説明

映像信号処理装置、映像信号処理方法及び映像信号処理プログラム

【課題】急激なシーン変化にも迅速に追従して鮮明に画像を表示するために、復号処理、補正処理等を行なう映像信号処理装置、映像信号処理方法及び映像信号処理プログラムを提供すること。
【解決手段】入力される符号化映像信号から1画面分の画像についての特徴量を解析する符号化映像解析手段と、前記符号化映像信号を復号化することにより再生映像信号を生成する復号・再生手段と、前記符号化映像解析手段によって解析された特徴量に基づいて、前記復号・再生手段によって生成された再生映像信号を補正する再生映像補正手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鮮明に画像を表示するために符号化映像信号を表示映像信号に処理する映像信号処理技術に関し、特に、デジタルテレビジョン放送による符号化映像信号、インターネット映像配信等で受信した符号化映像信号、若しくはハードディスク等に録画された符号化映像信号を、デジタルテレビジョン装置が備える表示パネル等に鮮明に表示するために、復号処理、補正処理等を行なう映像信号処理装置、映像信号処理方法及び映像信号処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、従来の映像信号処理装置の構成例を示す図である。
図1において、従来の映像信号処理装置10は、デジタルテレビジョン装置等に備えられ、受信した符号化映像信号を処理した表示映像信号を液晶表示装置等の表示パネル16に出力する。映像信号処理装置10は、この処理のために、復号・再生手段11、画面内局所的特徴量解析手段12、シーン/画面毎特徴量解析手段13、再生映像補正手段14及び表示映像補正手段15を備える。
【0003】
復号・再生手段11は、入力された符号化映像信号(例えば、MPEG等の国際標準方式に準拠して符号化されたデータ)を、デジタルの再生映像信号に復号化して出力する。
画面内局所的特徴量解析手段12は、復号・再生手段11によって復号化された再生映像信号に基づいて、1画面内の局所的な特徴量(例えば、画素単位のエッジ量、動きベクトル等)を解析し、シーン/画面毎特徴量解析手段13は、復号・再生手段11によって復号化された再生映像信号及び画面内局所的特徴量解析手段12によって解析された画面内の局所的な特徴量に基づいて、シーン/画面毎の特徴量(例えば、色輝度分布、縦横スクロール、静止、シーンチェンジ等)を解析する。
【0004】
再生映像補正手段14は、復号・再生手段11によって復号化された再生映像信号、画面内局所的特徴量解析手段12によって解析された画面内の局所的な特徴量及びシーン/画面毎特徴量解析手段13によって解析されたシーン/画面毎の特徴量に基づいて、再生映像信号の特性に応じた高画質化を実現するための映像補正処理(例えば、IP変換、フレームレート変換、動的色輝度補正等)を実行する。
【0005】
そして、表示映像補正手段15は、表示パネル16のパネル性能や特性に応じた映像補正処理(例えば、ガンマ補正等)を実行して表示映像信号を出力する。
このようにして、従来の映像信号処理装置10は、鮮明に画像を表示するための処理を実行する。
【0006】
また、各画像入力装置からの画像情報とともに入力装置の特性に応じた補正デ−タをも同時に記憶し、再生に際して対応した補正デ−タをも再生して画像情報を補正することにより、良好な画質の再生画像を得る技術が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0007】
また、画像入力部からの標準信号を基に画像出力部でその画像デ−タの特徴量を抽出し、画像入力部よりの画像情報を損なうことなく、その画像を出力する技術も開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
【特許文献1】特開昭62−136982号公報
【特許文献2】特開平4−261275号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来の映像信号処理技術には下記のような問題点があった。
図2は、従来の映像信号処理技術の問題点を説明するための図である。
図2において、上段の再生映像21A、21B、21C、21D、21E、21F、21G及び21Hは、復号・再生手段11によって出力された再生映像信号によって構成される1画面分の再生映像であり、再生映像21A(図2中の左側)から再生映像21H(図2中の右側)へ時系列に並んでいる。下段の表示映像22A、22B、22C、22D、22E、22F、22G及び22Hは、表示映像補正手段15によって出力された表示映像信号によって構成される1画面分の表示映像であり、表示映像22A(図2中の左側)から表示映像22H(図2中の右側)へ時系列に並んでいる。なお、表示映像22Aは再生映像21Aに対応しており、同様に表示映像22B乃至22Hは再生映像21B乃至21Hに対応している。
【0009】
そして、これらの表示映像22A乃至22Hの各々は、再生映像21A乃至21Hのうちの過去の複数枚分の再生映像信号の特徴量に基づいて、映像補正処理が施されている。例えば、表示映像22Eは、再生映像21B乃至21Dの3枚分の再生映像信号の特徴量に基づいて、映像補正処理が施されている。
【0010】
したがって、再生映像21Dから再生映像21Eへ切り替わる際のように、輝度が大きく異なることにより急激にシーンが変化するような場合、再生映像がその変化に迅速に追従することができず、再生映像信号の補正により、表示映像信号の品質がかえって低下しまうという問題点があった。
【0011】
すなわち、図2に示した例では、再生映像21A乃至21Dは明る過ぎる(輝度が高い)ため、暗くなるように映像補正処理が施され、再生映像21E乃至21Hは暗過ぎる(輝度が低い)ため、明るくなるように映像補正処理が施されているのであるが、例えば、表示映像22Eは、再生映像21B乃至21Dの再生映像信号の特徴量に基づいて、映像補正処理を施しているので、暗い表示映像22Eがさらに暗くなり過ぎてしまっている。
【0012】
本発明は、上述のような実状に鑑みたものであり、急激なシーン変化にも迅速に追従して鮮明に画像を表示するために、復号処理、補正処理等を行なう映像信号処理装置、映像信号処理方法及び映像信号処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、上記課題を解決するため、下記のような構成を採用した。
すなわち、本発明の一態様によれば、本発明の映像信号処理装置は、入力される符号化映像信号から1画面分の画像についての特徴量を解析する符号化映像解析手段と、前記符号化映像信号を復号化することにより再生映像信号を生成する復号・再生手段と、前記符号化映像解析手段によって解析された特徴量に基づいて、前記復号・再生手段によって生成された再生映像信号を補正する再生映像補正手段とを備えることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の映像信号処理装置は、さらに、前記符号化映像信号の前記復号・再生手段への入力を遅延させるために、前記符号化映像信号を一時的に格納する符号化映像信号遅延バッファを備えることが望ましい。
【0015】
また、本発明の映像信号処理装置は、さらに、前記符号化映像信号を格納する符号化映像データベースと、前記符号化映像データベースから1画面分の符号化映像信号を読み出し、前記復号・再生手段及び前記符号化映像解析手段に遅延させて出力する読み出し制御手段とを備えることが望ましい。
【0016】
また、本発明の映像信号処理装置は、前記符号化映像解析手段が、前記符号化映像信号を可変長復号することにより特徴量を解析することが望ましい。
また、本発明の映像信号処理装置は、前記符号化映像解析手段が、画面単位の動きの偏り特徴量、色輝度分布特徴量、画面の変化量特徴量のうち少なくとも1つ以上の特徴量を解析することが望ましい。
【0017】
また、本発明の一態様によれば、本発明の映像信号処理方法は、映像信号処理装置のコンピュータが、入力される符号化映像信号から1画面分の画像についての特徴量を解析し、前記符号化映像信号を復号化することにより再生映像信号を生成し、前記解析された特徴量に基づいて、前記生成された再生映像信号を補正することを特徴とする。
【0018】
また、本発明の一態様によれば、本発明の映像信号処理プログラムは、映像信号処理装置のコンピュータを、入力される符号化映像信号から1画面分の画像についての特徴量を解析する符号化映像解析手段と、前記符号化映像信号を復号化することにより再生映像信号を生成する復号・再生手段と、前記符号化映像解析手段によって解析された特徴量に基づいて、前記復号・再生手段によって生成された再生映像信号を補正する再生映像補正手段として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、高画質化を実現するために必要な画面単位の映像特徴量を、符号化映像信号から事前に生成することで、将来の画面の特徴量を現行画面の映像補正に利用することが可能となり、シーンの急激な変化に迅速に追従することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
(第1の実施の形態)
図3は、本発明の第1の実施の形態における映像信号処理装置の構成例を示す図である。
【0021】
図3において、本発明の第1の実施の形態における映像信号処理装置30は、デジタルテレビジョン装置等に備えられ、受信した符号化映像信号を処理した表示映像信号を液晶表示装置等の表示パネル16に出力する。映像信号処理装置30は、この処理のために、従来の映像信号処理装置10が備える復号・再生手段11、画面内局所的特徴量解析手段12、シーン/画面毎特徴量解析手段13、再生映像補正手段14及び表示映像補正手段15に加え、再生映像信号遅延バッファ31及び局所的特徴量遅延バッファ32を備える。
【0022】
復号・再生手段11は、入力されたMPEG等により符号化された符号化映像信号を、デジタルの再生映像信号に復号化して、再生映像信号遅延バッファ31に格納する。
画面内局所的特徴量解析手段12は、復号・再生手段11によって復号化された再生映像信号に基づいて、画素単位のエッジ量等の1画面内の局所的な特徴量を解析して、局所的特徴量遅延バッファ32に格納する。また、シーン/画面毎特徴量解析手段13は、従来と同様に、復号・再生手段11によって復号化された再生映像信号及び画面内局所的特徴量解析手段12によって解析された画面内の局所的な特徴量に基づいて、色輝度分布等のシーン/画面毎の特徴量を解析する。
【0023】
再生映像補正手段14は、再生映像信号遅延バッファ31に格納された再生映像信号、局所的特徴量遅延バッファ32に格納された画面内の局所的な特徴量及びシーン/画面毎特徴量解析手段13によって解析されたシーン/画面毎の特徴量に基づいて、再生映像信
号の特性に応じた高画質化を実現するためのIP変換等の映像補正処理を実行する。
【0024】
そして、表示映像補正手段15は、従来と同様に、表示パネル16のパネル性能や特性に応じたガンマ補正等の映像補正処理を実行して表示映像信号を出力する。
このように、本発明の第1の実施の形態における映像信号処理装置10は、再生映像信号遅延バッファ31及び局所的特徴量遅延バッファ32を用いて再生映像信号及び画面内の局所的な特徴量を遅延させ、画面単位の特徴量を現画面の映像補正処理に先立って解析することで、未来の画面の解析結果を利用することができ、急激なシーンの変化に迅速に対応することが可能となる。
【0025】
ただし、再生映像信号と画面の局所的な特徴量を遅延させるための再生映像信号遅延バッファ31及び局所的特徴量遅延バッファ32が、先行して解析を実施する画面の数だけ必要となり、ハードウェア規模及びコストの増大をまねくという懸念はある。
(第2の実施の形態)
図4は、本発明の第2の実施の形態における映像信号処理装置の構成例を示す図である。
【0026】
図4において、本発明の第2の実施の形態における映像信号処理装置40は、デジタルテレビジョン装置等に備えられ、受信した符号化映像信号を処理した表示映像信号を液晶表示装置等の表示パネル16に出力する。映像信号処理装置40は、この処理のために、復号・再生手段11、画面内局所的特徴量解析手段12、再生映像補正手段14及び表示映像補正手段15に加え、符号化映像信号遅延バッファ41及び符号化映像解析手段42を備える。すなわち、映像信号処理装置40は、上述の第1の実施の形態における映像信号処理装置30が備えるシーン/画面毎特徴量解析手段13の代わりに符号化映像解析手段42を備え、再生映像信号遅延バッファ31及び局所的特徴量遅延バッファ32の代わりに符号化映像信号遅延バッファ41を備えている。
【0027】
符号化映像信号遅延バッファ41は、符号化映像解析手段42と復号・再生手段11の遅延を考慮して、入力された符号化映像信号を遅延させる。そして、復号・再生手段11は、入力されたMPEG等により符号化され、符号化映像信号遅延バッファ41で一旦遅延した符号化映像信号を、デジタルの再生映像信号に復号化する。
【0028】
画面内局所的特徴量解析手段12は、従来と同様に、復号・再生手段11によって復号化された再生映像信号に基づいて、画素単位のエッジ量等の1画面内の局所的な特徴量を解析する。
【0029】
符号化映像解析手段42は、復号・再生手段11による復号化に先立って、入力された符号化映像信号に基づいて、シーンや画面毎の特徴量の解析を行なう。
再生映像補正手段14は、復号・再生手段11によって復号化された再生映像信号、画面内局所的特徴量解析手段12によって解析された画面内の局所的な特徴量及び符号化映像解析手段42によって解析されたシーン/画面毎の特徴量に基づいて、再生映像信号の特性に応じた高画質化を実現するためのIP変換等の映像補正処理を実行する。
【0030】
そして、表示映像補正手段15は、従来と同様に、表示パネル16のパネル性能や特性に応じたガンマ補正等の映像補正処理を実行して表示映像信号を出力する。
図5は、本発明の第2の実施の形態による効果の例を説明するための図である。
【0031】
図5において、上段の再生映像21A、21B、21C、21D、21E、21F、21G及び21Hは、復号・再生手段11によって出力された再生映像信号によって構成される1画面分の再生映像であり、再生映像21A(図2中の左側)から再生映像21H(
図2中の右側)へ時系列に並んでいる。下段の表示映像52A、52B、52C、52D、52E、52F、52G及び52Hは、表示映像補正手段15によって出力された表示映像信号によって構成される1画面分の表示映像であり、表示映像52A(図5中の左側)から表示映像52H(図5中の右側)へ時系列に並んでいる。なお、表示映像52Aは再生映像21Aに対応しており、同様に表示映像52B乃至52Hは再生映像21B乃至21Hに対応している。
【0032】
そして、これらの表示映像52A乃至52Hの各々は、再生映像21A乃至21Hのうちの過去の複数枚分の再生映像信号の特徴量に基づいて、映像補正処理が施されている。例えば、表示映像52Eは、符号化映像信号遅延バッファ41で一旦遅延した符号化映像信号を復号・再生手段11で復号化するため、再生映像21D乃至21Fの3枚分の再生映像信号の特徴量に基づいて、映像補正処理が施されることになる。
【0033】
したがって、再生映像21Dから再生映像21Eへ切り替わる際のように、輝度が大きく異なることにより急激にシーンが変化するような場合であっても、再生映像がその変化に迅速に追従することができる。
【0034】
更に、遅延させるデータが、復号前の符号化映像信号であるため、実現に必要な符号化映像信号遅延バッファ41の大幅な増加を伴わない。
次に、本発明の第2の実施の形態における符号化映像解析手段42による処理及び再生映像補正手段14による処理について、フローチャートを用いて説明する。
【0035】
図6は、符号化映像解析手段42によって実行される1画面分の符号化映像解析処理の流れを示すフローチャートである。
まず、ステップS601において、例えば、輝度の最大値[0]を0、輝度の最小値[0]を255に初期化する。
【0036】
そして、ステップS602において、1画面分の符号化映像信号(可変長符号)を読み込み、ステップS603において、可変長復号処理を開始する。
ステップS604において、ステップS603で可変長復号処理を開始したデータについて順に輝度のDC係数であるか否かを判断し、DC係数であると判断した場合(ステップS604:Y)は、ステップS605において、逆量子化処理を実行する。
【0037】
そして、ステップS606において、ステップS605で逆量子化処理をした値が輝度の最大値より大きいか否かを判断し、輝度の最大値より大きくないと判断した場合(ステップS606:N)は、さらに、ステップS607において、ステップS605で逆量子化処理をした値が輝度の最小値より小さいか否かを判断し、輝度の最小値より小さいと判断した場合(ステップS607:Y)は、ステップS608において、輝度の最小値を更新する。
【0038】
他方、輝度の最大値より大きいと判断した場合(ステップS606:Y)は、ステップS609において、輝度の最大値を更新する。
そして、ステップS610において、1画面分の可変長復号が完了したか否かを判断し、完了したと判断した場合(ステップS610:Y)は、ステップS611において、輝度の最大値及び最小値の平均値を算出する。例えば、輝度の最大値=(輝度の最大値[0]+輝度の最大値[1]+輝度の最大値[2])/3、輝度の最小値=(輝度の最小値[0]+輝度の最小値[1]+輝度の最小値[2])/3を算出する。
【0039】
最後にステップS612において、輝度の最大値[2]に輝度の最大値[1]を、輝度の最大値[1]に輝度の最大値[0]をそれぞれ代入し、輝度の最小値[2]に輝度の最
小値[1]を、輝度の最小値[1]に輝度の最小値[0]をそれぞれ代入する。
【0040】
図7は、再生映像補正手段14によって実行される1画面分の再生映像補正処理の流れを示すフローチャートである。
まず、ステップS701において、復号・再生手段11によって出力された再生映像信号を1画面取り込み、ステップS702において、例えば輝度の最小値若しくは最大値若しくはこれら輝度の最小値及び最大値等の画面の特徴量の取り込みを行なう。
【0041】
次に、ステップS703において、画素単位の輝度値補正処理を実行する。例えば、輝度が8ビットで、輝度の最小値をa、輝度の最大値をbとした場合、aよりbの方が大きいという条件(b>a)を満たせば、補正後の輝度値は、min(max((補正前の輝度値−a)×256/(b−a),0),255)となり、それ以外の場合は、補正後の輝度値=補正前の輝度値となる。
【0042】
そして、ステップS704において、全画素についてステップS703の輝度稚補正処理が完了したか否かを判断する。
完了してないと判断した場合(ステップS704:N)は、ステップS703以降を繰り返し、他方、完了したと判断した場合(ステップS704:Y)は、ステップS705において、例えば平坦度合い若しくは急峻度合い等の局所的な(画素単位の)特徴量の取り込みを実行し、ステップS706において、画素単位のエッジ強調処理を実行する。
【0043】
そして、ステップS707において、全画素分のエッジ強調処理が完了したか否かを判断し、完了していないと判断した場合(ステップS707:N)は、ステップS705以降を繰り返す。
(第2の実施の形態の変形例)
次に、復号・再生手段11が備える機能の一部を、復号・再生手段11の代わりに符号化映像解析手段42が実行して、符号化映像信号から特徴量を抽出する変形例を説明する。
【0044】
図8は、復号・再生手段11の構成を示す図である。
図8において、復号・再生手段11は、可変長復号手段81、AC係数逆量子化手段82、DC係数逆量子化手段83、逆DCT手段84、フレームメモリ85、動き補償手段86及び加算器87を備える。
【0045】
可変長復号手段81は、入力された符号化映像信号を可変長復号する。
AC係数逆量子化手段82は、可変長復号手段81によって可変長復号されたデータの量子化AC係数を逆量子化し、DC係数逆量子化手段83は、可変長復号手段81によって可変長復号されたデータの量子化DC係数を逆量子化する。
【0046】
逆DCT手段84は、AC係数逆量子化手段82及びDC係数逆量子化手段83によって逆量子化されたデータを逆DCT変換する。
動き補償手段86は、可変長復号手段81によって可変長復号されたデータの動きベクトル情報に基づいて、フレームメモリ85に格納されたフレームデータから現フレームに対する予測画像データを生成する。
【0047】
そして、加算器87は、動き補償手段86によって生成された予測画像データと逆DCT手段84によって逆DCT変換されたデータとを加算することにより再生映像信号を出力する。
【0048】
図9は、符号化映像解析手段42の構成を示す図である。
符号化映像解析手段42は、符号化映像信号から再生映像の補正に必要な特徴量だけをとりだすために可変長復号化処理のみを行ない、符号化ブロック単位の動きベクトル、フレーム内符号化画面のブロック単位のDC係数若しくはフレーム間符号化画面のブロック単位のDC係数の差分値等を出力する。
【0049】
そして、出力された動きベクトルの分散等からは、画面全体の動きの偏りを検出し、静止、縦横スクロール等の、画面全体の動きの特徴量として検出する。
また、出力されたDC係数からは、画面全体の発生分布(輝度の最大値、最小値、これらの平均値)等を検出する。この場合、符号化映像解析手段42は、図9に示したように、図8を用いて説明した復号・再生手段11が備える可変長復号手段81及びDC係数逆量子化手段83、並びに最大値検出手段91、最大値フレーム遅延手段92、最大値平均値算出手段93、最小値検出手段94、最小値フレーム遅延手段95及び最小値平均値算出手段96を備える。
【0050】
すなわち、最大値検出手段91が、DC係数逆量子化手段83によって逆量子化されたデータから輝度の最大値を検出し、各最大値フレーム遅延手段92によって各フレームを遅延させ、最大値平均値算出手段93によって最大値の平均値を算出する。また、最小値検出手段94が、DC係数逆量子化手段83によって逆量子化されたデータから輝度の最小値を検出し、各最小値フレーム遅延手段95によって各フレームを遅延させ、最小値平均値算出手段96によって最小値の平均値を算出する。
【0051】
また、出力されたブロック単位のDC係数の差分値からは、フレーム間のDC係数の極端な変化や画面全体の一様な変化等により、シーンチェンジやフェード等の特徴量を検出する。
【0052】
これらの検出された特徴量は、再生映像補正手段14によって画面単位の特徴量として補正処理に用いられる。
(第3の実施の形態)
図10は、本発明の第3の実施の形態における映像信号処理装置の構成例を示す図である。
【0053】
図10において、本発明の第3の実施の形態における映像信号処理装置100は、デジタルテレビジョン装置等に備えられ、受信した符号化映像信号を処理した表示映像信号を液晶表示装置等の表示パネル16に出力する。映像信号処理装置100は、この処理のために、復号・再生手段11、画面内局所的特徴量解析手段12、再生映像補正手段14及び表示映像補正手段15に加え、符号化映像解析手段42、符号化映像データベース(DB)101及び読み出し制御手段102を備える。すなわち、映像信号処理装置100は、上述の第2の実施の形態における映像信号処理装置40が備える符号化映像信号遅延バッファ41の代わりに符号化映像データベース101及び読み出し制御手段102を備えている。
【0054】
符号化映像データベース101は、ハードディスク等の記録媒体であって予め符号化映像信号が複数画面分蓄積されており、読み出し制御手段102が符号化映像データベース101から1画面ずつ符号化映像信号を読み出して復号・再生手段11及び符号化映像解析手段42に出力するように制御している。
【0055】
このように図4を用いて説明した符号化映像信号遅延バッファ41を用いる代わりに、記憶媒体である符号化映像データベース101から符号化映像信号を先読み及び並行読み出しすることにより、同様な処理を実現することが可能となる。
【0056】
図11は、読み出し制御手段102によって実行される符号化映像信号の読み出し制御処理の流れを示すフローチャートである。
まず、復号・再生手段11による復号・再生に先立って画面単位の特徴量解析を開始し、所定画面数(n回)分の解析を進める。
【0057】
すなわち、ステップS1101において、符号化映像データベース101からi(初期値は1)番目の画面の符号化映像信号を読み出し、ステップS1102において、ステップS1101で読み出した符号化映像信号を符号化映像解析手段42に出力する。この処理をn回繰り返す(ステップS1103、S1104)。
【0058】
次に、特徴量解析のためのi番目の映像符号化信号と、復号・再生手段11に出力するためのi−n番目の映像符号化信号とを並行して読み出して処理を行なう。
すなわち、ステップS1105において、符号化映像データベース101からi(初期値は1)番目の画面の符号化映像信号を読み出し、ステップS1106において、ステップS1105で読み出した符号化映像信号を符号化映像解析手段42に出力する。そして、ステップS1107において、符号化映像データベース101からi−n番目の画面の符号化映像信号を読み出し、ステップS1108において、ステップS1107で読み出した符号化映像信号を復号・再生手段11に出力する。この処理を繰り返す(ステップS1109)。
【0059】
以上、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明してきたが、本発明が適用される映像信号処理装置は、その機能が実行されるのであれば、上述の実施の形態に限定されることなく、単体の装置であっても、複数の装置からなるシステムあるいは統合装置であっても、LAN、WAN等のネットワークを介して処理が行なわれるシステムであってもよいことは言うまでもない。
【0060】
また、図12に示しように、バス128に接続されたCPU121、ROMやRAMのメモリ122、入力装置123、出力装置124、外部記録装置125、媒体駆動装置126、可搬記録媒体129、ネットワーク接続装置127で構成されるシステムでも実現できる。すなわち、前述してきた実施の形態のシステムを実現するソフトェアのプログラムコードを記録したROMやRAMのメモリ122、外部記録装置125、可搬記録媒体129を、映像信号処理装置に供給し、その映像信号処理装置のコンピュータがプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成されることは言うまでもない。
【0061】
この場合、可搬記録媒体129等から読み出されたプログラムコード自体が本発明の新規な機能を実現することになり、そのプログラムコードを記録した可搬記録媒体129等は本発明を構成することになる。
【0062】
プログラムコードを供給するための可搬記録媒体129としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、DVD−ROM、DVD−RAM、磁気テープ、不揮発性のメモリーカード、ROMカード、電子メールやパソコン通信等のネットワーク接続装置127(言い換えれば、通信回線)を介して記録した種々の記録媒体等を用いることができる。
【0063】
また、図13に示すように、コンピュータがメモリ122上に読み出したプログラムコードを実行することによって、前述した実施の形態の機能が実現される他、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS等が実際の処理の一部または全部を行ない、その処理によっても前述した実施の形態の機能が実現される。
【0064】
さらに、可搬型記録媒体129から読み出されたプログラムコードやプログラム(デー
タ)提供者から提供されたプログラム(データ)が、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリ122に書き込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU121等が実際の処理の一部または全部を行ない、その処理によっても前述した実施の形態の機能が実現され得る。
すなわち、本発明は、以上に述べた実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の構成または形状を取ることができる。
【0065】
ここで、上述した実施の形態の特徴を列挙すると、以下の通りである。
(付記1)
入力される符号化映像信号から1画面分の画像についての特徴量を解析する符号化映像解析手段と、
前記符号化映像信号を復号化することにより再生映像信号を生成する復号・再生手段と、
前記符号化映像解析手段によって解析された特徴量に基づいて、前記復号・再生手段によって生成された再生映像信号を補正する再生映像補正手段と、
を備えることを特徴とする映像信号処理装置。
(付記2)
前記符号化映像信号の前記復号・再生手段への入力を遅延させるために、前記符号化映像信号を一時的に格納する符号化映像信号遅延バッファ、
を備えることを特徴とする付記1に記載の映像信号処理装置。
(付記3)
前記符号化映像信号を格納する符号化映像データベースと、
前記符号化映像データベースから1画面分の符号化映像信号を読み出し、前記復号・再生手段及び前記符号化映像解析手段に遅延させて出力する読み出し制御手段と、
を備えることを特徴とする付記1に記載の映像信号処理装置。
(付記4)
前記符号化映像解析手段は、前記符号化映像信号を可変長復号することにより特徴量を解析することを特徴とする付記1乃至3の何れか1項に記載の映像信号処理装置。
(付記5)
前記符号化映像解析手段は、画面単位の動きの偏り特徴量、色輝度分布特徴量、画面の変化量特徴量のうち少なくとも1つ以上の特徴量を解析することを特徴とする付記4に記載の映像信号処理装置。
(付記6)
映像信号処理装置のコンピュータが、
入力される符号化映像信号から1画面分の画像についての特徴量を解析し、
前記符号化映像信号を復号化することにより再生映像信号を生成し、
前記解析された特徴量に基づいて、前記生成された再生映像信号を補正する、
ことを特徴とする映像信号処理方法。
(付記7)
前記再生映像信号の生成を遅延させるために、前記符号化映像信号を符号化映像信号遅延バッファへ一時的に格納する、
ことを特徴とする付記6に記載の映像信号処理方法。
(付記8)
映像信号処理装置のコンピュータを、
入力される符号化映像信号から1画面分の画像についての特徴量を解析する符号化映像解析手段と、
前記符号化映像信号を復号化することにより再生映像信号を生成する復号・再生手段と、
前記符号化映像解析手段によって解析された特徴量に基づいて、前記復号・再生手段に
よって生成された再生映像信号を補正する再生映像補正手段と、
して機能させることを特徴とする映像信号処理プログラム。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】従来の映像信号処理装置の構成例を示す図である。
【図2】従来の映像信号処理技術の問題点を説明するための図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態における映像信号処理装置の構成例を示す図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態における映像信号処理装置の構成例を示す図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態による効果の例を説明するための図である。
【図6】符号化映像解析手段42によって実行される1画面分の符号化映像解析処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】再生映像補正手段14によって実行される1画面分の再生映像補正処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】復号・再生手段11の構成を示す図である。
【図9】符号化映像解析手段42の構成を示す図である。
【図10】本発明の第3の実施の形態における映像信号処理装置の構成例を示す図である。
【図11】読み出し制御手段102によって実行される符号化映像信号の読み出し制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図12】本発明における映像信号処理装置の構成図である。
【図13】本発明における映像信号処理プログラムのコンピュータへのローディングを説明するための図である。
【符号の説明】
【0067】
10 映像信号処理装置
11 復号・再生手段
12 画面内局所的特徴量解析手段
13 シーン/画面毎特徴量解析手段
14 再生映像補正手段
15 表示映像補正手段
16 表示パネル
21A,21B,21C,21D,21E,21F,21G,21H 再生映像
22A,22B,22C,22D,22E,22F,22G,22H 表示映像
30 映像信号処理装置
31 再生映像信号遅延バッファ
32 局所的特徴量遅延バッファ
40 映像信号処理装置
41 符号化映像信号遅延バッファ
42 符号化映像解析手段
52A,52B,52C,52D,52E,52F,52G,52H 表示映像
81 可変長復号手段
82 AC係数逆量子化手段
83 DC係数逆量子化手段
84 逆DCT手段
85 フレームメモリ
86 動き補償手段
87 加算器
91 最大値検出手段
92 最大値フレーム遅延手段
93 最大値平均値算出手段
94 最小値検出手段
95 最小値フレーム遅延手段
96 最小値平均値算出手段
100 映像信号処理装置
101 符号化映像データベース(DB)
102 読み出し制御手段
121 CPU
122 メモリ
123 入力装置
124 出力装置
125 外部記録装置
126 媒体駆動装置
127 ネットワーク接続装置
128 バス
129 可搬記録媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力される符号化映像信号から1画面分の画像についての特徴量を解析する符号化映像解析手段と、
前記符号化映像信号を復号化することにより再生映像信号を生成する復号・再生手段と、
前記符号化映像解析手段によって解析された特徴量に基づいて、前記復号・再生手段によって生成された再生映像信号を補正する再生映像補正手段と、
を備えることを特徴とする映像信号処理装置。
【請求項2】
前記符号化映像信号の前記復号・再生手段への入力を遅延させるために、前記符号化映像信号を一時的に格納する符号化映像信号遅延バッファ、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の映像信号処理装置。
【請求項3】
前記符号化映像信号を格納する符号化映像データベースと、
前記符号化映像データベースから1画面分の符号化映像信号を読み出し、前記復号・再生手段及び前記符号化映像解析手段に遅延させて出力する読み出し制御手段と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の映像信号処理装置。
【請求項4】
前記符号化映像解析手段は、前記符号化映像信号を可変長復号することにより特徴量を解析することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の映像信号処理装置。
【請求項5】
前記符号化映像解析手段は、画面単位の動きの偏り特徴量、色輝度分布特徴量、画面の変化量特徴量のうち少なくとも1つ以上の特徴量を解析することを特徴とする請求項4に記載の映像信号処理装置。
【請求項6】
映像信号処理装置のコンピュータが、
入力される符号化映像信号から1画面分の画像についての特徴量を解析し、
前記符号化映像信号を復号化することにより再生映像信号を生成し、
前記解析された特徴量に基づいて、前記生成された再生映像信号を補正する、
ことを特徴とする映像信号処理方法。
【請求項7】
映像信号処理装置のコンピュータを、
入力される符号化映像信号から1画面分の画像についての特徴量を解析する符号化映像解析手段と、
前記符号化映像信号を復号化することにより再生映像信号を生成する復号・再生手段と、
前記符号化映像解析手段によって解析された特徴量に基づいて、前記復号・再生手段によって生成された再生映像信号を補正する再生映像補正手段と、
して機能させることを特徴とする映像信号処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−225241(P2008−225241A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−65697(P2007−65697)
【出願日】平成19年3月14日(2007.3.14)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】