説明

映像再生出力装置及び映像再生出力方法

【課題】デジタル放送受信機のアナログコンポシットビデオ出力端子等から出力される映像信号を視聴する場合には視聴制限が有効に動作しなかった。
【解決手段】本発明の映像再生出力装置は、デジタル放送を受信する受信手段と、受信手段が受信したデジタル放送から、映像データ及び映像データに関する関連情報を復元する復元手段と、復元手段が復元した関連情報から、視聴制限情報を抽出する視聴制限情報抽出手段と、復元手段が復元した映像データを、アナログ映像信号へと変換する映像変換手段と、視聴制限情報抽出手段が抽出した視聴制限情報を、映像変換手段が変換したアナログ映像信号へ重畳して出力する出力手段とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、視聴制限するためのパレンタル情報をアナログ映像信号に重畳して出力する映像再生出力装置及び映像再生出力方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、字幕情報であるCC(Closed Caption)情報をアナログ映像信号のVBI(Vertical Blanking Interval)と呼ばれる垂直ブランキング期間に重畳して出力する映像再生出力装置が公知である(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図11に、従来の映像再生出力装置としてのデジタル放送受信機を示す。図11において、チューナ11で受信したデジタル放送電波はトランスポートストリームへと復調され、TSデコーダ12により音声パケットや映像パケット、及び情報データに復元される。音声パケットは、音声デコーダ13により音声データに復元され、映像パケットは映像デコーダ14により映像データに復元される。さらに、これらのデータは、映像音声出力部15により、それぞれ音声信号、映像信号に変換され、スピーカ、モニタ等から受信した番組の映像音声が出力される。また、TSデコーダ12からの情報データは、サービス情報処理部991に供給される。サービス情報処理部991は、サービスに関する情報を含む情報データから、番組表を表示するためのEPGデータを作成する。EPGデータは、合成部22に供給され、マイクロコンピュータなどで構成される制御部19からの指令に基づき、映像データと合成される。また、CC情報は、映像データに含まれており、合成部22において映像データと合成される。このようにして、ユーザは、例えばユーザ入力部18を介して指示することで、番組の視聴とともに、番組表や字幕を表示できる。さらに、合成部22から出力される映像データは、NTSCエンコーダ31に供給され、NTSCエンコーダ31は、この映像データをアナログ映像信号であるNTSCコンポシット信号に変換して出力する。さらに、このNTSCコンポシット信号は、VBI処理部32により、垂直ブランキング期間に、映像デコーダ14からのCC情報が挿入される。このようなCC情報が重畳されたNTSCコンポシット信号が、従来の映像再生出力装置から出力される。
【0004】
このアナログのNTSCコンポシット信号は、モニタに接続されて視聴されるか、一旦、VCRまたはDVD等の録画機器に記憶されて、後日、モニタに接続されて視聴される。
【特許文献1】米国特許第5438370号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の映像再生出力装置は、CC情報のみがアナログ映像のVBIに重畳されるだけで、V−CHIPと呼ばれる視聴制限のためのパレンタル情報が重畳されていなかった。従って、例えば、VCR、またはDVD等の録画機器に記憶して、後日視聴する場合に、未成年者には有害な映像であるにもかかわらず、視聴者の親が視聴制限をかけることができず、視聴者の子供が有害な映像を見てしまうという問題があった。すなわち、このような従来のデジタル放送受信機のアナログコンポシットビデオ出力端子等から出力される映像信号を視聴する場合には、視聴制限が有効に動作しないという課題があった。
【0006】
本発明は、デジタル放送受信機などにおいて、アナログコンポシットビデオ出力端子等から出力される映像信号を視聴や録画する場合であっても、視聴制限が有効に動作することが可能な映像再生出力装置及び映像再生出力方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明の映像再生出力装置は、デジタル放送を受信する受信手段と、受信手段が受信したデジタル放送から、映像データ及び映像データに関する関連情報を復元する復元手段と、復元手段が復元した関連情報から、視聴制限情報を抽出する視聴制限情報抽出手段と、復元手段が復元した映像データを、アナログ映像信号へと変換する映像変換手段と、視聴制限情報抽出手段が抽出した視聴制限情報を、映像変換手段が変換したアナログ映像信号へ重畳して出力する出力手段とを具備する構成である。
【0008】
また、本発明の映像再生出力方法は、受信したデジタル放送から復元された映像データを、アナログコンポシットビデオ信号に変換して出力する映像再生出力方法であって、映像データをアナログコンポシットビデオ信号に変換するステップと、デジタル放送におけるトランスポートストリームに含まれるEIT(Event Information Table)、あるいはPMT(Program Map Table)を復元するステップと、EIT(Event Information Table)、あるいはPMT(Program Map Table)に含まれるcontent_advisory_descriptorを抽出するステップと、content_advisory_descriptorに含まれる視聴制限情報を抽出するステップと、視聴制限情報を、アナログ映像信号の映像規格に基づいた視聴制限情報に変換するステップと、アナログコンポシットビデオ信号の垂直ブランキング期間に、変換された視聴制限情報を重畳して出力するステップとを有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、デジタル放送受信機などにおいて、アナログコンポシットビデオ出力端子等から出力される映像信号を視聴や録画する場合であっても、視聴制限が有効に動作することが可能な映像再生出力装置及び映像再生出力方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明による映像再生出力装置及び映像再生出力方法の実施の形態について図面を参照しながら詳細について説明する。
【0011】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る映像再生出力装置の構成例を示すブロック図である。第1の実施の形態では、本発明の映像再生出力装置の一実施形態であるデジタル放送受信機の一例を挙げて説明する。
【0012】
図1において、チューナ11は、アンテナ、あるいはケーブルから受信したデジタル放送電波に対して復調処理や誤り訂正処理等を施す。さらに、チューナ11は、デジタル放送における各種データを有したパケットで構成されるビットストリームとしてのトランスポートストリームを出力する。また、チューナ11は、目的の放送を受信するように制御部19から指令される。チューナ11により、受信手段が構成される。
【0013】
制御部19は、例えばマイクロコンピュータで実現される。制御部19は、リモコンなどによりユーザ指示を入力するユーザ入力部18からの指示情報に応じて、チューナ11への選局制御を行なうとともに、後述する各部の制御やそのための処理を行なう。
【0014】
チューナ11からのトランスポートストリームは、トランスポートストリームデコーダ(以下、TSデコーダと呼ぶ)12に供給される。TSデコーダ12は、このトランスポートストリームから、目的とする番組のパケット単位のデータを抽出し、映像パケット、音声パケット、及び受信する放送に関した情報を有する情報データに分離して出力する。映像パケット、音声パケット、及び情報データは、それぞれ後述する映像デコーダ14、音声デコーダ13、及びサービス情報処理部21に供給される。また、TSデコーダ12、映像デコーダ14、及び音声デコーダ13により、復元手段が構成される。
【0015】
映像デコーダ14は、供給された映像パケットからMPEG(Motion Pictures Expert Group)−2方式などに基づき圧縮符号化された符号化映像データを抽出する。さらに、映像デコーダ14は、抽出した符号化映像データに対して伸張処理などを施し、映像データを復元する。このようにして、映像デコーダ14により映像のデコード処理が実行される。また、復元された映像データは、後述する合成部22を介して映像音声出力部15に供給される。
【0016】
音声デコーダ13は、供給された音声パケットをデコード処理し、これにより音声データが復元される。また、復元された音声データも映像音声出力部15に供給される。
【0017】
映像音声出力部15は、合成部22から供給された映像データをモニタ等に表示できる映像信号に変換し、デジタル放送受信機の内部、あるいは外部のモニタ等を駆動する。さらに、映像音声出力部15は、音声デコーダ13から供給された音声データをスピーカ等に出力できる音声信号に変換し、デジタル放送受信機の内部、あるいは外部のスピーカ等を駆動する。このようにして、目的の番組の映像、音声等のコンテンツがモニタ、及びスピーカより呈示され、ユーザは、希望するコンテンツを視聴できる。なお、モニタ、及びスピーカは、デジタル放送受信機と一体化されたテレビジョン受信機の形態であっても、一体化されておらず外部接続するSTB(Set Top Box)と呼ばれるセットトップボックスの形態であっても、またモニタ、及びスピーカが一体化されておらず、さらに番組の録画再生を主体としたVCRやDVDの形態であってもよい。
【0018】
一方、TSデコーダ12で分離、抽出された情報データは、上述したようにサービス情報処理部21に供給される。情報データは、番組や、受信に関連する情報を有しており、本実施の形態でのデジタル放送受信機は、これらの情報を利用して番組の受信動作や、番組のサービス情報の提供等を行なう。このサービス情報には、各々の番組のチャンネル番号、放送開始時刻、終了時刻、タイトル名、ジャンル、さらには、映像データに関連する関連情報としての字幕情報や、視聴制限を行なうためのパレンタル情報等が含まれている。サービス情報処理部21は、TSデコーダ12で分離された情報データからサービス情報データを抽出し、図示しないメモリなどに記憶して管理する。
【0019】
また、サービス情報処理部21は、図示しないメモリなどに記憶したこれらの情報から、番組表を表示するためのEPG(Electronic Program Guide)データを作成し、合成部22に供給する。合成部22は、制御部19からの番組表表示の指令に基づき、供給されたEPGデータと映像デコーダ14からの映像データとを合成、あるいは切り替え、映像音声出力部15へ出力する。これによって、ユーザは、希望に応じた番組表を見ることができる。
【0020】
さらに、サービス情報処理部21は、TSデコーダ12からのサービス情報に含まれるパレンタル情報を利用して、パレンタル制御、すなわち、視聴制限に関する処理も実行する。パレンタル情報は、例えば米国ではV−CHIPと呼ばれ、親など権限のあるユーザが子供などに対し、視聴させたくない番組の視聴を個別に制限するのに利用されている。また、デジタル放送では、このようなパレンタル情報は、パケット識別子などを格納したPMT(Program Map Table)や、サービス情報等を格納したEIT(Event Information Table)に、“content_advisory_descriptor”などと呼ばれる記述子の形態で格納されて送出される。“content_advisory_descriptor”には、視聴を制限する年齢など、視聴制限の各段階を示すレーティング(Rating)情報なども含まれている。具体的には、各番組はレーティング情報によって、例えば年齢に関係なく視聴してもよい番組や、13才以上であれば視聴してもよい番組などに分けられる。
【0021】
デジタル放送受信機では、このようなパレンタル情報によって一般的に次のような動作を行なう。すなわち、ユーザが所望の番組を選択すると、デジタル放送受信機は、その番組に関連するパレンタル情報を確認して、視聴制限された番組であるか否かを判定する。視聴制限されておれば、デジタル放送受信機は、ユーザに、例えばパスワード等の入力操作を要求する。デジタル放送受信機は、パスワードの認証が正しく行なえた場合、視聴制限を解除し、これにより、そのユーザは権限のあるユーザとして選択した番組を視聴することができる。また、パスワードを有しないユーザは、視聴制限を解除できず、その番組を視聴することができない。このようにして、視聴制限された番組において、デジタル放送受信機がユーザを選別するように動作することで、パレンタル制御が行なわれる。
【0022】
サービス情報処理部21は、このようなパレンタル制御に関する処理を行なうため、まず、ユーザの指示により視聴しようとする番組が、パレンタル規制、すなわち視聴制限された番組であるかどうかを判定し、判定結果を制御部19に通知する。制御部19は、判定結果に基づき、視聴制限された番組の場合には、ユーザに対しパスワード等の入力を要求する。制御部19は、このような処理を実行し、視聴制限を実行するかどうかの視聴制御情報をサービス情報処理部21に通知する。サービス情報処理部21は、制御部19からの視聴制御情報に基づきパレンタル制御信号を生成し、このパレンタル制御信号によりミュート部23を制御する。ミュート部23は、映像音声出力部15に対し、映像信号、及び音声信号を出力するか否かを制御する。すなわち、サービス情報処理部21からミュート部23に対し、視聴制限を実行するよう指示されたとき、ミュート部23が映像音声出力部15に対し、映像信号、及び音声信号の出力を停止するよう制御する。このようにして、視聴制限された番組を受信した場合、ユーザの権限に応じて選択的に番組の呈示が制御されるパレンタル制御が実現される。
【0023】
サービス情報処理部21は、以上のような機能を有しており、サービス情報処理部21は、TSデコーダ12などで構成される復元手段が復元した関連情報から、番組の呈示を制御するためのパレンタル情報である視聴制限情報を抽出する視聴制限情報抽出手段として機能する。
【0024】
さらに、本発明は、受信したデジタル放送から復元した映像データを、アナログ映像信号の標準方式であるNTSC(National Television System Committee)方式に準拠するコンポシットビデオ信号に変換し、このコンポシットビデオ信号をデジタル放送受信機外部に出力する機能を有することを特徴とする。なお、以下、NTSCコンポシットビデオ信号を出力するとして説明するが、他の方式であるPAL方式やSECAM方式に準拠したコンポシットビデオ信号を出力する構成であってもよい。また、特に、本発明では、出力するコンポシットビデオ信号のVBI(Vertical Blanking Interval)と呼ばれる垂直ブランキング期間に、上述したパレンタル情報を含む各種情報を挿入したコンポシットビデオ信号を出力することを特徴とする。
【0025】
合成部22から出力される映像データは、NTSCエンコーダ31に供給される。NTSCエンコーダ31は、供給された映像データをNTSC方式のコンポシットビデオ信号に変換する。さらに、変換されたコンポシットビデオ信号はVBI処理部32に供給される。また、NTSCエンコーダ31は、復元手段が復元した映像データを、アナログ映像信号へ変換する映像変換手段として機能する。
【0026】
VBI処理部32は、NTSCエンコーダ31から供給されるコンポシットビデオ信号のVBIの水平期間に各種情報をパケットとして挿入する処理を行なう。これにより、VBI処理部32からは、VBIに各種情報が重畳されたコンポシットビデオ信号が出力される。このコンポシットビデオ信号は、例えば、デジタル放送受信機外部の録画機器に接続され、アナログ録画に利用されたり、他のテレビジョン受信機等に接続され、他機器による視聴などに利用される。また、本実施の形態では、VBI処理部32は、次に説明するXDS情報生成部33からのXDSパケット情報を、VBIの所定の水平期間に挿入することを特徴とする。また、VBI処理部32は、視聴制限情報抽出手段としてのサービス情報処理部21が抽出したパレンタル情報、すなわち視聴制限情報に応じた情報を、NTSCエンコーダ31から出力されるアナログ映像信号へ重畳して出力する出力手段として機能する。
【0027】
サービス情報処理部21により抽出されたパレンタル情報は、XDS情報生成部33に供給される。XDS情報生成部33は、供給されたパレンタル情報に基づき、VBI処理部32から出力するコンポシットビデオ信号に対応したパレンタル情報を生成し、この生成したパレンタル情報をXDSパケット情報としてVBI処理部32に供給する。すなわち、XDS情報生成部33は、デジタル放送におけるパレンタル情報を、アナログ映像信号の標準方式に対応したパレンタル情報に変換する機能を有している。このような機能を実現するため、本発明では、パレンタル情報変換テーブル34をさらに備えている。
【0028】
パレンタル情報変換テーブル34は、デジタル放送の規格に基づくパレンタル情報とアナログ映像信号の標準方式に対応したパレンタル情報との対比をあらかじめ定めて記録した変換テーブルである。パレンタル情報変換テーブル34は、メモリ等で構成され、例えばデジタル放送規格の各レーティングに対応づけて、アナログ映像方式規格の各レーティングをデータとして記憶する。XDS情報生成部33は、このパレンタル情報変換テーブル34を参照し、サービス情報処理部21からのデジタル放送の規格に基づくパレンタル情報から、アナログ映像信号の標準方式に対応したパレンタル情報を含むXDSパケット情報を生成する。
【0029】
また、XDS情報生成部33、及びパレンタル情報変換テーブル34により、視聴制限情報抽出手段としてのサービス情報処理部21が抽出したパレンタル情報、すなわち視聴制限情報を、NTSCエンコーダ31により変換したアナログ映像信号の映像規格に対応したパレンタル情報である視聴制限情報に変換する視聴制限情報変換手段としての機能が実現される。
【0030】
なお、アナログ映像信号の標準方式において、VBIに各種情報を重畳し各種サービスを行なう一例として、例えば米国などでサービスが開始されつつあるXDS(Extended Data Services)と呼ばれる拡張データサービスがある。このXDSは、米国における規格であるEIA(Electronic Industries Association)−608に規定されている。このXDSのサービスの一つとして、パレンタル情報を含むXDSデータを利用したパレンタル制御がある。XDSにおいても、上述したようなレーティングデータが提供され、アナログテレビジョン放送の受信機や、記録されたアナログ映像信号を再生するDVDなどの録画再生機器における視聴制限に利用されている。
【0031】
XDSでは、NTSC方式のコンポシットビデオ信号において、VBI中の第2フィールドの21番目の水平走査線であるライン21上に、拡張データあるXDSデータが重畳される。これにより、例えばアナログテレビジョン放送では、パレンタル情報を含むXDSデータが多重化され、番組とともに伝送される。
【0032】
本実施の形態のXDS情報生成部33は、このようなXDSに基づくパレンタル情報を生成し、VBI処理部32が、XDS情報生成部33により生成されたパレンタル情報を含むXDSデータを、VBIのライン21上に挿入する。
【0033】
なお、本実施の形態では、このようなXDSに対応したデジタル放送受信機を挙げて説明するが、本発明は、このようなXDSに限定されず、VBIを利用したパレンタル制御に関するサービスに対し、各国や規格にそれぞれ対応させて適用することが可能である。特に、パレンタル情報変換テーブル34に複数の国や規格に対応させた情報をそれぞれ格納しておくことで、広範囲なパレンタル制御に関するサービスに容易に適用させることができる。
【0034】
以下、このように構成された本実施の形態のデジタル放送受信機の動作について説明する。
【0035】
図2は、本発明の第1の実施の形態のデジタル放送受信機を含むデジタル放送システムの構成を示す図である。図2に示すように、放送衛星91からの衛星波、放送送出装置92からの地上波、あるいはケーブル局のケーブル送出装置93からの放送波が送信されることでデジタル放送が行なわれる。送信されたこれらのデジタル放送電波は、各ユーザが所持するデジタル放送受信機等で受信され、デジタル放送の各番組がユーザに呈示される。図2では、デジタル放送電波を本デジタル放送受信機100で受信した一例を挙げている。ここでは、特に、本デジタル放送受信機100の特徴とする機能、すなわち、デジタル放送に付加されたパレンタル情報をアナログ映像信号の標準方式に対応したパレンタル情報に変換し、変換したパレンタル情報をコンポシットビデオ信号に重畳して出力するための機能を機能ブロックとして示している。
【0036】
デジタル放送システムにおいて、パレンタル情報は上述したEITやPMTに、“content_advisory_descriptor”と呼ばれる記述子として送出される。図3は、デジタル放送における各信号の様子を示した図である。図3に示すように、デジタル放送電波は、放送のためのデータ列がトランスポートストリームと呼ばれるビットストリームの形態で変調されて送出される。このようなデジタル放送電波は、チューナ11でトランスポートストリーム301に復元される。トランスポートストリーム301は、映像パケット314、音声パケット313、PMTパケット311、EITパケット312を含むパケット列で構成される。さらに、PMTパケット311、あるいはEITパケット312には、レーティング情報を含むcontent_advisory_descriptor400が格納されている。本発明の映像再生出力装置は、このcontent_advisory_descriptor400に格納されたレーティング情報などのパレンタル情報に基づき、XDSパケット情報を生成し、VBIに重畳してコンポシットビデオ信号を出力する。
【0037】
図2に示すように、デジタル放送受信機100は、まず、トランスポートストリーム301からEIT、及びPMTを抽出する。次に、デジタル放送受信機100は、EIT、あるいはPMTから、content_advisory_descriptor400を抽出し、現在受信中の番組におけるレーティング情報などを抽出する。このような受信したデジタル放送におけるレーティング情報を含めたパレンタル情報は、アナログ映像標準規格に対応したレーティング情報に変換される。さらに、変換されたレーティング情報がアナログコンポシットビデオ信号のVBIのライン21に重畳され、NTSCやPAL方式のコンポシットビデオ信号として出力される。
【0038】
次に、本発明の特徴とする、デジタル放送におけるパレンタル情報をアナログ映像信号の標準方式に対応したパレンタル情報に変換する動作について詳細に説明する。
【0039】
図4は、デジタル放送におけるcontent_advisory_descriptor400の構造を示す図である。また、図5は、XDSにおけるパレンタル情報に関するデータの詳細を示す図であり、図6は、さらに詳細なレーティング情報などを示した図である。また、図7は、本発明のパレンタル出力処理を示すフローチャートである。すなわち、図7では、図4に示すcontent_advisory_descriptor400に基づき、図5、図6に示すXDSの形式に対応したXDSパケットを生成し、アナログコンポシットビデオ信号にXDSパケットを重畳するまでの処理の手順を示している。
【0040】
以下、図7で示す手順を中心に、図4から図6までを参照しながら、本発明のパレンタル出力処理について説明する。
【0041】
図7のステップS710において、EIT、あるいはPMTから、content_advisory_descriptor400が抜き出される。すなわち、図1において、サービス情報処理部21が供給されたEIT、PMTの情報からcontent_advisory_descriptor400を抽出する。
【0042】
次に、ステップS712において、content_advisory_descriptor400から、rated_dimensions401が読み出される。すなわち、サービス情報処理部21は、抽出したcontent_advisory_descriptor400を解析し、まず、このrated_dimensions401を検出する。rated_dimensions401は、視聴制限の種類を示す情報である。このような視聴制限の種類として、例えば、米国の映画団体であるMPA(Motion Picture Association)の規格に基づく視聴制限や、米国テレビジョン(USTV)、あるいはカナダテレビジョンの規格に基づく視聴制限などがある。また、rated_dimensions401には、例えばMPAと米国テレビジョンというように複数種類の視聴制限が適応されているという情報も含まれる。
【0043】
次に、ステップS714において、rated_dimensions401で指定されたループ回数、すなわち、適応されている視聴制限の種類数の処理が終了したかどうかを確認する。ループ回数分の処理が終了した場合には、ステップS722に進む。また、ループ回数分の処理が終了しない場合には、ステップS716に進む。
【0044】
ステップS716において、content_advisory_descriptor400からrating_value402が読み出される。すなわちサービス情報処理部21は、content_advisory_descriptor400をさらに解析し、このrating_value402を検出する。rating_value402は、先に検出したrated_dimensions401により示される種類におけるレーティングの段階を示す情報である。
【0045】
次に、ステップS718において、検出したrated_dimensions401、及びrating_value402の基づき、XDSデータが生成される。すなわち、XDS情報生成部33は、パレンタル情報変換テーブル34を参照し、サービス情報処理部21からのデジタル放送の規格に基づくパレンタル情報としてのrated_dimensions401、及びrating_value402から、アナログ映像信号の標準方式に対応したパレンタル情報であるXDSデータを生成する。このようにして、XDSデータが生成される。
【0046】
次に、ステップS720において、生成したXDSデータを用いてXDSパケットが生成される。すなわち、XDS情報生成部33は、ステップS718で生成したXDSデータを図5に示すXDSパケットに対応したフォーマットに編集し、コンポシットビデオ信号に挿入するためのXDSパケット情報を生成する。
【0047】
以上、ステップS716からステップS720において、一つの視聴制限の種類に対応したXDSパケット情報が生成される。また、ステップS720の後、ステップS714に戻る。このようなステップS716からステップS720までの処理が、rated_dimensions401で指定された回数だけ繰り返される。
【0048】
さらに、ステップS722において、コンポシットビデオ信号のVBIにステップS720で生成したXDSパケット情報が重畳される。すなわち、VBI処理部32がXDS情報生成部33からのXDSパケット情報をVBIのライン21に挿入する。
【0049】
以上、図7に従った手順による処理を実行することにより、本発明の映像再生出力装置における映像再生出力方法が実現される。
【0050】
図8は、図7で説明したパレンタル処理の具体的な一例を示す図である。図8では、図7での各ステップに対応させた、具体的な一例を示している。また、図8では、説明を簡略にするために、MPAがPG−13、及びUSTVがTV−PGの場合の例を挙げている。
【0051】
まず、本デジタル放送受信機では、図7でのステップS710で示したように、図3のトランスポートストリーム301のPMT311、EIT312からcontent_advisory_descriptor400が抽出される。
【0052】
次に、図8のステップS712に示すように、content_advisory_descriptor400中のrated_dimensions401を参照して、トランスポートストリーム301に存在する視聴制限の種類を判定する。この例では、rated_dimensions401が「2」であり、これによってMPAとUSTVの2種類が用いられていることが検出される。また2種類が用いられていることより、2回のループ処理が必要であると判定される。
【0053】
1回目のループ処理において、MPAのパレンタル情報を入手する。図8では、MPAのrating_value402が「3」である例を挙げている。この場合、XDS情報生成部33は、図6(a)に示したような情報を格納したパレンタル情報変換テーブル34を参照し、その結果、“PG−13”ということがわかる。さらに、図5に示したXDSパケットのフォーマットを参照し、MPAの場合は、a1、a0は共に「0」とする。また、この場合は“PG−13”なので、r2は「0」、r1は「1」、r0は「1」ということがわかる。
【0054】
次に、2回目のループ処理において、USTVのパレンタル情報を入手する。図8では、USTVのrating_value402が「4」である例を挙げている。この場合には、XDS情報生成部33は、図6(b)に示したような情報を格納したパレンタル情報変換テーブル34を参照し、その結果、“TV−PG”ということがわかる。さらに、図5に示したXDSパケットのフォーマットを参照し、USTVの場合は、a1は「0」、a0は「1」とする。また、この場合は“TV−PG”なので、V、S、L、Dは全て「1」ということがわかる。
【0055】
このようにして、図8のステップS720で示すようなXDSパケットが生成される。なお、この例のように複数種類の視聴制限に対応する場合には、全ての種類のXDSパケットをVBI重畳する構成とするが、例えば、優先度をあらかじめ設定しておき優先度の高い方を選択したり、あるいは、ユーザにより選択できるようにしておき、選択された方をVBI重畳するような構成としてもよい。また、上述以外の視聴制限、例えば、“NC−17”、“X”、“TV−MA”の場合等については、上記説明と同様の処理がなされるため説明を省略する。また、図5(b)でのカナダで用いられる視聴制限の情報が使用された場合も、同様の方法で処理し、パレンタル情報をアナログVBIに重畳することが可能である。
【0056】
(第2の実施の形態)
図9は、本発明の第2の実施の形態に係る映像再生出力装置の構成例を示すブロック図である。第2の実施の形態においても、本発明の映像再生出力装置の一実施形態であるデジタル放送受信機の一例を挙げて説明する。なお、図9に示す第2の実施の形態では、図1でのXDS情報生成部33に代えて、VBI情報生成部43を設けているところが異なっている。また、図10は、本発明の第2の実施の形態のデジタル放送受信機を含むデジタル放送システムの構成を示す図である。
【0057】
以下、図9、及び図10を参照しながら、第2の実施の形態のデジタル放送受信機200の構成、及び動作について説明する。
【0058】
図9に示すように、VBI情報生成部43は、サービス情報処理部21からパレンタル情報に加えて、EAS(Emergent Alert System)情報、さらには映像デコーダ14からCC(Closed Caption)情報が供給される。なお、EASとは、竜巻等の緊急情報をTV放送に多重して送信するサービスのことである。
【0059】
VBI情報生成部43は、供給されたパレンタル情報、EAS情報、及びCC情報に基づき、VBI処理部32から出力するコンポシットビデオ信号に対応したパレンタル情報を格納したXDSパケット情報を生成するとともに、EAS情報やCC情報を格納したXDSパケット情報も生成する。すなわち、VBI情報生成部43は、図10に示すように、EAS情報やCC情報を、XDSパケットに対応するように編集する機能を有している。さらに、VBI情報生成部43は、生成したパレンタル情報、EAS情報、CC情報などを含むXDSパケットをVBI処理部32に供給する。また、VBI処理部32は、VBI情報生成部43により生成されたそれぞれのXDSパケットを、VBIのライン上に挿入する。これにより、本デジタル放送受信機200からは、パレンタル情報とともに、EAS情報やCC情報が重畳されたコンポシットビデオ信号が出力される。
【0060】
なお、本デジタル放送受信機200からは、パレンタル情報とともに、EAS情報とCC情報の双方の情報が重畳されてもよく、またいずれか一方でもよく、さらにはその他の情報との組合せであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、視聴者の子供が有害な映像を見ることを禁止することができ、また、竜巻等の緊急情報をTV放送に多重して送信された情報を視聴することができる。よって、本発明は、デジタル映像を受信しアナログ映像信号として出力する機能を有した機器に適用でき、このような機能を備えたデジタル放送受信機、STB、VCR、DVD、あるいはその他の機器に利用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る映像再生出力装置の構成例を示すブロック図
【図2】本発明の第1の実施の形態におけるデジタル放送システムの構成を示す図
【図3】デジタル放送における各信号の様子を示した図
【図4】デジタル放送におけるcontent_advisory_descriptorの構造を示す図
【図5】XDSにおけるパレンタル情報に関するデータの詳細を示す図
【図6】XDSにおけるさらに詳細を示した図
【図7】本発明におけるパレンタル出力処理を示すフローチャート
【図8】本発明の第1の実施の形態におけるパレンタル処理の具体的な一例を示す図
【図9】本発明の第2の実施の形態に係る映像再生出力装置の構成例を示すブロック図
【図10】本発明の第2の実施の形態におけるデジタル放送システムの構成を示す図
【図11】従来のデジタル放送受信機の構成を示すブロック図
【符号の説明】
【0063】
11 チューナ
12 TSデコーダ
13 音声デコーダ
14 映像デコーダ
15 映像音声出力部
18 ユーザ入力部
19 制御部
21,991 サービス情報処理部
22 合成部
23 ミュート部
31 NTSCエンコーダ
32 VBI処理部
33 XDS情報生成部
34 パレンタル情報変換テーブル
43 VBI情報生成部
91 放送衛星
92 放送送出装置
93 ケーブル送出装置
100,200 デジタル放送受信機
301 トランスポートストリーム
311 PMTパケット
312 EITパケット
313 音声パケット
314 映像パケット
400 content_advisory_descriptor
401 reted_dimensions
402 rating_value

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタル放送を受信する受信手段と、
前記受信手段が受信した前記デジタル放送から映像データ及び前記映像データに関する関連情報を復元する復元手段と、
前記復元手段が復元した前記関連情報から視聴制限情報を抽出する視聴制限情報抽出手段と、
前記復元手段が復元した前記映像データをアナログ映像信号へと変換する映像変換手段と、
前記視聴制限情報抽出手段が抽出した前記視聴制限情報を、前記映像変換手段が変換した前記アナログ映像信号へ重畳して出力する出力手段とを具備することを特徴とする映像再生出力装置。
【請求項2】
前記映像再生出力装置は、さらに、
前記視聴制限情報抽出手段が抽出した前記視聴制限情報を、前記映像変換手段が変換した前記アナログ映像信号の映像規格に対応した前記視聴制限情報に変換する視聴制限情報変換手段を具備し、
前記出力手段は、前記視聴制限情報変換手段が変換した前記アナログ映像信号の映像規格に対応した前記視聴制限情報を、前記映像変換手段が変換した前記アナログ映像信号へ重畳して出力することを特徴とする請求項1記載の映像再生出力装置。
【請求項3】
前記映像再生出力装置は、さらに、
前記デジタル放送における映像規格に基づいた視聴制限情報と、前記アナログ映像信号の映像規格に基づいた視聴制限情報とを記憶する視聴制限情報変換テーブルを具備し、
前記視聴制限情報変換手段は、前記視聴制限情報変換テーブルを参照して、前記視聴制限情報抽出手段が抽出した前記視聴制限情報を、前記映像変換手段が変換した前記アナログ映像信号の映像規格に基づいた視聴制限情報に変換することを特徴とする請求項2記載の映像再生出力装置。
【請求項4】
前記復元手段は、前記デジタル放送におけるトランスポートストリームに含まれるEIT(Event Information Table)、あるいはPMT(Program Map Table)から前記関連情報を復元し、
前記視聴制限情報抽出手段は、前記復元手段が復元した前記関連情報に含まれるcontent_advisory_descriptorを抽出し、
前記視聴制限情報変換手段は、前記視聴制限情報変換テーブルを参照して、前記content_advisory_descriptorに含まれる前記視聴制限情報を、前記アナログ映像信号の映像規格に基づいた視聴制限情報に変換することを特徴とする請求項3記載の映像再生出力装置。
【請求項5】
前記視聴制限情報変換手段は、前記content_advisory_descriptorに含まれる前記視聴制限情報を、EIA−608規格における拡張データサービスに基づいた視聴制限情報に変換することを特徴とする請求項4記載の映像再生出力装置。
【請求項6】
前記出力手段は、前記視聴制限情報変換手段が変換した前記アナログ映像信号の映像規格に対応した前記視聴制限情報とともに、前記復元手段が復元した前記関連情報に含まれる緊急情報としてのEAS(Emergent Alert System)情報を、前記映像変換手段が変換した前記アナログ映像信号へ重畳して出力することを特徴とする請求項2記載の映像再生出力装置。
【請求項7】
受信したデジタル放送から復元された映像データを、アナログコンポシットビデオ信号に変換して出力する映像再生出力方法であって、
前記映像データを前記アナログコンポシットビデオ信号に変換するステップと、
前記デジタル放送におけるトランスポートストリームに含まれるEIT(Event Information Table)、あるいはPMT(Program Map Table)を復元するステップと、
前記EIT(Event Information Table)、あるいは前記PMT(Program Map Table)に含まれるcontent_advisory_descriptorを抽出するステップと、
前記content_advisory_descriptorに含まれる視聴制限情報を抽出するステップと、
前記視聴制限情報を、アナログ映像信号の映像規格に基づいた視聴制限情報に変換するステップと、
前記アナログコンポシットビデオ信号の垂直ブランキング期間に、変換された前記視聴制限情報を重畳して出力するステップとを有したことを特徴とする映像再生出力方法。
【請求項8】
前記映像再生出力方法は、さらに、前記トランスポートストリームに含まれる緊急情報としてのEAS(Emergent Alert System)情報を、前記アナログコンポシットビデオ信号の垂直ブランキング期間に重畳して出力するステップとを有したことを特徴とする請求項7記載の映像再生出力方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2006−33677(P2006−33677A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−212717(P2004−212717)
【出願日】平成16年7月21日(2004.7.21)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】