説明

易開封加工装置、製袋充填方法および製袋充填装置

【課題】フィルムの切裂性や包装袋の開封性を確保することを可能にする。
【解決手段】易開封加工装置20は、巻回されたフィルムからなる原反ロール31を支持する軸22を有する架台21と、原反ロール31の外周面に当接されてフィルムの長手方向の一定間隔に傷痕を形成する易開封加工手段24と、易開封加工手段24を支持する加工手段支持部材28と、加工手段支持部材28を原反ロール31に向けて移動させることにより、原反ロール31の外周面に向けて押圧する押圧手段23とを備え、易開封加工手段24が原反ロール31の幅方向に複数並んで設けられ、加工手段支持部材28は、複数の易開封加工手段24を一括して支持しており、易開封加工装置20は、複数の易開封加工手段24の原反ロール31に対する押圧位置を個別に調節することが可能な押圧位置調整手段26を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルムや包装袋の端縁部等に傷痕を形成して開封を容易にするための易開封加工装置、製袋充填方法および製袋充填装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来スティック包装体等の包装袋の縁や背貼り部には、開封を容易にするためのノッチ等が設けられている。
特許文献1には、中身が連結部と側縁部とで封止されてなる包装体が連結部によって連結してなる包装体連結帯の製造方法において、側縁部の側縁近傍に該側縁に対し略垂直方向に細長い傷痕を複数形成し、側縁部に易開封加工を施す製造方法が記載されている。
特許文献2には、連続式縦型充填機において、縦シールを施し筒状に製袋し、続いてシール板で下部横シールおよび密封の為の横シールを施した後、最後に下部横シール部の中心で切断する際に、切断カッターで横シール部にノッチを形成するピロー包装袋の製造方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−182450号公報
【特許文献2】特開2004−182267号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の製造方法では、易開封加工がサイドの縦シール部に限られ、背貼り袋などの多様な包装袋に対応することができない。
特許文献2に記載の製造方法では、横シール部をヒートシールした直後に易開封加工を施すため、包材に熱が残っていると加工しにくい。また、冷却板に易開封加工(ノッチ形成)のためのカッターを設けているので、冷却板の面積が小さくなってシール性に支障を生じるおそれがある。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、背貼り袋などの多様な包装袋に対応可能な易開封加工装置、製袋充填方法および製袋充填装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明は、巻回されたフィルムからなる原反ロールを支持する軸を有する架台と、前記原反ロールの外周面に当接されてフィルムの長手方向の一定間隔に傷痕を形成する易開封加工手段と、前記易開封加工手段を支持する加工手段支持部材と、前記加工手段支持部材を前記原反ロールに向けて移動させることにより、前記原反ロールの外周面に向けて押圧する押圧手段とを備え、前記易開封加工手段が前記原反ロールの幅方向に複数並んで設けられ、前記加工手段支持部材は、複数の易開封加工手段を一括して支持しており、さらに前記易開封加工装置は、複数の易開封加工手段の前記原反ロールに対する押圧位置を個別に調節することが可能な押圧位置調整手段を備えることを特徴とする易開封加工装置を提供する。
【0007】
また、本発明は、原反ロールとして巻回されたフィルムを用いる製袋充填方法であって、上記本発明の易開封加工装置により原反ロールに傷痕を形成した後、前記原反ロールから繰り出した原反フィルムまたは前記原反フィルムをその送り方向に沿って複数本に裁断したフィルムからなる帯状フィルムを筒状に丸め、該フィルムの側縁部をフィルムの送り方向に沿ってヒートシールして筒状フィルムとし、筒状フィルムをその送り方向に交差する横方向にヒートシールし、前記筒状フィルム内に内容物を供給した後に前記筒状フィルムをその送り方向に交差する横方向にヒートシールして袋内に内容物が充填された包装体を製造することを特徴とする製袋充填方法を提供する。
この製袋充填方法においては、前記フィルムを筒状に丸める際に幅方向中央部において2つ折りにし、前記筒状フィルムは、両側縁部をフィルムの送り方向に沿ってヒートシールするとともに幅方向中央部をフィルムの送り方向に沿ってヒートシールすることで形成することもできる。
また、本発明は、原反ロールとして巻回されたフィルムを用いる製袋充填方法であって、上記本発明の易開封加工装置により原反ロールに傷痕を形成した後、前記原反ロールから繰り出した原反フィルムまたは前記原反フィルムをその送り方向に沿って複数本に裁断したフィルムからなる帯状フィルムを2枚が1対となるように両側縁部を重ね合わせ、両側縁部をフィルムの送り方向に沿ってヒートシールして筒状フィルムとし、筒状フィルムをその送り方向に交差する横方向にヒートシールし、前記筒状フィルム内に内容物を供給した後に前記筒状フィルムをその送り方向に交差する横方向にヒートシールして袋内に内容物が充填された包装体を製造することを特徴とする製袋充填方法を提供する。
【0008】
また、本発明は、原反ロールとして巻回されたフィルムを用いる製袋充填装置であって、原反ロールに傷痕を形成する易開封加工装置と、前記原反ロールから繰り出した原反フィルムまたは前記原反フィルムをその送り方向に沿って複数本に裁断したフィルムからなる帯状フィルムを筒状に丸める筒状化手段と、前記フィルムの側縁部をフィルムの送り方向に沿ってヒートシールして筒状フィルムとする側縁シール部形成手段と、前記筒状フィルム内に内容物を供給する内容物供給手段と、前記筒状フィルムをその送り方向に交差する横方向にヒートシールする端縁シール部形成手段とを備え、前記易開封加工装置が上記本発明の易開封加工装置であることを特徴とする製袋充填装置を提供する。
この製袋充填装置においては、前記側縁シール部形成手段は、両側縁部をフィルムの送り方向に沿ってヒートシールするとともに、前記筒状化手段において2つ折りにされた幅方向中央部をフィルムの送り方向に沿ってヒートシールして筒状フィルムとすることもできる。
また、本発明は、原反ロールとして巻回されたフィルムを用いる製袋充填装置であって、原反ロールに傷痕を形成する易開封加工装置と、前記原反ロールから繰り出した原反フィルムまたは前記原反フィルムをその送り方向に沿って複数本に裁断したフィルムからなる帯状フィルムの2枚が1対となるように重ね合わされた両側縁部をフィルムの送り方向に沿ってヒートシールして筒状フィルムとする側縁シール部形成手段と、前記筒状フィルム内に内容物を供給する内容物供給手段と、前記筒状フィルムをその送り方向に交差する横方向にヒートシールする端縁シール部形成手段とを備え、前記易開封加工装置が上記本発明の易開封加工装置であることを特徴とする製袋充填装置を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の易開封加工装置によれば、背貼り袋などの多様な包装袋の製造工程に対応可能で、製袋充填方法および製袋充填装置への組み込みも容易になる。
また、易開封加工手段が前記原反ロールの幅方向に複数並んで設けられ、加工手段支持部材は、複数の易開封加工手段を一括して支持しており、さらに複数の易開封加工手段の原反ロールに対する押圧位置を個別に調節することが可能な押圧位置調整手段を備えるので、印刷や部分的塗工による原反の凹凸や、原反ロールの径の変動に対して複数の易開封加工手段を個別に追従させることができる。
特に、原反フィルムを複数本の帯状フィルムに裁断してそれぞれを製袋充填する多面取りの場合に、それぞれの帯状フィルムから製造した包装袋を確実に易開封性のものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の易開封加工装置の一形態例を示す(a)正面図および(b)断面図である。
【図2】易開封加工された原反を裁断する工程を説明する平面図である。
【図3】(a)は第1形態例の製袋充填機の概略構成を示す斜視図であり、(b)はこの製袋充填機により製造された三方シール包装体の一例を示す平面図である。
【図4】本発明により製造された三方シール包装体の別の一例を示す平面図である。
【図5】(a)および(b)は、本発明により製造された背貼り包装体の一例を示す平面図である。
【図6】(a)は第2形態例の製袋充填機の概略構成を示す斜視図であり、(b)はこの製袋充填機により製造された四方シール包装体の一例を示す平面図である。
【図7】(a)は第3形態例の製袋充填機の概略構成を示す斜視図であり、(b)はこの製袋充填機により製造された四方シール包装体の一例を示す平面図である。
【図8】(a)および(b)は、本発明により製造された四方シール包装体の別の一例を示す平面図である。
【図9】本発明の易開封加工装置の別の形態例を示す(a)正面図および(b)断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、好適な実施の形態に基づき、図面を参照して本発明を説明する。
図1に示す本形態例の易開封加工装置20は、巻回されたフィルムからなる原反ロール31を支持する軸22を有する架台21と、原反ロール31の外周面に当接されてフィルムの長手方向の一定間隔に傷痕を形成する易開封加工手段24と、易開封加工手段24を支持する加工手段支持部材28と、加工手段支持部材28を原反ロール31に向けて移動させることにより、原反ロール31の外周面に向けて押圧する押圧手段23を備える。
【0012】
本形態例の場合、架台21は、軸22の一端(図1(a)では左端)が水平に取り付けられた支柱部21aと、この支柱部21aの下端が固定された基部21bを備える。この例では、軸22は支柱部21aから片持ち梁として取り付けられ、原反ロール31を交換する際には、軸22の他端(図1(a)では右端)側から容易に原反ロール31を着脱することができる。軸22には、原反ロール31が横揺れしないように保持するための固定手段(図示せず)を設けることが望ましい。製袋充填(詳しくは後述する。)の前段で易開封加工を行う場合に、原反ロール31が横揺れすると、側縁シール部の重なり幅を一定にしにくくなるためである。
【0013】
軸22に取り付けた原反ロール31の下方には、複数の易開封加工手段24を支持する加工手段支持部材28が設けられている。
本形態例の場合、加工手段支持部材28は、原反ロール31の外周面に対向してフィルムの幅方向(図1(a)の左右方向)に沿って延在して設けられた連結部材27と、この連結部材27に保持された支持軸25を備え、この支持軸25には、易開封加工手段24としての易開封加工ロール24が回転自在に支持されている。また、複数(例えば図示したように4個)の易開封加工ロール24が原反ロール31の幅方向に並んで設けられている。そして、加工手段支持部材28は、複数の易開封加工ロール24を一括して支持している。
【0014】
易開封加工ロール24は、支持軸25を中心にして回転可能な回転体(ロール本体)24bと、このロール本体24bの外周面24c上に突設され且つ支持軸25の方向に沿って延在した凸状の易開封加工部材24aを備えて構成されている。
ロール本体24bは、支持軸25の中心軸線と同心の外周面24cを有する円筒状である。本形態例の場合、ロール本体24bの外周面24c上には、4本の凸条である易開封加工部材24aが形成されている。ロール本体24bの外周面24c上の周方向における易開封加工部材24aの間隔は、フィルムに形成する易開封部の間隔に合わせて設定される。
易開封加工ロール24の回転は、原反ロール31に当接させたときに原反ロール31の回転に従うことで駆動されても良いし、支持軸25をフィルムの送りに同調して回転させることで駆動されても良い。
支持軸25の回転によって易開封加工ロール24にその内周側から回転駆動力が付与される場合は、支持軸25の両端を回転自在に支持するため、連結部材27には軸受け(ベアリング)等を設けることが望ましい。
【0015】
原反ロール31の回転によって易開封加工ロール24にその外周側から回転駆動力が付与される場合は、その回転駆動力が易開封加工部材24aと原反ロール31との摩擦力によって生じるので、回転駆動される部分の重量を軽くすることが望ましい。このため、支持軸25と易開封加工ロール24との間に軸受け等を設けて、支持軸25が回転せずとも、支持軸25の周囲で個々の易開封加工ロール24が別々に回転可能となるように構成することもできる。また、支持軸25が易開封加工ロール24に追随して共に回転駆動されても良い。
【0016】
易開封加工部材24aは、原反ロール31のフィルム(原反フィルム)に当接する表面(外周面)に微細な硬質のやすり状の粗面が形成され、原反ロール31の外周面に多数の傷痕を断続的に形成することができる。
本形態例の易開封加工装置20は、原反ロール31に向けて易開封加工部材24aに押圧力を加えるため、押圧手段23により加工手段支持部材28を移動させるので、フィルムの繰り出しに伴う原反ロール31の外径の縮小に追従して、均等な押圧力をもって原反フィルムを加工することができる。
【0017】
本形態例の押圧手段23は、加工手段支持部材28の連結部材27を一括して押圧することが可能な(一括押圧手段)、例えば伸縮自在のシリンダーであり、架台21の基部21bに取り付けられている。この一括押圧手段23は、原反ロール31に向けて加工手段支持部材28を移動させることで、加工手段支持部材28に支持された個々の易開封加工ロール24に原反ロール31への押圧力を付与する。一括押圧手段23による移動の結果、加工手段支持部材28は、原反ロール31からフィルムが繰り出されて原反ロール31の径が縮小するにつれて徐々に軸22に接近する。また、原反ロール31を交換するとき等には、シリンダーを収縮させることにより、加工手段支持部材28を軸22から離すことができる。
一括押圧手段23は、架台21に取り付けられていればよく、基部21b以外の場所に取り付けられることもできる。
一括押圧手段23は、押圧力によって加工手段支持部材28に上述の移動をさせることが可能なものであれば、エアシリンダーや油圧シリンダーのほか、ボールねじや回転モーター等を用いて構成することもできる。
【0018】
また、支持軸25の周囲には、弾性体からなる押圧位置調整手段26が設けられている。押圧位置調整手段26は、支持軸25から原反ロール31に対向する易開封加工部材24aまでの距離を、易開封加工ロール24ごとに変更可能で、これにより、複数の易開封加工ロール24の原反ロール31に対する押圧位置を個別に調節することが可能である。
つまり、原反ロール31を支持する軸22と易開封加工部材24aとの距離が、易開封加工ロール24ごとに異なるようにすることができる。したがって、個々の易開封加工ロール24の位置を原反ロール31の外径変動に追従させ、均等な押圧力をもって原反ロール31のフィルムを加工することができる。
本形態例において、支持軸25が易開封加工ロール24と共に回転する場合、押圧位置調整手段26を構成する弾性体は、支持軸25の外周面とロール本体24bの内面とに対して接着等で固定されていることが好ましい。これにより、支持軸25の回転によって易開封加工ロール24を駆動する場合には、支持軸25の回転駆動力がロール本体24bに確実に伝達され、原反ロール31の回転によって易開封加工ロール24を駆動する場合でも、回転に対する抵抗力が低減される。このため、易開封加工部材24aは、回転方向に著しいずれが生じることなく、ロール本体24bとともに回転させることができる。
【0019】
本形態例の易開封加工装置20は、原反ロール31として巻回されたフィルムを用いる製袋充填方法において、原反ロール31に易開封部となる傷痕を形成するために用いることができる。
したがって、図2に示すように、原反ロール31から繰り出したフィルム33をその送り方向に沿って複数本の帯状フィルム2に裁断し、それぞれの帯状フィルム2を製袋充填するために用いる多面取り(二面取り、三面取り、あるいはそれ以上)を行う際に、各帯状フィルム2に一定間隔で易開封部32を設けるため、確実に傷痕を形成することができる。
【0020】
易開封加工装置において、易開封加工手段が原反ロールの幅方向に複数並んで設けられている場合には、個々の易開封加工手段で形成される易開封部が原反フィルムの幅方向にずれることなくつながっているので、原反フィルムにずれのない易開封部を設けることができる。
フィルム幅方向に易開封部32が設けられた原反フィルム33は、多面取りで複数本の帯状フィルム2に裁断して、製袋充填に用いることもできる。あるいは、原反フィルム33をそのまま帯状フィルムとして製袋充填に用いる一面取りに利用することもできる。
なお、個々の易開封加工手段が個々の帯状フィルムに対応している場合には、易開封部の位置にずれが生じても、そのずれが生じる位置が帯状フィルムを裁断するときの境界線上(または境界線の付近)となるので、帯状フィルム上では、ずれが残らない、もしくは目立たないものとすることができる。
【0021】
包装袋を構成するフィルムとしては、シーラントを少なくとも片面に備える積層体、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン―酢酸ビニル共重合体(EVA)、環状ポリオレフィンなどのポリオレフィン樹脂層を最内層(シーラント)とし、二軸延伸ナイロンフィルムや二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリプロピレンフィルムなどの延伸フィルムを基材とし、必要に応じてエチレン―ビニルアルコール共重合体、金属や無機化合物の蒸着層(アルミ蒸着など)、アルミ箔等の金属箔、インキ層等の印刷層などを中間層としたラミネートフィルムを用いることができるが、特に、これらに限定されるものでない。
本発明によれば、フィルムに多数の傷痕からなる易開封部を形成するため、PET等の引裂強度が高い二軸延伸フィルムを用いても、開封しやすい包装袋を製造することができる。
【0022】
包装袋の形態は特に限定されるものではなく、三方シールや四方シールの平袋、背貼り袋、四角底袋、スタンディングパウチなど、種々の態様の包装袋に適用することが可能である。
本発明の易開封加工装置は、易開封加工した原反を用いて製袋する包装袋の製造方法に好適に用いることができる。本発明の易開封加工装置は簡単な構成とすることができるため、製袋、充填および封止を連続的に行う製袋充填機に組み込んで製袋充填方法に用いることにより、優れた生産性を発揮することができるので、好ましい。
なお、本発明の易開封加工装置は、易開封加工した原反をそのままロールに巻き取る等して、原反の易開封加工のみを行う工程に用いることもできる。
【0023】
本発明の製袋充填装置は、例えば、図1に示す易開封加工装置と、図2に示す裁断手段と、裁断して得られる各帯状フィルム2を用いた製袋充填機を備えて構成することができる。以下、製袋充填機およびこれを用いた製袋充填方法の例について、図3、図6、図7を参照して説明する。
【0024】
なお、図3(a)、図6(a)、図7(a)に示す製袋充填機10,10A,10Bは、液体、粘稠体、粉粒体やこれらの混合物を充填するため、内容物供給ノズル8,8Bに沿って帯状フィルム2を上から下に移動させる縦型の装置であるが、塊状の固形物を充填する場合には、横型の装置として構成しても良い。
【0025】
次に、図3を参照して、第1形態例の製袋充填機10およびそれを用いた包装体17の製造方法について説明する。
図3(a)に示す製袋充填機10は、図3(b)に示す三方シール包装袋17を連続的に製造する縦型の装置である。この製袋充填機10は、帯状フィルム2を筒状に丸める筒状化手段1と、帯状フィルム2の両側縁部3をフィルムの送り方向に沿ってヒートシールして側縁シール部5を形成する側縁シール部形成手段4と、側縁シール部5により形成された筒状フィルム14を、その送り方向に交差する横方向にヒートシールして端縁シール部7を形成する端縁シール部形成手段6と、下端側に端縁シール部7が形成された筒状フィルム14内に内容物を供給する内容物供給ノズル8(内容物供給手段)を備える。
【0026】
筒状化手段1は、帯状フィルム2が通過するフィルム通過口11を有する板状に形成されている。フィルム通過口11は、帯状フィルム2を通過させることにより、帯状フィルム2を湾曲させ略筒状とし、かつ側縁部3の重なり幅を一定にすることができる。
内容物供給ノズル8は、内容物を筒状フィルム14の内部に供給するためのもので、フィルム通過口11に挿通するように設けられている。
【0027】
側縁シール部形成手段4は、一対の側縁シール部材12を備え、これら側縁シール部材12で帯状フィルム2の両側縁部3を挟み込むことによって、これらをヒートシールすることができるようになっている。
端縁シール部形成手段6は、一対の端縁シール部材13を備え、これら端縁シール部材13で筒状フィルム14を挟み込むことによって、筒状フィルム14をヒートシールすることができるようになっている。
なお、シール部形成手段4、6のシール部材12、13の形状は、図示例のような一対の熱板のほか、ローラ状のシール部材や、一方の熱板と他方の受け板との組み合わせ等、種々の態様を採用することができる。ローラ状のシール部材としては、例えば、複数の押圧部位(凸部)が周方向に間隔をおいて形成されたものが挙げられる。
【0028】
以下、図3(a)に示す製袋充填機10を用いた製袋充填方法を説明する。
帯状フィルム2を下方に引き取り、内容物供給ノズル8の周囲に巻き付けつつ、筒状化手段1のフィルム通過口11に通過させることによって、フィルム通過口11の周縁に沿って帯状フィルム2を湾曲させ略筒状とする。
【0029】
次いで、帯状フィルム2を側縁シール部形成手段4に導入し、両側縁部3を重ね合わせ、側縁シール部材12で挟み込むことによって、ヒートシールする。これにより、帯状フィルム2は、側縁シール部5で閉じられ、筒状フィルム14となる。
次いで、筒状フィルム14を端縁シール部形成手段6に導入し、側縁シール部5の形成方向に垂直な方向に沿って端縁シール部材13を移動させ、端縁シール部材13により筒状フィルム14の一部を挟み込むことによって、挟み込んだ部分の筒状フィルム14をヒートシールする。筒状フィルム14は、内容物供給手段8の下方において端縁シール部7により閉塞した袋状容器となる。
【0030】
次いで、内容物供給ノズル8を用いて、内容物を筒状フィルム14内に供給する。
次いで、筒状フィルム14を下方に引き取り、充填前に形成した端縁シール部7から上方に所定距離離れた位置の筒状フィルム14を、端縁シール部材13で挟み込んでヒートシールする。このように、筒状フィルム14の送り方向に沿って所定距離離れた位置に形成された端縁シール部7の間の内部空間15に内容物が充填されることになる。
なお、端縁シール部7の形成後、超音波溶着装置(図示略)を用いて、端縁シール部7における接着強度を高めることもできる。
【0031】
次いで、カッターなどの切断手段(図示略)を用いて端縁シール部7を切断することによって、図3(b)に示す包装体17を得る。
この包装体17は、両端縁部7,7および一方の側縁部3の三方がヒートシールされ、帯状フィルム2の幅方向中央部16であった他方の側縁部16が折り返され、端縁シール部7に多数の傷痕からなる易開封部32が設けられたものとなる。
上記包装体17から内容物を取り出す際には、易開封部32から包装体17を引き裂き、手で容易に開封することができる。
【0032】
なお、図3(a)に示す製袋充填機10においては、易開封部32が一定間隔で設けられた帯状フィルム2を用いて製袋充填を行う際に、端縁シール部形成手段6によって形成される端縁シール部7のフィルム流れ方向中央部に易開封部32が位置している。このため、カッターなどの切断手段(図示略)を用いて端縁シール部7を切断する際に、易開封部32が両断され、易開封部32が包装体17の上下の端縁シール部7の両方に設けられる。
なお、易開封部32の位置合わせの設定を変更することにより、易開封部32が片方の端縁シール部7のみに設けられた包装体を製造することもできる。また、易開封部32の傷痕がフィルムを貫通しない場合は、図4に示すように、包装体17の内部空間15を引き裂き可能な包装体18を製造することも可能である。
【0033】
また、図3(a)に示す製袋充填機10においては、縦シールと横シールを同一の面内で行うものとしたが、縦シールと横シールを互いに交差した面内で行い、帯状フィルム2の幅方向中央部16と側縁シール部5とが向かい合って近づく方向に押圧して端縁シール部7を形成するようにすれば、図3(a)の縦シール部5が図5の背貼りシール部5Cとなった背貼り袋17C,18C(ピロー包装体)を製造することができる。
ピロー包装体の場合も、三方シール包装体と同様、易開封部32の位置合わせによって、易開封部32が端縁シール部7に形成された包装体17C、易開封部32が内部空間15に形成された包装体18Cのいずれも製造可能である。
【0034】
次に、図6を参照して、第2形態例の製袋充填機10Aおよびそれを用いた包装体17Aの製造方法について説明する。
図6(a)に示す製袋充填機10Aは、図6(b)に示すように内部空間15の四方がシール部5,5,7,7に囲まれてなる四方シール包装袋17Aを連続的に製造する縦型の装置である。
【0035】
この製袋充填機10Aは、図6(a)に示すように、帯状フィルム2を筒状に丸める筒状化手段1と、帯状フィルム2の筒状化手段1において2つ折りにされた幅方向中央部16および両側縁部3をそれぞれフィルムの送り方向に沿ってヒートシールして側縁シール部5を形成する側縁シール部形成手段4Aと、側縁シール部5により形成された筒状フィルム14を、その送り方向に交差する横方向にヒートシールして端縁シール部7を形成する端縁シール部形成手段6と、下端側に端縁シール部7が形成された筒状フィルム14内に内容物を供給する内容物供給ノズル8(内容物供給手段)を備える。
【0036】
側縁シール部形成手段4Aは、帯状フィルム2の両側縁部3を帯状フィルム2の送り方向に沿ってヒートシールするとともに、帯状フィルム2の幅方向中央部16を帯状フィルム2の送り方向に沿ってヒートシールするため、2対の側縁シール部材12を備える。他の構成および方法は、第1形態例と同様とすることにより、図6(b)に示すように、上下両端縁に端縁シール部7,7が形成され、帯状フィルム2の両側縁部3と、幅方向中央部16とにそれぞれ側縁シール部5,5が形成され、両方の端縁シール部7,7にそれぞれ易開封部32,32が設けられた四方シール包装袋17Aが得られる。
【0037】
次に、図7を参照して、第3形態例の製袋充填機10Bおよびそれを用いた包装体17Bの製造方法について説明する。
図7(a)に示す製袋充填機10Bは、図7(b)に示すように内部空間15の四方がシール部5,5,7,7に囲まれてなる四方シール包装袋17Bを連続的に製造する縦型の装置である。
【0038】
この製袋充填機10Bは、図7(a)に示すように、2枚の帯状フィルム2,2が1対となるように重ね合わされた両側縁部3,3を帯状フィルム2の送り方向に沿ってヒートシールして帯状フィルム2,2の両側縁部3,3にそれぞれ側縁シール部5,5を形成する側縁シール部形成手段4Bと、側縁シール部5,5により形成された筒状フィルム14を、その送り方向に交差する横方向にヒートシールして端縁シール部7を形成する端縁シール部形成手段6と、下端側に端縁シール部7が形成された筒状フィルム14内に内容物を供給する内容物供給ノズル8B(内容物供給手段)を備える。
【0039】
側縁シール部形成手段4Bは、帯状フィルム2の両側縁部3,3をそれぞれ帯状フィルム2の送り方向に沿ってヒートシールするため、2対の側縁シール部材12を備える。他の構成および方法は、第1形態例と同様とすることにより、図7(b)に示すように、上下両端縁に端縁シール部7,7が形成され、帯状フィルム2の両側縁部3,3にそれぞれ側縁シール部5,5が形成され、両方の端縁シール部7,7にそれぞれ易開封部32,32が設けられた四方シール包装袋17Bが得られる。
【0040】
四方シール包装体の場合も、三方シール包装体と同様、易開封部32の傷痕がフィルムを貫通しない場合は、易開封部32の位置合わせによって、図8(a)、(b)に示すように、易開封部32が内部空間15に形成された包装体18A,18Bを製造することも可能である。
【0041】
以上、本発明を好適な実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明は上述の形態例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
図9は、本発明の改変例に係る易開封加工装置20Aを示す。この易開封加工装置20Aは、易開封加工手段がプレート状または棒状の易開封加工部材24Aからなり、加工手段支持部材28Aには、押圧位置調整手段29として、易開封加工部材24Aを個別に押圧するシリンダー29が設けられている他は、図1の易開封加工装置20と同様に構成されている。
【0042】
図9の易開封加工装置20Aは、シリンダー29によって易開封加工部材24Aを上下に往復動させ、易開封加工部材24Aが原反ロール31に当接する間隔を制御することによって、フィルムの長手方向の一定間隔に傷痕からなる易開封部を形成することができる。本形態例の易開封加工装置20Aの場合、易開封部が形成される間隔は、易開封加工部材24Aの上下動の時間間隔によって、任意に設定可能である。
シリンダーとしては、エアシリンダーや油圧シリンダーなど、特に限定されることなく用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、各種内容物を包装するために好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0044】
1…筒状化手段、2…帯状フィルム、3…側縁部、4,4A,4B…側縁シール部形成手段(縦シール手段)、5…側縁シール部(縦シール部)、5C…背貼りシール部(縦シール部)、6…端縁シール部形成手段(横シール手段)、7…端縁シール部(横シール部)、8,8B…内容物供給手段(充填ノズル)、10,10A,10B…製袋充填機、14…筒状フィルム、16…帯状フィルムの幅方向中央部、17,17A,17B,17C,18,18A,18B,18C…包装体、20,20A…易開封加工装置、21…架台、22…軸、23…シリンダー(一括押圧手段)、24…易開封加工ロール、24a,24A…易開封加工部材、25…支持軸、26…押圧位置調整手段(弾性体)、27…連結部材、28…加工手段支持部材、29…押圧位置調整手段(個別押圧用シリンダー)、31…原反ロール、32…多数の傷痕からなる易開封部、33…フィルム(原反フィルム)、34…カッター(裁断手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻回されたフィルムからなる原反ロールを支持する軸を有する架台と、前記原反ロールの外周面に当接されてフィルムの長手方向の一定間隔に傷痕を形成する易開封加工手段と、前記易開封加工手段を支持する加工手段支持部材と、前記加工手段支持部材を前記原反ロールに向けて移動させることにより、前記原反ロールの外周面に向けて押圧する押圧手段とを備え、
前記易開封加工手段が前記原反ロールの幅方向に複数並んで設けられ、
前記加工手段支持部材は、複数の易開封加工手段を一括して支持しており、
さらに前記易開封加工装置は、複数の易開封加工手段の前記原反ロールに対する押圧位置を個別に調節することが可能な押圧位置調整手段を備えることを特徴とする易開封加工装置。
【請求項2】
原反ロールとして巻回されたフィルムを用いる製袋充填方法であって、
請求項1に記載の易開封加工装置により原反ロールに傷痕を形成した後、前記原反ロールから繰り出した原反フィルムまたは前記原反フィルムをその送り方向に沿って複数本に裁断したフィルムからなる帯状フィルムを筒状に丸め、該フィルムの側縁部をフィルムの送り方向に沿ってヒートシールして筒状フィルムとし、筒状フィルムをその送り方向に交差する横方向にヒートシールし、前記筒状フィルム内に内容物を供給した後に前記筒状フィルムをその送り方向に交差する横方向にヒートシールして袋内に内容物が充填された包装体を製造することを特徴とする製袋充填方法。
【請求項3】
前記フィルムを筒状に丸める際に幅方向中央部において2つ折りにし、前記筒状フィルムは、両側縁部をフィルムの送り方向に沿ってヒートシールするとともに幅方向中央部をフィルムの送り方向に沿ってヒートシールすることで形成することを特徴とする請求項2に記載の製袋充填方法。
【請求項4】
原反ロールとして巻回されたフィルムを用いる製袋充填方法であって、
請求項1に記載の易開封加工装置により原反ロールに傷痕を形成した後、前記原反ロールから繰り出した原反フィルムまたは前記原反フィルムをその送り方向に沿って複数本に裁断したフィルムからなる帯状フィルムを2枚が1対となるように両側縁部を重ね合わせ、両側縁部をフィルムの送り方向に沿ってヒートシールして筒状フィルムとし、筒状フィルムをその送り方向に交差する横方向にヒートシールし、前記筒状フィルム内に内容物を供給した後に前記筒状フィルムをその送り方向に交差する横方向にヒートシールして袋内に内容物が充填された包装体を製造することを特徴とする製袋充填方法。
【請求項5】
原反ロールとして巻回されたフィルムを用いる製袋充填装置であって、
原反ロールに傷痕を形成する易開封加工装置と、
前記原反ロールから繰り出した原反フィルムまたは前記原反フィルムをその送り方向に沿って複数本に裁断したフィルムからなる帯状フィルムを筒状に丸める筒状化手段と、
前記フィルムの側縁部をフィルムの送り方向に沿ってヒートシールして筒状フィルムとする側縁シール部形成手段と、
前記筒状フィルム内に内容物を供給する内容物供給手段と、
前記筒状フィルムをその送り方向に交差する横方向にヒートシールする端縁シール部形成手段とを備え、
前記易開封加工装置が請求項1に記載の易開封加工装置であることを特徴とする製袋充填装置。
【請求項6】
前記側縁シール部形成手段は、両側縁部をフィルムの送り方向に沿ってヒートシールするとともに、前記筒状化手段において2つ折りにされた幅方向中央部をフィルムの送り方向に沿ってヒートシールして筒状フィルムとすることを特徴とする請求項5に記載の製袋充填装置。
【請求項7】
原反ロールとして巻回されたフィルムを用いる製袋充填装置であって、
原反ロールに傷痕を形成する易開封加工装置と、
前記原反ロールから繰り出した原反フィルムまたは前記原反フィルムをその送り方向に沿って複数本に裁断したフィルムからなる帯状フィルムの2枚が1対となるように重ね合わされた両側縁部をフィルムの送り方向に沿ってヒートシールして筒状フィルムとする側縁シール部形成手段と、
前記筒状フィルム内に内容物を供給する内容物供給手段と、
前記筒状フィルムをその送り方向に交差する横方向にヒートシールする端縁シール部形成手段とを備え、
前記易開封加工装置が請求項1に記載の易開封加工装置であることを特徴とする製袋充填装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−208678(P2010−208678A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−58518(P2009−58518)
【出願日】平成21年3月11日(2009.3.11)
【出願人】(000224101)藤森工業株式会社 (292)
【Fターム(参考)】