易洗浄性芝用マーキング剤及びその使用法

【課題】
ラインの形成が容易で、少しの雨ではラインが消えることなく鮮明性を保持でき、該ラインの消去が水洗浄のみで簡単にでき、しかも天然芝の生育障害もなく、環境汚染の少ない易洗浄性芝用マーキング剤を提供する。
【解決手段】
ポリビニルアルコール(A)、脂肪酸処理重質炭酸カルシウム(B)及び顔料(C)を含む水性分散体を用いてなるマーキング剤で、好ましい配合としてポリビニルアルコールのケン化度が90モル%以上、脂肪酸処理重質炭酸カルシウムの平均粒子径が0.5〜10μmでB/Aの重量比が1から9、(B)+(C)/(A)+(B)+(C)の容積率が40〜90容積%の範囲とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は天然芝や人工芝の競技施設で使用される、ラインを形成するための芝用マーキング剤ならびにその使用法に係り、詳しくはラインのマーキングが容易で、少しの雨ではラインが消えることなく鮮明性を保持すると共に、ラインを消去するとき水洗浄のみで簡単に消去でき、かつ環境汚染が少ない易洗浄性芝用マーキング剤ならびにその使用法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、屋内外の競技施設に天然芝や人工芝が広く用いられている。かかる競技施設はサッカー,野球,ラグビー,アメリカンフットボール,ホッケー,フットサル,陸上競技など、多目的に用いられていることが多く、競技の種類によってその都度ラインを消去した後に新たなラインを形成する必要があるため、消去可能なマーキング剤の使用が求められている。
【0003】
そこで、現在、かかる消去可能なマーキング剤として澱粉糊の如き水溶性糊と染色された破断繊維の易剥離性人工芝塗料組成物(例えば特許文献1参照)や、水溶性アクリル樹脂又は水分散性ビニル系樹脂をバインダーとしたラインマーキング剤(例えば特許文献2,3,4参照)及び樹脂バインダーとして特定のガラス転移点を有した種々の合成樹脂エマルジョンと特定の顔料容積率を有したラインマーキング剤(例えば特許文献5参照)などが提案されている。
【0004】
しかし、水溶性糊と染色された破断繊維の易剥離性人工芝塗料組成物は汎用の水溶性糊をバインダーとした場合は雨水による溶解や膨潤が著しく、少量の降雨によりラインが消え、実用に供することが困難となる。また、水溶性アクリル樹脂や水分散性ビニル系樹脂をバインダーとしたものは、これらの樹脂をPH調製することにより疎水性を親水性にして水洗浄性を付与したものであるが、水洗浄性をより高めるためにはPHを極力高くする必要があり、アルカリ性が強すぎた場合には天然芝の生育に障害を起こす可能性があるので好ましくない。
【0005】
また、これらの樹脂バインダーを含む洗浄水は、天然芝の場合、分解され難いので土中に堆積し固化し易く芝の生育障害を起こし易い。人工芝の場合でも、環境汚染の観点から好ましくない。
【0006】
更に樹脂バインダーとして特定のガラス転移点を有した合成樹脂エマルジョンと特定の顔料容積率を有したものは、樹脂バインダーは本質的に水溶性でないために水洗浄性に限界があり、前記同様、洗浄水の環境汚染の面でも好ましくない。
【0007】
そこで、このような問題があるために、従来、ラインの消去に際しては天然芝の葉が成長した後に刈り取ったり、芝の色調と類似の着色のラインマーキング剤を重ね塗りして消去していたが、多目的の競技施設では時間的な制約で対応が困難であったり、また重ね塗りによる多大の労力とコストを要していた。
【特許文献1】特開平2−175767号公報
【特許文献2】特開昭57−151660号公報
【特許文献3】特開昭61−261369号公報
【特許文献4】特開平9−272818号公報
【特許文献5】特許第4011982号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上述の如き実状に鑑み、その問題を解消し、ライン形成が容易で少しの雨ではラインが消えることなく鮮明性を保持でき、しかも該ラインの消去が水洗のみで簡単で、芝の生育障害もなく、環境汚染の少ない防滴仕様の易洗浄性芝用マーキング剤を提供することを目的とするものである。
【0009】
ここで防滴仕様とは、少しの雨ではラインが消えることなく鮮明性を保持することが可能で、ラインの洗浄性を重視した多目的競技施設に有用なラインマーキング剤であり、全天候型の防水仕様とは区別されるものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため本発明者らは適度な耐水性を有し、水洗浄が容易で、顔料混和性に優れ、また環境汚染の少ない易洗浄性芝用マーキング剤について鋭意検討を重ね、その結果、ポリビニルアルコール,脂肪酸処理重質炭酸カルシウム及び顔料を含む水性分散体を用いることにより本目的が達せられることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
即ち、本発明は上記ポリビニルアルコール(A),脂肪酸処理重質炭酸カルシウム(B),顔料(C)及び水を用いた易洗浄性芝用マーキング剤を基本的特徴とするものである。ポリビニルアルコールは、塗料業界においては水系塗料の増粘剤や分散剤等に、製紙業界においては顔料との結着性に優れていることから塗工紙のバインダーとしてなど、多方面で利用されている。また、近年、安全性に優れ、生分解性を有することからグリーンプラとしての利用も広まっている。本発明者らはこのような特性に付け加えて、ポリビニルアルコールの乾燥した塗膜は結晶化度により水に対する溶出率や膨潤率が異なる点に着目した。即ち、ポリビニルアルコールはケン化度により適度な耐水性を持たせることが可能であり、また、水溶性の樹脂のなかでも特に顔料との混和性に優れ、限界顔料容積率が高くできるので有用である。
【0012】
一方、本発明で使用される脂肪酸処理重質炭酸カルシウムの役割は、単なる着色剤や充填剤とは異なり、ポリビニルアルコール中に分散することにより、該乾燥した塗膜はポリビニルアルコールの水に対する溶出と膨潤を抑制すると共に、水中で塗膜を強制的に動かした場合に、膜が1〜2mmの小片にバラバラに崩壊させる役割を有する。この理由については定かではないが、親水性のポリビニルアルコールの膜に疎水性の重質炭酸カルシウムを配合することにより、その界面で崩壊作用が生じ、脂肪酸処理重質炭酸カルシウムが崩壊剤の役割をしているものと思われる。この作用は適度な耐水性とラインの洗浄性に非常に有用であり、本発明の不可欠な要素である。
【0013】
即ち、本発明は、ポリビニルアルコール(A),脂肪酸処理重質炭酸カルシウム(B)及び顔料(C)を水に分散させた、ケン化度90モル%以上の(A)、平均粒子径0.5〜10μmの(B)、顔料(C)及び水からなることが好ましく、更に好ましくは(B)/(A)の重量比が1〜9及び(B)+(C)/(A)+(B)+(C)の容積率が40〜90容積%の範囲である易洗浄性芝用マーキング剤を特徴とする。また、本発明は、該マーキング剤が天然芝または人工芝の競技施設のラインマーキングに使用されることにより、マーキングした後に水洗により該マーキング剤を簡単に消去する使用法も特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る易洗浄性芝用マーキング剤は、上記の如くポリビニルアルコール、脂肪酸処理重質炭酸カルシウム及び顔料を含む水性分散体を用いることにより、ラインの形成が容易で、少しの雨ではラインが消えることもなく鮮明性を保持し、更にラインの消去が水洗浄のみで簡単にでき、且つ、天然芝の生育障害もなく、環境汚染の少ない易洗浄性芝用マーキング剤を提供することができ、天然芝や人工芝の競技施設のラインのマーキングに頗る有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、更に本発明易洗浄性芝用マーキング剤の具体的な実施形態を詳述する。本発明は上述の如く、ポリビニルアルコール,脂肪酸処理重質炭酸カルシウム及び顔料を含む水性分散体を用いたマーキング剤である。本発明で使用されるポリビニルアルコールは、一般的に市販されているポリ酢酸ビニルをケン化したポリビニルアルコールであれば特に制限なく、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、スルホン酸変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコール等も含まれる。ポリビニルアルコールのケン化度は、90モル%以上が好ましく、水溶液の安定性の面でケン化度90〜99モル%のポリビニルアルコールが特に好適である。具体的には、ケン化度90モル%以上のポリビニルアルコールは熱水には溶解するが、20〜30℃の水には部分溶解または不溶であり、ケン化度90モル%以下の場合は大部分溶解または完全溶解する。また、ポリビニルアルコールの分子量については、特に制限されないが、平均重合度400〜1000が好適に使用される。平均重合度が400以下ではマーキング剤の粘度が低くなるために、層分離し易く、平均重合度が1000以上では粘度が高くなりすぎて作業性が劣るために、実用的ではない。ケン化度90モル%以上のポリビニルアルコールの水溶液を調製するにあたり、通常は15〜20%濃度で撹拌しながら80〜95℃に1時間以上加温溶解する。
【0016】
本発明で使用される脂肪酸処理重質炭酸カルシウムは、通常、石灰石を粉砕、分級したものに脂肪酸で表面処理したものが使用されるが特に制限はなく、その他の天然物を粉砕したものを使用しても良い。表面処理される脂肪酸は、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等の脂肪酸またはそれらのエステルが挙げられる。特にステアリン酸処理重質炭酸カルシウムが崩壊性の面で最も好適である。
【0017】
脂肪酸処理重質炭酸カルシウムの平均粒子径は0.5μm〜10μmが好ましく使用される。平均粒子径の測定方法は、空気透過法で測定されたものであり、平均粒子径0.5μm以下の脂肪酸処理重質炭酸カルシウムは、工業的に入手困難であり、一方、平均粒子径10μm以上の脂肪酸処理重質炭酸カルシウムは、粒子径が粗いために塗膜の平滑性及び液の沈降安定性が劣り好ましくない。
【0018】
更に、脂肪酸処理重質炭酸カルシウムのポリビニルアルコールに対する配合重量比は1〜9が好ましい。重量比が1以下の場合は、崩壊作用が乏しく、一方、9以上の場合も過度の耐水性と造膜性が劣るために崩壊作用が乏しくなり好ましくない。
【0019】
本発明で使用される顔料は、酸化チタン,炭酸カルシウム,タルク,クレイ,サチンホワイトその他の天然物粉砕品、ガラス粉等の無機顔料やそれらを裏面処理した無機顔料、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ハンザイエロー、イミダゾロン、レーキレッド、キナクリドン等の有機顔料、またアクリル樹脂、アクリル−スチレン共重合体等の架橋微粒子や中空微粒子であるプラスチックピグメントの中から選ばれる1種または2種以上の混合によって所望の色を調製できる。ラインに使用される顔料は、白線の場合、隠蔽力の面で酸化チタンが好ましい。
【0020】
脂肪酸処理重質炭酸カルシウム(B)と顔料(C)のポリビニルアルコール(A)に対する配合割合は(B)+(C)/(A)+(B)+(C)の容積率が40〜90容積%の範囲が好ましく、容積率が40%以下の場合は、ラインの鮮明性が劣り、一方、90%以上の場合も造膜性に欠けるため崩壊作用が乏しくなり好ましくない。
【0021】
本発明の易洗浄性芝用マーキング剤には、上記成分以外に、必要に応じて公知の分散剤、湿潤剤、防腐剤、消泡剤及び蛍光増白剤等の添加剤を含んでも良い。分散剤としては、顔料を水に均一に分散し、長期間安定な水分散体を得るものであればよく、酸化チタン等の無機顔料は、通常使用されるポリアクリル酸ソーダ、ポリアクリル酸ソーダの共重合体、ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物の塩等が好適に使用される。また、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等の有機顔料は、通常使用されるポリカルボン酸のアルキルアミン塩、ブロック共重合体のアルキルアンモニウム塩等が好適に使用される。
【0022】
分散剤の添加量は、顔料に対し0.1〜3重量%の範囲で使用されるが、耐水性を保持するためには極力少ない方がよく、0.2〜1重量%が好ましい。湿潤剤としては、ラインの形成時に芝の表面に均一にマーキング剤を塗布する目的で添加されるものであれば良く、例えば、ジアルキルスルホコハク酸塩、ポリカルボン酸塩、ポリリン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩等のアニオン系界面活性剤、シリコン系湿潤剤、フッ素系湿潤剤、アセチレングリコール系湿潤剤等が挙げられる。耐水性を保持できる湿潤剤として、ジアルキルスルホコハク酸塩やアセチレングリコール系湿潤剤が特に好ましく、通常マーキング剤に対し0.1〜0.5重量%の範囲で使用される。
【0023】
防腐剤としては、一般的にポリビニルアルコール水溶液の腐敗を防止し、安全性の高いものであれば特に制限なく、例えば、ソルビン酸、ロダン塩、高級アルコール、イソチアゾリン系防腐剤等が挙げられる。通常、マーキング剤に対し0.01〜0.5重量%の範囲で使用される。消泡剤としては、マーキング剤の調製時の泡立ちを防止する目的で添加されるものであればよく、例えば鉱油系消泡剤、シリコン系消泡剤、ポリオキシエチレンプロピレンブロックポリマー、ジアルキルスルホン酸塩、アセチレングリコール系消泡剤等が挙げられる。ジアルキルスルホン酸塩やアセチレングリコール系は湿潤剤としての性能を持ち合わせているので都合がよく、通常、マーキング剤に対し0.1〜0.5重量%の範囲で使用される。
【0024】
蛍光増白剤としては、ラインの鮮明性を一層高めるためのものであれば良く、一般的に使用される蛍光増白剤の水溶液または水分散体が使用される。ポリビニルアルコールをバインダーとした場合は、スチルベン系水溶性染料の定着性が良好なために特に好ましく、顔料に対し1〜3重量%の範囲で使用される。
【0025】
次に本発明の易洗浄性芝用マーキング剤の調製は、従来公知の方法で行なわれる。即ち、ポリビニルアルコールを撹拌しながら、水に加えた後、80〜95℃で1時間以上加温溶解し、15〜20重量%の溶液を調製する。別途、顔料及び分散剤と水をボールミルに仕込み8〜12時間分散させ顔料の水分散体を調製する。酸化チタンを除く無機顔料は、後添加で粉体のまま分散しても良い。ポリビニルアルコールの水溶液、脂肪酸処理重質炭酸カルシウムおよび顔料の水分散体、湿潤剤、および防腐剤と水を所定量仕込み撹拌均一分散し、不揮発分濃度30〜60%の易洗浄性芝用マーキング剤を調製する。消泡剤および蛍光増白剤は必要に応じて添加すれば良い。
【0026】
本発明易洗浄性芝用マーキング剤は、通常、2〜5倍の水で稀釈して濃度5〜20重量%の範囲で使用される。ラインのマーキングは、芝の競技施設で一般的に使用される手動あるいは電動式のラインマーカーによりスプレーされる。ラインの洗浄および消去には通常高圧の水洗浄機が使用されるが、家庭で使用される水道ホースで散水した後、柄付きブラシで軽く擦り洗浄しても良い。なお、本発明の易洗浄性芝用マーキング剤は、天然芝あるいは人工芝の競技施設のラインマーキングに使用できるだけでなく、マークや意匠、文字等の表示をする場合にも広く使用することができる。
【実施例】
【0027】
以下、更に実施例を挙げ、本発明を詳細に説明するが、本発明は当該実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
「15%ポリビニルアルコール(PVA)水溶液の調製」
加熱、冷却および撹拌装置のついたステンレス容器に85重量部の水を仕込み、撹拌、加温しながら15重量部のPVA(商品名:PVA−706、ケン化度91モル%、平均重合度600 クラレ株式会社製)を投入し、80〜95℃にて1時間加熱溶解し、冷却して15%PVA水溶液を調製した。粘度:220mPa・s/30℃
「50%酸化チタン分散体の調製」
ボールミルに水49.5重量部と分散剤(商品名:デモール N 花王株式会社製)0.5重量部と酸化チタン(商品名:タイピユアー R−902 デュポン株式会社製)50重量部仕込み、12時間分散して50%酸化チタン分散体を得た。
【0028】
次に攪拌機付きの容器に15%PVA−706水溶液100重量部と水33.7重量部と湿潤剤(商品名:サンモリン OT−70 三洋化成株式会社製)1重量部と防腐剤(商品名:アクチサイド MBS ソー・ジャパン株式会社製)0.3重量部を仕込み、撹拌しながらステアリン酸処理重質炭酸カルシウム〔ST処理重炭〕(商品名:SST−40 平均粒子径1.1μm 株式会社カルファイン社製)45重量部を仕込み、均一に分散させた。更に50%酸化チタン分散体120重量部を加えて撹拌し、不揮発分濃度40%、粘度140mPa・s/30℃ PH8.2の芝用マーキング剤を得た。
(実施例2〜6)
表1に示す配合処方に従い、PVAのケン化度およびステアリン酸処理重質炭酸カルシウムの平均粒子径を下記の如く変更した以外は実施例1と同様にして調製した。
【0029】
PVA(商品名:RS−105、ケン化度99モル%、平均重合度500 クラレ株式会社製)ステアリン酸処理重質炭酸カルシウム(商品名:UST−50、平均粒子径0.7μm 株式会社カルファイン社製)ステアリン酸処理重質炭酸カルシウム(商品名:FSK−3、平均粒子径4.4μm 株式会社カルファイン社製)
(比較例1〜7)
表1に示す配合処方に従い、PVAのケン化度、ステアリン酸処理重質炭酸カルシウムの平均粒子径及び未処理重質炭酸カルシウム〔未処理重炭〕を変更した以外は実施例1と同様にして調製した。
【0030】
PVA(商品名:PVA−405、ケン化度80モル%、平均重合度500 クラレ株式会社製 ) ステアリン酸処理重質炭酸カルシウム(商品面:ライトンS−5、平均粒子径10.5μm 備北粉化工業株式会社製)未処理重質炭酸カルシウム(商品名:ACE−30、平均粒子径1.1μm 株式会社カルファイン社製)
なお、表1に記載の容積率は以下に従って計算した。
【0031】
比重:PVA1.25、ST処理重炭及び未処理重炭2.7、酸化チタン4.0
容積率:(重炭+顔料/PVA+重炭+顔料)×100
【0032】
【表1】

かくして得られた上記実施例1〜6および比較例1〜7の各調合液を、水で3倍に稀釈し、100ml(内径3.5cm、高さ12cm)の円筒形のガラスビンに100重量部いれて、室温にて1週間静置後、液の沈降状態を観察した。その結果を表2に示す。更に上記得られた実施例1〜6および比較例1〜7の各調合液を、厚み100μmのポリエチレンフィルムに、NO.14のバーコーターにて原液で各々塗布した後に、60℃の熱風乾燥内で10分乾燥、5×5cm2の大きさにカットし試験試料とした。
【0033】
平滑性及び鮮明性の評価は上記試験試料を目視観察した。耐水性の評価は、試験試料を、水を張った容器に静かに浸漬し、1昼夜放置した後の塗膜の外観変化を観察した。また易洗浄性の評価は、試験試料を水を張った容器に静かに浸漬した後、数回左右に動かし、塗膜の崩壊状態を観察した。これら観察の結果を合わせて表2に示す。なお、表2中に記載の液の沈降性、平滑性、鮮明性、耐水性および易洗浄性は以下に従って評価した。
【0034】
(液の沈降性)
◎全体が均一である。
【0035】
○ビンの底に僅かに固形物あり。
【0036】
△ビンの底に固形物がややあり。
【0037】
×ビンの底に固い固形物が多い。
【0038】
(平滑性)
◎平滑性良好。
【0039】
○平滑性ほぼ良好。
【0040】
△ややザラツキあり。
【0041】
×ザラツキあり。
【0042】
(鮮明性)
◎鮮明性非常に良好。
【0043】
○鮮明性良好。
【0044】
△やや鮮明性不良。
【0045】
×鮮明性不良。
【0046】
(耐水性)
◎変化が見られない。
【0047】
○僅かに膨れるがにじみは見られない。
【0048】
△膨れとにじみが見られる。
【0049】
×溶出が見られる。
【0050】
(易洗浄性)
◎バラバラに崩壊する。
【0051】
○ほぼバラバラに崩壊する。
【0052】
△崩壊しにくい。
【0053】
×崩壊しない。
【0054】
【表2】

次に実施例1の芝用マーキング剤を、水で3倍に希釈し、天然芝のサッカー球技場で、電動ラインマーカー(トップライン TXE−500)にて塗布量200g/m2で白線を引いた。乾燥後は鮮明なラインが得られた。10日間放置後の天然芝の生育状態を観察した結果、生育に全く異常は見られず、散水用のホースのみの水洗浄で目視できない程度に消去できた。
【0055】
また、実施例1の芝用マーキング剤を、水で3倍に希釈し、多目的の人工芝球技場でラインマーカー(スーパーマチック GM−10)にて塗布量200g/m2で白線を引いた。乾燥後は鮮明なラインが得られた。高圧洗浄機にて、水洗浄した結果、目視できない程度に消去できた。未洗浄部分のラインを、雨天時に放置した結果を表3に示す。
【0056】
【表3】

以上より実施例1の易洗浄性芝用マーキング剤は、少しの雨では消えることなく鮮明性を保持できることが確認された。かくして本発明に係る易洗浄性芝用マーキング剤はラインの形成が容易で、少しの雨天ではラインが消えることなく鮮明性を保持し、しかもラインの消去が水洗浄のみで簡単にできると共に、天然芝の生育障害もなく、環境汚染も少ないことが実証された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリビニルアルコール(A)、脂肪酸処理重質炭酸カルシウム(B)、顔料(C)及び水からなることを特徴とする易洗浄性芝用マーキング剤。
【請求項2】
(A)のケン化度が90モル%以上で、(B)の平均粒子径が0.5〜10μmである請求項1に記載の易洗浄性芝用マーキング剤。
【請求項3】
(B)/(A)の重量比が1〜9の範囲である請求項1または2に記載の易洗浄性芝用マーキング剤。
【請求項4】
(B)+(C)/(A)+(B)+(C)の容積率が40〜90容積%の範囲である請求項1,2または3に記載の易洗浄性芝用マーキング剤。
【請求項5】
芝に上記請求項1〜4の何れかの項に記載の易洗浄性芝用マーキング剤を塗布し、乾燥してマーキングを施した後、該マーキングを除去するとき、水洗により該マーキングを消去することを特徴とする易洗浄性芝用マーキング剤の使用法。

【公開番号】特開2010−90337(P2010−90337A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−264040(P2008−264040)
【出願日】平成20年10月10日(2008.10.10)
【出願人】(000005935)美津濃株式会社 (239)
【出願人】(591108422)広野化学工業株式会社 (3)
【Fターム(参考)】