説明

昇降式収容棚

【課題】 物品の収納、取り出しを行った後には収容棚を自然と高所まで上昇させることができ、しかも、荷重の変動に拘わらず収容棚の上昇速度をほぼ一定に抑えることができ、而して、収容棚の高所での激突と大きな音の発生とをなくし得る昇降式収容棚を提供すること。
【解決手段】 降式収容棚1は、昇降自在な収容棚2と、収容棚2が昇降自在に配された枠体3と、収容棚2の昇降を案内する案内手段4と、収容棚2を上昇させる上昇手段5と、収容棚2を解除自在に保持する保持手段6と、上昇手段5による収容棚2の上昇に抗する抵抗力を粘性剪断抵抗に基づいて発生する抵抗力発生手段7と、収容棚2に取付けられていると共に、収容棚2を手動により降下させるための取っ手8とを具備している。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、比較的高所に設置される収容棚を上下に昇降できるようにした昇降式収容棚に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】例えば事務所、家屋等の天袋のように比較的高所に配される収容棚を昇降自在にして、収容棚に対する事務用品、皿等の物品の収納、取り出しを、踏み台や椅子を用いることなしに容易に行い得るようにした昇降式収容棚は既に提案されている。
【0003】斯かる昇降式収容棚では、物品の収納、取り出しを行った後には人手を煩わせることなしに自然と高所まで収容棚が上昇するようになっていることが利便であるが、これを収容棚に常に上昇力を与えて行う場合には、上昇速度が適度の値でないと、収容棚が高所でストッパ等に激突して、収容した物品の損傷や大きな音を発生したりする。
【0004】また、昇降式収容棚では、物品の出し入れにより物品を含めた収容棚の荷重が変動する結果、この変動する荷重に影響されないように、換言すれば、最大荷重でも収容棚を上昇させることができるように、収容棚に与える上昇力は、通常大きく設定されるのであるが、斯かる大きな上昇力では、物品が取り出されて物品を含めた収容棚の荷重が小さい場合には、上記の収容棚の高所での激突と大きな音の発生とが更に著しくなる。
【0005】本発明は、前記諸点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、物品の収納、取り出しを行った後には収容棚を自然と高所まで上昇させることができ、しかも、荷重の変動に拘わらず収容棚の上昇速度をほぼ一定に抑えることができ、而して、収容棚の高所での激突と大きな音の発生とをなくし得る昇降式収容棚を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の昇降式収容棚は、昇降自在な収容棚と、この収容棚を上昇させる上昇手段と、上昇手段による収容棚の上昇に抗する抵抗力を粘性剪断抵抗に基づいて発生する抵抗力発生手段とを具備しており、ここで、上昇手段は、一端が収容棚の上部両側の夫々に連結された一対の可撓性の長尺体と、この各長尺体の夫々の他端が連結されていると共に、各長尺体を巻き取る巻き取り手段と、この巻き取り手段の巻き取り軸心と同心に配されている同心プーリと、この同心プーリに一端が連結されていると共に、当該同心プーリに巻き取られて収容棚を上昇させる上昇力を生じさせる少なくとも一つの定荷重ばねを有した定荷重ばね手段と、巻き取り手段の巻き取り軸心と同心に配されていると共に、巻き取り手段による長尺体の巻き取りによって回転される回転自在な軸とを具備しており、抵抗力発生手段は、収容棚の上昇における上昇手段の軸の回転に抗する抵抗力を粘性剪断抵抗に基づいて発生するようになっている。
【0007】斯かる本発明の昇降式収容棚によれば、物品の収納、取り出しを行った後には収容棚を上昇手段をもって自然と高所まで上昇させることができ、しかも、抵抗力発生手段が上昇手段による収容棚の上昇に抗する抵抗力を粘性剪断抵抗に基づいて発生するようになっているために、収容物品を含めた収容棚の荷重変動に拘わらず、収容棚の上昇速度をほぼ一定に抑えることができ、而して、収容棚の高所での激突と大きな音の発生とをなくし得る。
【0008】加えて上記の本発明の昇降式収容棚によれば、収容棚の上部両側に連結された一対の可撓性の長尺体に対して軸を介して抵抗力発生手段を共用しているために、上昇手段及び抵抗力発生手段を収容棚の上部にコンパクトに設置できて、しかも、著しいコスト低減を図り得る。
【0009】本発明において可撓性の長尺体として、ワイヤを好ましい例として挙げることができるが、これに代えて、紐、チェーン又はベルトであってもよい。
【0010】本発明では、巻き取り手段は、各長尺体を巻き取る少なくとも一つの巻き取りプーリを有しており、巻き取りプーリと同心プーリとは、巻き取りプーリと同心プーリとのうちの一方が回転される際には、その回転により巻き取りプーリと同心プーリとのうちの他方が回転されるようになっていても、これに代えて、各長尺体を巻き取る一対の巻き取りプーリを有しており、一対の巻き取りプーリと同心プーリとは、一対の巻き取りプーリと同心プーリとのうちの一方が回転される際には、その回転により一対の巻き取りプーリと同心プーリとのうちの他方が回転されるようになっていてもよく、ここで、巻き取りプーリと同心プーリとは、軸と同心に配されていると共に、当該軸に固着されていてもよい。
【0011】本発明に係る定荷重ばね手段は、一つの定荷重ばねを具備して構成されていてもよいのであるが、これに代えて、好ましくは、一対の定荷重ばねと、一対の定荷重ばねの夫々が巻回される回転自在な一対のドラムとを具備しており、斯かる定荷重ばね手段によれば、収容棚を上昇させる所望の上昇力を好ましく発生することができる。
【0012】本発明においては、抵抗力発生手段は、回転体と、この回転体に対して微小隙間をもって対峙された静止体と、微小隙間に配された粘性体と、回転自在軸と回転体との間に介在された一方向クラッチとを具備していてもよく、ここで、一方向クラッチは、収容棚の上昇における軸の回転を回転体に伝達し、収容棚の下降において回転自在軸を回転体に対して空転させるようになっていてもよい。
【0013】斯かる上昇手段と抵抗力発生手段との組み合わせによれば、これら上昇手段と抵抗力発生手段とを収容棚の上方に大きなスペースを占有することなしに更に極めてコンパクトに設置できる。
【0014】本発明の昇降式収容棚は、更に、収容棚に取付けられていると共に、収容棚を手動により降下させるための取っ手を具備していてもよく、斯かる取っ手は、収容棚の前面に又はこれに代えて若しくはこれと共に収容棚の下面に取付けてもよい。
【0015】また本発明の昇降式収容棚は、収容棚が昇降自在に配された枠体と、収容棚の昇降を案内する案内手段とを更に具備していてもよく、ここで、案内手段は、収容棚の側面に取付けられたローラと、このローラが配されるように枠体に設けられた溝とを具備していてもよく、斯かる案内手段により収容棚の昇降を滑らかに行うことができる。
【0016】本発明の昇降式収容棚は、収容棚を下方位置で解除自在に保持する保持手段を更に具備していてもよく、斯かる保持手段は、弾性的に付勢された係合突起と、収容棚が下降されて下方位置に配される際に係合突起に係合される被係合凹所とを具備して構成されていてもよく、ここで、係合突起を球体、例えば鋼球(ボール)等の滑らかな外面を有したものから構成すると、被係合凹所に対する係合突起の係合及び非係合を少しの手動力でスムーズに行うことができる。
【0017】本発明の昇降式収容棚は、家庭の台所等に用いられて好適であるが、事業用の厨房、事務室等のその他の個所に用いられてもよい。
【0018】次に本発明を、図に示す好ましい具体例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明は、これら具体例に何ら限定されないのである。
【0019】
【発明の実施の形態】図1から図7において、本例の昇降式収容棚1は、昇降自在な収容棚2と、収容棚2が昇降自在に配された枠体3と、収容棚2の昇降を案内する案内手段4と、収容棚2を上昇させる上昇手段5と、収容棚2を図8に示す下方位置で解除自在に保持する保持手段6と、上昇手段5による収容棚2の上昇に抗する抵抗力を粘性剪断抵抗に基づいて発生する抵抗力発生手段7と、収容棚2に取付けられていると共に、収容棚2を手動により降下させるための取っ手8とを具備している。
【0020】箱型の収容棚2は、図2において左右の側板11及び12と、側板11及び12の夫々にヒンジ(蝶番)を介して回動自在に取付けられていると共に、前面に夫々取っ手13を有した扉14及び15と、側板11及び12に固着された底板16と、側板11及び12に固着された上板(天井板)17とを具備しており、底板16の前面に、取っ手8が取付けられている。
【0021】枠体3は、中空の天井枠(上枠)21と、天井枠21に固着された一対の中空の側枠22及び23と、天井枠21内において天井枠21に固定された支持板24とを具備しており、収容棚2は、一対の側枠22及び23間に昇降自在に配されている。
【0022】案内手段4は、収容棚2の側面、即ち収容棚2の側板11及び12の夫々の外側面31に軸32及び33を介して夫々上下に離間して配されて回転自在に取付けられた一対のローラ34及び35と、ローラ34及び35が配されるように枠体3の側枠22及び23の内側面36に上下に伸びて設けられた溝37とを具備している。
【0023】案内手段4は、収容棚2の昇降に際してローラ34及び35が溝37において側枠22に転動して収容棚2の昇降を案内するようになっている。
【0024】上昇手段5は、夫々の一端がL型金具41及び42を介して収容棚2の上部両側、本例では上板17の図2において左右両側に連結されていると共に、転向プーリ43及び44に掛けられている一対の可撓性の長尺体としてのワイヤ45及び46と、ワイヤ45及び46の夫々の他端が連結されていると共に、ワイヤ45及び46の夫々を巻き取る巻き取り手段47と、巻き取り手段47の巻き取り軸心48と同心に配されている同心プーリ49と、同心プーリ49に一端が連結されていると共に、同心プーリ49に巻き取られて収容棚2を上昇させる上昇力を生じさせる少なくとも一つ、本例では二つの定荷重ばね51及び52を有した定荷重ばね手段53と、巻き取り手段47の巻き取り軸心48と同心に配されていると共に、巻き取り手段47によるワイヤ45及び46の巻き取りによって回転される回転自在な軸54とを具備している。
【0025】転向プーリ43及び44の夫々は、支持軸55及び軸受56を介して支持板24に回転自在に支持されている。
【0026】巻き取り手段47は、ワイヤ45及び46の夫々を巻き取る少なくとも一つの巻き取りプーリ、本例では巻き取り軸心48方向において同心プーリ49を挟んで配された一対の鍔付きの巻き取りプーリ57及び58を有しており、巻き取りプーリ57及び58の夫々は軸54に固着されており、巻き取りプーリ57及び58間において巻き取りプーリ57及び58と同心に配された同心プーリ49もまた、これら巻き取りプーリ57及び58並びに同心プーリ49に同心に配された軸54に固着されており、これにより、一対の巻き取りプーリ57及び58と同心プーリ49とは、一対の巻き取りプーリ57及び58と同心プーリ49とのうちの一方が回転される際には、その回転により一対の巻き取りプーリ57及び58と同心プーリ49とのうちの他方が回転されるようになっている。
【0027】定荷重ばね手段53は、上記の一対の定荷重ばね51及び52と、一対の定荷重ばね51及び52の夫々が巻回されていると共に、当該定荷重ばね51及び52の夫々の他端が固着された回転自在な鍔付きの一対のドラム61及び62とを具備している。
【0028】図4の左右方向において同心プーリ49を挟んで配されたドラム61及び62の夫々は、支持軸63及び64に回転自在に支持されており、支持軸63及び64は、支持板24に立設された取付板65に固着されている。
【0029】巻き取りプーリ57及び58並びに同心プーリ49が固着された軸54は、取付板65に回転自在に支持されていると共に、当該取付板65を貫通して配されており、巻き取りプーリ57及び58並びに同心プーリ49のいずれかの回転により回転されるようになっている。
【0030】ワイヤ45及び46の夫々は、取付板65の左右の側板部66を貫通して伸びており、ワイヤ45及び46の夫々には、側板部66に当接して巻き取りプーリ57及び58によるワイヤ45及び46の必要以上の巻き取りを阻止するストッパ67が固着されている。
【0031】定荷重ばね51及び52を有する上昇手段5は、収容物品を含めた収容棚2の最大荷重に基づく下降力以上であるが、人手で容易に収容棚2を下降させることができる程度の上昇力をワイヤ45及び46を介して収容棚2に与えており、而して、上昇手段5は、収容棚2が保持手段6により保持されないで且つ人手により収容棚2に下降力が付与されない限りは、収容棚2を図1R>1に示す上昇位置に上昇させるようになっている。
【0032】保持手段6は、特に図7に示すように、側枠22の孔71に配された弾性体としてのコイルばね72と、コイルばね72により弾性的に付勢されて側枠22の孔71に、抜け出さないように且つ回転自在に設けられた係合突起としての鋼球73と、収容棚2が下降されて下方位置に配される際に鋼球73に係合されるように収容棚2の側板11の外側面31に設けられた被係合凹所74と、孔71に配されたばね受け75及び76とを具備しており、コイルばね72により弾性的に付勢された鋼球73の一部分は、側枠22の内側面36から孔71外部に突出している。
【0033】保持手段6は、手動による収容棚2の下降(引き下げ)において、側板11の外側面31で一旦鋼球73が孔71に押し込まれた後に、収容棚2が図8に示す下方位置に移動されると、鋼球73が被係合凹所74に部分的に突出して、被係合凹所74での鋼球73と側板11との係合で、手動による下方向力が収容棚2に加えられなくなっても、上昇手段5による上昇力に拘わらず収容棚2を図8に示す下方位置に保持するようになっている。
【0034】尚、斯かる構成の保持手段6は、好ましくは、側板12側にも同様にして設けられるが、側板11及び12のうちのいずれか一方のみに設けられていてもよい。
【0035】抵抗力発生手段7は、特に図5及び図6に示すように、複数の同心に配された環状の突起81を両側面に有した円盤状の回転体82と、各突起81が配される複数の環状の凹所83を内側面に有して、回転体82に対して微小隙間84をもって対峙された静止体としてのハウジング85と、微小隙間84に配された粘性体、好ましくは高粘性体86と、軸54と回転体82との間に介在された一方向クラッチ87とを具備している。
【0036】ハウジング85は、ねじ88により互いに固着されて一体化された半割体89及び90からなり、回転体82の回転と共に回転しないように取付板65に同じくねじ88を介して固着されている。
【0037】一方向クラッチ87は、一方では、軸54の一端部91に、他方では、回転体82に夫々連結されており、収容棚2の上昇における軸54の回転を回転体82に伝達し、収容棚2の下降における軸54の回転を回転体82に伝達しないようにして、収容棚2の下降において軸54を回転体82に対して空転させるようになっている。
【0038】抵抗力発生手段7は、収容棚2の上昇における軸54の回転で回転体82が同じく回転されると、回転体82とハウジング85との間の微小隙間84に配された高粘性体86が粘性剪断されて、この剪断に基づく抵抗(粘性剪断抵抗)により収容棚2の上昇に抵抗力を与え、収容棚2の下降において軸54が回転体82に対して空転されると、高粘性体86の剪断が行われずに、収容棚2の下降に抵抗力を与えないようになっている。抵抗力発生手段7による抵抗力(粘性剪断抵抗力)は、回転体82の回転速度、換言すれば、収容棚2の上昇速度が速くなればなるほど大きくなる。
【0039】壁等に枠体3が取付けられて用いられる以上の昇降式収容棚1では、図1に示す上方位置で取っ手8を介して収容棚2に手動の下方向力が付与されると、収容棚2は、ワイヤ45及び46を下方に引っ張って、当該ワイヤ45及び46の巻き取りプーリ57及び58からの巻き出しに基づく巻き取りプーリ57及び58の回転による同心プーリ49の回転及びこの回転に基づく定荷重ばね51及び52の同心プーリ49への重ね合わされながらの巻き込みの夫々を伴って案内手段4に案内されて下降されて、図8に示す下方位置に達すると、取っ手8から手が離されて手動の下方向力が収容棚2に付与されなくなっても、保持手段6によりその位置に保持される。ワイヤ45及び46の下方への引っ張りに基づく軸54の回転は、一方向クラッチ87により回転体82に伝達されないようになっているために、収容棚2の下降では、抵抗力発生手段7は粘性剪断抵抗に基づく抵抗力を発生せず、したがって、収容棚2の下降は、抵抗力発生手段7による抵抗なしに行われる。
【0040】下方位置に設定された収容棚2に対して物品の出し入れがなされた後に、保持手段6による保持が解除される程度の上方向力が取っ手8を介して又は直接に収容棚2に付与されると、収容棚2は、手動の上方向力が付与されなくなっても定荷重ばね51及び52のドラム61及び62への弾性的な巻き戻し力による同心プーリ49の前記と逆の回転で巻き取りプーリ57及び58が同じく前記と逆に回転されてワイヤ45及び46が巻き取りプーリ57及び58の夫々に巻き取られる結果、上方に引っ張られるワイヤ45及び46により自然と自動的に上昇されて図1に示す上方位置に配される。
【0041】定荷重ばね51及び52のばね力に基づく同心プーリ49の回転によるワイヤ45及び46の上方への引っ張りを行う軸54の回転は、一方向クラッチ87を介して回転体82に伝達される結果、抵抗力発生手段7は粘性剪断抵抗に基づく抵抗力を発生し、これにより収容棚2の上昇は、抵抗力発生手段7による粘性剪断抵抗の発生を伴って行われる。したがって、物品の出し入れによって物品を含めた収容棚2の荷重が変化しても、収容棚2の上昇は、適宜に抵抗力発生手段7によって制動される。
【0042】昇降式収容棚1によれば、物品の収納、取り出しを行った後には保持手段6による保持を解除することにより、収容棚2を定荷重ばね51及び52の巻き戻し力をもって自然と高所まで上昇させることができ、しかも、上昇手段5による収容棚2の上昇において、抵抗力発生手段7が斯かる上昇に抗する抵抗力を粘性剪断抵抗に基づいて発生するようになっているために、収容物品を含めた収容棚2の荷重変動に拘わらず、収容棚2の上昇速度をほぼ一定に抑えることができ、而して、収容棚2の高所での激突と大きな音の発生とをなくし得、収容棚2に収容された物品の損壊をなくすことができる。
【0043】しかも、昇降式収容棚1によれば、収容棚2の上部両側に連結されたワイヤ45及び46に対して軸54を介して抵抗力発生手段7を共用しているために、上昇手段5及び抵抗力発生手段7を収容棚2の上部にコンパクトに設置できて、しかも、著しいコスト低減を図り得る。
【0044】本例の昇降式収容棚1では、突起81を有した回転体82と、凹所83を有したハウジング85とを具備して抵抗力発生手段7を構成したが、これに代えて突起81を有しない円盤状の回転体82と、凹所83を有しないハウジング85とで抵抗力発生手段7を構成してもよく、また、保持手段6としては、上記のような鋼球73を具備したものに限定されず、また、取っ手8の操作(把持)と連動して保持手段6の保持解除を行わせるようにしてもよく、更には、上昇力を調節できるように、調節機構を具備した定荷重ばね手段53を用いて上昇手段5を構成してもよい。
【0045】
【発明の効果】本発明によれば、物品の収納、取り出しを行った後には収容棚を自然と自動的に高所まで上昇させることができ、しかも、荷重の変動に拘わらず収容棚の上昇速度をほぼ一定に抑えることができ、而して、収容棚の高所での激突と大きな音の発生とをなくし得る昇降式収容棚を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の好ましい一例の斜視図である。
【図2】図1に示す例の正面図である。
【図3】図1に示す例の一部の平面図である。
【図4】図3に示すIV−IV線矢視断面図である。
【図5】図4に示す一部の背面説明図である。
【図6】図5に示す抵抗力発生手段の断面説明図である。
【図7】図1に示す例の保持手段の説明図である。
【図8】図1に示す例の動作説明図である。
【符号の説明】
1 昇降式収容棚
2 収容棚
3 枠体
4 案内手段
5 上昇手段
6 保持手段
7 抵抗力発生手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】 昇降自在な収容棚と、この収容棚を上昇させる上昇手段と、上昇手段による収容棚の上昇に抗する抵抗力を粘性剪断抵抗に基づいて発生する抵抗力発生手段とを具備しており、上昇手段は、一端が収容棚の上部両側の夫々に連結された一対の可撓性の長尺体と、この各長尺体の夫々の他端が連結されていると共に、各長尺体を巻き取る巻き取り手段と、この巻き取り手段の巻き取り軸心と同心に配されている同心プーリと、この同心プーリに一端が連結されていると共に、当該同心プーリに巻き取られて収容棚を上昇させる上昇力を生じさせる少なくとも一つの定荷重ばねを有した定荷重ばね手段と、巻き取り手段の巻き取り軸心と同心に配されていると共に、巻き取り手段による長尺体の巻き取りによって回転される回転自在な軸とを具備しており、抵抗力発生手段は、収容棚の上昇における上昇手段の軸の回転に抗する抵抗力を粘性剪断抵抗に基づいて発生するようになっている昇降式収容棚。
【請求項2】 巻き取り手段は、各長尺体を巻き取る少なくとも一つの巻き取りプーリを有しており、巻き取りプーリと同心プーリとは、巻き取りプーリと同心プーリとのうちの一方が回転される際には、その回転により巻き取りプーリと同心プーリとのうちの他方が回転されるようになっている請求項1に記載の昇降式収容棚。
【請求項3】 巻き取り手段は、各長尺体を巻き取る一対の巻き取りプーリを有しており、一対の巻き取りプーリと同心プーリとは、一対の巻き取りプーリと同心プーリとのうちの一方が回転される際には、その回転により一対の巻き取りプーリと同心プーリとのうちの他方が回転されるようになっている請求項1に記載の昇降式収容棚。
【請求項4】 巻き取りプーリと同心プーリとは、軸と同心に配されていると共に、当該軸に固着されている請求項2又は3に記載の昇降式収容棚。
【請求項5】 定荷重ばね手段は、一対の定荷重ばねと、一対の定荷重ばねの夫々が巻回される回転自在な一対のドラムとを具備している請求項1から4のいずれか一項に記載の昇降式収容棚。
【請求項6】 抵抗力発生手段は、回転体と、この回転体に対して微小隙間をもって対峙された静止体と、微小隙間に配された粘性体と、軸と回転体との間に介在された一方向クラッチとを具備している請求項1から5のいずれか一項に記載の昇降式収容棚。
【請求項7】 一方向クラッチは、収容棚の上昇における軸の回転を回転体に伝達し、収容棚の下降において軸を回転体に対して空転させるようになっている請求項6に記載の昇降式収容棚。
【請求項8】 収容棚に取付けられていると共に、収容棚を手動により降下させるための取っ手を更に具備している請求項1から7のいずれか一項に記載の昇降式収容棚。
【請求項9】 収容棚が昇降自在に配された枠体と、収容棚の昇降を案内する案内手段とを更に具備しており、案内手段は、収容棚の側面に取付けられたローラと、このローラが配されるように枠体に設けられた溝とを具備している請求項1から8のいずれか一項に記載の昇降式収容棚。
【請求項10】 収容棚を下方位置で解除自在に保持する保持手段を更に具備している請求項1から9のいずれか一項に記載の昇降式収容棚。
【請求項11】 保持手段は、弾性的に付勢された係合突起と、収容棚が下降されて下方位置に配される際に係合突起に係合される被係合凹所とを具備している請求項10に記載の昇降式収容棚。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図2】
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【図8】
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【公開番号】特開2002−209644(P2002−209644A)
【公開日】平成14年7月30日(2002.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−15592(P2001−15592)
【出願日】平成13年1月24日(2001.1.24)
【出願人】(000223171)東和電気株式会社 (2)
【出願人】(000103644)オイレス工業株式会社 (384)
【Fターム(参考)】