説明

施設のエネルギ管理システム

施設に供給されるエネルギを管理する方法は、電気供給業者からの電気の限界費用を監視すること、および施設の非暖房電気負荷と施設の暖房負荷とを決定することを含む。また、前記方法は、前記電気の限界費用が燃料の限界費用より大きいとき、または前記非暖房電気負荷がピーク請求デマンド閾値よりもおおきいとき、前記暖房負荷を満たすエネルギの供給のために燃料を入手することを含む。前記電気の限界費用が前記燃料の限界費用よりも小さくかつ前記非暖房電気負荷が前記ピーク請求デマンド閾値より小さいとき、電気は、前記現暖房負荷の少なくとも一部をみたすためのエネルギを供給すべく、前記ピーク請求デマンド閾値まで前記電気供給業者に求められ、また燃料は、前記電気のエネルギによって満たされない現暖房負荷を満たすためのエネルギを供給すべく入手される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、施設内のエネルギ使用の管理に関する。
【背景技術】
【0002】
暖房のためのエネルギ、家庭用温水および水泳プールなどの娯楽設備は、ほとんどの施設での最も大きなエネルギの用途の一部である。暖房は、電気および/または多くの暖房燃料のいずれによっても行うことができる。最も一般的な暖房燃料は、暖房用油、天然ガスまたはプロパンなどの石油を基にする燃料である。ほとんどの施設は、それらのすべての暖房のために石油系の燃料を使う。暖房が、一日中、また通年で複数の季節に必要とされる、より寒い気候におかれた施設では、燃料費がエネルギ費のかなりの部分を占めることがある。暖房のための石油系の燃料は、一般的に、商品価格および配達費用に基づいて料金を請求され、支払い請求期間の消費量が基本に、劇的に変化することはない。
【0003】
施設の総電気負荷量は、施設の電気暖房負荷を含めて、施設内の機器と備品とで使われた電気から成る。電気負荷は、典型的には、夜に需要が最も低く、また午後遅くと夕暮れとに需要が最も高くなり、一日中変動する。電気の使用料金は、一般的に、支払い請求期間中に使用されたエネルギ量に、(請求されるデマンド(demand)kW電力料金)最大使用レートに対するペナルティの付加を基本とする。この体系は、高い使用レートに対してユーザにペナルティを課す。一日を通じての電力デマンドがたとえピーク電力デマンドの僅かな部分であったとしても、施設はピーク使用に基づいたデマンド電力料金を請求される。
【0004】
空調システムは、室内空気を外からの新鮮な空気と混ぜて再循環するために、外から空気を引き込み、それを施設中に吹き出す。空調システムは、さらに、施設への分配前に外気を加熱するためのガス暖房ヒータを含み、また施設への分配前に外気を冷却するための空調ユニットを含む。大きなボックスストアのような施設の多くの空調システムは、室内空気を再循環しまたそれを新鮮な外気と混ぜる空調システムおよび炉の組合せである。それらは、また必要に応じて空気を加熱しまたは冷却する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
施設でのエネルギ使用の管理を改善する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
石油燃料費と電気との割合構造の最近の変換は、施設に必要とされている熱を提供する最も効率的な手段の選択によって、エネルギ費を減少させる機会を作り出した。従って、本発明の一態様は、費用効率の高い方法で施設にエネルギを提供すべく、燃料および電気の異なる価格構成を利用するシステム、記憶装置および方法を提供する。
【0007】
クレーム1
本発明の一態様によれば、電気および熱を必要とする施設に供給されるエネルギの管理方法が提供される。本発明の他の態様によれば、この方法を記録した、コンピュータで読み取り可能な記憶が提供される。本方法は、電気供給業者からの電気の限界費用を監視すること、施設非暖房電気負荷および施設暖房負荷を決定することを含む。本方法は、また、前記電気限界費用が燃料の限界費用より大きいとき、または前記非暖房電気負荷が、請求をうけるピークデマンド閾値より大きいとき、前記暖房負荷を満たすエネルギを供給するために、燃料を入手することを含む。前記電気限界費用が前記燃料限界費用より小さくかつ前記非暖房電気負荷が前記ピーク請求デマンド閾値より小さいとき、前記暖房負荷の少なくとも一部を満たすエネルギを供給するために、前記ピーク請求デマンド閾値まで、前記電気供給業者から電気を入手し、また前記電気エネルギによって満たされない暖房負荷を満たすためのエネルギを供給すべく前記燃料を入手することを含む。前記非暖房電気負荷が、前記ピーク請求デマンド閾値より小さいときに前記暖房負荷の少なくとも一部を満たすために電力を使用することにより、前記施設の電力消費変動は滑らかで、所定期間の燃料消費量は減少する。換言すれば、本方法は、前記暖房負荷の少なくとも一部を満たすために使われた電力で、前記施設の変動する非暖房電気負荷の谷間を満たすのに役立つ。
【0008】
クレーム7
本方法は、さらに、パワープールのエネルギ価格を監視することを含むことができ、前記パワープールのエネルギ価格が前記電気および燃料の総合コストを超えると、前記電気供給業者から電気を入手し、この入手した電気を前記パワープールに売ることができる。
【0009】
本発明の他の態様によれば、前記基の方法を実行すべくプログラムされたプロセッサと、前記施設の現暖房負荷および現電気負荷を決定するためのセンサを含むシステムが提供される。前記センサは、電気供給業者の電気コストおよび燃料源の燃料コストを供給され、あるいはこれに通信する。前記システムは、前記プロセッサと通信し、得られた電気および燃料から熱を発生するようそれぞれ動作可能の電気および燃料の両ボイラーを含むことができる。前記システムは、また、前記プロセッサと通信し、前記両ボイラーから前記施設への熱の送付を制御する制御バルブを含むことができる。前記システムは、電気または燃料あるいはその双方から熱を提供する原価削減方法を実行する。前記システムは、オフピーク期間に入手可能な低価格電気を利用するために、電気料金構造を活用する。前記システムは、高コスト燃料を低価格の「オフピーク」電気で置き代えることによって、コストを削減する。
【0010】
前記ピーク請求デマンド閾値には、先の請求期間からのピーク請求デマンド閾値履歴に等しい値を割り当てることができる。これは、電気供給業者が1つあるいはそれ以上先のピーク請求デマンドに基づいてそれぞれの現請求期間のデマンド料金を請求してくる場合、特に有益である。万一、前記現非暖房電気負荷が前記ピーク請求デマンド閾値を超えると、前記現非暖房電気負荷に等しい新たなピーク請求デマンド閾値が設定される。
【0011】
あるいは、デマンド料金閾値を超えることによって前記電気供給業者が前記施設にデマンド料金を請求する場合の事例数を削減するために、前記ピーク請求デマンド閾値に前記電気供給業者のデマンド料金閾値に等しい値を割り当てることができる。
【0012】
本発明の他の態様によれば、施設の空調システムに供給されるエネルギを管理する方法が提供される。本発明の他の態様によれば、本方法が記録された、コンピュータが読み込み可能な記憶装置が提供される。前記空調システムは、前記施設に外気または熱せられた外気を供給するための燃料駆動の暖房ユニットと、前記施設に冷却された外気を供給すべく電気回路によって駆動される空調ユニットと、前記施設に熱せられた外気を供給すべく前記電気回路によって駆動される電気暖房コイルとを含む。前記方法は、電気供給業者から電気の限界費用を監視すること、施設の非暖房電気負荷および施設の暖房負荷を決定すること、前記電気限界費用が燃料の限界費用より大きいとき、または前記非暖房電気負荷がピーク請求デマンド閾値より大きいとき、前記施設に熱せられた外気を供給すべく前記暖房ユニットを使用すること、および前記電気限界費用が前記燃料限界費用より小さくかつ前記非暖房電気負荷が前記ピーク請求デマンド閾値より小さいとき、前記施設を暖房するための暖房負荷の少なくとも一部を満たすために前記施設に熱せられた外気を供給すべく前記電気暖房コイルを使うことを含む。
【0013】
本発明のさらに他の態様によれば、施設のための空気調合システムが提供され、該空気調合システムは、外気を引き込みまた熱せられた外気を施設内に放出するための燃料駆動の暖房ユニットと、電気供給業者によって提供される電気で電気回路によって駆動され、外気を引き込みまた冷却された外気を前記施設内に放出する空調ユニットと、前記電気回路により駆動され、熱せられた外気を前記施設内に放出するための電気暖房コイルと、前記施設の非暖房電気負荷および暖房負荷を決定するための電気および熱負荷のセンサと、前記センサと前記電気供給業者の電気コストおよび燃料源の燃料コストとに通信するプロセッサとを含む。前記プロセッサは、電気供給業者からの電気の限界費用を監視し、施設の非暖房電気負荷および施設の暖房負荷を測定し、前記電気限界費用が燃料の限界費用より大きとき、または前記現非暖房電気負荷がピーク請求デマンド閾値よりも大きいとき、前記施設に熱せられた外気を供給するために前記暖房ユニットを使用し、前記電気限界費用が前記燃料限界費用より小さくかつ前記現非暖房電気負荷が前記ピーク請求デマンド閾値よりも小さいとき、前記施設の暖房のための暖房負荷の少なくとも一部を満たすべく前記施設に熱せられた外気を供給するために前記電気暖房コイルを使用するように、プログラムされている。
【0014】
本発明は、添付の図面を参照しての以下の詳細な説明から、さらに理解できよう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
システム構成要素
図1を参照するに、本発明の一実施例によれば、施設11によって使用される電気および燃料を管理するエネルギ管理システム10が提供される。
【0016】
施設11は、熱および電気を必要とする建物である。施設11は、前記建物内に見出せる電動の備品および機器に電力を供給するために、電気を使う。集合的に、これらの備品および機器は施設11に電気負荷12(「非暖房電気負荷」12)を課す。また、施設11は、電気および燃料の暖房組合せ体14、16のそれぞれに動力を供給するために、電気および燃料を使う。電気および燃料の暖房組合せ体14,16は、施設11で使用のための1つ以上の加熱可能な流体18を熱する。そのような流体は、水、空気、および熱を蓄えて転送する技術分野で知られた他の加熱可能な流体、例えば冷媒を含む。集合的な加熱可能の流体を熱することは施設11に熱負荷20を課す。
【0017】
電気暖房組合せ体14は、電気発熱体22および電気蓄熱装置24から成る。発熱体22は、空気を熱する1つ以上の電気炉および/または水を熱する1つ以上の電気ボイラーであり得る。代わりに、または前記電気炉に加えて、前記電気ボイラーは、空気を熱するために熱交換器に結合することができる。電気蓄熱装置24は、ボイラーの給水タンクまたは水泳プールなどのような熱せられた水を蓄えるための容器とすることができる。同様に、燃料暖房組合せ体16は、燃料発熱体26および燃料蓄熱装置28から成り、燃料発熱体26が1つ以上の燃料炉および/または燃料ボイラーであり、また燃料蓄熱装置28が熱せられた水を蓄える容器であり得る。電気および燃料の暖房組合せ体14,16の1つ以上の構成要素を施設11内に先在することができ、その場合、エネルギ管理システム10は、施設11によって使用される電気および燃料の管理のためにそのような構成要素を使用することができる。
【0018】
施設11は、また空調システムを備えることができ、該空調システムは、施設11に熱せられた、また冷やされた空気を提供するための空気配管に結合された電動空調ユニットおよびガス動力暖房ユニットを含むことができる。前記施設がそのような空調システムを備える場合、エネルギ管理システム10は、さらに以下により詳細に記載されているような前記配管に取り付けられた電気暖房コイル115を含むことができる。施設11が空調システムを備えていないならば、ガス暖房ユニット107と、電気空調ユニット109と、電気暖房コイル115と、施設11の冷房および暖房のためのそれぞれの配管113とを有する空調システム103をオプションで設置することができる(図6および7に示されている)。エネルギ管理システム10は、以下で詳細に説明するように、空調システム103によって使用される電気およびガスの使用を制御する。
【0019】
施設11は、従来の送電系統(図示せず)に電気的に結合される。前記送電系統を通して、施設は電気供給業者Aから電気を購入する。該電気供給業者は電気事業者、独立系電力業者(IPP)またはパワープールのトレーダーであり得る。購入した電気は、非暖房電気負荷12を満たし、また電気暖房組合せ体14(総合的に「施設総合電力需要」)に電力を供給するために使用される。
【0020】
施設11は、燃料暖房組合せ体16およびオプションの前記暖房ユニット107で使用する燃料を蓄えるための燃料貯蔵タンク29を有する。前記燃料は、従来技術で知られているように、天然ガス、ブタン、プロパン、暖房用油またはその他のすべての如何なる暖房燃料であっても良い。時々タンク14に補給するために、燃料は、タンカー(図示せず)を派遣する燃料供給業者(図示せず)から購入される。代わりに、施設11を燃料ライン(図示せず)に結合することができ、燃料供給業者は燃料ライン経由で燃料を施設11に直接供給することができる。
【0021】
燃料は、一般的に固定レートで燃料供給業者から購入される。しかしながら、電気は、一般的には、多くの要因に応じて変化し得る料金で電気供給業者Aから購入される。例えば、ブリティッシュ コロンビア ハイドロ アンド パワー オーソリティ(British Columbia Hydro and Power Authority)(「BCハイドロ」)のような電気事業者から電気を購入する場合、これらの要因には、電力需要(すなわち電気負荷)、供給電圧および施設の地理上区域を含む。特定のキロワット(kW)数以上の電力需要を有する、BCハイドロの顧客は、基本料金、電力消費量に対する料金およびデマンド料金を含む料金規定で請求を受ける。前記基本料金は、請求期間の間毎に固定価格である。前記電力量料金は、請求期間の間に消費されたキロワット時(kWh)毎の料金を請求し、消費された電力が一定のkWhの閾値(「電力量料金閾値」)を超えているときに、このkWh当たりの料金は変わるかもしれない。電気負荷が請求期間以内に一定のkWの閾値(「デマンド電力料金閾値」)を超えている場合、デマンド電力料金は、kW当たりの料金を請求し、このデマンド電力料金は、kW料金毎で異なる複数のデマンド電力料金閾値をそれぞれ含むことができる。他の電気事業者は、違う方法でデマンド電力料金を課すかもしれず、例えば、いくつかの公益事業者では、デマンド電力料金は、各請求期間(例えば1ヶ月あたり)で請求され、複数の請求期間(例えば前回の暦年にわたって)の間に要求されたピーク電力のパーセンテージである。
【0022】
電気事業者に加えて、電気はIPPおよびパワープールのトレーダーなどの他の電気供給業者Aから購入することができる。電気は、一般に固定レートでIPPからから購入することができる。対照的に、前記パワープールから購入される電気は、一般的に時間毎に価格設定され、また購入者は時間毎の有効なレートで請求を受ける。前記パワープールの価格は極めて不安定であるかもしれず、時間から時間で変動し、需要が低く、エネルギの余剰分を利用し得る夜間では、価格は一般的により安価である。いくつかの公益事業者は、同様な請求構造を採用し、請求レートが一日を通して異なる時刻使用に基づいて、顧客に請求し、これらの公益事業者は付加のデマンド電力料金を採用するか、そうでないかもしれない。
【0023】
実際には、施設の総電力需要が請求書の期間内で如何なる時点でもデマンド電力料金閾値を越えているか、1ヶ月の顧客のピーク需要が著しく他の月より高いと、需要電力料金は、総電気コストのかなりの部分を占める。電気コストは、電力量料金に対する前記デマンド電力料金の相対的な大きさを低減させることにより、低減することができる。これは、例えば、ピーク請求デマンド閾値の削減(ピークシェービング)および/または低需要期間の間の電力消費(谷間の埋め込み)によって達成することができる。
【0024】
次に図2を参照するに、システム10は、施設11に対する総エネルギ費の削減のために、施設11による電気および燃料の使用を管理すべくプログラムされたシステムプロセッサ30を含む。システムプロセッサ30は、直接デジタルコントローラ(DDC)、比例積分微分コントローラ(PID)、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)、特定適用向け集積回路(ASIC)、多目的コンピュータまたは従来技術で知られているような如何なるプロブラム可能のコントローラであり得る。
【0025】
プロセッサ30は、電気料金および燃料価格に関するデータを記憶するランダムアクセスメモリ装置(図示せず)を有する。電子ディスプレイおよびキーボードなどの入出力装置(図示せず)は、プロセッサ30に接続されており、電気および燃料の新しい価格データをプロセッサ30に手動で入力するのに使うことができる。プロセッサ30は、自動的に新しい電気および価格データを受信し、記憶するために、また外部の通信ネットワーク31に結合され、例えば、モデムまたはネットワークカード(図示せず)で、電気及び燃料の供給業者からの電気および燃料の価格データを自動的に更新すべく前記インターネットに接続することができる。電気価格データは、システム10から購入可能のキロワット時(kWh)単位で価格設定された現電気市場価格を含む。さらに、管轄区域に応じて、パワープールまたはIPPからの電気購入契約を通して、電気を売り買いする機会が在るかもしれない。前記電気価格データは、これに限定されないが、動作環境や現プール価格が書き込まれた契約のようなパワープールの現パワープール価格に関する情報を含む。燃料価格データは、システム10によって購入可能な現燃料市場価格を含む。前記燃料の市場価格は、用いられている燃料に依存するであろう。天然ガス、プロパンおよびブタンなどの燃料は、一般的に、ギガジュール(gJ)単位で価格設定されている。
【0026】
システム10は、プロセッサ30と通信する複数のセンサを含み、該センサは、電気および燃料の暖房組合せ体14、16および空調システム103の関連要素の運用条件と同様に、施設11によって要求される現エネルギ負荷に関連するデータをプロセッサ30に供給する。また、システム10は、プロセッサ30と通信する複数のアクチュエータを含み、該アクチュエータは、熱せられた流体の施設11への分配および空調システム103の動作と同様に、電気および燃料組合せ体14、16の動作を制御するために使用される。前記センサおよびアクチュエータは、以下を含む。
【0027】
電気暖房システムセンサ33
これらのセンサ33は、電気暖房組合せ体14、空調装置109および電気暖房コイル115で消費される電力を測定するためのメータと同様に、電気暖房組合せ体14に取り付けられており、(電気発熱体22の動作確認のために)電気発熱体22の出力で、また(暖房に利用可能なエネルギ量の測定のために)前記蓄熱装置24内で、加熱可能の流体の温度を監視するための温度センサを含む。
【0028】
燃料暖房システムセンサ34
これらのセンサ34は、燃料暖房組合せ体16に取り付けられており、(発熱体26が動作可能であることを確認するために)燃料発熱体26の出口で、また(暖房に利用可能なエネルギ量を測定するために)前記蓄熱装置28内で、加熱可能な流体の温度を監視するための温度センサを含み、燃料組合せ体16および前記暖房ユニット107によって消費された燃料を測定するメータを含むことができる。
【0029】
現電気負荷センサ35
これらのセンサ35は、集合的に施設の現総電気負荷、すなわち、電気および燃料の暖房組合せ体14、16、前記空調ユニット109および電気暖房コイル115に必要とされている電力を含んで、施設11のすべての電気設備が要求する瞬時の正味電力を測定する。そのようなセンサ35は、電力消費を計算することが可能でありかつプロセッサ30に信号を提供することが可能な電力計に接続している電圧及び電流の変成器を含むことができる。現非暖房電気負荷12は、センサ33によって測定された電気暖房システムの電気負荷からセンサ35によって測定された総電気負荷を差し引くことによって決定することができる。
【0030】
現熱負荷センサ36
これらのセンサ36は、施設11の現熱負荷20の温度を集合的に測定する。そのようなセンサは、施設11の気温を測定するための気温センサと同様に、家庭用温水、室内暖房に必要な部屋、温水プール、温水浴槽等の温度を測定するための複数の温度センサを含む。
【0031】
電気暖房組合せ体14のアクチュエータ37
これらのアクチュエータ37は、電気暖房組合せ体14の動作を制御し、また、アクチュエータ37は、発熱体22への電流を制御するスイッチと、前記蓄熱装置24へのおよび該装置からの熱せられた流体の流れを制御し、空調ユニット109および電気暖房コイル115への電気の流れの制御するための複数のバルブと含む。
【0032】
燃料暖房組合せ体のアクチュエータ38
これらのアクチュエータ38は、燃料暖房組合せ体16の動作を制御し、また前記発熱体26および前記暖房ユニット107への燃料の流れを制御するバルブと、前記燃料の燃焼のための火花点火器とを含み、また前記蓄熱装置28への及び該装置からの熱せられた流体の流れを制御するバルブを含むことができる。
【0033】
メイン流体制御バルブ39
メイン流体制御バルブ39は、電気および燃料の暖房組合せ体14、16から施設11の他の部分への加熱可能な流体の流れを制御するために、該加熱可能な流体毎に設けられている。図1に示されているように、メイン流体制御バルブ39は、流体源から直接に未加熱流体18を受ける導管と、電気暖房組合せ体14から熱せられた流体を受ける導管と、施設11内の熱負荷20に流体18を直接供給する導管と、燃料暖房組合せ体16を通して熱負荷20に流体に供給する導管とに流動的に接続されている。
【0034】
プロセッサのプログラミングおよびシステムの動作
プロセッサ30は、電気および燃料の価格と、現在の電気および熱の負荷12、20を監視し、また施設11の総光熱費を削減する方法で電気および燃料を使用する戦略を実行するように、プログラムされる。
【0035】
図3を参照するに、プロセッサ30は、非ピーク期間に電力を利用する「谷間の埋め込み」戦略でプログラムされる。この戦略は、施設11の現非熱電気負荷12が、指定されたピーク請求デマンド閾値(peak billed demand threshold)40を決して越えないという制約下で、動作する。ピーク請求デマンド閾値40は、ピークデマンド測定で測定されるように、現デマンド請求期間中で予期される電気暖房組合せ体14の他、施設11内のすべての電気機器により要求される最大許容正味電力である。一般的に、この値には、前年または数年前の同じ月の間に記録されまた請求されたピーク請求デマンドが割り当てられる。しかしながら、前記値は、如何なる履歴期間を基にしても良く、また予想外の電気消費状況の計上のために、動的に更新することができる。図3の縦軸42はkWでの電気負荷を表し、水平軸44は、真夜中に始まり、24時間後の真夜中で終わる一日の時刻を時間で表す。関数46は、典型的な1日にわたる施設11の非暖房電気負荷12(すなわち電気および燃料の暖房組合せ体14、16を含まないすべての装置および備品の電気負荷)を表す。関数46の下方の領域48は、kWhでの電気および燃料の暖房組合せ体14、16および空調ユニット109によって消費された電気を除く典型的な一日にわたって施設11で消費されたkWhでの総電気エネルギである。ピーク請求デマンド閾値40の線によって制約された関数46の上方の領域50は、谷間の埋め込みのために利用可能なkWhでの電気エネルギである。
【0036】
前記現非暖房電気負荷が前記現請求デマンド料金閾値を超える時に引き起こされる付加需要料金を請求する電気供給業者Aから施設11が電気を購入する場合、プロセッサ30は、前記ピーク請求デマンド閾値40を前記デマンド閾値以下の値に割り当てることができる。そのような場合に、領域50は、前記施設がデマンド料金を受けないで利用可能なkWhでの電気エネルギを表している。
【0037】
図4を参照するに、プロセッサ30のプログラムは、以下の処理ステップを連続的に繰り返すことにより、前記谷間の埋め込みを実行する。
【0038】
ブロック60で示された最初のステップで、プロセッサ30は、前記記憶装置に格納された、あるいは通信ネットワーク31を経て外部にある燃料限界費用および電気限界費用の情報にアクセスすることにより、前記燃料限界費用を前記電気限界費用に比較する。前記燃料限界費用は、燃料価格を得てそれをドル/gJ単位に変換し、燃料暖房組合せ体16および/または前記暖房ユニット107の効率を計上することにより、計算することができる。同様に、前記電気限界費用は、電気価格を得てそれをドル/gJ単位に変換し、電気暖房組合せ体14および/または空調ユニット9および/または前記暖房コイル115の効率を計上することにより、計算することができる。
【0039】
前記電気限界費用が前記燃料限界費用より大きいとき、プロセッサ30は、ステップ63に進むようにプログラムされており、ステップ63では、電気暖房組合せ体14および/または電気暖房コイル115が止められ、燃料暖房組合せ体16および/または前記暖房ユニット107が暖房負荷20を満たすに十分な熱エネルギを生成するように設定されている。電気およびガスのボイラーおよびガス炉のような電気および燃料の発熱体22、26、電気暖房コイル115、前記空調ユニット109および前記暖房ユニット107の動作は、従来技術でよく知られており、したがって、詳述しない。さらに、メインの流体制御バルブ39は、暖房のために燃料暖房組合せ体16に未加熱の加熱流体を送付するように設定される。
【0040】
前記電気限界費用が前記燃料限界費用より少さいとき、プロセッサ30はブロック62に進められ、該ブロックでは、ピーク請求デマンド閾値40が現電気負荷センサ33による測定に応じた現非暖房電気負荷12に比較される。ピーク請求デマンド閾値40が現非暖房電気負荷12より少ないと、プロセッサ30は、ブロック63に進むようにプログラムされている。当該ステップでは、電気暖房組合せ体14および/または電気発熱体115は止められ、燃料暖房組合せ体16および/または前記暖房ユニット107は、暖房負荷20を満たすに十分な熱エネルギを生成するように設定されている。さらに、メインの流体制御バルブ39は、暖房のために燃料暖房組合せ体16に未加熱の加熱流体を送付するように設定される。
【0041】
ピーク請求デマンド閾値40が現非暖房電気負荷12より大きいと、プロセッサ30はブロック64に進むようにプログラムされており、該ブロックでは、ピーク請求デマンド閾値40と現非暖房電気負荷12との差が、現熱負荷センサ36による測定に応じた暖房負荷20に比較される。総電気需要がピーク請求デマンド閾値40を越えて増大することなく、電気暖房組合せ体14によって暖房負荷20が満たされると、プロセッサ30はブロック65に進むようにプログラムされている。該ブロックでは、電気暖房組合せ体14および/または電気暖房コイル115は、暖房負荷20を満たすに十分な熱エネルギを発生し、燃料暖房組合せ体16および/または前記暖房ユニット107が止められる。さらに、メインの流体制御バルブ39は、電気暖房組合せ体14からの熱せられた流体を暖房負荷20に直接に送付するように設定される。
【0042】
総電気需要がピーク請求デマンド閾値40を越えて増大することなく、電気暖房組合せ体14によって暖房負荷20が満たされないと、プロセッサ30はブロック66に進むようにプログラムされている。該ブロックでは、電気暖房組合せ体14および電気暖房コイル115の少なくとも一方は、ピーク請求デマンド閾値40を超えることなく、該ピーク請求デマンド閾値40に総電気需要を高めるべく、充分な暖房エネルギを生成するように設定される。メインの流体制御バルブ39は、また、電気暖房組合せ体14からの熱せられた流体を燃料暖房組合せ体16へ送付するように設定される。燃料暖房組合せ体16および前記暖房ユニット107は、暖房負荷20を満たすために必要な残りの熱エネルギを発生させるように、設定される。
【0043】
本発明の第2の実施例によれば、プロセッサ30は、電気供給業者Aとパワープールとの価格差を監視する第2のエネルギ管理戦略でプログラムされており、コスト的に有利な状況下では、電気供給業者Aから購入した電気を売る。管轄区域に応じて、パワープールまたは電力購入契約を通して、IPPとで電気を売り買いする機会が存在するかもしれない。IPPからの電力購入は、一般的に定額契約下で行われる。対照的に、パワープールからの電力購入は、一般的に時間毎に価格設定されており、購入者は、時間毎の有効な料金で請求される。パワープール価格は極めて不安定で、時間から時間でかなり変動するかもしれない。前記価格は、例えば、利用可能な余剰エネルギがある夜間では非常に安いかもしれないが、1つ以上の電力供給源に重大な問題が生じた場合では、夜間の価格は通常価格の10ないし15倍に急上昇することがある。これは、前記価格が正常レベルに下がるまで、通例では1〜2時間続く。
【0044】
施設11が電力を定額で購入するためにIPPと契約する場合、施設11はどれほどの電力を消費するか一般的に正確にはチェックすることはできない。IPPと契約した顧客であって契約量を超えるかまたはそれより少ないかのいずれかの電力を使用する顧客は、関心ある時間での有効な価格で、パワープールとの差を売り買いすると考えられる。システム10は、これらの要因を利用して、パワープール価格が著しく急激に上昇するとき、電力をパワープールに売り、暖房負荷20を満たすために、暖房組合せ体16および暖房ユニット107の前記燃料にだけ依存する。特に、プロセッサ30は、外部の通信ネットワーク(図示せず)経由でパワープールの価格を監視するようにプログラムされる。前記燃料限界費用と前記パワープール価格との差が前記電気限界費用より大きいとき、前記パワープールに電気を売ることは、より費用効率が高く、プロセッサ30は、電気暖房システム14の動作および電気暖房コイル115を停止し、燃料暖房システム16および前記暖房ユニット107を起動し、また前記IPPから電気を最大契約量まで購入して、この電気をパワープールに売る。
【0045】
プロセッサ30は、前記施設には、そのエネルギ需要を満たすに十分な電力が確保されるようにプログラムされ、購入された電気は現非暖房電気負荷12を満たすように確保される。予期しない現電気負荷スパイクによって起こされたエネルギ不足を緩和するために、予備発電機(図示せず)をシステム10に設けることができる。
【0046】
空調システム
本発明の他の実施例に従って図6を参照するに、施設11で使用される空調システムが全体に符号103で示されている。多くの空調システムは、施設の屋根領域にあり、配管装置またはその他を経て外気を施設11内に放出する。施設エネルギ管理システム10は、前記空調システム103での電気およびガスの使用を制御し、前記電気限界費用が前記燃料限界費用より小さくかつ前記ピーク請求デマンド閾値が施設11の現非暖房電気負荷よりも大きいとき、電気暖房コイル115を使用することにより、施設11へ熱を提供する。
【0047】
空調システム103は、外気を引き込み、また施設11内に設置された例えば配管装置113を経て、施設11に外気を放出する前に、それを任意に熱する前記暖房ユニット107を含む。前記暖房ユニット107は、ガス燃焼ヒータとすることができ、施設11中への外気の放出のためのファンまたはその他を含む。前記暖房ユニット107は、一般に、燃料を燃料供給業者(図示せず)から得る。また、空調システム103には、外気を冷却しそれを施設11の例えば配管装置113を経て施設11内に放出する前記空調ユニット109が含まれている。前記空調ユニット109は、外気を導入し、それを冷却して施設11内に放出するのに好適な規模の任意の適当な空調ユニットとすることができる。前記空調ユニット109は、一般的に、電気供給業者(図示せず)から供給された電気によって作動され、結果として大きな電気回路(図示せず)を必要とする。
【0048】
空調ユニット109が大きな電気回路を必要とするとき、該電気回路は、施設11の暖房のために電気を供給するのに有利に使用することができる。少なくともいくらかの外気を熱するために、電気暖房コイル115を前記電気回路によって作動することができ、前記外気は次に例えば配管装置113を経て施設に放出される。電気暖房コイル115は、直接配管装置113に取り付けることができ、また施設105内に熱せられた空気を放出するためにオプションでファンを含むことができ、あるいはこれに代えて、電気暖房コイル115によって熱せられた空気を施設105に放出するために前記暖房ユニット107のファンを使うことができる。
【0049】
冷暖房を同時に使用しないことを暖房が保証することを必要とされているとき、電力を空調ユニット109から切り離すか、あるいは中断するために連動装置(図示せず)を設置することができる。例えば、暖房が必要なときに物理的な連動装置が空調ユニット109への電力を止め、冷房が必要なとき、接続が戻され電気暖房コイル115への電気供給が絶たれる。そのような適正な物理的連動装置は、従来技術で知られているので、ここでは詳細にふれない。
【0050】
図1から5を参照して上述したように、前記電気限界費用が例えばオフピーク時間に前記燃料限界費用よりも低い場合、前記施設に熱を供給すべく電気暖房コイル115を使用することができる。
【0051】
施設11に暖房が必要とされているとき、燃料で駆動される前記暖房ユニット107および電気電気暖房コイル115の両方の組合せを使用することができ、これに代えて、前記暖房ユニット107または電気暖房コイル115のいずれかを、そのどちらが施設11の最も高い費用効果を結果として生じるかに応じて、個々に使用することができる。これは、上記の図2および3に関連して記載したように、システムプロセッサ30で決定される。前記プロセッサは、前記暖房ユニット107および暖房コイル115の動作を制御すべく、前記空調システムに通信可能に接続されている。
【0052】
本発明の実施例の空調システム103は、エネルギ管理システム、例えば、図1から5に関連して上に説明したような前記システム10と連携して使用されており、該システムは、前記電気限界費用および前記燃料限界費用を決定し、比較し、また上記した多数の要因に基づいて施設11に熱を供給する費用効率の高い方法を決定することが可能である。
【0053】
施設は、既設の従来の空調システムを有することができる。そのような従来の空調システムは、典型的には、前記暖房ユニットで暖房するためにガスを使用しまた前記空調ユニットで冷房するために電気を使用する前記空調ユニットを含む複数の空調ユニットから成る。本実施例は、特にそのような空調システムを有する施設の改造に有益である。そのような改造を行う場合、前記暖房コイル115は、施設の既存のエアダクトに取り付けられ、前記暖房ユニットおよび暖房コイルは、プロセッサ30と通信可能に接続される。
【0054】
本発明の実施例に従って図7を参照するに、燃料駆動の暖房ユニット、電気駆動の空調ユニットおよび電気暖房コイルを有する空調システムの動作が与えられている。前記空調システムの動作は、次のようなステップ及び命令で符号化された記憶装置を有するシステムプロセッサ30を備えたエネルギ管理システム10の制御を受け、プロセッサ30は以下を遂行する。
【0055】
ステップ119中で、前記電気限界費用は前記燃料限界費用と比較される。これらの限界費用は、履歴値、供給業者からのあるいは図2を参照して以下で概説するように、外部の通信ネットワーク経由で前記値にアクセスすることによって与えられる値に基づいて、予めプログラムしておくことができる。前記電気限界費用が前記燃料限界費用より少ないと、本方法はステップ121に進み、該ステップでは、電気エネルギがピーク請求デマンド閾値を超えることなく暖房のための電力を提供するために利用可能であるかどうかを決定すべく、前記ピーク請求デマンド閾値が現非暖房電気負荷と比較される。前記ピーク請求デマンド閾値が前記非暖房電気負荷よりも大きいと、本方法はステップ123に進み、該ステップでは、前記ピーク請求デマンド閾値と前記現非暖房電気負荷との差が、前記暖房負荷の需要を満たすために前記暖房コイル115へ十分なエネルギを供給するに十分であるかを決定する。前記差が暖房負荷の需要より大きいと、本方法はステップ127に進み、該ステップでは、施設11に熱を提供するために、プロセッサ30は電気暖房コイル115を動作させる。
【0056】
ステップ119で前記燃料限界費用が前記電気限界費用より低いと決定された場合、ステップ121で前記現非電気負荷が前記ピーク請求デマンド閾値より大きい場合、またはステップ123で前記ピーク請求デマンド閾値と前記現非電気負荷との差が前記暖房負荷の需要を満たすに不十分であった場合、本方法はステップ125に進む。ステップ125では、プロセッサ30は施設11に熱を提供すべくガス暖房ユニット107を始動する。
【0057】
オプションで、プロセッサ30は、暖房ユニット107によって、および前記暖房コイル107によって供給される熱の組合せで、施設11を熱するようにプログラムすることができる。そのような熱の組合せは、前記ピーク請求デマンド閾値と前記現非暖房電気負荷との前記差が前記暖房負荷に必要な需要を満たすに不十分であると前記プロセッサが判断したときに、実行される。そのような場合、プロセッサ30は、前記ピーク請求デマンド閾値と前記現非暖房電気負荷との差以下の前記施設暖房違い以下の熱量を前記施設へ供給すべく暖房コイル115を起動する。プロセッサ30は、次に、暖房負荷の需要を満たすために必要とされる残りのエネルギを決定し、そして、必要とされる当該残りの熱を提供するために、前記暖房ユニット107を起動する。
【0058】

システム10は、野外の水泳プール、2つの屋外の温泉(spa)プール、融雪装置およびある建造物の室内暖房のための熱を提供すべく使用されるガス暖房システムを備える施設に設置することができる。前記プールおよび温泉施設は、年間を通して稼働する。リゾート地の暖房システムは、当所は2つの2.9M BTUHのボイラーからなり、約70%の効率で稼働する。いずれのボイラーも、前記施設の熱負荷を満たすに必要なすべての熱を提供可能である。2つのボイラーからの出力は、各負荷のために電気制御される混合バルブおよび熱交換器を使用する個々の暖房負荷に向けられる。
【0059】
システム10の設置には、2つのボイラーのうちの1つを300kWのCaloritech電気ボイラーと取り替える必要がある。Delta Controls Direct Digital Control(DDC)システムは、暖房負荷のそれぞれに向けられた熱を管理するために使用される混合バルブと同様、現存するものと新しいボイラーとの両方を制御するために、設置することができる。図5は完成した施設の概略図を示す。
【0060】
制御系は、熱ループのそれぞれで温度を監視し、前記ボイラーおよび混合バルブの両方を制御する。熱源としての前記電気またはプロパンのボイラーの選択は、上記でプログラムされたように、前記DDC制御によって自動的に完遂される。
【0061】
前記システムが設置されて作動した後、電気コストは20%未満増加するが、プロパンのコストは、施設全体でほぼ50%の低減を期待できる。最高6,000ドルまで、毎月の純節約を期待できる。
【0062】
本発明の具体例が記載されたが、本発明の範囲と精神から逸脱することなく、種々の変更が可能であることが理解できよう。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の一実施例による、施設のためのエネルギ管理システムの機能的なブロック図である。
【図2】前記システムのプロセッサに対する入出力のブロック図である。
【図3】典型的な施設での所定の時間範囲内の毎日の電気エネルギ消費の例のグラフである。
【図4】前記システムプロセッサで行われる前記システムの一般的な動作のフローチャートである。
【図5】前記施設で運転中の前記システムからの情報ディスプレイの画面プリントである。
【図6】本発明の一実施例による、施設のための空気調合システムの概略的な図面である。
【図7】エネルギ管理システムのシステムプロセッサによって行われる空気調合システムの一般的な動作のフローチャートである。
【符号の説明】
【0064】
10 エネルギ管理システム
11 施設
12 非暖房電気負荷
14 電気暖房組合せ体
16 燃料暖房組合せ体
18 流体
20 熱負荷
22 電気発熱体(電気ボイラー)
24 電気蓄熱装置
26 燃料発熱体(燃料ボイラー)
28 燃料蓄熱装置
30 システムプロセッサ
33 電気暖房システムセンサ
34 燃料暖房システムセンサ
35 現電気負荷センサ
36 現熱負荷センサ
37、38 アクチュエータ、
39 流体制御バルブ
103 空調システム
107 ガス暖房ユニット
109 電気空調ユニット
113 配管
115 電気暖房コイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設に供給されるエネルギを管理する方法であって
a)電気供給業者からの電気の限界費用を監視すること、
b)施設の現非暖房電気負荷および施設の現暖房負荷を決定すること、
c)前記電気限界費用が燃料の限界費用より大きいとき、または前記現非暖房電気負荷がピーク請求デマンド閾値よりも大きいとき、前記暖房負荷を満たすエネルギを供給するために燃料を入手すること、および
d)前記電気限界費用が前記燃料限界費用より小さくかつ前記現非暖房電気負荷が前記ピーク請求デマンド閾値よりも小さいとき、前記現暖房負荷の少なくとも一部を満たすエネルギを供給するために、前記ピーク請求デマンド閾値まで、前記電気供給業者から電気を入手し、また、前記電気エネルギによって満たされない現暖房負荷を満たすためのエネルギを供給すべく前記燃料を入手することを含む、エネルギ管理方法。
【請求項2】
さらに、(c)で、前記現非暖房電気負荷の少なくとも一部を満たすべく前記燃料で発電することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
さらに、(c)で、前記現非暖房電気負荷の少なくとも一部を満たすべく前記電気供給業者から電気を入手することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記燃料は、暖房用油、プロパン、天然ガスおよびブタンから成る群から選択される、請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
前記現暖房負荷は室内暖房負荷および温水暖房負荷を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記電気は電気ボイラーでエネルギを前記暖房負荷に供給し、前記燃料は燃料ボイラーでエネルギを前記暖房負荷に供給する、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
さらに、パワープールのエネルギ価格を監視することを含み、前記パワープールのエネルギ価格が前記電気および燃料の総合コストを超えると、前記電気供給業者から電気を入手し、この入手した電気を前記パワープールに売る、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
さらに、(d)で、前記暖房負荷の前記少なくとも一部を満たすエネルギの供給のための電気の入手を停止すること、および前記現暖房負荷の全てを満たすエネルギを供給するに十分な燃料を入手することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
さらに、前記現非暖房電気負荷を満たす電気の入手を停止し、前記現非暖房電気負荷を満たす電気の発電に充分な燃料を入手することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記ピーク請求デマンド閾値には、前記電気供給業者によって設定されたデマンド料金閾値と等しい値が割り当てられている、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記ピーク請求デマンド閾値には、先の請求期間からのピーク請求デマンド閾値履歴と等しい値が割り当てられる、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
さらに、(c)で、前記現非暖房電気負荷がピーク請求デマンド閾値よりも大きいとき、該ピークデマンド閾値には、前記現非暖房電気負荷に等しい新たな値が割り当てられる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
施設へのエネルギ供給を管理する方法であって、
a)施設の現暖房負荷を決定すること、
b)前記暖房負荷を満たすエネルギを供給するために電気供給業者から電気を入手すること、
c)パワープールからのエネルギ価格を監視すること、および
d)前記パワープールのエネルギ価格が、前記電気供給業者からの電気の入手および燃料源からの燃料の入手の総合コストを超えるとき、
前記暖房負荷を満たすエネルギを供給するための前記電気供給業者からの電気供給を停止すること、
前記暖房負荷を満たすエネルギを供給するために前記燃料源から燃料を入手すること、および
前記電気供給業者から電気を入手し、この入手した電気を前記パワープールへ売ることを含む、エネルギ管理方法。
【請求項14】
さらに、前記パワープール価格が前記電気供給業者からのエネルギの入手および前記燃料源からの燃料の入手の前記総合コストよりも小さいとき、施設の現非暖房電気負荷を満たすために前記電気供給業者から電気を入手すること、および前記パワープール価格が前記電気供給業者からのエネルギの入手および前記燃料源からの燃料の入手の前記総合コストよりも大きいとき、前記燃料で発電することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
施設のためのエネルギ供給管理システムであって、
a)施設の現非暖房負荷および現暖房負荷を決定するための電気および熱負荷のセンサと、
b)前記センサと、電気供給業者の電気コストおよび燃料源の燃料コストとに通信するプロセッサとを含み、
前記プロセッサは、
前記限界電気費用が燃料の限界費用より大きいとき、または前記現非暖房電気負荷がピーク請求デマンド閾値よりも大きいとき、前記暖房負荷を満たすエネルギを供給するために燃料源から燃料を入手するように、また
前記限界電気費用が前記燃料限界費用より小さくかつ前記現非暖房電気負荷がピーク請求デマンド閾値よりも小さいとき、前記暖房負荷の少なくとも一部を満たすエネルギを供給するために、前記ピーク請求デマンド閾値まで、前記電気供給業者から電気を入手し、また、前記電気エネルギによって満たされない前記暖房負荷を満たすためのエネルギを供給するべく前記燃料源から燃料を入手するように、プログラムされている、エネルギ供給管理システム。
【請求項16】
施設のためのエネルギ供給管理システムであって、
a)施設の現暖房負荷を決定するためのセンサと、
b)前記センサと通信し、また電気供給業者の電気コスト、燃料源の燃料コストおよびパワープール価格と通信するプロセッサとを含み、
前記プロセッサは、
前記現暖房負荷を満たすエネルギを供給するために前記電気供給業者から電気を入手するように、また
前記パワープールのエネルギ価格が前記電気供給業者からの電気の入手および前記燃料源からの燃料の入手の総合コストを超えるとき、前記暖房負荷を満たすエネルギを供給するための前記電気供給業者からの電気供給を停止し、前記暖房負荷を満たすエネルギを供給するために前記燃料源から燃料を入手し、また前記電気供給業者から電気を入手して、この入手した電気を前記パワープールへ売るように、プログラムされている、エネルギ供給管理システム。
【請求項17】
さらに、前記プロセッサと通信する電気および燃料の両ボイラーを含み、該両ボイラーは得られた電気および燃料でそれぞれ熱を発生するように動作可能である、請求項15または16に記載のエネルギ供給管理システム。
【請求項18】
さらに、前記プロセッサと通信し、前記ボイラーから前記施設への熱の送付を制御すべく動作可能の制御バルブを含む、請求項15または16に記載のエネルギ供給管理システム。
【請求項19】
前記ピーク請求デマンド閾値には、前記電気供給業者によって設定されたデマンド料金閾値と等しい値が割り当てられている、請求項15にクラムド(clamed)のエネルギ供給管理システム。
【請求項20】
前記ピーク請求デマンド閾値には、先の請求期間からのピーク請求デマンド閾値履歴と等しい値が割り当てられる、請求項15にクラムド(clamed)のエネルギ供給管理システム。
【請求項21】
前記現電気負荷がピーク請求デマンド閾値よりも大きいとき、該ピーク請求デマンド閾値には前記現電気負荷に等しい新たな値が割り当てられる、請求項20に記載のエネルギ供給管理システム。
【請求項22】
施設に供給されるエネルギを管理すべくプロセッサで実行するための符号化されたステップおよび命令を有し、前記ステップおよび命令は、請求項1に記載の方法を構成する、コンピュータが読み取り可能な記憶装置。
【請求項23】
施設に供給されるエネルギを管理すべくプロセッサで実行するための符号化されたステップおよび命令を有し、前記ステップおよび命令は、請求項13に記載の方法を構成する、コンピュータが読み取り可能な記憶装置。
【請求項24】
施設の空気調合システムに供給されるエネルギを管理する方法であって、
前記空気調合システムは前記施設に外気または熱せられた外気を供給するための燃料駆動の暖房ユニットと、前記施設に冷却された外気を供給すべく電気回路によって駆動される空調ユニットと、前記施設に熱せられた外気を供給すべく前記電気回路によって駆動される電気暖房コイルとを含み、
前記方法は、
a)電気供給業者からの電気の限界費用を監視すること、
b)施設の現非暖房電気負荷および施設の現暖房負荷を決定すること、
c)前記電気限界費用が燃料の限界費用より大きいとき、または前記現非暖房電気負荷がピーク請求デマンド閾値より大きいとき、前記施設に熱せられた外気を供給すべく前記暖房ユニットを使用すること、および
d)前記電気限界費用が前記燃料限界費用より小さくかつ前記現非暖房電気負荷が前記ピーク請求デマンド閾値より小さいとき、前記施設を暖房するための暖房負荷の少なくとも一部を満たすために、前記施設に熱せられた外気を供給すべく前記電気暖房コイルを使うことを含む、エネルギ管理方法。
【請求項25】
さらに、(d)で、前記ピーク請求デマンド閾値と前記現非暖房電気負荷との差が前記施設の暖房に必要とされる暖房負荷より大きいとき、前記施設を暖房するための暖房負荷のすべてを満たすべく前記施設に熱せられた外気を供給するために前記電気暖房コイルを使用することを含む、請求項24の方法。
【請求項26】
さらに、
e)前記電気暖房コイルの作動が必要とされているとき、前記空調ユニットへの電気の供給を絶ち、前記空調ユニットの作動が必要とされているとき、前記電気暖房コイルへの電気供給を絶つための連動装置が適用されることを含む、請求項24の方法。
【請求項27】
さらに、(c)で、前記現非暖房電気負荷の少なくとも一部を満たすべく前記電気供給業者から電気を入手することを含む、請求項24に記載方法。
【請求項28】
前記燃料は、暖房用油、プロパン、天然ガスおよびブタンから成る群から選択される、請求項24の方法。
【請求項29】
さらに、パワープールのエネルギ価格を監視することを含み、前記パワープールのエネルギ価格が前記電気および燃料の総合コストを超えると、前記電気供給業者から電気を入手して、この入手した電気を前記パワープールに売る、請求項24の方法。
【請求項30】
前記ピーク請求デマンド閾値には、前記電気供給業者によって設定されたデマンド料金閾値と等しい値が割り当てられている、請求項24の方法。
【請求項31】
前記ピーク請求デマンド閾値には、先の請求期間からのピーク請求デマンド閾値履歴と等しい値が割り当てられる、請求項24の方法。
【請求項32】
さらに、c.で、前記非暖房電気負荷が前記ピーク請求デマンド閾値よりも大きいとき、該ピークデマンド閾値には、前記現電気負荷に等しい新たな値が割り当てられる、請求項24の方法。
【請求項33】
外気を引き込みまた熱せられた外気を施設内に放出するための燃料駆動の暖房ユニットと、電気供給業者によって提供される電気で電気回路によって駆動され、外気を引き込みまた冷却された外気を前記施設内に放出する空調ユニットと、前記電気回路により駆動され、熱せられた外気を前記施設内に放出するための電気暖房コイルと、
前記施設の現非暖房電気負荷および現暖房負荷を決定するための電気および熱負荷のセンサと、
前記センサと前記電気供給業者の電気コストおよび燃料源の燃料コストとに通信するプロセッサとを含み、
前記プロセッサは、
a)電気供給業者からの電気の限界費用を監視し、
b)施設の現非暖房電気負荷および施設の現暖房負荷を測定し、
c)前記電気限界費用が燃料の限界費用より大きいとき、または前記現非暖房電気負荷がピーク請求デマンド閾値よりも大きいとき、前記施設に熱せられた外気を供給するために前記暖房ユニットを使用し、および
d)前記電気限界費用が前記燃料限界費用より小さくかつ前記現非暖房電気負荷が前記ピーク請求デマンド閾値よりも小さいとき、前記施設の暖房のための暖房負荷の少なくとも一部を満たすべく前記施設に熱せられた外気を供給するために前記電気暖房コイルを使用するように、プログラムされている、施設のための空気調合システム。
【請求項34】
さらに、前記暖房ユニット、前記空調ユニットおよび前記電気暖房コイルから放出された前記外気の前記施設への分配のための配管装置を含む、請求項33のシステム。
【請求項35】
前記電気暖房コイルは前記配管装置に取り付けられている、請求項34のシステム。
【請求項36】
さらに、
前記電気暖房コイルの作動が必要とされているとき、前記空調ユニットへの前記電気供給を絶ち、前記空調ユニットの作動が必要とされているとき、前記電気暖房コイルへの前記電気供給を絶つための連動装置が適用されることを含む、請求項33の方法。
【請求項37】
前記プロセッサは、(d)で、前記ピーク請求デマンド閾値と前記現非暖房電気負荷との差が前記施設の暖房に必要とされる暖房負荷より大きいとき、前記暖房コイルが前記暖房負荷のすべてを満たすように使用されるように、プログラムされている、請求項33のシステム。
【請求項38】
前記暖房ユニットは、暖房用油、プロパン、天然ガスおよびブタンから成る群から選択される燃料の使用に適する、請求項33の方法。
【請求項39】
前記ピーク請求デマンド閾値には、前記電気供給業者によって設定されたデマンド料金閾値と等しい値が割り当てられている、請求項33の方法。
【請求項40】
前記ピーク請求デマンド閾値には、先の請求期間からのピーク請求デマンド閾値履歴と等しい値が割り当てられる、請求項33の方法。
【請求項41】
前記現電気負荷がピーク請求デマンド閾値よりも大きいとき、該ピーク請求デマンド閾値には前記現非暖房電気負荷に等しい新たな値が割り当てられる、請求項33のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2009−516490(P2009−516490A)
【公表日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−540413(P2008−540413)
【出願日】平成18年11月14日(2006.11.14)
【国際出願番号】PCT/CA2006/001857
【国際公開番号】WO2007/053958
【国際公開日】平成19年5月18日(2007.5.18)
【出願人】(508145104)センパ パワー システムズ リミテッド (1)
【Fターム(参考)】