説明

昇降防止装置およびそれを備えた耐震補強既設柱

【課題】簡単な構造で、軽量で、取り付け作業が容易で、かつ悪戯に昇降できない昇降防止装置を備えた耐震補強既設柱を得ること。
【解決手段】既設柱に周面に弓形断面のコンクリートを添設し、その外周に鋼線を螺旋状に巻きつけて耐震補強した既設柱の角部に形成された昇降可能部に、長辺側縁に補強部材挿通孔23を有する筒部22を形成し、かつ、上下端部近傍にクリップ41挿通孔を設けた長方形状の板部材21を宛がい、挿通孔23に挿通したクリップ41を用いて鋼線4と板部材21を緊結すると共に挿通孔23に補強部材31を挿通して板部材21から突出した補強部材31の上下端部を近傍の鋼線4、4にクリップ等で緊結する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、昇降できるステップ部に覆うように取り付けてステップを昇降できないようにする昇降防止装置およびその昇降防止装置を備えた耐震補強既設柱に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄筋コンクリート製の既設柱を地震などに対して補強する方法として図8、図9に示す手法が提案されている(特開2004−52364号公報:特許文献1)。この既設柱の補強方法は、正方形断面の既設柱1の四周面に、図8に示すような両端を切り取った1/4円弧の弓形の断面と、下辺に平行に延びる複数の溝3をもつ平行四辺形の立面を有するコンクリートブロック2をセメントペーストによって接着しつつ、貧配合モルタルを介して順次積み重ねて、既設柱1の外周を全長に亘って覆った後、螺旋状に連なる溝3の下端から、予め螺旋溝の直径よりも僅かに小径のスパイラル状に加工した鋼線4を、作業者の人力で弾性変形させながら巻き付けて、コンクリートブロック2を既設柱1に向けて締め付けて一体化した耐震補強既設柱Bを構成して、地震荷重に対する既設柱1の剪断体力を向上させるものである。
【0003】
この既設柱の補強構造では、コンクリートブロック2は、両端を切り取った1/4円弧の弓形の断面と、下辺に平行に延びる複数の溝3をもつ平行四辺形の立面を有するので、図9に示すように、耐震補強した既設柱1の面取5した柱角6の両側柱面7とコンクリートブロック1の側面8とで形成する空間9、9には鋼線4が接触せずに張設されている。この空間9、9が存在することによって、既設柱1に地震などによる過大な外力が作用した場合に、既設柱1に生じる亀裂を目視することのよって被害の程度を直接観察できることが特徴になっている。
【0004】
ところが、上記耐震補強した既設柱における空間9では、鋼線4がコンクリートブロック2や既設柱1に接触せず露出しているので、張設された鋼線4を手や足を掛けるステップ材として既設柱1を昇降することができる。空間9に張設された鋼線をステップ材として昇降すると、張設してある鋼線4の位置がずれたり、鋼線4が緩んだり、昇降者が落下する危険性がある。また、既設柱1の上部構造物に配設された高圧線に触れるなどの危険性があるという問題点がある。
【0005】
このようなステップに建物管理者以外の者の無用な侵入を防止するための、昇降防止装置を設けた昇降タラップが提案されている(特開2002−242570号公報:特許文献2)。
【0006】
この昇降タラップは、図10に示すように、一対のタラップ支柱92、92と、このタラップ支柱間に所定間隔を設けて配設される複数本のステップ部93、93と、このステップ部93を覆った状態で隠蔽可能な昇降防止装置94とから構成される昇降タラップ91であり、昇降防止装置94は、具体的には扉部材96と、ヒンジ部97と、施錠部材98とからなっている。
【特許文献1】特開2004−52364号公報
【特許文献2】特開2002−242570号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記したように、特開2004−52364号公報における耐震補強した既設柱には、上記空間9、9が存在することによって、昇降してはならない既設柱であっても昇降することができ、張設してある鋼線4の位置がずれたり、鋼線4が緩んだり、昇降者が落下する危険性がある。
【0008】
また、特開2002−242570号公報における昇降タラップ91は昇降するタラップであり、昇降防止装置94は、適宜開閉可能になっている。そのため支柱92すなわち覆うべき対象物(昇降可能にステップ部が存在する物)に昇降防止装置94のヒンジ部97を溶接手段等で予め設けなければならず、大掛かりな機械を要し、取り付け作業も煩雑であるという問題点がある。
【0009】
また、ヒンジ部97で昇降防止装置94を片持ち状態で支持するものであるから、ヒンジ部97が破損する可能性があるとともに、昇降防止装置94は硬固でなければならなく、必然的に重くなるという問題点がある。
【0010】
本発明の目的は、簡単な構造で、軽量で、取り付け作業が容易で、かつ管理者以外のものが悪戯に昇降できない昇降防止装置とそのような昇降防止装置を備えた耐震補強既設柱を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、この発明の昇降防止装置は、
直線状の補強部材と、
両端にねじを形成し、U型形状に屈曲したボルトと、そのねじに螺合するロックナットとを備えてなるクリップと、
端部それぞれに、上記補強部材を挿通する挿通孔を設けると共に、上記クリップの両ねじ部を挿通する一対のクリップ挿入孔を穿った板部材とで構成したことを特徴としている。
【0012】
上記構成によれば、直線状の補強部材を上記板部材の対向する2辺の端部に設けた挿通孔に挿通し、上記板部材から突出した両端部を取り付け対象物に固定するだけで、昇降防止部材を容易に取り付けることができる。
【0013】
また、補強部材を上記板部材の対向する2辺の端部に設けた挿通孔を形成する筒部によって上記板部材を補強しているので板部材の厚さを薄くすることができ軽量化できる。
【0014】
また、補強部材を上記板部材の対向する2辺の端部に設けた挿通孔に挿通して固定するので、上記板部材の端部を補強すると共に強固に固定できる。
【0015】
また、クリップによって板部材を取り付け対象物に取り付けるようにしているので、強固に取り付けられると共に、上記補強部材で板部材を固定する作業の前作業とすることができ、上記補強部材で板部材を取り付け対象物に固定する作業を容易にすることができる。
【0016】
また、昇降防止装置の取り付け対象物に溶接等を行う必要がなく、大掛かり機会は不要であり、さらに、取り付け対象物に悪影響を与えない。
【0017】
1実施形態では、上記直線状の補強部材は、弾性部材であって、その一端部を小円形に屈曲させて補強部材中央部に近接させると共に最端部を補強部材中央部から離間させた係止部を形成し、他端部を屈曲させて連結部を形成している。
【0018】
上記実施形態によれば、取り付け対象物が、直径が上記小円形に略等しい鋼線である場合に好適であり、係止部を鋼線に係止するだけで固定できて取り付け作業を簡略化、容易化できる。
【0019】
また、補強部材の最端部を補強部材中央部から離間させているので、上記鋼線に係止する作業が容易になる。
【0020】
1実施形態では、上記クリップは、クリップ端部の少なくとも一方に施錠するための貫通孔を設けている。
【0021】
上記実施形態によれば、ロックナットを螺合したあとに施錠孔に錠前等を取り付けるのでクリップを悪戯に取り外すことができない。
【0022】
1実施形態では、上記板部材は、長方形をなし、上記挿通孔に挟まれた部分を上記挿通孔の長さ方向に垂直な平面内で湾曲または屈折させている。
【0023】
上記実施形態によれば、昇降防止装置取り付け対象物が屈曲または屈折していても容易に板部材を取り付けることができる。
【0024】
上記課題を解決するため、この発明の昇降防止装置を備えた耐震補強既設柱は、
多角断面をもつ鉄筋コンクリート製の柱の各周面に、その周面の幅よりの狭くかつ、両側面を有し外形が円弧状のコンクリートブロックを上記既設柱の長さ方向に上記周面の両側を露出させた状態で添設して積設すると共に、上記積設したコンクリートブロックの外周に密接して鋼線をスパイラル状に巻き付けて耐震補強した既設柱において、
上記既設柱の露出した角面と上記コンクリートブロックの側部との間に生じる空間部を横断する複数の鋼線の外側に配設した上記板部材と、
上記鋼線を挟みつつ上記板部材に穿たれた一対のクリップ挿入孔に挿通し、上記板部材の外側で上記ロックナットを螺合して上記板部材を上記鋼線に固定する上記U型形状に屈曲したクリップと、
上記板部材の対向する2端辺に形成した上記挿通孔に挿通し、上記挿通孔から突出した両側の補強部材端部を上記鋼線に緊結する上記直線状の補強部材とで構成し、
上記板部材で上記既設柱角部の少なくとも下端部の複数の鋼線を覆うことを特徴としている。
【0025】
上記構成によれば、上記耐震補強した既設柱の角部に形成される空間に鋼線が露出しているので昇降可能になるが、空間部分を上記板部材で覆うので悪戯に昇降することができなくなる。
【0026】
また、上記クリップで上記板部材を上記鋼線に取り付けるので、強固に取り付けられると共に、次の作業がやりやすくなる。
【0027】
また、上記補強部材を上記板部材の対向する2端辺に形成した上記挿通孔に挿通し、その両端部を既設柱に巻きつけた鋼線に固定するので、板部材の全長に亘って既設柱に固定することができる。また、板部材の端部の剛性を大きくすることができるので、板部材の厚さを薄くできる。
【発明の効果】
【0028】
この発明によれば、板部材をその両端辺に設けた補強部材と板部材腹部の挿入孔に挿入するクリップで既設柱の鋼線に取り付けるように構成しているので、簡単な構造で、軽量で、大掛かりな機器を要することなく、容易な取り付け作業を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、この発明の昇降防止装置を備えた耐震補強既設柱を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0030】
図1は、この発明の昇降防止装置を備えた耐震補強既設柱の一実施形態を示す斜視図である。なお、図1および図2の部材で図8および図9と同一のものには同一の符号を付している。
【0031】
この耐震補強既設柱は、正方形断面の既設柱1の四周面に、図8で述べたように、両端を切り取った1/4円弧の弓形の断面と、下辺に平行に延びる複数の溝3をもつ平行四辺形の立面を有するコンクリートブロック2をセメントペーストによって接着しつつ、貧配合モルタルを介して順次積み重ねて、既設柱1の外周を全長に亘って覆った後、螺旋状に連なる溝3の下端から、予め螺旋溝の直径よりも僅かに小径のスパイラル状に加工した鋼線4を、作業者の人力で弾性変形させながら溝3に巻き付けて、コンクリートブロック2を既設柱1に向けて締め付けて一体化して耐震補強既設柱Bを構成する。
【0032】
この耐震補強既設柱Bでは、コンクリートブロック2は、両端を切り取った1/4円弧の弓形の断面と、下辺に平行に延びる複数の溝3をもつ平行四辺形の立面を有するので、図9に示すように、耐震補強した既設柱1の面取5した柱角6の両側柱面7、7とコンクリートブロック1の側面8、8とで形成する2つの空間9、9が形成され、空間9、9には鋼線4が接触せずに張設される。この空間9、9部分に張設され鋼線は、既設柱1の外側から、手で掴め、足をも掛けることができるので、耐震補強既設柱Bに昇降することができる。
【0033】
そこで、本発明では、この空間を覆うために、既設柱1の少なくとも下方部に(望ましくは人間の手の届く高さ2m以上)昇降防止装置20を取り付けている。なお、上記鋼線は、鋼撚り線、鋼棒に替えることもできる。
【0034】
昇降防止装置20は、図3(a)、(b)に示す板部材21と、図4に示す補強部材31と、図5に示すクリップ41とから構成する。
【0035】
上記板部材21は、上記耐震補強された既設柱の空間9を鋼線4の外部から塞ぐものである。板部材21の構成は、樹脂製または金属製からなる厚さの薄い縦長長方形状をしており、その長さは2m以上が望ましく、幅は空間9、9を覆うだけの寸法、たとえば、30cmである。その対向する長手方向の端辺全長は、折り曲げ加工して断面円形の挿通孔23、23を有する細長い筒部22、22を形成している。なお。筒部22、22は板部材を直接折り曲げ加工することなく、挿通孔を有するパイプを溶接等の手段で取り付けることができる。さらに、板部材21の上下部両側に縦方向に並べて小間隔をあけて一対のボルト貫通孔24、24、24、24が穿たれている。24a、24bは一対のボルト貫通孔24のそれぞれの貫通孔を示している。上下の一対のボルト貫通孔24、24のセンター間の距離は、既設柱1に巻きつけた鋼線の間隔の倍数にしてあり、板部材の上下端に近傍に位置する鋼線4、4の位置と一致させてある。
【0036】
上記板部材21は、筒部22、22方向に垂直な平面内で可撓性であるのが望ましい。さらに、板部材の適所に「昇降は危険です」との注意表示25が描かれている。
【0037】
上記板部材21は、平板であるが、図7に示すように筒部22、22の長さ方向に垂直な平面内で湾曲させておくことができる。また、図示しないが、必要に応じて、L字状に屈曲させておくこともできる。
【0038】
上記構成において、その対向する長手方向の端辺全長は、細長い筒部22、22を形成して補強されているので、板部材自体の厚さを薄くすることができる。また、ボルト貫通孔24を板部材の上下端のみに設けているので、板部材21を鋼線4に取り付ける作業が容易である。
【0039】
上記補強部材31(図4)は、上記筒部22の挿通孔23に挿通して上記挿通孔23の上下に突出した端部33、39を上記鋼線4に固定して、上記板部材21の端縁部を補強すると共に上記板部材21を確実に且つ強固に上記鋼線4に取り付ける役割を果たす。
【0040】
上記補強部材31は、細長の直線状で剛性が高く且つ弾性を有する金属からなり、一方の端部33を上記鋼線4の直径よりも大きい小円形34をなすように屈曲させながら補強部材の中央部32に近接させると共に最端部35を補強部材の中央部32から上記鋼線4の直径よりも大きく離間させるようにS字状に折り曲げ加工して係止部36を形成している。他端部39は、補強部材31を上記挿通孔23に挿通してのちにL字状に屈曲させて連結部38を形成する。
【0041】
上記補強部材31は、上端に係止部36を形成しているので、鋼線4への取り付け作業が鋼線4に係止するだけで済み容易である。また、下端はL字状に折り曲げるだけで連結部となり構造が簡単である。
【0042】
上記クリップ41(図5、6)は、両端にねじ42、42を形成し、U型形状に屈曲させたUボルト43と、そのねじ42、42に螺合する2つのロックナット44、44とを備えてなる。さらに、クリップ端部すなわちねじ42、42の端部の少なくとも一方には貫通孔45を穿っている。この貫通孔45に錠前を貫通させてロックナット44が外れるのを防止するために施錠する。クリップ41は、上記板部材21と上記鋼線4を締結するのに使用する。また、上記板部材21の挿通孔23から突出した補強部材31の連結部38と対応する上記鋼線4とをクリップ41を用いて緊結することによって、上記板部材21を上記鋼線4に取り付けることができる。
【0043】
上記昇降防止装置20は、板部材21と補強部材31とクリップ41からなる簡単な構造で、それぞれ手作業で容易に昇降防止対象物に取り付けることができる。
【0044】
次に、上記耐震補強既設柱Bに昇降防止装置20を取り付ける施工順序について説明する。
【0045】
まず、板部材21を人手で上記耐震補強既設柱Bの角部の空間9、9に張設した複数の鋼線4、4、4を覆うように宛がう。その状態で、クリップ41のUボルト43の屈曲部を空間9内から鋼線4に掛けながら、クリップ41の両ねじ部42、42を板部材21に穿った一対のボルト貫通孔24a、24bに貫通させて、両ねじ部42、42にロックナット44、44を螺合して、板部材21と鋼線4とを一体化する。そして、板部材21を人力で柱角6の両側へ押さえて折り曲げ、鋼線4、4、4に向かって押し付けながら、残りのボルト貫通孔24、24、24にもクリップ41を通して板部材21と鋼線4とを一体化して、板部材21を正確に空間9、9の外部に位置付ける。その後、クリップ41の貫通孔45に錠前を施錠する。
【0046】
また、上記空間9、9は柱角6の両側にあり鋼線4は円弧状に張設されているので、図7に示すように、予め板部材21を円弧状に湾曲させておくと板部材21を取り付けるときに板部材21を鋼線4、4に押し付ける必要がなく、クリップ41の取り付け作業が簡略化できる。
【0047】
次に、補強部材31を板部材21に設けた2つの挿通孔23、23にその上方から補強部材31の直線状の他端部39を望ませて挿通孔23、23挿入し、補強部材31の一方の端部33が板部材21の上端に達すると、係止部36の最先端35が板部材21の上端近傍の鋼線4を臨むように押し込む。係止部36が押し広げられながら小円形34に達すると挿入動作を止める。このようにして、補強部材31の一方端部33を鋼線4に係止する。その後、板部材21の下端から突出した補強部材31の他端部39を、近傍の鋼線4の位置に合致するようにL字状に屈曲させて連結部38を形成し、連結部38と鋼線4とを上記同様のクリップ41で緊結する。その後、クリップ41の貫通孔45に錠前を施錠する。
【0048】
上述の板部材21の取り付け作業を、図8の耐震補強既設柱Bの角部の残りの空間9、9部位で行って、図1の昇降防止装置を備えた耐震補強既設柱Aを完成させる。
【0049】
上記実施例においては、補強部材31の一方の端部に係止部36を形成して、その係止部に鋼線4を係止するようにしているが、係止部36を形成することなく、他端部の連結部38と同様に、対応する鋼線4の位置に合致するようにL字状に屈曲させて連結部を形成し、その連結部と鋼線とをクリップで緊結することもできる。
【0050】
上記昇降防止装置において、昇降防止対象物たとえば耐震補強既設柱に、溶接等を施すことなく、昇降防止装置をクリップと補強部材とで取り付けることができるので、昇降防止対象物や耐震補強既設柱になんら損傷を与えない。
【0051】
上記昇降防止装置の昇降防止対象物への取り付け作業は、構成する部材のそれぞれが軽量であり、固定手段がクリップであるので、すべて手作業で行える。
【0052】
上記昇降防止装置は上記した耐震補強既設柱に限らず、昇降するためのステップを有する構造物に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】この発明の昇降防止装置を備えた耐震補強既設柱の一実施形態の構造を示す斜視図である。
【図2】この発明の昇降防止装置を備えた耐震補強既設柱の一実施形態の要部を示す断面図である。
【図3】この発明の昇降防止装置の一実施形態に用いる板部材を示す平面図と正面図である。
【図4】この発明の昇降防止装置の一実施形態に用いる補強部材を示す平面図である。
【図5】この発明の昇降防止装置の一実施形態に用いる補強部材を板部材に取り付ける状態を示す断面図である。
【図6】この発明の昇降防止装置の一実施形態に用いるクリップを示す平面図である。
【図7】この発明の昇降防止装置の一実施形態に用いる別な板部材を示す平面図と側面図である。
【図8】従来の耐震補強既設柱の構造を示す
【図9】従来の耐震補強既設柱の要部を示す断面図である。
【図10】従来の昇降防止装置を付したタラップを示す正面図である。
【符号の説明】
【0054】
1 既設柱
2 コンクリートブロック
4 鋼線
7 既設柱の露出面
8 コンクリートブロックの側面
9 空間
21 板部材
22 筒部
23 補強材挿通孔
24 クリップ挿通孔
31 補強部材
36 係止部
41 クリップ
43 ボルト
44 ロックナット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直線状の補強部材と、
両端にねじを形成し、U型形状に屈曲したボルトと、そのねじに螺合するロックナットとを備えてなるクリップと、
端部それぞれに、上記補強部材を挿通する挿通孔を設けると共に、上記クリップの両ねじ部を挿通する一対のクリップ挿入孔を穿った板部材とで構成したことを特徴とする昇降防止装置。
【請求項2】
請求項1に記載の昇降防止装置において、上記直線状の補強部材は、弾性部材であって、その一端部を小円形に屈曲させて補強部材中央部に近接させると共に最端部を補強部材中央部から離間させた係止部を形成し、他端部を屈曲させて連結部を形成することを特徴とする昇降防止装置。
【請求項3】
請求項1に記載の昇降防止装置において、上記クリップは、クリップ端部の少なくとも一方に施錠するための貫通孔を穿っていることを特徴とする昇降防止装置。
【請求項4】
請求項1に記載の昇降防止装置において、上記板部材は、長方形をなし、上記挿通孔に挟まれた部分を上記挿通孔の長さ方向に垂直な平面内で湾曲または屈折させていることを特徴とする昇降防止装置。
【請求項5】
多角断面をもつ鉄筋コンクリート製の柱の各周面に、その周面の幅よりの狭くかつ、両側面を有し外形が円弧状のコンクリートブロックを上記既設柱の長さ方向に上記周面の両側を露出させた状態で添設して積設すると共に、上記積設したコンクリートブロックの外周に密接して鋼線をスパイラル状に巻き付けて耐震補強した既設柱において、
上記既設柱の露出した角面と上記コンクリートブロックの側部との間に生じる空間部を横断する複数の鋼線の外側に配設した上記板部材と、
上記鋼線を挟みつつ上記板部材に穿たれた一対のクリップ挿入孔に挿通し、上記板部材の外側で上記ロックナットを螺合して上記板部材を上記鋼線に固定する上記U型形状に屈曲したクリップと、
上記板部材の対向する2端辺に形成した上記挿通孔に挿通し、上記挿通孔から突出した両側の補強部材端部を上記鋼線に緊結する上記直線状の補強部材とで構成し、
上記板部材で上記既設柱角部の少なくとも下端部の複数の鋼線を覆うことを特徴とする昇降防止装置を備えた耐震補強既設柱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−120108(P2007−120108A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−312692(P2005−312692)
【出願日】平成17年10月27日(2005.10.27)
【出願人】(000196587)西日本旅客鉄道株式会社 (202)
【出願人】(592105620)ジェイアール西日本コンサルタンツ株式会社 (15)
【出願人】(000140292)株式会社奥村組 (469)
【出願人】(000221409)東神電気株式会社 (29)
【Fターム(参考)】