説明

既設管人孔接続部の耐震化工法

【課題】人孔の周壁の外周壁に近接して存在する地下ケーブルや各種流体用埋設管等の埋設物に傷を付けるおそれが無く、また、人孔の強度に影響を与えることなく、既設管人孔接続部の耐震化が図れる既設管人孔接続部の耐震化工法を得る。
【解決手段】管孔5に嵌合している既設管2の先端部分を切除するとともに、既設管2の切除する先端部分の周囲に位置する管孔5の内壁を切除し環状切除部11を形成する工程と、人孔3の内周壁面9に当接する頭部15と環状切除部11内に嵌合可能な嵌合部16を備えた筒状補助部材14の嵌合部16を環状切除部11内に嵌合し頭部15を人孔3の内周壁面9に当接させて、筒状補助部材14を人孔3に液密に固定する工程と、筒状補助部材11の内周に弾性止水管状部17を液密に設ける工程と、既設管2及び弾性止水管状部17の内周にライニング管22を配置する工程とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既設管が人孔を構成している周壁の管孔に嵌合して接続されている既設管人孔接続部の耐震化を非開削で行う既設管人孔接続部の耐震化工法に関する。
【背景技術】
【0002】
過去に発生した大きな地震において、下水道施設は甚大な被害を被り、市民生活に与えた影響は深刻なものであった。そのなかで既設管が受けた被害をみると、破損、抜け出し、ずれ、ひび割れ等が発生し、とりわけ既設管が人孔のところで該人孔の周壁の管孔に嵌合して接続されている既設管人孔接続部に被害が多くみられた。これは、既設管と人孔との既設管人孔接続部が剛接合となっているために、該既設管人孔接続部が地震動に対する動きの違いを吸収できないことに起因している。
【0003】
このため、剛接合となっている既設管と人孔との既設管人孔接続部の耐震化が求められるものとなった。剛接合となっている既設管人孔接続部の耐震化を図る工法として、人孔内から管状のカッターで既設管外周囲にある人孔の周壁を一定幅で切除して、既設管と人孔周壁とを縁切りし、切除によって形成された既設管と人孔の周壁との環状空隙内に弾性変形可能な弾性止水材を充填するようにした工法が開示されている。(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2001−40751号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような既設管人孔接続部の耐震化工法では、管状のカッターで既設管外周囲にある人孔の周壁を一定幅で切除するので、人孔の強度を低下させるおそれがあり、特に壁厚の薄い人孔には適さないといった問題がある。また、人孔内の狭い空間でのカッターによる人孔の周壁の切除作業は容易ではなく、また、カッターによる既設管と人孔周壁との縁切りでは、カッターが人孔の周壁を突き抜けて周壁の外に突出するまで押し進めるので、人孔の周壁の外周壁面における既設管の周囲に環状空隙が大きく開口し、人孔の周壁の外にある土砂や水が前記環状空隙内に流入してしまい、環状空隙内への弾性止水材の充填が困難となり、作業が妨げられるおそれがあった。
【0005】
また、前記既設管と人孔周壁との縁切りを確実にするため、カッターを人孔の周壁の外に必要以上に突出させる結果となる。一般に、人孔の周壁の外周囲には、周壁に近接して地下ケーブルや各種流体用埋設管等の埋設物が存在する場合が多い。このため、カッターによる既設管と人孔の周壁との縁切り作業の際、人孔の周壁の外に突出したカッターにより、地下ケーブルや各種流体用埋設管等の埋設物を傷付けてしまうおそれがあるといった問題がある。
【0006】
本発明の目的は、作業性がよく、人孔の周壁の外周壁に近接して存在する地下ケーブルや各種流体用埋設管等の埋設物に傷を付けるおそれが無く、また、人孔の強度に影響を与えることなく、既設管人孔接続部の耐震化が図れる既設管人孔接続部の耐震化工法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、既設管が人孔の周壁の管孔に嵌合して接続されている既設管人孔接続部の耐震化を図る既設管人孔接続部の耐震化工法であって、前記人孔の周壁の前記管孔に嵌合している前記既設管の先端部分を、前記人孔の周壁の内周壁面側から前記周壁の外周壁面の近傍で外周壁面を超えない範囲内の位置まで切除するとともに、前記既設管の切除する先端部分の周囲に位置する前記人孔の管孔の内壁を前記既設管に沿って前記既設管と同軸上に環状に切除し環状切除部を形成する工程と、前記人孔の内周壁面に当接する頭部と、前記環状切除部の内径と同径或いはそれより若干小径の外径を有し前記環状切除部内に嵌合可能な嵌合部を備え、この嵌合部の軸方向に前記既設管の外径と同径或いはそれより大径の内径を有するように構成された筒状補助部材の前記嵌合部を前記環状切除部内に嵌合し前記頭部を前記人孔の内周壁面に当接させて、前記筒状補助部材を前記人孔に液密に固定する工程と、前記筒状補助部材の内周に、前記筒状補助部材の内径とほぼ同径の外径と前記既設管の内径とほぼ同径の内径を有する弾性変形可能な弾性止水管状部を液密に設ける工程と、前記既設管及び前記弾性止水管状部の内周にライニング管を配置する工程とを含むことを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、既設管が人孔の周壁の管孔に嵌合して接続されている既設管人孔接続部の耐震化を図る既設管人孔接続部の耐震化工法であって、前記人孔の周壁の前記管孔に嵌合している前記既設管の先端部分を、前記人孔の周壁の内周壁面側から前記周壁の外周壁面の近傍で外周壁面を超えない範囲内の位置まで切除するとともに、前記既設管の切除する先端部分の周囲に位置する前記人孔の管孔の内壁を前記既設管に沿って前記既設管と同軸上に環状に切除し環状切除部を形成する工程と、前記人孔の内周壁面に当接する頭部と、前記環状切除部の内径と同径或いはそれより若干小径の外径を有し前記環状切除部内に嵌合可能な嵌合部を備え、この嵌合部の軸方向に前記既設管の外径と同径或いはそれより大径の内径を有するように構成された筒状補助部材の内周に、前記筒状補助部材の内径とほぼ同径の外径と前記既設管の内径とほぼ同径の内径を有する弾性変形可能な弾性止水管状部を液密に設ける工程と、前記筒状補助部材の前記嵌合部を前記環状切除部内に嵌合し前記頭部を前記人孔の内周壁面に当接させて、前記筒状補助部材を前記人孔に液密に固定する工程と、前記既設管及び前記弾性止水管状部の内周にライニング管を配置する工程とを含むことを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、既設管が人孔の周壁の管孔に嵌合して接続されている既設管人孔接続部の耐震化を図る既設管人孔接続部の耐震化工法であって、前記人孔の周壁の前記管孔に嵌合している前記既設管の先端部分を、前記人孔の周壁の内周壁面側から前記周壁の外周壁面の近傍で外周壁面を超えない範囲内の位置まで切除するとともに、前記既設管の切除する先端部分の周囲に位置する前記人孔の管孔の内壁を前記既設管に沿って前記既設管と同軸上に環状に切除し環状切除部を形成する工程と、前記人孔の内周壁面に当接する頭部と、前記環状切除部の内径と同径或いはそれより若干小径の外径を有し前記環状切除部内に嵌合可能な嵌合部を備え、この嵌合部の軸方向に前記既設管の外径と同径或いはそれより大径の内径を有するように構成された筒状補助部材の前記嵌合部を前記環状切除部内に嵌合し前記頭部を前記人孔の内周壁面に当接させて、前記筒状補助部材を前記人孔に液密に固定する工程と、前記筒状補助部材の内周に、前記筒状補助部材の内径とほぼ同径の外径と前記既設管の内径とほぼ同径の内径を有する筒状仮枠を設ける工程と、前記既設管及び前記筒状仮枠の内周にライニング管を配置する工程と、前記既設管及び前記筒状仮枠の内周にライニング管を配置した後、前記筒状補助部材内に設けた筒状仮枠を除去する工程と、前記筒状補助部材から前記筒状仮枠を除去した空隙に、弾性変形可能な弾性止水管状部を液密に設ける工程とを含むことを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、既設管が人孔の周壁の管孔に嵌合して接続されている既設管人孔接続部の耐震化を図る既設管人孔接続部の耐震化工法であって、前記人孔の周壁の前記管孔に嵌合している前記既設管の先端部分を、前記人孔の周壁の内周壁面側から前記周壁の外周壁面の近傍で外周壁面を超えない範囲内の位置まで切除するとともに、前記既設管の切除する先端部分の周囲に位置する前記人孔の管孔の内壁を前記既設管に沿って前記既設管と同軸上に環状に切除し環状切除部を形成する工程と、前記人孔の内周壁面に当接する頭部と、前記環状切除部の内径と同径或いはそれより若干小径の外径を有し前記環状切除部内に嵌合可能な嵌合部を備え、この嵌合部の軸方向に前記既設管の外径と同径或いはそれより大径の内径を有するように構成された筒状補助部材の前記嵌合部を前記環状切除部内に嵌合し前記頭部を前記人孔の内周壁面に当接させて、前記筒状補助部材を前記人孔に液密に固定する工程と、前記筒状補助部材の内周に、前記筒状補助部材の内径とほぼ同径の外径と前記既設管の内径とほぼ同径の内径を有する弾性変形可能な弾性止水管状部を液密に設ける工程と、前記弾性止水管状部内に、前記既設管の内径とほぼ同径の内径を有する鋼管を液密に嵌合する工程と、前記既設管及び前記鋼管の内周にライニング管を配置する工程とを含むことを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、既設管が人孔の周壁の管孔に嵌合して接続されている既設管人孔接続部の耐震化を図る既設管人孔接続部の耐震化工法であって、前記人孔の周壁の前記管孔に嵌合している前記既設管の先端部分を、前記人孔の周壁の内周壁面側から前記周壁の外周壁面の近傍で外周壁面を超えない範囲内の位置まで切除するとともに、前記既設管の切除する先端部分の周囲に位置する前記人孔の管孔の内壁を前記既設管に沿って前記既設管と同軸上に環状に切除し環状切除部を形成する工程と、前記人孔の内周壁面に当接する頭部と、前記環状切除部の内径と同径或いはそれより若干小径の外径を有し前記環状切除部内に嵌合可能な嵌合部を備え、この嵌合部の軸方向に前記既設管の外径と同径或いはそれより大径の内径を有するように構成された筒状補助部材の内周に、前記筒状補助部材の内径とほぼ同径の外径と前記既設管の内径とほぼ同径の内径を有する弾性変形可能な弾性止水管状部を液密に設け、前記弾性止水管状部内に、前記既設管の内径とほぼ同径の内径を有する鋼管を液密に嵌合する工程と、前記筒状補助部材の前記嵌合部を前記環状切除部内に嵌合し前記頭部を前記人孔の内周壁面に当接させて、前記筒状補助部材を前記人孔に液密に固定する工程と、前記既設管及び前記鋼管の内周にライニング管を配置する工程とを含むことを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、既設管が人孔の周壁の管孔に嵌合して接続されている既設管人孔接続部の耐震化を図る既設管人孔接続部の耐震化工法であって、前記人孔の周壁の前記管孔に嵌合している前記既設管の先端部分を、前記人孔の周壁の内周壁面側から前記周壁の外周壁面の近傍で外周壁面を超えない範囲内の位置まで切除するとともに、前記既設管の切除する先端部分の周囲に位置する前記人孔の管孔の内壁を前記既設管に沿って前記既設管と同軸上に環状に切除し環状切除部を形成する工程と、前記人孔の内周壁面に当接する頭部と、前記環状切除部の内径と同径或いはそれより若干小径の外径を有し前記環状切除部内に嵌合可能な嵌合部を備え、この嵌合部の軸方向に前記既設管の外径と同径或いはそれより大径の内径を有するように構成された筒状補助部材の前記嵌合部を前記環状切除部内に嵌合し前記頭部を前記人孔の内周壁面に当接させて、前記筒状補助部材を前記人孔に液密に固定する工程と、前記筒状補助部材の内周に、前記筒状補助部材の内径とほぼ同径の外径と前記既設管の内径とほぼ同径の内径を有する弾性変形可能な弾性止水管状部を液密に設ける工程と、前記弾性止水管状部の内周を通して、前記先端部分切除後の既設管内に鋼管の先端部分を、少なくとも前記弾性止水管状部との間で液密となるように嵌合する工程と、前記既設管及び前記鋼管の内周にライニング管を配置する工程とを含むことを特徴とする。
【0013】
請求項7に記載の発明は、既設管が人孔の周壁の管孔に嵌合して接続されている既設管人孔接続部の耐震化を図る既設管人孔接続部の耐震化工法であって、前記人孔の周壁の前記管孔に嵌合している前記既設管の先端部分を、前記人孔の周壁の内周壁面側から前記周壁の外周壁面の近傍で外周壁面を超えない範囲内の位置まで切除するとともに、前記既設管の切除する先端部分の周囲に位置する前記人孔の管孔の内壁を前記既設管に沿って前記既設管と同軸上に環状に切除し環状切除部を形成する工程と、前記人孔の内周壁面に当接する頭部と、前記環状切除部の内径と同径或いはそれより若干小径の外径を有し前記環状切除部内に嵌合可能な嵌合部を備え、この嵌合部の軸方向に前記既設管の外径と同径或いはそれより大径の内径を有するように構成された筒状補助部材の内周に、前記筒状補助部材の内径とほぼ同径の外径と前記既設管の内径とほぼ同径の内径を有する弾性変形可能な弾性止水管状部を液密に設ける工程と、前記筒状補助部材の前記嵌合部を前記環状切除部内に嵌合し前記頭部を前記人孔の内周壁面に当接させて、前記筒状補助部材を前記人孔に液密に固定する工程と、前記弾性止水管状部の内周を通して、前記先端部分切除後の既設管内に鋼管の先端部分を、少なくとも前記弾性止水管状部との間で液密となるように嵌合する工程と、前記既設管及び前記鋼管の内周にライニング管を配置する工程とを含むことを特徴とする。
【0014】
請求項8に記載の発明は、既設管が人孔の周壁の管孔に嵌合して接続されている既設管人孔接続部の耐震化を図る既設管人孔接続部の耐震化工法であって、前記人孔の周壁の前記管孔に嵌合している前記既設管の先端部分を、前記人孔の周壁の内周壁面側から前記周壁の外周壁面の近傍で外周壁面を超えない範囲内の位置まで切除するとともに、前記既設管の切除する先端部分の周囲に位置する前記人孔の管孔の内壁を前記既設管に沿って前記既設管と同軸上に環状に切除し環状切除部を形成する工程と、前記人孔の内周壁面に当接する頭部と、前記環状切除部の内径と同径或いはそれより若干小径の外径を有し前記環状切除部内に嵌合可能な嵌合部を備え、この嵌合部の軸方向に前記既設管の外径と同径或いはそれより大径の内径を有するように構成された筒状補助部材の前記嵌合部を前記環状切除部内に嵌合し前記頭部を前記人孔の内周壁面に当接させて、前記筒状補助部材を前記人孔に液密に固定する工程と、前記人孔の周壁の前記管孔を通して、前記先端部分切除後の既設管内に鋼管の先端部分を嵌合する工程と、前記鋼管と前記筒状補助部材との間に、弾性変形可能な弾性止水管状部を液密に設ける工程と、前記既設管及び前記鋼管の内周にライニング管を配置する工程とを含むことを特徴とする。
【0015】
請求項9に記載の発明は、既設管が人孔の周壁の管孔に嵌合して接続されている既設管人孔接続部の耐震化を図る既設管人孔接続部の耐震化工法であって、前記人孔の周壁の前記管孔に嵌合している前記既設管の先端部分を、前記人孔の周壁の内周壁面側から前記周壁の外周壁面の近傍で外周壁面を超えない範囲内の位置まで切除するとともに、前記既設管の切除する先端部分の周囲に位置する前記人孔の管孔の内壁を前記既設管に沿って前記既設管と同軸上に環状に切除し環状切除部を形成する工程と、前記人孔の周壁の前記管孔を通して、前記先端部分切除後の既設管内に鋼管の先端部分を嵌合する工程と、前記人孔の内周壁面に当接する頭部と、前記環状切除部の内径と同径或いはそれより若干小径の外径を有し前記環状切除部内に嵌合可能な嵌合部を備え、この嵌合部の軸方向に前記既設管の外径と同径或いはそれより大径の内径を有するように構成された筒状補助部材の内周に、前記筒状補助部材の内径とほぼ同径の外径と前記既設管の内径と同径或いはそれより若干大径の内径を有する弾性変形可能な弾性止水管状部を液密に設ける工程と、前記筒状補助部材の内周に設けた弾性止水管状部を前記鋼管の外周に嵌合させるようにして前記筒状補助部材の前記嵌合部を前記環状切除部内に嵌合し前記頭部を前記人孔の内周壁面に当接させて、前記筒状補助部材を前記人孔に液密に固定する工程と、前記既設管及び前記鋼管の内周にライニング管を配置する工程とを含むことを特徴とする。
【0016】
請求項10に記載の発明は、請求項1乃至9の何れかに記載の、前記先端部分切除後の既設管の端部に、内周側から外周面に達しない範囲で切り込みを形成する工程を含むことを特徴とする。
【0017】
請求項11に記載の発明は、請求項1乃至10の何れかに記載の、前記筒状補助部材の頭部にあっては、軸方向の長さが、地震があったときに想定される前記人孔の周壁の管孔内における前記既設管の進退移動量を基準として設定されていることを特徴とする。
【0018】
請求項12に記載の発明は、請求項1乃至11の何れかに記載の、前記筒状補助部材の頭部にあっては、外形が開口側先端に向かって順次小径となるように略円錐形状又は角錐形状に形成されていることを特徴とする。
【0019】
請求項13に記載の発明は、請求項1乃至12の何れかに記載の、前記筒状補助部材と前記筒状補助部材の内周に設けた前記弾性止水管状部との間には、前記弾性止水管状部が前記筒状補助部材から抜け出すことを防止する抜け出し防止手段が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
請求項1,2,3に記載の既設管人孔接続部の耐震化工法によれば、人孔の周壁の管孔に嵌合している既設管の先端部分を、人孔の周壁の内周壁面側から外周壁面を超えない範囲内で切除するので、カッターは人孔の周壁の外に突出せず、このため人孔の周壁の外周壁面と既設管の周囲との間は閉じられた状態にあり、外周壁面と既設管の周囲との間から人孔の周壁の管孔内へ人孔の周壁の外にある土砂が流入することを防止でき、また水の流入も防止でき或いは最小限に抑えることができるものとなり、作業を容易に行うことができ、また、カッターにより人孔の周壁の外周囲に近接して存在する地下ケーブルや各種流体用埋設管等の埋設物に傷を付けるおそれがない。
【0021】
また、既設管の切除する先端部分の周囲に位置する人孔の管孔の内壁を既設管に沿って既設管と同軸上に環状に切除した環状切除部内に、筒状補助部材の嵌合部を嵌合し、頭部を人孔の内周壁面に当接させて、筒状補助部材を人孔に液密に固定したので、筒状補助部材は人孔の周壁と一体となり、筒状補助部材の内周は人孔の周壁の管孔の一部を構成することになる。
【0022】
そして、既設管及び筒状補助部材に設けられている弾性止水管状部の内周に配置したライニング管は、既設管としての役割を果たし、弾性止水管状部の内周にあるライニング管が人孔の周壁の管孔の一部を構成する筒状補助部材の内周に嵌合される既設管の代替先端部分を構成することになる。
【0023】
かかる構成から、地震が発生したときに生じる既設管と人孔の周壁との動きの違いを弾性止水管状部で吸収できるので、既設管人孔接続部が地震動で破壊されるのを防止することができる。
【0024】
そして、地震が発生したときに生じる既設管と人孔の周壁との動きが軸方向への動きである場合、筒状補助部材の内径は、既設管の外径と同径或いはそれより大径となっているので、既設管はその端部が筒状補助部材内に入出することになり、既設管の端部により人孔の周壁や筒状補助部材を破壊するおそれはない。
【0025】
また、地震が発生したときに生じる既設管と人孔の周壁との動きが軸方向と交差する方向への動きである場合、管孔内に僅かに嵌合している既設管の端部が破壊して既設管と人孔の周壁とが縁切されるので、人孔の周壁や筒状補助部材の破壊が防止でき、そして、既設管の端部の破壊があっても、前記のようにライニング管が既設管としての役割を果たしているので、ライニング管で破壊部分を十分補うことができ、既設管としての機能を損ねるおそれはない。
【0026】
また、筒状補助部材は、頭部を人孔の内周壁面に当接させて前記人孔に固定したので、頭部は人孔の内周壁面から突出した状態となるから、頭部の軸方向の長さ分だけ人孔の周壁の管孔が長くなることになり、その分人孔の周壁の管孔の一部を構成する筒状補助部材の内周に設ける弾性止水管状部を軸方向に長く設けることができることになるので、これにより、動きの違いを弾性止水管状部でより効果的に吸収でき、また止水効果も向上するものとなり、また、特に壁厚の薄い人孔に適するものとなる。
【0027】
請求項4,5,6,7,8,9に記載の既設管人孔接続部の耐震化工法によれば、人孔の周壁の管孔に嵌合している既設管の先端部分を、人孔の周壁の内周壁面側から外周壁面を超えない範囲内で切除するので、カッターは人孔の周壁の外に突出せず、このため人孔の周壁の外周壁面と既設管の周囲との間は閉じられた状態にあり、外周壁面と既設管の周囲との間から人孔の周壁の管孔内へ人孔の周壁の外にある土砂が流入することを防止でき、また水の流入も防止でき或いは最小限に抑えることができるものとなり、作業を容易に行うことができ、また、カッターにより人孔の周壁の外周囲に近接して存在する地下ケーブルや各種流体用埋設管等の埋設物に傷を付けるおそれがない。
【0028】
また、既設管の切除する先端部分の周囲に位置する前記人孔の管孔の内壁を既設管に沿って既設管と同軸上に環状に切除した環状切除部内に、筒状補助部材の嵌合部を嵌合し、頭部を人孔の内周壁面に当接させて、筒状補助部材を前記人孔に液密に固定したので、筒状補助部材は人孔の周壁と一体となり、筒状補助部材の内周は人孔の周壁の管孔の一部を構成することになる。
【0029】
そして、鋼管及びライニング管は既設管としての役割を果たし、弾性止水管状部の内周にある鋼管及びライニング管が前記人孔の周壁の管孔の一部を構成する筒状補助部材の内周に嵌合される既設管の代替先端部分を構成することになる。
【0030】
かかる構成から、地震が発生したときに生じる、既設管と人孔の周壁との動きの違いを弾性止水管状部で吸収できるので、既設管人孔接続部が地震動で破壊されるのを防止することができる。
【0031】
そして、地震が発生したときに生じる既設管と人孔の周壁との動きが軸方向への動きである場合、筒状補助部材の内径は、既設管の外径と同径或いはそれより大径となっているので、既設管はその端部が筒状補助部材内に入出することになり、既設管の端部により人孔の周壁や筒状補助部材を破壊するおそれはない。
【0032】
また、地震が発生したときに生じる既設管と人孔の周壁との動きが軸方向と交差する方向への動きである場合、管孔内に僅かに嵌合している既設管の端部が破壊して既設管と人孔の周壁とが縁切されるので、人孔の周壁や筒状補助部材の破壊が防止でき、そして、既設管の端部の破壊があっても、前記のように鋼管及びライニング管が既設管としての役割を果たしているので、鋼管及びライニング管で破壊部分を十分補うことができ、既設管としての機能を損ねるおそれはない。
【0033】
また、筒状補助部材は、頭部を前記人孔の内周壁面に当接させて人孔に固定したので、頭部は前記人孔の内周壁面から突出した状態となるから、頭部の軸方向の長さ分だけ人孔の周壁の管孔が長くなることになり、その分人孔の周壁の管孔の一部を構成する筒状補助部材の内周に設ける弾性止水管状部を軸方向に長く設けることができることになるので、これにより、動きの違いを弾性止水管状部でより効果的に吸収でき、また止水効果も向上するものとなり、また、特に壁厚の薄い人孔に適するものとなる。
【0034】
請求項10に記載の既設管人孔接続部の耐震化工法によれば、請求項1乃至9の何れかに記載の、前記先端部分切除後の既設管の端部に、内周側から外周面に達しない範囲で切り込みを形成する工程を含んでいるので、地震が発生し既設管と人孔の周壁との動きに違いが生じたとき、既設管の端部が容易に破壊することになり、既設管の端部による人孔の周壁や筒状補助部材への損傷を有効に防止することができる。
【0035】
請求項11に記載の既設管人孔接続部の耐震化工法によれば、請求項1乃至10の何れかに記載の、前記筒状補助部材における頭部の軸方向の長さが、地震があったときに想定される人孔の周壁の管孔内における既設管の進退移動量を基準として設定されているので、既設管としての役割を果たすライニング管と人孔の周壁の管孔の一部を構成する筒状補助部材との地震により生じる動きの違いを、筒状補助部材の内周に設けた弾性止水管状部で確実に吸収できるものとなる。
【0036】
請求項12に記載の既設管人孔接続部の耐震化工法によれば、請求項1乃至11の何れかに記載の、前記筒状補助部材の頭部にあっては、外形が開口側先端に向かって順次小径となるように略円錐形状又は角錐形状に形成されているので、人孔内に投入された汚物等の投入物が人孔の内周壁面から突出している筒状補助部材の頭部に引っ掛かることを防止することができる。
【0037】
請求項13に記載の既設管人孔接続部の耐震化工法によれば、請求項1乃至12の何れかに記載の、前記筒状補助部材と筒状補助部材の内周に設けた弾性止水管状部との間には、弾性止水管状部が筒状補助部材から抜け出すことを防止する抜け出し防止手段が設けられているので、地震が発生し既設管と人孔の周壁との動きに違いが生じたとき、弾性止水管状部が筒状補助部材から抜け出すことを防止できることから、止水効果を有効に維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下、本発明に係る既設管人孔接続部の耐震化工法を実施するための最良の形態を、図面に示す実施例を参照して詳細に説明する。
【0039】
図1乃至図12は本発明に係る既設管人孔接続部の耐震化工法を実施する第1例を示すものであり、図1は工事前の状態を示す縦断面図、図2は人孔の周壁の管孔に嵌合している既設管の先端部分を切除し環状切除部を形成した状態を示す縦断面図、図3は人孔の周壁の管孔に嵌合している既設管の先端部分を切除し環状切除部を形成した状態の他例を示す縦断面図、図4は人孔の周壁の管孔における既設管の切除した環状切除部に筒状補助部材を固定する状態を示す縦断面図、図5は人孔の周壁の管孔における既設管の切除した環状切除部に筒状補助部材を固定した状態を示す縦断面図、図6は図5に示す筒状補助部材の内周に弾性止水管状部を設けた状態を示す縦断面図、図7,図8、図9はいずれも弾性止水管状部の他例を示す拡大断面図、図10は筒状補助部材と弾性止水管状部との間に設けた抜け出し防止手段を示す拡大断面図、図11は既設管及び弾性止水管状部の内周にライニング管を配置した状態を示す縦断面図、図12はライニング管の他例を示す縦断面図である。
【0040】
図1は本例の工法を実施する人孔(マンホール)の一例を示しており、同図に示すように、工事前の状態では地盤1の中に敷設されている既設管2は、人孔3のところで該人孔3の基礎周壁部4aの管孔5に差し込まれて接続されて既設管人孔接続部6が形成されている。人孔3は、コンクリートで構築された基礎周壁部4aの上に、予めコンクリートで成型された成型周壁部4bが設置されて周壁4が形成され、上端の開口部7が開閉可能に蓋8で閉塞されている。
【0041】
このような構造の既設管人孔接続部6に対して行う本例の耐震化工法は、先ず、図2に示すように、人孔3の周壁4における基礎周壁部4aの管孔5に嵌合している既設管2の先端部分2aを、基礎周壁部4aの内周壁面9側から外周壁面10の近傍で外周壁面10を超えない範囲内の位置まで切除するとともに、既設管2の切除する先端部分2aの周囲に位置する基礎周壁部4aの管孔5の内壁を既設管2に沿って既設管2と同軸上に環状に切除し、環状切除部11を形成する。
【0042】
基礎周壁部4aの内周壁面9側から外周壁面10の近傍とは、既設管2の先端部分2aの切除後に、基礎周壁部4aの管孔5内に嵌合した状態で残っている既設管2の端部2bが、地震が発生したとき容易に破壊し、既設管2と人孔3の基礎周壁部4aとが縁切りできる位置をいう。既設管2の先端部分の切除後に基礎周壁部4aの管孔5内に嵌合した状態で残っている既設管2の長さLは、0〜5cm位が好ましいが、管孔5内への土砂や水の流入を防止するために、少なくとも0.5cm以上であることが特に好ましい。既設管2の先端部分2aの切除寸法位置Pを設定するに際しては、基礎周壁部4aは現場打ちのため、その壁厚は必ずしも設計通りとはなっていないので、基礎周壁部4aの壁厚を超音波を当てて測定し、既設管2の先端部分2aの切除寸法位置Pを設定することが好ましい。
【0043】
また、既設管2の切除する先端部分2aの周囲に位置する基礎周壁部4aの管孔5の内壁を既設管2に沿って既設管2と同軸上に環状に切除して形成する環状切除部11にあってはその内径を、少なくとも環状切除部11に嵌合する後に述べる筒状補助部材の嵌合部の内径を既設管2の外径と同径或いはそれより大径とすることを許容できる径とする。
【0044】
既設管2の先端部分2aの切除に先立ち、既設管2の先端部分の切除作業に必要な作業空間と、後に述べるように、環状切除部11に筒状補助部材の嵌合部を嵌合し固定する作業空間を確保するために、既設管2の先端部分2aの前面のインバートコンクリート12を必要な範囲だけ切除しておく。
【0045】
既設管2の先端部分2aの切除と管孔5の内壁の切除は、同時に切除してもよく、或いは何れか一方を先に切除し、その後に他方を切除するようにしてもよい。既設管2の先端部分2a及び管孔5の内壁の切除にあっては、特に限定されないが、本例では、リング状のカッター(図示せず)で切削して除去する。リング状のカッターは、その内径が既設管2の内径と同じ径で、外径が、前記した環状切除部11の内径を、少なくとも環状切除部11に嵌合する筒状補助部材の嵌合部の内径を既設管2の外径と同径或いはそれより大径とすることを許容できる径とすることができる径となっている。
【0046】
また、基礎周壁部4aの管孔5に嵌合している先端部分切除後の既設管2の端部2bには、図3に示すように内周側から外周面に達しない範囲で切り込み13を形成してもよい。
【0047】
次に、図4,図5に示すように、人孔3に筒状補助部材14を液密に固定する。筒状補助部材14は、人孔3の内周壁面9に当接する頭部15と、環状切除部11の内径と同径或いはそれより若干小径の外径を有し環状切除部11内に嵌合可能な嵌合部16を備え、この嵌合部16の軸方向に既設管2の外径と同径或いはそれより大径の内径を有するように構成されている。
【0048】
このように構成された筒状補助部材14の嵌合部16を環状切除部11内に嵌合し頭部を人孔3の内周壁面9に当接させて、筒状補助部材14を人孔3に液密に固定する。この筒状補助部材14を人孔3に液密に固定する手段にあっては、シール性のある接着剤で固定する。
【0049】
筒状補助部材14の頭部15にあっては、本例では軸方向の長さを、地震があったときに想定される人孔3の周壁4の管孔5内における既設管2の進退移動量を基準として設定している。頭部15の軸方向の長さとして40mm以上であることが好ましい。また、頭部15の形状にあっては、外形が開口側先端に向かって順次小径となるように略円錐形状又は角錐形状に形成されている。
【0050】
前記のように構成される筒状補助部材14は、コンクリート、硬質ゴム、硬質プラスチック等で形成されている。また、筒状補助部材14は、当初から筒状に形成されていなくてもよく、図示しないが、軸方向に複数に分割しておき、人孔3に固定する際に、環状切除部11内で筒状に組み立てるようにしてもよい。
【0051】
次に、図6に示すように、人孔3に固定した筒状補助部材14の内周に、筒状補助部材14の内径とほぼ同径の外径と既設管2の内径とほぼ同径の内径を有する弾性変形可能な弾性止水管状部17を液密に設ける。
【0052】
弾性止水管状部17は、例えばシリコン樹脂、軟性エポキシウレタン等の軟性樹脂や吸水材を含有する水膨張ゴム、化成ゴム、天然ゴム等の弾性止水材を用いて成形される。弾性止水管状部17を筒状補助部材14の内周に設ける手段としては、筒状補助部材14の内周に弾性止水材を管状に貼り付けて弾性止水管状部17を形成して設けてもよく、或いは弾性止水材で弾性止水管状部17を成形し、この弾性止水管状部17を筒状補助部材14に挿入して設けてもよく、或いは筒状補助部材14内に内型枠(図示せず)をセットし、この内型枠と筒状補助部材14の内壁との間に弾性止水材を注入して弾性止水管状部17を形成して設けてもよく、或いは弾性止水管状部17を軸方向に複数に分割しておき、筒状補助部材14に設ける際に、筒状補助部材14内で筒状に組み立てるようにしてもよい。
【0053】
本例では、人孔3に固定した筒状補助部材14の内周に弾性止水管状部17を設ける際に、筒状補助部材14の嵌合部16の先端部分に目地材18を設けており、筒状補助部材14の内周に弾性止水管状部17を設けたとき、既設管2の先端と弾性止水管状部17の先端との間に目地材18が介在するようにしている。
【0054】
筒状補助部材14と弾性止水管状部17の間を液密にする手段にあっては、弾性止水管状部17の外径を筒状補助部材14の内径より若干大径とし、筒状補助部材14の内周に弾性止水管状部17の外周をその復元作用により圧接させることにより液密が図れるようにしてもよく、或いは、筒状補助部材14と弾性止水管状部17の間をシール性のある接着剤で接着してもよい。
【0055】
また、弾性止水管状部17は後述するライニング管の外周面に接着させてもよく、ライニング管の外周面に圧接させてもよい。ライニング管の外周面に圧接させる場合に使用される弾性止水管状部17としては、ライニング管との間のシール性とスライド性を確保するため、弾性止水管状部17の内面を波状に形成することが好ましい。
【0056】
図7,図8,図9はいずれも弾性止水管状部17の他例を示しており、図7に示す弾性止水管状部17は、内面が軸方向に環状の凹部17aと凸部17bが連続して形成され、凹部17aが深く切り込まれた形状となっている。図8に示す弾性止水管状部17は、内面が軸方向に環状の凹部17aと凸部17bが連続して形成された形状となっており、凸部17bが中空となっている。図9に示す弾性止水管状部17は、内面が軸方向に環状の凹部17aと凸部17bが連続して形成された形状となっており、全体が中空となっている。これら図7、図8、図9に示す弾性止水管状部17は、いずれもライニング管との間のシール性と軸方向の伸縮性に優れ、ライニング管の外周面に接着させてもよく、また圧接させてもよい。いずれにしても、弾性止水管状部17と筒状補助部材14の内周との間及び弾性止水管状部17とライニング管の外周面との間が止水されればよい。
【0057】
また、図10に示すように、筒状補助部材14と筒状補助部材14の内周に設けた弾性止水管状部17との間には、弾性止水管状部17が筒状補助部材14から抜け出すことを防止する抜け出し防止手段19が設けられているとよい。
【0058】
図10に示す抜け出し防止手段19は、筒状補助部材14の頭部15の内周面に形成された環状溝20と、弾性止水管状部17の外周に設けられ環状溝20に嵌合係止する環状凸部21により構成されているが、これに限定されるものではない。この抜け出し防止手段19は、筒状補助部材14の内周に弾性止水管状部17の外周をその復元作用により圧接して固定する場合に好適である。
【0059】
次に、図11に示すように、既設管2及び弾性止水管状部17の内周に、ライニング管22を配置する。ライニング管22にあっては、本例では、硬化可能な軟質状態にある筒状ライニング材23を既設管2及び弾性止水管状部17の内部に挿入し、既設管2及び弾性止水管状部17の内周に筒状ライニング材23の周壁面を押し付けて硬化させることによりライニング管22を形成し配置している。
【0060】
既設管2及び弾性止水管状部17の内部に筒状ライニング材23を挿入し、既設管2及び弾性止水管状部17の内周ににライニング管22を形成し配置する方法にあっては、公知となっている技術が用いられる。
【0061】
例えば、特公平7−4853号公報や特開2005−90581号公報で開示されている技術を用い、未硬化の硬化性樹脂を含浸または塗布した可撓性がある筒状ライニング材23を既設管2及び弾性止水管状部17の内部に挿入し、既設管2及び弾性止水管状部17の内周に筒状ライニング材23の周壁面を押し付けて硬化性樹脂を硬化させることによりライニング管22を形成し配置することができる。筒状ライニング材23は、不浸透性内側フィルム層と硬化性樹脂を含浸した樹脂吸収性内層と不浸透性外側フィルム層の3層構造となっている。硬化性樹脂としては、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂或いは常温硬化性樹脂が挙げられ、フェルトに含浸されて樹脂吸収性内層となっている。また、不浸透性内側フィルム層としてはポリウレタンフィルムが使用され、不浸透性外側フィルム層としてはポリエチレンフィルムが使用されるが、これらに限定されるものではない。
【0062】
また、特開平10−278113号公報や特開平6−293071号公報で開示されている技術を用い、熱可塑性樹脂で成型された硬質乃至半硬質の筒状ライニング材23を既設管2及び弾性止水管状部17の内部に挿入し、筒状ライニング材23を加熱して軟化させ加圧して膨張させることにより既設管2及び弾性止水管状部17の内周に押し付け硬化させることによりライニング管22を形成し配置するようにしてもよい。
【0063】
既設管2及び弾性止水管状部17の内部に筒状ライニング材23を挿入する場合、2つの人孔3で区切られている既設管2の全長に渡って挿入し、既設管2及び弾性止水管状部17の内部に、筒状ライニング材23によるライニング管22を形成し配置することが好ましい。
【0064】
また、ライニング管22の他例として、図12に示すように、例えば、特開平10−82497号公報で開示されている技術を用い、未硬化の硬化性樹脂を含浸または塗布した可撓性があるシート状ライニング材23aを補修機に巻き付け、この補修機を既設管2及び弾性止水管状部17の内部に挿入して、既設管2及び弾性止水管状部17に跨るように位置させ、空気圧によりシート状ライニング材23aを膨張させてシート状ライニング材23aを既設管2及び弾性止水管状部17の内周に押し付けて硬化性樹脂を硬化させることによりライニング管22を形成し配置することができる。
【0065】
また、図示しないが、ライニング管22を形成し既設管2及び弾性止水管状部17の内周に配置する他例として、例えば、特公平4−44153号公報や特開2003−191329号公報に開示されている、帯状部材を順次円周方向に折り込み、かつ該帯状部材の先端部分を互いに接合して螺旋巻きによるライニング管22を形成しながら、該ライニング管22を既設管2及び弾性止水管状部17の内部に送り込んで配置するようにしてもよい。
【0066】
この後、既設管2の先端部分の切除に先立ち切除しておいた既設管2の先端部分前面のインバートコンクリート12の切除部に充填材24を充填する。充填材24としては、特に限定されるものではない。本例では、充填材24として弾性材を使用している。この弾性材として、例えば、弾性止水管状部17を形成する弾性止水材を使用してもよい。更に、樹脂、モルタル等の充填材25でライニング管22とインバートコンクリート12の段部を埋め均す。このようにして、既設管人孔接続部の耐震化工法の実施の工程が完了する。
【0067】
なお、前記既設管人孔接続部6の耐震化は、図面では、図上左側にある既設管人孔接続部6の耐震化の工程が示されているが、図上右側の既設管人孔接続部6についても、前記と同様の工程で耐震化が実施される。
【0068】
上記の既設管人孔接続部の耐震化工法によれば、管孔5に嵌合している既設管2の先端部分を、基礎周壁部4aの内周壁面9側から外周壁面10の近傍で外周壁面10を超えない範囲内の位置まで切除するので、カッターは基礎周壁部4aの外に突出せず、このため基礎周壁部4aの外周壁面10と既設管2の周囲との間は閉じられた状態にあり、外周壁面10と既設管2の周囲との間から管孔5内へ基礎周壁部4aの外にある土砂が流入することを防止でき、また水の流入も防止でき或いは最小限に抑えることができるものとなり、作業を容易に行うことができ、また、カッターにより基礎周壁部4aの外周囲に近接して存在する地下ケーブルや各種流体用埋設管等の埋設物に傷を付けるおそれがない。
【0069】
また、既設管2の切除する先端部分の周囲に位置する人孔3の管孔5の内壁を既設管2に沿って既設管2と同軸上に環状に切除した環状切除部11内に、筒状補助部材14の嵌合部16を嵌合し、頭部15を人孔3の内周壁面9に当接させて、筒状補助部材14を人孔3に液密に固定したので、筒状補助部材14は人孔3の周壁4と一体となり、筒状補助部材14の内周は人孔3の周壁4の管孔5の一部を構成することになる。
【0070】
そして、既設管2及び筒状補助部材14に設けられている弾性止水管状部17の内周に配置したライニング管22は、既設管2としての役割を果たし、弾性止水管状部17の内周にあるライニング管22が管孔5の一部を構成する筒状補助部材14の内周に嵌合される既設管2の代替先端部分を構成することになる。
【0071】
かかる構成から、地震が発生したときに生じる既設管2と人孔3の周壁4との動きの違いを弾性止水管状部17で吸収できる。
【0072】
即ち、既設管2と人孔3の周壁4との上下、左右方向の動きの違いは、弾性止水管状部17の肉厚方向の変形により吸収され、また、既設管2と人孔3の周壁4との軸方向の動きの違いは、弾性止水管状部17とライニング管22が接着している場合は、弾性止水管状部17の軸方向の変形により、そして弾性止水管状部17とライニング管22が圧接している場合は、弾性止水管状部17の軸方向の変形とライニング管22の軸方向のスライドにより吸収される。そして、弾性止水管状部17とライニング管22が圧接している場合、既設管2と人孔3の周壁4との軸方向の動きの違いはライニング管22の軸方向のスライドによっても吸収されるので、弾性止水管状部17の変形率が小さくても既設管2と人孔3の周壁4との軸方向の動きの違いを確実に吸収できる。
【0073】
また、既設管2と人孔3の周壁4との動きの違いが軸方向である場合、筒状補助部材14の内径は、既設管2の外径と同径或いはそれより大径となっているので、既設管2はその端部2bが筒状補助部材14内に入出することになり、既設管2の端部2bにより人孔3の周壁4や筒状補助部材14を破壊するおそれはない。
【0074】
また、既設管2と人孔3の周壁4との動きの違いが上下、左右方向である場合、管孔5内に僅かに嵌合している既設管2の端部2bが破壊して既設管と人孔の周壁とが縁切されるので、人孔3の周壁4や筒状補助部材14の破壊が防止でき、そして、既設管2の端部2bの破壊があっても、前記のようにライニング管22が既設管2としての役割を果たしているので、ライニング管22で破壊部分を十分補うことができ、既設管2としての機能を損ねるおそれはない。
【0075】
また、図3に示すように、基礎周壁部4aの管孔5に嵌合している先端部分切除後の既設管2の端部2bに、内周側から外周面に達しない範囲で切り込み13を形成すると、地震が発生し既設管2と人孔3の周壁4との動きに違いが生じたとき、既設管2の端部2bが容易に破壊することになり、既設管2の端部2bによる人孔3の周壁4や筒状補助部材14への損傷を有効に防止することができる。
【0076】
また、弾性止水管状部17の端面は、その下側略半分がインバートコンクリート12の切除部に充填した充填材24により塞がれ、上側略半分だけが開放されることになるが、本例では、充填材24が弾性材であるので、弾性止水管状部17の端面の下側略半分は弾性材からなる充填材24で塞がれることになる。この結果、弾性止水管状部17の端面の下側略半分の変形は、弾性材からなる充填材24で吸収されるので、弾性止水管状部17の端面の下側略半分も開放面と同様となり、弾性止水管状部17の変形を容易にし、これにより既設管2と人孔3の周壁4との軸方向の動きの違いをより確実に吸収することができる。
【0077】
前記のように本例では、既設管2の先端部分2aの前面のインバートコンクリート12の切除部に弾性材からなる充填材24を充填しているが、充填材24がモルタルのような硬質材であってもよく、この場合、弾性止水管状部17の端面は、その下側略半分が硬質材からなる充填材24により塞がれ、弾性止水管状部17の変形は弾性止水管状部17の端面の上側略半分だけの変形で吸収されることになる。
【0078】
また、図10に示すように、筒状補助部材14と筒状補助部材14の内周に設けた弾性止水管状部17との間に、弾性止水管状部17が筒状補助部材14から抜け出すことを防止する抜け出し防止手段19が設けられていると、地震が発生し既設管2と人孔3の周壁4との動きに違いが生じたとき、弾性止水管状部17が筒状補助部材14から抜け出すことを防止でき、止水効果を有効に維持することができる。
【0079】
また、筒状補助部材14は、頭部15を人孔3の内周壁面9に当接させて人孔3に固定したので、頭部15は人孔3の内周壁面9から突出した状態となるから、頭部15の軸方向の長さ分だけ人孔3の周壁4の管孔5が長くなることになり、その分管孔5の一部を構成する筒状補助部材14の内周に設ける弾性止水管状部17を軸方向に長く設けることができることになるので、これにより、動きの違いを弾性止水管状部17でより効果的に吸収でき、また止水効果も向上するものとなり、また、特に壁厚の薄い人孔に適するものとなる。
【0080】
また、本例では、筒状補助部材14における頭部15の軸方向の長さが、地震があったときに想定される人孔3の周壁4の管孔5内における既設管2の進退移動量を基準として設定されているので、既設管2としての役割を果たすライニング管22と人孔3の周壁4の管孔5の一部を構成する筒状補助部材14との地震により生じる動きの違いを、筒状補助部材14の内周に設けた弾性止水管状部17で確実に吸収できるものとなる。
【0081】
また、本例では、筒状補助部材14の頭部15の外形が、開口側先端に向かって順次小径となるように略円錐形状又は角錐形状に形成されているので、人孔3内に投入された汚物等の投入物が人孔3の内周壁面9から突出している筒状補助部材14の頭部に引っ掛かることを防止することができる。
【0082】
図13,図14は本発明に係る既設管人孔接続部の耐震化工法を実施する第2例を示すものであり、図13は人孔の周壁の管孔における既設管の切除した環状切除部に、内周に弾性止水管状部を設けた筒状補助部材を固定する状態を示す縦断面図、図14は人孔の周壁の管孔における既設管の切除した環状切除部に、内周に弾性止水管状部を設けた筒状補助部材を固定した状態を示す縦断面図である。
【0083】
なお、本例において、第1例と工程を同じくするところは、第1例の図面を援用して説明を省略する。
【0084】
本例の工法を実施する人孔(マンホール)は、第1例を実施する図1に示す人孔と同様であり、同図を援用して説明を省略する。
【0085】
図1に示す構造の既設管人孔接続部6に対して行う本例の耐震化工法は、先ず、人孔3の周壁4における基礎周壁部4aの管孔5に嵌合している既設管2の先端部分2aを、基礎周壁部4aの内周壁面9側から外周壁面10の近傍で外周壁面10を超えない範囲内の位置まで切除するとともに、既設管2の切除する先端部分2aの周囲に位置する基礎周壁部4aの管孔5の内壁を既設管2に沿って既設管2と同軸上に環状に切除し、環状切除部11を形成する。
【0086】
この工程は、前記した第1例と同様なので、第1例の図2及び第1例の説明を援用し、この工程の詳細な説明を省略する。
【0087】
また、本例にあっても、基礎周壁部4aの管孔5に嵌合している先端部分2aを切除した後の既設管2の端部2bに、第1例と同様に、第1例の図3に示すように内周側から外周面に達しない範囲で切り込み13を形成してもよい。
【0088】
次に、図13,図14に示すように、人孔3の内周壁面9に当接する頭部15と、環状切除部11の内径と同径或いはそれより若干小径の外径を有し環状切除部11内に嵌合可能な嵌合部16を備え、この嵌合部16の軸方向に既設管2の外径と同径或いはそれより大径の内径を有するように構成された筒状補助部材14の内周に、筒状補助部材14の内径とほぼ同径の外径と既設管2の内径とほぼ同径の内径を有する弾性変形可能な弾性止水管状部17を液密に設ける。
【0089】
筒状補助部材14の頭部15にあっては、本例も前記第1例と同様に、軸方向の長さを、地震があったときに想定される人孔3の周壁4の管孔5内における既設管2の進退移動量を基準として設定している。頭部15の軸方向の長さとして40mm以上であることが好ましい。また、頭部15の形状にあっては、外形が開口側先端に向かって順次小径となるように略円錐形状又は角錐形状に形成している。
【0090】
前記のように構成される筒状補助部材14は、コンクリート、硬質ゴム、硬質プラスチック等で形成されている。
【0091】
前記のように構成された筒状補助部材14の内周に設けられる弾性止水管状部17、この弾性止水管状部17を筒状補助部材14の内周に設ける手段、既設管2の先端と弾性止水管状部17の先端との間に目地材18を介在させること、筒状補助部材14と弾性止水管状部17の間を液密にする手段などにあっても、前記第1例と同様なので、第1例の説明を援用する。
【0092】
また、弾性止水管状部17の他例として、第1例で示した図7,図8,図9に示す弾性止水管状部17の他例を援用する。
【0093】
また、筒状補助部材14と筒状補助部材14の内周に設けた弾性止水管状部17との間には、弾性止水管状部17が筒状補助部材14から抜け出すことを防止する抜け出し防止手段19が設けられているとよく、抜け出し防止手段19として、第1例の図10に示す抜け出し防止手段19を援用する。
【0094】
このようにして内周に弾性止水管状部17を設けた筒状補助部材14の嵌合部16を環状切除部11内に嵌合し頭部15を人孔3の内周壁面9に当接させて、筒状補助部材14を人孔3に液密に固定する。この筒状補助部材14を人孔3に液密に固定する手段にあっては、シール性のある接着剤で固定する。
【0095】
次に、既設管2及び弾性止水管状部17の内周に、ライニング管22を配置する。この工程は、前記した第1例と同様なので、第1例の図11,図12及び第1例の説明を援用し、この工程の詳細な説明を省略する。
【0096】
既設管2及び弾性止水管状部17の内周に、ライニング管22を配置した後、第1例と同様に、既設管2の先端部分の切除に先立ち切除しておいた既設管2の先端部分前面のインバートコンクリート12の切除部に充填材24を充填し、更に、充填材25でライニング管22とインバートコンクリート12の段部を埋め均す。このようにして、既設管人孔接続部の耐震化工法の実施の工程が完了する。
【0097】
なお、前記既設管人孔接続部6の耐震化は、図面では、図上左側にある既設管人孔接続部6の耐震化の工程が示されているが、図上右側の既設管人孔接続部6についても、前記と同様の工程で耐震化が実施される。
【0098】
上記第2例の既設管人孔接続部の耐震化工法によれば、その作用効果は前記した第1例と同様なので、第1例の説明を援用するものであり、特に第2例では、内周に弾性止水管状部17を設けた筒状補助部材14を人孔3に液密に固定するので、弾性止水管状部17を設けた筒状補助部材14は、予め工場等で作成しておくことができることから、その分現場作業工程を減じることができることから、作業の容易性や作業時間の短縮化が図れる。
【0099】
図15乃至図18は本発明に係る既設管人孔接続部の耐震化工法を実施する第3例を示すものであり、図15は人孔の周壁の管孔における既設管の切除した環状切除部に固定した筒状補助部材の内周に筒状仮枠を設けた状態を示す縦断面図、図16は既設管及び筒状仮枠の内周にライニング管を配置した状態を示す縦断面図、図17は既設管及び筒状仮枠の内周にライニング管を配置した後、筒状仮枠を除去した状態を示す縦断面図、図18は筒状補助部材から筒状仮枠を除去した空隙に弾性止水管状部を設けた状態を示す縦断面図である。
【0100】
なお、本例において、第1例と工程を同じくするところは、第1例の図面を援用して説明を省略する。
【0101】
本例の工法を実施する人孔(マンホール)は、第1例を実施する図1に示す人孔と同様であり、同図を援用して説明を省略する。
【0102】
図1に示す構造の既設管人孔接続部6に対して行う本例の耐震化工法は、先ず、人孔3の周壁4における基礎周壁部4aの管孔5に嵌合している既設管2の先端部分2aを、基礎周壁部4aの内周壁面9側から外周壁面10の近傍で外周壁面10を超えない範囲内の位置まで切除するとともに、既設管2の切除する先端部分2aの周囲に位置する基礎周壁部4aの管孔5の内壁を既設管2に沿って既設管2と同軸上に環状に切除し、環状切除部11を形成する。
【0103】
この工程は、前記した第1例と同様なので、第1例の図2及び第1例の説明を援用し、この工程の詳細な説明を省略する。
【0104】
また、本例にあっても、基礎周壁部4aの管孔5に嵌合している先端部分切除後の既設管2の端部2bに、第1例と同様に、第1例の図3に示すように内周側から外周面に達しない範囲で切り込み13を形成してもよい。
【0105】
次に、人孔3の内周壁面9に当接する頭部15と、環状切除部11の内径と同径或いはそれより若干小径の外径を有し環状切除部11内に嵌合可能な嵌合部16を備え、この嵌合部16の軸方向に既設管2の外径と同径或いはそれより大径の内径を有するように構成された筒状補助部材14の嵌合部16を環状切除部11内に嵌合し頭部15を人孔3の内周壁面9に当接させて、筒状補助部材14を人孔3に液密に固定する。この工程は、前記した第1例と同様なので、第1例の図4,図5及び第1例の説明を援用し、この工程の詳細な説明を省略する。
【0106】
次に、図15に示すように、筒状補助部材14の内周に、筒状補助部材14の内径とほぼ同径の外径と既設管2の内径とほぼ同径の内径を有する筒状仮枠26を設ける。この筒状仮枠26は後に除去するものであり、除去を容易にするため、軸方向にスリットを形成し或いは螺旋状のスリットを形成しておくことが好ましい。
【0107】
次に、図16に示すように、既設管2及び筒状仮枠26の内周にライニング管22を配置する。この工程にあっては、前記した第1例と同様なので第1例の説明を援用し、この工程の詳細な説明を省略する。
【0108】
ライニング管22の配置にあっては、第1例の他例として示した配置例と同様に、既設管2の全長に配置するだけではなく、既設管2及び弾性止水管状部17に跨るように一部の位置に配置することができる。
【0109】
次に、図17に示すように、既設管2及び筒状仮枠26の内周にライニング管22を配置した後、筒状補助部材14内に設けた筒状仮枠26を除去し、図18に示すように、筒状補助部材14から筒状仮枠26を除去した空隙に、弾性変形可能な弾性止水管状部17を液密に設ける。筒状補助部材14から筒状仮枠26を除去した空隙に設けられる弾性止水管状部17、この弾性止水管状部17を筒状補助部材14から筒状仮枠26を除去した空隙に設ける手段、既設管2の先端と弾性止水管状部17の先端との間に目地材18を介在させること、筒状補助部材14と弾性止水管状部17の間を液密にする手段などにあっては、前記第1例と同様なので、第1例の説明を援用する。
【0110】
また、弾性止水管状部17の他例として、第1例で示した図7,図8,図9に示す弾性止水管状部17の他例を援用する。また、筒状補助部材14と筒状補助部材14の内周に設けた弾性止水管状部17との間には、弾性止水管状部17が筒状補助部材14から抜け出すことを防止する抜け出し防止手段19が設けられているとよく、抜け出し防止手段19として、第1例の図10に示す抜け出し防止手段19を援用する。更に、本例では前記した第1例に示す以外に、液状の弾性止水材を注入して固化させることにより弾性止水管状部17を形成して設けてもよい。
【0111】
このようにして、筒状補助部材14から筒状仮枠26を除去した空隙に、弾性変形可能な弾性止水管状部17を液密に設けた後、図11に示す第1例と同様に、既設管2の先端部分の切除に先立ち切除しておいた既設管2の先端部分前面のインバートコンクリート12の切除部に充填材24を充填し、更に、充填材25でライニング管22とインバートコンクリート12の段部を埋め均す。このようにして、既設管人孔接続部の耐震化工法の実施の工程が完了する。
【0112】
なお、前記既設管人孔接続部6の耐震化は、図面では、図上左側にある既設管人孔接続部6の耐震化の工程が示されているが、図上右側の既設管人孔接続部6についても、前記と同様の工程で耐震化が実施される。
【0113】
上記第3例の既設管人孔接続部の耐震化工法によれば、その作用効果は前記した第1例と同様なので、第1例の説明を援用するものであり、特に第3例では、筒状補助部材14から筒状仮枠26を除去した空隙に弾性止水管状部17を設けるので、この空隙に液状の弾性止水材を注入して固化させることにより弾性止水管状部17を形成して設けることもできる。
【0114】
図19乃至図21は本発明に係る既設管人孔接続部の耐震化工法を実施する第4例を示すものであり、図19は人孔の周壁の管孔における既設管の切除した環状切除部に固定した筒状補助部材の内周に弾性止水管状部を設けた状態を示す縦断面図、図20は筒状補助部材の内周に設けた弾性止水管状部内に鋼管を嵌合した状態を示す縦断面図、図21は既設管及び鋼管の内周にライニング管を配置した状態を示す縦断面図である。
【0115】
なお、本例において、第1例と工程を同じくするところは、第1例の図面を援用して説明を省略する。
【0116】
本例の工法を実施する人孔(マンホール)は、第1例を実施する図1に示す人孔と同様であり、同図を援用して説明を省略する。
【0117】
図1に示す構造の既設管人孔接続部6に対して行う本例の耐震化工法は、先ず、人孔3の周壁4における基礎周壁部4aの管孔5に嵌合している既設管2の先端部分2aを、基礎周壁部4aの内周壁面9側から外周壁面10の近傍で外周壁面10を超えない範囲内の位置まで切除するとともに、既設管2の切除する先端部分2aの周囲に位置する基礎周壁部4aの管孔5の内壁を既設管2に沿って既設管2と同軸上に環状に切除し、環状切除部11を形成する。
【0118】
この工程は、前記した第1例と同様なので、第1例の図2及び第1例の説明を援用し、この工程の詳細な説明を省略する。
【0119】
また、本例にあっても、基礎周壁部4aの管孔5に嵌合している先端部分切除後の既設管2の端部2bに、第1例と同様に、第1例の図3に示すように内周側から外周面に達しない範囲で切り込み13を形成してもよい。
【0120】
次に、人孔3の内周壁面9に当接する頭部15と、環状切除部11の内径と同径或いはそれより若干小径の外径を有し環状切除部11内に嵌合可能な嵌合部16を備え、この嵌合部16の軸方向に既設管2の外径と同径或いはそれより大径の内径を有するように構成された筒状補助部材14の嵌合部16を環状切除部11内に嵌合し頭部15を人孔3の内周壁面9に当接させて、筒状補助部材14を人孔3に液密に固定する。この工程は、前記した第1例と同様なので、第1例の図4,図5及び第1例の説明を援用し、この工程の詳細な説明を省略する。
【0121】
次に、図19に示すように、筒状補助部材14の内周に、筒状補助部材14の内径とほぼ同径の外径と既設管2の内径とほぼ同径の内径を有する弾性変形可能な弾性止水管状部17を液密に設ける。本例では、弾性止水管状部17の内径を既設管2の内径より若干大径としている。
【0122】
筒状補助部材14の内周に設けられる弾性止水管状部17、この弾性止水管状部17を筒状補助部材14の内周に設ける手段、既設管2の先端と弾性止水管状部17の先端との間に目地材18を介在させること、筒状補助部材14と弾性止水管状部17の間を液密にする手段などにあっては、前記第1例と同様なので、第1例の説明を援用する。
【0123】
また、弾性止水管状部17の他例として、第1例で示した図7,図8,図9に示す弾性止水管状部17の他例を援用する。また、筒状補助部材14と筒状補助部材14の内周に設けた弾性止水管状部17との間には、弾性止水管状部17が筒状補助部材14から抜け出すことを防止する抜け出し防止手段19が設けられているとよく、抜け出し防止手段19として、第1例の図10に示す抜け出し防止手段19を援用する。
【0124】
次に、図20に示すように、筒状補助部材14の内周に設けられる弾性止水管状部17内に、既設管2の内径とほぼ同径の内径を有する薄肉の鋼管27を液密に嵌合する。弾性止水管状部17と鋼管27の間を液密にする手段にあっては、鋼管27の外径を弾性止水管状部17の内径より若干大径とし、弾性止水管状部17の内周に鋼管27の外周を弾性止水管状部17の復元作用により圧接させることにより液密が図れるようにしてもよく、或いは弾性止水管状部17と鋼管27の間をシール性のある接着剤で接着してもよい。
【0125】
また、鋼管27はステンレス製が好ましい。また、鋼管27は当初から筒状に形成されていなくてもよく、図示しないが、軸方向に複数に分割しておき、弾性止水管状部17内に嵌合する際に、弾性止水管状部17内で筒状に組み立てるようにしてもよい。
【0126】
次に、図21に示すように、既設管2及び鋼管27の内周にライニング管22を配置する。この工程は、前記した第1例と同様なので、第1例の説明を援用し、この工程の詳細な説明を省略する。
【0127】
ライニング管22の配置にあっては、第1例の他例として示した配置例と同様に、既設管2の全長に配置するだけではなく、既設管2及び弾性止水管状部17に跨るように一部の位置に配置することができる。
【0128】
既設管2及び弾性止水管状部17の内周に、ライニング管22を配置した後、第1例と同様に、既設管2の先端部分の切除に先立ち切除しておいた既設管2の先端部分前面のインバートコンクリート12の切除部に充填材24を充填し、更に、充填材25でライニング管22とインバートコンクリート12の段部を埋め均す。このようにして、既設管人孔接続部の耐震化工法の実施の工程が完了する。
【0129】
なお、前記既設管人孔接続部6の耐震化は、図面では、図上左側にある既設管人孔接続部6の耐震化の工程が示されているが、図上右側の既設管人孔接続部6についても、前記と同様の工程で耐震化が実施される。
【0130】
上記第4例の既設管人孔接続部の耐震化工法によれば、その作用効果は前記した第1例と同様なので、第1例の説明を援用するものであり、特に第4例では、筒状補助部材14の内周に設けられる弾性止水管状部17内に鋼管27が設けられているので、この鋼管27とライニング管22が既設管2としての役割を果たし、鋼管27により既設管2としてとしての強度、機能をより十分に補うことがことができるものとなる。
【0131】
図22,図23は本発明に係る既設管人孔接続部の耐震化工法を実施する第5例を示すものであり、図22は人孔の周壁の管孔における既設管の切除した環状切除部に、鋼管を嵌合した弾性止水管状部を内周に設けた筒状補助部材を固定する状態を示す縦断面図、図23は人孔の周壁の管孔における既設管の切除した環状切除部に、鋼管を嵌合した弾性止水管状部を内周に設けた筒状補助部材を固定した状態を示す縦断面図である。
【0132】
なお、本例において、第1例と工程を同じくするところは、第1例の図面を援用して説明を省略する。
【0133】
本例の工法を実施する人孔(マンホール)は、第1例を実施する図1に示す人孔と同様であり、同図を援用して説明を省略する。
【0134】
図1に示す構造の既設管人孔接続部6に対して行う本例の耐震化工法は、先ず、人孔3の周壁4における基礎周壁部4aの管孔5に嵌合している既設管2の先端部分2aを、基礎周壁部4aの内周壁面9側から外周壁面10の近傍で外周壁面10を超えない範囲内の位置まで切除するとともに、既設管2の切除する先端部分2aの周囲に位置する基礎周壁部4aの管孔5の内壁を既設管2に沿って既設管2と同軸上に環状に切除し、環状切除部11を形成する。
【0135】
この工程は、前記した第1例と同様なので、第1例の図2及び第1例の説明を援用し、この工程の詳細な説明を省略する。
【0136】
また、本例にあっても、基礎周壁部4aの管孔5に嵌合している先端部分切除後の既設管2の端部2bに、第1例と同様に、第1例の図3に示すように内周側から外周面に達しない範囲で切り込み13を形成してもよい。
【0137】
次に、図22,図23に示すように、人孔3の内周壁面9に当接する頭部15と、環状切除部11の内径と同径或いはそれより若干小径の外径を有し環状切除部11内に嵌合可能な嵌合部16を備え、この嵌合部16の軸方向に既設管2の外径と同径或いはそれより大径の内径を有するように構成された筒状補助部材14の内周に、筒状補助部材14の内径とほぼ同径の外径と既設管2の内径とほぼ同径の内径を有する弾性変形可能な弾性止水管状部17を液密に設け、筒状補助部材14の内周に設けられる弾性止水管状部17内に、既設管2の内径とほぼ同径の内径を有する薄肉の鋼管27を液密に嵌合する。
【0138】
筒状補助部材14の頭部15にあっては、本例も前記第1例と同様に、軸方向の長さを、地震があったときに想定される人孔3の周壁4の管孔5内における既設管2の進退移動量を基準として設定している。頭部15の軸方向の長さとして40mm以上であることが好ましい。また、頭部15の形状にあっては、外形が開口側先端に向かって順次小径となるように略円錐形状又は角錐形状に形成している。
【0139】
前記のように構成される筒状補助部材14は、コンクリート、硬質ゴム、硬質プラスチック等で形成されている。
【0140】
前記のように構成された筒状補助部材14の内周に設けられる弾性止水管状部17、この弾性止水管状部17を筒状補助部材14の内周に設ける手段、既設管2の先端と弾性止水管状部17の先端との間に目地材18を介在させること、筒状補助部材14と弾性止水管状部17の間を液密にする手段などにあっても、前記した第1例と同様なので、第1例の説明を援用する。
【0141】
また、弾性止水管状部17の他例として、第1例で示した図7,図8,図9に示す弾性止水管状部17の他例を援用する。
【0142】
また、筒状補助部材14と筒状補助部材14の内周に設けた弾性止水管状部17との間には、弾性止水管状部17が筒状補助部材14から抜け出すことを防止する抜け出し防止手段19が設けられているとよく、抜け出し防止手段19として、第1例の図10に示す抜け出し防止手段19を援用する。
【0143】
また、筒状補助部材14の内周に設けられる弾性止水管状部17内に嵌合する鋼管27、この鋼管27を弾性止水管状部17内に嵌合する手段、弾性止水管状部17と鋼管27の間を液密にする手段などにあっては、前記した第4例と同様なので、第4例の説明を援用する。
【0144】
このようにして鋼管27を嵌合した弾性止水管状部17を内周に設けた筒状補助部材14の嵌合部16を環状切除部11内に嵌合し頭部15を人孔3の内周壁面9に当接させて、筒状補助部材14を人孔3に液密に固定する。この筒状補助部材14を人孔3に液密に固定する手段にあっては、シール性のある接着剤で固定する。
【0145】
次に、既設管2及び鋼管27の内周に、ライニング管22を配置する。この工程は、前記した第4例と同様なので、第4例の図21及び第4例の説明を援用し、この工程の詳細な説明を省略する。
【0146】
既設管2及び鋼管27の内周に、ライニング管22を配置した後、第1例と同様に、既設管2の先端部分の切除に先立ち切除しておいた既設管2の先端部分前面のインバートコンクリート12の切除部に充填材24を充填し、更に、充填材25でライニング管22とインバートコンクリート12の段部を埋め均す。このようにして、既設管人孔接続部の耐震化工法の実施の工程が完了する。
【0147】
なお、前記既設管人孔接続部6の耐震化は、図面では、図上左側にある既設管人孔接続部6の耐震化の工程が示されているが、図上右側の既設管人孔接続部6についても、前記と同様の工程で耐震化が実施される。
【0148】
上記第5例の既設管人孔接続部の耐震化工法によれば、その作用効果は前記した第4例と同様なので、第4例の説明を援用するものであり、特に第5例では、鋼管27を嵌合した弾性止水管状部17を内周に設けた筒状補助部材14を人孔3に液密に固定するので、鋼管27を嵌合した弾性止水管状部17を内周に設けた筒状補助部材14は、予め工場等で作成しておくことができることから、その分現場作業工程を減じることができることから、作業の容易性や作業時間の短縮化が図れる。
【0149】
図24,図25は本発明に係る既設管人孔接続部の耐震化工法を実施する第6例を示すものであり、図24は人孔の周壁の管孔における既設管の切除した環状切除部に固定した筒状補助部材内の弾性止水管状部の内周を通して、先端部分切除後の既設管内に鋼管の端部を嵌合する状態を示す縦断面図、図25は既設管及び鋼管の内周にライニング管を配置した状態を示す縦断面図である。
【0150】
なお、本例において、第1例と工程を同じくするところは、第1例の図面を援用して説明を省略する。
【0151】
本例の工法を実施する人孔(マンホール)は、第1例を実施する図1に示す人孔と同様であり、同図を援用して説明を省略する。
【0152】
図1に示す構造の既設管人孔接続部6に対して行う本例の耐震化工法は、図24に示すように、人孔3の周壁4の管孔5における既設管2の切除した環状切除部11に固定した筒状補助部材14内の弾性止水管状部17の内周を通して、先端部分2aを切除した後の既設管2内に鋼管27の端部を嵌合する。
【0153】
人孔3の周壁4の管孔5における既設管2の切除した環状切除部11に、内周に弾性変形可能な弾性止水管状部17を液密に設けた筒状補助部材14を液密に固定する工程は、前記した第1例の図6に示す状態までの工程及び第2例の図14に示す状態までの工程と同様であるので、第1例及び第2例の説明を援用し、この工程の詳細な説明を省略する。
【0154】
筒状補助部材14内の弾性止水管状部17の内周を通して、先端部分2aを切除した後の既設管2内にその先端を嵌合する鋼管27はステンレス製が好ましい。また、鋼管27は当初から筒状に形成されていなくてもよく、図示しないが、軸方向に複数に分割しておき、筒状補助部材14内の弾性止水管状部17の内周を通して先端部分2aを切除した後の既設管2内に鋼管27の端部を嵌合する際に筒状に組み立てるようにしてもよい。
【0155】
また、弾性止水管状部17の内周を通して既設管22内にその先端を嵌合した鋼管27は、少なくとも弾性止水管状部17との間で液密となるようにするものであり、鋼管27と弾性止水管状部17の間を液密にする手段にあっては、前記第4例と同様なので、第4例の説明を援用する。
【0156】
次に、図25に示すように、既設管2及び鋼管27の内周にライニング管22を配置する。この工程は、前記した第1例と同様なので、第1例の説明を援用し、この工程の詳細な説明を省略する。
【0157】
ライニング管22の配置にあっては、第1例の他例として示した配置例と同様に、既設管2の全長に配置するだけではなく、既設管2及び弾性止水管状部17に跨るように一部の位置に配置することができる。
【0158】
既設管2及び鋼管27の内周に、ライニング管22を配置した後、第1例と同様に、既設管2の先端部分の切除に先立ち切除しておいた既設管2の先端部分前面のインバートコンクリート12の切除部に充填材24を充填し、更に、充填材25でライニング管22とインバートコンクリート12の段部を埋め均す。このようにして、既設管人孔接続部の耐震化工法の実施の工程が完了する。
【0159】
なお、前記既設管人孔接続部6の耐震化は、図面では、図上左側にある既設管人孔接続部6の耐震化の工程が示されているが、図上右側の既設管人孔接続部6についても、前記と同様の工程で耐震化が実施される。
【0160】
上記第6例の既設管人孔接続部の耐震化工法によれば、その作用効果は前記した第4例と同様なので、第4例の説明を援用するものであり、特に第6例では、筒状補助部材14内の弾性止水管状部17の内周を通して、鋼管27の端部を先端部分2aを切除した後の既設管2内にまで嵌合しているので、この鋼管27とライニング管22が既設管2としての役割を果たし、鋼管27により既設管2としてとしての強度、機能をより一層十分に補うことがことができるものとなる。
【0161】
図26,図27は本発明に係る既設管人孔接続部の耐震化工法を実施する第7例を示すものであり、図26は人孔の周壁の管孔における既設管の切除した環状切除部に固定した筒状補助部材の内周を通して、先端部分を切除した後の既設管内に鋼管の端部を嵌合した状態を示す縦断面図、図27は鋼管と筒状補助部材との間に弾性止水管状部を設けた状態を示す縦断面図である。
【0162】
なお、本例において、第1例と工程を同じくするところは、第1例の図面を援用して説明を省略する。
【0163】
本例の工法を実施する人孔(マンホール)は、第1例を実施する図1に示す人孔と同様であり、同図を援用して説明を省略する。
【0164】
図1に示す構造の既設管人孔接続部6に対して行う本例の耐震化工法は、先ず、人孔3の周壁4における基礎周壁部4aの管孔5に嵌合している既設管2の先端部分2aを、基礎周壁部4aの内周壁面9側から外周壁面10の近傍で外周壁面10を超えない範囲内の位置まで切除するとともに、既設管2の切除する先端部分2aの周囲に位置する基礎周壁部4aの管孔5の内壁を既設管2に沿って既設管2と同軸上に環状に切除し、環状切除部11を形成する。
【0165】
この工程は、前記した第1例と同様なので、第1例の図2及び第1例の説明を援用し、この工程の詳細な説明を省略する。
【0166】
また、本例にあっても、基礎周壁部4aの管孔5に嵌合している先端部分切除後の既設管2の端部2bに、第1例と同様に、第1例の図3に示すように内周側から外周面に達しない範囲で切り込み13を形成してもよい。
【0167】
次に、人孔3の内周壁面9に当接する頭部15と、環状切除部11の内径と同径或いはそれより若干小径の外径を有し環状切除部11内に嵌合可能な嵌合部16を備え、この嵌合部16の軸方向に既設管2の外径と同径或いはそれより大径の内径を有するように構成された筒状補助部材14の嵌合部16を環状切除部11内に嵌合し頭部15を人孔3の内周壁面9に当接させて、筒状補助部材14を人孔3に液密に固定する。この工程は、前記した第1例と同様なので、第1例の図4,図5及び第1例の説明を援用し、この工程の詳細な説明を省略する。
【0168】
次に、図26に示すように、人孔3の周壁4の管孔5における既設管2の切除した環状切除部11に固定した筒状補助部材14の内周を通して、先端部分2aを切除した後の既設管2内に鋼管27の端部を嵌合する。この鋼管27はステンレス製が好ましい。また、鋼管27は当初から筒状に形成されていなくてもよく、図示しないが、軸方向に複数に分割しておき、先端部分2aを切除した後の既設管2内に鋼管27の端部を嵌合する際に筒状に組み立てるようにしてもよい。
【0169】
次に、図27に示すように、鋼管27と筒状補助部材14との間に、弾性変形可能な弾性止水管状部17を液密に設ける。
【0170】
鋼管27と筒状補助部材14との間に設ける弾性止水管状部17、この弾性止水管状部17を鋼管27と筒状補助部材14との間に設ける手段、既設管2の先端と弾性止水管状部17の先端との間に目地材18を介在させること、鋼管27及び筒状補助部材14と弾性止水管状部17の間を液密にする手段などにあっては、前記第1例及び第4例と同様なので、第1例及び第4例の説明を援用する。
【0171】
また、弾性止水管状部17の他例として、第1例で示した図7,図8,図9に示す弾性止水管状部17の他例を援用する。また、筒状補助部材14と筒状補助部材14の内周に設けた弾性止水管状部17との間には、弾性止水管状部17が筒状補助部材14から抜け出すことを防止する抜け出し防止手段19が設けられているとよく、抜け出し防止手段19として、第1例の図10に示す抜け出し防止手段19を援用する。更に、本例では前記した第1例に示す以外に、液状の弾性止水材を注入して固化させることにより弾性止水管状部17を形成して設けてもよい。
【0172】
次に、第6例の図25に示すように、既設管2及び鋼管27の内周にライニング管22を配置する。この工程は、前記した第1例と同様なので、第1例の説明を援用し、この工程の詳細な説明を省略する。
【0173】
ライニング管22の配置にあっては、第1例の他例として示した配置例と同様に、既設管2の全長に配置するだけではなく、既設管2及び弾性止水管状部17に跨るように一部の位置に配置することができる。
【0174】
既設管2及び鋼管27の内周に、ライニング管22を配置した後、第1例と同様に、既設管2の先端部分の切除に先立ち切除しておいた既設管2の先端部分前面のインバートコンクリート12の切除部に充填材24を充填し、更に、充填材25でライニング管22とインバートコンクリート12の段部を埋め均す。このようにして、既設管人孔接続部の耐震化工法の実施の工程が完了する。
【0175】
なお、前記既設管人孔接続部6の耐震化は、図面では、図上左側にある既設管人孔接続部6の耐震化の工程が示されているが、図上右側の既設管人孔接続部6についても、前記と同様の工程で耐震化が実施される。
【0176】
上記第7例の既設管人孔接続部の耐震化工法によれば、その作用効果は前記した第6例と同様なので、第6例の説明を援用するものであり、特に第7例では、鋼管27と筒状補助部材14との間に弾性止水管状部17を液密に設けるので、この空隙に液状の弾性止水材を注入して固化させることにより弾性止水管状部17を形成して設けることもできる。
【0177】
図28,図29は本発明に係る既設管人孔接続部の耐震化工法を実施する第8例を示すものであり、図28は人孔の周壁の管孔を通して、先端部分を切除した後の既設管内に鋼管の端部を嵌合し、鋼管と人孔の周壁の管孔における既設管の先端部分を切除した環状切除部との間に、弾性止水管状部を設けた筒状補助部材を固定する状態を示す縦断面図、図29は人孔の周壁の管孔を通して、先端部分を切除した後の既設管内に鋼管の端部を嵌合し、鋼管と人孔の周壁の管孔における既設管の先端部分を切除した環状切除部との間に、弾性止水管状部を設けた筒状補助部材を固定した状態を示す縦断面図である。
【0178】
なお、本例において、第1例と工程を同じくするところは、第1例の図面を援用して説明を省略する。
【0179】
本例の工法を実施する人孔(マンホール)は、第1例を実施する図1に示す人孔と同様であり、同図を援用して説明を省略する。
【0180】
図1に示す構造の既設管人孔接続部6に対して行う本例の耐震化工法は、先ず、人孔3の周壁4における基礎周壁部4aの管孔5に嵌合している既設管2の先端部分2aを、基礎周壁部4aの内周壁面9側から外周壁面10の近傍で外周壁面10を超えない範囲内の位置まで切除するとともに、既設管2の切除する先端部分2aの周囲に位置する基礎周壁部4aの管孔5の内壁を既設管2に沿って既設管2と同軸上に環状に切除し、環状切除部12を形成する。
【0181】
この工程は、前記した第1例と同様なので、第1例の図2及び第1例の説明を援用し、この工程の詳細な説明を省略する。
【0182】
また、本例にあっても、基礎周壁部4aの管孔5に嵌合している先端部分2aを切除した後の既設管2の端部2bに、第1例と同様に、第1例の図3に示すように内周側から外周面に達しない範囲で切り込み13を形成してもよい。
【0183】
次に、図28,図29に示すように、人孔3の周壁4の管孔5を通して、先端部分2aを切除した後の既設管2内に薄肉の鋼管27の端部を嵌合する。この鋼管27はステンレス製が好ましい。また、鋼管27は当初から筒状に形成されていなくてもよく、図示しないが、軸方向に複数に分割しておき、管孔5を通して先端部分2aを切除した後の既設管2内に鋼管27の端部を嵌合する際に筒状に組み立てるようにしてもよい。
【0184】
そして、人孔3の内周壁面9に当接する頭部15と、環状切除部11の内径と同径或いはそれより若干小径の外径を有し環状切除部11内に嵌合可能な嵌合部16を備え、この嵌合部16の軸方向に既設管2の外径と同径或いはそれより大径の内径を有するように構成された筒状補助部材14の内周に、筒状補助部材14の内径とほぼ同径の外径と既設管2の内径とほぼ同径の内径を有する弾性変形可能な弾性止水管状部17を液密に設け、このように構成した弾性止水管状部17を設けた筒状補助部材14を鋼管27と人孔3の周壁4の管孔5における既設管2の先端部分2aを切除した環状切除部11との間に液密に固定する。
【0185】
筒状補助部材14の頭部15にあっては、本例も前記第1例と同様に、軸方向の長さを、地震があったときに想定される人孔3の周壁4の管孔5内における既設管2の進退移動量を基準として設定している。頭部15の軸方向の長さとして40mm以上であることが好ましい。また、頭部15の形状にあっては、外形が開口側先端に向かって順次小径となるように略円錐形状又は角錐形状に形成している。
【0186】
前記のように構成される筒状補助部材14は、コンクリート、硬質ゴム、硬質プラスチック等で形成されている。
【0187】
前記のように構成された筒状補助部材14の内周に設けられる弾性止水管状部17、この弾性止水管状部17を筒状補助部材14の内周に設ける手段、既設管2の先端と弾性止水管状部17の先端との間に目地材18を介在させること、筒状補助部材14と弾性止水管状部17の間を液密にする手段などにあっても、前記第1例と同様なので、第1例の説明を援用する。
【0188】
また、弾性止水管状部17の他例として、第1例で示した図7,図8,図9に示す弾性止水管状部17の他例を援用する。
【0189】
また、筒状補助部材14と筒状補助部材14の内周に設けた弾性止水管状部17との間には、弾性止水管状部17が筒状補助部材14から抜け出すことを防止する抜け出し防止手段19が設けられているとよく、抜け出し防止手段19として、第1例の図10に示す抜け出し防止手段19を援用する。
【0190】
鋼管27と環状切除部11との間への弾性止水管状部17を設けた筒状補助部材14の固定にあっては、筒状補助部材14の嵌合部16を環状切除部11内に嵌合し頭部15を人孔3の内周壁面9に当接させて固定する。この筒状補助部材14を人孔3に液密に固定する手段にあっては、シール性のある接着剤で固定する。
【0191】
次に、第6例の図25に示すように、既設管2及び鋼管27の内周にライニング管22を配置する。この工程は、前記した第1例と同様なので、第1例の説明を援用し、この工程の詳細な説明を省略する。
【0192】
ライニング管22の配置にあっては、第1例の他例として示した配置例と同様に、既設管2の全長に配置するだけではなく、既設管2及び弾性止水管状部17に跨るように一部の位置に配置することができる。
【0193】
既設管2及び鋼管27の内周に、ライニング管22を配置した後、第1例と同様に、既設管2の先端部分の切除に先立ち切除しておいた既設管2の先端部分前面のインバートコンクリート12の切除部に充填材24を充填し、更に、充填材25でライニング管22とインバートコンクリート12の段部を埋め均す。このようにして、既設管人孔接続部の耐震化工法の実施の工程が完了する。
【0194】
なお、前記既設管人孔接続部6の耐震化は、図面では、図上左側にある既設管人孔接続部6の耐震化の工程が示されているが、図上右側の既設管人孔接続部6についても、前記と同様の工程で耐震化が実施される。
【0195】
上記第8例の既設管人孔接続部の耐震化工法によれば、その作用効果は前記した第6例と同様なので、第6例の説明を援用するものであり、特に第8例では内周に弾性止水管状部17を設けた筒状補助部材14を人孔3に液密に固定するので、弾性止水管状部17を設けた筒状補助部材14は、予め工場等で作成しておくことができることから、その分現場作業工程を減じることができることから、作業の容易性や作業時間の短縮化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0196】
【図1】本発明に係る既設管人孔接続部の耐震化工法の実施の第1例の工程で、工事前の状態を示す縦断面図である。
【図2】本発明に係る既設管人孔接続部の耐震化工法の実施の第1例の工程で、人孔の周壁の管孔に嵌合している既設管の先端部分を切除し環状切除部を形成した状態を示す縦断面図である。
【図3】第1例の工程で、人孔の周壁の管孔に嵌合している既設管の先端部分を切除し環状切除部を形成した状態の他例を示す縦断面図である。
【図4】第1例の工程で、人孔の周壁の管孔における既設管の切除した環状切除部に筒状補助部材を固定する状態を示す縦断面図である。
【図5】第1例の工程で、人孔の周壁の管孔における既設管の切除した環状切除部に筒状補助部材を固定した状態を示す縦断面図である。
【図6】第1例の工程で、筒状補助部材の内周に弾性止水管状部を設けた状態を示す縦断面図である。
【図7】第1例の工程で、弾性止水管状部の他例を示す拡大断面図である。
【図8】第1例の工程で、弾性止水管状部の他例を示す拡大断面図である。
【図9】第1例の工程で、弾性止水管状部の他例を示す拡大断面図である。
【図10】第1例の工程で、筒状補助部材と弾性止水管状部との間に設けた抜け出し防止手段を示す拡大断面図である。
【図11】第1例の工程で、既設管及び弾性止水管状部の内周にライニング管を配置した状態を示す縦断面図である。
【図12】第1例の工程で、ライニング管の他例を示す縦断面図である。
【図13】本発明に係る既設管人孔接続部の耐震化工法の実施の第2例の工程で、人孔の周壁の管孔における既設管の切除した環状切除部に、内周に弾性止水管状部を設けた筒状補助部材を固定する状態を示す縦断面図である。
【図14】第2例の工程で、人孔の周壁の管孔における既設管の切除した環状切除部に、内周に弾性止水管状部を設けた筒状補助部材を固定した状態を示す縦断面図である。
【図15】第3例の工程で、人孔の周壁の管孔における既設管の切除した環状切除部に固定した筒状補助部材の内周に筒状仮枠を設けた状態を示す縦断面図である。
【図16】第3例の工程で、既設管及び筒状仮枠の内周にライニング管を配置した状態を示す縦断面図である。
【図17】第3例の工程で、既設管及び筒状仮枠の内周にライニング管を配置した後、筒状仮枠を除去した状態を示す縦断面図である。
【図18】第3例の工程で、筒状補助部材から筒状仮枠を除去した空隙に弾性止水管状部を設けた状態を示す縦断面図である。
【図19】本発明に係る既設管人孔接続部の耐震化工法の実施の第4例の工程で、人孔の周壁の管孔における既設管の切除した環状切除部に固定した筒状補助部材の内周に弾性止水管状部を設けた状態を示す縦断面図である。
【図20】第4例の工程で、筒状補助部材の内周に設けた弾性止水管状部内に鋼管を嵌合した状態を示す縦断面図である。
【図21】第4例の工程で、既設管及び鋼管の内周にライニング管を配置した状態を示す縦断面図である。
【図22】本発明に係る既設管人孔接続部の耐震化工法の実施の第5例の工程で、人孔の周壁の管孔における既設管の切除した環状切除部に、鋼管を嵌合した弾性止水管状部を内周に設けた筒状補助部材を固定する状態を示す縦断面図である。
【図23】第5例の工程で、人孔の周壁の管孔における既設管の切除した環状切除部に、鋼管を嵌合した弾性止水管状部を内周に設けた筒状補助部材を固定した状態を示す縦断面図である。
【図24】本発明に係る既設管人孔接続部の耐震化工法の実施の第6例の工程で、人孔の周壁の管孔における既設管の切除した環状切除部に固定した筒状補助部材内の弾性止水管状部の内周を通して、先端部分切除後の既設管内に鋼管の端部を嵌合する状態を示す縦断面図である。
【図25】第6例の工程で、既設管及び鋼管の内周にライニング管を配置した状態を示す縦断面図である。
【図26】本発明に係る既設管人孔接続部の耐震化工法の実施の第7例の工程で、人孔の周壁の管孔における既設管の切除した環状切除部に固定した筒状補助部材の内周を通して、先端部分を切除した後の既設管内に鋼管の端部を嵌合した状態を示す縦断面図である。
【図27】第7例の工程で、鋼管と筒状補助部材との間に弾性止水管状部を設けた状態を示す縦断面図である。
【図28】本発明に係る既設管人孔接続部の耐震化工法の実施の第8例の工程で、人孔の周壁の管孔を通して、先端部分を切除した後の既設管内に鋼管の端部を嵌合し、鋼管と人孔の周壁の管孔における既設管の先端部分を切除した環状切除部との間に、弾性止水管状部を設けた筒状補助部材を固定する状態を示す縦断面図である。
【図29】第8例の工程で、人孔の周壁の管孔を通して、先端部分を切除した後の既設管内に鋼管の端部を嵌合し、鋼管と人孔の周壁の管孔における既設管の先端部分を切除した環状切除部との間に、弾性止水管状部を設けた筒状補助部材を固定した状態を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0197】
1 地盤
2 既設管
2a 先端部分
2b 端部
3 人孔
4 周壁
4a 基礎周壁部
4b 成型周壁部
5 管孔
6 既設管人孔接続部
7 開口部
8 蓋
9 内周壁面
10 外周壁面
11 環状切除部
12 インバートコンクリート
13 切り込み
14 筒状補助部材
15 頭部
16 嵌合部
17 弾性止水管状部
17a 凹部
17b 凸部
18 目地材
19 抜け出し防止手段
20 環状溝
21 環状凸部
22 ライニング管
23 筒状ライニング材
23a シート状ライニング材
24,25 充填材
26 筒状仮枠
27 鋼管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
既設管が人孔の周壁の管孔に嵌合して接続されている既設管人孔接続部の耐震化を図る既設管人孔接続部の耐震化工法であって、
前記人孔の周壁の前記管孔に嵌合している前記既設管の先端部分を、前記人孔の周壁の内周壁面側から前記周壁の外周壁面の近傍で外周壁面を超えない範囲内の位置まで切除するとともに、前記既設管の切除する先端部分の周囲に位置する前記人孔の管孔の内壁を前記既設管に沿って前記既設管と同軸上に環状に切除し環状切除部を形成する工程と、
前記人孔の内周壁面に当接する頭部と、前記環状切除部の内径と同径或いはそれより若干小径の外径を有し前記環状切除部内に嵌合可能な嵌合部を備え、この嵌合部の軸方向に前記既設管の外径と同径或いはそれより大径の内径を有するように構成された筒状補助部材の前記嵌合部を前記環状切除部内に嵌合し前記頭部を前記人孔の内周壁面に当接させて、前記筒状補助部材を前記人孔に液密に固定する工程と、
前記筒状補助部材の内周に、前記筒状補助部材の内径とほぼ同径の外径と前記既設管の内径とほぼ同径の内径を有する弾性変形可能な弾性止水管状部を液密に設ける工程と、
前記既設管及び前記弾性止水管状部の内周にライニング管を配置する工程とを含むことを特徴とする既設管人孔接続部の耐震化工法。
【請求項2】
既設管が人孔の周壁の管孔に嵌合して接続されている既設管人孔接続部の耐震化を図る既設管人孔接続部の耐震化工法であって、
前記人孔の周壁の前記管孔に嵌合している前記既設管の先端部分を、前記人孔の周壁の内周壁面側から前記周壁の外周壁面の近傍で外周壁面を超えない範囲内の位置まで切除するとともに、前記既設管の切除する先端部分の周囲に位置する前記人孔の管孔の内壁を前記既設管に沿って前記既設管と同軸上に環状に切除し環状切除部を形成する工程と、
前記人孔の内周壁面に当接する頭部と、前記環状切除部の内径と同径或いはそれより若干小径の外径を有し前記環状切除部内に嵌合可能な嵌合部を備え、この嵌合部の軸方向に前記既設管の外径と同径或いはそれより大径の内径を有するように構成された筒状補助部材の内周に、前記筒状補助部材の内径とほぼ同径の外径と前記既設管の内径とほぼ同径の内径を有する弾性変形可能な弾性止水管状部を液密に設ける工程と、
前記筒状補助部材の前記嵌合部を前記環状切除部内に嵌合し前記頭部を前記人孔の内周壁面に当接させて、前記筒状補助部材を前記人孔に液密に固定する工程と、
前記既設管及び前記弾性止水管状部の内周にライニング管を配置する工程とを含むことを特徴とする既設管人孔接続部の耐震化工法。
【請求項3】
既設管が人孔の周壁の管孔に嵌合して接続されている既設管人孔接続部の耐震化を図る既設管人孔接続部の耐震化工法であって、
前記人孔の周壁の前記管孔に嵌合している前記既設管の先端部分を、前記人孔の周壁の内周壁面側から前記周壁の外周壁面の近傍で外周壁面を超えない範囲内の位置まで切除するとともに、前記既設管の切除する先端部分の周囲に位置する前記人孔の管孔の内壁を前記既設管に沿って前記既設管と同軸上に環状に切除し環状切除部を形成する工程と、
前記人孔の内周壁面に当接する頭部と、前記環状切除部の内径と同径或いはそれより若干小径の外径を有し前記環状切除部内に嵌合可能な嵌合部を備え、この嵌合部の軸方向に前記既設管の外径と同径或いはそれより大径の内径を有するように構成された筒状補助部材の前記嵌合部を前記環状切除部内に嵌合し前記頭部を前記人孔の内周壁面に当接させて、前記筒状補助部材を前記人孔に液密に固定する工程と、
前記筒状補助部材の内周に、前記筒状補助部材の内径とほぼ同径の外径と前記既設管の内径とほぼ同径の内径を有する筒状仮枠を設ける工程と、
前記既設管及び前記筒状仮枠の内周にライニング管を配置する工程と、
前記既設管及び前記筒状仮枠の内周にライニング管を配置した後、前記筒状補助部材内に設けた筒状仮枠を除去する工程と、
前記筒状補助部材から前記筒状仮枠を除去した空隙に、弾性変形可能な弾性止水管状部を液密に設ける工程とを含むことを特徴とする既設管人孔接続部の耐震化工法。
【請求項4】
既設管が人孔の周壁の管孔に嵌合して接続されている既設管人孔接続部の耐震化を図る既設管人孔接続部の耐震化工法であって、
前記人孔の周壁の前記管孔に嵌合している前記既設管の先端部分を、前記人孔の周壁の内周壁面側から前記周壁の外周壁面の近傍で外周壁面を超えない範囲内の位置まで切除するとともに、前記既設管の切除する先端部分の周囲に位置する前記人孔の管孔の内壁を前記既設管に沿って前記既設管と同軸上に環状に切除し環状切除部を形成する工程と、
前記人孔の内周壁面に当接する頭部と、前記環状切除部の内径と同径或いはそれより若干小径の外径を有し前記環状切除部内に嵌合可能な嵌合部を備え、この嵌合部の軸方向に前記既設管の外径と同径或いはそれより大径の内径を有するように構成された筒状補助部材の前記嵌合部を前記環状切除部内に嵌合し前記頭部を前記人孔の内周壁面に当接させて、前記筒状補助部材を前記人孔に液密に固定する工程と、
前記筒状補助部材の内周に、前記筒状補助部材の内径とほぼ同径の外径と前記既設管の内径とほぼ同径の内径を有する弾性変形可能な弾性止水管状部を液密に設ける工程と、
前記弾性止水管状部内に、前記既設管の内径とほぼ同径の内径を有する鋼管を液密に嵌合する工程と、
前記既設管及び前記鋼管の内周にライニング管を配置する工程とを含むことを特徴とする既設管人孔接続部の耐震化工法。
【請求項5】
既設管が人孔の周壁の管孔に嵌合して接続されている既設管人孔接続部の耐震化を図る既設管人孔接続部の耐震化工法であって、
前記人孔の周壁の前記管孔に嵌合している前記既設管の先端部分を、前記人孔の周壁の内周壁面側から前記周壁の外周壁面の近傍で外周壁面を超えない範囲内の位置まで切除するとともに、前記既設管の切除する先端部分の周囲に位置する前記人孔の管孔の内壁を前記既設管に沿って前記既設管と同軸上に環状に切除し環状切除部を形成する工程と、
前記人孔の内周壁面に当接する頭部と、前記環状切除部の内径と同径或いはそれより若干小径の外径を有し前記環状切除部内に嵌合可能な嵌合部を備え、この嵌合部の軸方向に前記既設管の外径と同径或いはそれより大径の内径を有するように構成された筒状補助部材の内周に、前記筒状補助部材の内径とほぼ同径の外径と前記既設管の内径とほぼ同径の内径を有する弾性変形可能な弾性止水管状部を液密に設け、前記弾性止水管状部内に、前記既設管の内径とほぼ同径の内径を有する鋼管を液密に嵌合する工程と、
前記筒状補助部材の前記嵌合部を前記環状切除部内に嵌合し前記頭部を前記人孔の内周壁面に当接させて、前記筒状補助部材を前記人孔に液密に固定する工程と、
前記既設管及び前記鋼管の内周にライニング管を配置する工程とを含むことを特徴とする既設管人孔接続部の耐震化工法。
【請求項6】
既設管が人孔の周壁の管孔に嵌合して接続されている既設管人孔接続部の耐震化を図る既設管人孔接続部の耐震化工法であって、
前記人孔の周壁の前記管孔に嵌合している前記既設管の先端部分を、前記人孔の周壁の内周壁面側から前記周壁の外周壁面の近傍で外周壁面を超えない範囲内の位置まで切除するとともに、前記既設管の切除する先端部分の周囲に位置する前記人孔の管孔の内壁を前記既設管に沿って前記既設管と同軸上に環状に切除し環状切除部を形成する工程と、
前記人孔の内周壁面に当接する頭部と、前記環状切除部の内径と同径或いはそれより若干小径の外径を有し前記環状切除部内に嵌合可能な嵌合部を備え、この嵌合部の軸方向に前記既設管の外径と同径或いはそれより大径の内径を有するように構成された筒状補助部材の前記嵌合部を前記環状切除部内に嵌合し前記頭部を前記人孔の内周壁面に当接させて、前記筒状補助部材を前記人孔に液密に固定する工程と、
前記筒状補助部材の内周に、前記筒状補助部材の内径とほぼ同径の外径と前記既設管の内径とほぼ同径の内径を有する弾性変形可能な弾性止水管状部を液密に設ける工程と、
前記弾性止水管状部の内周を通して、前記先端部分切除後の既設管内に鋼管の先端部分を、少なくとも前記弾性止水管状部との間で液密となるように嵌合する工程と、
前記既設管及び前記鋼管の内周にライニング管を配置する工程とを含むことを特徴とする既設管人孔接続部の耐震化工法。
【請求項7】
既設管が人孔の周壁の管孔に嵌合して接続されている既設管人孔接続部の耐震化を図る既設管人孔接続部の耐震化工法であって、
前記人孔の周壁の前記管孔に嵌合している前記既設管の先端部分を、前記人孔の周壁の内周壁面側から前記周壁の外周壁面の近傍で外周壁面を超えない範囲内の位置まで切除するとともに、前記既設管の切除する先端部分の周囲に位置する前記人孔の管孔の内壁を前記既設管に沿って前記既設管と同軸上に環状に切除し環状切除部を形成する工程と、
前記人孔の内周壁面に当接する頭部と、前記環状切除部の内径と同径或いはそれより若干小径の外径を有し前記環状切除部内に嵌合可能な嵌合部を備え、この嵌合部の軸方向に前記既設管の外径と同径或いはそれより大径の内径を有するように構成された筒状補助部材の内周に、前記筒状補助部材の内径とほぼ同径の外径と前記既設管の内径とほぼ同径の内径を有する弾性変形可能な弾性止水管状部を液密に設ける工程と、
前記筒状補助部材の前記嵌合部を前記環状切除部内に嵌合し前記頭部を前記人孔の内周壁面に当接させて、前記筒状補助部材を前記人孔に液密に固定する工程と、
前記弾性止水管状部の内周を通して、前記先端部分切除後の既設管内に鋼管の先端部分を、少なくとも前記弾性止水管状部との間で液密となるように嵌合する工程と、
前記既設管及び前記鋼管の内周にライニング管を配置する工程とを含むことを特徴とする既設管人孔接続部の耐震化工法。
【請求項8】
既設管が人孔の周壁の管孔に嵌合して接続されている既設管人孔接続部の耐震化を図る既設管人孔接続部の耐震化工法であって、
前記人孔の周壁の前記管孔に嵌合している前記既設管の先端部分を、前記人孔の周壁の内周壁面側から前記周壁の外周壁面の近傍で外周壁面を超えない範囲内の位置まで切除するとともに、前記既設管の切除する先端部分の周囲に位置する前記人孔の管孔の内壁を前記既設管に沿って前記既設管と同軸上に環状に切除し環状切除部を形成する工程と、
前記人孔の内周壁面に当接する頭部と、前記環状切除部の内径と同径或いはそれより若干小径の外径を有し前記環状切除部内に嵌合可能な嵌合部を備え、この嵌合部の軸方向に前記既設管の外径と同径或いはそれより大径の内径を有するように構成された筒状補助部材の前記嵌合部を前記環状切除部内に嵌合し前記頭部を前記人孔の内周壁面に当接させて、前記筒状補助部材を前記人孔に液密に固定する工程と、
前記人孔の周壁の前記管孔を通して、前記先端部分切除後の既設管内に鋼管の先端部分を嵌合する工程と、
前記鋼管と前記筒状補助部材との間に、弾性変形可能な弾性止水管状部を液密に設ける工程と、
前記既設管及び前記鋼管の内周にライニング管を配置する工程とを含むことを特徴とする既設管人孔接続部の耐震化工法。
【請求項9】
既設管が人孔の周壁の管孔に嵌合して接続されている既設管人孔接続部の耐震化を図る既設管人孔接続部の耐震化工法であって、
前記人孔の周壁の前記管孔に嵌合している前記既設管の先端部分を、前記人孔の周壁の内周壁面側から前記周壁の外周壁面の近傍で外周壁面を超えない範囲内の位置まで切除するとともに、前記既設管の切除する先端部分の周囲に位置する前記人孔の管孔の内壁を前記既設管に沿って前記既設管と同軸上に環状に切除し環状切除部を形成する工程と、
前記人孔の周壁の前記管孔を通して、前記先端部分切除後の既設管内に鋼管の先端部分を嵌合する工程と、
前記人孔の内周壁面に当接する頭部と、前記環状切除部の内径と同径或いはそれより若干小径の外径を有し前記環状切除部内に嵌合可能な嵌合部を備え、この嵌合部の軸方向に前記既設管の外径と同径或いはそれより大径の内径を有するように構成された筒状補助部材の内周に、前記筒状補助部材の内径とほぼ同径の外径と前記既設管の内径と同径或いはそれより若干大径の内径を有する弾性変形可能な弾性止水管状部を液密に設ける工程と、
前記筒状補助部材の内周に設けた弾性止水管状部を前記鋼管の外周に嵌合させるようにして前記筒状補助部材の前記嵌合部を前記環状切除部内に嵌合し前記頭部を前記人孔の内周壁面に当接させて、前記筒状補助部材を前記人孔に液密に固定する工程と、
前記既設管及び前記鋼管の内周にライニング管を配置する工程とを含むことを特徴とする既設管人孔接続部の耐震化工法。
【請求項10】
前記端部切除後の既設管の先端部に、内周側から外周面に達しない範囲で切り込みを形成する工程を含むことを特徴とする請求項1乃至9の何れかに記載の既設管人孔接続部の耐震化工法。
【請求項11】
前記筒状補助部材の頭部にあっては、軸方向の長さが、地震があったときに想定される前記人孔の周壁の管孔内における前記既設管の進退移動量を基準として設定されていることを特徴とする請求項1乃至10の何れかに記載の既設管人孔接続部の耐震化工法。
【請求項12】
前記筒状補助部材の頭部にあっては、外径が開放側先端に向かって順次小径となるように略円錐形状又は角錐形状に形成されていることを特徴とする請求項1乃至11の何れかに記載の既設管人孔接続部の耐震化工法。
【請求項13】
前記筒状補助部材の頭部と前記筒状補助部材の内周に設けた前記弾性変形可能との間には、前記弾性止水管状部が前記頭部から抜け出すことを防止する抜け出し防止手段が設けられていることを特徴とする請求項1乃至12の何れかに記載の既設管人孔接続部の耐震化工法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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