説明

昆虫成長レギュレーターを含有する高濃度局所殺虫剤

安全に使用でき、かつ通常の局所殺虫剤の多くの共通の有害な副作用を回避できる局所殺虫剤を提供する。本殺虫剤は、ノミ、ノミの幼虫及びノミの卵を殺すために有効な殺虫剤と昆虫成長レギュレーター(IGR)を含む。N-オクチルピロリドン及び/又はN-メチルピロリドンを含有する溶媒に殺虫性の(テトラヒドロ-3-フラニル)メチルアミノ誘導体と昆虫成長レギュレーター(IGR)を溶かすことによって殺虫剤を調製してIGR成分の溶解力を高め、その結果として高い殺虫活性を有する殺虫剤を提供する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔関連出願の相互参照〕
この出願は、2006年4月28日提出の米国仮出願第60/795,674号の利益を主張する。上記出願の優先権を主張し、該出願は参照によって本明細書に取り込まれる。
【0002】
〔発明の背景〕
本発明は、一般的に殺虫剤、さらに詳細には、局所殺虫剤、例えばネコ及びイヌ等の室内ペットに使うのに好適な局所殺虫剤に関する。
動物のノミによる侵入は非常に望ましくない。従って、家畜及びペットに局所殺虫剤と内部殺虫剤の両方を投与することが一般的になってきた。局所的に使用する場合、多くの殺虫剤が許容可能に安全であるが、内部的に使用する場合はそうでないという点で局所投与が望ましいだろう。
種々の局所殺虫剤は欠点を有する。場合によっては動物に大量投与が必要である。これはかなりの混乱を引き起こし、不快臭をもたらしうる。また、動物が室内ペットの場合、殺虫剤がヒトとの接触に安全でなければならないという点でさらに厄介な問題がある。殺虫剤は家具、カーペット等の染色をも招来すべきでない。最後に、安全だとしても、室内ペット用の局所殺虫剤は刺激性であるか又は発疹、脱毛を引き起こすべきでなく、或いは他の不快な副作用を示すべきでない。
従って、先行技術の欠点を克服する改良された局所殺虫剤を提供することが望ましい。
【0003】
〔発明の概要〕
一般的に、本発明により、昆虫成長レギュレーターと共に殺虫剤を含む局所殺虫剤が提供される。これらの成分は、有利には、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、獣脂アルキルトリメチルアンモニウムクロリド、又はオレイルジメチルアンモニウムクロリド等の四級アンモニウム塩を含有する溶液に高濃度に溶解する。本発明の殺虫製剤は安全に使用でき、かつ通常の局所殺虫剤の多くの共通の有害な副作用を回避することができる。従って、先行技術の欠点を克服する、改良された局所殺虫剤、殺虫剤の調製方法及び殺虫剤で昆虫侵入を制御する方法を提供する。
本発明は、ノミ、ノミの卵、及びノミの幼虫を殺すために好都合に有効である、殺虫剤と昆虫成長レギュレーターを含む局所殺虫剤を提供する。殺虫剤成分は、好ましくは殺虫性の(テトラヒドロ-3-フラニル)メチルアミン誘導体又はクロロニコチニル系殺虫剤を含む。本殺虫剤は、有利には溶媒成分に昆虫成長レギュレーター(IGR)をも含む。有利な溶媒溶液として、水、乳酸エチル及び/又は四級アンモニウム塩を含むものが挙げられる。四級アンモニウム塩は、好ましくは疎水性アンモニウム塩、例えばオレイルジメチルアンモニウムクロリド、獣脂アルキルトリメチルアンモニウムクロリド、及びオレイルジメチルアンモニウムクロリドである。
【0004】
多数の炭素原子、好ましくは約16以上の炭素原子を有する塩化アンモニウムが、より好ましい溶媒系をもたらすことが判った。本発明の好ましい実施形態では、溶媒成分は、有利には、該塩のない溶媒中のIGRの溶解力に比べてIGRの溶解力を高めるのに十分な量の塩を含む。溶媒系の成分の選択は殺虫剤と昆虫成長レギュレーターの高い溶解度を考慮し、その結果として高い殺虫活性を有する殺虫剤を与える。
本発明の好ましい実施形態の活性成分及び殺虫剤は、一般的に結晶及び他の固体として利用できる。動物に局所スポット製品として使うため、これらの活性成分を溶かすか又は他のやり方で液体形態(例えば、混合物、エマルション、スラリー等)にすることが有利であることを究明した。投与する液体の量を最小限にできれば、局所スポット製品はさらに有利である。これは、所望の殺虫効果を果たすために妥当な用量に対する要求と釣り合いを取らなければならない。従って、高濃度の殺虫剤の可溶化を許容する溶媒を使うことが望ましい。
本発明の好ましい実施形態では、殺虫剤は1-{(テトラヒドロ-3-フラニル)メチル}-2-ニトロ-3-メチルグアニジン(ジノテフラン)を含み、かつIGRはピリプロキシフェン及び/又はメトプレンを含む。本発明の別の好ましい実施形態では、殺虫剤はクロロニコチニル系殺虫剤、好ましくはアセタミプリド(acetamiprid)、イミダクロプリド(imidacloprid)、ニテンピラム(nitenpyram)又はクロチアニジン(clothianidin)を含み、かつIGRはピリプロキシフェン(pyriproxfen)及び/又はメトプレン(methoprene)を含む。
ジノテフランは成虫ノミを殺す殺虫剤であり、ピリプロキシフェンとメトプレンは、ノミの幼虫を殺し、かつノミの卵が孵化するのを妨げる昆虫成長レギュレーターである。従って、動物上に生存するノミの約5%だけが成虫で、他の95%は幼若状態(卵及び幼虫)なので、アセタミプリド又はジノテフラン等の殺虫剤とピリプロキシフェン又はメトプレン等のIGRとの組合せが有効なノミ制御システムを提供する。
ジノテフラン及びピリプロキシフェンは、それぞれ親水性及び親油性である。高濃度のジノテフランの可溶化を与える溶媒系は、典型的にピリプロキシフェンを可溶化できないだろう。しかし、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、獣脂アルキルトリメチルアンモニウムクロリド及びオレイルジメチルアンモニウムクロリド等の四級アンモニウム塩を添加すると、有効量のピリプロキシフェンを可溶化できることを究明した。さらに、アンモニウム塩は、製剤のエマルション化を阻止するのを助けることができる。このことは、有利には、高い殺虫活性の殺虫剤を生じさせる。
従って、本発明の目的は、改良された局所殺虫剤を提供することである。
本発明の別の目的は、昆虫侵入を制御する方法を提供することである。
本発明の別の目的は、他の殺虫剤より迅速及び/又は持続的に働き、及び/又は少ない総量の殺虫剤の適用でよい、局所殺虫剤を提供することである。
本発明の別の目的は、殺虫剤の改良された製造方法を提供することである。
他の目的及び特徴は、部分的に明らかになり、かつ部分的に指摘されるだろう。
【0005】
〔好ましい実施形態の詳細な説明〕
本発明により、ノミ、ノミの卵、及びノミの幼虫を殺すために有効な殺虫剤と昆虫成長レギュレーターの組合せを含む局所殺虫製剤が提供される。成虫ノミに対して有効な殺虫剤を、ノミの卵と幼虫に対して有効な昆虫成長レギュレーターと併用することによって、非常に有効な殺虫製剤をもたらす。
本発明の1つの好ましい実施形態では、殺虫性の(テトラヒドロ-3-フラニル)メチルアミン誘導体と昆虫成長レギュレーター(IGR)を、水、乳酸エチル及び四級アンモニウム塩を含む溶媒成分に溶かすことによって殺虫剤を調製する。溶媒成分は、四級アンモニウム塩がない溶媒中のIGRの溶解力に比べてIGRの溶解力を高め、かつ四級アンモニウム塩がない殺虫剤の効力に比べて殺虫剤の効力を高めるのに十分な量の四級アンモニウム塩を含む。
本発明の好ましい実施形態では、殺虫製剤の活性成分は、ニトロ-メチレン基、ニトロアミノ基又はシアノアミノ基を有するアミン誘導体であり、低毒性と優れた殺虫活性を有する製剤を調製することができる。本発明の好ましい実施形態の殺虫剤の活性成分及びその製造方法は、米国特許第5,532,365号;第5,434,181号;第6,867,223号;第6,984,662号及び第7,132,448号に記載されており、これらの特許の内容は、参照によって本明細書に取り込まれる。
本発明の別の好ましい実施形態では、殺虫剤は、下記式(1)の殺虫性の(テトラヒドロ-3-フラニル)メチルアミン誘導体を含む。式(1)の(テトラヒドロ-3-フラニル)メチルアミン誘導体は、その分子構造中にピリジルメチル基又はチアゾリルメチル基が存在しない場合でさえ優れた殺虫活性を有する。
【0006】
【化1】

【0007】
(式中、X1、X2、X3、X4、X5、X6及びX7は、それぞれ水素原子又は1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を表し;R1は、水素原子、1〜5個の炭素原子を有するアルキル基、3個の炭素原子を有するアルケニル基、ベンジル基、2〜4個の炭素原子(その全基中に)を有するアルコキシアルキル基、1〜3個の炭素原子を有するアルキルオキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、1〜6個の炭素原子を有するアルキルカルボニル基、2〜3個の炭素原子を有するアルケニルカルボニル基、3〜6個の炭素原子を有するシクロアルキルカルボニル基、ベンゾイル基、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基で置換されているベンゾイル基、ハロゲン原子で置換されているベンゾイル基、2-フラニルカルボニル基又はN,N-ジメチルカルバモイル基を表し;R2は、水素原子、アミノ基、メチル基、1〜5個の炭素原子を有するアルキルアミノ基、2〜5個の炭素原子(その全基中に)を有する二置換アルキルアミノ基、1-ピロリジニル基、3個の炭素原子を有するアルケニルアミノ基、3個の炭素原子を有するアルキニルアミノ基、メトキシアミノ基、2〜4個の炭素原子(その全基中に)を有するアルコキシアルキルアミノ基、メチルチオ基又は--N(Y1)Y2(式中、Y1は、1〜3個の炭素原子を有するアルキルオキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、1〜6個の炭素原子を有するアルキルカルボニル基、2〜3個の炭素原子を有するアルケニルカルボニル基、3〜6個の炭素原子を有するシクロアルキルカルボニル基、ベンゾイル基、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基で置換されているベンゾイル基、ハロゲン原子で置換されているベンゾイル基、2-フラニルカルボニル基、N,N-ジメチルカルバモイル基、(テトラヒドロ-3-フラニル)メチル基又はベンジル基を表し、かつY2は、水素原子又は1〜5個の炭素原子を有するアルキル基を表す)を表し;かつZは=N-NO2、=CH-NO2又は=N-CNを表す。)
【0008】
式(1)の化合物を製造するための中間体は、下記式(2)で表される。
【0009】
【化2】

【0010】
(式中、X1、X2、X3、X4、X5、X6及びX7は、それぞれ水素原子又は1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を表し;R10は、1〜5個の炭素原子を有するアルキル基又はベンジル基を表し;かつR11は、1〜5個の炭素原子を有するアルキル基又はベンジル基を表す。)
【0011】
本発明の式(1)及び式(2)の(テトラヒドロ-3-フラニル)メチルアミン誘導体は、高い殺虫活性と広い殺虫範囲を有する優れた化合物である。さらに、本発明の式(1)及び(2)の(テトラヒドロ-3-フラニル)メチルアミン誘導体を含有する農薬は、殺虫剤として卓越した特性を有するので有用である。
上式(1)及び(2)中のX1、X2、X3、X4、X5、X6及びX7についてアルキル基の具体例として、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソ-プロピル基、tert-ブチル基など、好ましくはメチル基が挙げられる。
R1についてアルキル基の具体例としてメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソ-プロピル基、n-ブチル基、イソ-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基などが挙げられる。
R1についてアルケニル基の具体例として、1-プロペニル基、2-プロペニル基などが挙げられる。
R1についてアルコキシアルキル基の具体例として、メトキシメチル基、エトキシメチル基、n-プロポキシメチル基、イソ-プロポキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基などが挙げられる。
R1についてアルキルオキシカルボニル基の具体例として、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、n-プロピルオキシカルボニル基、イソ-プロピルオキシカルボニル基などが挙げられる。
R1についてアルキルカルボニル基の具体例として、メチルカルボニル基、エチルカルボニル基、n-プロピルカルボニル基、イソ-プロピルカルボニル基、n-ブチルカルボニル基、イソ-ブチルカルボニル基、sec-ブチルカルボニル基、tert-ブチルカルボニル基、n-ペンチルカルボニル基、n-ヘキシルカルボニル基などが挙げられる。
R1についてアルケニルカルボニル基の具体例として、ビニルカルボニル基、1-メチルビニルカルボニル基などが挙げられる。
R1についてシクロアルキルカルボニル基の具体例として、シクロプロピルカルボニル基、シクロブチルカルボニル基、シクロペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基などが挙げられる。
R1について、アルキル基で置換されているベンゾイル基の具体例として、2-メチルベンゾイル基、3-メチルベンゾイル基、4-メチルベンゾイル基、4-tert-ブチルベンゾイル基などが挙げられる。
R1について、ハロゲン原子で置換されているベンゾイル基の具体例として、2-クロロベンゾイル基、3-クロロベンゾイル基、4-クロロベンゾイル基、3,4-ジクロロ-ベンゾイル基、4-フルオロベンゾイル基などが挙げられる。
R1は、上述したような種々の置換基を取りうるが、R1は、好ましくは水素原子、1〜4個の炭素原子を有するアルキルカルボニル基又はシクロプロピルカルボニル基である。
【0012】
R2についてアルキルアミノ基の具体例として、メチルアミノ基、エチルアミノ基、n-プロピル-アミノ基、イソ-プロピルアミノ基、n-ブチルアミノ基、イソ-ブチルアミノ基、sec-ブチルアミノ基、tert-ブチルアミノ基、n-ペンチルアミノ基など、好ましくはメチルアミノ基が挙げられる。
R2について二置換アルキルアミノ基の具体例として、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、N-メチル-N-エチルアミノ基、N-メチル-N-n-プロピルアミノ基、N-メチル-N-n-ブチルアミノ基など、好ましくはジメチルアミノ基が挙げられる。
R2についてアルケニルアミノ基の具体例として、1-プロペニルアミノ基、2-プロペニルアミノ基などが挙げられる。
R2についてアルキニルアミノ基の具体例として、プロパルギルアミノ基などが挙げられる。
R2についてアルコキシアルキルアミノ基の具体例として、メトキシメチルアミノ基、エトキシメチルアミノ基、n-プロポキシメチルアミノ基、イソ-プロポキシメチルアミノ基、メトキシエチルアミノ基、エトキシエチルアミノ基などが挙げられる。
R2についてY1で表されるアルキルオキシカルボニル基の具体例として、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシ-カルボニル基、n-プロピルオキシカルボニル基、イソ-プロピルオキシ-カルボニル基などが挙げられる。
R2についてY1で表されるアルキルカルボニル基の具体例として、メチルカルボニル基、エチルカルボニル基、n-プロピルカルボニル基、イソ-プロピルカルボニル基、n-ブチルカルボニル基、イソブチルカルボニル基、sec-ブチル-カルボニル基、tertブチルカルボニル基、n-ペンチルカルボニル基、n-ヘキシルカルボニル基など、好ましくはメチルカルボニル基、エチルカルボニル基、n-プロピルカルボニル基、イソ-プロピルカルボニル基、n-ブチルカルボニル基、イソ-ブチルカルボニル基、sec-ブチルカルボニル基及びtert-ブチルカルボニル基が挙げられる。
R2についてY1で表されるアルケニルカルボニル基の具体例として、ビニルカルボニル基、1-メチル-ビニルカルボニル基などが挙げられる。
R2についてY1で表されるシクロアルキルカルボニル基の具体例として、シクロプロピルカルボニル基、シクロブチルカルボニル基、シクロペンチルカルボニル基、シクロ-ヘキシルカルボニル基など、好ましくはシクロプロピル-カルボニル基が挙げられる。
R2についてY1で表される、アルキル基で置換されているベンゾイル基の具体例として、2-メチルベンゾイル基、3-メチルベンゾイル基、4-メチルベンゾイル基、4-tert-ブチルベンゾイル基などが挙げられる。
R2についてY1で表される、ハロゲン原子で置換されているベンゾイル基の具体例として、2-クロロベンゾイル基、3-クロロベンゾイル基、4-クロロベンゾイル基、3,4-ジクロロベンゾイル基、4-フルオロベンゾイル基などが挙げられる。
R2についてY1で表されるアルキル基の具体例として、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソ-プロピル基、n-ブチル基、イソ-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基など、好ましくはメチル基が挙げられる。
式(1)において、R1とY1が同時に、1〜4個の炭素原子を有するアルキルカルボニル基又はシクロプロピルカルボニル基である化合物は、殺虫活性と製造方法の両観点から好ましい形態である。
【0013】
本発明の好ましい実施形態では、溶媒成分に溶解される(テトラヒドロ-3-フラニル)メチルアミン誘導体はジノテフランである。ジノテフランは成虫ノミを殺す殺虫剤である。好ましくは、約5〜20%、さらに好ましくは約10〜15%、最も好ましくは約12〜15%の濃度範囲まで該製剤にジノテフランを溶かす。すべてのパーセンテージは、特に断らない限り、質量ベースである。
本発明の別の好ましい実施形態では、殺虫的に有効な量のクロロニコチニル殺虫剤と昆虫成長レギュレーター(IGR)を溶媒成分に溶かすことによって殺虫剤を調製する。 溶媒成分は、四級アンモニウム塩がない溶媒中のIGRの溶解力に比べてIGRの溶解力を高め、かつ四級アンモニウム塩がない殺虫剤の効力に比べて殺虫剤の効力を高めるのに十分な量の四級アンモニウム塩を含む。本発明の好ましい実施形態では、溶媒成分はエタノールと四級アンモニウム塩を含む。本発明の別の好ましい実施形態では、溶媒成分は水、乳酸エチル及び四級アンモニウム塩を含む。
【0014】
本発明の好ましい実施形態では、製剤中のクロロニコチニル殺虫剤がN-((6-クロロ-3-ピリジニル)メチル)-N'-シアノ-N-メチル-エタンイミダニド(ethanimidamide)(アセタミプリド)であり、かつ昆虫成長レギュレーターがピリプロキシフェン又はメトプレンである。アセタミプリドは主に成虫ノミを殺す殺虫剤である。アセタミプリドは国際出願PCT/JP90/01282及びPCT/EP93/01286に開示されている。これらの出願の内容は参照によって本明細書に取り込まれる。
本発明の別の好ましい実施形態では、昆虫成長レギュレーターがピリプロキシフェンである。本発明の好ましい実施形態では、ピリプロキシフェンを製剤中に約0.1〜3%、さらに好ましくは約0.5〜3%、最も好ましくは約0.9〜1.1%の濃度範囲まで溶かす。本発明の別の好ましい実施形態では、製剤は、動物に対して少なくとも約10mgのピリプロキシフェンの用量を含む。従って、製剤が1%のピリプロキシフェンを含む場合、1mlの適用で許容しうる薬用量は約10mg以上であろう。
本発明のさらに別の好ましい実施形態では、昆虫成長レギュレーターがメトプレンである。本発明の好ましい実施形態では、メトプレンを製剤中に約0.1〜5%、さらに好ましくは約0.5〜5%、最も好ましくは約3.0〜5.0%の濃度範囲まで溶かす。本発明の別の好ましい実施形態では、薬用量は、動物に投与される少なくとも約30mgのメトプレンを含む。
本発明の1つの好ましい実施形態では、水、乳酸エチル及び四級アンモニウム塩、好ましくはオレイルジメチルアンモニウムクロリドを含んでなる溶媒にジノテフランとピリプロキシフェンを溶かすことによって殺虫剤を調製する。本発明の別の好ましい実施形態では、エタノールと四級アンモニウム塩、好ましくはオレイルジメチルアンモニウムクロリドを含んでなる溶媒にジノテフランとピリプロキシフェンを溶かすことによって殺虫剤を調製する。ジノテフランは成虫ノミを殺す殺虫剤であり、アセタミプリドは主に成虫ノミを殺す殺虫剤であり、かつピリプロキシフェンはノミの幼虫とノミの卵を殺す殺虫剤である。成虫及び幼若段階のノミを殺すことによって、本発明の殺虫製剤は、他の殺虫製剤に比し、成果の速度を増し、かつノミ侵入の再発を減らすために有用である。
本発明の別の好ましい実施形態では、好ましくは水、乳酸エチル及び四級アンモニウム塩、好ましくはオレイルジメチルアンモニウムクロリドを含んでなる溶媒にアセタミプリドとピリプロキシフェンを溶かすことによって殺虫剤を調製する。本発明のさらに別の好ましい実施形態では、好ましくはエタノールと四級アンモニウム塩、好ましくはオレイルジメチルアンモニウムクロリドを含んでなる溶媒にアセタミプリドとピリプロキシフェンを溶かすことによって殺虫剤を調製する。アセタミプリドは主に成虫ノミを殺す殺虫剤であり、かつピリプロキシフェンはノミの幼虫とノミの卵を殺す殺虫剤である。成虫及び幼若段階のノミを殺すことによって、本発明の殺虫製剤は、他の殺虫製剤に比し、成果の速度を増し、かつノミ侵入の再発を減らすために有用である。
【0015】
高濃度のジノテフランとアセタミプリドを水と乳酸エチル又はエタノールの組合せ中で可溶化することができる。しかし、ジノテフランは親水性であり、かつピリプロキシフェンは親油性なので、高濃度のジノテフランの可溶化を与える溶媒系は、ピリプロキシフェンを適切には可溶化できないだろう。好ましくは1個以上の炭素原子を有する塩化アンモニウム、例えばセチルトリメチルアンモニウムクロリド、獣脂アルキルトリメチルアンモニウムクロリド及びオレイルジメチルアンモニウムクロリド等の四級アンモニウム塩の溶媒成分への添加が、乳化することなく製剤中に有効量のピリプロキシフェンを可溶化させ、ひいては単一の非常に有効な殺虫性局所溶液で高濃度の親水性及び親油性の殺虫剤の送達を可能にすることが判った。
ピリプロキシフェンは疎水性なので、有効量のピリプロキシフェンを殺虫製剤中に溶かすためには、やはり疎水性である四級アンモニウム塩を選択することが好ましいだろう。溶媒成分で使うため、アルキル鎖に多数の炭素原子を有する四級アンモニウム塩、例えばセチルトリメチルアンモニウムクロリド、獣脂アルキルトリメチルアンモニウムクロリド及びオレイルジメチルアンモニウムクロリドが好ましく選択される。好ましくは、殺虫的に有効な量のジノテフラン及びピリプロキシフェンを相対的に低体積中に組み入れる。該殺虫製剤は、高温及び低温の種々の条件下で有利に安定である。
本発明の別の好ましい実施形態では、好ましい溶媒成分は水、乳酸エチル及びオレイルジメチルアンモニウムクロリドを含んでなる混合物であり、オレイルジメチルアンモニウムクロリドの最終濃度は0.5〜20%、さらに好ましくは0.5〜5%のオレイルジメチルアンモニウムクロリドの範囲であり、最も好ましくは1.0%のオレイルジメチルアンモニウムクロリドという最終濃度である。溶媒がオレイルジメチルアンモニウムクロリドを含む場合、溶媒中の水対乳酸エチルの比は好ましくは約1:1〜1:2である。
【0016】
溶媒成分にエタノールを加えて溶解度を高め、かつ高濃度のジノテフラン又はアセタミプリドが低温で経時的に結晶化するのを阻止することもできる。本発明の別の好ましい実施形態では、好ましい溶媒成分は水、乳酸エチル、エタノール及びオレイルジメチルアンモニウムクロリドを含んでなる混合物を含み、オレイルジメチルアンモニウムクロリドの最終濃度は0.5〜20%、さらに好ましくは0.5〜5%のオレイルジメチルアンモニウムクロリドの範囲、最も好ましくは1.0%のオレイルジメチルアンモニウムクロリドという最終濃度である。溶媒がオレイルジメチルアンモニウムクロリドを含む場合、溶媒中の水対乳酸エチル対エタノールの比は好ましくは約1:1:1〜約3:4:3、及び中間のすべての比である。すべての比は、特に断らない限り、質量ベースである。
本発明の好ましい実施形態では、水、乳酸エチル及び上記塩の1つ、例えばオレイルジメチルアンモニウムクロリドを含んでなる溶媒にジノテフランとピリプロキシフェンを溶かすことによって殺虫剤を調製する。製剤にジノテフランを約5〜20%の濃度範囲まで溶かし、製剤にピリプロキシフェンを約0.5〜3%の濃度範囲まで溶かし、オレイルジメチルアンモニウムクロリドの濃度は約1〜20%の範囲であり、かつ乳酸エチルの濃度は約50〜67%の範囲である。好ましくは、製剤にジノテフランを約15%の濃度まで溶かし、製剤にピリプロキシフェンを約1%の濃度まで溶かし、かつオレイルジメチルアンモニウムクロリドの濃度は約1%である。
【0017】
水、乳酸エチル及びオレイルジメチルアンモニウムクロリドを含んでなる溶媒にジノテフランとピリプロキシフェンを溶かして殺虫剤を調製する場合、 ジノテフラン対ピリプロキシフェン対オレイルジメチルアンモニウムクロリドの比は、好ましくは約15:1:1であり、かつ殺虫製剤中のジノテフランの濃度は15%を超えない。他の好ましい実施形態では、ジノテフラン対ピリプロキシフェン対オレイルジメチルアンモニウムクロリドの比は、好ましくは約10:1:1、20:1:1又は30:1:1及び中間のすべての比であり、かつジノテフランの濃度は15%を超えない。
4kg(9ポンド)以下の体重のコンパニオンアニマルへの約0.5〜1.33mlの殺虫剤の適用のためには、水、乳酸エチル及びオレイルジメチルアンモニウムクロリドを含んでなる溶媒に約150〜200mgのジノテフランと約10mgのピリプロキシフェンを溶かすことによって殺虫剤を調製して、ノミの90%の殺虫率を達成することが好ましい。
本発明のさらに別の実施形態では、好ましい溶媒成分は水、乳酸エチル及びセチルトリメチルアンモニウムクロリドを含んでなる混合物を含み、セチルトリメチルアンモニウムクロリドの最終濃度は約19〜20%であり、さらに好ましくは、セチルトリメチルアンモニウムクロリドの最終濃度が約20%である。溶媒成分にエタノールを添加して溶解度を高めることもできる。
好ましくは、水、乳酸エチル及びセチルトリメチルアンモニウムクロリドを含んでなる溶媒にジノテフランとピリプロキシフェンを溶かして殺虫剤を調製する場合、製剤にジノテフランを約14〜15%の濃度範囲まで溶かし、製剤にピリプロキシフェンを約1〜3%の濃度範囲まで溶かし、セチルトリメチルアンモニウムクロリドの濃度は約19〜20%の範囲であり、かつ乳酸エチルの濃度は約40〜75%の範囲である。
本発明のさらに別の実施形態では、好ましい溶媒成分は水、乳酸エチル及び獣脂アルキルトリメチルアンモニウムクロリドを含んでなる混合物を含み、獣脂アルキルトリメチル アンモニウムクロリドの最終濃度は約19〜20%の範囲であり、さらに好ましくは獣脂アルキルトリメチルアンモニウムクロリドの最終濃度が約20%である。溶媒成分にエタノールを添加して溶解度を高めることもできる。
好ましくは、水、乳酸エチル及び獣脂アルキルトリメチルアンモニウムクロリドを含んでなる溶媒にジノテフランとピリプロキシフェンを溶かして殺虫剤を調製する場合、製剤にジノテフランを約14〜15%の濃度範囲まで溶かし、製剤に約1〜3%の濃度範囲までピリプロキシフェンを溶かし、獣脂アルキルトリメチルアンモニウムクロリドの濃度は約19〜20%の範囲であり、かつ乳酸エチルの濃度は約40〜75%の範囲である。
本発明の別の実施形態では、水、乳酸エチル及びセチルトリメチルアンモニウムクロリド、獣脂アルキルトリメチルアンモニウムクロリド及びオレイルジメチルアンモニウムクロリド等の四級アンモニウム塩を含んでなる溶媒にアセタミプリドとピリプロキシフェンを溶かして殺虫剤を調製する。製剤にアセタミプリドを約5〜50%の濃度範囲まで溶かし、製剤にピリプロキシフェンを約0.5〜3%の濃度範囲まで溶かし、四級アンモニウム塩の濃度は約1〜20%の範囲であり、かつ乳酸エチルの濃度は約50〜67%の範囲である。
4kg(9ポンド)以下の体重のコンパニオンアニマルへの約0.4〜1.33mlの殺虫剤の適用のためには、水、乳酸エチル、エタノール及びオレイルジメチルアンモニウムクロリドを含んでなる溶媒に約100mg/mlのアセタミプリドと約10mg/mlのピリプロキシフェンを溶かして殺虫剤を調製して、ノミの90%の殺虫率を達成することが好ましい。
【0018】
〔N-オクチルピロリドン及び/又はN-メチルピロリドンを含有する溶媒〕
本発明の別の好ましい実施形態では、好ましい溶媒はN-オクチルピロリドン(NOP)及び/又はN-メチルピロリドン(NMP)を含む。発明者らは、N-オクチルピロリドンとN-メチルピロリドンが、どちらか単独又は組合せで、殺虫剤成分、さらに詳しくはジノテフランの溶解度を高めうることを明らかにした。溶解量が多いと、同量の殺虫剤組成物を溶かすのに少ない溶媒しか必要でなく、殺虫剤組成物の効率を向上させることができ、殺虫剤濃度を高め、かつ動物に適用すべき物質の体積を減らすこととなる。
好ましくは、殺虫剤は約0〜10%、さらに好ましくは約5〜7%、最も好ましくは約6%の濃度範囲でN-オクチルピロリドンを含む。さらに、殺虫剤は、N-メチルピロリドンを約45〜94%の濃度範囲で含むことができる。好ましくは、殺虫剤は約5〜40%の濃度範囲のジノテフラン、及び約1〜7%の濃度範囲のピリプロキシフェンを含む。すべてのパーセンテージは、特に断らない限り、質量ベースである。
【0019】
製剤A:本発明の1つの典型的実施形態では、殺虫剤は、約5〜30%の濃度範囲のジノテフラン、約1〜3%の濃度範囲のピリプロキシフェン、約0.1〜6%の濃度範囲のN-オクチルピロリドン及び約61〜94%の濃度範囲のN-メチルピロリドンを含む。すべてのパーセンテージは、特に断らない限り、質量ベースである。
製剤B:本発明の1つの典型的実施形態では、殺虫剤は、約20〜40%の濃度範囲のジノテフラン、約1%の濃度のピリプロキシフェン、約6%の濃度のN-オクチルピロリドン及び約53〜73%の濃度範囲のN-メチルピロリドンを含む。すべてのパーセンテージは、特に断らない限り、質量ベースである。
製剤C:本発明の1つの典型的実施形態では、殺虫剤は、約30%の濃度のジノテフラン、約1.5〜7%の濃度範囲のピリプロキシフェン、約6%の濃度のN-オクチルピロリドン及び約57〜63%の濃度範囲のN-メチルピロリドンを含む。すべてのパーセンテージは、特に断らない限り、質量ベースである。
製剤D:本発明の1つの典型的実施形態、殺虫剤は、約35%の濃度のジノテフラン、約1.5〜7%の濃度範囲のピリプロキシフェン、約6%の濃度のN-オクチルピロリドン及び約52〜58%の濃度範囲のN-メチルピロリドンを含む。すべてのパーセンテージは、特に断らない限り、質量ベースである。
製剤E:本発明の1つの典型的実施形態では、殺虫剤は、約20〜25%の濃度範囲のジノテフラン、約2%の濃度のピリプロキシフェン、約6%の濃度のN-オクチルピロリドン、約45〜54%の濃度範囲のN-メチルピロリドン及び約16〜27%の濃度の水を含む。すべてのパーセンテージは、特に断らない限り、質量ベースである。
製剤F:本発明の1つの典型的実施形態では、殺虫剤は、約35%の濃度のジノテフラン、約5%の濃度のピリプロキシフェン、約6%の濃度のN-オクチルピロリドン及び約54%の濃度のN-メチルピロリドンを含む。すべてのパーセンテージは、特に断らない限り、質量ベースである。
製剤G:本発明の1つの典型的実施形態では、殺虫剤は、約18〜26%の濃度範囲のジノテフラン、約2〜4%の濃度範囲のピリプロキシフェン、約3〜8%の濃度範囲のN-オクチルピロリドン、約30〜48%の濃度範囲のN-メチルピロリドン及び約30〜38%の濃度範囲のプロピレンカーボネートを含む。すべてのパーセンテージは、特に断らない限り、質量ベースである。
製剤H:本発明の1つの典型的実施形態では、殺虫剤は、約22%の濃度のジノテフラン、約3%の濃度のピリプロキシフェン、約6%の濃度のN-オクチルピロリドン、約34.74%の濃度のN-メチルピロリドン及び約34%の濃度のプロピレンカーボネートを含む。すべてのパーセンテージは、特に断らない限り、質量ベースである。
【0020】
コンパニオンアニマルに使うための本発明の製剤の調製では、考慮すべきいくつかのパラメーターがある。それは以下の通りである:
(a)動物に局所適用する量を最小限にするのに十分な高い濃度(例えば、小さいネコに20mlの製剤を与えたくないだろう)。
(b)製剤は32℃(130°F)、43℃(110°F)、4℃(40°F)、室温及び-18℃(0°F)で1ヶ月間安定でなければならない。これは、商業上、製剤が遭遇するであろう条件下で製剤が確実に安定な状態を保つことを助ける。
(c)動物に使うための安全性−製品を皮膚に適用するので、特に刺激がないこと。また、動物に経口摂取する場合の安全性;ネコが毛づくろいするときに経口摂取が起こりうる。
(d)消費者が使うための安全性。
(e)使用中の効力−28日まで80%、さらに90%超えのノミを殺すべきである。
(f)パッケージ内で結晶化が起こると効力が低減するだろう。
(g)審美的に心地よい必要がある−適用時に動物に「非油性滴下」。
(h)速く乾燥して、動物が液体を振り落とすことによって効力が低減する機会を減らす。
(i)微生物学的に安定。
【0021】
殺虫製剤に対する他の添加剤として、限定するものではないが、においを改善するための芳香剤並びに性能を高めるための界面活性剤、例えばミリスチン酸イソプロピル及びソルビタン誘導体、例えばポリソルベート20及び展着剤が挙げられる。ポリマーを用いて、殺虫剤のエンロービング(enrobing)を与えて皮膚及び毛への安全性と接着を高めることもできる。使用しうるポリマーの例として、カチオン性セルロース、カチオン性グアー、カチオン性アクリレートポリマー、寒天、ゼラチン及びアルギネートが挙げられる。
実際には、有効量の本明細書で述べる殺虫製剤をコンパニオンアニマル、好ましくはイヌ又はネコに、起泡性シャンプー、ディップ、エアロゾルスプレー、ポンプスプレー、ローション、乳剤(emulsifiable concentrate)、水性又は液体フロアブル(flowable)、懸濁剤(suspension concentrate)として適用することができ、また、局所組成物を動物に投与するのに適したいずれの他の方法によっても適用しうる。
本発明の好ましい実施形態では、好ましくは肩甲骨と頭蓋底の間の領域に1ヶ月に約1回局所点滴薬として殺虫製剤を適用して、1ヶ月間にわたってノミ、ノミの幼虫及びノミの卵を殺すことができる。
以下の実施例は、例示目的のためだけに与えるものであり、限定して解釈することを意図しない。
【実施例】
【0022】
実施例1:1-{(テトラヒドロ-3-フラニル)メチル}-2-ニトロ-3-メチルグアニジン(ジノテフラン)の調製
10.0gの(テトラヒドロ-3-フラニル)メタノール、29.5gの無水トリフルオロメタンスルホン酸、10.0gのピリジン及び200mlのジクロロメタンを含む混合物を室温で1時間撹拌した。反応溶液に水を注いで有機層を分け、1Nの塩酸、水及び飽和食塩水で洗浄し、乾燥させ、濃縮して20gの3-テトラヒドロ-フラニルメチルトリフラートを得た。12.5gの1,5-ジメチル-2-ニトロイミノヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジンと60mlのDMFに室温で3.25gの60%水素化ナトリウムを添加後、1時間撹拌した。これに20.0gの前記3-テトラヒドロフラニルメチルトリフラートを加え、混合物を50℃で2時間撹拌した。混合物を室温に冷ました後、これに50mlの2N塩酸を添加後、50℃で2時間撹拌した。結果の混合物を炭酸水素ナトリウムで中和し、ジクロロメタンで抽出し、抽出物を乾燥させて濃縮した。このようにして得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:酢酸エチル/ヘキサン=1:1)で精製して7.8gの1-{(テトラヒドロ-3-フラニル)メチル}-2-ニトロ-3-メチルグアニジン(ジノテフラン)を得た。
【0023】
実施例2:ジノテフラン、ピリプロキシフェン、及びオレイルジメチルアンモニウムクロリドを含有する殺虫製剤の調製
0.5gのオレイルジメチルアンモニウムクロリドを0.5gのピリプロキシフェンに加えて加熱して(50℃)溶かした。20.75gの水を添加後、20.75gの乳酸エチルを加えた。9モルのエチレンオキシド(OP 9)を含有する2.1gのt-オクチルフェノキシポリエトキシエタノールを加えた。この溶液に7.8gのジノテフランを溶かし、撹拌して清澄の均一溶液を生成後、室温に冷ました。炭酸ナトリウム溶液を添加してpHを5.5〜7に調整した。
実施例3:ジノテフラン/ピリプロキシフェン製剤の安定性
ほとんどの溶媒系は低温で1ヶ月間ジノテフランを溶液のまま留めない。さらに、高濃度のジノテフランを溶解させる溶媒系は典型的にピリプロキシフェンを可溶化できない。表1に示すように、溶媒に四級アンモニウム塩を含めると、有効量のピリプロキシフェンを可溶化して、可溶化したままにできるので、安定な製剤を生成できることが判った。製剤の安定性は、1ヶ月の間、-18℃(0°F)で結晶が生成しないという基準に基づく。
【0024】
表1:製剤の安定性の研究(%はw/wである)

【0025】
ジノテフランを含有する溶液中のピリプロキシフェンの溶解度は、四級アミン、例えば塩化アンモニウム塩、例えば、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、獣脂アルキルトリメチルアンモニウムクロリド及びオレイルジメチルアンモニウムクロリドを添加することによって、四級アンモニウム塩のない同様の製剤にくらべて増加しうることが判った。四級アンモニウム塩を約20%まで含めると、安定な製剤をもたらす。
【0026】
〔実施例4〕
実施例2で論じた手順を用いて種々の比の溶媒成分を含有する製剤を調製した。
下表2は種々の製剤の組成を含み、かつ四級アンモニウム塩を含めると、ジノテフランとピリプロキシフェンを含有する安定な溶液を生じさせることを実証する。製剤の安定性は、1ヶ月の間、-18℃(0°F)で結晶が生成しないという基準に基づく。
【0027】
【表1】

【0028】
【表2】

【0029】
【表3】

【0030】
【表4】

【0031】
【表5】

【0032】
【表6】

【0033】
実施例5:製剤B、C、D及びEの安定性
製剤B、C、D及びEの実施形態に従う殺虫剤組成物の以下の実施例を、およそ4日以上の持続時間にわたって、種々の温度で色、外観及び均一性について試験した。これらの実施例の組成及び試験結果を以下に提供する。以下の実施例は、例示目的のためだけに与えるものであり、限定して解釈する意図でない。
サンプル組成物:
【0034】



【0035】
S-1638はジノテフランであり、Agsolex 8はN-オクチルピロリドンである。ピリプロキシフェンはNylarとしても知られる。
試験結果:
下表3Aは、室温における安定性試験の結果を示す。
【0036】
表3A












【0037】
下表3Bは4℃における安定性試験の結果を示す。
【0038】
表3B










【0039】
下表3Cは、凍結(-18℃(0°F))/解凍(F/T)条件下における安定性試験の結果を示す。
【0040】
表3C










【0041】
実施例6:製剤G及びHの安定性データ
製剤G及びHの実施形態に従う殺虫剤組成物の以下の実施例を4週間の持続期間にわたって凍結/解凍条件下で均一性について試験した。これらの実施例の組成と試験結果を以下に提供する。以下の実施例は、例示目的のためだけに与えるものであり、限定して解釈する意図でない。
【0042】
表4A−A系列組成物
質量%で組成を与える。
【0043】

【0044】
表4B−B系列組成物
質量%で組成を与える。
【0045】

【0046】
表4C−C系列組成物
質量%で組成を与える。
【0047】

【0048】
表4D−D系列組成物
質量%で組成を与える。
【0049】

【0050】
表4E−E系列組成物
質量%で組成を与える。
【0051】

【0052】
表4F−F系列組成物
質量%で組成を与える。
【0053】

【0054】
表4G−G系列組成物
質量%で組成を与える。
【0055】

【0056】
表4H−H系列組成物
質量%で組成を与える。
【0057】

【0058】
本発明の殺虫剤は、容易に観察できる沈殿(例えば、目で見える結晶形成)なしで、室温、好ましくは約4℃未満で、さらに好ましくは約0℃以下で、4日より長く、好ましくは28日より長く、液体のままでありうることが分かる。
先行する説明から明らかになった当該目的のうち、上記目的が効率的に達成されることが分かるだろう。また、上記方法の実施及び上記製剤において、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく一定の変更を為しうるので、上記説明に含まれるすべての事項は、例示として解釈すべきであり、限定する意味でないことを意図している。
また、前記実施形態は、本明細書で述べる本発明のすべての一般的及び特異的特徴並びに言語にかかわる問題として、ステートメント間に入ると言えるであろう、本発明のすべてのステートメントを包含することを意図しているものと解釈すべきである。
特に、前記請求項において、単数で羅列した成分又は化合物は、意味が許せば、該成分の適合しうる混合物を包含するものと解釈すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の成分:
殺虫的に有効な量のジノテフラン;
有効な量のピリプロキシフェン;及び
N-メチルピロリドンを含んでなる有効な量の溶媒成分
を組み合わせて調製される液体殺虫剤であって、
前記殺虫剤が4℃未満で28日を超える間、溶液のままであるように調製される、前記液体殺虫剤。
【請求項2】
前記溶媒成分がさらにN-オクチルピロリドンを含む、請求項1の殺虫剤。
【請求項3】
前記殺虫剤が約0.1〜8%のN-オクチルピロリドンを含む、請求項2の殺虫剤。
【請求項4】
前記殺虫剤が約5〜40%のジノテフランを含む、請求項1の殺虫剤。
【請求項5】
前記殺虫剤が約1〜7%のピリプロキシフェンを含む、請求項1の殺虫剤。
【請求項6】
前記殺虫剤が約30〜94%のN-メチルピロリドンを含む、請求項1の殺虫剤。
【請求項7】
前記殺虫剤が約5〜30%のジノテフランを含む、請求項2の殺虫剤。
【請求項8】
前記殺虫剤が約1〜3%のピリプロキシフェンを含む、請求項7の殺虫剤。
【請求項9】
前記殺虫剤が約0.1〜6%のN-オクチルピロリドンを含む、請求項8の殺虫剤。
【請求項10】
前記殺虫剤が約61〜94%のN-メチルピロリドンを含む、請求項9の殺虫剤。
【請求項11】
前記殺虫剤が約20〜40%のジノテフランを含む、請求項2の殺虫剤。
【請求項12】
前記殺虫剤が約1%のピリプロキシフェンを含む、請求項11の殺虫剤。
【請求項13】
前記殺虫剤が約6%のN-オクチルピロリドンを含む、請求項12の殺虫剤。
【請求項14】
前記殺虫剤が約53〜73%のN-メチルピロリドンを含む、請求項13の殺虫剤。
【請求項15】
前記殺虫剤が約30%のジノテフランを含む、請求項2の殺虫剤。
【請求項16】
前記殺虫剤が約1.5〜7%のピリプロキシフェンを含む、請求項15の殺虫剤。
【請求項17】
前記殺虫剤が約6%のN-オクチルピロリドンを含む、請求項16の殺虫剤。
【請求項18】
前記殺虫剤が約57〜63%のN-メチルピロリドンを含む、請求項17の殺虫剤。
【請求項19】
前記殺虫剤が約35%のジノテフランを含む、請求項2の殺虫剤。
【請求項20】
前記殺虫剤が約1.5〜7%のピリプロキシフェンを含む、請求項19の殺虫剤。
【請求項21】
前記殺虫剤が約6%のN-オクチルピロリドンを含む、請求項20の殺虫剤。
【請求項22】
前記殺虫剤が約52〜58%のN-メチルピロリドンを含む、請求項21の殺虫剤。
【請求項23】
前記殺虫剤が約20〜25%のジノテフランを含む、請求項2の殺虫剤。
【請求項24】
前記殺虫剤が約2%のピリプロキシフェンを含む、請求項23の殺虫剤。
【請求項25】
前記殺虫剤が約6%のN-オクチルピロリドンを含む、請求項24の殺虫剤。
【請求項26】
前記殺虫剤が約45〜54%のN-メチルピロリドンを含む、請求項25の殺虫剤。
【請求項27】
前記殺虫剤が約16〜27%の水を含む、請求項25の殺虫剤。
【請求項28】
前記殺虫剤が約35%のジノテフランを含む、請求項2の殺虫剤。
【請求項29】
前記殺虫剤が約5%のピリプロキシフェンを含む、請求項28の殺虫剤。
【請求項30】
前記殺虫剤が約6%のN-オクチルピロリドンを含む、請求項29の殺虫剤。
【請求項31】
前記殺虫剤が約54%のN-メチルピロリドンを含む、請求項30の殺虫剤。
【請求項32】
前記殺虫剤が約18〜26%のジノテフランを含む、請求項2の殺虫剤。
【請求項33】
前記殺虫剤が約2〜4%のピリプロキシフェンを含む、請求項32の殺虫剤。
【請求項34】
前記殺虫剤が約3〜8%のN-オクチルピロリドンを含む、請求項33の殺虫剤。
【請求項35】
前記殺虫剤が約30〜48%のN-メチルピロリドンを含む、請求項34の殺虫剤。
【請求項36】
前記殺虫剤が約30〜38%のプロピレンカーボネートを含む、請求項35の殺虫剤。
【請求項37】
前記殺虫剤が約22%のジノテフランを含む、請求項2の殺虫剤。
【請求項38】
前記殺虫剤が約3%のピリプロキシフェンを含む、請求項37の殺虫剤。
【請求項39】
前記殺虫剤が約6%のN-オクチルピロリドンを含む、請求項38の殺虫剤。
【請求項40】
前記殺虫剤が約34.74%のN-メチルピロリドンを含む、請求項39の殺虫剤。
【請求項41】
前記殺虫剤が約34%のプロピレンカーボネートを含む、請求項40の殺虫剤。

【公表番号】特表2009−535363(P2009−535363A)
【公表日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−507998(P2009−507998)
【出願日】平成19年4月27日(2007.4.27)
【国際出願番号】PCT/US2007/067703
【国際公開番号】WO2007/127959
【国際公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【出願人】(507076698)サミット ヴェトファーム リミテッド ライアビリティ カンパニー (4)
【Fターム(参考)】