ部2と同様に、略矩形状の平面形状を有したブロック状の形態を有している。下腿マッサージ部3は、ベース部4の上端部に固定されている。下腿マッサージ部3の上面部にも、左右の下腿をそれぞれ挿入する保持溝8、8が形成されている。保持溝8、8は平行な向きを有し、左右の下腿部を楽に揃えることが出来る間隔で離間している。ここでは、一つの下腿マッサージ部3の前面部に平行な一対の保持溝部8、8が所望の間隔で平行に形成されているが、左右の脚部を別々にマッサージするために、下腿マッサージ部3が分離して一対形成され、一対の下腿マッサージ部3の各々が独立しているものであっても良い。保持溝8は大略「U」字形の断面形状を有しており、保持溝8の平らな底部と一対の縦壁面とが丸く面取りされて連なっている。
【0016】
保持溝8の幅は大人の男性の標準的な脹ら脛より大きな幅とされ、保持溝8の長さは、大人の男性の標準的な下腿部に相当する長さを有し、保持溝8の深さは、マッサージする際に脹ら脛が保持溝8の奥部内部に保持される深さとされている。
【0017】
保持溝8の底部及び左右の縦壁面の表面は、厚みのある軟らかいマット(図示省略)により覆われている。保持溝8の縦壁部の表面であって脹ら脛が保持される部分には、ストレッチモードの際に、脚部Lを拘束するためのエアーバッグ9Aが一対設置されている。また、保持溝8の底部の表面であって脹ら脛が保持される部分には、脹ら脛をマッサージするマッサージ手段としてのエアーバッグ9B(施療子)が設置されている。エアーバッグ9Aは、図2に示すエアーポンプPから圧縮空気が供給されて突出することによって、脚部用マッサージ装置1がストレッチモードの際に、下肢部の脚部Lを拘束する。また、マッサージ用のエアーバッグ9Bは、脚部用マッサージ装置1がマッサージモードの際に、図示しないマッサージ用のエアーポンプから圧縮空気が供給・排出されることによって所定の周期で膨張・収縮を繰り返し、脹ら脛をマッサージ可能とされている。
【0018】
ベース部4は、足部マッサージ部2及び下腿マッサージ部3を支持するように、逆「L」字形の側面形状を有しており、床面に支持される水平部4Aと水平部4Aから縦方向に立ち上がる縦壁部4B及び下腿マッサージ部3を支持する支持部4Cとからなる。なお、縦壁部4Bは水平部から垂直に立ち上がっても良いが、90°以上の角度で垂直よりやや脚部後方(図1において右)に傾斜するものであってもよい。水平部4Aには足部マッサージ部3及び開閉運動機構5が設置されており、支持部4Cには下腿マッサージ部3が固定されている。
【0019】
開閉運動機構5は、足部マッサージ部2とベース部4との間に配設されたエアーバッグ10〜13と、エアーバッグ10〜13に空気を供給するエアーポンプP(図2参照)及びエアーバルブV1〜V3(図2参照)によって構成される。足部マッサージ部2の両側部には連結部14が固定されており、各連結部14の上部と下腿マッサージ部3の側面部は連結軸15によって連結されている。足部マッサージ部2は、エアーバッグ10〜13の膨張・収縮によって、下腿マッサージ部3に対して例えば踝部近傍に位置する回動中心である連結軸15を中心として自由に揺動可能とされる。なお、足部マッサージ部2と下腿マッサージ部3は、連結されているが、踵の形状に応じた角度で配設されていれば、連結されていなくても良い。
【0020】
エアーバッグ10〜13は、図1(b)に示すとおり、足部マッサージ部2の平面的な位置において左右の足のそれぞれの爪先側及び踵側すなわち4点を支持するように、設置されており、圧縮空気を発生させるエアーポンプPとエアーバルブV1〜V3を介して接続されている。図2に示すエアーバルブV1、V2は、エアーバッグ10〜13とエアーポンプPに接続されると共に外気にも通じるアウターバルブVoと、内部にエアー通路を有するインナーバルブViで構成される。エアーバルブV1、V2は、アウターバルブVoの内部をインナーバルブViが左右に移動することによって、エアバッグ10〜13とエアーポンプPとが接続されたり、或いはエアーバッグ10〜13と外気とが接続されたりするように、切り換えられる。インナーバルブViは制御装置16のマイクロプロセッサの命令信号に制御される図示しないソレノイドにより駆動される。制御装置16のマイクロプロセッサは脚部用マッサージ装置1のリモートコントローラ17の操作ボタンの選択操作に基づいて所定の動作モード(マッサージモード及びストレッチモード等)を実行する。
【0021】
尚、ストレッチの際に、足部Fを拘束するエアーバッグ7Aと、脚部Lを拘束するエアーバッグ9Aは、エアーポンプPとエアーバルブV1と同様なエアーバルブによって接続され、ストレッチモードの入ったときに制御装置16の命令により、膨張して足部F及び脚部Lを拘束する。この拘束により下腿マッサージ部3が確実に下腿部を支持すると共に、足部マッサージ部2が回動する際に足部がずれることなどを防止できる。
【0022】
エアーバルブV1、V2は、エアーバッグ10〜13の圧縮空気の吹き込み口に対して、エアーポンプPの空気吹き込み口と外気とが切換えられるようになっている。エアーポンプPとエアーバッグ10〜13が接続されると、エアーポンプPからエアーバッグ内に圧縮空気が吹き込まれてエアーバッグ10〜13が膨らむ。インナーバルブViのスライドによって、外気とエアーバッグ10〜13が接続されると、エアーバッグ10〜13に吹き込まれた圧縮空気が外気に開放されて、エアーバッグ10〜13が収縮する。
【0023】
図3(a)(b)(c)は、足部マッサージ部2のストレッチの際の周期的な揺動動作を示す。図3(a)は足部マッサージ部2の爪先側と踵側を水平に保っている場合を示す。この場合には、エアーポンプPを駆動せず、圧縮空気をエアーバッグ10〜13には送らない。図3(b)は足部マッサージ部2の爪先側を上げて踵側を下げる場合を示す。この場合には、エアーバルブV1〜V3を制御してエアーバッグ10、11とエアーポンプPの空気吹き込み口とを接続すると共に、エアーポンプPを駆動して圧縮空気をエアーバッグ10、11に送り込み、エアーバッグ10、11を膨張させ、所定時間この膨張状態を維持する。このときエアーバルブV2のインナーバルブViのスライドにより、エアーバッグ12、13は外気に通じている。図3(c)は足部マッサージ部2の爪先側を下げて踵側を上げる場合を示す。この場合には、エアーバルブV2、V3を制御してエアーバッグ12、13とエアーポンプPの空気吹き込み口とを接続すると共に、エアーポンプPを駆動して、圧縮空気をエアーバッグ12、13に送り込み、エアーバッグ12、13を膨らませ、所定時間この膨張状態を維持する。このとき、エアーバルブV1によりエアーバッグ10、11は外気に通じている。
【0024】
ストレッチモードの際には、図3(b)(c)状態を所定の時間及び所定回数繰り返し、足部マッサージ部2を揺動させる。この足部マッサージ部2の上下方向の揺動運動はアキレス腱或いは脹ら脛のストレッチングに相応しいように所定の時間をかけてゆっくり行われる。また、開閉運動機構5がエアーポンプPとエアーバルブV1〜V3並びにエアーバッグ10〜13等からなるので、ストレッチングの時間や強さの調整を行うために、足部マッサージ部2若しくは下腿マッサージ部3の時間当たりの開閉回数の調整が容易であり、体格等に適応させ易い。
【0025】
なお、上記の実施の形態では、更に、足部マッサージ部2を保持溝6ごとに分離構成すると共に、左右のエアーバッグ10〜13にエアーバルブV1をそれぞれ独立に接続し、エアーバッグ10〜13を独立して膨張収縮可能とし、制御装置16のマイクロプロセッサのプログラムによって、左右の足部Fの足幅中心線を中心として上下に捻ったり、上述の揺動動作と組み合わせて多様なストレッチを行うように、制御しても良い。また、必ずしも揺動動作でなくても良く、下腿マッサージ部3が下腿部を支持した状態で足部マッサージ部2の踵側に対して爪先側を回動させる動作であれば、ストレッチングは可能である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】(a)は本発明を実施する最良の形態にかかる脚部用マッサージ装置の構成を示す模式図であり、(b)は下側から見た図である。
【図2】(a)はエアーバルブV1〜V3の操作により足側のエアーバッグを膨出させ、脚部側のエアーバッグを収縮させた状態を示す説明図、(b)はエアーバルブV1〜V3の操作により足側のエアーバッグを収縮させ、脚部側のエアーバッグを膨張させた状態を示す説明図。
【図3】(a)は足部マッサージ部を水平状態にした図、(b)は足部マッサージ部の踵側を低くした状態を示す図、(c)は足部マッサージ部の踵側を高くした状態を示す図。
【符号の説明】
【0027】
1 脚部用マッサージ装置
2 足部マッサージ部(足支持部)
3 下腿マッサージ部(下腿支持部)
4 ベース部
5 開閉運動機構
6 保持溝
7A 足部拘束用のエアーバッグ
7B 足裏マッサージ用のエアーバッグ(施療子)
8 保持溝
9A 脛部拘束用のエアーバッグ
9B 脹ら脛マッサージ用のエアーバッグ(施療子)
10、11 爪先側のエアーバッグ
12、13 踵側のエアーバッグ
14 軸受部
15 連結軸
16 制御装置
17 リモートコントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
踝部以下の足部を支持する足支持部と、前記踝部以上の下腿部を施療する施療子を有すると共に、前記施療子で前記下肢部を支持する下腿支持部とからなる施療装置であって、
前記施療装置は、前記下腿支持部が下腿部を支持した状態で前記足支持部の踵側に対して爪先側を回動させることを特徴とする施療装置。
【請求項2】
踝部以下の足部を支持する足支持部と、前記踝部以上の下腿部を施療する施療子を有すると共に、前記施療子で前記下肢部を支持する下腿支持部とからなる施療装置であって、
前記施療装置は、前記下腿支持部が下腿部を支持した状態で踝部近傍を回動中心として足支持部を回動させることを特徴とする施療装置。
【請求項3】
前記施療子は、空気袋であると共に、前記足支持部を回動させる駆動用空気袋を足支持部に設け、これらの空気袋に給排気を行う給排気装置を有する請求項1、請求項2の何れか記載の施療装置。
【請求項4】
前記駆動用空気袋は、前記足支持部の回動中心より爪先側及び踵側に設けることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか記載の施療装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4の何れか記載の施療装置を備えた椅子式マッサージ機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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