説明

旅客案内装置

【課題】列車がプラットホーム上に在線する場合に、車両に専用のスクリーンを設けることなく、視認性のよい箇所に旅客案内を表示可能であり、さらに、列車がプラットホームで動いている状態でも継続して表示が可能な旅客案内装置を提供すること。
【解決手段】鉄道事業などで利用されるプロジェクタ2を用いて、プラットホーム10の反対側に設置されたスクリーン31に旅客案内の表示を行う表示装置において、列車22がプラットホーム10上に在線している場合は、列車22のドア12上部に表示位置を変えることで案内画像を継続して表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道事業などで利用される旅客案内装置に関し、特に、プロジェクタ(画像投影装置)を用いて旅客案内の表示を行う旅客案内装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
駅構内において列車の案内や広告を表示するために大型の表示装置が利用されている。従来はLED(発光ダイオード)など文字による表示が主体であったが、昨今では大型ディスプレイやプロジェクタを用いて文字だけではなく、画像や動画を用いた表示装置が普及してきている。
【0003】
特許文献1においては、プロジェクタを用いた駅構内における画像の表示装置を実現している。この従来の表示装置は、プラットホームの対面側にスクリーンを設置し、このスクリーンにプラットホーム上からプロジェクタを用いて画像の表示を行うものである。また、プラットホームに列車が到着したときに、外部からの信号によりシャッターを作動させることによって表示の停止を実施するか、または車両側に設置したスクリーンに案内情報を表示する仕組となっている。
【0004】
表示内容に関しては、広告情報、列車の運行に関する情報、乗り換え情報、現在時刻情報、事故情報および天候情報等を示す画像を表示する。
【0005】
【特許文献1】特開2006−64914号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の技術には以下に示すような問題点があった。すなわち、特許文献1において、プラットホームの対面側のスクリーンに画像表示を行う形態で、車両側に専用のスクリーンを設置していない場合、列車がプラットホームに到着すると列車によって表示が妨げられるので、表示を停止する必要があった。そのため、列車がホームに在線する場合は、情報を提供できないという問題があった。
【0007】
また、特許文献1では、列車の窓に専用のスクリーンを設置することで車両のスクリーン上に直接画像表示を行う構成も開示されているが、この場合は、既存の列車にこのような専用のスクリーンを設けなくてはならず、改良作業を必要としコストが増大するという問題があった。
【0008】
また、列車の窓のスクリーンに画像を表示する形態では、列車が完全に停止するまでは表示を行うことができないという問題があった。さらに、列車の停止後も、プラットホーム上の乗客の立ち位置によっては別の乗客が表示を視認することが困難な状況が生じ、情報の伝達性が確保できないという問題があった。さらにまた、列車の停車位置がずれたときに、窓のスクリーン上に適切に投射できず表示位置がずれる可能性があった。
【0009】
この発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、列車がプラットホーム上に在線する場合に、車両に専用のスクリーンを設けることなく、視認性のよい箇所に旅客案内を表示可能であり、さらに、列車がプラットホームで動いている状態でも継続して表示が可能な旅客案内装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる旅客案内装置は、駅構内のプラットホーム上に配設されたプロジェクタと、列車の運行管理情報に基づき、前記プロジェクタに表示させる案内画像を生成し前記プロジェクタに出力するとともに、前記プロジェクタの表示位置、表示領域、およびフォーカス位置の調整を含めて前記プロジェクタの制御を行う制御部と、この制御部に前記運行管理情報を出力する運行管理部と、を備え、前記制御部は、列車が前記プラットホーム上に在線しているときは、前記運行管理部から取得した前記列車に関する運行管理情報に基づき、前記プロジェクタを制御して前記列車の車両本体側面に前記案内画像を表示させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、列車がプラットホーム上に在線する場合に、案内画像を車両本体側面に表示することで、車両に専用のスクリーンを設けることなく、視認性のよい箇所に旅客案内を表示可能であり、さらに、列車がプラットホームで動いている状態でも継続して表示が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に、本発明にかかる旅客案内装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0013】
実施の形態1.
図1は、本実施の形態にかかる旅客案内装置の構成を示すブロック図である。図1に示すように、本実施の形態の旅客案内装置は、表示部1に案内情報を画像として投射し表示するプロジェクタ2と、列車の運行管理情報に基づいて案内画像を生成しプロジェクタ2に送信するとともに、表示位置、表示領域、およびフォーカス位置等の制御を含めてプロジェクタ2の制御を行う制御装置3と、この制御装置3に列車の運行管理情報を出力する運行管理装置4と、を備えて構成される。
【0014】
図2は、本実施の形態の適用の一例を示す図であり、具体的には、列車がプラットホームに在線しない場合の(a)斜視図、および(b)正面図である。図2では、プロジェクタ2はプラットホーム10の上方に設置され、その設置箇所は、例えばプラットホーム10に設けられた壁面(図示せず)の上部などである。
【0015】
また、図示は省略しているが、プロジェクタ2はプラットホーム10上方に複数台設置され、プラットホーム10に沿って所定の間隔を隔てて設置される。プロジェクタ2の設置台数は、例えば、プラットホーム10に到着する列車のドアの総数である。また、プロジェクタ2は、例えば、プラットホーム10に到着する列車がプラットホーム10の所定の位置に停車したときの各ドア位置の正面上方にそれぞれ設置する。
【0016】
図2に示すように、列車がプラットホーム10上に在線しない場合、プロジェクタ2は、線路11を挟んでプラットホーム10の対岸にある壁面に設置された例えばスクリーン31の表示領域p1に案内画像の表示を行う。この場合、スクリーン31が表示部1となり、大型のスクリーン等を利用することにより、大画面表示を行うことができる。なお、スクリーン31の替わりに、壁面上に表示することもできる。図1に示すように、制御装置3は運行管理装置4から取得した列車の運行管理に関する情報S1に基づいて、列車がプラットホーム10に在線していない場合に表示する案内画像を生成し、これを映像信号V1としてプロジェクタ2にデータ転送するとともに、プロジェクタ2を制御信号S2により制御し、表示位置およびフォーカス位置をスクリーン31に合わせる。プロジェクタ2がスクリーン31上に表示する案内情報は、例えば、広告情報、列車の運行に関する情報、乗り換え情報、現在時刻情報、事故情報および天候情報等である。
【0017】
図3は、本実施の形態の適用の別の一例を示す図であり、具体的には、列車がプラットホームに在線する場合の(a)斜視図、および(b)正面図である。なお、図3において、図2と同一の構成要素には同一の符号を付している。
【0018】
図3に示すように、列車22がプラットホーム10上に在線する場合、プロジェクタ2は、車両本体側面32の例えばドア12上部の領域(表示領域p2)に案内画像の表示を行う。すなわち、車両本体側面32が表示部1となる。ここで、車両本体とは窓を除いた基体を示す。制御装置3は運行管理装置4から取得した列車の運行管理に関する情報S1に基づいて、列車がプラットホーム10上に在線している場合に表示する案内画像を生成し、これを映像信号V1としてプロジェクタ2にデータ転送するとともに、プロジェクタ2を制御信号S2により制御し、表示位置およびフォーカス位置をドア12上部に合わせる(図1を参照)。
【0019】
プロジェクタ2がドア12上部に表示する案内情報は、主に、プラットホーム10上の列車22の運行に関する情報(種別、行先、出発時間、遅延情報、乗換情報等)であり、乗客がこれから乗車する列車に関する情報を地上システムが保有する情報等に基づいて提供される。
【0020】
次に、列車22がプラットホーム10上に在線しない状態から在線する状態への移行時またはこの逆の場合におけるプロジェクタ2の投射位置の切り替え処理について説明する。以下では、列車22がプラットホーム10に入線する場合について説明するが、出線する場合も同様である。制御装置3は、列車22がプラットホーム10上に在線していないときには、プロジェクタ2に対してプラットホーム10の対岸の壁面に設置されたスクリーン31に案内画像の表示をさせる。
【0021】
列車22の到着が検出され、運行管理装置4からプラットホーム10に到着する列車22の運行管理情報を取得すると、この列車22の運行管理情報に基づいて、案内画像を生成し映像信号V1としてプロジェクタ2にデータを転送するとともに、プロジェクタ2に制御信号S2を送信し、スクリーン31から車両本体側面32に表示位置とフォーカス位置とを切り替える。このとき、列車22の運行管理情報には、列車22の種別(普通または特急であるかなどの情報、編成数、車両のドア数およびドア位置など)および規定停車位置などの情報が含まれ、制御部3はこれらの情報に基づいて停車位置を予測し、停車時の表示位置を決定する。なお、プロジェクタ2のフォーカス位置の調整には、プロジェクタ2自体に表示部1までの距離を測定して自動的に調整するオートフォーカス機能が存在する場合は、この機能を用いてもよい。
【0022】
そして、制御装置2は、表示位置を例えば車両本体側面32におけるドア12の上端よりも高い領域(すなわち、図3(a)の幅Hの領域)とし、この領域内に投射を切り替えて表示を始める。これにより、列車22がプラットホーム10上で停車する前のまだ動いている状態でも車両本体側面32上に案内画像を表示させることができる。
【0023】
列車22がプラットホーム10上で停車すると、プロジェクタ2は例えばドア12上部の領域(表示領域p2)に案内画像の表示を行う(図3(a))。このようにドア12上部の表示領域p2への局所的な表示を実現することは、列車22についての運行管理情報を運行管理装置4から取得し、予め車種を識別し停車位置を予測することで可能となる。
【0024】
なお、列車22がプラットホーム10上に在線する場合の車両本体側面32における表示位置を例えばドア12上部としたが、これはプラットホーム10上で乗車待ちをしている乗客から最も見やすい箇所であると想定されるからである。特に、列の後方に並んでいる乗客からも見やすい。ただし、これに限定されることなく、車両本体側面32の他の箇所に表示することもできる。
【0025】
また、本実施の形態では、列車22が動いている状態でも案内画像の表示が可能であるが、投射領域をドア12上端より高い領域とすることが好ましい。これは、その領域では、概ね表面の形状や色彩などが一様であるのに対して、他の領域、例えばドア12の中程の高さに投射領域を合わせると、窓13が断続的に投射領域に入るため表示に適さないからである。しかしながら、窓13の下端より低い箇所に表示することもできる。
【0026】
以上説明したように、本実施の形態では、通常時はプラットホーム10の対面側のスクリーン31に案内画像の表示を行い、列車22がプラットホーム10上に在線しているときは列車22のドア12上部に画像を絞り込んで案内表示を継続するものである。
【0027】
また、通常時においてプロジェクタ2は、制御装置3が生成する広告情報、列車の運行に関する情報、乗り換え情報、現在時刻情報、事故情報および天候情報等を示す案内画像をスクリーン31上に表示するが、運行管理装置4から列車在線情報を得た場合、その表示内容を列車22に関する情報に内容を切り替えてドア12上部にて表示を継続する。
【0028】
本実施の形態によれば、列車22がプラットホーム10上に在線しているときに、列車22の車両本体側面32に案内画像の表示を行うことで車両に専用のスクリーンを設けることなく表示が可能である。そのため、従来のように窓に特殊なスクリーンを用意する必要がなく、既存の列車をそのまま用いることができるのでコストもかからない。
【0029】
また、例えばドア12上部の領域に案内画像の表示を行うことで、視認性のよい箇所に旅客案内を表示可能である。したがって、プラットホーム10上で列車22を待つ乗客に対して、乗客の乗車予定の列車情報を中心に確実に伝達することができる。
【0030】
また、本実施の形態では、制御装置3は運行管理装置4から得られた次に到着する列車に関する運行情報に基づいて表示位置を決定するので、車両本体側面32の所望の位置に表示を行うことが可能となり、例えばドア12上部に表示することができる。
【0031】
また、運行管理装置4の保有する運行管理情報は、地上システム側が保有する情報であり、列車22が保有している情報よりもより詳細な情報である。車両本体側面32での案内表示においては、停車中の列車22に対する案内に特化することで乗客へのより詳細な車両案内を可能とする。
【0032】
さらにまた、車両本体側面32を表示領域とすることで、列車22が入線または出線する際に動いている状態でも、表示を止めることなく継続して表示が可能となる。
【0033】
また、プロジェクタ2はプラットホーム10上に設置することで、保守を容易とする。
【0034】
また、本実施の形態によれば、運行管理装置4などから得られる運行管理情報をもとに、列車22の在線の有無に応じてプロジェクタ2の表示位置を変更し、これに応じて表示内容の変更することで、プラットホーム10上で単一ではなく、乗客のニーズにより対応した情報の提供を行うことができる。
【0035】
実施の形態2.
図4は、本実施の形態にかかる旅客案内装置の構成を示すブロック図である。図4に示すように、本実施の形態の旅客案内装置は、図1に示す実施の形態1の構成に加えて、運行計画予測装置6を備えている。なお、その他の構成は、図1〜図3と同様であり、そのため同一の構成要素には同一の符号を付している。
【0036】
運行計画予測装置6は、運行管理装置4から出力される運行管理情報に基づき、当日のダイヤや最新の在線状況等に基づいて各列車に対するシミュレーションを行うなどして今後の運行予測を行う。そして、この予測結果は運行管理装置1の出力とともに列車の運行管理に関する情報S1として制御装置3へ出力される。制御装置3は、運行管理装置4および運行計画予測装置6から得られる情報S1に基づき、プロジェクタ2に制御信号S2を送信して表示位置等の調整と行うとともに、映像信号V1を送信して案内画像の表示をさせる。この際、案内画像には、運行計画予測装置6により予測された運行予測情報が含まれる。特に、運行予測情報を、プラットホーム10上に在線中の列車22のドア12上部に表示することで、乗客が乗車予定の列車22に関する運行予測情報を提供することができる。
【0037】
図5は、列車在線時における案内表示をプラットホーム上から見たときのイメージ図である。図5では、列車の側面に設けられた行先表示板5は、列車自身がもつ情報(種別・行先・出発時刻など)など、あらかじめ固定された情報しか表示することができない。一方、プロジェクタ2から車両本体側面32のドア12上部に表示される案内画像は、運行管理装置4からの情報に基づき、出発時間や列車の遅延情報を表示することを可能とするとともに、運行計画予測装置6からの情報に基づき、主要駅への到着予定時間や先着到着案内などの表示を可能とする。なお、本実施の形態のその他の効果は実施の形態1と同様である。
【0038】
実施の形態3.
図6は、本実施の形態にかかる旅客案内装置の構成を示すブロック図である。図6に示すように、本実施の形態の旅客案内装置は、図1に示す実施の形態1の構成に加えて、カメラ7を備えている。なお、その他の構成は、図1〜図3と同様であり、そのため同一の構成要素には同一の符号を付している。
【0039】
実施の形態1で説明したように、列車22がプラットホーム10上に在線する場合、プロジェクタ2は、車両本体側面32の例えばドア12上部の領域(表示領域p2)に案内画像の表示を行う。ところで、表示部として利用される列車22の車両は様々な色にて塗装されている可能性がある。また、同一線区においても、同型車両ながら異なる色塗装である場合が存在する。そのため車両色に近い色にて案内画像を表示した場合、その表示が不明瞭になる場合がある。
【0040】
これを防止するため、本実施の形態では、プロジェクタ2の投射領域をその視野に含むカメラ7を設置し、このカメラ7が撮影する映像から車両の色を判別する。このため、カメラ7は例えばプロジェクタ7と概略同じ位置に設置する。そして、列車22がプラットホーム10に入線したときに、カメラ7は制御装置3からの制御信号S3に基づいて車両側面の映像を撮影し、車両の色情報を含む撮影結果C1を制御装置3へ渡す。制御装置3は、得られた撮影結果C1から車両色を判別し、判別した色に合わせた形での表示を実施する。すなわち、制御装置3は、判別した車両色に応じて表示に使用する色を選択し、または色抜き若しくは反転文字を使用するなど色の表示方法を適切に選択する。
【0041】
図7は、車両に案内画像を表示する際の車両色と表示色との関係を説明するための図である。図7(a)では、車両色が「青系統」である場合に、それと概ね補色の関係にある「赤色」を用いて「急行」の文字を表示することで、明瞭な表示ができることを示している。すなわち、「赤色」表示を行いたい場合には、車両色が「青系統」であれば好適である。換言すれば、車両が「青系統」であれば、「赤色」を用いて表示を行うことが好ましい。一方、図7(b)では、車両色が「赤系統」である場合に、「赤色」を用いて表示を行うと、「急行」の文字が不明瞭で判別が困難となることを示している。そこで、車両色が「赤系統」である場合に、「赤色」表示を行いたい場合には、例えば図9(c)に示すように、「赤系統」の車両色の中に、黒色の色抜きの領域を設け、その黒色の領域の中に「赤色」で「急行」の文字を表示するようにすればよい。
【0042】
制御装置3は、判別した車両色および旅客案内装置のオペレータの設定に基づき、案内表示が明瞭となるような色や表示方法を用いて表示する。なお、本実施の形態のその他の効果は実施の形態1と同様である。また、本実施の形態に、実施の形態2で説明した運行計画予測装置を組み込むこともでき、実施の形態2と同様の効果も得ることができる。
【0043】
実施の形態4.
図8は、列車在線位置に合わせて案内画像の表示位置を調整する機能について説明するための図である。図9は、カメラによる撮像の一例を示す図、図10は、カメラによる撮像の別の一例を示す図である。
【0044】
本実施の形態は、実施の形態3と同様の構成であり、カメラ7を備えている。図8では、プラットホーム在線中の車両の側面に対して、プロジェクタ2がドア12上部の表示領域p2に案内画像を表示しており、一方、カメラ7が表示領域p2を含む視野F内に車両の側面を撮像する様子を示している。なお、図8〜図10では、図1〜図3と同一の構成要素には同一の符号を付している。
【0045】
列車22の停車位置は基本的に定められているが、運転状況により左右に変動する場合がある。このとき例えば車両のドア12上部に案内すべき内容が、別の場所(例えば窓13の上)などに表示される可能性もある。そのためプロジェクタ2と概略同じ位置にカメラ7を設置し、列車停車時の映像を分析する(図8を参照。ただし、図8では、表示を簡略化するため、カメラ7をプロジェクタ2から離して描いている。)。列車22が規定の停車位置に停車にした場合には、カメラの7の映像の中心にはドア12の中心が位置し、このときはプロジェクタ2の表示位置はドア12の上部に位置するように設定されている(図9を参照)。一方、列車22が規定の停車位置に停車しなかった場合には、カメラ7の映像の中心にドア12の中心が位置しないが(図10を参照)、列車22は窓13部分とドア12部分とで形状が異なることを利用し、カメラ7の視野F内におけるドア12部分を検出し、その上部に案内表示を行うようにプロジェクタ2の映像出力の位置を調整する。具体的には、制御装置3は、カメラ7の映像から停車位置がずれた場合に基準位置からのずれ幅を検値し、このずれ幅分、プロジェクタ2の表示位置を水平方向に移動することで、案内表示を常にドア12上部に設定することができる。
【0046】
実施の形態1では、制御部3は、運行管理装置4から得られた運行管理情報に基づいて、列車の停車位置を予測してプロジェクタ2の投射位置を制御した。本実施の形態は、実際の列車の停車位置が運行管理情報に基づく予測停車位置からずれた場合の補正を、カメラ7を用いて行うものである。
【0047】
本実施の形態によれば、列車22の停車位置がずれたとしてもカメラ7の映像により案内画像の表示位置を補正することで、車両本体側面32の所望の場所、例えばドア12上部に案内画像を表示することが可能となる。なお、本実施の形態を、実施の形態2,3と組み合わせることもでき、本実施の形態のその他の効果は実施の形態1〜3と同様である。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、駅構内において乗客に旅客案内情報の表示を行うための旅客案内装置として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】実施の形態1にかかる旅客案内装置の構成を示すブロック図である。
【図2】実施の形態1の適用の一例を示す図であり、具体的には、列車がプラットホームに在線しない場合の(a)斜視図、および(b)正面図である
【図3】実施の形態1の適用の別の一例を示す図であり、具体的には、列車がプラットホームに在線する場合の(a)斜視図、および(b)正面図である。
【図4】実施の形態2にかかる旅客案内装置の構成を示すブロック図である。
【図5】実施の形態2において、列車在線時における案内表示をプラットホーム上から見たときのイメージ図である。
【図6】実施の形態3にかかる旅客案内装置の構成を示すブロック図である。
【図7】車両に案内画像を表示する際の車両色と表示色との関係を説明するための図である。
【図8】実施の形態4において、列車在線位置に合わせて案内画像の表示位置を調整する機能について説明するための図である。
【図9】実施の形態4において、カメラによる撮像の一例を示す図である。
【図10】実施の形態4において、カメラによる撮像の別の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0050】
1 表示部
2 プロジェクタ
3 制御装置
4 運行管理装置
5 行先表示板
6 運行計画予測装置
7 カメラ
p1,p2 表示領域
10 プラットホーム
11 線路
12 ドア
13 窓
22 列車
31 スクリーン
32 車両本体側面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駅構内のプラットホーム上に配設されたプロジェクタと、
列車の運行管理情報に基づき、前記プロジェクタに表示させる案内画像を生成し前記プロジェクタに出力するとともに、前記プロジェクタの表示位置、表示領域、およびフォーカス位置の調整を含めて前記プロジェクタの制御を行う制御部と、
この制御部に前記運行管理情報を出力する運行管理部と、
を備え、
前記制御部は、列車が前記プラットホーム上に在線しているときは、前記運行管理部から取得した前記列車に関する運行管理情報に基づき、前記プロジェクタを制御して前記列車の車両本体側面に前記案内画像を表示させることを特徴とする旅客案内装置。
【請求項2】
前記プロジェクタは、前記車両本体側面における前記列車のドア上端より高い領域に、前記案内画像を表示することを特徴とする請求項1に記載の旅客案内装置。
【請求項3】
前記プロジェクタは、前記列車がプラットホーム上で停車しているときに、前記列車のドア上部に、前記案内画像を表示することを特徴とする請求項2に記載の旅客案内装置。
【請求項4】
前記プロジェクタは、前記列車が動いている状態から停止状態まで継続して前記案内画像を表示することを特徴とする請求項2に記載の旅客案内装置。
【請求項5】
前記制御部が前記プロジェクタに対して前記車両本体側面に表示させる案内画像の内容は、前記プラットホームに在線している列車に関する運行管理情報であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の旅客案内装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記列車がプラットホーム上に在線していないときは、前記プロジェクタを制御して線路を挟んで前記プラットホームの対岸の壁面または壁面に設けられたスクリーン上に前記案内画像を表示させることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の旅客案内装置。
【請求項7】
前記運行管理部から出力される運行管理情報に基づき、列車の運行予測情報を生成し前記制御部に出力する運行計画予測部をさらに備え、
前記制御部は、前記プロジェクタを制御して前記車両本体側面に前記運行予測情報を含む案内画像を表示させることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の旅客案内装置。
【請求項8】
前記プロジェクタの投射領域をその撮像領域に含むように設置されたカメラをさらに備え、
前記制御部は、前記カメラにより撮影された映像から判別した前記列車の車両色に応じて前記プロジェクタの表示に使用する案内画像の色または色の表示方法を選択することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の旅客案内装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記カメラにより撮影された映像をもとに前記列車の停車位置を判定し、前記プロジェクタの表示位置を調整することを特徴とする請求項8に記載の旅客案内装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−15105(P2010−15105A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−177199(P2008−177199)
【出願日】平成20年7月7日(2008.7.7)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】