説明

旅客案内システム

【課題】 遅延発生時でも適切な案内を表示できる旅客案内システムを提供する。
【解決手段】 ダイヤ情報取得部21は、運行管理システムから複数の出発順序テーブルを含んだダイヤ情報を取得する。列車状況情報取得部23は、運行管理システムから各列車の遅延時間情報を含んだ列車状況情報を取得する。表示順序テーブル作成部25は、複数の出発順序テーブルを結合して計画発時刻順に列車を並べた管理用の表示順序テーブルを作成する。予測発時刻計算部27は、出発順序テーブルと遅延時間情報とに基づいて、各列車の予測発時刻を計算する。表示順序並替え部29は、管理用の表示順序テーブルの列車を予測発時刻の順番に並べ替えた表示用の表示順序テーブルを作成する。表示情報出力部31は、表示用の表示順序テーブルの先発列車から所定数の列車の案内情報で構成された表示情報を生成して列車情報表示装置13に出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の線路の列車案内を一つの列車情報表示装置に表示する旅客案内システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、駅のホーム、改札、コンコースなどの列車情報表示装置に列車案内情報を表示する旅客案内システムが知られている。周知のように列車情報表示装置には、数本の列車の発車時刻、行き先、番線情報などが表示される。
【0003】
従来の旅客案内システムは、運行管理システムと通信可能に構成されている。運行管理システムはダイヤ管理装置と運行管理装置を含む。ダイヤ管理装置は、ダイヤ情報を管理する装置であり、運行管理装置は、ダイヤ情報を基に各列車の運行を管理する装置である。旅客案内システムは、運行管理システムから通信でダイヤ情報および運行状況情報を取得し、これら情報を用いて列車情報表示装置に列車案内を表示する。このようなシステムは、例えば、特開2002−274382号公報に開示されている。
【0004】
また、従来の旅客案内システムは、列車遅延の情報も列車情報表示装置に表示することができる。遅延案内機能を持った旅客案内システムは、例えば、特開平6−247308号公報に開示されている。
【0005】
さらに、複数の線路の列車案内情報を一つの列車情報表示装置に表示することができる旅客案内システムも従来から知られている。図11は、このような旅客案内システムにおける表示例を示している。この例では、列車情報表示装置が駅のホームに備えられている。列車情報表示装置は、ホームの両側(例えば1番線と2番線)を使う2つの線路の列車案内を表示する。
【0006】
図11の例では、旅客案内システムは、運行管理システムより、2つの線路にそれぞれ対応する2つの出発順序テーブルを取得する。各出発順序テーブルは、該当線路の各列車の計画発着時刻を含んでいる。旅客案内システムは、2つの出発順序テーブルを結合し、2つの線路の列車を計画発時刻の順番に並べる。そして、旅客案内システムは、計画発時刻が早い所定数(図11では3つ)の列車の案内を表示装置に表示する。
【特許文献1】特開2002−274382号公報(第4−7ページ、図1)
【特許文献2】特開平6−247308号公報(第3−4ページ、図1、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の旅客案内システムにおいては、複数の線路の列車案内を一つの列車情報表示装置で表示する場合に、少なくとも一つの線路で遅延が生じると、他の線路の列車情報を上手く利用者に提供できなくなってしまうという問題があった。
【0008】
図12は、図11と同様に駅のホームに設置された列車情報表示装置の例を示している。列車情報表示装置は、ホームの両側を利用する線路の列車案内を表示する。図の例では、(a)右側の列車に大きな遅延が発生している。(b)そのため、左側の列車が先に接近する。(c)左側の列車が出発すると、列車の表示が繰り上げられる。(d)左側の次の列車が接近し、(e)左側の列車が出発して、列車の表示が繰り上げられる。この時点で、表示装置の3つの欄は、右側の列車で埋まってしまっている。しかし、右側の線路では大きな遅延が発生しているために、右側の列車はまだこない。(f)この状態で、左側の次の列車が接近すると、列車接近時に初めて左側の列車の案内が表示される。利用者は、列車が接近するまで次に来る列車の案内を見ることができない。
【0009】
上記の例に見られるように、従来の旅客案内システムは、出発した列車の情報を消しながら、まだ出発していない列車をただ単に計画発時刻順で表示している。そのために、一つの線路で大きな遅延が発生したときに、遅延が生じた線路の案内で表示装置が埋まってしまい、他の線路の列車情報を利用者に適切に提供できなくなってしまうという問題があった。
【0010】
本発明は、従来の問題を解決するためになされたものであり、その目的は、遅延が発生したときでも適切な案内を自動で表示できる旅客案内システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の旅客案内システムは、ダイヤ情報を管理するダイヤ管理装置と前記ダイヤ情報を基に各列車の運行を管理する運行管理装置とを含む運行管理システムと通信可能であり、利用者に対して発着列車を案内する列車情報表示装置に列車案内情報を表示する。本システムは、前記運行管理システムから、前記列車情報表示装置の設置駅を通る複数の線路にそれぞれ対応する複数の出発順序テーブルを含んだ前記ダイヤ情報を取得するダイヤ情報取得部と、前記運行管理システムから、前記複数の線路を走る各列車の遅延時間情報を含んだ列車状況情報を取得する列車状況情報取得部と、前記ダイヤ情報の前記複数の出発順序テーブルに含まれる各列車の計画発時刻に基づいて、前記複数の出発順序テーブルを結合して計画発時刻順に列車を並べた(定義付けした)管理用の表示順序テーブルを作成する表示順序テーブル作成部と、前記ダイヤ情報の前記複数の出発順序テーブルに含まれる各列車の計画発時刻と前記列車状況情報の各列車の遅延時間情報とに基づいて、各列車の予測発時刻を計算する予測発時刻計算部と、前記予測発時刻計算部により算出された前記予測発時刻に基づき、前記管理用の表示順序テーブルの列車を前記予測発時刻の順番に並べ替えた(再定義付けした)表示用の表示順序テーブルを作成する表示順序並替え部と、前記表示用の表示順序テーブルの先発列車から所定数の列車の案内情報で構成された表示情報を生成して前記列車情報表示装置に出力する表示情報出力部と、を備えている。
【0012】
この構成により、旅客案内システムが、遅延時間情報に基づいて各列車の予測発時刻を計算し、表示順序テーブルの列車の順番を予測発時刻の順番で並び替える。したがって、少なくとも一つの線路で遅延が発生したときには、計画上の発車時刻は遅くても実際には先に発車する他の線路の列車の案内が表示される。遅延が発生した線路の列車案内で表示装置が埋まってしまうのを避けることができる。こうして、遅延が発生したときでも適切な案内を表示できる。次に来る列車が何で、それがどのくらい遅れているのかを、乗客に容易に分からせることができる。
【0013】
また、本発明の旅客案内システムでは、前記予測発時刻計算部は、前記出発順序テーブルに含まれる各列車の計画着時刻に遅延時間を加えた時刻から所定の着時刻キャパシティ時間を減算することによって予測着時刻を求め、前記予測着時刻から前記予測発時刻を求める。この構成により、遅延時間が小さいときには元々の表示順序を優先させることができ、表示順序を変えてしまうよりもむしろ、案内を分かりやすくすることができる。
【0014】
また、本発明の旅客案内システムでは、前記表示順序並替え部は、案内表示の対象の列車を含む所定数の列車に所定の並替え閾時間以上の遅延が発生していないときに、前記管理用の表示順序テーブルの並替えを抑制する。この構成によっても、遅延時間が小さいときには元々の表示順序を優先させることができ、表示順序を変えてしまうよりもむしろ、案内を分かりやすくすることができる。
【0015】
本発明の別の態様は、プログラムである。このプログラムは、ダイヤ情報を管理するダイヤ管理装置と前記ダイヤ情報を基に各列車の運行を管理する運行管理装置とを含む運行管理システムと通信可能な旅客案内システムを構成するコンピュータにて実行され、利用者に対して発着列車を案内する列車情報表示装置に列車案内情報を表示するための処理を前記コンピュータに実行させるプログラムである。このプログラムは、前記運行管理システムから、前記列車情報表示装置の設置駅を通る複数の線路にそれぞれ対応する複数の出発順序テーブルを含んだ前記ダイヤ情報を取得し、前記運行管理システムから、前記複数の線路を走る各列車の遅延時間情報を含んだ列車状況情報を取得し、前記ダイヤ情報の前記複数の出発順序テーブルに含まれる各列車の計画発時刻に基づいて、前記複数の出発順序テーブルを結合して計画発時刻順に列車を並べた管理用の表示順序テーブルを作成し、前記ダイヤ情報の前記複数の出発順序テーブルに含まれる各列車の計画発時刻と前記列車状況情報の各列車の遅延時間情報とに基づいて、各列車の予測発時刻を計算し、前記予測発時刻計算部により算出された前記予測発時刻に基づき、前記管理用の表示順序テーブルの列車を前記予測発時刻の順番に並べ替えた表示用の表示順序テーブルを作成する表示順序並替え処理を行い、前記表示用の表示順序テーブルの先発列車から所定数の列車の案内情報で構成された表示情報を生成して前記列車情報表示装置に出力する処理を前記コンピュータに実行させる。この構成によっても上述の利点が得られる。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、遅延時間情報に基づいて各列車の予測発時刻を計算し、表示順序テーブルの列車の順番を予測発時刻の順番で並び替える構成を設けることにより、遅延が発生した線路の列車案内で表示装置が埋まってしまうのを避けることができ、遅延が発生したときでも適切な案内を表示できるという効果を有する旅客案内システムを提供することができる。そして、次に来る列車が何で、それがどのくらい遅れているのかを、乗客に容易に分からせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態の旅客案内システムについて、図面を用いて説明する。
【0018】
本発明の実施の形態に係る旅客案内システムを図1に示し、旅客案内システムを含む全体システムの構成を図2に示す。
【0019】
まず、図2を参照すると、旅客案内システム1は運行管理システム3と通信可能に接続されている。運行管理システム3は、ダイヤ管理装置5と運行管理装置7を備えている。ダイヤ管理装置5は、ダイヤ情報を管理する装置であり、運行管理装置7は、ダイヤ情報を基に各列車の運行を管理する装置である。旅客案内システム1は、運行管理システム3から得られる情報を用いて列車案内情報を表示する。
【0020】
図2は1つの旅客案内システム1を示しているが、実際には旅客案内システム1は駅毎に設置されている。運行管理システム3は、複数の駅にそれぞれ設置された複数の旅客案内システム1との通信により、各々駅から要求される情報を提供する。運行管理システム3は、管理対象エリアの列車の運行を管理するために従来より実用化されているシステムであり、運行管理システム3が外部に提供する情報が、旅客案内システム1に取り込まれて、案内表示に利用される。以下に説明するように、本実施の形態では、旅客案内システム1の案内表示が、利用者の利便性が増すように改良される。
【0021】
旅客案内システム1は、旅客案内制御装置11と複数の列車情報表示装置13とを備えている。旅客案内制御装置11は、通信機能を備えたコンピュータで構成されている。旅客案内制御装置11は、列車情報表示装置13を制御し、表示情報を列車情報表示装置13に送って表示させる。旅客案内制御装置11は、運行管理システム3との通信によってダイヤ情報と列車状況情報を取得し、これらの情報を用いて表示情報を生成する。
【0022】
また、旅客案内制御装置11には、各列車の地点情報が入力される。地点情報は、各列車の接近、到着、出発の情報である。地点情報は、線路やホームの各所に設置された検知器によって検出され、旅客案内制御装置11に入力される。旅客案内制御装置11は、地点情報に基づいて列車情報表示装置13を制御する。例えば、旅客案内制御装置11は、列車接近の地点情報の入力に応答して、列車接近を知らせる表示を列車情報表示装置13に行わせる。また、例えば、旅客案内制御装置11は、列車出発の地点情報の入力に応答して、出発した列車の情報を列車情報表示装置13から消し、表示の繰り上げを行う。
【0023】
また、旅客案内制御装置11は、駅の複数箇所に設置されたスピーカシステム15に案内放送を出力させる機能も有している。この案内放送のメッセージも、運行管理システム3から取得されるダイヤ等の情報から生成され、また、列車の地点情報から生成される。
【0024】
列車情報表示装置13は、駅の各ホーム、改札、コンコース、待合室などに設置されている。列車情報表示装置13の形式は、例えば、LEDタイプまたはPDPタイプである。各列車情報表示装置13が案内すべき線路は予め決まっている。例えば、ホームの列車情報表示装置13は、当該ホームを使う線路の案内を表示する。列車情報表示装置13は、一つだけの線路の案内を表示すればよい場合もあれば、複数の線路の案内を表示する場合もある。本実施の形態は、後者の複数線路の案内を表示する列車情報表示装置13について説明する。
【0025】
以下の説明では、ホームに設置された一つの列車情報表示装置13を取り上げて本システムを説明する。この例では、列車情報表示装置13が、2つの線路の情報を表示するものとする。
【0026】
図1は、旅客案内システム1の構成を示している。図1に示すように、旅客案内制御装置11は、ダイヤ情報取得部21、列車状況情報取得部23、表示順序テーブル作成部25、予測発時刻計算部27、表示順序並替え部29および表示情報出力部31を有している。
【0027】
ダイヤ情報取得部21は、運行管理システム3から通信でダイヤ情報を取得する。ダイヤ情報は出発順序テーブルを含んでいる。出発順序テーブルは線路毎のテーブルであり、線路の各列車の発着時刻のテーブルである。ダイヤ情報取得部21は、列車情報表示装置13の設置駅を通る複数の線路にそれぞれ対応する複数の出発順序テーブルを含んだ前記ダイヤ情報を取得する。ダイヤ情報取得部21は、取得された出発順序テーブルをダイヤ情報記憶部41に格納する。
【0028】
図3は、ダイヤ情報取得部21が取得するダイヤ情報のイメージを示している。本実施の形態の例では、列車情報表示装置13がホームに設置されており、2本の線路X、Yの情報を表示する。そこで、ダイヤ情報取得部21は、線路Xの出発順序テーブルおよび線路Yの出発順序テーブルを取得する。
【0029】
図1に戻り、列車状況情報取得部23は、運行管理システム3から列車状況情報を取得する。列車状況情報は、各列車の遅延時間の情報を含んでいる。図3の例では線路X、線路Yの各列車の遅延時間が取得される。列車状況情報取得部23は、取得した遅延時間情報を列車状況情報記憶部43に格納する。
【0030】
表示順序テーブル作成部25は、ダイヤ情報の複数の出発順序テーブルに含まれる各列車の計画発時刻に基づいて管理用の表示順序テーブルを作成する。管理用の表示順序テーブルは、案内対象の2つの線路X、Yのための2つの出発順序テーブルを結合することによって生成される。管理用の表示順序テーブルは、線路X、Yの出発順序テーブルの列車を計画発時刻順に並べたテーブルである。この時点では、列車は計画発時刻順に並べられている。生成されたテーブルは、管理用表示順序テーブル記憶部45に格納される。
【0031】
予測発時刻計算部27は、遅延時間を考慮して各列車の実際の発時刻を予測する。予測発時刻計算部27は、ダイヤ情報記憶部41から、ダイヤ情報の出発順序テーブルに含まれる各列車の計画発時刻を読み出す。また、予測発時刻計算部27は、列車状況情報記憶部43から、列車状況情報の各列車の遅延時間情報を読み出す。そして、予測発時刻計算部27は、計画発時刻と遅延時間とに基づいて、各列車の予測発時刻を計算する。
【0032】
予測発時刻計算部27の処理では、運行管理システム3から取得された遅延時間情報から、対象駅で生じる実際の遅延時間を計算する処理が行われてよい。ここでは、分割列車、併合列車、折返し列車、継走列車といった列車運用に応じて遅延時間が調整される。例えば、併合列車では、片方の列車に遅れがなくても、併合相手の列車に遅れがある場合がある。この場合には、前者の列車に遅延時間が与えられる。このようにして関連する列車の遅れなどに基づいて遅延時間が調整されてよい。そして、調整後の遅延時間を用いて予測発時刻が好適に算出される。なお、分割列車等ではなく、単純に停車して発車する列車に関しては、この調整処理は行われなくてよい。すなわち、運行管理システム3から得られる遅延時間をそのまま用いて予測発時刻が計算されてよい。
【0033】
表示順序並替え部29は、予測発時刻計算部27により算出された予測発時刻に基づき、管理用の表示順序テーブルを並び替えて表示用の表示順序テーブルを生成する。表示順序並替え部29は、管理用表示順序テーブル記憶部45から、管理用の表示順序テーブルを読み出す。また、表示順序並替え部29は、予測発時刻記憶部47から予測発時刻を読み出す。そして、表示順序並替え部29は、管理用の表示順序テーブルの列車を予測発時刻の順番に並べ替えて、表示用の表示順序テーブルを作成する。作成されたテーブルは、表示用表示順序テーブル記憶部49に格納される。
【0034】
表示情報出力部31は、表示用表示順序テーブル記憶部49から表示用の表示順序テーブルを読み出して、表示情報を生成する。表示情報は、表示用の表示順序テーブルの先発列車から所定数の列車の案内情報で構成される。表示情報出力部31は、表示情報を列車情報表示装置13に出力して表示させる。
【0035】
以上に、旅客案内システム1の各部の構成について説明した。次に、旅客案内システム1の動作を説明する。全体的な動作としては、ダイヤ情報取得部21が、複数の出発順序テーブルを含むダイヤ情報を取得して、ダイヤ情報記憶部41に格納する。表示順序テーブル作成部25は、ダイヤ情報記憶部41から複数の出発順序テーブルを読み出して結合し、管理用の表示順序テーブルを生成し、管理用表示順序テーブル記憶部45に格納する。
【0036】
一方、列車状況情報取得部23は、各列車の遅延時間情報を含んだ列車状況情報を取得して、列車状況情報記憶部43に格納する。予測発時刻計算部27は、ダイヤ情報記憶部41のダイヤ情報と列車状況情報記憶部43の遅延情報から、各列車の予測発時刻を計算し、予測発時刻記憶部47に格納する。表示順序並替え部29は、予測発時刻計算部27により算出された予測発時刻に基づいて管理用の表示順序テーブルを並び替えて、表示用の表示順序テーブルを生成し、表示用表示順序テーブル記憶部49に格納する。表示情報出力部31が、表示用の表示順序テーブルを用いて表示情報を生成し、列車情報表示装置13に出力する。
【0037】
上記の動作のうちで、ダイヤ情報は定期的に取得され、ダイヤ情報が取得されると管理用の表示順序テーブルが生成される。これに対して、遅延時間情報を含む列車状況情報は、ダイヤ情報よりも短い間隔で、具体的には例えば15秒に取得される。そして、列車状況情報が取得されると、予測発時刻が計算されて、表示用の表示順序テーブルが生成される。この処理は例えば5分毎に行われる。
【0038】
また、表示情報の生成および出力は、表示変更の必要が生じるたびに行われる。表示中の列車が出発すると、出発を示す地点情報が入力される。この地点情報の入力をトリガーとして、新しい表示情報が生成され、列車情報表示装置13に出力される。
【0039】
次に、旅客案内システム1の動作のより詳細な説明として、管理用の表示順序テーブルを生成する処理と、予測発時刻を計算する処理と、表示用の表示順序テーブルを生成する処理とを説明する。
【0040】
図4は、管理用の表示順序テーブルを生成する処理を示している。図4は、図3の例と対応している。図3の例では、線路Xの出発順序テーブルと線路Yの出発順序テーブルが旅客案内システム1に取得される。図4では、これらの線路X、Yの出発順序テーブルが結合される。
【0041】
図4の例では、線路Xの出発順序テーブルに示されるように、線路Xの列車は、対象駅の1番線および2番線に停止または通過する。一方、線路Yの列車は、対象駅の2番線および3番線に停まる。列車情報表示装置13は、1番線および2番線のホームに設置されているとする。すなわち、列車情報表示装置13が設置されたホームの両側が1番線および2番線であるとする。
【0042】
この場合、線路X、Yの出発順序テーブルから、1番線および2番線の列車のデータが抽出される。具体的には、線路Xの出発順序テーブルから1番線および2番線の列車のデータが抽出され、線路Yの出発順序テーブルから2番線の列車のデータが抽出される。これにより、表示すべき列車情報が選別され、抽出される。そして、抽出されたデータが、計画発時刻が早いものから順番に配列される。こうして、図4の下方に示される管理用の表示順序テーブルが生成される。ここでは、一部の列車のデータが示されているが、実際にはより多くのデータがテーブルに含まれてよい。
【0043】
図5は、予測発時刻の計算処理を示すフローチャートである。ここでは、予測の対象になる列車を、対象列車という。予測発時刻計算部27は、ダイヤ情報の出発順序テーブルを参照し、対象列車の計画発時刻が有効であるか否かを判定する(S11)。対象列車の計画発時刻データの有無により、計画発時刻が有効であるか否かを判定する。対象列車が当駅止まりで回送列車などになる場合は、計画発時刻が無効となる。計画発時刻が有効であれば、予測発時刻のデフォルト値設定として、計画発時刻を予測発時刻とする(S13)。出発順序テーブルが対象列車の計画発時刻のデータを持っておらず、計画発時刻が無効の場合、出発順序テーブルの計画着時刻が参照されて、予測発時刻のデフォルト値として、計画着時刻が予測発時刻に設定される(S15)。
【0044】
次に、予測着時刻が算出される(S17)。ここでは、出発順序テーブルの計画着時刻が読み出される。そして、計画着時刻に遅延時分(遅延時間)が加算され、所定の着時刻キャパシティ時間n1が減算されて、予測着時刻が算出される(S17)。着時刻キャパシティ時間n1については後述する。
【0045】
次に、予測着時刻にT秒を加算した値が、計画発時刻と比較される(S19)。T秒は、列車到着後の旅客の乗降時間である。ステップS19では、予測発時刻計算部27が、予測着時刻+T秒が計画発時刻より遅いか否か(「予測着時刻+T秒」>「計画発時刻」か否か)を判定する。ステップS19の判定がNoであれば、ステップS13、S15で既に設定されたデフォルトの予測発時刻が、そのまま最終的な予測発時刻となる(S21)。ステップS19の判定がYesであれば、「予測着時刻+T秒」が最終的な予測発時刻に設定される(S23)。以上により、予測発時刻が算出される。
【0046】
上記の処理では、遅延が0であれば、予測着時刻+T秒が計画発時刻より遅くならないので、ステップS19の判定がNoであり、デフォルト値の計画発時刻がそのまま予測発時刻になる。また、ステップS17の予測着時刻の計算で着時刻キャパシティn1が減算されているので、遅延時間が小さければ、やはりステップS19の判定がNoになり、デフォルト値の計画発時刻がそのまま予測発時刻になる。しかし、遅延時間がある程度以上に大きくなると、ステップS19の判定がYesになり、予測発時刻に遅延時間が加味され、予測発時刻が計画発時刻より遅くなる。
【0047】
ここで、ステップS17の着時刻キャパシティ時間n1の意味をさらに説明する。予測発時刻は、列車表示順序の並替えの基準として用いるために計算されている。遅延が生じたために、先の列車の予測発時刻が、別の線路の後の列車の予測発時刻より遅くなれば、発時刻が逆転したので、表示順序が並び替えられることになる。
【0048】
しかし、予測発時刻が逆転しても、遅延列車と比較列車の予測発時刻の差が少しであれば、並び替えを強行するよりも、元々の表示先順序を優先した方が、表示が分かりやすいと考えられる。このような点に配慮して、着時刻キャパシティ時間n1が設定されている。
【0049】
具体的には、予測着時刻の算出時点で、着時刻キャパシティ時間n1が減算される。そして、この予測着時刻を用いて、ステップS19の判定が行われる。したがって、遅延が発生していても、遅延時間が小さければ、ステップS19の判定がYesにならず、元の計画発時刻や計画着時刻が予測発時刻になり、その後の処理での並替えが抑制されることになる。このようにして、着時刻キャパシティ時間n1を設定することにより、遅延が小さいときには表示順序の変更を制限することができる。その結果、遅延した列車と比較相手の列車の予測発時刻の違いが小さい場合には、元の表示順序が優先され、表示が分かりやすくなる。
【0050】
次に、上記の予測発時刻の計算結果に基づいた表示順序テーブルの並替え処理を説明する。この処理は、表示順序並替え部29により行われる。
【0051】
図6は、表示順序の並替え処理の例を示している。ここでも、図3、図4で使った線路X、Yの例を用いることとする。
【0052】
図6の左上には、表示順序テーブル作成部25によって生成された管理用の表示順序テーブルが示されている。この管理用の表示順序テーブルは、図4の例で生成されたテーブルであり、すなわち、線路X、Yの出発順序テーブルを結合した1、2番線用の管理用表示順序テーブルである。この段階では、計画発時刻の順番で列車が並んでいる。
【0053】
また、図6の右上は、表示情報出力部31によって算出された予測発時刻を示している。ここでは、線路Xの列車の予測発時刻が示されている。線路Xで遅れが発生したために、計画発時刻より遅い予測発時刻が算出されている。
【0054】
表示順序並替え処理では、予測発時刻の順番に並ぶように、上記の管理用の表示順序テーブルの列車が並び替えられ、その結果、図6の下方に示す表示用の表示順序テーブルが生成される。
【0055】
なお、上記並替え処理では、2つの列車の予測発時刻が同じ場合には、元の計画発時刻での表示順序が優先される。また、上記並替え処理では、同じ線路(同じ出発順序テーブル)内の列車の順番は入れ替えない。
【0056】
上記のようにして表示順序が並び替えられる。ただし、本実施の形態では、並替えを行う前に、以下のようにして、表示順序の並替えを行うか否かが判定される。そして、並替えを行うべきと判定されたときに、並替えが行われる。
【0057】
この判定では、所定の並替え閾時間n2が参照される。並替え閾時間n2が、管理用の表示順序テーブル中で計画発時刻が早い方の所定個数の列車の遅延時間と比較される。所定個数は、案内表示の対象の列車を含む所定の数(案内表示の対象の列車数に所定の表示予備数を加えた数)である。案内対象の列車の数は、列車情報表示装置13の表示の段数である。具体例を挙げると、案内対象の列車の数が3である。そして、その数に1を加えた4本の列車が比較対象になる。1を加えているのは、次に表示されるべき列車も比較対象にするためである。
【0058】
このような所定個数の列車の遅延時間が、並替え閾時間n2と比較される。そして、少なくとも1つの列車の遅延時間が並替え閾時間n2より大きければ、図6に示した並替え処理が実行される。しかし、すべての列車の遅延時間が並替え閾時間n2以下であれば、並替え処理は行われない。
【0059】
上記の判定処理は、遅延時間がある程度小さいときには並替えを抑制する機能を果たしている。前述の予測発時刻の計算処理では、着時刻キャパシティ時間n1を導入することによって、遅延が小さいときの並替えの制限を実現することを説明した。ここでは、並替え閾時間n2を使うことで、遅延が小さいときの並替えが制限される。こちらの方の処理によっても、遅延した列車と比較相手の列車の発時刻の違いが小さい場合には、元の表示順序が優先され、表示が分かりやすくなる。本実施の形態では、2つの処理が行われており、これにより適切かつ確実に、遅延が小さいときの並替えを上手く制限している。
【0060】
図7〜図9は、上記の並替え閾時間n2を使う並替え処理のフローチャートを示している。図7にて、表示順序並替え部29は、列車情報表示装置13の表示範囲(段数)Nの情報を取得する(S31)。この表示範囲(段数)Nは、案内対象の列車の数であり、列車情報表示装置13の情報として予め旅客案内制御装置11に記憶されている。
【0061】
次に、ステップS33、S35、S37に示すように、N+1本の列車の遅延時間が順次、並替え閾時間n2と比較される。ここでは、i=1〜N+1の間で処理が繰り返される。iは、表示対象列車を対象としたインデックス番号であり、管理用の表示順序テーブルにて計画発時刻が早い方から数えた列車の順番に相当する。ステップS35では、管理用の表示順序テーブルからi番目の列車が求められ、そして、運行管理システム3から入手した列車状況情報に基づいたi番目列車の遅延時間が求められる。そして、i番目の列車の遅延時間が並替え閾時間n2より大きいか否かが判定される。遅延時間が並替え閾時間n2以下であれば、次のループに移り、i+1番目の列車に対して同様の判定が行われる。
【0062】
こうして、i=1〜N+1の列車の遅延時間が並替え閾時間n2と比較されて、すべての列車の遅延時間が並替え閾時間n2以下であれば、ステップS37で繰返しが終了し、ステップS39に進む。ステップS39では、ソートを行うことなく、表示用の表示順序テーブルが生成される。ソートとは、予測発時刻に従った並替えを意味する。
【0063】
i=1〜N+1の列車の遅延時間を判定する過程で、いずれかの列車の遅延時間が並替え閾時間n2より長かったとする。このとき、ステップS35の判定がYesになり、ステップS41に進む。ステップS41では、ソートを行って、表示用の表示順序テーブルが生成される。すなわち、テーブル生成時に、予測発時刻に従って列車が並び替えられる。
【0064】
図8は、図7のステップS39の処理を示しており、すなわち、ソートを行わないときの表示用の表示順序テーブルを生成する処理を示している。ここでは、下記の条件を満たすようにテーブルが生成される。
(1)最小でも20本の列車のデータを格納する。
(2)案内対象になる各番線につき、2本以上の列車のデータを格納する。
(3)最大でも50本の列車のデータしか格納しない(第2条件が満たされなくてもテーブル生成を終了する)。
これらの条件は、列車表示が繰り上がった際に次列車(次にその番線に到着する列車)に対して予告放送を行うのに必要なものである。
【0065】
例えば、図3の例で1番線、2番線のデータを生成するとする。このとき、1、2番線に止まる20本のデータをまず計画発時刻順でテーブルに入れる。1番線のデータが2つ以上であり、2番線もデータも2つ以上であれば、この時点でテーブル生成を終了する。しかし、1番線のデータ数が1または0であれば、データを増やしていく(21以上にする)。35番目のデータを格納したときに1番線のデータが2つになったとすると、この時点で処理を終了する。したがって、表示用の表示順序テーブルは、35本の列車データを格納したテーブルになる。2番線のデータが少なかったときも同様である。
【0066】
図8は、このような処理に対応するフローチャートである。図8において、表示順序並替え部29は、表示用の表示順序テーブルを初期化する(S51)。ここでは、既存のテーブルのデータがクリアされる。そして、表示順序並替え部29は、i=1〜20の間で、管理用の表示順序テーブルにおけるi番目の列車のデータを、表示用の表示順序テーブルにおける最後尾に追加する処理を繰り返す(S53、S55、S57)。iは、図7に関連して説明した通り、表示対象列車を対象としたインデックス番号であり、管理用の表示順序テーブルにて計画発時刻が早い方から数えた列車の順番に相当する。
【0067】
次に、表示順序並替え部29は、表示対象の各番線の列車データが表示用の表示順序テーブルに2個以上格納されているか否かを判定する(S59)。上記の例では、1番線、2番線ともに2本以上の列車のデータが格納されているかが判定される。ステップS59の判定がYesであれば、テーブル生成を終了する。したがって、表示用の表示順序テーブルは、20本の列車のデータを持ったテーブルになる。
【0068】
しかし、片方の番線(例えば1番線)の本数が非常に少ないときなどには、ステップS59の判定がNoになる。この場合には、i=21〜50の間で以下の処理が繰り返される(S61、S63、S65、S67)。ここでは、管理用の表示順序テーブルにおけるi番目の列車のデータが、表示用の表示順序テーブルにおける最後尾に追加される(S63)。そして、表示順序並替え部29は、表示対象の各番線の列車データが表示用の表示順序テーブルに2個以上格納されているか否かを判定する(S65)。ステップS65の判定がNoであれば、次のループに移り、i+1番目の列車について同様の処理を行う。ステップS65の判定がYesになった時点で、テーブル生成処理を終了する。ステップS65の判定がYesにならなくとも、i=21〜50の繰返しが終わると、テーブル生成処理を終了する。
【0069】
以上に、ソートを行わない場合の表示用の表示順序テーブルの生成処理を説明した。次に、ソートを行う場合、すなわち、すなわち、予測発時刻に従って列車順序を並び替えるときの表示用の表示順序テーブルの生成処理を説明する。
【0070】
図9は、図7のステップS41の処理を示しており、ソートを行う場合の表示用の表示順序テーブルを生成する処理のフローチャートである。
【0071】
図9のステップS71〜S87は、図8のステップS51〜S67とそれぞれ対応している。図8と図9の処理は概ね同様である。ただし、図9は、並替え(ソート)を行う点で図8と異なっており、具体的には、図9のステップS75およびS85が、図8のステップS55、S65と異なっている。以下、この相違点について説明する。
【0072】
ステップS75、S85では、それぞれ、i=1〜20、i=21〜50の間の繰返し処理にて、i番目の列車が表示用の表示順序テーブルに書き加えられる。このとき、図8では、i番目の列車が単にテーブルの最後尾に追加された。しかし、図9のステップS75、S85では、i番目の列車が表示用の表示順序テーブルへと「昇順に」追加され、格納される。ここでいう「昇順」とは、予測発時刻の比較結果での順序を指しているが、ここでも、着時刻キャパシティ時間n1を使用して、着時刻キャパシティ時間n1よりも大きな差分とならない限りは元の出発順序を優先するようにしている。
【0073】
すなわち、i番目の列車の予測発時刻が、格納済みの列車(1〜i−1番)の予測発時刻と比較される。そして、予測発時刻の順位の位置へと、i番目の列車のデータが書き込まれる。i番目の列車より予測発時刻の順位が低いデータ(予測発時刻が遅いデータ)は、テーブルの下(時刻が遅い方)に繰り下げられる。
【0074】
例えば、i=10であるとする。テーブルには既に9本の列車のデータが書かれている。10番目の列車は、予測発時刻の順位が5位であったとする。このとき、10番目の列車は、テーブルの5番目に書かれる。そして、既に書かれた5位から9位の列車は、1順位ずつ繰り下げられる。
【0075】
ただし、i番目の列車と予測発時刻が同一の列車がすでに存在したとする。この場合は、該当データの後ろに、i番目の列車のデータが追加される。
【0076】
このようにして、図9の処理では、予測発時刻の順番で並ぶように管理用の表示順序テーブルの列車が並び替えられて、表示用の表示順序テーブルが生成される。そして、上記の表示用の表示順序テーブルは、図1の表示用表示順序テーブル記憶部49に格納されて、表示情報出力部31に利用されることになる。
【0077】
表示情報出力部31は、1本の列車が発車すると、表示用の表示順序テーブルを使って新しい表示情報を生成し、列車案内表示装置13に出力する。このとき、列車案内表示装置13の段数の列車が、表示用の表示順序テーブルの上から選ばれて、表示情報が生成される。
【0078】
図10(a)および図10(b)は、列車案内表示装置13の表示例を示している。図10(a)は、従来技術の表示例であり、図10(b)は、本実施の形態の並替えが適用された表示例である。図10(a)では、計画発時刻の順序で列車が並んでいる。これに対して、図10(b)では、予測発時刻の順序で列車が並んでいる。(まだ来ていない列車がどれくらい遅れているのかの情報ではなく、)次に来る列車が何で、それがどのくらい遅れているのかを、即座に乗客に分からせることができ、列車案内が分かりやすくなっている。
【0079】
また、従来は、図12を用いて説明したように、一つの線路で大きな遅延が発生したときに、遅延が生じた線路の案内で表示装置が埋まってしまい、他の線路の列車情報を利用者に適切に提供できなくなってしまうという問題があった。本実施の形態では、大きな遅延が発生すると、遅延列車の予測発時刻が遅くなり、表示順序が後になる。そして、計画上の発車時刻は後ろでも遅延が生じておらず先に発車する他の線路の列車が表示される。したがって、遅延列車で表示が埋まってしまうといった事態を回避できる。
【0080】
なお、図10(a)、図10(b)の例では、表示が6段であり、段数が多い。しかし、一般のホームなどの案内装置では、段数は3段程度までが通常である。段数が少なくなるほど、従来技術の表示を行ったときに、遅延列車で案内が埋まってしまう可能性が高くなる。本実施の形態では、段数が少なくても、予測発時刻の早い列車を表示できるので、遅延列車で表示が埋まるといった事態を効果的に回避できる。
【0081】
以上に、本発明の実施の形態に係る旅客案内システム1について説明した。本実施の形態によれば、旅客案内システム1が、遅延時間情報に基づいて各列車の予測発時刻を計算し、表示順序テーブルの列車の順番を予測発時刻の順番で並び替える。したがって、一つの線路で遅延が発生したときには、計画上の発車時刻は遅くても実際には先に発車する他の線路の列車の案内が表示される。遅延が発生した線路の列車案内で表示装置が埋まってしまうのを避けることができる。こうして、遅延が発生したときでも適切な案内を表示できる。次に来る列車が何で、それがどのくらい遅れているのかを、乗客に容易に分からせることができる。
【0082】
また、本実施の形態によれば、予測発時刻計算部27は、出発順序テーブルに含まれる各列車の計画着時刻に遅延時間を加えた時間から所定の着時刻キャパシティ時間を減算することによって予測着時刻を求め、予測着時刻から予測発時刻を求める。この構成により、遅延時間が小さいときには元々の表示順序を優先させることができ、表示順序を変えてしまうよりもむしろ、案内を分かりやすくすることができる。
【0083】
また、本実施の形態によれば、表示順序並替え部29は、案内表示の対象の列車を含む所定数の列車に所定の並替え閾時間以上の遅延が発生していないときに、管理用の表示順序テーブルの並替えを抑制する。この構成によっても、遅延時間が小さいときには元々の表示順序を優先させることができ、表示順序を変えてしまうよりもむしろ、案内を分かりやすくすることができる。
【0084】
以上に本発明の好適な実施の形態を説明した。しかし、本発明は上述の実施の形態に限定されず、当業者が本発明の範囲内で上述の実施の形態を変形可能なことはもちろんである。
【産業上の利用可能性】
【0085】
以上のように、本発明にかかる旅客案内システムは、遅延が発生した線路の列車案内で表示装置が埋まってしまうのを避けることができ、遅延が発生したときでも適切な案内を表示できるという効果を有し、一つの表示装置に複数の線路の案内を複合的に表示するシステム等にて有用である。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明の実施の形態における旅客案内システムの構成を示すブロック図
【図2】旅客案内システムを運行管理システムと共に示すブロック図
【図3】ダイヤ情報中の出発順序テーブルのイメージを示す図
【図4】管理用の表示順序テーブルを生成する処理を示す図
【図5】予測発時刻の計算処理を示すフローチャート
【図6】表示順序の並替え処理の例を示す図
【図7】表示順序の並替え処理の例を示すフローチャート
【図8】表示順序の並替え処理の例を示すフローチャート
【図9】表示順序の並替え処理の例を示すフローチャート
【図10】(a)従来技術による列車情報表示装置の表示例を示す図 (b)本実施の形態による列車情報表示装置の表示例を示す図
【図11】従来の旅客案内システムにおける表示例を示す図
【図12】従来の旅客案内システムにおける表示例を示す図
【符号の説明】
【0087】
1 旅客案内システム
3 運行管理システム
5 ダイヤ管理装置
7 運行管理装置
11 旅客案内制御装置
13 列車情報表示装置
15 スピーカシステム
21 ダイヤ情報取得部
23 列車状況情報取得部
25 表示順序テーブル作成部
27 予測発時刻計算部
29 表示順序並替え部
31 表示情報出力部
41 ダイヤ情報記憶部
43 列車状況情報記憶部
45 管理用表示順序テーブル記憶部
47 予測発時刻記憶部
49 表示用表示順序テーブル記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイヤ情報を管理するダイヤ管理装置と前記ダイヤ情報を基に各列車の運行を管理する運行管理装置とを含む運行管理システムと通信可能であり、利用者に対して発着列車を案内する列車情報表示装置に列車案内情報を表示する旅客案内システムにおいて、
前記運行管理システムから、前記列車情報表示装置の設置駅を通る複数の線路にそれぞれ対応する複数の出発順序テーブルを含んだ前記ダイヤ情報を取得するダイヤ情報取得部と、
前記運行管理システムから、前記複数の線路を走る各列車の遅延時間情報を含んだ列車状況情報を取得する列車状況情報取得部と、
前記ダイヤ情報の前記複数の出発順序テーブルに含まれる各列車の計画発時刻に基づいて、前記複数の出発順序テーブルを結合して計画発時刻順に列車を並べた管理用の表示順序テーブルを作成する表示順序テーブル作成部と、
前記ダイヤ情報の前記複数の出発順序テーブルに含まれる各列車の計画発時刻と前記列車状況情報の各列車の遅延時間情報とに基づいて、各列車の予測発時刻を計算する予測発時刻計算部と、
前記予測発時刻計算部により算出された前記予測発時刻に基づき、前記管理用の表示順序テーブルの列車を前記予測発時刻の順番に並べ替えた表示用の表示順序テーブルを作成する表示順序並替え部と、
前記表示用の表示順序テーブルの先発列車から所定数の列車の案内情報で構成された表示情報を生成して前記列車情報表示装置に出力する表示情報出力部と、
を備えたことを特徴とする旅客案内システム。
【請求項2】
前記予測発時刻計算部は、前記出発順序テーブルに含まれる各列車の計画着時刻に遅延時間を加えた時刻から所定の着時刻キャパシティ時間を減算することによって予測着時刻を求め、前記予測着時刻から前記予測発時刻を求めることを特徴とする請求項1に記載の旅客案内システム。
【請求項3】
前記表示順序並替え部は、案内表示の対象の列車を含む所定数の列車に所定の並替え閾時間以上の遅延が発生していないときに、前記管理用の表示順序テーブルの並替えを抑制することを特徴とする請求項1または2に記載の旅客案内システム。
【請求項4】
ダイヤ情報を管理するダイヤ管理装置と前記ダイヤ情報を基に各列車の運行を管理する運行管理装置とを含む運行管理システムと通信可能な旅客案内システムを構成するコンピュータにて実行され、利用者に対して発着列車を案内する列車情報表示装置に列車案内情報を表示するための処理を前記コンピュータに実行させるプログラムであって、
前記運行管理システムから、前記列車情報表示装置の設置駅を通る複数の線路にそれぞれ対応する複数の出発順序テーブルを含んだ前記ダイヤ情報を取得し、
前記運行管理システムから、前記複数の線路を走る各列車の遅延時間情報を含んだ列車状況情報を取得し、
前記ダイヤ情報の前記複数の出発順序テーブルに含まれる各列車の計画発時刻に基づいて、前記複数の出発順序テーブルを結合して計画発時刻順に列車を並べた管理用の表示順序テーブルを作成し、
前記ダイヤ情報の前記複数の出発順序テーブルに含まれる各列車の計画発時刻と前記列車状況情報の各列車の遅延時間情報とに基づいて、各列車の予測発時刻を計算し、
前記予測発時刻計算部により算出された前記予測発時刻に基づき、前記管理用の表示順序テーブルの列車を前記予測発時刻の順番に並べ替えた表示用の表示順序テーブルを作成する表示順序並替え処理を行い、
前記表示用の表示順序テーブルの先発列車から所定数の列車の案内情報で構成された表示情報を生成して前記列車情報表示装置に出力する、
処理を前記コンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate