説明

昇降装置

【課題】操作性が向上する昇降装置を提供する。
【解決手段】表示装置等の機器本体に対して表示部等の移動部材を上下方向に移動可能に支持する昇降装置である。機器本体に取り付けられるベース部材2と、このベース部材2に上下方向に移動可能に支持され、移動部材に取り付けられるリフト手段3と、ベース部材2とリフト手段3との間に設けられ、リフト手段3をベース部材2に対して上方に付勢する付勢手段4と、リフト手段3をベース部材2に対する所定の位置にロックすると共に、このロック状態のリフト手段3に上方又は下方に力を作用させたときロックが解除されてリフト手段3をベース部材2に対して上方又は下方に移動させるロック機構と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モニターテレビのような表示装置の表示部等の移動部材を、機器本体に対して上下方向へ移動させる際に用いて好適な昇降装置に関する。
【背景技術】
【0002】
物体を上下方向に移動させる装置として多数の昇降装置が知られており、この昇降装置の中には、比較的軽量のものを昇降させる昇降装置がある。この昇降装置としては、例えば、表示装置の表示部のような移動部材を上下方向に移動させたりする昇降装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
上記特許文献1に記載されている昇降装置は、表示装置の機器本体に取り付けられる取付部材と、この取付部材に昇降可能に支持され所定の位置で固定されると共に、表示部が取り付けられる支持部材とを備え、モニターテレビである表示部を上下方向に移動させるものである。この昇降装置によりモニターテレビのような表示部からなる移動部材の上下方向の位置を調節することができる。
【特許文献1】特開平11−338576号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前述した公知の昇降装置は、引張バネを用いて表示部を上方向に引き上げられるように付勢し、止ネジの操作により表示部を任意の位置で固定している。すなわち、止ネジがナット部材に螺合され、止ネジとナット部材との取付部材に対する締め付け力によって表示部が任意の位置で固定されるようになっている。表示部の位置を変えるには、止ネジの操作(止ネジを緩める操作)によってその締め付け力を弱めてから、表示部を上下方向の任意の位置に移動させた後、止ネジの操作(止ネジを締め付ける操作)によってその締め付け力を強めて表示部を任意の位置に固定している。このように、前述した公知の昇降装置は、部品点数が多くて製作コストが高くつく上に、表示部の高さ位置を変えるには、止ネジを緩める操作、表示部の移動の操作、止ネジを締め付ける操作の3つの操作を行わなければならず、操作が煩雑かつ面倒であるという問題があった。
【0005】
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、部品点数を極力少なくして製作コストを下げることができる上に、操作性を向上することができる昇降装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために本発明に係る昇降装置は、表示装置等の機器本体に対して表示部等の移動部材を上下方向に移動可能に支持する昇降装置であって、前記機器本体に取り付けられるベース部材と、前記移動部材に取り付けられ、前記ベース部材に上下方向に移動可能に支持されるリフト手段と、前記ベース部材と前記リフト手段との間に設けられ、前記リフト手段を前記機器本体に対して上方に付勢する付勢手段と、前記リフト手段を前記ベース部材の所定の位置にロックすると共に、このロック状態の前記リフト手段に上方又は下方に力を作用させたとき前記ロックが解除されて前記リフト手段を前記ベース部材に対して上方又は下方に移動させるロック機構と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、ロック状態のリフト手段は、当該リフト手段に上方又は下方に力を作用させると、ロックが解除されてベース部材に対して上方又は下方に移動させることが可能となり、ロックの解除とリフト部材の移動すなわち移動部材の移動を1つの操作で行えるので、操作性が向上する。
【0008】
本発明に係る昇降装置において、前記リフト手段を、前記移動部材に取り付けられるリフト部材と、このリフト部材に取り付けられたバネ受け部材とで構成したり、当該リフト手段を所定の任意の高さ位置で停止させるフリクション手段を前記ベース部材の間に設けたりすることが好ましい。また、本発明に係る昇降装置において、前記付勢手段が、圧縮コイルスプリングであることが好ましい。
【0009】
本発明に係る昇降装置において、前記ロック機構により前記リフト手段を前記ベース部材に対してロックする位置が、前記ベース部材に対して前記リフト手段の最大下降位置及び最大上昇位置の2箇所であることが好ましい。また、本発明に係る昇降装置において、ロック機構が、前記ベース部材及び前記リフト手段のいずれか一方の部材に設けられた係合凸部と、前記ベース部材及び前記リフト手段のいずれか他方の部材に設けられ、前記係合凸部と係合する係合凹部とからなることが好ましく、さらに、前記移動部材はこれを便器の便座や便蓋とすることもできる。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように本発明に係る昇降装置によれば、リフト手段に上方又は下方に力を作用させることによってロックの解除とリフト手段の移動を行えるので、操作性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明に係る昇降装置を添付図面に基づいて詳述する。
図1は本発明に係る表示装置の一例を示す側面図である。図2〜図4は本発明に係る昇降装置の一例を示す図である。本発明に係る昇降装置は、図1に示すように、表示装置10等の機器本体11に対して表示部等の移動部材を上下方向に移動可能に支持するものである。本発明に係る昇降装置1は、例えば、液晶モニターなどの表示装置や便器等に備えられるものである。なお、本発明の形態では、本発明に係る昇降装置を表示装置に設けた場合について説明するが、これに限定されるものではない。
【0012】
本発明に係る表示装置10は、機器本体11と、移動部材である液晶ディスプレイ等の表示部12と、表示部12を機器本体11に対して上下方向に移動させる昇降装置1とを備えている。
【0013】
機器本体11は、デスク上等の所定の位置に載置されるものであり、この機器本体11上に上下方向に延びる支柱14が立設されている。表示部12は、液晶ディスプレイ等である。この表示部12の下方の後方であって支柱14の上部の前方に本発明に係る昇降装置1が設けられている。
【0014】
この昇降装置1は、例えば、図1〜図4に示すように、機器本体11に取り付けられるベース部材2と、表示部12に取り付けられ、ベース部材2に上下方向に移動可能に支持されるリフト手段3と、ベース部材2とリフト手段3との間に設けられ、リフト手段3をベース部材2に対して上方に付勢する付勢手段4と、リフト手段3をベース部材2の所定の位置にロックすると共に、このロック状態のリフト手段3に上方又は下方に力を作用させたときロックが解除されてリフト手段3をベース部材2に対して上方又は下方に移動させるロック機構5とを備えている。
【0015】
ベース部材2は、例えば、底板21と、底板21の両側端部からそれぞれ底板21に対して直交する方向(略直交する方向も含む。)に延びると共に互いに対向する両側板22、22と、底板21の一端部(前端部)の両側部近傍から底板21に対して直交する方向(略直交する方向も含む。)に延びる2つの前板23、23と、底板21の他端部(後端部)から底板21に対して直交する方向(略直交する方向も含む。)に延びる後板24と、リフト手段3のリフト部材30を上下方向に案内する案内部25と、蓋板28とからなる。
【0016】
底板21は、細長の矩形状に形成されている。側板22は、細長の矩形状に形成され、底板21とにより略L字状に形成されている。側板22の略中央部の外表面(2つの側板が対向する表面とは反対側の表面)には、フランジ部27が設けられており、このフランジ部27を介して、例えば、ボルトやネジ等の取付部材によってベース部材2が機器本体11の支柱14に着脱可能に取り付けられている。
【0017】
前板23は、細長の矩形状に形成され、下端部が底板21に接続されていると共に、一方の側端部が側板22に接続されている。2つの前板23、23は、その幅が狭く形成され、2つの前板23、23間が開口されている。後板24は、矩形状に形成され、下端部が底板21に接続されていると共に、両側端部が2つの側板22、22に接続されている。また、蓋板28は、底板21と略同じ細長の矩形状に形成され、側板22や後板24等に着脱可能に取り付けられており、ベース部材2が、前板23、23間で開口された箱状に形成されている。
【0018】
また、ベース部材2の前板23、側板22及び後板24によってコ字状に形成される内部には、リフト手段3のリフト部材30を上下方向に案内する案内部25がそれぞれ固定されている。本発明において上下方向とは重力方向をいう。案内部25の内面(2つの案内部が対向する面)の前板23近傍には、上下方向に延びるガイド溝26が設けられている。ガイド溝26の長さは、例えば、リフト手段3を最大下降位置から最大上昇位置までの間移動できる寸法で形成されている。尚、モニターテレビのような表示部の昇降装置としては、リフト手段3のガイド溝26を形成する側壁29は、とくに図2に示すように、摩擦抵抗が大きな例えばファイバー、ゴム、合成樹脂等のフリクション材料から成るフリクション手段301を設けることが好ましい。このフリクション手段301は、後述するリフト部材30を摩擦力により所定の位置で停止し得る摩擦係数を有するものである。
【0019】
リフト手段3は、例えば、表示部に取り付けられるリフト部材30と、このリフト部材30に取り付けられたバネ受け部材6とで構成されていることが好ましい。リフト部材30は、例えば、表示部の下部に取り付けられるリフト板31と、ベース部材2の2つの前板23、23間の上下方向の略半分を閉塞する案内板32とからなる。
【0020】
リフト板31は、取り付けられる部材に応じて形状が異なるが、例えば、略矩形状に形成されている。リフト板31には、リフト板31を例えばボルトやネジ等の取付部材によって表示部12の背面の下部に着脱可能に取り付けるための取付孔37が1つ又は2つ以上図示例では4つ設けられている。
【0021】
案内板32は、例えば、略矩形状に形成されている。案内板32は、ベース部材2の前板23、23間(略前板23、23間を含む。)に前板23、23と平行(略平行を含む。)に位置されている。案内板32の下端部は、連結板33を介してリフト板31に接続されている。連結板33は、略L字状に形成され、一端部が案内板32に接続されていると共に、他端部がリフト板31の後端部の中央部に案内板32とリフト板31とが互いに直交する(略直交するも含む。)ように接続されている。
【0022】
案内板32の両側部は、案内板32に対して直交する後板側の方向(略直交する方向も含む。)に折り曲げられ、さらにその先端部32aが外側(対向する側とは反対側)に折り曲げられている。すなわち、案内板32の両側部は、クランク状に形成されている。この案内板32の両側部の先端部32aが案内部25のガイド溝26に挿入され、案内板32がガイド溝26に沿って移動可能に支持される。すなわち、リフト手段3がベース部材2に上下方向に移動可能に支持されるようになっている。また、案内板32の上端部と上下方向の中央部との中間部(略中間部を含む。)には、係止孔35がその幅方向に3つ設けられている。
【0023】
付勢手段4は、リフト手段3をベース部材2に対して上方に付勢するものである。付勢手段4は、リフト手段3をベース部材2に対して上方に付勢できれば特に限定されず、シリンダ等でもよいが、好ましくは、圧縮コイルスプリング41等が挙げられる。この圧縮コイルスプリング41によるリフト手段3の付勢は、例えば、バネ受け部材6を用いて行われる。圧縮コイルスプリング41の個数は、特に限定されず、図示例では4つである。
【0024】
バネ受け部材6は、図2〜図5に示すように、有底筒体状に形成されている。バネ受け部材6は、底となる部分が上方になるように案内板32の内側のベース部材2内に設けられている。バネ受け部材6の幅は、案内部25、25間の長さより短い寸法であれば特に限定されず、例えば、案内部25、25間の長さより若干短い寸法で形成されている。バネ受け部材6の奥行きは、案内板32とベース部材2の後板24との間隔の長さより短い寸法であれば特に限定されず、例えば、案内板32と後板24との間隔の長さより若干短い寸法で形成されている。バネ受け部材6の後部61の上下方向の長さは、案内板32の上下方向の長さより短い寸法であれば特に限定されず、例えば、案内板32の上下方向の長さよりやや短い寸法で形成されている。バネ受け部材6の前部62の上下方向の長さは、案内板32の上下方向の長さより短い寸法であれば特に限定されず、例えば、後部61の略半分の寸法で形成されている。
【0025】
バネ受け部材6の上部63の前端部には、係止凹部65が1つ又は2つ以上図示例では3つ設けられている。これらの係止凹部65が案内板32の係止孔35にそれぞれ係止されている。具体的には、係止凹部65が案内板32の係止孔35を形成する上側の縁部に係合してバネ受け部材6の上方の移動が案内板32によって規制されている。このように、係止凹部65が案内板32の係止孔35にそれぞれ係止されていると、バネ受け部材6はベース部材2内で特に図3に示すように、上方から下方に向かって後板24側に若干斜めになり、バネ受け部材6の後部61の下端部がベース部材2の後板24に接触して、バネ受け部材6の後部61が一種の板バネとして形成されるようになっている。
【0026】
バネ受け部材6内には、例えば、4つの圧縮コイルスプリングが個別に収容されるスプリング収容室64が4つ設けられている。これらのスプリング収容室64にそれぞれ圧縮コイルスプリング41が収容され、これらの4つの圧縮コイルスプリング41の一端部がベース部材2の底板21に当接されて、バネ受け部材6が圧縮コイルスプリング41の付勢力により上方に付勢されている。すなわち、4つの圧縮コイルスプリング41の付勢力によってバネ受け部材6を介してリフト手段3がベース部材2に対して上方に付勢されるようになっている。また、バネ受け部材6の上部には、例えば、仕切板67が3つ設けられ、その上部63が幅方向に4つに仕切られ、これら仕切られた上部63には、ザクツ防止部材90が挿入される挿入孔69がそれぞれ設けられている。
【0027】
ザクツ防止部材90は、ベース部材2の高さ方向に延び、挿入孔69を貫通してその下部が圧縮コイルスプリング41内を通ってベース部材2の底板21に移動可能に接すると共に、その上部がベース部材2の蓋板28に移動可能に接し、4つの圧縮コイルスプリング41のザクツを防止するものである。すなわち、圧縮コイルスプリング41は、ザクツ防止部材90の外周をその長手方向に沿って伸縮してザクツ防止部材90によってザクツが防止されるようになっている。ザクツ防止部材90の形状は、圧縮コイルスプリング41のザクツを防止できれば特に限定されず、どのように形成してもよい。
【0028】
ロック機構5は、リフト手段3特にリフト部材30をベース部材2の所定の位置にロックすると共に、このロック状態のリフト部材30に上方又は下方に力を作用させたときロックが解除されてリフト部材30をベース部材2に対して上方又は下方に移動させるものである。ロック機構5は、リフト部材30のロックとそのロックの解除を行えれば特に限定されず、例えば、ベース部材2及びリフト手段3のいずれか一方の部材に設けられた係合凸部51と、ベース部材2及びリフト手段3のいずれか他方の部材に設けられ、その係合凸部51と係合する係合凹部52とから形成してもよい。
【0029】
ロック機構5は、具体的には例えば、バネ受け部材6の後部61の下部の外表面に係合凸部51を設けると共に、この係合凸部51と対向するベース部材2の後板24に係合凹部52を設けて形成されている。
【0030】
係合凸部51は、バネ受け部材6に一体的に断面台形状に形成されている。係合凸部51は、例えば、バネ受け部材6の後部61の両側部と中央部のほぼ3箇所設けられている。なお、係合凸部51は、バネ受け部材6に一体的に形成されているが、これに限定されず、例えば、バネ受け部材6に出没可能であって突出方向に付勢するように設けてもよい。
【0031】
係合凹部52は、係合凸部51が係合してリフト手段3のロックとそのロックの解除を行えれば特に限定されないが、例えば貫通する孔として形成されている。係合凹部52の位置は、所望の個所を選択することができ、例えば、ベース部材2に対してリフト手段3のリフト部材30の最大下降位置及び最大上昇位置の2箇所である。すなわち、係合凹部52は、ベース部材2の後板24に2つ設けられ、最大下降位置である下方の係合凹部が第1係合凹部52aと、最大上昇位置である上方の係合凹部が第2係合凹部52bとする。第2係合凹部52bは、リフト部材30が最大上昇位置に位置されていると、リフト部材30は案内部25のガイド溝26によってこれ以上上方に移動できないため、リフト部材30が下方に移動することをロックするためのものである。なお、リフト部材30が最大上昇位置よりさらに上昇し得る場合には、第2係合凹部52bは、リフト手段3の上昇及び下降の移動を防止するものとなる。なお、係合凹部52の位置は、最大下降位置及び最大上昇位置の2箇所に限定されず、この2箇所に加えてさらにこの2箇所の任意の位置にも係合凹部を設けるようにしてもよいことは勿論である。
【0032】
次に、本発明に係る表示装置及び昇降装置の作用を説明する。
【0033】
表示部12の上下方向の位置を調節する場合には、表示部12に上方向又は下方向に力を加える。例えば、表示部12及びリフト部材30が、図1(a)及び図3に示すように、最大下降位置にあるときには、第1係合凹部52aに係合しているために、リフト部材30の上方への移動が規制されてロック状態となっている。このリフト部材30が取り付けられている表示部12を機器本体11に対して手で上方に持ち上げる。このように、リフト部材30に上方の力を作用させると、係合凸部51が第1係合凹部52aから脱してロックが解除され、バネ受け部材6及びリフト部材30がベース部材2に対して上方に移動する。リフト部材30に作用させる力を止めると、バネ受け部材6及びリフト部材30の移動が止まり、表示部12がその位置に位置決めされる(つまりその位置に止まる)。
【0034】
すなわち、リフト部材30の案内板32の先端部32aが挿入されて案内されるガイド溝26を形成する側壁29にフリクション手段301が設けられているために、案内板32の先端部32aと側壁29との摩擦力によって、圧縮コイルスプリング41の付勢力に抗してバネ受け部材6及びリフト部材30の移動が止まり、表示部12がその位置で停止される。よって、表示部12を上方に持ち上げるだけの簡単な1つの操作で表示部12を機器本体11に対する任意の位置で停止することができ、操作性が向上する。また、バネ受け部材6が圧縮コイルスプリング41により上方に付勢されているので、リフト部材30の上方への移動が容易となる。
【0035】
また、案内板32の両側部の先端部32aの上縁部がガイド溝26の上縁部26aに当接したとき(図1(b)及び図4参照。)には、バネ受け部材6及びリフト部材30はこれ以上上方へ移動することがない。このとき、係合凸部51は、図4に示すように、第2係合凹部52bに入り込み係合し、バネ受け部材6及びリフト部材30の上方及び下方への移動が規制されてバネ受け部材6及びリフト部材30が最大上昇位置にロックされる。よって、例えば、表示部12を上方に持ち上げるだけの簡単な1つの操作でロックの解除、リフト部材30の移動及びリフト部材30のロックを行えるので、操作性が向上する。
【0036】
次に、表示部12及びリフト部材30を例えば最大上昇位置から最大下降位置に戻すには、リフト部材30を下方に押す。すなわち、リフト部材30に下方の力を作用させる。すると、係合凸部51が第2係合凹部52bから脱してロックが解除され、バネ受け部材6及びリフト部材30がベース部材2に対して下方に移動する。そして、係合凸部51が、図3に示すように、第1係合凹部52aに入り込み係合し、バネ受け部材6及びリフト部材30の上方への移動が規制されてバネ受け部材6及びリフト部材30が最大下降位置にロックされ、リフト部材30が元位置に戻る。よって、例えば、表示部12を下方に押すだけの簡単な1つの操作でロックの解除、リフト部材30の移動及びリフト部材30のロックを行えるので、操作性が向上する。
【0037】
したがって、本発明に係る昇降装置1は、1つの操作でリフト部材30すなわち表示部12の昇降を行えるので、操作性が向上し、しかも、構造が簡単で、小型化及びコストダウンを図ることが可能となる。
【0038】
また、前記の本発明に係る昇降装置を便器に設けて、便座や便蓋を便器本体に対して昇降させ、前述と同様に、1つの操作で移動部材すなわち例えば便座や便蓋等の昇降を便器本体に対して行うことができる。このように構成すると、簡単な構成で操作性の良い昇降装置を現出でき、かつ、便座や便蓋の支持手段と便器本体との間に間隙が生じるので、便器本体上や支持手段に付着している埃や汚物を容易に清掃することが可能となるものである。この場合、便座や便蓋等の昇降は、最大上昇位置と便器本体上に接地する最大下降位置の2つの位置に便座や便蓋等の支持手段が位置決めされていればよいので、リフト手段を構成するフリクション手段はこれを省略してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0039】
以上説明したように本発明に係る昇降装置は、リフト手段に上方又は下方に力を作用させることによってロックの解除とリフト手段の移動を行え、操作性が向上するので、特に液晶モニター等の表示装置や便器の便座や便蓋の昇降装置として好適に用いられるものである。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明に係る表示装置の一例を示す側面図で、(a)は表示部が最大下降位置に位置されている状態を示す図、(b)は表示部が最大上昇位置に位置されている状態を示す図である。
【図2】本発明に係る昇降装置の一例を示す斜視図である。
【図3】本発明に係る昇降装置の一例を示す断面図で、リフト手段をベース部材に対して下降させている状態を示す図である。
【図4】本発明に係る昇降装置の一例を示す断面図で、リフト手段をベース部材に対して上昇させている状態を示す図である。
【図5】本発明に係るバネ受け部材の一例を示す図で、(a)は正面図、(b)は背面図、(c)は平面図、(d)は(a)中のA−A線矢視断面図、(e)は(c)中のB−B線矢視断面図、(f)は(c)中のC−C線矢視断面図である。
【符号の説明】
【0041】
1 昇降装置
2 ベース部材
3 リフト手段
301 フリクション手段
4 付勢手段
5 ロック機構
6 バネ受け部材
10 表示装置
11 機器本体
12 表示部
30 リフト部材
41 圧縮コイルスプリング
51 係合凸部
52 係合凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置等の機器本体に対して表示部等の移動部材を上下方向に移動可能に支持する昇降装置であって、
前記機器本体に取り付けられるベース部材と、
前記移動部材に取り付けられ、前記ベース部材に上下方向に移動可能に支持されるリフト手段と、
前記ベース部材と前記リフト手段との間に設けられ、前記リフト手段を前記機器本体に対して上方に付勢する付勢手段と、
前記リフト手段を前記ベース部材の所定の位置にロックすると共に、このロック状態の前記リフト手段に上方又は下方に力を作用させたとき前記ロックが解除されて前記リフト手段を前記ベース部材に対して上方又は下方に移動させるロック機構と、
を備えたことを特徴とする、昇降装置。
【請求項2】
前記リフト手段が、前記移動部材に取り付けられるリフト部材と、このリフト部材に取り付けられたバネ受け部材とで構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の昇降装置。
【請求項3】
前記リフト手段はさらに、当該リフト手段を所定の高さ位置で停止させるフリクション手段を前記ベース部材の間に設けてあることを特徴とする、請求項1〜2のいずれかに記載の昇降装置。
【請求項4】
前記付勢手段が、圧縮コイルスプリングであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の昇降装置。
【請求項5】
前記ロック機構により前記リフト手段を前記ベース部材に対してロックする位置が、前記ベース部材に対して前記リフト手段の最大下降位置及び最大上昇位置の2箇所であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の昇降装置。
【請求項6】
ロック機構が、前記ベース部材及び前記リフト手段のいずれか一方の部材に設けられた係合凸部と、前記ベース部材及び前記リフト手段のいずれか他方の部材に設けられ、前記係合凸部と係合する係合凹部とからなることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の昇降装置。
【請求項7】
前記移動部材が、便器の便座及び又は便蓋であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の昇降装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−153957(P2006−153957A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−340558(P2004−340558)
【出願日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【出願人】(000124085)加藤電機株式会社 (117)
【Fターム(参考)】