説明

映像信号記録装置

【課題】映像記録媒体の使用量を節約することができる映像信号記録装置を得ることを目的とする。
【解決手段】環境照度データが示す環境照度がカメラの必要最低照度より高ければ、映像信号の有用度が高いと判断し、記録条件設定部12により設定されている記録レートA(有用度が高い映像信号の記録条件)で、その映像信号を映像記録媒体14に記録し、その環境照度データが示す環境照度がカメラの必要最低照度より低ければ、その映像信号の有用度が低いと判断し、記録条件設定部12により設定されている記録レートB(有用度が低い映像信号の記録条件)で、その映像信号を映像記録媒体14に記録する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、監視領域を撮影して、その監視領域の映像信号を映像記録媒体に記録する映像信号記録装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
セキュリティーシステムなどの映像信号記録装置では、監視カメラにより撮影された映像信号を長時間にわたって映像記録媒体に記録する。
したがって、映像記録媒体に記録される映像信号のデータ量が膨大な量になるため、データ量を軽減する工夫がなされている。
従来の映像信号記録装置では、予め、映像信号の圧縮率や記録レートを設定し、監視カメラにより撮影された映像信号を上記圧縮率で圧縮してから、圧縮後の映像信号を上記記録レートで映像記録媒体に記録することが一般的である。
ただし、その映像信号が有用な映像であるのか、有用でない映像であるのかに関わらず、映像記録媒体に記録しているので、その映像記録媒体の記憶容量を無駄に使用している可能性がある。
【0003】
また、以下の特許文献1に開示されている従来の映像信号記録装置では、イベントに関連しない映像信号を再圧縮することで、映像記録媒体の使用量の節約を図っている。
しかし、イベントに関連する映像信号については、その映像信号が有用な映像であるのか、有用でない映像であるのかに関わらず、映像記録媒体に記録しているので、その映像記録媒体の記憶容量を無駄に使用している可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−13745号公報(段落番号[0006]、図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の映像信号記録装置は以上のように構成されているので、イベントに関連しない映像信号を再圧縮することで、映像記録媒体の使用量の節約を図っているが、イベントに関連する映像信号については、その映像信号が有用な映像であるのか、有用でない映像であるのかに関わらず、映像記録媒体に記録している。このため、その映像記録媒体の記憶容量を無駄に使用している可能性があるなどの課題があった。
【0006】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、映像記録媒体の使用量を節約することができる映像信号記録装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る映像信号記録装置は、カメラから出力された映像信号を取得する映像信号取得手段と、映像信号の有用度に応じた記録条件を設定する記録条件設定手段とを設け、映像信号記録手段が映像信号取得手段により取得された映像信号の有用度を特定し、記録条件設定手段により設定されている上記有用度に対応する記録条件にしたがって映像信号を映像記録媒体に記録するようにしたものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、カメラから出力された映像信号を取得する映像信号取得手段と、映像信号の有用度に応じた記録条件を設定する記録条件設定手段とを設け、映像信号記録手段が映像信号取得手段により取得された映像信号の有用度を特定し、記録条件設定手段により設定されている上記有用度に対応する記録条件にしたがって映像信号を映像記録媒体に記録するように構成したので、映像記録媒体の使用量を節約することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明の実施の形態1による映像信号記録装置を示す構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1による映像信号記録装置の映像信号処理部13を示す構成図である。
【図3】映像信号記録装置の記録条件設定部12により設定されている記録レートの一例を示す説明図である。
【図4】この発明の実施の形態1による映像信号記録装置の処理内容を示すフローチャートである。
【図5】この発明の実施の形態2による映像信号記録装置を示す構成図である。
【図6】この発明の実施の形態2による映像信号記録装置の映像信号処理部16を示す構成図である。
【図7】映像信号記録装置の記録条件設定部15により設定されている圧縮率の一例を示す説明図である。
【図8】この発明の実施の形態2による映像信号記録装置の処理内容を示すフローチャートである。
【図9】この発明の実施の形態3による映像信号記録装置を示す構成図である。
【図10】この発明の実施の形態3による映像信号記録装置の映像信号処理部18を示す構成図である。
【図11】映像信号記録装置の記録条件設定部17により設定されている優先度の一例を示す説明図である。
【図12】この発明の実施の形態3による映像信号記録装置の処理内容を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1による映像信号記録装置を示す構成図である。
図1において、監視カメラ1は例えば監視領域に設置されており、その監視領域を撮影して、その監視領域の映像信号を映像信号記録装置2に出力するとともに、環境照度を示す環境照度データを映像信号記録装置2に出力する処理を実施する。
なお、監視カメラ1と映像信号記録装置2は、例えば、LANなどのネットワークを介して接続されている。
【0011】
映像信号記録装置2のネットワークインタフェース部11はネットワークに対するインタフェース処理を行うネットワーク機器から構成されており、監視カメラ1から出力された映像信号及び環境照度データを取得する処理を実施する。なお、ネットワークインタフェース部11は映像信号取得手段を構成している。
【0012】
記録条件設定部12は例えばキーボード、マウス、タッチパネルなどのマンマシンインタフェースなどから構成されており、監視カメラ1から出力された映像信号の有用度に応じた記録条件を設定する処理を実施する。
即ち、記録条件設定部12はユーザの操作の下で、有用度が高い映像信号の記録条件として、カメラの環境照度が必要最低照度より高い場合の記録レートAと、有用度が低い映像信号の記録条件として、カメラの環境照度が必要最低照度より低い場合の記録レートBとを設定する。
ここでは、ユーザの操作の下で、記録条件設定部12が映像信号の記録条件を設定する例を示しているが、予め映像信号の記録条件が設定されていてもよいし、外部の装置から通信で映像信号の記録条件が設定されるものであってもよい。
なお、記録条件設定部12は記録条件設定手段を構成している。
【0013】
映像信号処理部13はネットワークインタフェース部11により取得された映像信号の有用度を特定し、記録条件設定部12により設定されている上記有用度に対応する記録条件にしたがって、その映像信号を映像記録媒体14に記録する処理を実施する。
即ち、映像信号処理部13はネットワークインタフェース部11により取得された環境照度データが示す環境照度がカメラの必要最低照度より高ければ、ネットワークインタフェース部11により取得された映像信号の有用度が高いと判断し、記録条件設定部12により設定されている記録レートAで、その映像信号を映像記録媒体14に記録し、その環境照度データが示す環境照度がカメラの必要最低照度より低ければ、その映像信号の有用度が低いと判断し、記録条件設定部12により設定されている記録レートBで、その映像信号を映像記録媒体14に記録する処理を実施する。なお、映像信号処理部13は映像信号記録手段を構成している。
映像記録媒体14は例えばハードディスクや光磁気ディスクなどの記録装置から構成されており、映像信号処理部13によって、監視領域の映像信号が記録される。
【0014】
図2はこの発明の実施の形態1による映像信号記録装置の映像信号処理部13を示す構成図である。
図2において、CPU21はネットワークインタフェース部11により取得された環境照度データが示す環境照度がカメラの必要最低照度より高ければ、ネットワークインタフェース部11により取得された映像信号の有用度が高いと判断し、記録条件設定部12により設定されている記録レートAで、その映像信号の記録を行う指示を記録処理部22に出力し、その環境照度データが示す環境照度がカメラの必要最低照度より低ければ、その映像信号の有用度が低いと判断し、記録条件設定部12により設定されている記録レートBで、その映像信号の記録を行う指示を記録処理部22に出力する処理を実施する。
記録処理部22はCPU21の指示の下、記録レートA又は記録レートBで、ネットワークインタフェース部11により取得された映像信号を映像記録媒体14に記録する処理を実施する。
【0015】
図3は映像信号記録装置の記録条件設定部12により設定されている記録レートの一例を示す説明図である。
記録レートAはカメラの環境照度が必要最低照度より高い場合の記録レートであり、記録レートBはカメラの環境照度が必要最低照度より低い場合の記録レートである。
図4はこの発明の実施の形態1による映像信号記録装置の処理内容を示すフローチャートである。
【0016】
次に動作について説明する。
映像信号記録装置2の記録条件設定部12は、映像信号の記録を開始する前に、監視カメラ1から出力される映像信号の有用度に応じた記録条件を設定する。
即ち、記録条件設定部12は、図3に示すように、有用度が高い映像信号の記録条件として、カメラの環境照度が必要最低照度より高い場合の記録レートAと、有用度が低い映像信号の記録条件として、カメラの環境照度が必要最低照度より低い場合の記録レートB(記録レートBのレートは、記録レートAのレートより低い)とを設定する。
【0017】
記録レートA,Bの設定は、ユーザが記録条件設定部12のマンマシンインタフェースを操作することで設定するようにしてもよいが、予め設定されているようにしてもよいし、外部の装置からの通信で設定されるようにしてもよい。
また、図3の例では、2つの記録レートA,Bを設定しているが、3つ以上の記録レートを設定することで、有用度が中程度の映像信号の記録条件についても用意するようにしてもよい。
【0018】
監視カメラ1は、監視領域を撮影するとともに、監視カメラ1が設置されている監視領域の環境照度を取得する。
そして、監視カメラ1は、その監視領域の映像信号と環境照度を示す環境照度データをネットワーク経由で映像信号記録装置2に送信する。
【0019】
映像信号記録装置2のネットワークインタフェース部11は、監視カメラ1から送信された映像信号及び環境照度データを受信して、その映像信号及び環境照度データを映像信号処理部13に出力する(ステップST1)。
【0020】
映像信号処理部13は、ネットワークインタフェース部11から映像信号と環境照度データを受けると、その環境照度データを参照して、その映像信号の有用度を特定し、記録条件設定部12により設定されている記録条件のうち、その有用度に対応する記録条件にしたがって、その映像信号を映像記録媒体14に記録する。
以下、映像信号処理部13の処理内容を具体的に説明する。
【0021】
映像信号処理部13のCPU21は、ネットワークインタフェース部11から映像信号と環境照度データを受けると、その環境照度データが示す環境照度とカメラの必要最低照度を比較する。カメラの必要最低照度(閾値)は、映像信号処理部13内に事前に設定されているものとする。
CPU21は、その環境照度データが示す環境照度がカメラの必要最低照度より高ければ(ステップST2;YES)、ネットワークインタフェース部11により取得された映像信号の有用度が高いと判断する(ステップST3)。
一方、その環境照度データが示す環境照度がカメラの必要最低照度より低ければ(ステップST2;NO)、ネットワークインタフェース部11により取得された映像信号の有用度が低いと判断する(ステップST4)。
【0022】
CPU21は、ネットワークインタフェース部11により取得された映像信号の有用度が高いと判断すると、記録条件設定部12から有用度が高い映像信号の記録条件である記録レートAを取得し、その記録レートAで映像信号の記録を行う指示を記録処理部22に出力する(ステップST5)。
記録処理部22は、CPU21から記録レートAで映像信号の記録を行う指示を受けると、記録レートAで、ネットワークインタフェース部11により取得された映像信号を映像記録媒体14に記録する(ステップST6)。
【0023】
CPU21は、ネットワークインタフェース部11により取得された映像信号の有用度が低いと判断すると、記録条件設定部12から有用度が低い映像信号の記録条件である記録レートBを取得し、その記録レートBで映像信号の記録を行う指示を記録処理部22に出力する(ステップST7)。
記録処理部22は、CPU21から記録レートBで映像信号の記録を行う指示を受けると、記録レートBで、ネットワークインタフェース部11により取得された映像信号を映像記録媒体14に記録する(ステップST8)。
【0024】
以上で明らかなように、この実施の形態1によれば、ネットワークインタフェース部11により取得された環境照度データが示す環境照度がカメラの必要最低照度より高ければ、ネットワークインタフェース部11により取得された映像信号の有用度が高いと判断し、記録条件設定部12により設定されている記録レートA(有用度が高い映像信号の記録条件)で、その映像信号を映像記録媒体14に記録し、その環境照度データが示す環境照度がカメラの必要最低照度より低ければ、その映像信号の有用度が低いと判断し、記録条件設定部12により設定されている記録レートB(有用度が低い映像信号の記録条件)で、その映像信号を映像記録媒体14に記録するように構成したので、映像信号の有用度が低ければ、必要以上の記録レートで記録される無駄が排除され、映像記録媒体14の使用量を節約することができる効果を奏する。
【0025】
なお、この実施の形態1では、監視カメラ1の台数が1台であるものを示したが、監視カメラ1の台数が2台以上ある場合でも、同様の処理を行うことで、映像記録媒体14の使用量を節約することができる。
【0026】
実施の形態2.
図5はこの発明の実施の形態2による映像信号記録装置を示す構成図であり、図において、図1と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
記録条件設定部15は例えばキーボード、マウス、タッチパネルなどのマンマシンインタフェースなどから構成されており、監視カメラ1から出力された映像信号の有用度に応じた記録条件を設定する処理を実施する。
即ち、記録条件設定部15はユーザの操作の下で、有用度が高い映像信号の記録条件として、映像信号を記録する際の圧縮率A(記録時圧縮率)と、有用度が低い映像信号の記録条件として、記録済みの映像信号を再圧縮する際の圧縮率B(再圧縮時圧縮率)とを設定する。
ここでは、ユーザの操作の下で、記録条件設定部15が映像信号の記録条件を設定する例を示しているが、予め映像信号の記録条件が設定されていてもよいし、外部の装置から通信で映像信号の記録条件が設定されるものであってもよい。
なお、記録条件設定部15は記録条件設定手段を構成している。
【0027】
映像信号処理部16はネットワークインタフェース部11により取得された映像信号の有用度を特定し、記録条件設定部15により設定されている上記有用度に対応する記録条件にしたがって、その映像信号を映像記録媒体14に記録する処理を実施する。
即ち、映像信号処理部16はネットワークインタフェース部11により取得された映像信号を記録条件設定部15により設定されている圧縮率Aで圧縮して、圧縮後の映像信号を映像記録媒体14に記録したのち、ネットワークインタフェース部11により取得された映像信号を構成しているN個の映像フレームの中で、n−1番目の映像フレームのデータ量とn番目の映像フレームのデータ量との差分が所定の閾値より小さい場合、n番目の映像フレームの有用度が低いと判断して、映像記録媒体14に記録されているn番目の映像フレームを記録条件設定部15により設定されている圧縮率Bで再圧縮する処理を実施する。なお、映像信号処理部16は映像信号記録手段を構成している。
【0028】
図6はこの発明の実施の形態2による映像信号記録装置の映像信号処理部16を示す構成図である。
図6において、CPU23はネットワークインタフェース部11により取得された映像信号を記録条件設定部15により設定されている圧縮率Aで圧縮し、圧縮後の映像信号の記録を行う指示を記録処理部24に出力したのち、ネットワークインタフェース部11により取得された映像信号を構成しているN個の映像フレームの中で、n−1番目の映像フレームのデータ量とn番目の映像フレームのデータ量との差分が所定の閾値より小さい場合、n番目の映像フレームの有用度が低いと判断して、映像記録媒体14に記録されているn番目の映像フレームを記録条件設定部15により設定されている圧縮率Bで再圧縮し、再圧縮後の映像信号の記録を行う指示を記録処理部24に出力する処理を実施する。
記録処理部24はCPU23の指示の下、圧縮後の映像信号を映像記録媒体14に記録する処理を実施する。
【0029】
図7は映像信号記録装置の記録条件設定部15により設定されている圧縮率の一例を示す説明図である。
圧縮率Aは映像信号を記録する際の圧縮率A(記録時圧縮率)であり、圧縮率Bは記録済みの映像信号を再圧縮する際の圧縮率(再圧縮時圧縮率)である。
図8はこの発明の実施の形態2による映像信号記録装置の処理内容を示すフローチャートである。
【0030】
次に動作について説明する。
映像信号記録装置2の記録条件設定部15は、映像信号の記録を開始する前に、監視カメラ1から出力される映像信号の有用度に応じた記録条件を設定する。
即ち、記録条件設定部15は、図7に示すように、有用度が高い映像信号の記録条件として、映像信号を記録する際の圧縮率Aと、有用度が低い映像信号の記録条件として、記録済みの映像信号を再圧縮する際の圧縮率B(圧縮率Bは、圧縮率Aより圧縮率が高い)を設定する。
【0031】
圧縮率A,Bの設定は、ユーザが記録条件設定部15のマンマシンインタフェースを操作することで設定するようにしてもよいが、予め設定されているようにしてもよいし、外部の装置からの通信で設定されるようにしてもよい。
また、図7の例では、2つの圧縮率A,Bを設定しているが、3つ以上の圧縮率を設定することで、有用度が中程度の映像信号の記録条件についても用意するようにしてもよい。
【0032】
監視カメラ1は、監視領域を撮影して、その監視領域の映像信号をネットワーク経由で映像信号記録装置2に送信する。
映像信号記録装置2のネットワークインタフェース部11は、監視カメラ1から送信された映像信号を受信して、その映像信号を映像信号処理部16に出力する(ステップST11)。
【0033】
映像信号処理部16のCPU23は、ネットワークインタフェース部11から映像信号を受けると、その映像信号を記録条件設定部15により設定されている圧縮率Aで圧縮し(ステップST12)、圧縮後の映像信号の記録を行う指示を記録処理部24に出力する。
記録処理部24は、CPU23から圧縮後の映像信号の記録を行う指示を受けると、その圧縮後の映像信号を映像記録媒体14に記録する(ステップST13)。
なお、ネットワークインタフェース部11から出力された映像信号は、N個の映像フレームから構成されており、映像フレーム毎に圧縮率Aで圧縮されて、N個の圧縮映像フレームが映像記録媒体14に記録される。
【0034】
CPU23は、記録処理部24がN個の圧縮映像フレームを映像記録媒体14に記録すると、フレーム番号を特定する変数nを“2”に設定し(ステップST14)、N個の映像フレームの中で、n−1番目の映像フレームのデータ量とn番目の映像フレームのデータ量との差分の絶対値ΔDを算出する(ステップST15)。
なお、1番目の映像フレームは、N個の映像フレームの中の先頭の映像フレーム(最も時間的に古い映像フレーム)であり、N番目の映像フレームは、N個の映像フレームの中の最後尾の映像フレーム(最も時間的に新しい映像フレーム)である。
【0035】
CPU23は、n−1番目の映像フレームのデータ量とn番目の映像フレームのデータ量との差分の絶対値ΔDを算出すると、その差分の絶対値ΔDと所定の閾値Dthを比較する。閾値Dthは、映像信号処理部16内に事前に設定されているものとする。
CPU23は、その差分の絶対値ΔDが所定の閾値Dthより小さい場合(ステップST16;YES)、n番目の映像フレームの有用度が低いと判断する(ステップST17)。
差分の絶対値ΔDが小さい場合、n−1番目の映像フレームとn番目の映像フレームとの間で変化が少なく、n−1番目の映像フレームとn番目の映像フレームの両方を低い圧縮率Aで圧縮して記録する必要性が低いため、n番目の映像フレームの有用度が低いと判断する。
【0036】
CPU23は、n番目の映像フレームの有用度が低いと判断すると、映像記録媒体14に記録されているn番目の映像フレームを記録条件設定部15により設定されている圧縮率Bで再圧縮し(ステップST18)、再圧縮後の映像信号の記録を行う指示を記録処理部24に出力する。
記録処理部24は、CPU23から再圧縮後の映像信号の記録を行う指示を受けると、映像記録媒体14に記録済みのn番目の映像フレームに対して、再圧縮後の映像信号を上書き記録する(ステップST19)。
【0037】
CPU23は、フレーム番号を特定する変数nを1だけインクリメントし(ステップST20)、nがN未満(n<N)であれば(ステップST21;NO)、ステップST15に戻り、ステップST15〜ST20の処理を繰り返し実施する。
nがNと一致(n=N)すれば(ステップST21;YES)、当該映像信号についての記録処理を終了する。ネットワークインタフェース部11が次の映像信号を受信すると、同様の処理を実施する。
【0038】
以上で明らかなように、この実施の形態2によれば、ネットワークインタフェース部11により取得された映像信号を記録条件設定部15により設定されている圧縮率Aで圧縮して、圧縮後の映像信号を映像記録媒体14に記録したのち、ネットワークインタフェース部11により取得された映像信号を構成しているN個の映像フレームの中で、n−1番目の映像フレームのデータ量とn番目の映像フレームのデータ量との差分が所定の閾値より小さい場合、n番目の映像フレームの有用度が低いと判断して、映像記録媒体14に記録されているn番目の映像フレームを記録条件設定部15により設定されている圧縮率Bで再圧縮するように構成したので、映像信号の有用度が低ければ、圧縮率が高められるようになり、映像記録媒体14の使用量を節約することができる効果を奏する。
【0039】
なお、この実施の形態2では、n−1番目の映像フレームのデータ量とn番目の映像フレームのデータ量との差分の絶対値ΔDが閾値Dthより小さい場合、n番目の映像フレームの有用度が低いと判断して、映像記録媒体14に記録されているn番目の映像フレームを圧縮率Bで再圧縮するものを示したが、有用度が低い映像信号の記録条件として、記録済みの映像信号を削除する旨が記録条件設定部15に設定されている場合、その差分の絶対値ΔDが閾値Dthより小さければ、n番目の映像フレームの有用度が低いと判断して、映像記録媒体14に記録されているn番目の映像フレームを削除するようにしてもよい。
この場合も、映像記録媒体14の使用量を節約することができる効果を奏する。
【0040】
実施の形態3.
図9はこの発明の実施の形態3による映像信号記録装置を示す構成図であり、図において、図1と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
記録条件設定部17は例えばキーボード、マウス、タッチパネルなどのマンマシンインタフェースなどから構成されており、監視カメラ1から出力された映像信号の有用度に応じた記録条件を設定する処理を実施する。
即ち、記録条件設定部17はユーザの操作の下で、映像信号の有用度に応じた記録条件として、映像信号の記録要因別の優先度を設定する。
ここでは、ユーザの操作の下で、記録条件設定部17が映像信号の記録条件を設定する例を示しているが、予め映像信号の記録条件が設定されていてもよいし、外部の装置から通信で映像信号の記録条件が設定されるものであってもよい。
なお、記録条件設定部17は記録条件設定手段を構成している。
【0041】
映像信号処理部18はネットワークインタフェース部11により取得された映像信号の有用度を特定し、記録条件設定部17により設定されている上記有用度に対応する記録条件にしたがって、その映像信号を映像記録媒体14に記録する処理を実施する。
即ち、映像信号処理部18は映像記録媒体14に記録済みの映像信号の中で、記録条件設定部17により設定されている記録要因別の優先度が最も低い映像信号を特定し、その映像信号に対して、ネットワークインタフェース部11により取得された映像信号を上書き記録する処理を実施する。なお、映像信号処理部18は映像信号記録手段を構成している。
【0042】
図10はこの発明の実施の形態3による映像信号記録装置の映像信号処理部18を示す構成図である。
図10において、アラームインタフェース部25は外部からアラーム信号を受信する処理を実施する。
CPU26は映像記録媒体14に記録済みの映像信号の中で、記録条件設定部17により設定されている記録要因別の優先度が最も低い映像信号を特定し、その映像信号に対して、ネットワークインタフェース部11により取得された映像信号の上書き記録を指示する処理を実施する。
記録処理部27はCPU26の指示の下、ネットワークインタフェース部11により取得された映像信号の上書き記録を行う。
【0043】
図11は映像信号記録装置の記録条件設定部17により設定されている優先度の一例を示す説明図である。
最も高い優先度1は映像信号の記録要因が“アラーム記録”、次に高い優先度2は映像信号の記録要因が“動き検知記録”、次に高い優先度3は映像信号の記録要因が“スケジュール記録(通常記録)”、最も低い優先度4は映像信号の記録要因が“再圧縮時の記録(再圧縮記録)”である。
優先度が同じである場合、より過去の映像信号(または、映像フレーム)の優先度が低いものとする。
【0044】
なお、スケジュール記録とは、現時刻が監視する時間帯であれば映像信号を記録し、監視する時間帯でなければ映像信号の記録を行わない記録方式である。
アラーム記録とは、アラームインタフェース部25が外部から送信されたアラーム信号を受信すると、映像信号の記録を開始する記録方式である。
動き検知記録とは、映像信号の解析結果あるいは外部からの通知などにより、監視領域に動きがある物体等が検知されたときに、映像信号の記録を開始する記録方式である。
図12はこの発明の実施の形態3による映像信号記録装置の処理内容を示すフローチャートである。
【0045】
次に動作について説明する。
映像信号記録装置2の記録条件設定部17は、映像信号の記録を開始する前に、監視カメラ1から出力される映像信号の有用度に応じた記録条件を設定する。
即ち、記録条件設定部17は、図11に示すように、有用度が高い映像信号の記録条件として、映像信号の記録要因別の優先度を設定する。
【0046】
図11の例では、記録要因別の優先度として、4つの優先度を設定しているが、これは一例に過ぎず、5つ以上の優先度を設定するようにしてもよい。
記録要因別の優先度の設定は、ユーザが記録条件設定部17のマンマシンインタフェースを操作することで設定するようにしてもよいが、予め設定されているようにしてもよいし、外部の装置からの通信で設定されるようにしてもよい。
【0047】
監視カメラ1は、監視領域を撮影して、その監視領域の映像信号をネットワーク経由で映像信号記録装置2に送信する。
映像信号記録装置2のネットワークインタフェース部11は、監視カメラ1から送信された映像信号を受信して、その映像信号を映像信号処理部18に出力する(ステップST31)。
【0048】
映像信号処理部18のCPU26は、ネットワークインタフェース部11から映像信号を受けると、その映像信号の記録要因を特定する(ステップST32)。
例えば、アラームインタフェース部25が外部からアラーム信号を受信していれば、映像信号の記録要因が“アラーム記録”であると特定する。
また、現時刻が予め設定されている監視時間帯内であれば、映像信号の記録要因が“スケジュール記録”であると特定する。
また、監視領域に動きがある物体等が検知されれば、映像信号の記録要因が“動き検知記録”であると特定する。
さらに、映像信号の再圧縮を行う場合、映像信号の記録要因が“再圧縮記録”であると特定する。
【0049】
CPU26は、映像信号の記録要因を特定すると、記録条件設定部17の設定内容を参照して、ネットワークインタフェース部11から出力された映像信号に対して、その映像信号の記録要因に対応する優先度を付与する(ステップST33)。
例えば、その映像信号の記録要因が“アラーム記録”であれば、その映像信号に優先度1を付与し、その映像信号の記録要因が“スケジュール記録”であれば、その映像信号に優先度3を付与する。
ここでは、映像信号単位に優先度を付与しているが、その映像信号を構成している映像フレーム単位に優先度を付与するようにしてもよい。
【0050】
次に、CPU26は、映像記録媒体14における記憶容量の残容量を確認し、ネットワークインタフェース部11から出力された映像信号を記録する容量が残っているか否かを判定する。
CPU26は、その映像信号を記録する容量が残っていれば(ステップST34;YES)、その映像信号の記録を行う指示を記録処理部27に出力する。
記録処理部27は、CPU26から映像信号の記録を行う指示を受けると、優先度が付与されている映像信号を映像記録媒体14に記録する(ステップST35)。
【0051】
CPU26は、その映像信号を記録する容量が残っていなければ、(ステップST34;NO)、映像記録媒体14に記録済みの映像信号の中で、記録条件設定部17により設定されている記録要因別の優先度が最も低い映像信号を特定する(ステップST36)。
例えば、映像記録媒体14に記録済みの映像信号が、記録要因が“アラーム記録”である映像信号と、記録要因が“スケジュール記録”である映像信号である場合、優先度が最も低い映像信号として、記録要因が“スケジュール記録”である映像信号を特定する。
なお、記録要因が“スケジュール記録”である映像信号が複数存在する場合、優先度が最も低い映像信号として、より過去の映像信号を特定する。
ここでは、優先度が最も低い映像信号を特定しているが、映像フレーム単位に優先度が付与されていれば、優先度が最も低い映像フレームを特定するようにしてもよい。
【0052】
CPU26は、記録要因別の優先度が最も低い映像信号を特定すると、その映像信号に対して、ネットワークインタフェース部11により取得された映像信号の上書き記録を記録処理部27に指示する。
記録処理部27は、CPU26の指示の下、ネットワークインタフェース部11により取得された映像信号を優先度が最も低い映像信号に上書き記録する(ステップST37)。
【0053】
ここでは、優先度が最も低い映像信号に対して上書き記録しているが、映像フレーム単位に優先度が付与されていれば、優先度が最も低い映像フレームに対して上書き記録するようにしてもよい。
また、ここでは、優先度が最も低い映像信号に対して上書き記録しているが、上書き記録を行う設定がなされていない場合、優先度が最も低い映像信号に対する上書き記録をせずに、ネットワークインタフェース部11から出力された映像信号を映像記録媒体14に記録しないようにしてもよい。
【0054】
以上で明らかなように、この実施の形態3によれば、映像信号処理部18が映像記録媒体14に記録済みの映像信号の中で、記録条件設定部17により設定されている記録要因別の優先度が最も低い映像信号を特定し、その映像信号に対して、ネットワークインタフェース部11により取得された映像信号を上書き記録するように構成したので、有用な映像信号が優先的に記録されて、映像記録媒体14の効率化が図られるようになり、映像記録媒体14の使用量を節約することができる効果を奏する。
【0055】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0056】
1 監視カメラ、2 映像信号記録装置、11 ネットワークインタフェース部(映像信号取得手段)、12,15,17 記録条件設定部(記録条件設定手段)、13,16,18 映像信号処理部(映像信号記録手段)、14 映像記録媒体、21,23,26 CPU、22,24,27 記録処理部、25 アラームインタフェース部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラから出力された映像信号を取得する映像信号取得手段と、映像信号の有用度に応じた記録条件を設定する記録条件設定手段と、上記映像信号取得手段により取得された映像信号の有用度を特定し、上記記録条件設定手段により設定されている上記有用度に対応する記録条件にしたがって上記映像信号を映像記録媒体に記録する映像信号記録手段とを備えた映像信号記録装置。
【請求項2】
有用度が高い映像信号の記録条件として、カメラの環境照度が必要最低照度より高い場合の記録レートが記録条件設定手段に設定され、有用度が低い映像信号の記録条件として、上記カメラの環境照度が必要最低照度より低い場合の記録レートが上記記録条件設定手段に設定されている場合、
映像信号取得手段は、上記カメラから映像信号を取得する際、上記カメラから環境照度を示す環境照度データを取得し、
映像信号記録手段は、上記映像信号取得手段により取得された環境照度データが示す環境照度が上記カメラの必要最低照度より高ければ、上記映像信号の有用度が高いと判断し、上記記録条件設定手段により設定されている必要最低照度より高い場合の記録レートで上記映像信号を映像記録媒体に記録し、上記環境照度データが示す環境照度が上記カメラの必要最低照度より低ければ、上記映像信号の有用度が低いと判断し、上記記録条件設定手段により設定されている必要最低照度より低い場合の記録レートで上記映像信号を上記映像記録媒体に記録することを特徴とする請求項1記載の映像信号記録装置。
【請求項3】
有用度が高い映像信号の記録条件として、映像信号を記録する際の圧縮率である記録時圧縮率が記録条件設定手段に設定され、有用度が低い映像信号の記録条件として、記録済みの映像信号を再圧縮する際の圧縮率である再圧縮時圧縮率が上記記録条件設定手段に設定されている場合、
映像信号記録手段は、映像信号取得手段により取得された映像信号を上記記録条件設定手段により設定されている記録時圧縮率で圧縮して、圧縮後の映像信号を映像記録媒体に記録したのち、上記映像信号取得手段により取得された映像信号を構成しているN個の映像フレームの中で、n−1番目の映像フレームのデータ量とn番目の映像フレームのデータ量との差分が所定の閾値より小さい場合、n番目の映像フレームの有用度が低いと判断して、上記映像記録媒体に記録されているn番目の映像フレームを上記記録条件設定手段により設定されている再圧縮時圧縮率で再圧縮することを特徴とする請求項1記載の映像信号記録装置。
【請求項4】
有用度が高い映像信号の記録条件として、映像信号を記録する際の圧縮率が記録条件設定手段に設定され、有用度が低い映像信号の記録条件として、記録済みの映像信号を削除する旨が上記記録条件設定手段に設定されている場合、
映像信号記録手段は、映像信号取得手段により取得された映像信号を上記記録条件設定手段により設定されている圧縮率で圧縮して、圧縮後の映像信号を映像記録媒体に記録したのち、上記映像信号取得手段により取得された映像信号を構成しているN個の映像フレームの中で、n−1番目の映像フレームのデータ量とn番目の映像フレームのデータ量との差分が所定の閾値より小さい場合、n番目の映像フレームの有用度が低いと判断して、上記映像記録媒体に記録されているn番目の映像フレームを削除することを特徴とする請求項1記載の映像信号記録装置。
【請求項5】
映像信号の有用度に応じた記録条件として、映像信号の記録要因別の優先度が記録条件設定手段に設定されている場合、
映像信号記録手段は、映像記録媒体に記録済みの映像信号の中で、上記記録条件設定手段により設定されている記録要因別の優先度が最も低い映像信号を特定し、上記映像信号に対して、上記映像信号取得手段により取得された映像信号を上書き記録することを特徴とする請求項1記載の映像信号記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−165103(P2012−165103A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−22601(P2011−22601)
【出願日】平成23年2月4日(2011.2.4)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】