説明

昇降タラップ

【課題】集合住宅やビル等の建物と前記建物に並設される仮設足場との間の昇降移動をスムーズに行うことができ、また、その場で収納することができるので、作業の邪魔となったり、作業者の意図に反して使用されたりする不都合が生じることを防止することができる昇降タラップを提供する。
【解決手段】仮設足場10に回動自在に支持されるフレーム部20と、フレーム部20内に出入可能に構成される梯子部40と、を具備して、不使用時には、梯子部40をフレーム部20内に進入させると共に、フレーム部20の下側端部を仮設足場10に近接させることにより、建物1と仮設足場10との間の昇降移動に使用不能な第一状態とし、使用時には、フレーム部20の下側端部を仮設足場10から離間させて建物1に近接させると共に、梯子部40をフレーム部20外に退出させることにより、建物1と仮設足場10との間の昇降移動に使用可能な第二状態とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集合住宅やビル等の建物と前記建物に並設される仮設足場との間の昇降移動に使用する昇降タラップの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、集合住宅やビル等の建物と前記建物に並設される仮設足場との間の昇降移動に、公知技術である一般的な梯子が使用される場合がある。
【0003】
しかし、一般的な梯子を使用した場合には、建物や仮設足場に対しての固定手段がないため、前記梯子の設置が不安定となり、建物と仮設足場との間の昇降移動をスムーズに行うことができないという問題があった。
【0004】
これに対して、特許文献1に記載された技術のように、例えばトラックの荷台枠に装着可能に構成された梯子(タラップ)を、建物と仮設足場との間の昇降移動に使用(転用)した場合には、前記梯子の設置が安定するため、建物と仮設足場との間の昇降移動をスムーズに行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−313887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された梯子(タラップ)を建物と仮設足場との間の昇降移動に使用(転用)した場合には、前記梯子をその場で収納することができないため、作業の邪魔となったり、作業者の意図に反して(例えば、いたずら等に)使用されたりするという不都合が生じる問題点があった。
【0007】
本発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、集合住宅やビル等の建物と前記建物に並設される仮設足場との間の昇降移動をスムーズに行うことができ、また、その場で収納することができるので、作業の邪魔となったり、作業者の意図に反して(例えば、いたずら等に)使用されたりする不都合が生じることを防止することができる昇降タラップを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0009】
即ち、請求項1においては、建物と前記建物に並設された仮設足場との間の昇降移動に使用する昇降タラップであって、左右に離間して配置された左右の縦材フレームを有し、上下一側端部が前記仮設足場に回動自在に支持されるフレーム部と、前記左右の縦材フレーム内にそれぞれ上下方向へ向けて摺動可能に収容される左右の縦材と、前記左右の縦材の間に架設される複数の横桟材とを有し、前記フレーム部内に出入可能に構成される梯子部と、を具備して、不使用時には、前記梯子部を前記フレーム部内に進入させると共に、前記フレーム部の上下他側端部を前記仮設足場に近接させることにより、前記建物と前記仮設足場との間の昇降移動に使用不能な第一状態とし、使用時には、前記フレーム部の上下他側端部を前記仮設足場から離間させて前記建物に近接させると共に、前記梯子部を前記フレーム部外に退出させることにより、前記建物と前記仮設足場との間の昇降移動に使用可能な第二状態とするものである。
【0010】
請求項2においては、上下一側端部が前記フレーム部に回動可能に支持されるステージ部を具備し、前記第一状態では、前記ステージ部の上下他側端部を前記フレーム部に近接させることにより、前記ステージ部を前記フレーム部に収容し、前記第二状態では、前記ステージ部の上下他側端部を前記フレーム部から離間させて前記仮設足場に連結させることにより、前記フレーム部における前記第二状態の姿勢を維持させるものである。
【0011】
請求項3においては、前記第二状態では、前記ステージ部を前記建物と前記仮設足場との間の足場として使用するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0013】
本発明に係る昇降タラップは、集合住宅やビル等の建物と前記建物に並設される仮設足場との間の昇降移動をスムーズに行うことができ、また、その場で収納することができるので、作業の邪魔となったり、作業者の意図に反して(例えば、いたずら等に)使用されたりする不都合が生じることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係る昇降タラップを設置した様子を示した左側面図。
【図2】図1における符号Xで示した領域の拡大図。
【図3】(a)フレーム部を示した背面図。(b)同じく、左側面図。(c)同じく、図3(a)におけるA−A線矢視断面図。
【図4】(a)梯子部を示した背面図。(b)同じく、左側面図。(c)同じく、図4(a)におけるB−B線矢視断面図。
【図5】(a)ステージ部を示した背面図。(b)同じく、左側面図。
【図6】(a)不使用時における昇降タラップを示した背面図。(b)同じく、左側面図。(c)同じく、図6(a)におけるC−C線矢視断面図。
【図7】(a)使用時における昇降タラップを示した背面図。(b)同じく、左側面図。
【図8】(a)不使用時における昇降タラップの状態を示した左側面図。(b)同じく、図8(a)の状態から昇降タラップを回動させた状態を示した左側面図。
【図9】(a)同じく、図8(b)の状態からステージ部を回動させた状態を示した左側面図。(b)同じく、図9(a)の状態から梯子部を降ろした状態を示した左側面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下では、本発明の一実施形態に係る昇降タラップ100の構成について説明する。
なお、以下では、図中に示した矢印の方向に基づいて、前後方向、左右方向、及び上下方向を定義する。
【0016】
図1及び図2に示すように、建物1の補修・修繕工事等を行う場合には、建物1の外側に作業用の仮設足場10が並設される。仮設足場10は、複数のパイプ部材11や足場部材12等により組み立てられる。
ここで、「建物」とは、バルコニーや廊下等を有して、補修・修繕工事等を行う場合に、仮設足場(より詳細には、足場部材)と建物(より詳細には、バルコニーや廊下等)との間を作業者が昇降移動する必要がある建築物であり、例えば集合住宅やビル等を想定している。
なお、本実施形態において、建物1は、集合住宅であって各階ごとにバルコニー2及び廊下3を有している。
【0017】
図1及び図2に示す昇降タラップ100は、仮設足場10の足場部材12と、建物1のバルコニー2及び廊下3と、の間を作業者が昇降移動するために設置されるものである。昇降タラップ100は、主として、フレーム部20と、梯子部40と、ステージ部50とにより形成される。
なお、以下では、説明の便宜上、昇降タラップ100を、建物1の前方に配置された仮設足場10の足場部材12と、建物1のバルコニー2と、の間を作業者が昇降移動するために設置された昇降タラップとして説明する。
【0018】
図2及び図3に示すフレーム部20は、主として、左縦材フレーム21と、右縦材フレーム22と、上横材23と、下横材24と、クランプ25と、ステージ収容部26と、引掛け具27と、を具備する。
【0019】
図3に示す左縦材フレーム21は、フレーム部20の左側に配置される。左縦材フレーム21は、その長手方向を上下方向へ向けた細長い棒状に形成される。左縦材フレーム21は、平面断面視で右側が開放された略四角筒状に形成される。左縦材フレーム21の上部には、前後方向へ向けて貫通した第一挿通孔28が形成される。左縦材フレーム21の下部には、前後方向へ向けて貫通した第二挿通孔29が形成される。
【0020】
図3に示す右縦材フレーム22は、左縦材フレーム21に対向して、フレーム部20の右側に配置される。右縦材フレーム22は、その長手方向を上下方向へ向けた細長い棒状に形成される。右縦材フレーム22は、平面断面視で左側が開放された略四角筒状に形成される。
【0021】
図3に示す上横材23は、フレーム部20の上側に配置される。上横材23は、その長手方向を左右方向へ向けた細長い棒状に形成される。上横材23は、左縦材フレーム21の上端部と右縦材フレーム22の上端部との間に架設され、左縦材フレーム21と右縦材フレーム22とを連結している。
【0022】
図3に示す下横材24は、フレーム部20の下側に配置される。下横材24は、その長手方向を左右方向へ向けた細長い棒状であって、平面視で凸状に形成される。すなわち、下横材24には、その左右中央部が左部及び右部より前方に配置されているため、前記左部と前記右部との間に隙間Sが形成される。下横材24は、左縦材フレーム21の下端部と右縦材フレーム22の下端部との間に架設され、左縦材フレーム21と右縦材フレーム22とを連結している。
【0023】
このように、フレーム部20は、左縦材フレーム21、右縦材フレーム22、上横材23、及び下横材24により、正面視で長手方向を上下方向へ向けた略矩形の枠体として形成される。
【0024】
図3に示すクランプ25は、側面視で略円環状の金具である。クランプ25は、クランプ回動部25aと、クランプ基部25bと、を具備する。クランプ回動部25aは、その上部がクランプ基部25bの上部に枢支される一方、下部がクランプ基部25bの下部にボルト・ナットにより固定可能に構成される。クランプ25は、左縦材フレーム21の上端部と右縦材フレーム22の上端部とに、それぞれ前方へ向けて突出して設けられる。このようにして、クランプ25は、フレーム部20の上端部を仮設足場10(より詳細には、第一パイプ12a)に回動自在となると共に、着脱可能となるように支持している。
なお、第一パイプ12aは、昇降タラップ100を支持するために仮設足場10に適宜に設置されるものであり、軸心方向を左右方向へ向けて配置される。
【0025】
図3に示すステージ収容部26は、ステージ部50を収容するものである。ステージ収容部26は、フレーム部20の下部に配置される。ステージ収容部26は、支持部30と、保持部31と、を具備する。
【0026】
支持部30は、ステージ部50の下端部側(回動基部側)をフレーム部20に回動自在となるように支持するものである。支持部30は、左縦材フレーム21の下端部と右縦材フレーム22の下端部とに、それぞれ前方へ向けて突出したステーにより形成される。支持部30は、後述するステージ部50のステージ支持部52と引掛け具27とをピン等により回動自在に支持する。
【0027】
保持部31は、左縦材フレーム21の下部であって、当該左縦材フレーム21の下端部に形成された支持部30よりも上方に配置される。保持部31は、前方へ向けて突出したステーにより形成される。保持部31は、ステージ部50がステージ収容部26に収容された(折り畳まれた)状態で、ステージ部50の上端部(先端部)に設けられたステージ収容片54と合わせて、ステージ部50をフレーム部20に固定できるように構成される。
【0028】
図3に示す引掛け具27は、略半円弧状に延出して形成された係止爪を具備する。引掛け具27は、左縦材フレーム21の下端部に形成された支持部30に回動自在に支持される。引掛け具27は、昇降タラップ100が使用されていない状態で、仮設足場10(より詳細には、第二パイプ12b)に係止可能に構成される。
なお、第二パイプ12bは、昇降タラップ100が使用されていない状態において、当該昇降タラップ100を仮設足場10に係止するために仮設足場10に適宜に設置されるものであり、軸心方向を左右方向へ向けて配置される。
【0029】
図2及び図4に示す梯子部40は、主として、左縦材41と、右縦材42と、複数の横桟材43と、を具備する。
【0030】
図4に示す左縦材41は、梯子部40の左側に配置される。左縦材41は、その長手方向を上下方向へ向けた細長い棒状に形成される。左縦材41は、その上下方向の長さが、フレーム部20の左縦材フレーム21の上下方向の長さと同一か、又は若干小さく形成される。左縦材41は、平面断面視でその外寸が、左縦材フレーム21の内寸より若干小さい略四角筒状に形成される(図6参照)。右縦材42の上部には、抜け止めプレート45が前方へ向けて突出したステーにより形成される。また、左縦材41の上部には、上下方向に均等な間隔をあけて、前後方向へ向けて貫通した複数の挿通孔44が形成される。
【0031】
図4に示す右縦材42は、左縦材41に対向して、梯子部40の右側に配置される。右縦材42は、その長手方向を上下方向へ向けた細長い棒状に形成される。左縦材41は、その上下方向の長さが、フレーム部20の右縦材フレーム22の上下方向の長さと同一か、又は若干小さく形成される。右縦材42は、平面断面視でその外寸が、右縦材フレーム22の内寸より若干小さい略四角筒状に形成される(図6参照)。
【0032】
図4に示す横桟材43は、梯子部40の左右中央部に、上下方向に均等な間隔をあけて複数(本実施形態では、4つ)設けられる。横桟材43は、その長手方向を左右方向へ向けた細長い棒状に形成される。横桟材43は、その左右方向の長さが、フレーム部20の左縦材フレーム21と右縦材フレーム22との間の長さと同一に形成される。横桟材43は、左縦材41と右縦材42との間に架設され、前記左縦材41と前記右縦材42とを連結している。
【0033】
このように、梯子部40は、左縦材41、右縦材42、及び横桟材43により、正面視で長手方向を上下方向へ向けた(昇降可能な)梯子として形成される。
【0034】
図2及び図5に示すステージ部50は、主として、ステージ板材51を具備する。
【0035】
図5に示すステージ板材51は、その板面を前後方向へ向けた略板状に形成される。ステージ板材51は、正面視で長手方向を左右方向へ向けた略矩形に形成される。ステージ板材51は、その左右方向の長さが、左縦材フレーム21と右縦材フレーム22との間の長さと同一か、又は若干長く形成される。なお、ステージ板材51の後側面には、滑り止め加工が施される。ステージ板材51は、ステージ支持部52と、ステージ係止部53と、ステージ収容片54と、を具備する。
【0036】
図5に示すステージ支持部52は、ステージ部50の下端部側(回動基部側)をフレーム部20に回動自在となるように支持するものである。ステージ支持部52は、ステージ板材51の左下端部と右下端部とに、それぞれ下方へ向けて突出したステーにより形成される。
【0037】
図5に示すステージ係止部53は、ステージ板材51の左上端部と右上端部とに、それぞれ上方へ向けて突出したハンド状であって側面視で前方が開放された略円弧状に形成される。ステージ係止部53は、ステージ部50がステージ収容部26に収容されていない(折り畳まれていない)状態で、仮設足場10(より詳細には、第二パイプ12b)に係止可能に構成される。
【0038】
図5に示すステージ収容片54は、ステージ板材51の左上端部に、左方へ向けて突出したステーにより形成される。ステージ収容片54は、ステージ部50がステージ収容部26に収容された(折り畳まれた)状態で、フレーム部20の左縦材フレーム21の下部に設けられた保持部31と合わせて、ステージ部50をフレーム部20に固定できるように構成される。
【0039】
次に、フレーム部20と梯子部40とステージ部50とによる昇降タラップ100の組み付け構成について、図6及び図7を用いて説明する。
【0040】
以下では、梯子部40とフレーム部20との組み付け構成について説明する。
【0041】
梯子部40は、フレーム部20に対して摺動自在に組み付けられる。より詳細には、梯子部40は、左縦材41及び右縦材42が、フレーム部20の左縦材フレーム21及び右縦材フレーム22の内部にそれぞれ挿入される。そして、梯子部40の左縦材41及び右縦材42は、それぞれフレーム部20の左縦材フレーム21及び右縦材フレーム22の内部を上下方向(長手方向)へ向けて摺動自在に構成される。
【0042】
なお、図6に示すのは、使用されていない状態(以下では、単に「不使用状態」と称する。)(組み立てられていない状態)の昇降タラップ100である。このように、昇降タラップ100が不使用状態においては、梯子部40の左縦材41及び右縦材42の略全てがフレーム部20の内部に挿入され、フレーム部20と梯子部40とは正面視で略重複する位置関係となる。すなわち、昇降タラップ100が不使用状態においては、組み付けられたフレーム部20及び梯子部40の長手方向の長さは、当該フレーム部20(又は、当該梯子部40)の長手方向の長さと略同一となる。
【0043】
このように、昇降タラップ100が不使用状態においては、梯子部40の左縦材41及び右縦材42の略全てがフレーム部20の内部に挿入されるため、梯子部40専用の収納場所を設ける必要がなく、昇降タラップ100をコンパクトにして小さなスペースに収納できる。すなわち、コストの削減を図ることができると共に、スペースの有効活用を図ることができる。
【0044】
また、図7に示すのは、使用されている状態(以下では、単に「使用状態」と称する。)(組み立てられた状態)の昇降タラップ100である。昇降タラップ100が使用状態においては、フレーム部20の引掛け具27が第二パイプ12bに係止されておらず(図8参照)、クランプ25が仮設足場10に配設された第一パイプ12aに回転自在に支持された状態となる。そして、昇降タラップ100が使用状態においては、フレーム部20及び梯子部40が側面視で反時計回りに回動して、上側が前方であり下側が後方となるように傾斜した姿勢となる。
【0045】
このように、昇降タラップ100が使用状態においては、梯子部40の左縦材41及び右縦材42の略全てがフレーム部20の内部に挿入されておらず(フレーム部20から露出して)、フレーム部20の下端部と梯子部40の上端部とが正面視で略重複する位置関係となる。すなわち、昇降タラップ100が使用状態においては、組み付けられたフレーム部20及び梯子部40の長手方向の最長の長さは、当該フレーム部20と当該梯子部40とのそれぞれの長手方向の長さを足し合わせた長さと略同一となる。
【0046】
なお、昇降タラップ100が不使用状態においては、フレーム部20の左縦材フレーム21の第一挿通孔28、及び梯子部40の左縦材41の複数の挿通孔44のうち最上部に形成された挿通孔44に、図示せぬトグルピンが挿通される。これによって、昇降タラップ100が不使用状態における、フレーム部20及び梯子部40の相互の位置関係が維持(固定)されることとなる(梯子部40がフレーム部20に対して下方へ摺動しない)。
【0047】
また、昇降タラップ100が使用状態においては、梯子部40の下端部が建物1のバルコニー2の床面に当接している(図9(b)参照)。すなわち、フレーム部20と梯子部40とが前記トグルピンにより固定されていないため、梯子部40はフレーム部20に対して摺動自在となり自重によって長手方向の下方側に位置するバルコニー2の床面を押圧する。これによって、昇降タラップ100が使用状態における、フレーム部20及び梯子部40の相互の位置関係が維持(固定)されることとなる(梯子部40がフレーム部20に対して下方へ摺動しない)。
【0048】
なお、昇降タラップ100が使用状態においては、フレーム部20の左縦材フレーム21の第二挿通孔29、及び左縦材41の任意の挿通孔44に、前記トグルピンを挿通することができる。これによって、昇降タラップ100が使用状態において、フレーム部20の内部に挿入されずに下方に露出している梯子部40の長さを複数段階に調整して、梯子部40の下端部をバルコニー2の床面から任意の高さだけ離間させることができる。これによって、例えば作業者が作業するときに梯子部40が邪魔となる場合には、梯子部40の下端部をバルコニー2の床面から任意の高さだけ離間させて、梯子部40が作業の邪魔となることを防止することができる。
【0049】
以下では、ステージ部50とフレーム部20との組み付け構成について説明する。
【0050】
ステージ部50は、フレーム部20に対して回動自在に組み付けられ、前記フレーム部20のステージ収容部26に収容可能に構成される。ステージ部50は、ステージ支持部52がフレーム部20のステージ収容部26の支持部30に、図示せぬピンを介して回動自在に連結される。これによって、ステージ部50は、フレーム部20に対して回動自在に支持される。
【0051】
なお、図6に示すのは、フレーム部20のステージ収容部26に収容されている状態(組み立てられていない状態)のステージ部50である。このように、ステージ部50が収容されている状態においては、ステージ部50は、ステージ係止部53(先端部)が上方へ向けられて、フレーム部20の長手方向に沿うように配置される。すなわち、ステージ部50が収容されている状態においては、ステージ部50とフレーム部20とをコンパクトに組み付けることができる。
【0052】
また、図7に示すのは、使用されている状態(収容されていない状態)(組み立てられた状態)のステージ部50である。このように、ステージ部50が使用されている状態においては、ステージ部50が側面視で反時計回りに回動して、ステージ係止部53(先端部)が前方へ向けられた姿勢となる。なお、かかる場合には、ステージ部50は、ステージ板材51を板面を上下方向へ向けた状態となる。
【0053】
次に、不使用状態から使用状態への昇降タラップ100の組み立て方法について、図8及び図9を用いて説明する。
【0054】
図8(a)に示すように、昇降タラップ100は不使用状態において、長手方向を上下方向へ向けた状態で、仮設足場10に付設される。なお、かかる状態では、フレーム部20の引掛け具27は、第二パイプ12bに係止されている。これによって、昇降タラップ100は、自由に(作業者の意図に反して)回動しないように構成される。
【0055】
このように、昇降タラップ100は不使用状態において、仮設足場10に収納させることができる。したがって、昇降タラップ100は不使用状態において、作業者の作業の邪魔となることを防止することができる。また、昇降タラップ100は不使用状態において、仮設足場10に付設すればよく、当該昇降タラップ100専用の収納場所を設ける必要がない。すなわち、コストの削減を図ることができると共に、スペースの有効活用を図ることができる。
【0056】
次に、図8(b)に示すように、昇降タラップ100を、フレーム部20の引掛け具27を第二パイプ12bから外して、側面視で反時計回りに回動させる。
【0057】
次に、図9(a)に示すように、ステージ部50を、フレーム部20の保持部31から外して、側面視で反時計回りに回動させる。そして、ステージ部50の先端部に形成されたステージ係止部53を、第二パイプ12bに上方から係止させる。これによって、フレーム部20及び梯子部40の回動された後の姿勢(上側が前方であり下側が後方となるように傾斜した姿勢)が維持(固定)される。
【0058】
次に、図9(b)に示すように、梯子部40をフレーム部20に対して摺動させ、下方へ向けて降ろす。すなわち、フレーム部20の内側に略全てが挿入されていた梯子部40の左縦材41及び右縦材42を、当該フレーム部20の外側に露出させる。なお、かかる場合に、フレーム部20の下横材24には、隙間Sが形成されているので、梯子部40の横桟材43と前記下横材24とで作業者の手が挟まることを防止することができる。また、梯子部40の抜け止めプレート45が、梯子部40がフレーム部20に対して最も下方に下りたときにフレーム部20の下横材24と干渉するように構成される。これによって、梯子部40が、フレーム部20から完全に抜け落ちることを防止することができる。
【0059】
このように組み立てられた昇降タラップ100を使用して、作業者は、仮設足場10の足場部材12と建物1のバルコニー2との間を、昇降移動することができる。
【0060】
また、作業者は、仮設足場10の足場部材12から建物1のバルコニー2へと昇降タラップ100を使用して移動する場合に、フレーム部20の左縦材フレーム21と右縦材フレーム22との間を通って、梯子部40側へ移動する。かかる場合に、作業者は、左右両側に配置された左縦材フレーム21と右縦材フレーム22とを、手摺として使用することができる。これによって、例えば作業者が移動時に左右のいずれの側にふらついたとしても、左縦材フレーム21又は右縦材フレーム22を掴むことができるので、スムーズに移動することができる。
【0061】
また、作業者は、仮設足場10の足場部材12から建物1のバルコニー2へと昇降タラップ100を使用して移動する場合には、ステージ板材51の板面を上下方向へ向けたステージ部50を足場として使用できるので、スムーズに移動することができる。
【0062】
なお、昇降タラップ100は不使用状態において、建物1のバルコニー2側から組み立てることができない。より詳細には、昇降タラップ100は設置された状態で、フレーム部20の第一挿通孔28、及び梯子部40の(複数の挿通孔44のうち最上部に形成された)挿通孔44に挿通された前記トグルピンを、建物1のバルコニー2側から抜き取ることができないように構成される。すなわち、昇降タラップ100は不使用状態において、例えばいたずら等により作業者以外の者によって組み立てられ、建物1のバルコニー2から仮設足場10へ移動されることを防止することができる。
【0063】
また、昇降タラップ100は、仮設足場10が組み立てられるときに、当該仮設足場10の組み立てと同時に設置することができる。したがって、仮設足場10の組み立て作業と昇降タラップ100の設置作業とを、別々に行うことなく同時に行うことができるので、作業効率を向上させることができる。
【0064】
以上のように、本発明の一実施形態に係る昇降タラップ100は、
建物1と前記建物1に並設された仮設足場10との間の昇降移動に使用する昇降タラップであって、
左右に離間して配置された左右の縦材フレーム21・22を有し、上下一側端部が前記仮設足場10に回動自在に支持されるフレーム部20と、
前記左右の縦材フレーム21・22内にそれぞれ上下方向へ向けて摺動可能に収容される左右の縦材41・42と、前記左右の縦材41・42の間に架設される複数の横桟材43とを有し、前記フレーム部20内に出入可能に構成される梯子部40と、
を具備して、
不使用時には、前記梯子部40を前記フレーム部20内に進入させると共に、前記フレーム部20の上下他側端部を前記仮設足場10に近接させることにより、前記建物1と前記仮設足場10との間の昇降移動に使用不能な第一状態(図8(a)に示す状態)とし、
使用時には、前記フレーム部20の上下他側端部を前記仮設足場10から離間させて前記建物1に近接させると共に、前記梯子部40を前記フレーム部20外に退出させることにより、前記建物1と前記仮設足場10との間の昇降移動に使用可能な第二状態(図9(b)に示す状態、すなわちフレーム部20及び梯子部40が、上側が前方であり下側が後方となるように傾斜した姿勢となる状態)とするものである。
【0065】
また、本発明の一実施形態に係る昇降タラップ100は、
上下一側端部が前記フレーム部20に回動可能に支持されるステージ部50を具備し、
前記第一状態では、前記ステージ部50の上下他側端部を前記フレーム部20に近接させることにより、前記ステージ部50を前記フレーム部20(より詳細には、ステージ収容部26)に収容し、
前記第二状態では、前記ステージ部50の上下他側端部を前記フレーム部20から離間させて前記仮設足場10に連結させることにより、前記フレーム部20における前記第二状態の姿勢を維持させるものである。
【0066】
また、本発明の一実施形態に係る昇降タラップ100は、
前記第二状態では、前記ステージ部50を前記建物1と前記仮設足場10との間の足場として使用するものである。
【0067】
このような構成によって、本発明の一実施形態に係る昇降タラップ100は、集合住宅やビル等の建物1と前記建物1に並設される仮設足場10との間の昇降移動をスムーズに行うことができ、また、その場で収納することができるので、作業の邪魔となったり、作業者の意図に反して(例えば、いたずら等に)使用されたりする不都合が生じることを防止することができる。
【符号の説明】
【0068】
1 建物
10 仮設足場
20 フレーム部
21 左縦材フレーム
22 右縦材フレーム
40 梯子部
41 左縦材
42 右縦材
50 ステージ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物と前記建物に並設された仮設足場との間の昇降移動に使用する昇降タラップであって、
左右に離間して配置された左右の縦材フレームを有し、上下一側端部が前記仮設足場に回動自在に支持されるフレーム部と、
前記左右の縦材フレーム内にそれぞれ上下方向へ向けて摺動可能に収容される左右の縦材と、前記左右の縦材の間に架設される複数の横桟材とを有し、前記フレーム部内に出入可能に構成される梯子部と、
を具備して、
不使用時には、前記梯子部を前記フレーム部内に進入させると共に、前記フレーム部の上下他側端部を前記仮設足場に近接させることにより、前記建物と前記仮設足場との間の昇降移動に使用不能な第一状態とし、
使用時には、前記フレーム部の上下他側端部を前記仮設足場から離間させて前記建物に近接させると共に、前記梯子部を前記フレーム部外に退出させることにより、前記建物と前記仮設足場との間の昇降移動に使用可能な第二状態とする、
ことを特徴とする昇降タラップ。
【請求項2】
上下一側端部が前記フレーム部に回動可能に支持されるステージ部を具備し、
前記第一状態では、前記ステージ部の上下他側端部を前記フレーム部に近接させることにより、前記ステージ部を前記フレーム部に収容し、
前記第二状態では、前記ステージ部の上下他側端部を前記フレーム部から離間させて前記仮設足場に連結させることにより、前記フレーム部における前記第二状態の姿勢を維持させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の昇降タラップ。
【請求項3】
前記第二状態では、前記ステージ部を前記建物と前記仮設足場との間の足場として使用する、
ことを特徴とする請求項2に記載の昇降タラップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−96137(P2013−96137A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−239712(P2011−239712)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(502031751)株式会社ダイワサービス (3)
【出願人】(391062377)綜建産業株式会社 (8)
【Fターム(参考)】