説明

映像信号処理装置及び映像信号処理方法

【課題】入力映像信号が映画フィルムの映像信号であるとき、モーションジャダを改善すると共に高フレームレートに変換する映像信号処理装置を提供する。
【解決手段】フレームメモリ10は入力映像信号を1フレーム期間遅延し、動きベクトル検出回路20は映像信号のフレーム間における動きベクトルを検出する。プルダウン検出回路22は映像信号がプルダウン変換されているか否かを判定し、動きベクトル変換回路21は、動きベクトルとプルダウン変換の判定結果に基づいて、遅延回路30〜32での遅延量を制御するための制御信号を生成する。遅延回路は制御信号に基づいて映像信号を動き補償して動き補償映像信号を生成し、時間軸強調回路40、41は動き補償映像信号を別の映像信号により時間軸方向に強調して強調映像信号を生成する。時系列変換メモリ50は強調映像信号を高フレームレートに変換して出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力された映像信号を、その映像信号が有するフレーム周波数よりも高いフレーム周波数に変換して液晶パネル等の表示部に表示する映像信号処理装置及び映像信号処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶パネルを用いた液晶表示装置においては、動画を表示したときに残像を生じるという問題点がある。この問題点を低減する1つの方法として、本出願人は、入力された映像信号のフレーム間に補間フレームを内挿し、入力映像信号より高いフレームレートに変換して液晶パネルに表示する画像表示装置を特許文献1に開示している。特許文献1記載の発明によれば、フレーム周波数60Hzの映像信号を例えばフレーム周波数120Hzに変換できる。
【特許文献1】特開2006−337448号公報
【0003】
一方、映画フィルムは、毎秒24コマあるいは30コマの静止画像を切り替えることによって動画像を表現している。このような映画フィルムの映像信号を、標準のテレビジョン信号である垂直周波数60Hzに変換する際には、2−3プルダウン変換あるいは2−2プルダウン変換が行われる。例えば、2−3プルダウン変換された映像信号を表示する際、同一フレームが2枚、次のフレームが3枚連続するパターンが繰り返される。そのため、モーションジャダと呼ばれる画像の動きの滑らかさが損なわれるという問題が生じる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1記載の画像表示装置に映画フィルムの映像信号を入力した場合、連続して入力されるフレームのパターンが同一であると、フレーム間に内挿される補間フレームも前後のフレームと同一のパターンとなる。よって、特許文献1記載の画像表示装置では、映画フィルムによる映像信号に対してモーションジャダを改善することができず、視聴者には違和感のある画像となってしまう。
【0005】
近年、高フレームレートに変換可能な映像信号処理装置が主流となっている。そのため、映画フィルムの映像信号に対してもモーションジャダを改善すると共に今までと同等以上のフレームレートに変換できる映像信号処理装置が求められる。また、高フレームレートに変換できると共に、処理速度の低速化とフレームメモリを削減した映像信号処理装置が望まれる。
【0006】
本発明はこのような問題点に鑑みなされたものであり、入力映像信号が映画フィルによる映像信号である場合、モーションジャダを改善すると共に入力映像信号と同等以上のフレームレートに変換し、また入力映像信号が標準のテレビジョン信号である場合、従来と同様に高フレームレートに変換でき、かつ処理速度の低速化とフレームメモリの削減をした映像信号処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前述した従来の技術の課題を解決するため、入力された第1の映像信号の各フレームを1フレーム期間遅延させて第2の映像信号を出力する画像メモリ(10)と、第1の映像信号と第2の映像信号のフレーム間における動きベクトルを検出する動きベクトル検出手段(20)と、第1の映像信号がプルダウン変換された映像信号であるか否かを判定するプルダウン判定手段(22)と、プルダウン判定手段の判定結果と動きベクトルに基づいて、プルダウンシーケンス情報を発生するシーケンス発生手段(23)と、プルダウンシーケンス情報と動きベクトルに基づいて、第1または第2の映像信号のうちの少なくとも1つの映像信号を動き補償して複数の動き補償映像信号を生成する画像シフト手段(30〜32)と、複数の動き補償映像信号の中でN(Nは2以上の自然数)個の動き補償映像信号を、時系列順における隣の動き補償映像信号を含む少なくとも1つ以上の動き補償映像信号に基づいてそれぞれ時間軸方向に強調して、N個の強調映像信号を出力する時間軸強調手段(40,41)と、N個の強調映像信号のフレーム周波数をN倍に変換して時系列順に出力する時系列変換メモリ(50)とを有する映像信号処理装置(1)である。
【0008】
また、判定手段は、第1の映像信号はプルダウン変換された映像信号であると判定した場合、第1の映像信号が2−2プルダウン変換された信号であるか2−3プルダウン変換された信号であるかを判定し、シーケンス発生手段は、第1の映像信号が2−2プルダウン変換された信号であるか2−3プルダウン変換された信号であるかによって異なるプルダウンシーケンス情報を発生する映像信号装置である。
【0009】
また、入力された第1の映像信号の各フレームを1フレーム期間遅延させて第2の映像信号を出力するフレームメモリ(10)と、第1の映像信号と第2の映像信号のフレーム間における動きベクトルを検出する動きベクトル検出手段(20)と、第1の映像信号がプルダウン変換された映像信号であるか否かを判定するプルダウン判定手段(22)と、プルダウン判定手段の判定結果に基づいて、プルダウンシーケンス情報を発生するシーケンス発生手段(23)と、プルダウン判定手段が第1の映像信号はプルダウン変換された映像信号であると判定した場合のプルダウンシーケンス情報と動きベクトルに基づいて、第1または第2の映像信号のうちの少なくとも1つの映像信号を動き補償して複数の動き補償映像信号を生成する画像シフト手段(30、31、60)と、プルダウン判定手段が第1の映像信号はプルダウン変換された映像信号であると判定した場合、複数の動き補償映像信号の中でM(Mは1以上の自然数)個の動き補償映像信号を、時系列順における隣の動き補償映像信号を含む少なくとも1つ以上の動き補償映像信号に基づいてそれぞれ時間軸方向に強調して、M個の強調映像信号を出力する時間軸強調手段(40)と、プルダウン判定手段が第1の映像信号はプルダウン変換された映像信号であると判定した場合、前個の動き補償映像信号において、それぞれ動き補償映像信号及び動き補償映像信号に基づく強調映像信号とを合わせてN/M回(但し、NはMの自然数倍)ずつ繰り返し出力すると共に、動き補償映像信号及び強調映像信号のフレーム周波数をN倍に変換して時系列順に出力する時系列メモリ(50)とを有する映像信号処理装置(2)である。
【0010】
また、入力された第1の映像信号の各フレームを1フレーム期間遅延させて第2の映像信号を出力するフレームメモリ(10)と、第1の映像信号がプルダウン変換された映像信号であるか否かを判定し、プルダウン変換された映像信号である場合にはプルダウン変換の種類を判定するプルダウン判定手段(22)と、プルダウン判定手段が第1の映像信号は2−3プルダウン変換された映像信号であると判定した場合、5K−5Kプルダウンシーケンス情報(但し、Kは1以上の自然数)を発生するシーケンス発生手段(23)と、プルダウン判定手段が第1の映像信号は2−3プルダウン変換された映像信号であると判定した場合、第1の映像信号または第2の映像信号を選択して時系列が同一の映像信号を1フレーム周期毎に5K個ずつ選択映像信号として出力する選択手段(61、62)と、時系列が1フレーム周期切り替わった後の選択映像信号を、1フレーム周期前の選択映像信号に基づいて時間軸方向に強調する時間軸強調手段(40)と、第1の映像信号のフレーム周波数をN(但し、NはKの2倍の数)倍に変換して選択映像信号を1フレーム周期毎に5K個ずつ時系列順に出力する時系列メモリ(50)とを有する映像信号処理装置(3)である。
【0011】
また、入力された第1の映像信号の各フレームを1フレーム期間遅延させて第2の映像信号を出力するフレームメモリ(10)と、第1の映像信号がプルダウン変換された映像信号であるか否かを判定し、プルダウン変換された映像信号である場合にはプルダウン変換の種類を判定するプルダウン判定手段(22)と、プルダウン判定手段が第1の映像信号が2−3プルダウン変換された映像信号であると判定し場合、L−(L+1)プルダウンシーケンス情報(但し、Lは2N+(N−1)/2であり、Nを3以上の奇数)を発生するシーケンス発生手段(23)と、プルダウン判定手段により第1の映像信号が2−3プルダウン変換された映像信号であると判定された場合、第1の映像信号または第2の映像信号を選択して時系列が同一の映像信号を1フレーム周期毎にL個、(L+1)個ずつの繰り返しにより選択映像信号として出力する選択手段(61、62)と、時系列が1フレーム周期切り替わった後の選択映像信号を、1フレーム周期前の選択映像信号に基づいて時間軸方向に強調する時間軸強調手段(40)と、第1の映像信号のフレーム周波数をN倍に変換して選択映像信号を1フレーム周期毎にL個、(L+1)個ずつの繰り返しにより時系列順に出力する(50)とを有する映像信号処理装置(3)である。
【0012】
また、入力された第1の映像信号の各フレームを1フレーム期間遅延させて第2の映像信号を出力するステップと、第1の映像信号と第2の映像信号のフレーム間における動きベクトルを検出するステップと、第1の映像信号がプルダウン変換された映像信号であるか否かを判定するステップと、プルダウン変換された映像信号であるか否か及びプルダウン変換の種類の判定結果に基づいて、プルダウンシーケンス情報を発生するステップと、プルダウンシーケンス情報と動きベクトルに基づいて、第1または第2の映像信号のうちの少なくとも1つの映像信号を動き補償して複数の動き補償映像信号を生成するステップと、複数の動き補償映像信号の中でN(Nは2以上の自然数)個の動き補償映像信号を、時系列順における隣の動き補償映像信号を含む少なくとも1つ以上の動き補償映像信号に基づいてそれぞれ時間軸方向に強調して、N個の強調映像信号を出力するステップと、N個の強調映像信号のフレーム周波数をN倍に変換して時系列順に出力するステップとを有する映像信号処理方法である。
【0013】
また、第1の映像信号がプルダウン変換された映像信号であるか否かを判定するステップは、第1の映像信号がプルダウン変換された映像信号であると判定し場合、第1の映像信号が2−2プルダウン変換された信号であるか2−3プルダウン変換された信号であるかを判定し、プルダウンシーケンス情報を発生するステップは、第1の映像信号が2−2プルダウン変換された信号であるか2−3プルダウン変換された信号であるかによって異なるプルダウンシーケンス情報を発生する映像信号処理方法である。
【0014】
また、入力された第1の映像信号の各フレームを1フレーム期間遅延させて第2の映像信号を出力するステップと、第1の映像信号と第2の映像信号のフレーム間における動きベクトルを検出するステップと、第1の映像信号がプルダウン変換された映像信号であるか否かを判定するステップと、第1の映像信号がプルダウン変換された映像信号であるか否かを判定するステップの判定結果に基づいて、プルダウンシーケンス情報を発生するステップと、第1の映像信号はプルダウン変換された映像信号であると判定した場合のプルダウンシーケンス情報と動きベクトルに基づいて、第1または第2の映像信号のうちの少なくとも1つの映像信号を用いて複数の動き補償映像信号を生成するステップと、第1の映像信号がプルダウン変換された映像信号であるか否かを判定するステップが第1の映像信号はプルダウン変換された映像信号であると判定した場合、複数の動き補償映像信号の中でM(Mは1以上の自然数)個の映像信号を、時系列順における隣の動き補償映像信号を含む少なくとも1つ以上の動き補償映像信号に基づいてそれぞれ時間軸方向に強調して、M個の強調映像信号を出力するステップと、第1の映像信号がプルダウン変換された映像信号であるか否かを判定するステップが第1の映像信号はプルダウン変換された映像信号であると判定した場合、M個の動き補償映像信号において、それぞれ動き補償映像信号及び動き補償映像信号に基づく強調映像信号を合わせてN/M回(但し、NはMの自然数倍)ずつ繰り返し出力すると共に、動き補償映像信号及び強調映像信号のフレーム周波数をN倍に変換して時系列順に出力するステップとを有する映像信号処理方法である。
【0015】
また、入力された第1の映像信号の各フレームを1フレーム期間遅延させて第2の映像信号を出力するステップと、第1の映像信号がプルダウン変換された映像信号であるか否かを判定し、プルダウン変換された映像信号である場合にはプルダウン変換の種類を判定するステップと、第1の映像信号がプルダウン変換された映像信号であるか否かを判定し、プルダウン変換された映像信号である場合にはプルダウン変換の種類を判定するステップが、第1の映像信号は2−3プルダウン変換された映像信号であると判定した場合、動きベクトルに基づいて、5K−5Kプルダウンシーケンス情報(但し、Kは1以上の自然数)を発生するステップと、第1の映像信号がプルダウン変換された映像信号であるか否かを判定し、プルダウン変換された映像信号である場合にはプルダウン変換の種類を判定するステップが、第1の映像信号は2−3プルダウン変換された映像信号であると判定した場合、第1の映像信号または第2の映像信号を選択して時系列が同一の映像信号を1フレーム周期毎に5K個ずつ選択映像信号として出力するステップと、時系列が1フレーム周期切り替わった後の選択映像信号を、1フレーム周期前の選択映像信号に基づいて時間軸方向に強調するステップと、第1の映像信号のフレーム周波数をN(但し、NはKの2倍の数)倍に変換して選択映像信号を1フレーム周期毎に5K個ずつ時系列順に出力するステップとを有する映像信号処理方法である。
【0016】
また、入力された第1の映像信号の各フレームを1フレーム期間遅延させて第2の映像信号を出力するステップと、第1の映像信号がプルダウン変換された映像信号であるか否かを判定し、プルダウン変換された映像信号である場合にはプルダウン変換の種類を判定するステップと、第1の映像信号がプルダウン変換された映像信号であるか否かを判定し、プルダウン変換された映像信号である場合にはプルダウン変換の種類を判定するステップが、第1の映像信号は2−3プルダウン変換された映像信号であると判定した場合、動きベクトルに基づいて、L−(L+1)プルダウンシーケンス情報(但し、Lは2N+(N−1)/2であり、Nは3以上の奇数)を発生するステップと、第1の映像信号がプルダウン変換された映像信号であるか否かを判定し、プルダウン変換された映像信号である場合にはプルダウン変換の種類を判定するステップが、第1の映像信号は2−3プルダウン変換された映像信号であると判定した場合、第1の映像信号または第2の映像信号を選択して時系列が同一の映像信号を1フレーム周期毎にL個、(L+1)個ずつの繰り返しにより選択映像信号として出力するステップと、時系列が1フレーム周期切り替わった後の選択映像信号を、1フレーム周期前の選択映像信号に基づいて時間軸方向に強調するステップと、第1の映像信号のフレーム周波数をN倍に変換して選択映像信号を1フレーム周期毎にL個、(L+1)個ずつの繰り返しにより時系列順に出力するステップとを有する映像信号処理方法である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、入力映像信号が映画フィルムによる信号である場合、モーションジャダを改善すると共に入力映像信号と同等以上のフレームレートに変換し、また入力映像信号が標準のテレビジョン信号である場合にも従来と同様に入力映像信号より高いフレームレートに変換することができる。また、処理速度の低速化とフレームメモリの削減が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
<第1実施形態>
以下、第1の実施形態における映像信号処理装置及び映像信号処理方法について、添付図面を参照して説明する。図1は、第1実施形態における映像信号処理装置のブロック構成図の一例である。図1において、映像信号処理装置1に入力される映像信号(第1の映像信号)F0は、画像メモリ10に供給される。
【0019】
なお、画像メモリ10は、第1の映像信号F0を1フレーム分記憶して、1フレーム期間遅延させて第2の映像信号F1を出力する。すなわち、第2の映像信号F1は、第1の映像信号F0より1フレーム前の映像信号である。第1の映像信号F0と第2の映像信号F2は、それぞれ動きベクトル検出手段を有する動きベクトル検出回路20及びプルダウン判定手段を有するプルダウン判定回路22に供給される。
【0020】
動きベクトル検出回路20は、供給された第1の映像信号F0と第2の映像信号F1とのフレーム間の動きベクトルMVを検出する。動きベクトルの検出には、例えばマッチング法等を用いることが可能である。検出された動きベクトルMVは、動きベクトル変換回路21に供給される。
【0021】
プルダウン検出回路22は、入力された第1の映像信号F0と第2の映像信号F2により、第1の映像信号F0がプルダウン変換された映像信号であるか否かを判定して、判定結果をシーケンス発生回路23に供給する。例えば、第1の映像信号F0と第2の映像信号F2のフレーム間の差分をとることによって、プルダウン変換された映像信号であるか否かの判定をすることが可能である。その場合、フレーム間の差分が大きくなる周期を検出することによって、2−2プルダウン変換、あるいは2−3プルダウン変換された映像信号であるか否かの判定も可能である。
【0022】
なお、第1の映像信号F0にプルダウン変換された情報が含まれている場合は、その情報を用いてプルダウン変換された映像信号であるか否かの判定をすることも可能である。また、その他の公知技術を用いてプルダウン変換された映像信号であるか否か及びプルダウン変換の種類を判定してもよい。
【0023】
シーケンス発生手段を有するシーケンス発生回路23は、プルダウン検出回路22より供給される判定結果に基づいてプルダウンシーケンスを実行するためのシーケンス信号(プルダウンシーケンス情報)を発生して、動きベクトル変換回路21に供給する。プルダウンシーケンスとは、第1の映像信号F0のプルダウン変換の種類によって、動きベクトル変換回路21等で予め定められた制御をすることをいう。なお、プルダウン変換の種類には、プルダウン変換されていない場合も含むものである。動きベクトル変換回路21は、動きベクトルMVとシーケンス信号に基づいて、後述する各可変遅延回路30〜32における遅延量を制御するための3種類の遅延制御信号a1〜a3を生成する。遅延制御信号a1〜a3は、画像シフト手段を有する各可変遅延回路30〜32に供給される。
【0024】
可変遅延回路30は、遅延制御信号a1に基づいて第2の映像信号F1を所定量遅延させて、動き補償された動き補償映像信号b1を生成して、動き補償映像信号b1を時間軸強調回路40に供給する。可変遅延回路31は、遅延制御信号a2に基づいて第1の映像信号F0を所定量遅延させて、動き補償された動き補償映像信号b2を生成して、時間軸強調回路40、41に供給する。可変遅延回路32は、遅延制御信号a3に基づいて第1の映像信号F0を所定量遅延させて、動き補償された動き補償映像信号b3を生成して時間軸強調回路41に供給する。
【0025】
なお、可変遅延回路30〜32は、各遅延制御信号a1〜a3に基づいて映像信号を可変に遅延できる回路である。なお、画像シフト手段は、図1に示す可変遅延回路に限定されない。すなわち、第1の映像信号F0または第2の映像信号F1のうち少なくとも1つの映像信号と動きベクトルMVに基づいて、動き補償した画像を形成する映像信号を生成する構成であればよく、以後の説明においても同様である。
【0026】
一方、液晶パネルにより画像を表示させる場合には、応答速度が遅いため、動画を表示したときに残像を生じるという問題点がある。この残像を低減するためには、映像信号を時系列順に並べたときにその映像信号に近い映像信号で時間軸方向に強調する必要がある。
【0027】
時間軸強調手段を有する時間軸強調回路40、41は、映像信号を時間軸方向に強調するフィルタであり、所望の映像信号の電圧を急峻に立ち上げ、残像を防ぐためのフィルタである。図2は、時間軸強調回路のブロック構成図の一例である。図2に示す時間軸強調回路40、41は、入力される2種類の映像信号をfa、fbとしている。減算器40Aによりfaからfbを減算し、その結果に対して乗算器40Bを用いて利得係数cを乗じる。更に、その結果に対して加算器40Cを用いて映像信号faを加算して、映像信号foを出力する。すなわち、時間軸強調回路40、41の出力映像信号foは次の(1)式にて得られる。
fo=fa+c(fa−fb) …(1)
利得係数cは映像信号faを強調する度合いを決定するものであり、液晶の応答特性に応じて設定される。例えば、液晶材料の応答速度が比較的速く、動画表示の際の残像が少ない場合には利得係数cを小さく設定し、応答速度が比較的遅く、動画表示の際の残像が多い場合には利得係数cを大きく設定する。
【0028】
時間軸強調回路40においては、映像信号faが動き補償映像信号b2であり、映像信号fbが動き補償映像信号b1である。また、時間軸強調回路41においては、映像信号faが動き補償映像信号b3であり、映像信号fbが動き補償映像信号b2である。そして、時間軸強調回路40は、動き補償映像信号b1に基づいて、動き補償映像信号b2を時間軸方向に強調して強調映像信号DF0を生成して時系列メモリ50に供給する。また、時間軸強調回路41は、動き補償映像信号b2に基づいて、動き補償映像信号b3を時間軸方向に強調して強調映像信号DF1を生成して時系列メモリ50に供給する。
【0029】
なお、時間軸強調回路40、41は図2に示す構成に限定されない。例えば、時間軸強調回路40、41は、映像信号を時系列順に並べたときに、強調する映像信号の1つ前の映像信号を含む複数の映像信号を用いて映像信号を時間軸方向に強調してもよい。また、強調する映像信号の1つ前の映像信号を含まずにその映像信号に時系列で近い1つあるいは複数の映像信号を用いてもよい。
【0030】
時系列変換メモリ50は、供給される映像信号DF0及びDF1を一旦記憶し、映像信号DF0、DF1の順に映像信号F0’として不図示の液晶パネルに出力する。また、時系列変換メモリ50は、フレーム周波数を2倍に変換して映像信号F0’を出力するものである。
【0031】
次に、映画フィルムなどの毎秒24コマで記録された映像信号を2−3プルダウン変換した映像信号F0が映像信号処理装置1に入力された場合について説明する。2−3プルダウン変換とは、奇数番目のコマは2フィールドに、偶数番目のコマは3フィールドに変換することをいう。一方、その逆である3−2プルダウン変換は、奇数番目のコマは3フィールドに、偶数番目のコマは2フィールドに変換することをいう。以後の説明において、2−3プルダウン変換は3−2プルダウン変換を含むものとする。プルダウン判定回路22が第1の映像信号F0は2−3プルダウン変換された信号であると判定した場合、シーケンス発生回路23は2−3プルダウンシーケンス情報を実行するためのシーケンス信号を発生して、動きベクトル変換回路21に送信する。
【0032】
図3は、映像信号処理装置1に入力された第1の映像信号F0が2−3プルダウン変換されている場合のシーケンスチャートの一例を示す図である。図3(A)は、映像信号処理装置1に入力される画像パターンを示している。図3(A)に示すように、第1の映像信号F0は、1/60秒毎にフレームS1、S2、S3…の時系列順で、映像信号処理装置1に入力される。図3において、黒色の丸印は物体の位置を示しており、また破線の丸印は映像信号処理装置1に入力された映像信号の元の物体の位置を示している。なお、以後のシーケンスチャートにおいても図3と同様の記号を用いる。
【0033】
フレームS2、S3、S4は同一の画像パターン、フレームS5、S6は同一の画像パターンであり、以後3フレーム連続して同一の画像パターン、その後2フレーム連続して同一の画像パターンが繰り返し入力される。
【0034】
動きベクトル検出回路20は、フレームS1からS2へ変化するときの動きベクトル量をMVとして検出する。入力された第1の映像信号F0が映像信号処理装置1で如何なる処理もされない場合は、図3(A)に示すように視線の追跡方向と動く物体との間にずれが生じる。そのため、視聴者には動きがカタカタと不自然な画像として見えることになる。
【0035】
動きベクトル変換回路21は、動きベクトル検出回路20より供給された動きベクトル量MVとシーケンス信号に基づいて、例えば表1に示す遅延量となるように制御するための遅延制御信号a1〜a3を各可変遅延回路30〜32に供給する。表1は、5/60秒周期で同一の遅延量であり、第1の映像信号F0(現在入力されているフレーム)がS2とS7のときの遅延量を同一とする。なお、表1に示す遅延量は相対的な遅延量を示す。また、可変遅延回路30において負の方向に遅延する処理は実現できないので、以後説明する各遅延回路での遅延量は相対的なものとする。
【表1】

【0036】
可変遅延回路31、32は、動きベクトル変換回路21により供給された遅延制御信号a2、a3に基づいて、第1の映像信号F0を遅延させる。例えば、可変遅延回路32は供給される第1の映像信号F0がフレームS2のとき、第1の映像信号F0を−2・MV/5の遅延量で遅延させて動き補償映像信号b3を生成する。可変遅延回路31は供給入力される第1の映像信号F0がフレームS2のとき、第1の映像信号F0を−3・MV/5遅延させて動き補償映像信号b2を生成する。
【0037】
図3(B)は、可変遅延回路31、32より出力させた動き補償映像信号b2、b3を1/120秒毎にYA1、YB1、YA2、YB2…の時系列順に並べたものである。図3(B)に示すように、映像信号処理装置1により新たにフレームが補間されて且つ動き補償がなされる。よって、視線の追跡方向と動く物体が一致してモーションジャダが改善され、視聴者には動きが滑らかな画像として見える。
【0038】
可変遅延回路30は、動きベクトル変換回路21により供給された遅延制御信号b1に基づいて、1フレーム前の映像信号である第2の映像信号F1を遅延させる。例えば、可変遅延回路30は供給される第2の映像信号F1がフレームS2のとき、第2の映像信号F0を+MV/5の遅延量で遅延させて動き補償映像信号b1を生成する。
【0039】
なお、可変遅延回路30における第2の映像信号F1に対する遅延処理は、1フレーム前の可変遅延回路32の第1の映像信号F0に対する処理と同じものである。よって、可変遅延回路30に替わって可変遅延回路32の映像信号の出力を1フレーム分遅延させて動き補償映像信号b3を生成してもよい。その場合は、1フレーム分遅延させるメモリが必要となる。
【0040】
次に、毎秒30コマの動画像を2−2プルダウン変換した第1の映像信号F0が映像信号処理装置1に入力された場合について説明する。プルダウン判定回路22が第1の映像信号F0は2−2プルダウン変換された信号であると判定した場合、シーケンス発生回路23は2−2プルダウンシーケンスを実行するためのシーケンス信号を発生して、動きベクトル変換回路21に送信する。
【0041】
図4は、映像信号処理装置1に入力された第1の映像信号F0が2−2プルダウン変換されている場合のシーケンスチャートの一例を示す図である。図4(A)は、映像信号処理装置1に入力される画像パターンを示している。図4(A)に示すように、第1の映像信号F0は、1/60秒毎にフレームS1、S2、S3…の時系列順で、映像信号処理装置1に入力される。フレームS2、S3は同一の画像パターン、フレームS4、S5は同一の画像パターンであり、以後2フレーム連続して同一の画像パターンが繰り返し映像信号処理装置1に入力される。
【0042】
動きベクトル検出回路20は、2−3プルダウンの場合と同様に、S1からS2へ変化するときの動きベクトル量をMVとして検出する。入力された第1の映像信号F0が映像信号処理装置1で如何なる処理もされない場合は、図4(A)に示すように視線の追跡方向と動く物体との間にずれが生じる。そのため、視聴者には動きがカタカタと不自然な画像として見えることになる。
【0043】
動きベクトル変換回路21は、動きベクトル検出回路20より供給された動きベクトル量MVとシーケンス信号に基づいて、例えば表2に示す遅延量となるように制御するための遅延制御信号a1〜a3を各可変遅延回路30〜32に供給する。なお、表2に示す遅延量は、2/60秒周期で同一の遅延量であり、第1の映像信号F0のフレームがS2とS4のときの遅延量を同一とする。
【表2】

【0044】
可変遅延回路31、32は、動きベクトル変換回路21により供給された遅延制御信号a2、a3に基づいて、第1の映像信号F0を遅延させる。例えば、可変遅延回路32は供給される第1の映像信号F0のフレームがS2のとき、第1の映像信号F0を−MV/4の遅延量で遅延させて動き補償映像信号b3を生成する。また、可変遅延回路31は、供給される第1の映像信号F0のフレームがS2のとき、その映像信号F0を−MV/2遅延させて動き補償映像信号b2を生成する。
【0045】
図4(B)は、可変遅延回路31、32より出力された動き補償映像信号b2、b3を1/120秒毎にYA1、YB1、YA2、YB2…の時系列順に並べたものである。図4(B)に示すように、映像信号処理装置1により新たにフレームが補間されて且つ動き補償がなされる。よって、視線の追跡方向と動く物体が一致してモーションジャダが改善され、視聴者には動きが滑らかな画像として見える。
【0046】
可変遅延回路30は、動きベクトル変換回路21により供給された遅延制御信号b1に基づいて、第2の映像信号F1を遅延させる。例えば、可変遅延回路30は供給される第2の映像信号F1がフレームS1のとき、第2の映像信号F0を+MV/4の遅延量で遅延させて動き補償映像信号b1を生成する。
【0047】
次に、映像信号処理装置1に標準のテレビジョンである垂直周波数60Hzの映像信号F0が入力された場合について説明する。プルダウン判定回路22が第1の映像信号F0はプルダウン変換された信号でないと判定した場合、シーケンス発生回路23はプルダウン変換されていない場合の制御をするためのシーケンス信号を発生して、動きベクトル変換回路21に送信する。
【0048】
図5は、映像信号処理装置1に入力された第1の映像信号F0が垂直周波数60Hzの標準テレビジョンの映像信号である場合のシーケンスチャートの一例を示す図である。図5(A)は、映像信号処理装置1に入力される画像パターンを示している。図5(A)に示すように、第1の映像信号F0はS1、S2、S3…の時系列順で、映像信号処理装置1に入力される。
【0049】
動きベクトル検出回路20は、S1からS2へ変化するときの動きベクトル量をMVとして検出する。動きベクトル変換回路21は、動きベクトル検出回路20より供給された動きベクトル量MVとシーケンス信号に基づいて、例えば表3に示す遅延量となるように制御するための遅延制御信号a1〜a3を各可変遅延回路30〜32に供給する。表3に示す遅延量は、フレームによらず常に同じ遅延量となっている。
【表3】

【0050】
可変遅延回路32は、動きベクトル変換回路21により供給される遅延制御信号a3により遅延量を0とするので、第1の映像信号F0を遅延せずにそのまま動き補償映像信号b3とする。可変遅延回路31は、動きベクトル変換回路21により供給される遅延制御信号a2に基づいて、第1の映像信号F0を−MV/2遅延して動き補償映像信号b2を生成する。
【0051】
図5(B)は、可変遅延回路31、32より出力された動き補償映像信号b2、b3を1/120秒毎にYA1、YB1、YA2、YB2…の時系列順に並べたものである。図5(B)に示すように、映像信号処理装置1により新たにフレームが補間されて且つ動き補償がなされる。よって、視線の追跡方向と動く物体が一致してモーションジャダが改善され、視聴者には動きが滑らかな画像として見える。
【0052】
以上説明してきたように、第1の実施形態によれば、プルダウン変換された映像信号であるか否かによって、可変遅延回路30〜32での遅延量を変えて動き補償をすることができ、高フレームレートを実現できる。そのため、映像信号がプルダウン変換されているか否かに関わらず、滑らかな画像を提供することができる。
【0053】
また、第1の実施形態では、3個の動き補償映像信号を生成する3個の可変遅延回路(画像シフト手段)を用いて、2個の動き補償映像信号に基づく2個の強調映像信号を、入力映像信号である第1の映像信号F0の2倍のフレームレートに変換しているが、これに限定されるものではない。例えば、入力映像信号のフレームレートをN(Nは2以上の自然数)倍に変換する場合、複数のN個以上の動き補償映像信号を生成する画像シフト手段(可変遅延回路)を必要とする。そして、複数の動き補償映像信号の中でN個の動き補償映像信号を選択して、時間軸方向に強調されたN個の強調映像信号を生成すればよい。
【0054】
また、可変遅延回路30〜32に供給される遅延制御信号a1〜a3に含まれる遅延量は表1〜表3に示す以外の遅延量でもよい。可変遅延回路30〜32には、第1の映像信号F0と1フレーム分遅延された第2の映像信号F1の一方、あるいは双方が供給され、動き補償映像信号b1〜b3が生成される構成でもよい。更に、図1に示すように、時系列変換を行う前に動き補償と時間軸強調を行う構成とすることができるため、高速なフレームメモリを必要としない。そのため、処理速度の低速化とフレームメモリの削減が可能な映像信号処理装置1の構成である。
【0055】
<第2の実施形態>
第2の実施形態は、第1の映像信号F0がプルダウン変換されている信号と判定された場合、時系列変換メモリが同一の動き補償映像信号に基づく複数の映像信号を出力するようにした点が第1の実施形態と異なる。第2の実施形態では、第1の実施形態と異なる点を説明する。
【0056】
図6は、第2の実施形態における映像信号処理装置の一例を示すブロック構成図である。図6の映像信号処理装置2において、図1と同一の構成ブロックについては同符号を付している。固定遅延回路33は、第1の映像信号F0がプルダウン変換されたものであるか否かによることなく、第1の映像信号F0に対して予め固定された遅延量で遅延(画像シフト)を行う。
【0057】
選択回路60は、プルダウン判定回路22において第1の映像信号F0がプルダウン変換された信号であると判定された場合、可変遅延回路31において所定の遅延量で遅延された動き補償映像信号b2を選択する。一方、プルダウン判定回路22において第1の映像信号F0がプルダウン変換された信号でないと判定された場合、時間軸強調回路41において生成された映像信号を選択する。
【0058】
プルダウン検出回路22が、第1の映像信号F0を2−3プルダウン変換された映像信号であると判定した場合について説明する。動きベクトル検出回路20は、フレームS1からS2へ変化するときの動きベクトル量をMVとして検出する。プルダウン判定回路22が第1の映像信号F0はプルダウン変換された信号と判定した場合、シーケンス発生回路23はプルダウン変換された信号である場合のプルダウンシーケンスを実行するためのシーケンス信号を発生して、動きベクトル変換回路21に送信する。
【0059】
動きベクトル変換回路21は、動きベクトル検出回路20より供給された動きベクトル量MVとシーケンス信号に基づいて、例えば表4に示す遅延量となるように制御するための遅延制御信号a1、a2として可変遅延回路30、31に供給する。表4に示す遅延量は、5/60秒周期で同じ遅延量であり、第1の映像信号F0のフレームがS2とS7のときの遅延量を同一とする。
【表4】

【0060】
可変遅延回路31は、動きベクトル変換回路21により供給された遅延制御信号a2に基づいて、第1の映像信号F0を遅延させる。例えば、可変遅延回路31は供給される第1の映像信号F0がフレームS2のとき、第1の映像信号F0を−2・MV/5の遅延量で遅延させて動き補償映像信号b2を生成する。
【0061】
可変遅延回路30は、動きベクトル変換回路21により供給された所定の遅延量分、1フレーム前の第2の映像信号F1を遅延させる。例えば、可変遅延回路30に入力される第2の映像信号F1がフレームS2のとき、その映像信号F0を+MV/5の遅延量で遅延させる。
【0062】
図7は、映像信号処理装置2に入力された第1の映像信号F0が2−3プルダウン変換されている場合のシーケンスチャートの一例を示す図である。図7(A)は、映像信号処理装置1に入力される画像パターンを示している。図7(A)に示すように、フレームS2、S3、S4は同一の画像パターン、フレームS5、S6は同一の画像パターンであり、以後3フレーム連続して同一の画像パターン、その後2フレーム連続して同一の画像パターンが繰り返し入力される。
【0063】
図7(B)は、可変遅延回路30より出力された動き補償映像信号b2を1/120秒毎にY1、Y1、Y2、Y2…の時系列順に並べたものである。第2の実施形態において第1の映像信号F0がプルダウン変換された映像信号の場合、時系列変換メモリ50は、動き補償映像信号b2を時間軸強調回路40によって強調した映像信号DF0、選択回路60で選択された動き補償映像信号b2を映像信号DF1として一旦記憶する。
【0064】
時系列変換メモリ50は、フレーム周波数を2倍に変換して、映像信号DF0、DF1の順で映像信号F0’として不図示の液晶パネルに出力する。よって、図7(B)に示すように、図7(A)に示す第1の映像信号F0は、1/60秒周期ずつ、すなわち2フレームずつ同一の動き補償映像信号b2をベースにした映像信号となる。そして、映像信号処理装置2によって、フレームが補間されて且つ緩い動き補償がなされる。よって、視線の追跡方向と動く物体がほぼ一致してモーションジャダが改善され、視聴者には動きがある程度滑らかな画像として見える。
【0065】
本来映画フィルムの静止画像をプルダウン変換した映像信号は、そのコンテンツによってはモーションジャダや動画ぼやけを改善しすぎない方がよい場合がある。すなわち、第1の実施形態の映像信号処理装置1を用いた場合に、モーションジャダが改善しすぎて反って違和感が生じることがある。そのような場合は、第2の実施形態で説明した選択回路60を用いて2フレームずつ同一の動き補償映像信号b2をベースにした映像信号を出力して、緩い動き補償とするのが良い。また、プルダウン変換した映像信号には時間軸強調回路41を用いないため、動画ぼやけを補正する効果を強くしないようにすることもできる。
【0066】
次に、標準のテレビジョン信号である垂直周波数60Hzの映像信号が映像信号処理装置2に入力された場合を説明する。プルダウン検出回路22が第1の映像信号F0がプルダウン変換された信号でないと判定した場合、選択回路60は、固定遅延回路33から供給される動き補償映像信号b3を時間軸強調回路41によって時間軸方向に強調した映像信号を映像信号DF1として選択する。
【0067】
この場合、時系列変換メモリ50は、時間軸強調回路41により時間軸方向に強調された映像信号DF1と、時間軸強調回路40により時間軸方向に強調された映像信号DF0を一旦記憶する。時系列変換メモリ50は、フレーム周波数を2倍に変換して、映像信号DF0、DF1の順で映像信号F0’として不図示の液晶パネルに出力する。また、可変遅延回路30、31にて遅延される遅延量は第1の実施形態における表3と同様である。よって、第1の実施形態における図5と同様となり、図5(B)に示すように映像信号処理装置2により新たにフレームが補間されて、視聴者には動きが滑らかな画像として見える。
【0068】
以上説明してきたように、第2の実施形態によれば、入力映像信号である第1の映像信号F0がプルダウン変換された映像信号の場合は、入力映像信号よりは高フレームレートに変換できるが、第1の実施形態よりは緩い動き補償とすることができる。また、第1の映像信号F0が標準のテレビジョン映像信号の場合は、第1の実施形態と同様の動き補償をすることができ、高フレームレートを実現できる。
【0069】
また、時間軸強調回路40、41は、動き補償映像信号b2、b3をそれぞれ時系列で1つ前の動き補償映像信号のみを用いて時間軸方向に強調しているが、1つ前に限定するものではない。また、複数の動き補償映像信号を用いて時間軸方向に強調してもよい。
【0070】
また、第2の実施形態においてプルダウン変換された入力映像信号の場合、2個の動き補償映像信号を生成する2個の可変遅延回路(画像シフト手段)を用いて、1個の動き補償映像信号と、その動き補償映像信号に基づく1個の強調映像信号を、入力映像信号である第1の映像信号F0の2倍のフレームレートに変換しているが、これに限定されるものではない。
【0071】
例えば、入力映像信号のフレームレートをN(Nは2以上の自然数)倍に変換する場合、映像信号処理装置2は、複数の動き補償映像信号を生成する画像シフト手段(可変遅延回路)を必要とする。そして、選択回路を用いて、複数の動き補償映像信号の中でM個(MはNを割り切る自然数)の動き補償映像信号とその各動き補償映像信号を時間軸方向に強調した強調映像信号を選択する。更に、選択されたM個の時系列が同一の映像信号(動き補償映像信号または強調映像信号)のそれぞれについて、動き補償映像信号とその動き補償映像信号に基づく時系列が同一の強調映像信号を合わせてN/M(MはNを割り切る自然数)回ずつ出力する。よって、映像信号処理装置2は、時系列が同一の各映像信号をN/M回ずつ出力して合計N個の映像信号を生成し、フレームレートをN倍に変換するものである。なお、選択されたM個のうちのそれぞれについて、少なくとも1個以上の強調映像信号も合わせて出力させることで残像を低減するのがよい。
【0072】
第2の実施形態では、N=2、M=1として説明したが、N=3の場合はM=1となり、同一の動き補償映像信号に基づく映像信号が1/60秒間に3フレーム分出力される。N=4の場合はM=1または2、N=5の場合はM=1、N=6の場合はM=1、2または3との関係になる。その結果、同一の動き補償映像信号をベースにした映像信号のフレームが2個以上の同数ずつ出力され、モーションジャダが改善される。
【0073】
また、可変遅延回路30、31に供給される遅延制御信号a1〜a3に含まれる遅延量は表4に示す以外の遅延量でもよい。また、可変遅延回路30、31には、第1の映像信号F0と1フレーム分遅延された第2の映像信号F1の一方、あるいは双方が供給され、動き補償映像信号b1〜b3が生成される構成でもよい。また、図6に示すように、時系列変換を行う前に動き補償と時間軸強調を行う構成とすることができるため、高速なフレームメモリを必要としない。そのため、処理速度の低速化とフレームメモリの削減が可能な映像信号処理装置2の構成である。
【0074】
<第3の実施形態>
第3の実施形態は、第1の映像信号F0が2−3プルダウン変換されている信号と判定された場合、映像信号処理装置は5−5プルダウンシーケンスを実行するためのシーケンス信号を発生して、同一の動き補償映像信号に基づく複数の映像信号を5個ずつ出力するようにした点が第1、第2の実施形態と異なる。第3の実施形態では、第1、第2の実施形態と異なる点を説明する。
【0075】
図8は、第3の実施形態における映像信号処理装置の一例を示すブロック構成図である。図8の映像信号処理装置3において、図1、図6と同一の構成ブロックについては同符号を付している。固定遅延回路34は、第1の映像信号F0がプルダウン変換されたものであるか否かによることなく、第2の映像信号F1に対して予め固定された遅延量での遅延を行う。
【0076】
選択手段を有する選択回路61は、プルダウン判定回路22によって第1の映像信号F0がプルダウン変化された信号であると判定された場合、シーケンス発生回路23において発生されたプルダウンシーケンスを実行するためのシーケンス信号に基づいて、固定遅延回路33において所定の遅延量で遅延された動き補償映像信号b3、または固定遅延回路34において所定の遅延量で遅延された動き補償映像信号b1のいずれかを選択する。
【0077】
選択回路62は、プルダウン判定回路22において第1の映像信号F0がプルダウン変換された信号であると判定された場合は、選択回路61で選択された動き補償映像信号を選択して選択映像信号とする。一方、プルダウン変換がされた信号でないと判定された場合は、可変遅延回路31から供給される動き補償映像信号b2を選択して選択映像信号とする。
【0078】
プルダウン判定回路22が第1の映像信号F0を2−3プルダウン変換された映像信号であると判定した場合について説明する。シーケンス発生回路23は、5−5プルダウンシーケンスを実行するためのシーケンス信号を発生する。選択回路61は、シーケンス信号に基づいて動き補償映像信号b1またはb3を選択して選択映像信号とする。時系列変換メモリ50は、5フレームずつ同一の動き補償映像信号をベースにした映像信号F0’を出力する。すなわち、5/120秒周期で映像信号F0’が切り替わる。
【0079】
図9は、映像信号処理装置3に入力された第1の映像信号F0が2−3プルダウン変換されている場合のシーケンスチャートの一例を示す図である。図9(A)は、映像信号処理装置1に入力される画像パターンを示している。フレームS2、S3、S4は同一の画像パターン、フレームS5、S6は同一の画像パターンであり、以後3フレーム連続して同一の画像パターン、その後2フレーム連続して同一の画像パターンが繰り返し入力される。
【0080】
図9(B)は、固定遅延回路33、34より出力された動き補償映像信号b1またはb3を1/120秒毎にS1、S2、S2、S3、S3、S4、S5、S5、S5、S6…の時系列順に並べたものである。第3の実施形態において第1の映像信号F0がプルダウン変換された信号の場合、各時間軸強調回路40、41に同一の動き補償映像信号b1またはb3が選択映像信号として供給された場合は、(1)式に示すように選択映像信号を時間軸方向に強調する効果は得られない。しかし、5/120秒周期(5フレーム分ずつ)で映像信号F0’が切り替わるときの前後の動き補償映像信号b1またはb3間で、その動き補償映像信号b1またはb3を時間軸方向に強調することができる。そして、映像信号処理装置3は、映像信号F0’が1フレーム周期切り替わる毎に、動き補償映像信号b1またはb3を時間軸方向に強調して残像を低減することが望ましい。
【0081】
時系列変換メモリ50は、時間軸強調回路40を通った動き補償映像信号b1またはb3よりなる選択映像信号をDF0、時間軸強調回路41を通った動き補償映像信号b1またはb3よりなる選択映像信号DF1として一旦記憶する。そして、フレーム周波数を2倍に変換して、映像信号DF0、DF1の順で映像信号F0’として不図示の液晶パネルに出力する。図9(B)に示すように、図9(A)に示す第1の映像信号F0は、5/120秒周期ずつ、すなわち5フレームずつ同一の動き補償映像信号をベースにした映像信号となる。
【0082】
第1の映像信号F0が2−2プルダウン変換された信号の場合は、時系列変換メモリ50が4フレームずつ同一の動き補償映像信号をベースにした映像信号F0’を出力するように、選択回路61により選択された動き補償映像信号b1またはb3を選択映像信号とする。また、第1の映像信号F0が標準のテレビジョン信号の場合、可変遅延回路31で遅延された動き補償映像信号が選択回路61及び62により選択されて、第1の実施形態と同様の処理となる。
【0083】
以上説明してきたように、第3の実施形態によれば、入力映像信号である第1の映像信号F0が2−3プルダウン変換された映像信号の場合は、映像信号処理装置3によって動き補償がなされない。しかし、2フレーム、3フレームの繰り返しである第1の映像信号F0は、常に5フレームの繰り返しの映像信号F0’となりモーションジャダは少し改善され、視聴者には動きがある程度違和感のない画像として見える。
【0084】
本来映画フィルムの静止画像をプルダウン変換した映像信号は、そのコンテンツによっては動き補償をしない方がよい場合がある。すなわち、第2の実施形態でも動き補償が強すぎて違和感が生じるような場合は、第3の実施形態で説明したように、プルダウン変換した映像信号の動き補償を行わないのが良い。
【0085】
また、第2の実施形態において2−3プルダウン変換された入力映像信号の場合、選択回路を用いて、時間軸方向に強調された映像信号含む同一の選択映像信号に基づく映像信号を5個ずつ出力し、2倍のフレームレートに変換する構成を示したが、これに限定されるものではない。
【0086】
例えば、2個の動き補償映像信号を生成する2個の可変遅延回路(画像シフト手段)を用いて、1個の動き補償映像信号と、その動き補償映像信号に基づく1個の強調映像信号を、入力映像信号である第1の映像信号F0の2倍のフレームレートに変換しているが、これに限定されるものではない。
【0087】
例えば、入力映像信号のフレームレートをN(Nは2以上の偶数)倍に変換する映像信号処理装置3に2−3プルダウン変換された第1の映像信号F0が入力された場合、シーケンス発生回路23は5K−5K(KはN/2)プルダウンシーケンスを実行するためのシーケンス信号を発生すればよい。5K−5Kプルダウンシーケンスとは、時系列が同一の動き補償映像信号に基づく映像信号を5K個ずつ出力するように制御することをいう。
【0088】
第3の実施形態の映像信号処理装置3では、N=2、K=1として説明しているが、N=4の場合はK=2となり、10−10プルダウンシーケンスが実行される。よって、同一の選択映像信号に基づく映像信号が5/120秒間に10個出力される。その後、1フレーム周期離れた同一の選択映像信号に基づく映像信号が5/120秒間に10個出力される。よって、5/60秒間に2種類の選択映像信号に基づく映像信号が10個ずつ合計20個出力される。同様に、N=6の場合はK=3となり、15−15プルダウンシーケンスが実行される。よって、映像信号処理装置3は、同一の選択映像信号をベースにした映像信号のフレームを5K個ずつ出力して、モーションジャダを少し改善する。
【0089】
入力映像信号のフレームレートをN(Nは3以上の奇数)倍に変換する映像信号処理装置3に対して2−3プルダウン変換された第1の映像信号F0が入力された場合、シーケンス発生回路23はL−(L+1)プルダウンシーケンスを発生すればよい。L−(L+1)プルダウンシーケンスとは、時系列が同一の映像信号をL個、次に時系列が同一の映像信号を(L+1)個、以後L個、(L+1)個ずつの繰り返しにより出力するように制御することをいう。但し、Lは2N+(N−1)/2である。また、2−3プルダウンシーケンスと同様に、L−(L+1)プルダウンシーケンスは、(L+1)−Lプルダウンシーケンスを含むものである。
【0090】
例えば、N=3の場合はL=7となり、7−8プルダウンシーケンスが実行される。よって、時系列が同一の映像信号(選択映像信号または強調映像信号)が7/180秒間に7個出力される。その後、1フレーム周期離れた時系列が同一の映像信号(選択映像信号または強調映像信号)が8/180秒間に8個出力される。よって、5/60秒間に、時系列が異なる2種類の映像信号が7個、8個と出力される。同様に、N=5の場合はL=9となり、12−13プルダウンシーケンスが実行される。よって、映像信号処理装置3は、任意のLに対して、時系列が同一の映像信号のフレームをL個、次に時系列が同一の映像信号を(L+1)個ずつ繰り返し出力して、Nが3以上の奇数であってもモーションジャダを少し改善する。
【0091】
なお、視聴者の好みに合わせて、第1〜第3の実施形態の2つ以上の形態を選択できるようにすることが望ましい。その場合、第1〜第3の実施形態において共通する回路は1個でよい。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】第1の実施形態における映像信号処理装置の一例を示すブロック構成図である。
【図2】第1〜第3の実施形態における時間軸強調回路の一例を示すブロック図ある。
【図3】第1の実施形態における映像信号処理装置に対する入力映像信号が2−3プルダウン変換されている場合のシーケンスチャートの一例を示す図である。
【図4】第1の実施形態における映像信号処理装置に対する入力映像信号が2−2プルダウン変換されている場合のシーケンスチャートの一例を示す図である。
【図5】第1の実施形態における映像信号処理装置に入力された映像信号が標準テレビジョン信号である場合のシーケンスチャートの一例を示す図である。
【図6】第2の実施形態における映像信号処理装置の一例を示すブロック構成図である。
【図7】第2の実施形態における映像信号処理装置に入力された映像信号が2−3プルダウン変換されている場合のシーケンスチャートの一例を示す図である。
【図8】第3の実施形態における映像信号処理装置の一例を示すブロック構成図である。
【図9】第3の実施形態における映像信号処理装置に入力された映像信号が2−3プルダウン変換されている場合のシーケンスチャートの一例を示す図である。
【符号の説明】
【0093】
1、2、3 映像信号処理装置
10 フレームメモリ
20 動きベクトル検出回路
22 プルダウン判定回路
23 シーケンス発生回路
30〜32 可変遅延回路
33、34 固定遅延回路
40、41 時間軸強調回路
50 時系列変換メモリ
60〜62 選択回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された第1の映像信号の各フレームを1フレーム期間遅延させて第2の映像信号を出力するフレームメモリと、
前記第1の映像信号と前記第2の映像信号のフレーム間における動きベクトルを検出する動きベクトル検出手段と、
前記第1の映像信号がプルダウン変換された映像信号であるか否かを判定するプルダウン判定手段と、
前記プルダウン判定手段の判定結果に基づいて、プルダウンシーケンス情報を発生するシーケンス発生手段と、
前記プルダウンシーケンス情報と前記動きベクトルに基づいて、前記第1または第2の映像信号のうちの少なくとも1つの映像信号を動き補償して、複数の動き補償映像信号を生成する画像シフト手段と、
前記複数の動き補償映像信号の中でN(Nは2以上の自然数)個の動き補償映像信号を、時系列順における隣の動き補償映像信号を含む少なくとも1つ以上の動き補償映像信号に基づいてそれぞれ時間軸方向に強調して、N個の強調映像信号を出力する時間軸強調手段と、
前記N個の強調映像信号のフレーム周波数をN倍に変換して時系列順に出力する時系列変換メモリと
を有することを特徴とする映像信号処理装置。
【請求項2】
前記判定手段は、前記第1の映像信号がプルダウン変換された映像信号であると判定した場合、前記第1の映像信号が2−2プルダウン変換された信号であるか2−3プルダウン変換された信号であるかを判定し、
前記シーケンス発生手段は、前記第1の映像信号が2−2プルダウン変換された信号であるか2−3プルダウン変換された信号であるかによって異なるプルダウンシーケンス情報を発生することを特徴とする請求項1記載の映像信号処理装置。
【請求項3】
入力された第1の映像信号の各フレームを1フレーム期間遅延させて第2の映像信号を出力するフレームメモリと、
前記第1の映像信号と前記第2の映像信号のフレーム間における動きベクトルを検出する動きベクトル検出手段と、
前記第1の映像信号がプルダウン変換された映像信号であるか否かを判定するプルダウン判定手段と、
前記プルダウン判定手段の判定結果に基づいて、プルダウンシーケンス情報を発生するシーケンス発生手段と、
前記プルダウン判定手段が前記第1の映像信号はプルダウン変換された映像信号であると判定した場合の前記プルダウンシーケンス情報と前記動きベクトルに基づいて、前記第1または前記第2の映像信号のうちの少なくとも1つの映像信号を動き補償して、複数の動き補償映像信号を生成する画像シフト手段と、
前記プルダウン判定手段が前記第1の映像信号はプルダウン変換された映像信号であると判定した場合、前記複数の動き補償映像信号の中でM個の動き補償映像信号を、時系列順における隣の動き補償映像信号を含む少なくとも1つ以上の動き補償映像信号に基づいてそれぞれ時間軸方向に強調して、M(Mは1以上の自然数)個の強調映像信号を出力する時間軸強調手段と、
前記プルダウン判定手段が前記第1の映像信号はプルダウン変換された映像信号であると判定した場合、前記M個の動き補償映像信号のそれぞれに対して、前記動き補償映像信号及び前記動き補償映像信号に基づく強調映像信号とを合わせてN/M回(但し、NはMの自然数倍)ずつ繰り返し出力すると共に、前記動き補償映像信号及び前記強調映像信号のフレーム周波数をN倍に変換して時系列順に出力する時系列メモリと
を有することを特徴とする映像信号処理装置。
【請求項4】
入力された第1の映像信号の各フレームを1フレーム期間遅延させて第2の映像信号を出力するフレームメモリと、
前記第1の映像信号がプルダウン変換された映像信号であるか否かを判定し、プルダウン変換された映像信号である場合にはプルダウン変換の種類を判定するプルダウン判定手段と、
前記プルダウン判定手段が前記第1の映像信号は2−3プルダウン変換された映像信号であると判定した場合、5K−5Kプルダウンシーケンス情報(但し、Kは1以上の自然数)を発生するシーケンス発生手段と、
前記プルダウン判定手段が前記第1の映像信号は2−3プルダウン変換された映像信号であると判定した場合、前記第1の映像信号または第2の映像信号を選択して時系列が同一の映像信号を1フレーム周期毎に5K個ずつ選択映像信号として出力する選択手段と
時系列が1フレーム周期切り替わった後の前記選択映像信号を、1フレーム周期前の前記選択映像信号に基づいて時間軸方向に強調する時間軸強調手段と、
前記第1の映像信号のフレーム周波数をN(但し、NはKの2倍の数)倍に変換して前記選択映像信号を1フレーム周期毎に5K個ずつ時系列順に出力する時系列メモリと
を有することを特徴とする映像信号処理装置。
【請求項5】
入力された第1の映像信号の各フレームを1フレーム期間遅延させて第2の映像信号を出力するフレームメモリと、
前記第1の映像信号がプルダウン変換された映像信号であるか否かを判定し、プルダウン変換された映像信号である場合にはプルダウン変換の種類を判定するプルダウン判定手段と、
前記プルダウン判定手段が前記第1の映像信号が2−3プルダウン変換された映像信号であると判定し場合、L−(L+1)プルダウンシーケンス(但し、Lは2N+(N−1)/2であり、Nを3以上の奇数)を発生するシーケンス発生手段と、
前記プルダウン判定手段により前記第1の映像信号が2−3プルダウン変換された映像信号であると判定された場合、前記第1の映像信号または第2の映像信号を選択して時系列が同一の映像信号を1フレーム周期毎にL個、(L+1)個ずつの繰り返しにより選択映像信号として出力する選択手段と、
時系列が1フレーム周期切り替わった後の前記選択映像信号を、1フレーム周期前の前記選択映像信号に基づいて時間軸方向に強調する時間軸強調手段と、
前記第1の映像信号のフレーム周波数をN倍に変換して前記選択映像信号を1フレーム周期毎にL個、(L+1)個ずつの繰り返しにより時系列順に出力する時系列変換メモリと
を有することを特徴とする映像信号処理装置。
【請求項6】
入力された第1の映像信号の各フレームを1フレーム期間遅延させて第2の映像信号を出力するステップと、
前記第1の映像信号と前記第2の映像信号のフレーム間における動きベクトルを検出するステップと、
前記第1の映像信号がプルダウン変換された映像信号であるか否かを判定するステップと、
前記プルダウン変換された映像信号であるか否か及びプルダウン変換の種類の判定結果に基づいて、プルダウンシーケンス情報を発生するステップと、
前記プルダウンシーケンス情報と前記動きベクトルに基づいて、前記第1または第2の映像信号のうちの少なくとも1つの映像信号を動き補償して、複数の動き補償映像信号を生成するステップと、
前記複数の動き補償映像信号の中でN個(Nは2以上の自然数)の動き補償映像信号を、時系列順における隣の動き補償映像信号を含む少なくとも1つ以上の動き補償映像信号に基づいてそれぞれ時間軸方向に強調して、N個の強調映像信号を出力するステップと、
前記N個の強調映像信号のフレーム周波数をN倍に変換して時系列順に出力するステップと
を有することを特徴とする映像信号処理方法。
【請求項7】
前記第1の映像信号がプルダウン変換された映像信号であるか否かを判定するステップは、第1の映像信号がプルダウン変換された映像信号であると判定し場合、前記第1の映像信号が2−2プルダウン変換された信号であるか2−3プルダウン変換された信号であるかを判定し、
前記プルダウンシーケンス情報を発生するステップは、前記第1の映像信号が2−2プルダウン変換された信号であるか2−3プルダウン変換された信号であるかによって異なるプルダウンシーケンス情報を発生することを特徴とする請求項6記載の映像信号処理方法。
【請求項8】
入力された第1の映像信号の各フレームを1フレーム期間遅延させて第2の映像信号を出力するステップと、
前記第1の映像信号と前記第2の映像信号のフレーム間における動きベクトルを検出するステップと、
前記第1の映像信号がプルダウン変換された映像信号であるか否かを判定するステップと、
前記第1の映像信号がプルダウン変換された映像信号であるか否かを判定するステップの判定結果に基づいて、プルダウンシーケンス情報を発生するステップと、
前記第1の映像信号はプルダウン変換された映像信号であると判定した場合の前記プルダウンシーケンス情報と前記動きベクトルに基づいて、前記第1または第2の映像信号のうちの少なくとも1つの映像信号を動き補償して複数の動き補償映像信号を生成するステップと、
前記第1の映像信号がプルダウン変換された映像信号であるか否かを判定するステップが前記第1の映像信号はプルダウン変換された映像信号であると判定した場合、前記複数の動き補償映像信号の中でM(Mは1以上の自然数)個の動き補償映像信号を、時系列順における隣の動き補償映像信号を含む少なくとも1つ以上の動き補償映像信号に基づいてそれぞれ時間軸方向に強調して、M個の強調映像信号を出力するステップと、
前記第1の映像信号がプルダウン変換された映像信号であるか否かを判定するステップが前記第1の映像信号はプルダウン変換された映像信号であると判定した場合、前記M個の動き補償映像信号のそれぞれに対して、前記動き補償映像信号及び前記動き補償映像信号に基づく強調映像信号とを合わせてN/M回(但し、NはMの自然数倍)ずつ繰り返し出力すると共に、前記動き補償映像信号及び前記強調映像信号のフレーム周波数をN倍に変換して時系列順に出力するステップと
を有することを特徴とする映像信号処理方法。
【請求項9】
入力された第1の映像信号の各フレームを1フレーム期間遅延させて第2の映像信号を出力するステップと、
前記第1の映像信号がプルダウン変換された映像信号であるか否かを判定し、プルダウン変換された映像信号である場合にはプルダウン変換の種類を判定するステップと、
前記第1の映像信号がプルダウン変換された映像信号であるか否かを判定し、プルダウン変換された映像信号である場合にはプルダウン変換の種類を判定するステップが、前記第1の映像信号は2−3プルダウン変換された映像信号であると判定した場合、前記動きベクトルに基づいて、5K−5Kプルダウンシーケンス情報(但し、Kは1以上の自然数)を発生するステップと、
前記第1の映像信号がプルダウン変換された映像信号であるか否かを判定し、プルダウン変換された映像信号である場合にはプルダウン変換の種類を判定するステップが、前記第1の映像信号は2−3プルダウン変換された映像信号であると判定した場合、前記第1の映像信号または第2の映像信号を選択して時系列が同一の映像信号を1フレーム周期毎に5K個ずつ選択映像信号として出力するステップと、
時系列が1フレーム周期切り替わった後の前記選択映像信号を、1フレーム周期前の前記選択映像信号に基づいて時間軸方向に強調するステップと、
前記第1の映像信号のフレーム周波数をN(但し、NはKの2倍の数)倍に変換して前記選択映像信号を1フレーム周期毎に5K個ずつ時系列順に出力するステップと
を有することを特徴とする映像信号処理方法。
【請求項10】
入力された第1の映像信号の各フレームを1フレーム期間遅延させて第2の映像信号を出力するステップと、
前記第1の映像信号がプルダウン変換された映像信号であるか否かを判定し、プルダウン変換された映像信号である場合にはプルダウン変換の種類を判定するステップと、
前記第1の映像信号がプルダウン変換された映像信号であるか否かを判定し、プルダウン変換された映像信号である場合にはプルダウン変換の種類を判定するステップが、前記第1の映像信号は2−3プルダウン変換された映像信号であると判定した場合、前記動きベクトルに基づいて、L−(L+1)プルダウンシーケンス情報(但し、Lは2N+(N−1)/2であり、Nは3以上の奇数)を発生するステップと、
前記第1の映像信号がプルダウン変換された映像信号であるか否かを判定し、プルダウン変換された映像信号である場合にはプルダウン変換の種類を判定するステップが、前記第1の映像信号は2−3プルダウン変換された映像信号であると判定した場合、前記第1の映像信号または第2の映像信号を選択して時系列が同一の映像信号を1フレーム周期毎にL個、(L+1)個ずつの繰り返しにより選択映像信号として出力するステップと、
時系列が1フレーム周期切り替わった後の前記選択映像信号を、1フレーム周期前の前記選択映像信号に基づいて時間軸方向に強調するステップと、
前記第1の映像信号のフレーム周波数をN倍に変換して前記選択映像信号を1フレーム周期毎にL個、(L+1)個ずつの繰り返しにより時系列順に出力するステップと
とを有することを特徴とする映像信号処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−28472(P2010−28472A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−187739(P2008−187739)
【出願日】平成20年7月18日(2008.7.18)
【出願人】(000004329)日本ビクター株式会社 (3,896)
【Fターム(参考)】