説明

施設内の大量のフッ化水素を回避するために石炭から灰を除去する工程

【課題】石炭をフッ化水素で処理してフライアッシュを除去し、その後、工程中に使用されたフッ化水素の略全てを再生する(それにより、施設内のHF量を大幅に減少させる)方法およびシステムを提供すること。
【解決手段】例示的方法が、フライアッシュを含有する石炭(110、111、112)で少なくとも1つの反応槽(107、108、109)を満たすステップと、フッ化水素を反応槽内に供給して、可溶性反応生成物、不溶性フッ化物化合物および最初のクリーン石炭の第1の反応混合物を形成するステップと、第1の可溶性反応生成物と第1の不溶性反応生成物とを分離するステップと、同じ反応槽内に硝酸を供給して、いくらかの残留フライアッシュ成分と反応させ、それらの第2の反応混合物を分離するステップと、第1のフッ化物反応に使用されたフッ化水素の略全てを再生するステップとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、市販燃料としての、フライアッシュを含有する石炭の処理に関し、詳細には、選炭工程実施時に、施設内にフッ化水素を蓄積することなく石炭を処理する新規な工程に関する。
【背景技術】
【0002】
特に硫黄およびフライアッシュを含有する石炭である、燃料源としての未処理石炭の商業利用は、許容できないレベルの大気汚染と、一次炭化水素燃料源として石炭に依存する工業施設の維持費の増大とをもたらすことが長い間知られている。何年にもわたって、石炭燃焼工程の効率性は高められてきたが、特に複合サイクル発電所で使用するために、よりクリーンでより効率的な石炭を開発する必要性は依然として大きい。タービン発電所に適した石炭は、効率的に運転するために少量の粒子のフライアッシュを含有することしかできないため、過去10年間にわたって、フライアッシュを低減するために、多くの研究開発プログラムが試みられており、殆どのプログラムは、許容できる低灰分石炭生成物を生成するために過酷な化学的処理に焦点を合わせている。
【0003】
通常、フライアッシュを除去する先行技術の方法には、可溶性種としての灰組成物を抽出する目的で、石炭原料の何らかの形態の苛性処理および/または酸処理が含まれる。その後、フライアッシュ成分は物理的に分離され、溶解アッシュは石炭燃料とは別々に処理される。フライアッシュを処理するための既知の先行技術工程、特に、可溶性のアルミノケイ酸ナトリウムを形成する苛性処理、または種々のフルオロ錯体を形成するフッ化水素酸に基づいた処理では、限られた成果しか得られなかった。さらに、より大規模な運転は、石炭供給流を処理するために施設内に相当量の潜在的に有害な化学製品を常に必要とする。
【0004】
近年は、発電施設においてよりクリーンな炭化水素燃料を使用したいという要望と対比されるフッ化水素の使用に関する深刻な環境上、安全上、防犯上の懸念のために、原炭を処理するフッ化水素(「HF」:hydrogen fluoride)の使用がますます注目を集め、批判を受けている。具体的には、新しい石炭エネルギー源に対する要望は、選炭作業工程において(特に工場施設にまたはその近くに)大量のフッ化水素を有していることによる危険に関する懸念を呼び起こしている。以前は、産業安全指針を遵守するのに必要な厳しい環境上および/または生産上の許可のために、HFを使用する殆どの石炭処理工程が、比較的小規模で、または連続的にではなくバッチ式に実施されていた。また、大規模工程の一部として大量のフッ化水素を生産し取り扱う必要性により、該工程は、過度にコストがかかり、商業的に魅力のないものになった。
【0005】
特にバッチ処理のために施設内に残留している大量のフッ化水素に伴う実際上の問題は、次の例に見ることができる。(正味出力)600メガワットの発電所では、既存の工程は、完了するのに数時間かかる反応工程を使用して660トンの石炭を処理するために、1つまたは複数のバッチ反応炉において約16〜20トンのフッ化水素を必要とする。フッ化水素の殆どがフライアッシュと反応する(反応率は経時的に低下する)が、該工程は、工程の開始時に利用可能な約16〜20トンのフッ化水素を依然として必要とし、それにより、(吸引、さらには接触した場合でさえ致命的となりうる)フッ化水素の毒性の高い性質による相当な安全性リスクおよび環境リスクをもたらす。フッ化水素は、皮膚を通して容易に吸収される全身性毒物として作用するので、皮膚接触でも致命的となりうる。
【0006】
蒸気状態または水状態のフッ化物とは対照的に、(CaFなどの)無機フッ化水素化合物は、殆ど常に固体であり、人間にとってかなり毒性が低い。それらは流出し易いが、結果的に環境へ解放される可能性は高くない。したがって、原料としてのHFではなく無機フッ化物の使用による工程において、フッ化水素量を制御し維持することが、工場施設の操業および人の安全の観点から非常に有利である。
【0007】
これまで、フッ化水素を使用して、フライアッシュを含有する石炭を処理する既知の工程は、施設内の水性HFまたは蒸気HFの蓄積を回避して処理ステップを実施することに成功していない。米国特許第4、169、170号は、濃縮フッ化水素使用して、原炭供給流から灰および硫黄を溶かして除去することにより原炭を処理する先行技術工程の特色をよく示している。米国特許第4、169、170号特許は、フッ化水素の生成および/または再利用の可能性を述べているが、該特許は、投入石炭供給流を処理するのに必要な量のフッ化水素を生成しかつ再利用する確かな石炭処理工程を何も開示していない。
【0008】
Fuel 82(2003)1917〜1920で発表された「The Production of Ultra Clean Coal by Sequential Leaching with HF Followed by HNO」という名称の、Karen M. SteelおよびJohn W. Patrickにより実施された「ウルトラクリーン」石炭製品を生産するためのフッ化水素の使用に関する最近の実験室規模の研究(「University of Nottingham process」と呼ばれる)が、比較的小さいベンチ規模でフッ化水素を使用してフライアッシュを処理することにある程度の成功を示した。しかし、University of Nottingham processは、主反応物としてのフッ化水素に依存する他のバッチ工程で遭遇する同じ基本的な問題に悩まされている。すなわち、フライアッシュとの反応を実施するために、施設内に許容できない量のHFが存在することが、やはり安全上および環境上の懸念をもたらしている。
【0009】
Kinneret Enterprises, Ltd.により開発された別の既知の先行技術工程では、原炭供給流に接触しているガス状態のフッ化水素を使用し、それにより、未処理フッ化水素ガスが分離され、再利用される。20〜30%フッ化水素水溶液が使用されて、高温および高圧で該水溶液から回収されたフッ化水素ガスと共に、形成されたフッ化水素鉱物が石炭から漉し出される。Kinneret工程はある程度成功したが、該工程では、バッチ工程実施時に、依然として相当量の未処理フッ化水素を必要とするという同じ基本的な欠陥に悩まされる。
【0010】
他の既知の先行技術工程では、施設内の過度のフッ化水素に関する同様の工程制御問題に遭遇する。例えば、Dasの米国特許第4、083、940号が、「電極純度(electrode purity)(低灰分)」まで石炭を精製するために、硝酸などの酸化剤と併用した0.5〜10%フッ化水素酸溶液の使用を開示している。同様に、Hickeyの米国特許第2、808、369号が、石炭を最初に加熱した後にフッ化水素ガスを使用して部分液化をもたらす、フッ化物塩を用いた石炭の処理を記載している。どちらの工程も、過度のフッ化水素が低灰分石炭供給流を処理するのに必要な原料として連続的に必要されている問題に対して、解決策を提供していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第4695290号公報
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、工程中に使用されるフッ化水素の略全てを再生しながら、フッ化水素および硝酸を用いて石炭を処理して、フライアッシュ化合物を除去する(それにより、工場施設に相当量のHFを維持する必要をなくす)、新しい方法およびシステムを提供する。
【0013】
本発明による例示的方法は、以下の基本的ステップ、すなわち(1)フライアッシュを含有する石炭で少なくとも1つの反応槽を満たすステップと、(2)フッ化水素および水を反応槽内に供給し、フライアッシュと反応させて、可溶性反応生成物と、不溶性フッ化物化合物と、最初のクリーン石炭との第1の反応混合物を形成するステップと、(3)最初のクリーン石炭から、(通常はスラッジ様の状態の)第1の反応混合物中の可溶性反応生成物と不溶性フッ化物化合物とを分離するステップと、(4)最初のクリーン石炭中に残存している任意のフライアッシュ化合物との反応に十分な量で、硝酸を反応槽内に供給して、さらなる可溶性反応生成物と、不溶性硝酸塩化合物と、「ウルトラクリーン」石炭とを含む第2の反応混合物を形成するステップと、(5)「ウルトラクリーン」石炭からさらなる可溶性反応生成物と不溶性硝酸塩化合物とを分離するステップと、(6)本質的に閉じられた工程で使用するために、第1の反応混合物中に形成されたフッ化物化合物から、本方法に使用されるフッ化水素の略全てを再生するステップとを含む。
【0014】
また、本発明による例示的方法は、第2の反応混合物中に存在する硝酸塩化合物を形成するのに使用された硝酸の略全てを再生するステップを含む。フライアッシュを含有する石炭を処理する関連システムおよび化合物は、やはり相当量のフッ化水素が工程中に施設内に残留することを必要とせずに、基本的に連続的な石炭処理運転を可能にする、順次作動する複数の反応槽の選択的使用を含む。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】フッ化水素を使用して、石炭供給流中に存在するフライアッシュを除去し、水素化熱分解法を使用してフッ化水素のいくらかを再生する先行技術のベンチ規模の工程のブロック流れ図である。
【図2】一次反応成分として施設内に貯蔵されている比較的大量のフッ化水素に依存する従来のバッチ工程において使用される主要な機器および工程の流れを示す、単純化した工程の流れ図である。
【図3】プロセス実施時に、施設内に維持されることになる追加のフッ化水素(またはフッ化水素酸)の必要を効果的になくしながら、石炭供給流中のフライアッシュを低減する、本発明による例示的半バッチ工程のための主要な機器および工程の流れを示す、工程流れ図である。
【図4】バッチ運転および連続的運転と、工程中に使用されたフッ化水素を再生する制御合成との組合せを採用することにより、フッ化水素および複数の反応槽を使用してフライアッシュを除去する、本発明による代替的工程の工程流れ図である。
【図5】やはり追加の施設内フッ化水素を供給する必要をなくすフッ化水素の制御合成をバッチ工程に用いる、本発明による例示的工程のさらなる代替的実施形態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
上記の通り、本発明は、大量のフッ化水素および/またはフッ化水素反応の副生成物の形成、使用、および貯蔵に起因する、先行技術に伴う問題をなくする、フライアッシュを含有する石炭を選炭するための独自の連続的かつ/または半バッチ工程を提供する。例示的実施形態では、その工程により、従来の選炭技術と比較して、施設内フッ化水素の必要が少なくとも90〜95%減少する。該工程は、確かに、フッ化水素および硝酸塩(NO化合物)を反応物として使用して、石炭を選炭し、フライアッシュ組成物を除去する。しかし、先行技術システムとは異なり、以下に記載されている工程変更は、選炭作業工程を完了するのに利用可能な(気体または液体いずれかの状態の水性フッ化水素としての)過剰なフッ化水素を有する必要を、事実上なくする。
【0017】
概要として、例示的工程は、約600〜700トンのフライアッシュ石炭生成物の処理を必要とする工程のための任意の所与の時に、石炭反応炉内の過剰量のフッ化水素があればそれが許容できるレベル、例えば約0.5トン未満に確実にとどまるように、センサ/制御バルブシステムを使用して、非常に精密な制御された条件下で石炭反応炉内へフッ化水素を導入する。最初の(主)石炭/フッ化水素反応炉にある1つまたは複数の感知素子が、経時的に、未処理フッ化水素の濃度を連続的に検出し監視し、それにより、フライアッシュを含有する石炭とのフッ化水素の最初の反応中に形成される再利用無機フッ化物の量を制御するのに使用することができる、連続的であるが変化する入力信号を供給する。
【0018】
本発明はまた、主フッ化水素石炭反応炉(例えば、水素化熱分解装置)の温度を制御するために、システムへの空気および/または蒸気の流動を監視し制御する手段を含む。主要な運転条件の監視はまた、経時的に主フッ化水素石炭反応炉へのフッ化水素の入力流れを制御するのに使用することができる。
【0019】
本発明による、一次石炭灰反応に由来する無機フッ化物(特にCaF)、および補給フッ化物を含む小さい原料流は、通常、室温で固体で構成されており、したがってフッ化水素と比較して著しく毒性/有害性が低い。石炭とフッ化水素とを含む最初の反応中に空気/気流を使用して無機フッ化物の形成率を制御することにより、主反応炉内の未処理フッ化水素量を正確に監視し、制御することができる。したがって、本発明による工程は、文献および先行技術に提示されている工程、特に、石炭が長時間にわたってバッチ反応炉内で3:10の比率のフッ化水素水と反応する従来の工程よりもはるかに安全である。
【0020】
本発明による例示的工程では、(フッ化水素の搬送ガスとしての機能を果たすこともできる)空気/気流の流量および温度および主反応炉(水素化熱分解装置)内のフッ化水素の量は、水素化熱分解装置に出入りするフッ化水素の流れを調節するために、監視され制御される主要な変数である。上記の通り、一実施形態では、約600〜700トンのフライアッシュ石炭を伴う工程に対して反応炉内の自由HF量が約0.5トンより多くなる場合、センサが制御信号を供給して、フッ化水素の入力流れを減少させる。その結果、利用可能なフッ化水素の量は、平衡反応を完了させる(かつ事実上全てのフライアッシュ反応物を除去する)のに十分なものに保たれ、その目的を達成するために施設内で過剰なHFを必要とすることがないことが分かった。
【0021】
本発明はまた、反応炉内の正味量を許容できる低レベルに維持しながら、フッ化水素を主石炭反応炉に供給する適応的な制御手段を利用する。例示的適応的な制御変数には、システム内で検出されそこに存在するフッ化物量と、主反応炉への空気/気流の流量と、水素化熱分解装置の作動温度と、フッ化水素を再生するフッ化物の反応速度とが含まれる。そのような変数は全て、必要な施設内フッ化水素量を、上記の例では公称16〜20トンから約0.5トン未満まで減少させるために使用することができ、それにより、工場施設に残留しているフッ化水素によりもたらされる安全上および健康上のリスクを大幅に低減することができる。
【0022】
正式な図面を参照すると、図1は、水素化熱分解装置を使用してフッ化水素の一部が再生されている状態で、フッ化水素を使用して、石炭供給流中に存在するフライアッシュを除去する、University of Nottingham(UK)により開発された先行技術のバッチ工程を示す。図1では、フライアッシュを含有する石炭供給流10が、フッ化水素酸と共に、混合/反応炉容器11内に導入される。得られた混合物は、約65℃の公称反応温度で反応する。石炭供給流(フライアッシュ)中に存在する鉱物質は、フッ化水素と反応して、可溶性反応生成物と、フッ化カルシウムなどの微量の不溶性フッ化物とを形成する。得られた反応スラリ12は、可溶性反応生成物、および微量の不溶性フッ化物を有する固体の「クリーン」石炭の両方を含有する。全反応生成物流は、第1のフィルタステップ13で濾過され、これにより、第1の使用済滲出液15から最初のクリーン石炭14が分離される。
【0023】
最初のクリーン石炭14は、石炭14と硝酸とが混合されかつ約80℃の温度に維持される第2の反応/混合ステップ16を経る。第1の反応の不溶性フッ化物と不溶性生成物とは、(Fe,Al)(NOとFeS残存量とを含有する硝酸アルミニウムと硝酸鉄の供給流31中に溶解する。得られたスラリ17は、フィルタ18を通過して、第2の使用済滲出液20と「クリーン」石炭19とを形成する。図1のフィルタ18による第2の使用済滲出液20は、複合排液(第1の使用済滲出液15および第2の使用済滲出液20)を処理する混合/フィルタ21を通過し、スラッジ物質22と二酸化ケイ素流23とが得られる。
【0024】
図1のスラッジ22は、硝酸を除去するための蒸留ステップ24を経て、再生硝酸30と水蒸気流26と共に、フッ化物/酸化物複合流25になる。フッ化物/酸化物流25と水は、次いで、フッ化水素32のいくらかを再生し、酸化物流28を生成するためのステップ27において水素化熱分解反応を経る。水素化熱分解反応中に形成されたさらなる酸化物29が、混合/反応槽33内で硝酸塩供給流31と混合され、これは、次いで、16での第2の反応において硝酸と混合される。
【0025】
上記の通り、図1に示されている先行技術工程の閾値問題は、フッ化水素を一次反応物として使用する他のバッチ工程が遭遇する同じ環境問題および安全問題を含む。図1の工程は、一定量のフッ化水素を再生する可能性を有するが、該工程は、バッチ工程を完了まで実施しかつ石炭供給流中の全てのフライアッシュを除去するために、施設内に追加のフッ化水素があることを必要とする。当業者には当然のことながら、この種のバッチ工程の有効性はまた、システムに供給されるフライアッシュ中に存在する特定の種類および量の鉱物に依存するところが大きい。
【0026】
図2を参照すると、単純化した工程の流れ図が、一次反応成分としてのフッ化水素に依存する従来のバッチ工程で使用される主要な機器および工程の流れを示している。したがって、図2は、他のバッチ工程で遭遇する同じ欠点のいくつかを包含している。
【0027】
図2のバッチ反応は、以下の基本的ステップを含む。フライアッシュを含有する石炭45を含む供給流が、フッ化水素酸貯蔵タンク43からのフッ化水素酸と水の溶液44と共に、(46aに示されている通り通常は絶縁されている)攪拌バッチ石炭反応槽46内に供給される。フッ化水素酸との最初の反応が完了に近づいた後、該反応から得られたスラッジは、スラッジライン47a経由で共通スラッジ貯蔵タンク47内に排出される。その後、硝酸貯蔵タンク36からHNO供給ライン37を通ってバッチ反応槽46へ硝酸が添加され、第2のバッチ反応を開始し、共通スラッジ貯蔵タンク47へ除去されなければならないさらなるスラッジが、バッチ反応槽46内で形成される。次いで、「クリーン」石炭を、図示の通りバッチ石炭反応槽46から除去することができる。
【0028】
また、図2は、第1のバッチ反応に使用されるフッ化水素酸の少なくともいくらかを再生する、以前のバッチ工程で使用されるステップを示す。スラッジ貯蔵タンク47からのスラッジ47bが、複数の分離/濾過ユニットの形態の、全体として49で示されている水分除去工程内に供給される。脱水スラッジ30は、オーバーヘッド凝縮器34aを備えた蒸留塔34内に供給され、これが、HNO貯蔵タンク36に供給される硝酸を分離する。蒸留塔34からの残留固体/液体流34bは、オーバーヘッド凝縮器41を備えたフッ化水素酸再生ユニット39内に供給され、これが、次にライン42経由でフッ化水素酸貯蔵タンク43内に供給することができるフッ化水素酸の一部を再生する。
【0029】
図2に示されているシステムは、やはり、工程で使用するために、大量のフッ化水素酸および硝酸が施設内に残留していることを常に必要とする。当然、この種のバッチ石炭処理工程はまた、工程を再開するために、十分量の両酸が常時利用可能であることを必要とする。図2のシステムの別の欠点は、処理される石炭が、比較的長時間にわたって、大量の酸反応物と共に一次反応槽内に残留していることを必要とすることである。
【0030】
図2のシステムとは対照的に、図3は、所望のフライアッシュ除去を達成するのに必要な事実上全てのフッ化水素を効果的に再生しかつ使用することにより、大量の施設内フッ化水素酸を維持する必要をなくす顕著な利点を有する、本発明の(全体として50と示されている)第1の例示的実施形態の工程流れ図を示す。
【0031】
図3では、第1のスラッジ様物質が、図の右下部分に示されているようにフライアッシュ石炭を処理することにより得られる。フッ化物反応炉88内部で、フライアッシュを含有する石炭上へ酸が「滴下する」ように、フッ化水素酸が、HF供給ポンプ80によりフッ化水素酸供給ライン87を通ってフッ化物反応炉88内に供給される。反応炉88は、90で示されている通り攪拌される。フッ化水素酸は反応して、通常は可溶性反応生成物と、不溶性フッ化物化合物と、「最初のクリーン」石炭とを含む、すなわち石炭供給流から除去されたフライアッシュ中の酸化物の大部分を有する、スラッジ様物質を形成する。最初の反応中に水も添加されて、HFと水の複合溶液が図示の通り連続的に攪拌されている状態で、公称では約5重量%のフッ化水素酸を含有する混合物89が得られる。
【0032】
フッ化物反応炉88内の最初の反応が完了に近づくと(公称では約3時間後)、得られたスラッジは、スラッジ流91によりスラッジ保持タンク(図示せず)へ輸送され、硝酸との最初のクリーン石炭の第2の反応から得られたスラッジと組み合わせられる。スラッジ複合流91は、逆浸透ステーションを通過して、順次作動するように示されている複数の分離/濾過ユニット65、66および67を使用して水分を除去する。得られた液体/スラリスラッジ52(かなりの部分の水が除去された状態でフッ化物を含有する)は、例示的形態では蒸留塔を含む硝酸再生ユニット51内へ供給される。HNO再生流59に示されている通り、硝酸と水の蒸気(流)が、(少量の空気と共に)硝酸再生ユニット51の最上部から除去される。HNO再生流59は、次いで、水槽処理用タンク60内に供給され、ガススパージャ62を使用して水溶液61により泡立てられて蒸気および空気を除去する。得られた水性硝酸溶液63を、前述の最初に処理された石炭との第2の反応のために使用することができる。
【0033】
硝酸再生ユニット51の底部から底部流68で放出されたスラッジ様物質は、71で示されている固体物質と共にサイロ/ホッパ70内に進入するフッ化物化合物を含有する固体粒子を含む。その時点で、固体供給流がモータ制御バルブ72を使用して制御されている状態で、少量の補給フッ化物を、底部流(補給流69参照)に添加することができ、全混合物は、74で示されているように絶縁されているフッ化水素再生ユニット73内に供給される。また、フッ化水素酸ガス除去ループが、ライン79を通ってHF再生ユニット73内に供給される熱空気と蒸気の複合流78を含む。熱空気と蒸気とは、固体75と反応して、フッ化水素酸と、水蒸気と、空気とを生成する。3つの反応生成物は全て、水分除去タンク82に供給されるようにフッ化水素酸ライン80経由で再生ループを離れる。固体酸化物は、固体酸化物ライン77を通ってHF再生ユニット73から除去される。水分除去タンク82が、循環ポンプ80に供給される比較的高濃度のフッ化水素酸85を残して、混合溶液84中の過剰な水蒸気と空気とを除去する。ポンプ80は、前述の方法でフッ化物反応炉内で使用するために、87で示されている酸流を放出する。
【0034】
図4は、本発明による工程の代替的実施形態の別の例示的工程の流れ図を示し、今回は複数の反応槽を使用している。図3とは対照的に、図4の工程は、バッチ運転と連続運転との組合せを用いて、フッ化水素を使用して石炭供給流中のフライアッシュを除去する。図4の実施形態もまた、フッ化水素を再生しかつ過剰なフッ化水素を施設内に維持する必要をなくする前述の制御合成を組み込んでいる。
【0035】
図4の実施形態の「バッチ」態様は、順次作動する3つの異なる石炭反応槽を含み、各槽は、異なるバッチ様運転を順次実施することができる。すなわち、(1)フライアッシュを含有する最初の石炭供給流をフッ化水素と反応させて、第1の反応槽内で第1のスラッジ物質を形成し、(2)第2の反応槽内で最初に処理された石炭を硝酸と反応させて、第2のスラッジ様物質を形成し、(3)第2の反応サイクル完了後に、第2の反応槽から「クリーン」石炭を出し、(4)フライアッシュを含有する新しい「汚い」石炭で第3の(空の)反応槽を満たし、石炭の前のバッチから排出されたHFスラッジ溶液とその石炭を反応させて、スラッジ中の残存HFを消費する。
【0036】
さらに、図4に示されているスラッジ輸送ライン190、191、192、193および194は、(通常はかなり過剰なHFを含む)1つのHF反応炉からのスラッジが、新しい石炭を含む第2の反応槽へ輸送されることを可能にする。例えば、スラッジ輸送ライン190、191、または192の任意の1つは、残存フッ化水素を含有するスラッジを第1のバッチ石炭反応槽に戻して再利用するのに使用することができると考えられる。同様に、スラッジ輸送ライン193および194は、図示の通り、第2のバッチ石炭反応槽または第3のバッチ石炭反応槽のどちらかへ、残存フッ化水素を含有するスラッジを輸送するのに使用することができると考えられる。本方法におけるスラッジ輸送ラインの使用は、工場施設自体にあるフッ化水素の効率的な使用を確実にするのに役立つ。
【0037】
このように、図4は、3つの異なるバッチ式反応炉が、1つの反応炉がフッ化水素を常時消費し(第1のスラッジ廃棄物を生成し)、1つの反応炉が硝酸を常時消費し(第2のスラッジ廃棄物を生成し)、1つの反応炉が常時、得られた「クリーン」石炭を空にし、かつフライアッシュを含有する新しい「汚い石炭」で満たすように、上記ステップの各々を順次実施するように作動する実施形態を示す。したがって、図4は、本発明すなわち種々の反応を順次処理する複数槽の使用の重要な利点を示す。
【0038】
図4の具体的な処理構成要素を参照すると、3つの攪拌バッチ反応槽107、108および109の各々は、前述の異なる作業工程に関して順次作動することにより、フライアッシュを含有する石炭すなわち石炭供給流110、111および112を処理することができる。バッチ石炭反応槽の各々は、通常、熱効率をより良好に維持しかつ反応温度全体を制御するために、図示の通り絶縁されている。単に例示の目的で、石炭フライアッシュ供給流を処理するのに使用されるバッチ反応槽107について以下に記載されており、残りの2つまたはそれより多いバッチ石炭反応槽が順次作動し、かつしたがって同じ基本的作業工程を実施することができることが分かる。
【0039】
バッチ反応槽107を参照すると、反応槽内部で酸が石炭104上に「滴下し」(ポタポタ落ち)、反応して、スラッジ物質と最初の「クリーン」石炭すなわち酸化物(フライアッシュ)のいくらかが除去された状態のものを形成するように、フッ化水素酸が、第1の共通酸供給ライン113を通って該槽内に供給される。図4の実施形態では、フッ化水素酸が該工程のどこか他で生成されながら、それが破壊されており(反応しており)、このことが、前述の先行技術工程を凌ぐ著しい商業上の利点を示す。また、フッ化水素酸との最初の反応工程中に水が添加され、図示の通り、得られた水溶液101が連続的に攪拌される。第1の反応に使用される新しいフッ化水素酸が、HF供給ライン113を通って反応槽107内に供給される。HFとの最初の反応が完了に近づくと(公称では約3時間後)、反応槽107内に存在する得られたスラッジ様反応生成物が、共通スラッジ除去ライン130経由で共通スラッジ貯蔵タンク116内に排出される。
【0040】
最初のスラッジが除去されると、(やはり約3時間続く)前述の第2のバッチ反応を開始するために、最初に硝酸供給ライン140を、その後共通酸供給ライン113を通って、バッチ反応槽107内に硝酸が添加され、結果的に、バッチ反応槽107内でさらなるスラッジが形成される。第2の反応により生成された該スラッジは、最終的に共通スラッジ貯蔵タンク116へ除去され、該共通スラッジ貯蔵タンクは、両スラッジ反応生成物の混合物を含んでいる。スラッジが反応槽107から除去されると、図示の通り、反応槽107から「ウルトラクリーン」石炭を除去することができる。実際には、共通スラッジ貯蔵タンク116は、図4の最下部に示されている連続的なHFおよびHNO再生工程を可能にする。その意味では、バッチ運転および連続運転の組合せは、再生ユニットおよび水分除去ユニットに必要な大きさを大幅に縮小することに役立つ。
【0041】
図4はまた、第1のバッチ反応および第2のバッチ反応に使用されるフッ化水素酸および硝酸を連続的に再生するのに用いられるステップを示す。共通スラッジ貯蔵タンク116からの複合スラッジ117が、全体的に118で、順次作動する複数の分離/濾過ユニットの形態で示されている(選択的な)水分除去工程内に供給される。脱水スラッジ119が、凝縮器供給流122によりオーバーヘッド凝縮器123を備えた蒸留塔120内に供給され、これが硝酸を分離し、該硝酸は、前述の通りライン140経由で石炭反応槽107内に供給される。同様に、蒸留塔120からの残留固体/液体流121が、フッ化水素酸再生(例えば、蒸留)ユニット124内に供給され、供給ライン125経由でオーバーヘッド凝縮器126を使用し、これがフッ化水素酸を再生し、該フッ化水素酸は、ライン150を通って反応槽107内に供給される。
【0042】
フッ化水素酸と硝酸との2つの一次反応が完了し、得られたスラッジが除去されると、生成物送出ライン160を通ってバッチ反応槽107からクリーン石炭を除去することができる。その間に、同じ基本的反応順序が反応槽108および109内で起こっており、該反応槽は、反応槽107に関して記載されたものに相当する供給ラインと送出ラインとを含む。例えば、反応槽108は、石炭供給流111と、フッ化水素酸供給ライン114(発生する反応に応じて、硝酸供給ライン機能も果たす)と、石炭105と、水102と、クリーン石炭放出流170とを含む。
【0043】
また、本発明は、バッチ工程に使用するために、大量のフッ化水素酸および硝酸が施設内に残留していることを常に必要とする先行技術システムとは大きく異なる。灰除去工程を完了させるために「補給」フッ化物が必要な場合があるが、追加のフッ化水素酸を必要とすべきでない。上記の通り、先行技術システムの別の欠点は、処理中の石炭が、比較的長時間にわたって大量の酸反応物と共に一次反応槽内に残留していることを、それらが必要とすることである。
【0044】
最後に、図5は、追加の施設内フッ化水素の必要をなくすために、半バッチ工程においてフッ化水素の制御合成を使用する、本発明による例示的工程のさらなる代替的実施形態を示す。図5は、反応槽200で示されている、垂直と対照的な略水平の、硝酸およびフッ化水素酸再生槽の使用を示す。本代替的実施形態は、図4に関して図示のかつ前述の、同じ供給ラインおよび放出ライン、すなわち酸ガス再利用206と、熱空気供給流205と、硝酸蒸気207と、熱空気と酸ガスの複合再利用ライン203と、逆浸透工程からのフッ化物を含有する液体/スラリ供給流202と、固体粒子201と、熱空気と酸ガスの複合再利用供給流208と、液体/固体(スラッジ)放出流204とを使用する。
【0045】
本発明は、現在最も実践的で好適な実施形態と考えられるものと共に記載されているが、本発明は開示された実施形態に限定されるものではなく、一方で、添付の特許請求の範囲の精神および範囲内に含まれる種々の修正および等価の装置を包含するものであることを理解されたい。
【符号の説明】
【0046】
10 石炭供給流
11 混合/反応炉容器
12 反応スラリ
13 第1のフィルタステップ
14 クリーン石炭
15 第1の使用済滲出液
16 第2の反応/混合ステップ、第2の反応
17 スラリ
18 フィルタ
19 「クリーン」石炭
20 第2の使用済滲出液
21 混合/フィルタ
22 スラッジ物質、スラッジ
23 二酸化ケイ素流
24 蒸留ステップ
25 フッ化物/酸化物(複合)流
26 水蒸気流
27 水素化熱分解反応
28 酸化物流
29 さらなる酸化物
30 再生硝酸、脱水スラッジ
31 硝酸アルミニウムと硝酸鉄の供給流、硝酸塩供給流
32 フッ化水素
33 混合/反応槽
34 蒸留塔
34a オーバーヘッド凝縮器
34b 残留固体/液体流
36 硝酸貯蔵タンク、HNO貯蔵タンク
37 HNO供給ライン
39 フッ化水素酸再生ユニット
41 オーバーヘッド凝縮器
42 ライン
43 フッ化水素酸貯蔵タンク
44 フッ化水素酸と水の溶液
45 フライアッシュを含有する石炭
46 バッチ石炭反応槽
46a 絶縁されている
47 共通スラッジ貯蔵タンク
47a スラッジライン
47b スラッジ
49 水分除去工程
50 流れ図
51 硝酸再生ユニット
52 液体/スラリスラッジ
59 HNO再生流
60 水槽処理用タンク
61 水溶液
62 ガススパージャ
63 水性硝酸溶液
65、66、67 分離/濾過ユニット
68 底部流
69 補給流
70 サイロ/ホッパ
71 固体物質
72 モータ制御バルブ
73 フッ化水素再生ユニット、HF再生ユニット
74 絶縁されている
75 固体
77 固体酸化物ライン
78 熱空気と蒸気の複合流
79 ライン
80 HF供給ポンプ、フッ化水素酸ライン、循環ポンプ
82 水分除去タンク
84 混合溶液
85 フッ化水素酸
87 フッ化水素酸供給ライン、酸流
88 フッ化物反応炉
89 混合物
90 攪拌される
91 スラッジ流
101 水溶液
102 水
104 石炭
105 石炭
107、108、109 攪拌バッチ反応槽
110、111、112 フライアッシュを含有する石炭、石炭供給流
113 第1の共通酸供給ライン、HF供給ライン
114 フッ化水素酸供給ライン
116 共通スラッジ貯蔵タンク
117 複合スラッジ
118 水分除去工程
119 脱水スラッジ
120 蒸留塔
121 残留固体/液体流
122 凝縮器供給流
123 オーバーヘッド凝縮器
124 フッ化水素酸再生(例えば、蒸留)ユニット
125 供給ライン
126 オーバーヘッド凝縮器
130 共通スラッジ除去ライン
140 硝酸供給ライン
150 ライン
160 生成物送出ライン
170 クリーン石炭放出流
190、191、192、193、194 スラッジ輸送ライン
200 反応槽
201 固体粒子
202 液体/スラリ供給流
203 熱空気と酸ガスの複合再利用ライン
204 液体/固体(スラッジ)放出流
205 熱空気供給流
206 酸ガス再利用
207 硝酸蒸気
208 熱空気と酸ガスの複合再利用供給流

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理中に使用されるフッ化水素の略全てを再生しながら、フッ化水素および硝酸で石炭を処理してフライアッシュ成分を除去する方法であって、
フライアッシュを含有する石炭(110)で反応槽(107)を満たすステップと、
前記フライアッシュと反応させ、かつ可溶性反応生成物、不溶性フッ化物化合物および最初のクリーン石炭の第1の反応混合物を形成するのに十分な量で、フッ化水素(113)および水を前記反応槽(107)内へ供給するステップと、
前記最初のクリーン石炭から前記第1の反応混合物中の前記可溶性反応生成物および前記不溶性フッ化物化合物を分離するステップと、
前記最初のクリーン石炭中に残存している前記フライアッシュと反応させて、さらなる可溶性反応生成物、不溶性硝酸塩化合物およびウルトラクリーン石炭の第2の反応混合物を形成するのに十分な量で、硝酸(140)を前記反応槽(107)内へ供給するステップと、
前記ウルトラクリーン石炭から前記さらなる可溶性反応生成物および前記不溶性硝酸塩化合物を分離するステップと、
前記第1の反応混合物中に存在するフッ化物化合物から、前記方法で使用される略全てのフッ化水素を再生するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記第2の反応混合物中に存在する硝酸塩化合物から、前記方法で使用される略全ての硝酸を再生するステップをさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
フッ化水素および硝酸を再生する前に、前記第1の反応混合物および前記第2の反応混合物中の前記可溶性反応生成物と前記不溶性反応生成物とから水分を除去するステップをさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
フッ化水素を再生する前記ステップは、前記第1の反応混合物中の前記フッ化物化合物の水素化熱分解条件下で起こる、請求項1記載の方法。
【請求項5】
フッ化水素を再生する前記ステップは、フッ化水素との前記フライアッシュの前記反応中に、前記フッ化物化合物の形成率に基づいて、空気と蒸気との混合物を注入するステップを含む、請求項1記載の方法。
【請求項6】
フッ化水素を再生する前記ステップは、前記第1の反応混合物中のフッ化水素の温度および濃度を経時的に監視するステップと、前記反応槽(107)内へのフッ化水素(113)の流れを調節するステップとを含む、請求項1記載の方法。
【請求項7】
フッ化水素(113)を供給する前記ステップは、前記第1の反応混合物中のフッ化水素の濃度を、前記フライアッシュとの前記反応を促進して前記フッ化物化合物の形成を完了させるのに十分に高く維持するステップを含む、請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記方法中に再生されるフッ化水素量は、前記第1の反応混合物中の前記可溶性フッ化物化合物と前記不溶性フッ化物化合物とを形成するのに使用される前記フッ化水素量に実質的に等しい、請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記石炭は、約0.1重量%の前記フライアッシュを含有する、請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記第1の反応混合物中に存在する未反応フッ化水素の濃度を連続的に分析するステップをさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項11】
フライアッシュを含有する石炭(110)をフッ化水素で処理し、前記システムで使用されるフッ化水素を再生するシステムであって、
前記フライアッシュを含有する所定量の石炭(110)を受容する大きさに作製されている反応槽(107)と、
前記フライアッシュと反応させて、可溶性反応生成物、不溶性フッ化物化合物および最初のクリーン石炭の第1の反応混合物を形成するのに十分な量で、水性フッ化水素(113)を前記反応槽(107)内に供給する大きさに作製されている第1の流体輸送機構と、
前記最初のクリーン石炭中に残存している前記フライアッシュと反応させて、さらなる可溶性反応生成物、不溶性硝酸塩化合物およびウルトラクリーン石炭の第2の反応混合物を形成するのに十分な量で、硝酸(140)を前記反応槽(107)内に供給する大きさに作製されている第2の流体輸送機構と、
前記可溶性反応生成物、前記不溶性フッ化物化合物および前記不溶性硝酸塩化合物を前記反応槽から除去する大きさに作製されている放出ライン(190)と、
前記第1の反応混合物および前記第2の反応混合物を保持するための貯蔵タンク(116)と、
前記反応槽内に供給されるフッ化水素の略全てを再生する水素化熱分解装置(124)と、
を含む、システム。
【請求項12】
前記反応槽に供給されるフッ化水素(113)量を経時的に調節するバルブ制御手段をさらに含む、請求項11記載のシステム。
【請求項13】
任意の所与の時に前記反応槽内に存在するフッ化水素量を決定するための1つまたは複数のセンサをさらに含む、請求項11記載のシステム。
【請求項14】
未処理フッ化水素量が閾値量を超過すると、前記水素化熱分解装置(124)は、前記第1の流体輸送機構に制御信号を供給して、フッ化水素の流れを減少させる、請求項11記載のシステム。
【請求項15】
順番に連結されておりかつフライアッシュを含有する石炭(110、111、112)を受容し処理する大きさに作製されている複数の反応槽(107、108、109)を使用して、ウルトラクリーン石炭を連続的に生成する方法であって、
前記フライアッシュを含有する前記石炭(110、111、112)で前記反応槽の各々を順次満たすステップと、
前記フライアッシュを含有する石炭を前記反応槽の各々内のフッ化水素と反応させて、可溶性反応生成物、不溶性フッ化物化合物および最初のクリーン石炭を形成するステップと、
前記反応槽の各々内の前記可溶性反応生成物および前記不溶性フッ化物化合物を前記最初のクリーン石炭から分離するステップと、
前記反応槽の各々内の前記最初のクリーン石炭中に残存している前記フライアッシュを硝酸(113、114、115)と反応させて、さらなる可溶性反応生成物、不溶性硝酸塩化合物、およびウルトラクリーン石炭を形成するステップと、
前記反応槽の各々内の前記ウルトラクリーン石炭を前記さらなる可溶性反応生成物および前記不溶性硝酸塩化合物から分離するステップと、
前記方法で使用されるフッ化水素の略全てを再生するステップと
を含む、方法。
【請求項16】
前記可溶性反応生成物の一部を前記反応槽(107、108、109)の1つまたは複数に戻して再利用するステップをさらに含む、請求項15記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−74386(P2011−74386A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−218296(P2010−218296)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】