説明

映像信号処理装置及び色変換処理方法

【課題】 入力される映像信号および接続されるモニタ表示装置の組み合わせに応じて最適の色変換処理をして映像を表示する。
【解決手段】 色変換処理装置100は、入力される映像信号から画像特性情報を抽出し、入力映像信号の種類を判定する。色変換処理装置100はまた、接続されるモニタ表示装置140の表示能力およびモニタプロファイルを、モニタ表示装置140が設置される環境の照明特性である観察環境照明特性とともに入力する。そして、入力映像信号の種類(スペクトル映像信号、測色値映像信号、RGB映像信号)と、接続されるモニタ表示装置の種類(多原色モニタ、測色値モニタ、RGBモニタ)との組み合わせに応じ、必要に応じて観察環境照明特性も加味して最適の映像表示が行われるように入力映像信号を処理してモニタ表示装置140に表示映像信号を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、色再現性を高度化した映像信号の処理および表示に関するものであり、入力される映像信号の種類と、その映像信号に基づく表示を行う表示装置の性能などに応じて、映像信号を処理して表示装置に出力する映像信号処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子撮像装置で撮像して得られた映像データは、映像信号として表示装置に入力されて表示される。電子撮像装置は、撮像デバイスとしてCCDやC−MOS等の半導体を用いた個体撮像素子、あるいは電子管などが用いられる。これらの撮像デバイスは、互いに異なる分光感度特性を有している。また、被写界からの光を色分解してカラー映像データを得る際に用いられるダイクロイックプリズム、ダイクロイックミラーや干渉フィルタ、あるいは個体撮像素子の受光面上に直接設けられるオンチップのカラーフィルタもまた、用いる材料等によって異なる分光透過特性を有する。その他、撮影レンズの分光透過特性、電子撮像装置内の信号処理系のレベル・ガンマ(バイアス・トーン)特性等もまちまちであり、色再現特性に差を生じる。
【0003】
また、表示装置についても、その表示原理、原色数、個々の原色が有する色(色度)などに違いがあり、表示装置の種類によって、表示される映像の色再現性に差を生じる。このように、用いられる電子撮像装置や表示装置が異なる状況で、被写体の色を正しく再現することは容易ではないことが知られている。
【0004】
被写体の色を再現するための一般的な方法として二つの方法が知られている。すなわち、一つは測色的な色の再現であり、もう一つは赤緑青(RGB)による色の再現である。測色的な色の再現においては、例えばXYZ表色系が良く用いられる。これは、赤緑青(RGB)の光による3刺激値に基づいた、良く知られた表色系である。光の波長をλで表し、R、G、Bの等色関数(Color Matching Function = CMF)をそれぞれx(λ)、y(λ)、z(λ)、被写体を照明する照明光のスペクトルをS(λ)、被写体の反射率スペクトルをR(λ)、規格化定数をKとしたときに、R、G、Bそれぞれの3刺激値X、Y、Zは、以下に示すように、可視帯域(380nm〜780nm)で積分して求めることができる。

X=K∫{R(λ)・x(λ)・S(λ)}dλ
Y=K∫{R(λ)・y(λ)・S(λ)}dλ
Z=K∫{R(λ)・z(λ)・S(λ)}dλ

上記の式から明らかなように、上記式で表される被写体の色は、照明光の分光特性や被写体の分光反射率で決まる。
【0005】
上記の3刺激値から、例えば次の式

x=X/(X+Y+Z)
y=Y/(X+Y+Z)
z=Z/(X+Y+Z)

によって色度座標値が求められ、色度図上にプロットすることが可能となる。一般的には、撮像装置や表示装置などの性能から、実際に表示可能な色の範囲(色域)はXYZ表色系で定義しうる色域を網羅することはできない。実際に表示しうる色域を示したものがデバイスの色空間などと表現される。
【0006】
RGBによる色の再現では一般に、光の3原色を用いた加法混色による色表現が行われる。表示装置の一つであるコンピュータ用モニタ装置に出力される映像信号としてRGB信号が用いられることが多い。モニタ装置で表示可能なRGB各原色の色は、モニタ装置のメーカや種類などによって異なっている。そのため、同じ入力信号に対して再現される色はモニタ装置ごとに異なることがある。すなわち、色再現がデバイスに依存してしまう。従って、正確な(デバイスに依存しない)色再現をするためには、入力されるRGBの入力映像信号に対する表示色の基準を定める必要がある。それを実現するための色空間の規格としてsRGBがある。
【0007】
上述した表示装置は、3原色に基づいたものであり、表示装置で再現可能な色の色域(ガマット)は、これらの3原色の色度点をCIE−xy色度図上にプロットし、プロットした色度点を直線で結んで形成される三角形の面積で表される。最近では、赤緑青の各原色の色がsRGBよりも彩度の高いもので構成されているAdobeRGBに準じた映像信号を入力可能なワイドガマット表示装置も存在する。
【0008】
また、最近では3よりも多いバンド数、例えば6バンド、16バンドといったバンド数で色分解して撮像可能なマルチバンドカメラを用いて撮像し、得られたマルチバンドの映像信号を3よりも多い原色数、例えば6原色を有する多原色表示装置に表示する技術も開発されている。この技術を用いることにより、その多バンドならびに多原色の特性を活かして、より広い色域をもたらすことが可能になるとともに被写体の色を分光的に再現することが可能となる。被写体の色を分光的に再現する際に、被写体の分光反射率や分光放射輝度等のデータを用いて被写体の色を扱うことができる。被写体の分光反射率のデータを用いる方法では、被写体の色を分光反射率で扱う。この方法において行われるCCM(コンピュータ カラー マッチング)は、アイソメトリックマッチと呼ばれる。
【0009】
ところで、観察者メタメリズムと呼ばれる問題が知られている。この観察者メタメリズムは、眼の分光感度特性(視感度)が人によって異なることによって生じるものであり、近年の色再現技術の分野でも注目されている問題点である。表示装置を観察する観察者の眼の分光感度が標準的な眼の分光感度と異なっている場合、標準的な眼の分光感度を想定して設計された3原色表示装置に表示される映像を観察したときに、意図している色(標準観測者によって感じられる色)とは異なった色に見えることがある。この、眼の分光感度のばらつきや差は、人種の違いによって生じることもある他、同一の人物であっても、加齢や水晶体の病気等によっても生じることが知られている。上記のマルチバンドカメラおよび多原色表示装置を用いて映像の表示を行う際に、上述したCCMによって被写体の分光放射輝度を表すデータを実物の分光放射輝度と合致させると、観察者メタメリズムによって異なる色に見えてしまうのを抑制することが可能となる。このような技術をスペクトル近似法による多原色分解と称することができる。
【0010】
上述のごとく観察者メタメリズムを抑制することのできる、スペクトル近似法による多原色分解は、究極的に正確な色再現を行う場合に用いられ、医療分野等での利用が期待されている技術である。このような、被写体表面の反射率または放射輝度を用いて被写体の色を再現する手法として、ナチュラルビジョンフォーマットが提案されている。この技術に関して、「ナチュラルビジョン映像データファイルフォーマット Version 2.0.0 仕様書」として非特許文献1の巻末にまとめられている。この非特許文献1には、撮影映像信号から被写体の反射率を数学的に導き出す方法が記載されている。また、特許文献1には、16バンドの帯域を有するマルチバンドカメラで被写体を撮像して得られた撮影信号を、6原色を有する多原色ディスプレイに出力して映像を表示する技術が開示されている。このとき、16バンド撮影信号を6原色表示信号に変換する際に、マルチバンドカメラの入力プロファイルと多原色ディスプレイの出力プロファイルと色空間変換プロファイルとを用い、入力プロファイルおよび出力プロファイルにはそれぞれの色信号とスペクトルまたは分光反射率との対応関係を与える情報を含み、色空間プロファイルには、等色関数と、上記分光反射率に適用して反射スペクトルを得る照明光スペクトルとのうち、少なくとも一方を含むものが開示されている。
【非特許文献1】ナチュラルビジョン(次世代映像表示・伝送システム)の研究開発プロジェクト、”平成16年度 ナチュラルビジョンの研究開発プロジェクト[動画](次世代映像表示・伝送システム)研究開発報告書”、平成17年3月31日、独立行政法人情報通信研究機構(拠点研究推進部門)、インターネット<URL : http://www2.nict.go.jp/q/q262/3107/end102/NVHP(new)/index-j.html>
【特許文献1】特開2003−134351号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述したように、表示装置で表示する対象の映像としては、マルチバンドカメラで撮像して得られた映像、コンピュータグラフィクスとして制作された映像、従来からあるRGB3バンドのカメラで撮像して得られる映像などがある。一方で、表示装置も、通常のRGBモニタ装置、ワイドガマットRGBモニタ装置、測色値映像信号を入力可能なモニタ装置、多バンドの映像信号を入力して多原色の表示を行うことの可能なモニタ装置等、様々である。従って、入力映像信号の種類とモニタ装置の種類との組み合わせによっては正しい色で、あるいは入力映像信号中に含まれる色の情報や、モニタ装置の色再現能力をフルに活用した映像の表示ができない場合がある。
【0012】
本発明は、上述した課題を解決し、入力される映像信号の種類と表示装置の表示能力(色再現能力)との組み合わせに対応して最適の表示映像が得られる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
(1) 本発明の第1の態様は、映像信号処理装置に適用され、この映像信号処理装置が、
入力映像信号に色変換処理を施し、当該色変換処理後の表示映像信号を映像表示部に出力するための色変換処理部と、
前記色変換処理に際して必要となる色変換用特性情報を入力する色変換用特性情報入力部と、
前記色変換処理部で実行可能な複数の色変換処理方法の中から、入力映像信号と入力された色変換用特性情報とに基づいて最適の色変換処理方法を自動的に選択する色変換処理方法選択部と
を有することにより上述した課題を解決する。
(2) 本発明の別の態様は、入力映像信号に色変換処理を施し、当該色変換処理後の表示映像信号を映像表示部に出力するための色変換処理方法に適用され、この色変換処理方法が、
前記色変換処理に際して用いられる色変換用特性情報を入力することであって、前記色変換用特性情報は、前記映像表示部の表示特性情報と、前記入力映像信号中に含まれる画像特性情報とを含む、色変換用特性情報を入力することと、
色変換候補を選択することであって、入力された前記色変換用特性情報に基づき、複数の色変換方法の候補中で適用可能な色変換方法のうち、予め定められた優先順位に従って、優先順位のより高い色変換方法を選択する、色変換候補を選択することと
を有するものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、入力される映像信号の種類と表示装置との組み合わせに応じて、最適の色変換方法が自動的に選択されて色変換処理が行われるので、表示装置の色再現能力を最大限に活かした表示をすることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は、本発明の実施の形態に係る色変換処理装置100の概略的構成を示すブロック図である。色変換処理装置100は、例えば映像信号出力装置150とモニタ表示装置140との間に接続されるセットトップボックスとして実施することが可能である。映像信号出力装置150は、ビデオカメラ、ビデオデッキ、ビデオ録画/再生装置、BS放送チューナを含むテレビチューナ、CATV用アダプタ、コンピュータ等とすることができる。あるいは、色変換処理装置100はインターネット等のネットワークを介して映像信号を受信することも可能である。色変換処理装置100は、映像信号出力装置150から入力映像信号を受けて処理し、処理済みの表示映像信号をモニタ表示装置140に出力する。
【0016】
ここで、本発明の実施の形態において、色変換処理装置100が入力しうる映像信号の種類と、色変換処理装置100に接続しうるモニタ表示装置140の種類、そして入力される映像信号と接続されているモニタ表示装置との組み合わせに基づいて選択される映像の表示方法(表示方式)について例示および説明をする。
【0017】
1. 入力映像信号の種類:

(1−a) スペクトル映像信号
スペクトル映像信号は、4バンド以上、望ましくは6バンド、またはそれ以上のバンドからなるカラー映像信号に、映像入力機器プロファイル等が付加される。本実施の形態においては映像入力機器がカメラであるので、スペクトル映像信号には撮影に用いたカメラのプロファイル(カメラの分光感度特性、トーン特性、およびバイアス値等)と、撮影時に被写体を照明していた光(以下、撮影時に被写体を照明していた光を「撮影照明光」と称する)の影響を除いて被写体の分光反射率を求めるための情報とが付加されている。以下では撮影照明光の影響を除いて被写体の分光反射率を求めるための情報を「D2R情報」と称する。このD2Rとは、入力される映像信号(ディジタルデータ)から被写体の反射率(reflectance)を求める(推定する)ことに由来して名付けられたもので、「Data to Reflectance」、すなわち「D to R」を意味している。D2Rはマトリクスの形態で提供され、スペクトル映像信号にこのD2Rマトリクスなどを乗ずることにより被写体の分光反射率を推定することが可能となる。なお、以下の説明中では、スペクトル映像信号はマルチスペクトルカメラを用いて撮影をして得られるものとして説明をするが、他の映像入力機器、例えば4以上のスペクトルで色分解して画像入力を行うマルチスペクトルスキャナから出力されるスペクトル映像信号を扱うことも可能である。また、CG(コンピュータグラフィクス)の技術を用いて生成されるスペクトル映像信号も色変換処理装置100は入力可能である。この場合、上述したカメラのプロファイル、撮影照明光のスペクトル、被写体統計情報は、CG映像制作者の制作意図に従った適宜のものを付加することが可能である。
【0018】
スペクトル映像信号は、上述したD2R情報に代えて、あるいはD2R情報とともに、D2S情報を有する場合がある。このD2S情報もまたD2R情報と同様にマトリクスの形態で提供され、スペクトル映像信号にD2Sを乗ずることによって被写体の分光放射輝度を求めることが可能である。このD2Sとは、入力される映像信号(ディジタルデータ)から被写体の分光放射輝度(relative spectral radiance)を求める(推定する)ことに由来して名付けられたもので、「Data to Spectral radiance」、すなわち「D to S」を意味している。以下では、スペクトル映像信号がD2R情報を有するものとして説明するが、D2R情報に代えて、あるいはD2R情報とともにD2S情報をスペクトル映像信号が有していてもよい。
【0019】
本発明の実施の形態においては、スペクトル映像信号を用いた映像の再現が最も色域が広く、かつ後述する技術によって、観察者にとってより自然で臨場感のある映像を得ることが可能となる。また、多バンド映像信号によるスペクトル再現により得られる利点として、観察者メタメリズムの少ない映像を得ることが可能となることが挙げられる。
【0020】
スペクトル映像信号はまず、スペクトル映像信号に対して上述したカメラのプロファイルが適用され、スペクトル映像信号中からデバイス依存性が除去される。続いて、「照明変換」と称される技術を用いて、観察者(表示される映像を観察する者)にとって自然で臨場感のある映像表現をすることを可能とする。この照明変換は、モニタ表示装置に被写体の映像を表示する際に、モニタ表示装置が設置される環境を照明する光(以下、モニタ表示装置が設置される環境を照明する光を「観察環境照明光」と称する)で被写体が照明されているかのような色再現をして表示する技術である。このように表示をすることにより、被写体があたかも観察環境中に存在するかのように観察者には感じられ、より臨場感があって自然な映像を観察することが可能となる。
【0021】
照明変換の技術においては、スペクトル映像信号に付加される上記D2R情報が用いられて、被写体の分光反射率が推定され、分光反射率映像が生成される。この分光反射率映像は、このままでは色を呈しない。すなわち、ある分光反射率を有する物体の表面に何らかの光が当たったときに、この光の分光分布に分光反射率が乗じられたエネルギーとして反射してきたスペクトルが光として色を呈するのであって、分光反射率映像を観ることはできない。そこで、観察環境照明光の分光スペクトルに関する情報が色変換処理装置100に入力されて分光反射率映像に乗じられる。この処理は「レンダリング」と称され、このレンダリングの処理をする際に適用される観察環境照明光は「レンダリング照明光」と称される。このように照明変換の処理をした結果、被写体が観察環境照明光で照明された状態を再現する映像、すなわち被写体の分光放射輝度を表す映像が生成される。この照明変換の技術に関しては非特許文献1に開示されているので、本明細書中ではその説明を省略する。以下では本発明の理解を容易にするために、スペクトル映像信号は6バンドからなるカラー映像信号であるものとして説明をするが本発明をこれに限定するものではない。
【0022】
(1−b) 多バンド測色値映像信号
多バンド測色値映像信号は、4バンド以上、望ましくは6バンド、またはそれ以上のバンドからなるカラー映像信号に、撮影に用いたカメラのプロファイル(カメラの分光感度特性、トーン特性、およびバイアス値等)と、この多バンドカラー映像信号からXYZの測色値映像信号を生成するための情報とが付加されている。以下では多バンドカラー映像信号からXYZの測色値映像信号を生成するための情報を「D2C」情報と称する。このD2Cとは、入力される映像信号(ディジタルデータ)から測色値(Colorimetry)を求めることに由来して名付けられたもので、「Data to Colorimetry」、すなわち「D to C」を意味している。
【0023】
上記多バンド測色値映像信号が入力された場合には、多バンド測色値映像信号に対して上述したカメラのプロファイルが適用され、多バンド測色値映像信号中からデバイス依存性が除去される。この多バンド測色値映像信号は、上述した照明変換の技術を用いずに測色値表示をするのが一般的である。すなわち、多バンド測色値映像信号から求められるXYZの三刺激値を再現するように表示がなされるのが一般的である。しかし、観察者が観察者メタメリズムを少しでも軽減したいと望む場合や、上述した照明変換の技術を用いた表示を望む場合には、擬似的にではあるがスペクトル近似表示を行うこともできる。以下では多バンド測色値映像信号に基づいてスペクトル近似表示を行う技術を「疑似スペクトル近似表示」と称する。
【0024】
多バンド測色値映像信号にはD2R情報が付加されていないので、直接的に被写体の分光反射率映像を生成することはできない。そこで、撮影照明光の分光スペクトルを推定ないしは仮定する。その後、上述した照明変換の技術を用いて被写体の分光放射輝度を表す映像を生成して表示する。あるいは、推定ないしは仮定した分光スペクトルを有する撮影照明光で被写体が照明された場合の被写体の分光放射輝度を求めて映像を生成することも可能である。上記のように撮影照明光の分光スペクトルを推定ないしは仮定して表示を行うことから「疑似スペクトル近似表示」と称する。この疑似スペクトル近似表示によれば、必ずしも正確ではないが見た目が自然に近い映像を得ることができる。以下では本発明の理解を容易にするために、多バンド測色値映像信号は6バンドからなるカラー映像信号であるものとして説明をするが本発明をこれに限定するものではない。
【0025】
(1−c) 測色値映像信号
測色値映像信号は、被写体の分光放射輝度分布を表す三刺激値XYZで表される映像信号、あるいはL*a*b*、L*u*v*、L*c*h*等の表色系で表される映像信号を含む。デバイス依存性が最小化されていて、かつ色空間を広くとることが可能な点で従来のRGB映像信号に比して優れるが、スペクトルの情報は失われているので観察者メタメリズムの問題は生じうる。なお、映像入力装置、映像信号処理装置、モニタ表示装置等の各デバイス間でカラーマッチングがとられたシステムで授受されるsRGB映像信号も広義には測色値映像信号であるとみなすことができる。以下では本発明の理解を容易にするために、測色値映像信号はXYZのカラー映像信号であるものとして説明をするが本発明をこれに限定するものではない。
【0026】
(1−d) RGB映像信号
従来のカメラ信号のように、色管理がなされていない所謂デバイス依存な映像信号である。RGB映像信号としては、Y/C分離アナログコンポジットビデオ信号、アナログまたはディジタルのYUVコンポーネントビデオ信号、アナログまたはディジタルのコンポーネントRGBビデオ信号などを含む、RGBの各値を定義可能なアナログ、ディジタルの映像信号がある。以下では本発明の理解を容易にするために、RGB映像信号はディジタルのコンポーネントRGBビデオ信号であるものとして説明をするが本発明をこれに限定するものではない。
【0027】
2. モニタ表示装置の種類

(2−a) 多原色モニタ
多原色モニタは、4以上、望ましくは6、またはそれ以上の原色による映像を表示可能なモニタ装置である。多原色モニタの表示特性を表すディスプレイ特性情報として、原色スペクトルデータ、バイアススペクトルデータ、階調データがあり、これらのデータを何らかの手段によって色変換処理装置100に入力することにより、色変換処理装置100は後で詳細に説明するように、モニタ表示装置140に入力する前の映像信号に対してモニタ表示特性補正処理を行う。これにより、多原色モニタの表示特性に依存しない、より正確な色再現の映像表示を実現することが可能となる。多原色モニタには、上述したスペクトル映像信号、多バンド測色値映像信号、測色値映像信号、およびRGB映像信号のいずれかに基づく映像を表示することが可能である。以下では本発明の理解を容易にするために、多原色モニタはRGBOCP(赤、緑、青、橙、シアン、紫)を原色とする6原色モニタであるものとして説明をするが本発明をこれに限定するものではない。
【0028】
(2−b) 測色値モニタ
測色値モニタは、XYZ等、三刺激値で表される映像信号を入力して測色値表示をすることが可能なモニタである。測色値表示とは、被写体の分光放射輝度から求められる測色値を再現するように映像を表示することであって、被写体の分光放射輝度から求められる三刺激値とモニタに表示される映像の三刺激値とが略一致するように表示することを意味する。この観点から、測色値モニタはXYZの映像信号を入力可能なモニタに限られず、XYZ値から一義的に求められる値(信号)に変換して表示可能なモニタも含まれる。sRGBモニタのようにデバイス依存性のない表示が可能なモニタ、あるいはキャリブレーションをしたRGBモニタであって、入力されるsRGB等の映像信号に対してデバイス依存性のない表示が可能なモニタも、広義には測色値モニタであると定義することができる。測色値モニタには、測色値映像信号またはRGB映像信号に基づく映像を表示することが可能である。以下では本発明の理解を容易にするために、測色値モニタはXYZの測色値映像信号を入力可能なモニタであるものとして説明をするが本発明をこれに限定するものではない。
【0029】
ところで、測色値モニタは一般的に、その内部にモニタ表示特性補正用のテーブルを有していて、入力された測色値映像信号に対してモニタ表示特性補正の処理をした上で表示をする。測色値モニタがモニタ表示特性補正機能を有していない場合には、測色値モニタの表示特性に関連する情報をモニタキャリブレーション等の方法によって取得し、その情報に基づいて色変換処理装置100がモニタ表示特性補正の処理をして測色値モニタに映像信号を出力するように構成することも可能である。以下の説明では、測色値モニタが、その内部にモニタ表示特性補正用のテーブルを有していて、入力された測色値映像信号に対してモニタ表示特性補正の処理をした上で表示をするものとして説明をするが、本発明をこれに限定するものではない。
【0030】
(2−c) RGBモニタ
RGBモニタは、従来からあるテレビやPC(パーソナルコンピュータ)用モニタ等、キャリブレーション機能を有しておらず、デバイス依存性のない表示をすることのできない、RGB3原色のモニタを意味する。RGBモニタにはコンポジットビデオ信号、コンポーネントビデオ信号を含むRGB映像信号に基づく映像のみを表示することが可能である。以下では本発明の理解を容易にするために、RGBモニタはディジタルのコンポーネントRGBビデオ信号を入力可能なモニタであるものとして説明をするが本発明をこれに限定するものではない。
【0031】
3. 表示される映像の種類

(3−a) 多原色モニタに対して表示される映像
モニタ表示装置140として多原色モニタが色変換処理装置100に接続されている場合について説明する。
【0032】
(3−a−1) スペクトル近似再現表示
入力映像信号がスペクトル映像信号の場合、色変換処理装置100はスペクトル映像信号に対して上述したカメラのプロファイルを適用し、スペクトル映像信号中からカメラのデバイス依存性を除去する。続いて、D2R情報、観察環境照明光の情報に基づいて照明変換の処理を行い、モニタ表示特性補正の処理を行ってモニタ表示装置140にスペクトル近似再現表示のための映像信号(RGBOCP信号)を出力する。
【0033】
(3−a−2) 多バンド測色値映像信号に基づく疑似スペクトル近似表示
これは、入力映像信号が多バンド測色値映像信号であるがユーザ(モニタ表示装置に表示される映像を観察する者)が疑似スペクトル近似表示を望んだ場合の表示形態である。色変換処理装置100は、多バンド測色値映像信号に対して上述したカメラのプロファイルを適用して補正後の多バンド測色値映像信号を生成し、D2C情報を適用して被写体の多バンド測色値映像を生成する。続いて色変換処理装置100は、上記のようにして求められた多バンド測色値映像信号から被写体の分光反射率を推定(あるいは仮定)する。色変換処理装置100は、被写体の推定された分光反射率、観察環境照明光の情報に基づいて照明変換の処理を行い、モニタ表示特性補正の処理を行ってモニタ表示装置140に疑似スペクトル近似表示のための映像信号(RGBOCP信号)を出力する。
【0034】
(3−a−3) XYZ測色値映像信号に基づく疑似スペクトル近似表示
入力映像信号がXYZ測色値映像信号であるがユーザが疑似スペクトル近似表示を望んだ場合、色変換処理装置100はXYZ測色値映像信号から被写体の分光反射率を推定(あるいは仮定)する。色変換処理装置100は、被写体の推定された分光反射率、観察環境照明光の情報に基づいて照明変換の処理を行い、モニタ表示特性補正の処理を行ってモニタ表示装置140に疑似スペクトル近似表示のための映像信号(RGBOCP信号)を出力する。
【0035】
(3−a−4) 多バンド測色値映像信号に基づく測色値表示
色変換処理装置100は、入力される多バンド測色値映像信号に対してカメラのプロファイルを適用し、D2C情報を適用して一旦XYZ測色値映像信号を生成する。その後色変換処理装置100は、XYZ測色値をもとに、モニタ表示装置140に入力するための6原色(RGBOCP)に変換する処理を行い、モニタ表示特性補正の処理を行ってモニタ表示装置140に多バンド測色値表示のための映像信号(RGBOCP信号)を出力する。この多バンド測色値に基づく測色値表示は、ユニキャストのような形態で可能性の表示形態である。例えば、クライアント(映像信号を受信する側)から観察環境照明情報が映像信号送出サーバに送られて、サーバ側で照明変換の処理まで行い、その処理結果が多バンド測色値映像信号としてクライアント側に送出される。
【0036】
(3−a−5) XYZ測色値映像信号に基づく測色値表示
色変換処理装置100は、入力されるXYZ測色値映像信号をもとに、モニタ表示装置140に入力するための6原色(RGBOCP)に変換する処理(3−6変換処理)を行い、モニタ表示特性補正の処理を行ってモニタ表示装置140にXYZ測色値表示のための映像信号(RGBOCP信号)を出力する。この3−6変換処理に際しては、モニタプロファイル情報などに基づいて予め生成されるLUT(ルックアップテーブル)が参照される。
【0037】
(3−a−6) 多バンドまたはXYZ測色値映像信号に基づくRGB表示
色変換処理装置100は、入力される映像信号が多バンド測色値映像信号である場合には、入力される多バンド測色値映像信号に対してカメラのプロファイルを適用し、D2C情報を適用してXYZ測色値映像信号を生成する。色変換処理装置100はさらに、XYZ測色値映像信号に対して3×3の変換マトリクスを乗じてRGB映像信号を生成する。あるいは、色変換処理装置100は、入力される映像信号がXYZ測色値映像信号である場合には、入力されるXYZ測色値映像信号に対して3×3の変換マトリクスを乗じてRGB映像信号を生成する。その後、色変換処理装置100は、以下の計算式を用いて上記のように生成したRGB映像信号からモニタ表示装置140に出力するための映像信号(RGBOCP信号)を生成する。すなわち、上記のように生成されたRGB映像信号のRGB値をそれぞれr,g,bとし、出力すべきRGBOCP映像信号のRGBOCP値をそれぞれR,G,B,O,C,Pとしたときに、

R=r/2 , O=r/2
G=g/2 , C=g/2
B=b/2 , P=b/2

で求めることが可能である。無論、上記の式は一例を示したものにすぎず、適宜の式、変換マトリクス、あるいはLUTを用いてr,g,bからR,G,B,O,C,Pの各値を求めることができる。色変換処理装置100は、上述のようにして得られた映像信号(RGBOCP信号)にモニタ表示特性補正の処理を行ってモニタ表示装置140にRGB映像信号を表示するための映像信号を出力する。
【0038】
(3−a−7) RGB映像信号に基づくRGB表示
RGBOCPを原色として有するモニタ表示装置にRGB映像信号に基づく表示をする場合、色変換処理装置100は、以下の計算式を用いて入力RGB映像信号からモニタ表示装置140に出力するための映像信号(RGBOCP信号)を生成する。すなわち、入力されるRGB映像信号のRGB値をそれぞれr,g,bとし、出力すべきRGBOCP映像信号のRGBOCP値をそれぞれR,G,B,O,C,Pとしたときに、

R=r/2 , O=r/2
G=g/2 , C=g/2
B=b/2 , P=b/2

で求めることが可能である。無論、上記の式は一例を示したものにすぎず、適宜の式、変換マトリクス、あるいはLUTを用いてr,g,bからR,G,B,O,C,Pの各値を求めることができる。色変換処理装置100は、上述のようにして得られた映像信号(RGBOCP信号)にモニタ表示特性補正の処理を行ってモニタ表示装置140にRGB映像信号を表示するための映像信号を出力する。
【0039】
(3−b) 測色値モニタに対して表示される映像
モニタ表示装置140として測色値モニタが色変換処理装置100に接続されている場合について説明する。
【0040】
(3−b−1) スペクトル映像信号に基づく測色値表示
入力映像信号がスペクトル映像信号の場合、色変換処理装置100はスペクトル映像信号に対して上述したカメラのプロファイルを適用し、スペクトル映像信号中からカメラのデバイス依存性を除去する。色変換処理装置100は続いて、D2R情報、観察環境照明光の情報に基づいて照明変換の処理を行い、等色関数を乗じてXYZ測色値映像信号を生成し、測色値モニタに出力する。
【0041】
(3−b−2) 多バンド測色値映像信号に基づく測色値表示
色変換処理装置100は、入力される多バンド測色値映像信号に対してカメラのプロファイルを適用し、D2C情報を適用してXYZ測色値映像信号を生成し、測色値モニタ出力する。
【0042】
(3−b−3) XYZ測色値映像信号に基づく測色値表示
色変換処理装置100は、入力されるXYZ測色値映像信号に対して特に処理をすることなく測色値モニタに出力する。
【0043】
(3−b−4) RGB映像信号に基づくRGB表示
XYZモニタ表示装置にRGB映像信号に基づく表示をする場合、色変換処理装置100は、入力RGB映像信号に3×3の変換マトリクスを乗じてモニタ表示装置140に出力するための映像信号(XYZ信号)を生成する。なお、この処理でRGB映像信号からXYZ信号が生成されるが、元のRGB映像信号は測色値映像信号ではないので、得られるXYZ信号も測色値ではない。
【0044】
(3−c) RGBモニタに対して表示される映像
モニタ表示装置140としてRGBモニタが色変換処理装置100に接続されている場合について説明する。
【0045】
(3−c−1) スペクトル映像信号に基づくRGB表示
入力映像信号がスペクトル映像信号の場合、色変換処理装置100はスペクトル映像信号に対して上述したカメラのプロファイルを適用し、スペクトル映像信号中からカメラのデバイス依存性を除去する。色変換処理装置100は続いて、D2R情報、観察環境照明光の情報に基づいて照明変換の処理を行い、等色関数を乗じてXYZ測色値映像信号を生成する。色変換処理装置100はさらに、XYZ測色値映像信号に対して3×3の変換マトリクスを乗じてRGB映像信号を生成し、モニタ表示装置140に出力する。このとき色変換処理装置100は、モニタ表示特性を補正するためのLUT変換処理をRGB映像信号に施してからモニタ表示装置140に出力してもよい。
【0046】
(3−c−2) 多バンド測色値映像信号に基づくRGB表示
色変換処理装置100は、入力される多バンド測色値映像信号に対してカメラのプロファイルを適用し、D2C情報を適用してXYZ測色値映像信号を生成する。色変換処理装置100はさらに、XYZ測色値映像信号に対して3×3の変換マトリクスを乗じてRGB映像信号を生成し、モニタ表示装置140に出力する。このとき色変換処理装置100は、モニタ表示特性を補正するためのLUT変換処理をRGB映像信号に施してからモニタ表示装置140に出力してもよい。
【0047】
(3−c−3) XYZ測色値映像信号に基づくRGB表示
色変換処理装置100は、入力されるXYZ測色値映像信号に対して3×3の変換マトリクスを乗じてRGB映像信号を生成し、モニタ表示装置140に出力する。このとき色変換処理装置100は、モニタ表示特性を補正するためのLUT変換処理をRGB映像信号に施してからモニタ表示装置140に出力してもよい。
【0048】
(3−c−4) RGB映像信号に基づくRGB表示
色変換処理装置100は、入力されるRGB映像信号に対して特に処理をすることなくモニタ表示装置140に出力する。あるいは、色変換処理装置100は、モニタ表示特性を補正するためのLUT変換処理をRGB映像信号に施してからモニタ表示装置140に出力してもよい。
【0049】
4. 映像の表示形態が予定されていたものと異なるものとなる例

以上では、色変換処理装置100に接続されうるモニタ表示装置の種類、入力されうる映像信号の種類について説明し、さらに色変換処理装置100に入力される映像信号の種類と、接続されるモニタ表示装置の種類との組み合わせに応じてどのような表示形態で映像が表示されるかについて説明した。しかし、以下に説明するような状況によっては、必ずしも以上に説明した表示形態の映像表示が行われない場合がある。そのような状況となるのは、モニタ表示装置140に表示される映像にノイズが発生する場合、あるいは色差が大きくなる場合等、表示映像の品位が低下する可能性を有している場合である。
【0050】
最初に、映像にノイズが発生する場合について説明する。本明細書中で説明するノイズとは、モニタ表示装置に表示される映像中に認識される、不自然な階調の飛び(トーンジャンプ)によって生じるブロックノイズ状のものを意味している。表示される映像が静止画である場合には、階調が緩やかに変化する部分でこのノイズが認識されることがある。表示される映像が動画である場合には、ある瞬間に表示される画像(フレーム)中の階調が緩やかに変化する部分でこのノイズが認識されることがある。また、時間的に隣接する画像間で同じ、あるいは近接する画素位置において色が比較的緩やかに変化する場合にフリッカ(画面のちらつき)のようなノイズとして感じられることがある。
【0051】
上述したノイズは、表示される色によって発生のしやすさが異なる。色変換処理装置100は、後で詳細に説明するように、入力される映像信号に対して色変換の処理をし、モニタ表示装置140で表示する色がノイズを発生しうる色であるかどうかを逐次判定して、ノイズを発生しうる色であると判定されるときには異なる色変換方法で色変換の処理を行い、生成した処理済み表示映像信号をモニタ表示装置140に出力する。
【0052】
続いて色差が大きくなる場合について説明する。測色値映像信号に基づく映像表示を行う場合、モニタ表示装置の仕様によっては、測色値映像信号によって定義される色とモニタ表示装置で再現される色との間に生じる色差が大きくなることがある。その原因の一つがモニタ表示装置で再現可能な色の色域の広さにある。すなわち、測色値映像信号によって定義される色が、モニタ表示装置で再現可能な色域(ガマット)から外れていると、色差を生じる。この色差が所定の大きさを超すと、表示される映像にノイズが目立つようになる。また、別の原因としては、測色値映像信号とモニタ表示装置で再現される映像とで階調の分解能(量子化の分解能)に違いがある場合に色差を生じることがある。例えば測色値映像信号が12ビットのXYZ信号である一方、モニタ表示装置がXYZ各々に対して8ビットの分解能しか有していない場合に色差を生じる場合がある。以上に説明した色差が所定の大きさを超す場合には、測色値表示に代えてRGB表示をすることが望ましい。
【0053】
ここで、入力映像信号の種類と接続されるモニタ表示装置の種類との組み合わせに基づいて予め決められている、スペクトル近似再現表示、疑似スペクトル近似表示、測色値表示等の表示形態に対して、上述したノイズや色差の発生が予測されるために異なる表示形態で表示を行う例について説明する。
【0054】
(4−a) 多原色モニタに対して表示される映像
モニタ表示装置140として多原色モニタが色変換処理装置100に接続されている場合について説明する。モニタ表示装置140として多原色モニタが色変換処理装置100に接続されている場合、モニタ表示装置140には以下に示す順に表示方式の優先順位が定められている。すなわち、
1)スペクトル近似再現表示
2)多バンド測色値映像信号に基づく疑似スペクトル近似表示
3)XYZ測色値映像信号に基づく疑似スペクトル近似表示
4)多バンド測色値映像信号に基づく測色値表示
5)XYZ測色値映像信号に基づく測色値表示
6)多バンドまたはXYZ測色値映像信号に基づくRGB表示
7)RGB映像信号に基づくRGB表示
である。色変換処理装置100は、入力映像信号の種類と、ノイズや色差の発生可能性をみながら、上述した優先順位に従って、可能な表示方式中で優先順位のより高いものから順に表示を試みるように構成されている。
【0055】
(4−a−1) 入力映像信号:スペクトル映像信号
入力映像信号がスペクトル映像信号である場合、通常は上述した表示優先順位に従い、スペクトル近似再現表示をするべく、色変換の処理がなされる。しかし、ノイズの発生が予測される場合には、色変換処理装置100は多バンド測色値に基づく測色値表示を試みる。それでも表示される映像の品位を低下させるノイズの発生あるいは色差の発生が予測される場合には、RGB表示に切り替える。この場合、6バンドのスペクトル映像信号からXYZの測色値信号を生成し、XYZの測色値信号からRGB信号を生成し、このRGB信号からRGBOCPの表示映像信号を生成する。RGB信号からRGBOCPの表示映像信号を生成する方法としては先に(3−a−7)で説明した方法が利用可能である。
【0056】
(4−a−2) 入力映像信号:多バンド測色値映像信号
入力映像信号が多バンド測色値映像信号で、ユーザが疑似スペクトル近似表示を希望する場合には多バンド測色値に基づく疑似スペクトル近似表示をするべく、色変換の処理がなされる。しかし、ノイズの発生が予測される場合には、色変換処理装置100は多バンド測色値に基づく測色値表示を試みる。この多バンド測色値に基づく測色値表示は、入力映像信号が多バンド測色値映像信号でユーザが上記疑似スペクトル近似表示を希望しない場合の表示形態でもある。この多バンド測色値に基づく測色値表示をしようとした結果、表示される映像の品位を低下させるノイズの発生あるいは色差の発生が予測される場合には、RGB表示に切り替える。この場合、多バンドの測色値映像信号からXYZの測色値信号を生成し、XYZの測色値信号からRGB信号を生成し、このRGB信号からRGBOCPの表示映像信号を生成する。RGB信号からRGBOCPの表示映像信号を生成する方法としては先に(3−a−7)で説明した方法が利用可能である。
【0057】
(4−a−3) 入力映像信号:XYZ測色値映像信号
入力映像信号がXYZ測色値映像信号で、ユーザが疑似スペクトル近似表示を希望する場合にはXYZ測色値に基づく疑似スペクトル近似表示をするべく、色変換の処理がなされる。しかし、ノイズの発生が予測される場合には、色変換処理装置100はXYZ測色値に基づく測色値表示を試みる。このXYZ測色値に基づく測色値表示は、入力映像信号がXYZ測色値映像信号でユーザが上記疑似スペクトル近似表示を希望しない場合の表示形態でもある。このXYZ測色値に基づく測色値表示を試みた結果、表示される映像の品位を低下させるノイズの発生あるいは色差の発生が予測される場合には、RGB表示に切り替える。この場合、XYZの測色値信号からRGB信号を生成し、このRGB信号からRGBOCPの表示映像信号を生成する。RGB信号からRGBOCPの表示映像信号を生成する方法としては先に(3−a−7)で説明した方法が利用可能である。
【0058】
(4−b) 測色値モニタに対して表示される映像
モニタ表示装置140として測色値モニタが色変換処理装置100に接続されている場合について説明する。モニタ表示装置140として測色値モニタが色変換処理装置100に接続されている場合、モニタ表示装置140には以下に示す順に表示方式の優先順位が定められている。すなわち、
1)スペクトル映像信号に基づく測色値表示
2)多バンド測色値映像信号に基づく測色値表示
3)XYZ測色値映像信号に基づく測色値表示
4)スペクトル映像信号、多バンド測色値映像信号、またはXYZ測色値映像信号に基づくRGB表示
5)RGB映像信号に基づくRGB表示
である。色変換処理装置100は、入力映像信号の種類と、ノイズや色差の発生可能性をみながら、上述した優先順位に従って、可能な表示方式中、優先順位のより高いものから順に表示を試みるように構成されている。
【0059】
(4−b−1) 入力映像信号:スペクトル映像信号
入力映像信号がスペクトル映像信号である場合、通常は上記(3−b−1)で説明した手順に従ってXYZの測色値表示をするべく色変換の処理を行う。ここで表示される映像の品位を低下させるノイズの発生あるいは色差の発生が予測される場合には、上記手順で得られたXYZ測色値信号からRGB表示映像信号を生成する。
【0060】
(4−b−2) 入力映像信号:多バンド測色値映像信号
入力映像信号が多バンド測色値映像信号である場合、通常は上記(3−b−2)で説明した手順に従ってXYZの測色値表示をするべく色変換の処理を行う。その結果、表示される映像の品位を低下させるノイズの発生あるいは色差の発生が予測される場合には、上記手順で得られたXYZ測色値信号からRGB表示映像信号を生成する。
【0061】
(4−b−3) 入力映像信号:XYZ測色値映像信号
入力映像信号がXYZ測色値映像信号である場合、通常は特に色変換の処理を行わない。しかし、表示される映像の品位を低下させるノイズの発生あるいは色差の発生が予測される場合には、XYZ測色値信号からRGB表示映像信号を生成する。
【0062】
以上で説明した、表示形態を予定していたものと異なるものとする処理は、表示される映像全体(動画であればフレーム画像全体)に適用することができる。あるいは、画素ごとに上述したノイズ、色差の発生を予測して、表示形態を画素ごとに切り替えるものであってもよい。
【0063】
ここで再び図1を参照し、色変換処理装置100の構成について説明をする。色変換処理装置100は、先にも説明したようにセットトップボックスとして実施することができるが、コンピュータと、コンピュータ上で実行されるソフトウェアまたはファームウェアとによって実施することも可能である。あるいは、モニタ表示装置の中に内蔵されるユニットとして実施することも可能である。この場合、モニタ表示装置の種類は1種類に限られるので、色変換処理装置100は上述した色変換の処理を行う際に、接続されているモニタ表示装置の種類の判定は行わない。
【0064】
色変換処理装置100は、信号入力部102と、信号分離部104と、特性情報収集部106と、色変換処理方法選択部112と、色変換処理実行部114と、照明特性入力部116と、モニタ情報入力部118とを有する。信号入力部102は、入力映像信号を映像信号出力装置150から受けて信号分離部104に送る。信号分離部104は、入力映像信号をプロファイルデータと映像信号とに分離し、プロファイルデータを特性情報収集部106へ、映像信号を色変換処理実行部114へ送出する。このプロファイルデータには、入力映像信号の種類に応じた様々なデータが含まれている。例えば、スペクトル映像信号中には撮影照明スペクトル情報、カメラのプロファイル、D2R情報などがプロファイルデータとして含まれている。また、多バンド測色値映像信号中にはカメラのプロファイル、D2C情報などがプロファイルデータとして含まれている。
【0065】
特性情報収集部(色変換用特性情報入力部)106は、プロファイル抽出部120とアルゴリズムモデル判定部122とを有する画像特性情報収集部108と、観察環境情報収集部110とを有する。プロファイル抽出部120は、信号分離部104から受けたプロファイルデータ中から撮影照明スペクトル情報、カメラのプロファイル、D2R情報などの画像特性情報(色変換用特性情報)を抽出してアルゴリズムモデル判定部122に送る。アルゴリズムモデル判定部122は、プロファイル抽出部120から受けたデータをもとに、入力映像信号に対してどのような色変換の処理が可能か、すなわちどのようなアルゴリズムモデルが適用可能かを判断し、その判断結果とともに上記データを色変換処理方法選択部112に出力する。例えば、スペクトル再現を行うアルゴリズムモデルでは、プロファイル中にD2R、あるいはD2C情報が含まれる。従って、プロファイルにこうしたD2R、あるいはD2C情報が含まれている場合には、入力された映像信号に対するアルゴリズムモデルはスペクトル近似再現表示、あるいは疑似スペクトル近似表示のためのアルゴリズムモデルであると判定される。スペクトル再現アルゴリズムモデルに必要な情報は揃っていないが、被写体の測色値を推定する情報が揃っている場合には、測色値映像表示のためのアルゴリズムモデルである、と判定される。そして、分光放射輝度や測色値を算出することのできる情報が含まれていない場合には、RGB表示のためのアルゴリズムモデルである、と判定される。
【0066】
モニタ情報入力部(表示特性情報入力部)118には、色変換処理装置100に接続されるモニタ表示装置140で表示可能な映像の種類、ディスプレイプロファイル等のモニタ特性情報(表示特性情報、色変換用特性情報)が入力される。ディスプレイプロファイル中にはモニタ表示装置140の原色スペクトル、バイアススペクトルデータ、TRC(Tone Reproduction Curve)データ等が含まれる。モニタ特性情報は、メモリカードやCD−ROM等の記憶媒体に記録されていて、その情報をモニタ情報入力部118で読み取り可能に構成することが可能である。あるいは、接続されるモニタ表示装置のメーカや製品名を特定可能なコード等の情報を、色変換処理装置100の本体に設けられる操作パネルやリモコン装置等をユーザが操作して入力することが可能である。その場合、色変換処理装置100は、その内部に保管されているデータベースから、上記のようにして入力されたコード等の情報に対応するモニタ特性情報を取り出すことが可能である。あるいは、入力されたコード等の情報に対応するモニタ特性情報を提供可能なインターネットサイトに色変換処理装置100がアクセスして必要な情報を入力するように構成されるものであってもよい。また、モニタ表示装置140自体がモニタ特性情報を記憶していて、そのモニタ特性情報をモニタ表示装置140から色変換処理装置100に送出するように構成されていてもよい。
【0067】
照明特性入力部(観察環境照明光特性入力部)116には、観察環境照明光の分光スペクトルを特定可能な情報、例えば観察環境に設置される照明装置のメーカや製品名を特定可能なコード等の観察環境照明光情報が入力される。そして色変換処理装置100内に保管されているデータベースから、入力された観察環境照明光情報に対応するスペクトルを取り出すことが可能である。あるいは、入力された観察環境照明光情報に対応するスペクトルを提供可能なインターネットサイトに色変換処理装置100がアクセスして必要な情報を入力するように構成することも可能である。観察環境照明光情報の入力方法に関しては、色変換処理装置100の本体に設けられる操作パネルやリモコン装置等をユーザが操作して入力することが可能である。また、観察環境照明光情報が記録されたメモリカードやCD−ROM等の記憶媒体を色変換処理装置100に装着することにより、記憶媒体内の情報が自動的に読み込まれるように構成されていてもよい。さらに、観察環境照明光の分光スペクトルをユーザが任意に設定可能としてもよい。この場合、現状で設定されている観察環境照明光の分光スペクトルをグラフ表示し、ユーザがマウスやリモコン装置等を操作して、この分光スペクトルのプロファイルを変更可能としてもよい。
【0068】
以上に加えて、あるいは別法として、観察環境照明光の分光放射輝度を測定可能な分光測光部(観察環境照明光特性計測部)を設けて、分光測光部から出力される測定結果が照明特性入力部116に入力される構成とすることも可能である。分光測光部を設けることにより、窓を介して入射する外光の分光特性も、表示する映像の色特性に反映することが可能となる。また、異なる種類の照明光が混在する観察環境において、それらの照明光の点灯・消灯状態や光量比等に応じて、観察環境照明光の影響をより正確に反映した表示をすることが可能となり、さらに電球や蛍光管等から発せられる光の分光放射輝度が時間経過に伴って変化するのにも対応することが可能となる。
【0069】
分光測光部の構成としては、乳白色のドーム状受光部の中に光ファイバの入射端を固定し、この光ファイバの出射端近くにコリメーションレンズ、スリットを配設して光ファイバから出射する光を細い平行光とし、その細い平行光をグレーティングに入射させて、グレーティングで回折された(分光された)光をラインセンサまたはエリアセンサに導くものとすることが可能である。あるいは、RGBまたはYCMの光に対して感度を有する受光部を有する測光部を用いて、観察環境照明光の分光放射輝度を簡易的に計測するものであってもよい。
【0070】
以上のようにして得られたモニタ特性情報、観察環境スペクトル等の情報は、観察環境情報収集部110を経て色変換処理方法選択部112に送られる。色変換処理方法選択部112は、特性情報収集部106から入力された情報に基づいて、可能な色変換方法を抽出し、予め定められた優先順位に従って、その中から最適の色変換方法を選択する。色変換処理方法選択部112は、上述のように選択した最適の色変換方法、可能な色変換方法を、色変換処理に際して必要となるD2R、D2C等の情報とともに色変換処理実行部114に出力する。
【0071】
色変換処理実行部114の内部構成を概略的に示すブロック図である図2を参照し、色変換処理実行部114の詳細について説明をする。色変換処理実行部114は、ノイズ発生波形情報記憶部202と、波形比較・色差判定部204と、色変換処理部206とを有する。色変換処理部206は、色変換処理方法選択部112から入力した色変換方法に基づいて映像信号に色変換の処理を施し、その処理結果を波形比較・色差判定部204に出力する。波形比較・色差判定部204にはまた、色差判定に際して必要となる、モニタ表示装置の性能に関連する情報が観察環境情報収集部110から入力される。波形比較・色差判定部204は、ノイズ発生波形情報記憶部202に記憶されるノイズ発生波形情報を参照し、色変換処理部206から出力された色変換結果がノイズを生じやすいものであるか否かを判定する。波形比較・色差判定部204はまた、色変換処理部206から受けた信号が測色値映像信号である場合には、色差も判定する。
【0072】
ここでノイズ発生波形情報記憶部202に記憶されるノイズ発生波形情報について説明する。例えば6原色表示装置に関するノイズ発生波形情報はテーブルとして次のような情報が記録されたものとすることができる。すなわち、標準的なカラーチャートとして一般的に用いられるマクベスチャート(登録商標)を構成する24色のカラーパッチそれぞれの色を、6原色の表示装置に多原色スペクトル表示すべく映像信号を出力した場合の、各パッチのノイズの程度(ノイズ発生の傾向)を登録する。例えば、各パッチの色を表すスペクトルの分布が微妙に変化したときの、表示映像信号での変化の度合いを、6つの原色それぞれの信号値の変化の二乗和のかたちでテーブルに記録する。
【0073】
具体的に説明すると、あるカラーパッチの色Ci(i=1,2,…,24)を構成する6つの原色の強度をEi1,Ei2,…,Ei6で表すと、24色のそれぞれは、

i=f[Ei1,Ei2,Ei3,Ei4,Ei5,Ei6

で表すことができる。
このCiをそれぞれEi1,Ei2,Ei3,Ei4,Ei5,Ei6で偏微分して、

∂Ci/∂Ei1, ∂Ci/∂Ei2,∂Ci/∂Ei3
∂Ci/∂Ei4,∂Ci/∂Ei5,∂Ci/∂Ei6

を求め、それらの二乗和を求めてテーブルに記録する。記録されている二乗和が大きい、ということは、そのカラーパッチの色は、スペクトル成分の変化に敏感な色である、ということであり、トーンジャンプが発生しやすい色であると考えることができる。トーンジャンプが発生すればノイズとして目立ちやすい、ということである。
【0074】
同様に、24色のカラーパッチの測色値を疑似スペクトル近似で再現しようとした場合、あるいは測色値で再現しようとした場合のそれぞれについてもテーブルに記録しておく。
【0075】
波形比較・色差判定部204は、色変換処理部206から出力された色変換結果を、ノイズ発生波形情報記憶部202に記憶される上記テーブルと比較し、ノイズ発生の有無を予測する。ここで、6バンドのスペクトル映像の再現を行う際に、スペクトル空間の次元数が80(380nmから780nmまでの可視光の帯域を5nm間隔で分割)である場合を例にとって説明をする。入力映像信号に含まれるD2R情報は、6次元の信号を例えば80次元に変換する行列とすることができる。入力映像信号の各バンドが8ビット階調を有するものである場合、信号は0から255まで(2の8乗通り)の値をとりうる。6バンドの入力映像信号のとりうる値の組み合わせは、256の6乗=248通りとなる。
【0076】
これらのすべてにD2Rを乗じた結果得られる反射率に観察照明スペクトルを乗じて得られたスペクトル波形について、上記24色のカラーパッチのスペクトルと比較を行う。このときに行う比較方法としては、NRMSE(Normalized Root Mean Square Error)を利用可能である。NRMSEで評価して、最も近い波形と判定されたカラーパッチのノイズの程度を合計して、これをノイズ発生量の予測値とすることができる。
【0077】
上記の手順を、スペクトル近似再現表示の場合、多バンド測色値に基づく疑似スペクトル近似表示の場合、XYZ測色値に基づく疑似スペクトル近似表示の場合、そしてXYZ測色値に基づく測色値表示をする場合、それぞれに対してノイズの発生量を求める。また、測色値映像信号に対しては色差を求める。そして、求められたノイズ、色差の大きさに基づいて、ノイズ、色差の大きさが許容範囲に収まる表示方法中、優先順位の最も高い表示方法(色再現性能の最も高い表示方法)を選択する。許容範囲については、ユーザが適宜設定可能に構成することが可能である。このとき、デフォルト値が予め設定されていて、ユーザが許容範囲変更の操作をしない場合にはデフォルトの値が適用されるものであってもよい。なお、どの表示方法においても多かれ少なかれノイズの発生が予測され、表示方式の違いによるノイズレベルの差があまり大きくない場合には優先順位のより高い(色再現性能のより高い)表示方法を選択する、という処理を波形比較・色差判定部204が行うようにしてもよい。
【0078】
波形比較・色差判定部204は以上に説明したように、色変換処理部206から受けた処理済み映像信号に対してノイズ、および必要に応じて色差の判定をし、その判定結果を色変換処理部206に送出する。色変換処理部206は、波形比較・色差判定部204から送出された上記判定結果に基づき、ノイズおよび色差の発生が予測されない場合には処理済みの表示映像信号をそのままモニタ表示装置140に出力する。一方、ノイズ、色差発生が予測される場合には、色変換処理方法を変更して入力映像信号を処理し、処理済み表示映像信号をモニタ表示装置140に出力する。
【0079】
図3から図13は、色変換処理装置100で実行される上述した色変換の処理手順の一例を示すフローチャートである。以下、これらの図3から図13を参照して本発明の実施の形態に係る色変換処理装置100による色変換の処理手順について説明する。なお、図3から図13に示すフローチャートにおいて、図の番号が一桁の場合(図3から図9)には、Sに続くステップ番号の、100の位の数字を図の番号と一致させてある。また、図の番号が二桁の場合(図10から図13)には、Sに続くステップ番号の、1000の位および100の位の数字で表される二桁の数字を図の番号と一致させてある。例えば、S301の処理は図3に示され、S1201の処理は図12に示される。
【0080】
− メインフロー −
色変換処理のメインフローを示す図3を参照して説明する。S301において色変換処理装置100は、入力映像信号の種類を判定する処理を行う。この判定処理は、上述したように、入力映像信号に含まれる情報の種類(D2R情報、D2C情報、プロファイルデータ等)をもとに行われる。
【0081】
S302において、色変換処理装置100は入力映像信号がスペクトル映像信号であるか否かを判定し、その判定が肯定された場合にはS305の処理に分岐して図4から図6に示されるスペクトル入力映像信号処理を実行してS301に戻る。S302における判定は、入力映像信号が多バンドの映像信号で、D2R情報等を含んでいる場合に肯定される。S302での判定が否定された場合、色変換処理装置100はS303の処理に分岐して以下に説明する処理を行う。
【0082】
S303において、色変換処理装置100は入力映像信号が多バンド測色値映像信号であるか否かを判定し、その判定が肯定された場合にはS306の処理に分岐して図7から図9に示される多バンド測色値入力映像信号処理を実行してS301に戻る。S303における判定は、入力映像信号が多バンドの映像信号で、D2C情報等を含んでいる場合に肯定される。S303での判定が否定された場合、色変換処理装置100はS304の処理に分岐して以下に説明する処理を行う。
【0083】
S304において、色変換処理装置100は入力映像信号が測色値映像信号であるか否かを判定し、その判定が肯定された場合にはS307の処理に分岐して図10から図12に示される測色値入力映像信号処理を実行してS301に戻る。S304における判定は、入力映像信号が3バンドの映像信号で、被写体の測色値を推定する情報等を含んでいる場合に肯定される。S304での判定が否定された場合、色変換処理装置100はS308の処理に分岐して図13に示されるRGB入力映像信号処理を実行してS301に戻る。
【0084】
− スペクトル入力映像信号処理手順 −
図4から図6に示されるフローチャートを参照し、色変換処理装置100によって実行されるスペクトル入力映像信号処理手順について説明する。
【0085】
S401において色変換処理装置100は、接続されているモニタ表示装置140が多原色モニタであるか否かを判定し、肯定される場合にはS402に進む一方、否定される場合にはS501に進む。S401での判定は、モニタ特性情報に基づいて行うことができる。
【0086】
色変換処理装置100はS402において、入力映像信号をもとにスペクトル近似再現表示を行うための色変換処理を行い、得られた表示映像信号がノイズを発生しやすいものであるかどうかの予測処理をS403で行う。S404で色変換処理装置100は、上述したS403での予測処理結果に基づき、表示映像信号がノイズ発生の可能性を有しているか否かを判定する。
【0087】
色変換処理装置100は、S404での判定が否定されるとS409の処理に分岐する一方、肯定された場合にはS405に進んで測色値変換処理を行う。すなわち、入力映像信号の種類と接続されるモニタ表示装置との組み合わせから、スペクトル近似再現表示をすることが可能ではあるが、スペクトル近似再現表示を行うとノイズ発生の可能性があると判定される場合、色変換処理装置100は一つ下に位置する優先順位の表示形態である測色値表示を試みる。
【0088】
色変換処理装置100は、得られた測色値表示映像信号がノイズを発生しやすいものであるかどうかの予測処理をS406で行い、続くS407で表示映像信号がノイズ発生の可能性を有しているか否かを判定する。色変換処理装置100は、S407での判定が否定されるとS411の処理に分岐する一方、肯定された場合にはS408に進んでRGB値変換処理を行う。すなわち、表示形態をスペクトル近似再現表示から測色値表示に切り替えてもなおノイズ発生の可能性がある場合には、色変換処理装置100はさらに一つ下に位置する優先順位の表示形態であるRGB表示に切り替える。
【0089】
測色値表示時にノイズ発生の可能性はないとS407で判定された場合の分岐先であるS411において、色変換処理装置100は色差が所定量を上回っているか否かを判定する。この色差については先に説明したとおりであるのでここでは多くを説明しないが、S405での処理で得られた測色値の色度値と、接続されているモニタ表示装置140で表示可能な色域および表示階調とに基づいて色差を求め、その色差が所定量を上回っているか否かを判定する。
【0090】
色差が所定量を上回っていたためにS411での判定が肯定された場合、色変換処理装置100の処理はS408に進んでRGB値変換処理を行う。一方、S411での判定が否定された(色差は所定量を超さない)場合、S409の処理に分岐する。
【0091】
S409において色変換処理装置100は、S402、S405、あるいはS408の処理で得られた表示映像信号をモニタ表示装置140に出力する処理を行い、続くS410では色変換処理装置100に映像信号が継続して入力されているか否かの判定を行う。S410での判定が肯定された(映像信号は継続して入力中と判定された)場合、色変換処理装置100はS402に戻って入力映像信号の処理を継続する一方、否定された場合には図3に示されるメインフローの処理に戻る。
【0092】
S401での判定で、モニタ表示装置は多原色モニタではないと判定された場合の分岐先であるS501において、色変換処理装置100は接続されているモニタ表示装置140は測色値モニタであるか否かの判定を行う。色変換処理装置100は、この判定が否定された場合にはS601の処理に分岐する一方、肯定された場合にはS502に進んで測色値変換処理を行う。すなわち、入力映像信号の種類と接続されるモニタ表示装置との組み合わせに基づいて、測色値表示を試みる。
【0093】
色変換処理装置100は、S502で得られた測色値表示映像信号がノイズを発生しやすいものであるかどうかの予測処理をS503で行い、続くS504で表示映像信号がノイズ発生の可能性を有しているか否かを判定する。色変換処理装置100は、S504での判定が否定されるとS508の処理に分岐する一方、肯定された場合にはS505に進んでRGB値変換処理を行う。すなわち、測色値表示ではノイズ発生の可能性がある場合には、色変換処理装置100は一つ下に位置する優先順位の表示形態であるRGB表示に切り替える。
【0094】
測色値表示時にノイズ発生の可能性はないとS504で判定された場合の分岐先であるS508において、色変換処理装置100は色差が所定量を上回っているか否かを判定する。すなわち、S502での処理で得られた測色値の色度値と、接続されているモニタ表示装置140で表示可能な色域および表示階調とに基づいて色差を求め、その色差が所定量を上回っているか否かを判定する。
【0095】
色差が所定量を上回っていたためにS508での判定が肯定された場合、色変換処理装置100はS505の処理に分岐してRGB値変換処理を行う。一方、S508での判定が否定された(色差は所定量を超さない)場合、S506の処理に分岐する。
【0096】
S506において色変換処理装置100は、S502、あるいはS505の処理で得られた表示映像信号をモニタ表示装置140に出力する処理を行い、続くS507で色変換処理装置100に映像信号が継続して入力されているか否かの判定を行う。S507での判定が肯定された(映像信号は継続して入力中と判定された)場合、色変換処理装置100はS502に戻って入力映像信号の処理を継続する一方、否定された場合には図3に示されるメインフローの処理に戻る。
【0097】
S501での判定で、色変換処理装置100に接続されるモニタ表示装置は測色値モニタではないと判定された場合の分岐先であるS601において、色変換処理装置100はRGB値変換処理を行う。S602において色変換処理装置100は、S601の処理で得られたRGBの表示映像信号をモニタ表示装置140に出力する処理を行い、続くS603では色変換処理装置100に映像信号が継続して入力されているか否かの判定を行う。S603での判定が肯定された(映像信号は継続して入力中と判定された)場合、色変換処理装置100はS601に戻って入力映像信号の処理を継続する一方、否定された場合には図3に示されるメインフローの処理に戻る。
【0098】
− 多バンド測色値入力映像信号処理手順 −
図7から図9に示されるフローチャートを参照し、色変換処理装置100によって実行される多バンド測色値入力映像信号処理手順について説明する。
【0099】
S701において色変換処理装置100は、接続されているモニタ表示装置140が多原色モニタであるか否かを判定し、肯定される場合にはS702に進む一方、否定される場合にはS801に進む。S701での判定は、S401での判定と同様に、モニタ特性情報に基づいて行うことができる。
【0100】
色変換処理装置100はS702において、ユーザが疑似スペクトル近似表示を希望しているか否かを判定し、この判定が肯定される場合にはS703に進む一方、否定される場合にはS706の処理に分岐する。なお、S702での判定に関し、疑似スペクトル近似を希望する場合にはユーザがリモコン等を操作して予めその旨設定しておくことにより、フラグを立てる(セットする)ことが可能である。S702においては、そのフラグがセットされているか否かに基づいてユーザが疑似スペクトル近似表示を希望しているか否かを判定することが可能である。
【0101】
S703において色変換処理装置100は、入力映像信号をもとに疑似スペクトル近似表示を行うための色変換処理を行い、得られた表示映像信号がノイズを発生しやすいものであるかどうかの予測処理をS704で行う。S705において色変換処理装置100は、上述したS704での予測処理結果に基づき、表示映像信号がノイズ発生の可能性を有しているか否かを判定する。
【0102】
色変換処理装置100は、S705での判定が否定されるとS710の処理に分岐する一方、肯定された場合にはS706に進む。S702での判定が否定された(ユーザが疑似スペクトル近似表示を希望していない)場合、あるいはS705での判定が肯定された(疑似スペクトル近似表示をするとノイズ発生の可能性がある)場合の分岐先であるS706において、色変換処理装置100は測色値変換処理を行う。すなわち、入力映像信号の種類と接続されるモニタ表示装置との組み合わせから、疑似スペクトル近似表示をすることが可能ではあるが、ユーザが疑似スペクトル近似表示を希望しない場合、あるいは疑似スペクトル近似表示を行うとノイズ発生の可能性があると判定される場合に、色変換処理装置100は一つ下に位置する優先順位の表示形態である測色値表示を試みる。
【0103】
色変換処理装置100は、S706の処理によって得られた測色値表示映像信号がノイズを発生しやすいものであるかどうかの予測処理をS707で行い、続くS708で表示映像信号がノイズ発生の可能性を有しているか否かを判定する。色変換処理装置100は、S708での判定が否定されるとS712の処理に分岐する一方、肯定された場合にはS709に進んでRGB値変換処理を行う。すなわち、表示形態を疑似スペクトル近似表示から測色値表示に切り替えてもなおノイズ発生の可能性がある場合には、色変換処理装置100はさらに一つ下に位置する優先順位の表示形態であるRGB表示に切り替える。
【0104】
測色値表示時にノイズ発生の可能性はないとS708で判定された場合の分岐先であるS712において、色変換処理装置100は色差が所定量を上回っているか否かを判定する。すなわち、S706での処理で得られた測色値の色度値と、接続されているモニタ表示装置140で表示可能な色域および表示階調とに基づいて色差を求め、その色差が所定量を上回っているか否かを判定する。
【0105】
色差が所定量を上回っていたためにS712での判定が肯定された場合、色変換処理装置100はS709に進んでRGB値変換処理を行う。一方、S712での判定が否定された(色差は所定量を超さない)場合、S710の処理に分岐する。
【0106】
S710において色変換処理装置100は、S703、S706、あるいはS709の処理で得られた表示映像信号をモニタ表示装置140に出力する処理を行い、続くS711では色変換処理装置100に映像信号が継続して入力されているか否かの判定を行う。S711での判定が肯定された(映像信号は継続して入力中と判定された)場合、色変換処理装置100はS702に戻って入力映像信号の処理を継続する一方、否定された場合には図3に示されるメインフローの処理に戻る。
【0107】
S701での判定で、モニタ表示装置は多原色モニタではないと判定された場合の分岐先であるS801において、色変換処理装置100は接続されているモニタ表示装置140は測色値モニタであるか否かの判定を行う。色変換処理装置100は、この判定が否定された場合にはS901の処理に分岐する一方、肯定された場合にはS802に進んで測色値6−3変換処理を行う。すなわち、多バンド測色値入力映像信号に付加されているD2Cマトリクス(6−3変換マトリクス)を乗じてXYZ測色値を求める処理をする。
【0108】
色変換処理装置100は、S802の処理で得られたXYZ測色値表示映像信号がノイズを発生しやすいものであるかどうかの予測処理をS803で行い、続くS804で表示映像信号がノイズ発生の可能性を有しているか否かを判定する。色変換処理装置100は、S804での判定が否定されるとS808の処理に分岐する一方、肯定された場合にはS805に進んでRGB値変換処理を行う。すなわち、測色値表示ではノイズ発生の可能性がある場合には、色変換処理装置100は一つ下に位置する優先順位の表示形態であるRGB表示に切り替える。
【0109】
測色値表示時にノイズ発生の可能性はないとS804で判定された場合の分岐先であるS808において、色変換処理装置100は色差が所定量を上回っているか否かを判定する。すなわち、S802での処理で得られたXYZ測色値の色度値と、接続されているモニタ表示装置140で表示可能な色域および表示階調とに基づいて色差を求め、その色差が所定量を上回っているか否かを判定する。
【0110】
色差が所定量を上回っていたためにS808での判定が肯定された場合、色変換処理装置100はS805の処理に分岐してRGB値変換処理を行う。一方、S808での判定が否定された(色差は所定量を超さない)場合、S806の処理に分岐する。
【0111】
S806において色変換処理装置100は、S802、あるいはS805の処理で得られた表示映像信号をモニタ表示装置140に出力する処理を行い、続くS807で色変換処理装置100に映像信号が継続して入力されているか否かの判定を行う。S807での判定が肯定された(映像信号は継続して入力中と判定された)場合、色変換処理装置100はS802に戻って入力映像信号の処理を継続する一方、否定された場合には図3に示されるメインフローの処理に戻る。
【0112】
S801での判定で、色変換処理装置100に接続されるモニタ表示装置は測色値モニタではないと判定された場合の分岐先であるS901において、色変換処理装置100はRGB値変換処理を行う。S902において色変換処理装置100は、S901の処理で得られたRGBの表示映像信号をモニタ表示装置140に出力する処理を行い、続くS903では色変換処理装置100に映像信号が継続して入力されているか否かの判定を行う。S903での判定が肯定された(映像信号は継続して入力中と判定された)場合、色変換処理装置100はS901に戻って入力映像信号の処理を継続する一方、否定された場合には図3に示されるメインフローの処理に戻る。
【0113】
− 測色値入力映像信号処理手順 −
図10から図12に示されるフローチャートを参照し、色変換処理装置100によって実行される測色値入力映像信号処理手順について説明する。
【0114】
S1001において色変換処理装置100は、接続されているモニタ表示装置140が多原色モニタであるか否かを判定し、肯定される場合にはS1002に進む一方、否定される場合にはS1101に進む。S1001での判定は、S401での判定と同様に、モニタ特性情報に基づいて行うことができる。
【0115】
色変換処理装置100はS1002において、ユーザが疑似スペクトル近似表示を希望しているか否かを判定し、この判定が肯定される場合にはS1003に進む一方、否定される場合にはS1006の処理に分岐する。なお、S1002での判定に関し、疑似スペクトル近似を希望する場合にはユーザがリモコン等を操作して予めその旨設定しておくことにより、フラグを立てる(セットする)ことが可能である。S1002においては、そのフラグがセットされているか否かに基づいてユーザが疑似スペクトル近似表示を希望しているか否かを判定することが可能である。
【0116】
S1003において色変換処理装置100は、入力映像信号をもとに疑似スペクトル近似表示を行うための色変換処理を行い、得られた表示映像信号がノイズを発生しやすいものであるかどうかの予測処理をS1004で行う。S1005において色変換処理装置100は、上述したS1004での予測処理結果に基づき、表示映像信号がノイズ発生の可能性を有しているか否かを判定する。
【0117】
色変換処理装置100は、S1005での判定が否定されるとS1010の処理に分岐する一方、肯定された場合にはS1006に進む。S1002での判定が否定された(ユーザが疑似スペクトル近似表示を希望していない)場合、あるいはS1005での判定が肯定された(疑似スペクトル近似表示をするとノイズ発生の可能性がある)場合の分岐先であるS1006において、色変換処理装置100はXYZ測色値映像信号に対して3−6変換の処理を行う。すなわち、入力映像信号の種類と接続されるモニタ表示装置との組み合わせから、疑似スペクトル近似表示をすることが可能ではあるが、ユーザが疑似スペクトル近似表示を希望しない場合、あるいは疑似スペクトル近似表示を行うとノイズ発生の可能性があると判定される場合、色変換処理装置100は一つ下に位置する優先順位の表示形態である測色値表示を試みる。XYZ測色値映像信号に対する3−6変換処理について説明すると、図10から図12に示される処理は、入力映像信号がXYZの測色値映像信号である場合の処理であり、S1006における処理は映像表示装置が多原色モニタである場合の処理である。そのため、S1006においては、先に(3−a−5)で説明した内容の処理が行われる。
【0118】
色変換処理装置100は、S1006の処理によって得られた測色値表示映像信号がノイズを発生しやすいものであるかどうかの予測処理をS1007で行い、続くS1008で表示映像信号がノイズ発生の可能性を有しているか否かを判定する。色変換処理装置100は、S1008での判定が否定されるとS1012の処理に分岐する一方、肯定された場合にはS1009に進んでRGB値変換処理を行う。すなわち、表示形態を疑似スペクトル近似表示から測色値表示に切り替えてもなおノイズ発生の可能性がある場合には、色変換処理装置100はさらに一つ下に位置する優先順位の表示形態であるRGB表示に切り替える。
【0119】
測色値表示時にノイズ発生の可能性はないとS1008で判定された場合の分岐先であるS1012において、色変換処理装置100は色差が所定量を上回っているか否かを判定する。すなわち、S1006での処理で得られた6原色測色値の色度値と、接続されているモニタ表示装置140で表示可能な色域および表示階調とに基づいて色差を求め、その色差が所定量を上回っているか否かを判定する。
【0120】
色差が所定量を上回っていたためにS1012での判定が肯定された場合、色変換処理装置100はS1009に進んでRGB値変換処理を行う。一方、S1012での判定が否定された(色差は所定量を超さない)場合、S1010の処理に分岐する。
【0121】
S1010において色変換処理装置100は、S1003、S1006、あるいはS1009の処理で得られた表示映像信号をモニタ表示装置140に出力する処理を行い、続くS1011では色変換処理装置100に映像信号が継続して入力されているか否かの判定を行う。S1011での判定が肯定された(映像信号は継続して入力中と判定された)場合、色変換処理装置100はS1002に戻って入力映像信号の処理を継続する一方、否定された場合には図3に示されるメインフローの処理に戻る。
【0122】
S1001での判定で、モニタ表示装置は多原色モニタではないと判定された場合の分岐先であるS1101において、色変換処理装置100は接続されているモニタ表示装置140は測色値モニタであるか否かの判定を行う。色変換処理装置100は、この判定が否定された場合にはS1201の処理に分岐する一方、肯定された場合にはS1102に進む。S1102において色変換処理装置100は、測色値表示映像信号がノイズを発生しやすいものであるかどうかの予測処理を行う。なお、S1101の処理とS1102の処理との間で色変換処理が行われていないが、これはモニタ表示装置140が測色値モニタであるため、モニタ表示装置140自体がモニタ表示特性を補正する処理を行うからである。
【0123】
色変換処理装置100は、S1102で行われた測色値表示時発生ノイズ予測の結果に基づき、S1103において表示映像信号がノイズ発生の可能性を有しているか否かを判定する。色変換処理装置100は、S1103での判定が否定されるとS1107の処理に分岐する一方、肯定された場合にはS1104に進んでRGB値変換処理を行う。すなわち、測色値表示ではノイズ発生の可能性がある場合には、色変換処理装置100は一つ下に位置する優先順位の表示形態であるRGB表示に切り替える。
【0124】
測色値表示時にノイズ発生の可能性はないとS1103で判定された場合の分岐先であるS1107において、色変換処理装置100は色差が所定量を上回っているか否かを判定する。すなわち、入力されたXYZ測色値に基づく色度値と、接続されているモニタ表示装置140で表示可能な色域および表示階調とに基づいて色差を求め、その色差が所定量を上回っているか否かを判定する。
【0125】
色差が所定量を上回っていたためにS1107での判定が肯定された場合、色変換処理装置100はS1104の処理に分岐してRGB値変換処理を行う。一方、S1107での判定が否定された(色差は所定量を超さない)場合、S1105の処理に分岐する。
【0126】
S1105において色変換処理装置100は、XYZ測色値入力映像信号、あるいはS1104の処理で得られた表示映像信号をモニタ表示装置140に出力する処理を行い、続くS1106で色変換処理装置100に映像信号が継続して入力されているか否かの判定を行う。S1106での判定が肯定された(映像信号は継続して入力中と判定された)場合、色変換処理装置100はS1102に戻って入力映像信号の処理を継続する一方、否定された場合には図3に示されるメインフローの処理に戻る。
【0127】
S1101での判定で、色変換処理装置100に接続されるモニタ表示装置は測色値モニタではないと判定された場合の分岐先であるS1201において、色変換処理装置100はRGB値変換処理を行う。S1202において色変換処理装置100は、S1201の処理で得られたRGBの表示映像信号をモニタ表示装置140に出力する処理を行い、続くS1203では色変換処理装置100に映像信号が継続して入力されているか否かの判定を行う。S1203での判定が肯定された(映像信号は継続して入力中と判定された)場合、色変換処理装置100はS1201に戻って入力映像信号の処理を継続する一方、否定された場合には図3に示されるメインフローの処理に戻る。
【0128】
− RGB入力映像信号処理手順 −
図13に示されるフローチャートを参照し、色変換処理装置100によって実行されるRGB入力映像信号処理手順について説明する。
【0129】
S1301において色変換処理装置100は、接続されているモニタ表示装置140が多原色モニタであるか否かを判定し、肯定される場合にはS1302に進む一方、否定される場合にはS1305に進む。S1301での判定は、S401での判定と同様に、モニタ特性情報に基づいて行うことができる。
【0130】
S1302において色変換処理装置100は、RGB入力映像信号を、接続されているモニタ表示装置140の原色に対応するRGBOCP信号に変換する処理を行う。この処理は、先に(3−a−7)で説明した方法を適用することができる。
【0131】
S1303において色変換処理装置100は、S1302の処理で得られた表示映像信号をモニタ表示装置140に出力する処理を行い、続くS1304では色変換処理装置100に映像信号が継続して入力されているか否かの判定を行う。S1304での判定が肯定された(映像信号は継続して入力中と判定された)場合、色変換処理装置100はS1302に戻って入力映像信号の処理を継続する一方、否定された場合には図3に示されるメインフローの処理に戻る。
【0132】
S1301での判定で、モニタ表示装置は多原色モニタではないと判定された場合の分岐先であるS1305において、色変換処理装置100は接続されているモニタ表示装置140は測色値モニタであるか否かの判定を行う。色変換処理装置100は、この判定が否定された場合にはS1309の処理に分岐する一方、肯定された場合にはS1306に進む。S1306において色変換処理装置100は、RGB映像信号をXYZ信号に変換する処理を行う。この処理方法は、先に(3−b−4)で説明したとおりである。また、(3−b−4)で説明したように、S1306の処理で生成されるXYZ信号は測色値ではない。
【0133】
S1307において色変換処理装置100は、S1306の処理で得られた表示映像信号(XYZ信号)をモニタ表示装置140に出力する処理を行い、続くS1308で色変換処理装置100に映像信号が継続して入力されているか否かの判定を行う。S1308での判定が肯定された(映像信号は継続して入力中と判定された)場合、色変換処理装置100はS1306に戻って入力映像信号の処理を継続する一方、否定された場合には図3に示されるメインフローの処理に戻る。
【0134】
S1305での判定で、色変換処理装置100に接続されるモニタ表示装置は測色値モニタではないと判定された場合の分岐先であるS1309において、色変換処理装置100はRGBの表示映像信号をモニタ表示装置140に出力する処理を行い、続くS1310では色変換処理装置100に映像信号が継続して入力されているか否かの判定を行う。S1310での判定が肯定された(映像信号は継続して入力中と判定された)場合、色変換処理装置100はS1309に戻って入力映像信号の処理を継続する一方、否定された場合には図3に示されるメインフローの処理に戻る。
【0135】
以上、図3から図13に示されるフローチャートを参照して説明したように、色変換処理装置100は入力される映像信号の種類と接続されるモニタ表示装置140の表示性能に基づいて自動的に表示方式を選択する。このときに、スペクトル近似表示、多バンド測色値に基づく疑似スペクトル近似表示、XYZ測色値に基づく疑似スペクトル近似表示、多バンド測色値基づく測色値表示、XYZ測色値に基づく測色値表示、RGB表示の順で優先順位が定められていて、これらの表示方式中で選択可能なもののうち、優先順位の高い(より高品位の)表示方式が優先的に選択されて表示が行われる。そして、優先順位の高い表示方式で表示をしようとしたときに、ノイズの発生が予想される場合には一つ下の優先順位の表示方式での表示を試みる。それでもノイズの発生が予想される場合にはさらに一つ下の優先順位の表示方式での表示を試みる。依然としてノイズの発生が予測される場合、最終的にはRGB表示方式での表示を行う。
【0136】
このように、本発明の実施の形態に係る色変換処理装置100は、入力される映像信号の種類、接続されるモニタ表示装置140の表示性能、そしてノイズ発生の有無を判定して、可能な表示方式中、より望ましい表示方式を自動的に選択して表示を行う。これにより、ユーザは面倒な表示方式の切り替え操作をすることなく、手軽に最適の表示方式での映像を観察することが可能となる。
【0137】
図14は、色変換処理装置100に接続されるモニタ表示装置140にスーパーインポーズ表示されるアイコンの一例を示し、図14(a)はモニタ表示装置140がRGBモニタである場合の、図14(b)はモニタ表示装置140が多原色モニタである場合の例をそれぞれ示す。これらのアイコンを表示するための映像信号は色変換処理装置100内で生成されて、入力映像信号を処理して生成された表示映像信号に重畳されてモニタ表示装置140に出力される。これらのアイコンを表示するための映像信号は色変換処理実行部114で生成することが可能であり、モニタ表示装置140の表示面内の、例えば右上の領域に表示することができる。
【0138】
色変換処理装置100にRGBモニタが接続されている場合、図3から図13に示すフローチャートを参照しての説明からも明らかなように、入力映像信号の種類によらず、モニタ表示装置140にはRGB表示のみが行われる。このとき、モニタ表示装置140の表示画面には、図14(a)に例示されるように入力信号アイコン142と色域アイコン144とが表示される。色域アイコン144は、可視範囲色域アイコン144A、入力映像信号色域アイコン144B、モニタ色域アイコン144C、入力信号色度点インジケータアイコン144Dなどを含む。
【0139】
入力信号アイコン142は、色変換処理装置100に入力される映像信号の種類を表示するためのものであり、ユーザがこのアイコンを見ることにより、現状の入力映像信号はどのようなものかを直観的に判断することができる。図14(a)に例示される入力信号アイコン142は、入力映像信号がスペクトル映像信号(ナチュラルビジョン映像信号)であることを示している。
【0140】
可視範囲色域アイコン144Aは、人間(CIEの標準観測者)の可視域に対応する色域を表すアイコンである。入力映像信号色域アイコン144Bは、入力されている映像信号に基づく映像の色域がどの程度の広さを有するのかを示すアイコンである。この入力映像信号色域アイコン144Bは、一定の時間区間内に入力された映像信号で定義される色度点を逐次色度図上にプロットしたときの、最も外側(広い範囲)に位置する色度点を結んでできる多角形として表示することができる。すなわち、この多角形は、一定の時間区間内に入力された入力映像信号で定義される色度点群の集合を内包する色域を表すものである。そして適宜の時間間隔で入力映像信号色域アイコン144Bの表示をリフレッシュ(表示更新)することにより、直近の入力映像信号が有する色域の、いわばピークホールド表示が行われる。例えば、熱帯地方に棲息する鳥や花などの映像のように、高彩度の様々な波長の色を含む映像信号が入力された場合、この入力映像信号色域アイコン144はより面積の大きい多角形として表示される。一方、雪景色や暗闇等、色域のあまり広くない映像の信号が入力され続けると入力映像信号色域アイコン144Bは小さな面積の多角形、あるいは点として表示されるようになる。
【0141】
モニタ色域アイコン144Cは、色変換処理装置100に接続されるモニタ表示装置140で表示可能な色の色域を表すアイコンであり、可視範囲色域アイコン144Aと同様に、時間経過に伴って、あるいは入力映像信号の変化によって表示状態が変化することがなく、固定的に表示されるアイコンである。入力信号色度点インジケータアイコン144Dは、入力映像信号で表される色度点を表示するためのものである。この入力信号色度点インジケータアイコンは、入力映像信号色域アイコン144Bの表示更新時間間隔よりも短い時間間隔で表示が更新される。この入力信号色度点インジケータアイコン144Dがモニタ色域アイコン144Cの内側に表示されていれば、ユーザは入力映像信号で定義される色域がモニタ表示装置で表示される色の色域内に収まっていることが確認できる。すなわち、モニタ表示装置140の表示能力の範囲内に収まる映像信号が入力されて表示が行われていることが分かる。入力映像信号色域アイコン144Bがモニタ色域アイコン144Cの内側に表示されている場合も同様である。
【0142】
ユーザは、モニタ表示装置140に表示される映像の色に違和感を覚えたときに色域アイコン144を見ることにより、その原因が、モニタ表示装置140がうまく調整されていないことによるものなのか、表示能力を超えた色域の映像信号が入力されたことによるものなのかを特定することが可能となる。
【0143】
色変換処理装置100に接続されるモニタ表示装置140が多原色モニタである場合、図14(b)に例示されるように表示モードアイコン146と色域アイコン144とが表示される。図14(b)に示す例において、色域アイコン144は、可視範囲色域アイコン144A、入力映像信号色域アイコン144B、入力信号色度点インジケータアイコン144Dなどを含んでいる。
【0144】
表示モードアイコン146は、モニタ表示装置140にどのような色変換処理が行われて映像が表示されているのかを示すためのものである。図14(b)に示す例では、「スペクトル」の文字が反転表示されていて、スペクトル再現表示のための色変換処理が行われて表示映像信号が出力されていることをユーザは知ることができる。ユーザはまた、入力映像信号色域アイコン144Bおよび入力信号色度点インジケータアイコン144Dを見ることで、モニタ表示装置140が有する広い色域を活かした表示が行われていることを確認することができる。
【0145】
図14(b)に示されるようなアイコンが表示されることにより、スペクトル再現表示が行われていることをユーザが知ることができることにより、さらに別の効果を得ることが可能となる。すなわち、スペクトル再現表示が行われていれば、観察者メタメリズムが抑制された映像を表示することができるということであり、等色関数の個人差の影響を受けにくい表示が行われている、ということである。スペクトル再現表示が行われていることを確認しながらプレゼンテーションを行うことにより、例えばモニタ表示装置140に表示される二つの色を大勢の参加者が観視しているときに、「一方の色が他方の色に比べて赤みがやや強い。」といった論議をすることが可能となる。逆に、スペクトル再現表示が行われていない場合には、観察者メタメリズムの影響によって、表示される色の色味が参加者によって異なる場合がある。従って、表示モードアイコン146や色域アイコン144を見てスペクトル再現表示が行われていないことを確認できた場合には、表示される映像の色味の微妙な差異を論じることは避けるべきであると判断することが可能となる。
【0146】
− 色変換処理前におけるノイズ発生予測 −
図3から図13を参照して以上に説明した例では、色変換処理をした後にノイズ判定をし、ノイズの発生が予測される場合に別の(優先順位が次に高い)色変換を適用する例を説明したが、本発明はこれに限られるものではない。すなわち、色変換の処理前にノイズ判定が可能な場合にはノイズ判定を先に行い、その判定結果に基づいて選択された色変換方法で色変換処理を行うことも可能である。
【0147】
あるスペクトル分布を有する色を多原色で再現する場合に、モニタ表示装置の各原色が有するスペクトル分布と、再現しようとする色のスペクトル分布との関係によっては、ノイズが目立つ場合があることは先に説明したとおりである。通常は、モニタ表示装置で再現しようとする色にノイズの発生が懸念されるスペクトル分布を有しているかどうかは実際に色変換してみないと分からない。しかし、D2R情報および観察環境照明光情報に基づいて、あるいはD2S情報に基づいて、事前にノイズ発生を予測することができることがある。このような場合には、ノイズの予測を色変換処理の前に行うことができる。
【0148】
測色値で色を再現する際に、モニタ表示装置の各原色が有するスペクトル分布、あるいはモニタ表示装置の各原色を表す測色値と、再現しようとする色の測色値との関係によっては、ノイズが発生する(目立つ)場合があるが、D2C情報に基づいて事前にこのノイズ発生を予測できることがある。このような場合には、ノイズの予測を測色値変換処理に先立って行うことができる。
【0149】
以上に説明した場合のように、色変換の処理に先立ってノイズ発生の有無を予測できる場合にはそのようにすることが色変換処理に要する負荷を低減して処理時間を短縮する上で望ましい。例えば、動画の入力映像信号に対して逐次色変換の処理を施し、表示するような場合に好適である。
【0150】
図15は、図4に示す処理を、色変換処理前の段階でノイズ発生の予測をするかたちに変更した例を示すフローチャートである。なお、図5、図7、図8、図10、図11についても同様の変更をすることになるが、説明が冗長となるのを避けるため、ここでは図4の処理を変更した例のみを示して説明をする。
【0151】
図15に示されるフローチャートの処理は、他のフローチャートと同様に、色変換処理装置100で実行される。図15は、図3に示されるS302の判定処理で、入力映像信号の種類がスペクトル映像信号であると判定された場合に呼び出される、スペクトル入力映像信号処理手順を示している。
【0152】
S1501において色変換処理装置100は、接続されているモニタ表示装置140が多原色モニタであるか否かを判定し、肯定される場合にはS1502に進む一方、否定される場合にはモニタ表示装置140が測色値モニタまたはRGBモニタである場合の処理(図15中で、破線で囲って示される処理)に分岐する。
【0153】
S1502において色変換処理装置100は、入力映像信号中に含まれるD2R情報と、照明特性入力部116から入力した観察環境照明光スペクトルに関連する情報とに基づいて、スペクトル表示をしたときにノイズが発生しやすいかどうかの予測処理を行う。S1503において色変換処理装置100は、上述したS1502での予測処理結果に基づき、スペクトル表示をしようとしたときの表示映像信号がノイズ発生の可能性を有しているか否かを判定する。
【0154】
色変換処理装置100は、S1503での判定が否定されるとS1510の処理に分岐してスペクトル表示用の色変換処理を行う一方、肯定された場合にはS1504に進んで測色値表示時発生ノイズ予測処理を行う。S1504の測色値表示時発生ノイズ予測の処理について説明すると、色変換処理装置100はD2C情報に基づき、測色値表示をしようとしたときの表示映像信号がノイズを発生しやすいものであるかの予測処理を行う。このD2C情報については、入力したスペクトル映像信号中に含まれるD2R情報と、照明特性入力部116から入力した観察環境照明光スペクトルに関連する情報とに基づいて映像表示開始前、あるいはシーンの合間等に色変換処理装置100の内部で予め生成しておくことが可能である。
【0155】
S1505において色変換処理装置100は、S1504での測色値表示時発生ノイズ予測処理結果に基づき、測色値表示をしようとしたときの表示映像信号がノイズ発生の可能性を有しているか否かを判定する。色変換処理装置100は、S1505での判定が否定されるとS1509の処理に分岐して入力映像信号を測色値映像信号に変換する処理を行う一方、肯定された場合にはS1506に進んでRGB値変換処理を行う。
【0156】
S1507において色変換処理装置100は、S1509、S1510、あるいはS1506の処理で得られた表示映像信号をモニタ表示装置140に出力する処理を行い、続くS1508では色変換処理装置100に映像信号が継続して入力されているか否かの判定を行う。S1508での判定が肯定された(映像信号は継続して入力中と判定された)場合、色変換処理装置100はS1502に戻って入力映像信号の処理を継続する一方、否定された場合には図3に示されるメインフローの処理に戻る。
【0157】
以上で説明した色変換処理装置100は、モニタ表示装置140から独立した機器として構成することができるが、モニタ表示装置140の内部に組み込まれるものであってもよい。その場合、モニタ表示装置の種類は1種類に固定されるので、色変換処理装置100は入力映像信号の種類に応じて表示形態を変化させることになる。また、色変換処理装置100が光ディスクプレーヤ等に組み込まれていてもよい。この場合、再生中の光ディスクから読み出される映像信号中に含まれる画像特性特性情報などを入力して上述したような色変換の処理をすることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0158】
本発明に係る映像表示の技術は、テレビジョン受像器、ビデオモニタ、コンピュータ用のモニタ、そしてデータ・プロジェクタなどの画像投影装置等を用いた映像表示システムに利用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0159】
【図1】本発明の実施の形態に係る色変換処理装置の概略的構成を説明するブロック図である。
【図2】色変換処理実行部の内部構成を説明するブロック図である。
【図3】色変換処理装置で実行される色変換処理の手順を説明するフローチャートであり、メインフローを示すフローチャートである。
【図4】図3に示すフローチャートの処理によって呼び出される処理手順を説明するフローチャートであり、入力がスペクトル映像信号、モニタ表示装置が多原色モニタの場合の処理を説明するフローチャートである。
【図5】図3に示すフローチャートの処理によって呼び出される処理手順を説明するフローチャートであり、入力がスペクトル映像信号、モニタ表示装置が測色値モニタの場合の処理を説明するフローチャートである。
【図6】図3に示すフローチャートの処理によって呼び出される処理手順を説明するフローチャートであり、入力がスペクトル映像信号、モニタ表示装置がRGBモニタの場合の処理を説明するフローチャートである。
【図7】図3に示すフローチャートの処理によって呼び出される処理手順を説明するフローチャートであり、入力が多バンド測色値映像信号、モニタ表示装置が多原色モニタの場合の処理を説明するフローチャートである。
【図8】図3に示すフローチャートの処理によって呼び出される処理手順を説明するフローチャートであり、入力が多バンド測色値映像信号、モニタ表示装置が測色値モニタの場合の処理を説明するフローチャートである。
【図9】図3に示すフローチャートの処理によって呼び出される処理手順を説明するフローチャートであり、入力が多バンド測色値映像信号、モニタ表示装置がRGBモニタの場合の処理を説明するフローチャートである。
【図10】図3に示すフローチャートの処理によって呼び出される処理手順を説明するフローチャートであり、入力が測色値映像信号、モニタ表示装置が多原色モニタの場合の処理を説明するフローチャートである。
【図11】図3に示すフローチャートの処理によって呼び出される処理手順を説明するフローチャートであり、入力が測色値映像信号、モニタ表示装置が測色値モニタの場合の処理を説明するフローチャートである。
【図12】図3に示すフローチャートの処理によって呼び出される処理手順を説明するフローチャートであり、入力が測色値映像信号、モニタ表示装置がRGBモニタの場合の処理を説明するフローチャートである。
【図13】図3に示すフローチャートの処理によって呼び出される処理手順を説明するフローチャートであり、入力がRGB映像信号の場合の処理を説明するフローチャートである。
【図14】入力される映像信号および接続されるモニタ表示装置の種類に応じてモニタ表示装置上に表示されるアイコンの一例を説明する図であり、(a)がRGBモニタ表示装置にスペクトル映像信号が入力される場合の、(b)が多原色モニタ表示装置にスペクトル映像信号が入力される場合の表示例を示す図である。
【図15】色変換処理装置が色変換処理をする前にノイズ発生可能性の有無を判定可能な場合の処理例を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0160】
100 … 色変換処理装置
102 … 信号入力部
104 … 信号分離部
106 … 特性情報収集部
108 … 画像特性情報収集部
110 … 観察環境情報収集部
112 … 色変換処理方法選択部
114 … 色変換処理実行部
116 … 照明特性入力部
118 … モニタ情報入力部
120 … プロファイル抽出部
122 … アルゴリズムモデル判定部
140 … モニタ表示装置
142 … 入力信号アイコン
144 … 色域アイコン
144A … 可視範囲色域アイコン
144B … 入力映像信号色域アイコン
144C … モニタ色域アイコン
144D … 入力信号色度点インジケータアイコン
146 … 表示モードアイコン
150 … 映像信号出力装置
202 … ノイズ発生波形情報記憶部
204 … 波形比較・色差判定部
206 … 色変換処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力映像信号に色変換処理を施し、当該色変換処理後の表示映像信号を映像表示部に出力するための色変換処理部と、
前記色変換処理に際して必要となる色変換用特性情報を入力する色変換用特性情報入力部と、
前記色変換処理部で実行可能な複数の色変換処理方法の中から、入力映像信号と入力された色変換用特性情報とに基づいて最適の色変換処理方法を自動的に選択する色変換処理方法選択部と
を有することを特徴とする映像信号処理装置。
【請求項2】
前記色変換用特性情報入力部がさらに、
前記入力映像信号中に含まれる画像特性情報を入力する画像特性情報入力部と、
前記映像表示部の表示特性情報を入力する表示特性情報入力部と
を有し、
前記色変換処理方法選択部は、前記画像特性情報と前記表示特性情報とを含む前記色変換用特性情報に基づき、前記最適の色変換処理方法を選択可能に構成されることを特徴とする請求項1に記載の映像信号処理装置。
【請求項3】
前記色変換用特性情報入力部がさらに、
前記映像表示部に表示される映像を観察する観察者と前記映像表示部とを取り巻く環境の照明光である観察環境照明光の特性を入力する観察環境照明光特性入力部をさらに有し、
前記観察環境照明光特性入力部は、前記観察環境照明光の特性に関連する照明光特性情報を前記観察者が入力可能に構成される照明光特性情報入力部、および前記観察環境照明光の特性を計測して前記照明光特性情報を生成可能な観察環境照明光特性計測部のうち、少なくともいずれかを有することを特徴とする、請求項2に記載の映像信号処理装置。
【請求項4】
前記色変換処理方法選択部はさらに、前記色変換処理によって生成される前記表示映像信号に基づいて前記映像表示部で再現される表示映像の品位を、前記再現される表示映像中に生じるノイズまたは色差に基づいて判定し、前記表示映像の品位の判定結果に基づいて、前記ノイズまたは前記色差が少なくなる色変換方法を前記複数の色変換方法の中から選択可能に構成されることを特徴とする請求項3に記載の映像信号処理装置。
【請求項5】
前記入力映像信号の種類、および前記色変換処理部で実行される前記色変換処理の方法のうち、少なくともいずれかに関連する情報を前記映像表示部に表示するための映像信号を前記映像表示部に出力可能に構成されることを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載の映像信号処理装置。
【請求項6】
一定の時間区間内に入力された入力映像信号で定義される色度点群の集合を内包する色域を表す図柄を、一定時間ごとに更新しながら前記映像表示部に表示するための映像信号を前記映像表示部に出力可能に構成されることを特徴とする請求項5に記載の映像信号処理装置。
【請求項7】
入力映像信号で定義される色度点を表す図柄を一定時間ごとに更新しながら前記映像表示部に表示するための映像信号を前記映像表示部に出力可能に構成されることを特徴とする請求項5または6に記載の映像信号処理装置。
【請求項8】
前記色変換処理方法選択部は、予め定められた優先順位に従い、前記画像特性情報、前記表示特性情報、前記照明光特性情報、および前記表示映像の品位に基づき、前記複数の色変換方法の候補中で適用可能な色変換方法のうち、優先順位のより高い色変換方法を選択するように構成されることを特徴とする請求項4に記載の映像信号処理装置。
【請求項9】
入力映像信号に色変換処理を施し、当該色変換処理後の表示映像信号を映像表示部に出力するための色変換処理方法において、
前記色変換処理に際して用いられる色変換用特性情報を入力することであって、前記色変換用特性情報は、前記映像表示部の表示特性情報と、前記入力映像信号中に含まれる画像特性情報とを含む、色変換用特性情報を入力することと、
色変換候補を選択することであって、入力された前記色変換用特性情報に基づき、複数の色変換方法の候補中で適用可能な色変換方法のうち、予め定められた優先順位に従って、優先順位のより高い色変換方法を選択する、色変換候補を選択することと
を有することを特徴とする色変換処理方法。
【請求項10】
前記色変換用特性情報を入力することがさらに、前記映像表示部に表示される映像を観察する観察者と前記映像表示部とを取り巻く環境の照明光である観察環境照明光の照明特性を入力することをさらに含むことを特徴とする、請求項9に記載の色変換処理方法。
【請求項11】
前記色変換処理によって生成される前記表示映像信号に基づいて前記映像表示部で再現される表示映像の品位を、前記再現される表示映像中に生じるノイズまたは色差に基づいて判定することをさらに有し、
前記色変換候補を選択することは、前記複数の色変換方法の候補中で適用可能な色変換方法のうち、予め定められた優先順位に従って、優先順位のより高い色変換方法を選択する際に、前記表示映像の品位の判定結果も加味し、前記ノイズまたは前記色差が少なくなる色変換方法を選択することをさらに含む
ことを特徴とする請求項10に記載の色変換処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−94895(P2009−94895A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−264792(P2007−264792)
【出願日】平成19年10月10日(2007.10.10)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】