説明

易開封性深絞り包装体

【課題】直線カット性に優れた底材及び/又は蓋材に使用することで、易開封性と耐破袋性とを両立させることができ、シール強度が強いにもかかわらず、イージーピール機構を設けなくとも容易に開封できる深絞り包装体を提供する。
【解決手段】底材と蓋材とがシールされた易開封性深絞り包装体であって、前記底材及び/又は前記蓋材が、20mm以下の直線カット性(縦方向(MD)に直線を引き、20cm引き裂いたときのその直線からのズレ量の絶対値M)を有する底材及び/又は蓋材である易開封性深絞り包装体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に食品等の内容物を包装するための底材と蓋材とをシールした易開封性深絞り包装体に関し、直線カット性に優れた底材及び/又は蓋材を使用することで、優れた開封性と耐破袋性とを有する易開封性深絞り包装体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、食品の保存性を向上するため、真空包装やガス置換包装、脱酸素剤入りの包装等の包装方法がとられており、包装作業の効率化の点から深絞り包装体が多く用いられている。
この深絞り包装体の開封手段の一つとして、イージーピールタイプのものがあり、これは、底材又は蓋材のシール層に凝集破壊等のイージーピール機能を付与するもので、深絞り包装体の周縁の熱接合部に、熱接合されていない部分を配設し、その熱接合されていない部分を剥離開始部とし、そこから剥離するというものである。また、他の開封手段として、完全シールタイプのもがあり、これは、深絞り包装体の熱接合部にVノッチなどの切り込み部を設け、その切り込み部から底材と蓋材とを同時に引き裂いて開封するというものである。
【0003】
特許文献1には、包装体の周縁に熱接合されていない剥離開始部を配設し、当該剥離開始部が配設される側の熱接合された周縁上に、蓋材に含まれる延伸フィルムの直線カット方向と直行する方向に切り込み部を形成し、剥離開始部から蓋材と底材とを容易に剥離する凝集破壊タイプの底材と直線カットタイプの蓋材とを組み合わせたイージーピールタイプの易開封性深絞り包装体が開示されている。
また、特許文献2には、蓋体の外周に2つのノッチを設け、この2つのノッチの周辺部がヒートシールされないようにして、蓋材と底材とが溶着していないフラップ部を形成し、この2つのノッチに挟まれたフラップ部をつまんで、蓋材の切り裂き方向性と平行な開封方向に引っ張ることにより、帯状に引き裂いて開封する完全シールタイプの易開封性深絞り包装体が開示されている。
さらに、特許文献3には、高弾性ポリアミド樹脂層と低弾性ポリアミド樹脂層とをヒートシール層以外に隣接して設けてなる共押出複合フィルムにより、引き裂き強度を低くして、開封性を改善することが開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2006−290438号公報
【特許文献2】実用新案登録第3092392号公報
【特許文献3】特許第3808142号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1にも記載されており、現在、深絞り包装体の多くに採用されている底材と蓋材とのシール層部分で剥離して開封するイージーピール機構を有するシーラントでは、易開封性と耐破袋性との両立において充分満足するとは言い難いものであった。特に、包装体に衝撃や圧力かかると、その衝撃や圧力はシール部に集中し易く、このためシール部の破壊を防止するためには、シール部のシール強度を強くする必要がある。
【0006】
ところが、シール部のシール強度を強くすると、耐破袋性は高くなるが、開封性が悪くなるという問題が生じるので、シール強度は9.8N/15mm幅未満に設定する必要があった。しかし、この程度のシール強度では、輸送中等の段階で破袋する可能性があり、耐破袋性が充分とは言い難いものであった。
この点、特許文献1に記載の易開封性深絞り包装体では、イージーピール強度を強くしても比較的開封性を良好に保てるが、それでもイージーピール機構を設けなければならないため、輸送中の破袋の危険性は残っていた。
【0007】
他方、特許文献2に記載されているような、イージーピール機能を持たない完全シールタイプの包装体では、シール強度を強くして破袋し難いものにできるが、開封のためには、ノッチから引き裂くか、ハサミ等の道具を用いることになる。
例えば、ノッチから開封する場合、フィルムが斜めに切れる場合も多く、フィルムが斜めに切れると、液体や内容物がこぼれ易くなるという問題がある。また、ノッチが無い場合はハサミ等の道具を用いなければならず、近くに適当な道具が無い場合、開封が困難である。
特に、深絞り包装体の場合、一般に、底材として無延伸フィルムが用いられており、配向されていない無延伸フィルムは引き裂き強度が非常に強いため、完全シールタイプの包装体では、開封し難いものになっていた。
【0008】
さらに、特許文献3に記載のフィルムでは、カット性に優れているものの、直線カット性は考慮されておらず、カット位置が安定しない可能性が高く、液体や内容物がこぼれ易くなるという問題がある。
【0009】
そこで、本発明は、直線カット性に優れた底材及び/又は蓋材に使用することで、易開封性と耐破袋性とを両立させることができ、シール強度が強いにもかかわらず、イージーピール機構を設けなくとも容易に開封できる深絞り包装体を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
すなわち、本発明は、以下のような易開封性深絞り包装体を提供するものである。
(1) 底材と蓋材とがシールされた易開封性深絞り包装体であって、前記底材及び/又は前記蓋材が、20mm以下の直線カット性(縦方向(MD)に直線を引き、20cm引き裂いたときのその直線からのズレ量の絶対値)を有する底材及び/又は蓋材である易開封性深絞り包装体、
(2) 前記底材及び/又は前記蓋材が、少なくとも一軸方向に2.0〜5.0倍延伸されたフィルムを少なくとも1層含む上記(1)に記載の易開封性深絞り包装体、
(3) 前記底材及び/又は前記蓋材が、10mm以下の直線カット性を有する一軸延伸ポリオレフィンフィルム、二軸延伸ポリエステルフィルム又は二軸延伸ポリアミドフィルムを少なくとも1層含む上記(1)又は(2)に記載の易開封性深絞り包装体、
(4) 前記底材及び/又は前記蓋材が、脂肪族ポリアミド重合体(A)を55〜79質量%、芳香族ポリアミド重合体(B)を21〜45質量%混合してなるフィルムを少なくとも1層含み、前記フィルムが、縦方向(MD)、横方向(TD)ともに2.0〜4.5倍延伸した後、95℃の熱水に5分間保持した際の縦方向(MD)及び横方向(TD)の少なくとも一方の熱水収縮率が3.0%以下となるように熱固定した二軸延伸ポリアミドフィルムである上記(1)〜(3)のいずれかに記載の易開封性深絞り包装体、
(5) 前記底材及び/又は前記蓋材が、脂肪族ポリアミド重合体(A)を55〜79質量%、芳香族ポリアミド重合体(B)を21〜45質量%混合してなる(a)フィルムの層と、芳香族ポリアミド重合体(B)を90〜100質量%含む(b)フィルムの層とをそれぞれ少なくとも1層有する積層フィルムを含み、前記積層フィルムが、縦方向(MD)、横方向(TD)ともに2.4〜4.5倍延伸した後、95℃の熱水に5分間保持した際の縦方向(MD)の熱水収縮率が3.0%以下となるように熱固定した二軸延伸ポリアミドフィルムである上記(1)〜(3)のいずれかに記載の易開封性深絞り包装体、
(6) 前記底材及び/又は前記蓋材が、脂肪族ポリアミド重合体(A)を55〜79質量%、芳香族ポリアミド重合体(B)を21〜45質量%混合してなる(a)フィルムの層と、エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)を90〜100質量%含む(c)フィルムの層とをそれぞれ少なくとも1層有する積層フィルムを含み、前記積層フィルムが、縦方向(MD)、横方向(TD)ともに2.4〜4.5倍延伸した後、95℃の熱水に5分間保持した際の縦方向(MD)の熱水収縮率が3.0%以下となるように熱固定した二軸延伸ポリアミドフィルムである上記(1)〜(3)のいずれかに記載の易開封性深絞り包装体、
(7) 前記脂肪族ポリアミド重合体(A)がポリアミド6であり、前記芳香族ポリアミド重合体(B)がポリメタキシリレンアジパミドである上記(4)〜(6)のいずれかに記載の易開封性深絞り包装体、
(8) 前記底材及び/又は前記蓋材が、シール層を有するものであり、前記シール層が、密度が0.910〜0.940g/cm3、融点が105〜135℃の直鎖状低密度ポリエチレンを含む層である上記(1)〜(7)のいずれかに記載の易開封性深絞り包装体、
(9) 前記底材が少なくとも5mm絞られている上記(1)〜(8)のいずれかに記載の易開封性深絞り包装体、
(10) 前記底材の引き裂かれる部分の絞り深さは、0〜10mmである上記(1)〜(9)のいずれかに記載の易開封性深絞り包装体、
(11) 前記易開封性深絞り包装体が、周囲にシールをするためのシール枠を有するパック品であり、前記周囲は1〜50mmの幅でシールされている上記(1)〜(10)のいずれかに記載の易開封性深絞り包装体、
(12) 前記底材と前記蓋材とのシール強度が、9.8N/15mm幅以上である上記(1)〜(11)のいずれかに記載の易開封性深絞り包装体、
である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、直線カット性に優れた底材及び/又は蓋材を使用することで、易開封性と耐破袋性とを両立させることができ、シール強度が強いにもかかわらず、イージーピール機構を設けなくとも容易に開封できる深絞り包装体が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明の底材及び/又は蓋材は、縦方向(MD:フィルムの流れ方向)の直線カット性(L)が20mm以下であることが必要であり、好ましくは15mm以下、さらに好ましくは10mm以下であり、最も好ましくは5mm以下であり、直線カット性(L)が0mmであるのが一番好ましい。
この直線カット性(L)は、以下のようにして評価される。
底材及び/又は蓋材に用いられるフィルムの流れ方向である縦方向(MD)に直線を引き、20cmの長さを約5秒間で引き裂き、20cm引き裂いた地点の直線とのズレ量を測定する。そして、このズレ量の絶対値を直線カット性(L)とする。
【0013】
本発明の底材及び蓋材は、それぞれのフィルムの直線カット性(L)を利用するために、底材と蓋材のフィルムの流れ方向は一致させるのが良い。
そして、このズレ量が20mm以下であれば、開封時に、大きく斜めに切れることが防止でき、中身の液体をこぼしたり、内容物を変形させたり、内容物を落とすことを防止することができる。
【0014】
本発明の底材及び/又は蓋材は、少なくとも一軸方向に2.0〜5.0倍延伸されたフィルムを少なくとも1層含むことが好ましい。延伸倍率が2.0倍以上で5.0倍以下であれば、フィルムの強度が十分となり、また延伸時破断の発生を防止できるからである。延伸倍率は、好ましくは2.0〜4.5倍、さらに好ましくは2.2〜4.0倍である。
本発明の底材及び/又は蓋材は、10mm以下の直線カット性(L)を有する一軸延伸ポリオレフィンフィルム、二軸延伸ポリエステルフィルム、二軸延伸ポリアミドフィルムを少なくとも1層含むことが好ましい。フィルムとしては、例えば、二軸延伸バリアポリアミドフィルム(MXD6中間層タイプ)、二軸延伸ハイバリアポリアミドフィルム(EVOH中間層タイプ)等が使用でき、さらに、無延伸6ナイロンフィルムと一軸延伸ポリオレフィンフィルムとを共押出法やドライラミネート法等により積層フィルムとすることもできる。
さらに前記フィルムに、共押出法やドライラミネート法等によりシール層を積層することもできる。
【0015】
これらのフィルムの中でも特に、二軸延伸ポリアミドフィルムや二軸延伸ポリエステルフィルムは引張弾性率が高く、印刷適性が良好であり、印刷を施した底材、蓋材の提供が可能となり、深絞り包装体装飾性を向上させることができ好ましい。特に、二軸延伸ポリアミドフィルムは、強度、酸素バリア、絞り成形性の点で好ましい。
二軸延伸ポリアミドフィルムとしては、脂肪族ポリアミド重合体(A)を55〜79質量%と、芳香族ポリアミド重合体(B)を21〜45質量%混合してなるフィルムを用いることができ、これにより20mm以下の直線カット性(L)を付与することができる。これは脂肪族ポリアミド重合体の海に、縦方向(MD)に細長く芳香族ポリアミド重合体の島を作ることにより直線カット性(L)を付与するものである。芳香族ポリアミド重合体の含有量が21質量%以上で45質量%以下であれば、直線カット性(L)が十分となり、また、二軸延伸フィルムの強度が強いものとなる。脂肪族ポリアミド重合体(A)と芳香族ポリアミド重合体(B)の比率は、好ましくは脂肪族ポリアミド重合体(A)が60〜77質量%で、芳香族ポリアミド重合体(B)が23〜40質量%であり、さらに好ましくは脂肪族ポリアミド重合体(A)が62〜75質量%で、芳香族ポリアミド重合体(B)が25〜38質量%である。
【0016】
脂肪族ポリアミド重合体(A)としては、環状ラクタムの開環重合物、アミノカルボン酸の自己重縮合物、ジカルボン酸とジアミンとの重縮合物などが挙げられる。具体的には、ポリアミド6と称されるε−カプロラクタムの単独重合体が、安価に入手でき、かつ、延伸操作を円滑に遂行し得るので好ましい。
芳香族ポリアミド重合体(B)としては、芳香族環を有するポリアミドであれば、特に制限されるものではないが、キシリレンジアミンと炭素数が6〜12のα,ω脂肪族ジカルボン酸とからなるポリアミド構成単位を分子鎖中に70モル%以上含有するものが好適に用いられ、これにより高いガスバリア性が得られる。
【0017】
上記のキシリレンジアミンと炭素数が6〜12のα,ω脂肪族ジカルボン酸とからなるポリアミド構成成分の具体例としては、ポリメタキシリレンアジパミド、ポリメタキシリレンピメラミド、ポリメタキシリレンアゼラミド、ポリパラキシリレンアゼラミド、ポリパラキシリレンデカナミドのような単独重合体、メタキシリレン/パラキシリレンアジパミド共重合体、メタキシリレン/パラキシリレンピメラミド共重合体、メタキシリレン/パラキシリレンアゼラミド共重合体およびメタキシリレン/パラキシリレンセバカミド共重合体のような共重合体が挙げられる。
【0018】
上記以外のポリアミド構成成分としては、ジアミン類とジカルボン酸類とのナイロン塩およびε−カプロラクタムのようなラクタム類の開環重合物、ε−アミノカルボン酸のようなω−アミノカルボン酸類の自己重縮合物等が挙げられる。ナイロン塩の成分としてのジアミン類の具体例には、ヘキサメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミンのような脂肪族ジアミン、ピペラジンビスプロピルアミン、ネオペンチルグリコールビスプロピルアミンのような異節環または異原子含有ジアミン等があり、また、ジカルボン酸類の具体例には、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸のような脂肪族ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸のような芳香族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸のような環状脂肪族ジカルボン酸等が挙げられる。
本発明では、特にポリアミド6とポリメタキシリレンアジパミド(以下、「MXD6」という)とを用いることが延伸性も良好で強度も保持したまま直線カット性(L)が付与できるため好ましい。
【0019】
二軸延伸ポリアミドフィルムの構成は、脂肪族ポリアミド重合体(A)を55〜79質量%と芳香族ポリアミド重合体(B)を21〜45質量%混合してなる(a)フィルムの層単層でも良いが、酸素バリア性付与のため、芳香族ポリアミド重合体(B)を90〜100質量%含む(b)フィルムの層を共押出しても良い。この場合、(b)フィルムの層には、0〜10質量%の柔軟性改質材を添加することができ、これにより芳香族ポリアミド重合体の硬さを抑えることができるようになる。
柔軟性改質材としては、ポリオレフィン類、ポリアミドエラストマー類、ポリエステルエラストマー類などが挙げられる。
【0020】
上記のポリオレフィン類は、主鎖中にポリエチレン単位、ポリプロピレン単位を50質量%以上含むものであり、無水マレイン酸等でグラフト変性していてもよい。ポリエチレン単位、ポリプロピレン単位以外の構成単位としては、酢酸ビニル、あるいはこの部分鹸化物、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、あるいはこれらの部分金属中和物(アイオノマー類)、ブテン等の1−アルケン類、アルカジエン類、スチレン類などが挙げられる。これらの構成単位を複数含んでも構わない。
【0021】
また、ポリアミドエラストマー類は、ポリエーテルアミド、ポリエーテルエステルアミド等のポリアミド系ブロック共重合体に属するものであり、アミド成分としてはポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド12等が例示され、エーテル成分としては、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシ−1,2−プロピレングリコール等が例示されるが、好ましくはポリテトラメチレングリコールとポリラウリルラクタム(ポリアミド12)を主成分とする共重合体である。また、任意成分としてドデカンジカルボン酸、アジピン酸、テレフタル酸等のジカルボン酸を少量用いたものであってもよい。
ポリエステルエラストマー類としては、例えばポリブチレンテレフタレートとポリテトラメチレングリコールを組み合わせたポリエーテル・エステルエラストマーや、ポリブチレンテレフタレートとポリカプロラクトンを組み合わせたポリエステル・エステルエラストマーなどが挙げられる。
【0022】
以上の柔軟性改良材は単独でも2種類以上を混合して使用してもよい。但し添加量は10質量%以下とする。添加量が10質量%以下であれば、透明性が低下することを防止できるからである。添加量は、好ましくは8質量%以下、さらに好ましくは6質量%以下である。
また酸素バリア性の付与のため、前記芳香族ポリアミド重合体(B)を90〜100質量%含む(b)フィルムの層の替わりにエチレン−ビニルアルコール共重合体(以下、「EVOH」という)(C)を90〜100質量%含む(c)フィルムの層を用いることができる。
【0023】
ここで用いるEVOHは、エチレン含有率が25〜38モル%の範囲、好ましくは29〜35モル%の範囲であり、鹸化度が95モル%以上、好ましくは98モル%以上のものが適している。エチレン含有率が25モル%以上で38モル%以下であれば、溶融押出し時の溶融押出し性に優れ、着色し難く、酸素ガスバリア性が低下しないからである。
また、EVOHの鹸化度が95モル%以上であれば、酸素ガスバリア性や耐湿性に優れ、98モル%以上であればその傾向が顕著となるからである。
【0024】
さらに、上記EVOHは、エチレンと酢酸ビニル二元共重合体の鹸化物の他に、共重合成分として少量のプロピレン、イソブテン、α−オクテン、α−ドデセン、α−オクタデセンなどのα−オレフィン;不飽和カルボン酸、またはその塩、部分アルキルエステル、完全アルキルエステル、ニトリル、アミド、無水物;不飽和スルホン酸、その塩などを含むものであってもよく、またEVOHには、上記のものに少量のポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミドなどの熱可塑性樹脂を混合したものであっても良い。
これらの共重合成分や熱可塑性樹脂は、単独でも2種類以上を混合して使用してもよく、添加量は10質量%以下、好ましくは8質量%以下、さらに好ましくは6質量%以下である。
【0025】
EVOHは、芳香族ポリアミド重合体よりも酸素バリア性が高く内容物の保存性が向上でき好適である。しかし、EVOHは酸素透過度の湿度依存性が高く、高湿度下では芳香族ポリアミド重合体よりもバリア性が低下する場合があるので、使用方法を考慮してEVOHはと芳香族ポリアミド重合体とを選択する必要がある。
【0026】
本発明の底材、蓋材に、二軸延伸ポリアミドフィルムを用いる場合、フィルムを縦方向(MD)、横方向(TD)ともに2.0〜4.5延伸するのが好ましい。この二軸方向に延伸することにより強度、直線カット性のバランスが取れたフィルムとすることが可能となる。延伸倍率が2.0倍以上で4.5倍以下であればフィルム強度が十分なフィルムが得られ、延伸時破断の発生を回避できるからである。延伸倍率は、好ましくは2.2〜4.2倍、さらに好ましくは2.4〜4.0倍である。
【0027】
フィルムの二軸延伸の方法は、テンター式逐次二軸延伸、テンター式同時二軸延伸、チューブラー式同時二軸延伸等、本発明の趣旨を越えない限り従来公知の延伸方法が採用できる。例えば、テンター式逐次二軸延伸方法の場合には、積層未延伸フィルムを50〜110℃の温度範囲に加熱し、ロール式縦延伸機によって縦方向に2.0〜4.5倍に延伸し、続いてテンター式横延伸機によって60〜140℃の温度範囲内で横方向に2.0〜4.5倍に延伸することにより製造することができる。また、テンター式同時二軸延伸やチューブラー式同時二軸延伸方法の場合は、例えば、60〜130℃の温度範囲において、縦横同時に各軸方向に2.0〜4.5倍に延伸することにより製造することができる。
【0028】
上記方法により延伸された積層二軸延伸フィルムは、引き続き熱処理をする。熱処理をすることにより常温における寸法安定性を付与することができる。この場合の熱処理温度は、110℃を下限として各ポリアミドの融点より5℃低い温度を上限とする範囲を選択するのが良く、これにより常温寸法安定性の良い、任意の熱収縮率を持った延伸フィルムを得ることができる。熱処理操作により、充分に熱固定された積層二軸延伸フィルムは、常法により冷却し巻きとることができる。
熱処理後のフィルムは、95℃の熱水に5分間保持した際の縦方向(MD)及び横方法(TD)の少なくとも一方の熱水収縮率が3.0%以下であることが好ましい。3.0%以下であれば、印刷やラミネート加工時の収縮が少なく、印刷ピッチズレやシワの発生等の問題を防止できるからである。特に、フィルム流れ方向である縦方向(MD)の熱水収縮率が3.0%以下であることが好ましく、より好ましくは2.5%以下、さらに好ましくは2.0%以下である。
【0029】
前記底材及び/又は前記蓋材のシール層として用いるシーラントフィルムは、密度0.910〜0.940g/cm3、融点が105〜135℃の直鎖状低密度ポリエチレンを用いることが好ましい。直鎖状低密度ポリエチレンが好ましいのは、耐熱性、強度があり、また密度が高いものであれば伸びにくく引裂き性が良好であるからである。
直鎖状低密度ポリエチレンの密度が0.910g/cm3以上で0.940g/cm3以下のシーラントフィルムであれば、適度な硬さのフィルムが得られ、引き裂き時に伸びることを防止でき、開封を阻害することが少なく、また、耐衝撃強度が低下し難いものとなる。この密度は、好ましくは0.915〜0.935g/cm3、さらに好ましは0.918〜0.933g/cm3である。
【0030】
また、融点が105〜135℃であれば、底材成型時、またはボイル時の耐熱性の低下を抑制することができる。さらに、深絞り成型は一般に底材のシーラント側からの接触加熱方式を取るため、融点が105℃以上であれば、成型温度を上げるとシーラントが溶けることを防止でき、十分な加熱ができる。またパック後ボイル殺菌を行う場合でも、シール層が溶けるのを防止でき、破袋の危険を回避できる。融点は、好ましくは110〜132℃、さらに好ましくは115℃〜130℃である。
【0031】
シーラントフィルムの厚みは20〜150μm程度を目安とすることができるが、絞り深さ、内容物等により任意に決めて良い。底材、蓋材とシーラントフィルムをラミネートする方法は特に限定されないが、接着強度が強い方が引裂き強度は安定するため、ドライラミネート法が好適である。
ラミネート面の接着強度は、2.9N/15mm幅以上であり、好ましくは4.9N/15mm幅以上、さらに好ましくは7.8N/15mm幅以上である。
【0032】
本発明の底材は少なくとも絞り深さ5mm絞られていることが好ましい。絞り深さが5mm以上であれば、内容物である固形分や、特に液体分が、蓋材とシールする前の包装機の搬送途中でこぼれることが回避できるからである。絞り深さは好ましくは8mm以上、さらに好ましくは10mm以上である。
特に、底材に一軸延伸ポリオレフィンや二軸延伸ポリアミドフィルム、二軸延伸ポリエステルフィルムを用いる場合には、絞りの形状に注意する必要がある。コーナーのRを小さくしてしまうと絞りきれず破れの原因となるため、Rを大きく取った無理の無い形状とすることが必要である。
【0033】
また、引裂かれる部分の絞り深さは0〜10mmとすることが好ましい。引裂かれる部分が成型されると、底材フィルムが元々持っていた直線カット性(L)が変化してしまうため、なるべく成型されない方が好ましい。したがって最も好ましいのは絞り0mmと言うことになる。引裂かれる部分の絞り深さはより好ましくは0〜8mm、さらに好ましくは0〜5mmである。
【0034】
本発明における深絞り包装体は、周囲に1〜50mmの幅のシール枠が設けられ、そのシール枠の幅でシールされていることが好ましい。シール幅が1mm以上50mm以下であれば、十分なシール強度得られ、引裂くシール部分として適度な大きさになるからであある。一般にシール部分は未シール部分に比べて引裂き強度が強くなるため、開封性が落ちる方向となる。
【0035】
また、一般に、シール強度は、強い方が耐破袋性も良好で輸送等の安全性が高くなり、さらには、引き裂いて開封するタイプの場合、シール部の引き裂きも容易になるため好ましいものであり、本発明では、直線カット性に優れた底材及び/又は蓋材を用いることにより、底材と蓋材とのシール強度を9.8N/15mm幅(引張速度200mm/min)以上にすることができる。
シール強度が、9.8N/15mm幅以上であれば、輸送中等にシール破袋し難くなり、内容物として液体を含む場合でも、液体分の漏れを防いで他の輸送容器等が汚染することを防ぐことができるからである。シール強度は、好ましくは14.7N/15mm幅以上、さらに好ましくは19.6N/15mm幅以上である。シール強度の上限は特に限定されないが、通常、147N/15mm幅以下、好ましくは117.6N/15mm幅以下、さらに好ましくは98N/15mm幅以下である。
【0036】
従来、主に用いられていたイージーピールが付与された底材又は蓋材を用いる場合は、開封性のためシール強度は9.8N/15mm幅未満に設定する必要があり、破袋の危険を伴っていた。本発明では、開封は引き裂くことにより行うことができるため、イージーピール機構を設けなくともよく、シール強度を十分に強く設定することが可能となる。
【実施例】
【0037】
以下に本発明を実施例により、さらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(1)フィルム
以下に実施例、比較例に用いたポリアミドフィルム、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム等を示す。
スーパーニールSPR−M:三菱樹脂(株)社製の二軸延伸バリアナイロンフィルム(脂肪族ポリアミド重合体(ポリアミド6)を0〜5質量%、芳香族ポリアミド重合体(MXD6)を95〜100質量%含むフィルムの中間層の両外側に、脂肪族ポリアミド重合体を68〜72質量%、芳香族ポリアミド重合体を28〜32質量%含むフィルムを設けた積層フィルム)
縦方向(MD)の延伸倍率2.5〜2.7倍、熱水収縮率1.8%
横方向(TD)の延伸倍率3.5〜3.8倍、熱水収縮率3.5%
サントニールSNR:三菱樹脂(株)社製の二軸延伸6ナイロンフィルム(脂肪族ポリアミド重合体が100質量%で、芳香族ポリアミド重合体は0質量%のフィルム)
縦方向(MD)の延伸倍率2.8〜3.0倍、熱水収縮率1.5%
横方向(TD)の延伸倍率3.4〜3.7倍、熱水収縮率2.0%
【0038】
ダイアミロンC−Z:三菱樹脂(株)社製の無延伸6ナイロンフィルム(脂肪族ポリアミド重合体が100質量%で、芳香族ポリアミド重合体は0質量%のフィルム)
ユニアスロンTB1000:出光ユニテック(株)社製の二軸延伸ポリアミドフィルム
縦方向(MD)の熱水収縮率4.0%
横方向(TD)の熱水収縮率2.5%
エンブレットPC:ユニチカ(株)社製の二軸延伸ポリエステルフィルム
三井ノーブレンフィルムASC:三井化学ファブロ(株)社製の一軸延伸ポリプロピレンフィルム
【0039】
EVOH系直線カットフィルム:中間層にソアノールDC3203B(日本合成化学工業株式会社製EVOH エチレンコンテント32モルタイプ)100質量%、その両外側に、1022C6(三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製ナイロン6)70質量%とMXナイロン6007(三菱ガス化学株式会社製MXD6)30質量%とを混合した層を、55μm/40μm/55μmとなるよう共押出したシートを60℃に加熱し、MD方向に2.7倍延伸し、ついでテンターを用いて120℃でTD方向に3.7倍延伸し、215℃で熱固定を行って得たフィルム
縦方向(MD)の延伸倍率2.7倍、熱水収縮率1.8%
横方向(TD)の延伸倍率3.7倍、熱水収縮率3.2%
【0040】
(2)シーラントフィルム
上記シール層を形成するためのシーラントフィルムを以下に示す。
T.U.X HC:東セロ(株)社製の直鎖状低密度ポリエチレンフィルム
密度0.931g/cm3、融点124℃
T.U.X FC−S:東セロ(株)社製の直鎖状低密度ポリエチレンフィルム
密度0.918g/cm3、融点116℃
【0041】
(3)底材及び蓋材
底材及び蓋材は、上記ポリアミドフィルム、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム等の各フィルム及び上記シーラントフィルムをドライラミネートすることにより作製した。ドライラミネーション用の接着剤としては2液硬化型接着剤(主剤として大日本インキ(株)製、商品名「ディックドライLX−75A」、硬化剤として大日本インキ(株)製、商品名「ディックドライKW−40」を使用して作成した。
また、実施例、比較例の括弧内は、各層の厚さを示し、「//」は、その前後に記載されている層がドライラミネート法により接合されていることを示すものである。
【0042】
(4)フィルムの直線カット性(L)の評価
フィルムの直線カット性(L)の評価は、以下の方法によって行なった。実施例、比較例における評価の結果を表1に示す。
フィルムの両端部、及び中央の三点から、縦方向(MD)に300mm、横方向(TD)に180mmの大きさのフィルムを、各2枚ずつ切り出し、縦方向(MD)と正確に平行な線を、30mm間隔で引く、次にこの線の上にフェザー刃を用いて端から50mmのところまで切れ目を入れ、短冊状にし、試験片を作製する。次に、試験片を測定者の正面に、縦方向(MD)が真っ直ぐ前を向く方法に、平らなすりガラスの上に置く。ここで、右手引きの場合は右手で試験片の右端の短冊部分を持ち、左手はその隣の短冊部分を押さえる。短冊部分を持った右手を、約5秒間かけてゆっくり、真っ直ぐに手前に引く。この操作を右端から順に5回行う。左引きの場合は逆の操作を行う。
【0043】
そして、引き裂きはじめから20cmのところでの、予め縦方向(MD)に引いた線からずれた幅、すなわち、縦方向(MD)に直線を引き、20cm裂いたときの直線からのズレ量の絶対値をL(mm)とし、直線カット性(L)の指標とした。
以上の試験を、右手引き、左手引きそれぞれについて試験を行い、平均値(平均値の少数第2位を四捨五入)を取り、両端部、及び中央の計六点のうち、最も大きいものについて以下の評価を行った。
【0044】
なお、表1の「フィルム」は、上記フィルム(素材)の直線カット性(L)を示すものであり、「シール層付フィルム」は、前記「フィルム」に上記シーラントフィルムをラミネートしたフィルムの直線カット性(L)を示すものである。
【0045】
(5)深絞り包装体(深絞り真空包装体)
実施例、比較例に記載の底材及び蓋材を用いて、図1及び2に示すような深絞り包装体を作製した。この深絞り包装体は、縦17cm、横13cm、底材の絞り深さが20mmの凹型絞りの形状であり、さらに周囲にシール枠10cmを設け、8cmの幅で底材と蓋材とをシールした深絞り真空包装体であるパック品である。また、左端から3cmの上端にVノッチの切り込み部を設けた。尚、引き裂き部には縦方向に4cmの幅で非成形部を設けた。
【0046】
(6)深絞り包装体の直線カット性(M)
上記(5)で作製した空の深絞り真空包装体をVノッチの部分から縦方向に約3秒かけて引き裂き開封し、そのVノッチと反対側のシール部に到達したときの底材と蓋材とのズレ量をM(mm)とし、直線カット性(M)の指標とした。
【0047】
(7)深絞り包装体のシール強度
シール強度は、以下のようにして測定した。
実施例、比較例に記載の底材及び蓋材のシール層(直鎖状低密度ポリエチレンフィルム)同士を合わせてシールし、当該シール部を15mm幅の短冊状に切り取り、引張り試験機にて200mm/minの引張り速度で引っ張った時の最大応力を測定した。
【0048】
(8)深絞り包装体の開封性
深絞り包装機ムルチバックR530を用いて、開封性を以下のように評価した。
上記(5)で作製した空の深絞り真空包装体を約3秒かけて開封を行う。そのときフィルムが伸びず抵抗感なく弱い力で開封できるものを◎、若干フィルムが伸び抵抗感があるものを○、フィルムが伸び開封に力を要するものを×とした。
【0049】
(実施例1)
実施例1の底材及び蓋材として、以下のシール層付フィルムを用いた。
底材:スーパーニールSPR−M(15μm)//T.U.X HC(50μm)
蓋材:スーパーニールSPR−M(15μm)//T.U.X FC−S(50μm)
【0050】
(1)フィルムの直線カット性(L)
表1に示すように、底材及び蓋材に用いられているスーパーニールSPR−M(フィルム)の直線カット性(L)は1.5mmであり、底材(シール層付フィルム)及び蓋材(シール層付フィルム)の直線カット性(L)はそれぞれ3.5mm、4.5mm、であり、単層フィルム、積層フィルムともに優れた直線カット性(L)を有していた。
(2)深絞り包装体の直線カット性(M)
表2に示すように、深絞り包装体の直線カット性(M)は、2.0mmであり、底材と蓋材との開きは少なく、優れた直線カット性(M)を有していた。
(3)深絞り包装体のシール強度
表2に示すように、深絞り包装体の底材と蓋材とのシール強度は、57N/15mmであり、強いシール強度を有していた。
(4)深絞り包装体の開封性
表2に示すように、深絞り包装体の開封性は、「◎」であり、優れた開封性を有していた。
【0051】
(実施例2)
実施例2の底材及び蓋材として、以下のシール層付フィルムを用いた。
底材:スーパーニールSPR−M(15μm)//T.U.X HC(50μm)
蓋材:ユニアスロンTB1000(15μm)//T.U.X FC−S(50μm)
【0052】
(1)フィルムの直線カット性(L)
表1に示すように、底材に用いられているスーパーニールSPR−M(フィルム)、蓋材に用いられているユニアスロンTB1000(フィルム)、底材(シール層付フィルム)及び蓋材(シール層付フィルム)は、優れた直線カット性(L)を有していた。
(2)深絞り包装体の直線カット性(M)
表2に示すように、底材と蓋材との開きは少なく、優れた直線カット性(M)を有していた。
(3)深絞り包装体のシール強度
表2に示すように、強いシール強度を有していた。
(4)深絞り包装体の開封性
表2に示すように、深絞り包装体の開封性は、「◎」であり、優れた開封性を有していた。
【0053】
(実施例3)
実施例3の底材及び蓋材として、以下のシール層付フィルムを用いた。
底材:スーパーニールSPR−M(15μm)//T.U.X HC(50μm)
蓋材:エンブレットPC(12μm)//T.U.X FC−S(50μm)
【0054】
(1)フィルムの直線カット性(L)
表1に示すように、底材に用いられているスーパーニールSPR−M(フィルム)、蓋材に用いられているエンブレットPC(フィルム)、底材(シール層付フィルム)及び蓋材(シール層付フィルム)は、優れた直線カット性(L)を有していた。
(2)深絞り包装体の直線カット性(M)
表2に示すように、底材と蓋材との開きは少なく、優れた直線カット性(M)を有していた。
(3)深絞り包装体のシール強度
表2に示すように、強いシール強度を有していた。
(4)深絞り包装体の開封性
表2に示すように、深絞り包装体の開封性は、「◎」であり、優れた開封性を有していた。
【0055】
(実施例4)
実施例4の底材及び蓋材として、以下のシール層付フィルムを用いた。
底材:スーパーニールSPR−M(15μm)//T.U.X HC(50μm)
蓋材:サントニールSNR(15μm)//三井ノーブレンフィルムASC(20μm)//T.U.X HC(50μm)
【0056】
(1)フィルムの直線カット性(L)
表1に示すように、底材に用いられているスーパーニールSPR−M(フィルム)、蓋材に用いられている三井ノーブレンフィルムASC(フィルム)、底材(シール層付フィルム)及び蓋材(シール層付フィルム)は、優れた直線カット性(L)を有していた。
(2)深絞り包装体の直線カット性(M)
表2に示すように、底材と蓋材との開きは少なく、優れた直線カット性(M)を有していた。
(3)深絞り包装体のシール強度
表2に示すように、強いシール強度を有していた。
(4)深絞り包装体の開封性
表2に示すように、深絞り包装体の開封性は、「◎」であり、優れた開封性を有していた。
【0057】
(実施例5)
実施例5の底材及び蓋材として、以下のシール層付フィルムを用いた。
底材:エンブレットPC(12μm)//T.U.X HC(50μm)
蓋材:スーパーニールSPR−M(15μm)//T.U.X HC(50μm)
【0058】
(1)フィルムの直線カット性(L)
表1に示すように、底材に用いられているエンブレットPC(フィルム)、蓋材に用いられているスーパーニールSPR−M(フィルム)、底材(シール層付フィルム)及び蓋材(シール層付フィルム)は、優れた直線カット性(L)を有していた。
(2)深絞り包装体の直線カット性(M)
表2に示すように、底材と蓋材との開きは少なく、優れた直線カット性(M)を有していた。
(3)深絞り包装体のシール強度
表2に示すように、強いシール強度を有していた。
(4)深絞り包装体の開封性
表2に示すように、深絞り包装体の開封性は、「◎」であり、優れた開封性を有していた。
【0059】
(実施例6)
実施例6の底材及び蓋材として、以下のシール層付フィルムを用いた。
底材:ダイアミロンC−Z(30μm)//三井ノーブレンフィルムASC(20μm)//T.U.X HC(40μm)
蓋材:スーパーニールSPR−M(15μm)//T.U.X HC(50μm)
【0060】
(1)フィルムの直線カット性(L)
表1に示すように、底材に用いられている三井ノーブレンフィルムASC(フィルム)、蓋材に用いられているスーパーニールSPR−M(フィルム)、底材(シール層付フィルム)及び蓋材(シール層付フィルム)は、優れた直線カット性(L)を有していた。
(2)深絞り包装体の直線カット性(M)
表2に示すように、底材と蓋材との開きは少なく、優れた直線カット性(M)を有していた。
(3)深絞り包装体のシール強度
表2に示すように、強いシール強度を有していた。
(4)深絞り包装体の開封性
表2に示すように、深絞り包装体の開封性は、「○」であり、実施例1〜5、7には及ばないものの使用に耐え得る開封性を有していた。
【0061】
(実施例7)
実施例7の底材及び蓋材として、以下のシール層付フィルムを用いた。
底材:スーパーニールSPR−M(15μm)//T.U.X HC(50μm)
蓋材:サントニールSNR(15μm)//T.U.X HC(50μm)
【0062】
(1)フィルムの直線カット性(L)
表1に示すように、蓋材に用いられているサントニールSNR(フィルム)の直線カット性(L)は22mmであり、蓋材(シール層付フィルム)の直線カット性(L)は35mmであったが、底材に用いられているスーパーニールSPR−M(フィルム)及び底材(シール層付フィルム)は、優れた直線カット性(L)を有していた。
(2)深絞り包装体の直線カット性(M)
表2に示すように、深絞り包装体の直線カット性(M)は、実施例1〜6には及ばないものの使用に耐え得る直線カット性(M)を有していた。
(3)深絞り包装体のシール強度
表2に示すように、強いシール強度を有していた。
(4)深絞り包装体の開封性
表2に示すように、深絞り包装体の開封性は、「◎」であり、優れた開封性を有していた。
【0063】
(実施例8)
実施例8の底材及び蓋材として、以下のシール層付フィルムを用いた。
底材:ダイアミロンC−Z(30μm)//T.U.X HC(50μm)
蓋材:スーパーニールSPR−M(15μm)//T.U.X HC(50μm)
【0064】
(1)フィルムの直線カット性(L)
表1に示すように、底材に用いられているダイアミロンC−Z(フィルム)の直線カット性(L)は14mmであり、底材(シール層付フィルム)の直線カット性(L)は23mmであった。しかし、蓋材に用いられているスーパーニールSPR−M(フィルム)及び蓋材(シール層付フィルム)は、優れた直線カット性(L)を有していた。
(2)深絞り包装体の直線カット性(M)
表2に示すように、深絞り包装体の直線カット性(M)は、実施例1〜6には及ばないものの使用に耐え得る直線カット性を有していた。
(3)深絞り包装体のシール強度
表2に示すように、包装体は、強いシール強度を有していた。
(4)深絞り包装体の開封性
表2に示すように、深絞り包装体の開封性は、「○」であり、実施例1〜5、7には及ばないものの使用に耐え得る開封性を有していた。
【0065】
(実施例9)
実施例9の底材及び蓋材として、以下のシール層付フィルムを用いた。
底材:EVOH系直線カットフィルム(15μm)//T.U.X HC(50μm)
蓋材:EVOH系直線カットフィルム(15μm)//T.U.X FC−S(50μm)
【0066】
(1)フィルムの直線カット性(L)
表1に示すように、底材及び蓋材に用いられているEVOH系直線カットフィルム(フィルム)、底材(シール層付フィルム)及び蓋材(シール層付フィルム)は、優れた直線カット性(L)を有していた。
(2)深絞り包装体の直線カット性(M)
表2に示すように、底材と蓋材との開きは少なく、優れた直線カット性(M)を有していた。
(3)深絞り包装体のシール強度
表2に示すように、強いシール強度を有していた。
(4)深絞り包装体の開封性
表2に示すように、深絞り包装体の開封性は、「◎」であり、優れた開封性を有していた。
【0067】
(比較例1)
比較例1の底材及び蓋材として、以下のシール層付フィルムを用いた。
底材:ダイアミロンC−Z(30μm)//T.U.X HC(50μm)
蓋材:サントニールSNR(15μm)//T.U.X HC(50μm)
【0068】
(1)フィルムの直線カット性(L)
表1に示すように、底材に用いられているダイアミロンC−Z(フィルム)、蓋材に用いられているサントニールSNR(フィルム)、底材(シール層付フィルム)及び蓋材(シール層付フィルム)の直線カット性(L)は優れたものではなかった。
(2)深絞り包装体の直線カット性(M)
表2に示すように、深絞り包装体の直線カット性(M)は、25mmであった。
(3)深絞り包装体のシール強度
表2に示すように、強いシール強度を有していた。
(4)深絞り包装体の開封性
表2に示すように、深絞り包装体の開封性は、「○」であった。
【0069】
(比較例2)
比較例2の底材及び蓋材として、以下のシール層付フィルムを用いた。
底材:ダイアミロンC−Z(30μm)//T.U.X HC(50μm)
蓋材:ダイアミロンC−Z(30μm)//T.U.X HC(50μm)
【0070】
(1)フィルムの直線カット性(L)
表1に示すように、底材及び蓋材に用いられているダイアミロンC−Z(フィルム)、底材(シール層付フィルム)及び蓋材(シール層付フィルム)の直線カット性(L)は優れたものではなかった。
(2)深絞り包装体の直線カット性(M)
表2に示すように、深絞り包装体の直線カット性(M)は、33mmであった。
(3)深絞り包装体のシール強度
表2に示すように、強いシール強度を有していた。
(4)深絞り包装体の開封性
表1に示すように、深絞り包装体の開封性は、「×」であった。
【0071】
(比較例3)
比較例3の底材及び蓋材として、以下のシール層付フィルムを用いた。
底材:サントニールSNR(15μm)//T.U.X HC(50μm)
蓋材:サントニールSNR(15μm)//T.U.X HC(50μm)
【0072】
(1)フィルムの直線カット性(L)
表1に示すように、底材及び蓋材に用いられているサントニールSNR(フィルム)、底材(シール層付フィルム)及び蓋材(シール層付フィルム)の直線カット性(L)は優れたものではなかった。
(2)深絞り包装体の直線カット性(M)
表2に示すように、深絞り包装体の直線カット性(M)は、18mmであった。
(3)深絞り包装体のシール強度
表2に示すように、強いシール強度を有していた。
(4)深絞り包装体の開封性
表1に示すように、深絞り包装体の開封性は、「◎」であるが、上記のように直線カット(L)性が優れておらず、使用上好ましいものではなかった。
【0073】
【表1】

【0074】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は、主に食品等の内容物を包装するための底材と蓋材とをシールした易開封性深絞り包装体に関し、直線カット性に優れた底材及び/又は蓋材を使用することで、食品等の内容物の保存性、開封性、破袋性に優れた易開封性深絞り包装体を提供するものである。
特に、ハンバーグやミートボール、油揚げ等のタレやスープ等の液体を含んだ内容物を包装する場合に、優れた易開封性と耐破袋性とが両立した易開封性深絞り包装体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】図1は、深絞り包装体の例を示す平面図である。
【図2】図2は、図1の切断線A−Aにおける深絞り包装体の断面図である。
【符号の説明】
【0077】
M :底材と蓋材とのズレ量

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底材と蓋材とがシールされた易開封性深絞り包装体であって、前記底材及び/又は前記蓋材が、20mm以下の直線カット性(縦方向(MD)に直線を引き、20cm引き裂いたときのその直線からのズレ量の絶対値)を有する底材及び/又は蓋材であることを特徴とする易開封性深絞り包装体。
【請求項2】
前記底材及び/又は前記蓋材が、少なくとも一軸方向に2.0〜5.0倍延伸されたフィルムを少なくとも1層含むことを特徴とする請求項1に記載の易開封性深絞り包装体。
【請求項3】
前記底材及び/又は前記蓋材が、10mm以下の直線カット性を有する一軸延伸ポリオレフィンフィルム、二軸延伸ポリエステルフィルム又は二軸延伸ポリアミドフィルムを少なくとも1層含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の易開封性深絞り包装体。
【請求項4】
前記底材及び/又は前記蓋材が、脂肪族ポリアミド重合体(A)を55〜79質量%、芳香族ポリアミド重合体(B)を21〜45質量%混合してなるフィルムを少なくとも1層含み、前記フィルムが、縦方向(MD)、横方向(TD)ともに2.0〜4.5倍延伸した後、95℃の熱水に5分間保持した際の縦方向(MD)及び横方向(TD)の少なくとも一方の熱水収縮率が3.0%以下となるように熱固定した二軸延伸ポリアミドフィルムであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の易開封性深絞り包装体。
【請求項5】
前記底材及び/又は前記蓋材が、脂肪族ポリアミド重合体(A)を55〜79質量%、芳香族ポリアミド重合体(B)を21〜45質量%混合してなる(a)フィルムの層と、芳香族ポリアミド重合体(B)を90〜100質量%含む(b)フィルムの層とをそれぞれ少なくとも1層有する積層フィルムを含み、前記積層フィルムが、縦方向(MD)、横方向(TD)ともに2.4〜4.5倍延伸した後、95℃の熱水に5分間保持した際の縦方向(MD)の熱水収縮率が3.0%以下となるように熱固定した二軸延伸ポリアミドフィルムであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の易開封性深絞り包装体。
【請求項6】
前記底材及び/又は前記蓋材が、脂肪族ポリアミド重合体(A)を55〜79質量%、芳香族ポリアミド重合体(B)を21〜45質量%混合してなる(a)フィルムの層と、エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)を90〜100質量%含む(c)フィルムの層とをそれぞれ少なくとも1層有する積層フィルムを含み、前記積層フィルムが、縦方向(MD)、横方向(TD)ともに2.4〜4.5倍延伸した後、95℃の熱水に5分間保持した際の縦方向(MD)の熱水収縮率が3.0%以下となるように熱固定した二軸延伸ポリアミドフィルムであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の易開封性深絞り包装体。
【請求項7】
前記脂肪族ポリアミド重合体(A)がポリアミド6であり、前記芳香族ポリアミド重合体(B)がポリメタキシリレンアジパミドであることを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載の易開封性深絞り包装体。
【請求項8】
前記底材及び/又は前記蓋材が、シール層を有するものであり、前記シール層が、密度が0.910〜0.940g/cm3、融点が105〜135℃の直鎖状低密度ポリエチレンを含む層であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の易開封性深絞り包装体。
【請求項9】
前記底材が少なくとも5mm絞られていることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の易開封性深絞り包装体。
【請求項10】
前記底材の引き裂かれる部分の絞り深さは、0〜10mmであることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の易開封性深絞り包装体。
【請求項11】
前記易開封性深絞り包装体が、周囲にシールをするためのシール枠を有するパック品であり、前記周囲は1〜50mmの幅でシールされていることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の易開封性深絞り包装体。
【請求項12】
前記底材と前記蓋材とのシール強度が、9.8N/15mm幅以上であることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の易開封性深絞り包装体。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−70217(P2010−70217A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−239870(P2008−239870)
【出願日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【出願人】(000006172)三菱樹脂株式会社 (1,977)
【Fターム(参考)】