説明

映像処理装置及びその制御方法、並びに映像出力装置及びその制御方法

【課題】 映像表示装置と映像出力装置の間でコンテンツデータを転送する際に適切な転送プロトコルを自動的に選択可能とする。
【解決手段】 映像表示装置200は、映像出力装置100が接続されると、映像出力装置100に蓄積されているコンテンツデータの情報を取得する。そして、取得した情報に基づき、自身でコンテンツデータを復号化可能か判定する。復号化可能でなければ、映像出力装置100で復号化してから転送するデータ転送方法を用いてコンテンツデータを転送するように映像出力装置100に要求する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像表示装置及びその制御方法、並びに映像出力装置及びその制御方法に関し、特には映像出力装置と映像表示装置との間のデータ転送方法の設定技術に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラやビデオカメラなどの映像出力装置をテレビなどの映像表示装置に接続して、カメラで撮影したコンテンツを視聴するユーザが増えている。このような機能を実現するため、装置を接続するインタフェースはファイル転送やストリーム転送など、複数の転送プロトコルをサポートし、必要に応じて使用するプロトコルを切り替えながら通信を行っている。
【0003】
装置のインタフェースが複数の転送プロトコルをサポートすることは、ユーザの選択肢が多いという利点がある反面、いずれかを選択しなければならないということでもある。また、転送プロトコルに詳しくないユーザにとっては選択が難しいという課題がある。
【0004】
特許文献1には、記憶装置とコンテンツ表示装置を接続した構成において、ユーザがアプリケーション上で選択した処理用途に応じて転送プロトコルを切り替える方法が開示されている。具体的には、ユーザがコンテンツ再生を要求するとストリーム転送プロトコルが、ドラッグ&ドロップ操作時にはファイル転送プロトコルが選択される。
【0005】
また、特許文献2には、映像音声再生装置がアナログ信号/デジタル信号の両方を出力可能である場合に、映像音声再生装置のアナログ出力/デジタル出力の有効状態とOSDの出力状態から推奨出力を判定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−236138号公報
【特許文献2】特開2003−304459号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に開示された技術では、ユーザ操作に応じて選択されるプロトコルが固定されている。例えばコンテンツ再生をする場合には常にストリーム転送プロトコルが選択される。
【0008】
そのため、操作されたデータの種別によっては問題が生じうる。例えば、テレビが内蔵するビューワアプリケーションを用いて映像コンテンツを視聴しようとしたユーザが、ビューワアプリケーションが対応していない形式の画像データをドラッグアンドドロップ操作した場合、ユーザはその画像データを視聴することができない。
この問題は、特許文献2に開示された技術でも解決できない。
【0009】
本発明はこのような従来技術の課題に鑑みなされたものであり、コンテンツデータを転送する際に適切な転送プロトコルを自動的に選択することが可能な映像表示装置及びその制御方法、並びに映像出力装置及びその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
すなわち、上述の目的は、複数の転送プロトコルのうちの1つを用いて、映像出力装置からコンテンツデータを取得し、表示する映像表示装置であって、映像出力装置から、少なくとも符号化方式についての情報を含む、コンテンツデータの情報を取得する第1の取得手段と、第1の取得手段が取得した符号化方式についての情報に基づいて、コンテンツデータを映像表示装置で復号化可能であるか否かを判定する第1の判定手段と、第1の判定手段により、コンテンツデータを映像表示装置で復号化可能でないと判定された場合には、映像出力装置でコンテンツデータを復号化してから転送する転送プロトコルを、複数の転送プロトコルの中から決定する決定手段と、決定手段が決定した転送プロトコルを指定して、コンテンツデータの転送を映像出力装置に要求する要求手段とを有することを特徴とする映像表示装置によって達成される。
【0011】
また、上述の目的は、蓄積装置に蓄積したコンテンツデータを、複数の転送プロトコルのうちの1つを用いて映像表示装置に出力する映像出力装置であって、映像表示装置から、映像表示装置が蓄積しているコンテンツデータについて、少なくとも符号化方式についての情報を取得する第1の取得手段と、第1の取得手段が取得した符号化方式についての情報に基づいて、映像表示装置で復号化可能な符号化方式を判定する第1の判定手段と、蓄積装置に蓄積したコンテンツデータの符号化方式が第1の判定手段により映像表示装置で復号化可能な符号化方式でないと判定された場合には、映像出力装置でコンテンツデータを復号化してから転送する転送プロトコルを、複数の転送プロトコルの中から決定する決定手段と、決定手段が決定した転送プロトコルを、映像表示装置に通知する通知手段とを有することを特徴とする映像出力装置によっても達成される。
【0012】
また、上述の目的は、複数の転送プロトコルのうちの1つを用いて、映像出力装置からコンテンツデータを取得し、表示する映像表示装置の制御方法であって、映像出力装置から、少なくとも符号化方式についての情報を含む、コンテンツデータの情報を取得する第1の取得ステップと、第1の取得ステップで取得された符号化方式についての情報に基づいて、コンテンツデータを映像表示装置で復号化可能であるか否かを判定する第1の判定ステップと、第1の判定ステップにより、コンテンツデータを映像表示装置で復号化可能でないと判定された場合には、映像出力装置でコンテンツデータを復号化してから転送する転送プロトコルを、複数の転送プロトコルの中から決定する決定ステップと、決定ステップで決定された転送プロトコルを指定して、コンテンツデータの転送を映像出力装置に要求する要求ステップとを有することを特徴とする映像表示装置の制御方法によっても達成される。
【0013】
また、本発明の別の要旨は、蓄積装置に蓄積したコンテンツデータを、複数の転送プロトコルのうちの1つを用いて映像表示装置に出力する映像出力装置の制御方法であって、映像表示装置から、映像表示装置が蓄積しているコンテンツデータについて、少なくとも符号化方式についての情報を取得する第1の取得ステップと、第1の取得ステップで取得された符号化方式についての情報に基づいて、映像表示装置で復号化可能な符号化方式を判定する第1の判定ステップと、蓄積装置に蓄積したコンテンツデータの符号化方式が第1の判定ステップにより映像表示装置で復号化可能な符号化方式でないと判定された場合には、映像出力装置でコンテンツデータを復号化してから転送する転送プロトコルを、複数の転送プロトコルの中から決定する決定ステップと、決定ステップで決定された転送プロトコルを、映像表示装置に通知する通知ステップとを有することを特徴とする映像出力装置の制御方法によっても達成される。
【発明の効果】
【0014】
このような構成により、本発明によれば、映像出力装置から映像表示装置にコンテンツデータを転送する際に適切な転送プロトコルを自動的に選択することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る映像表示装置並びに映像出力装置を通信可能に接続して構成されたコンテンツデータ転送システムの構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る映像表示装置と映像出力装置とが接続された際の映像表示装置における表示状態の例を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る映像表示装置が表示するビューワアプリケーションの起動設定画面の例を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施形態において、シンク側装置200からソース側装置100に対して転送プロトコルを指定する際の通信手順を説明するシーケンス図である。
【図5】図4のS413における転送方法の決定処理の詳細を説明するフローチャートである。
【図6】図5のS506で行われるGUI描画性能に基づく転送方法判断処理の詳細を説明するフローチャートである。
【図7】本発明の第2の実施形態において、シンク側装置200からソース側装置100に対して転送プロトコルを指定する際の通信手順を説明するシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1の実施形態)
以下、添付図面を参照して、本発明を好適かつ例示的な実施形態に基づき詳細に説明する。
なお、実施形態に記載されている特定の構成部品やその機能、形状、相対配置などは、限定的な記載がない限り例示であり、本発明の範囲を限定する意図はない。
【0017】
図1は本発明の第1の実施形態に係る映像表示装置並びに映像出力装置を通信可能に接続して構成されたコンテンツデータ転送システムの構成例を示すブロック図である。
図1において、映像出力装置100(以下、ソース側装置と記す)と映像表示装置200(以下、シンク側装置と記す)は接続線300を介して通信可能に接続される。
【0018】
本実施形態において、ソース側装置100は例えばカメラとする。ソース側装置100の制御部101は、下記の各部を統括的に制御する。
撮像部102は、被写体像を結像するためのレンズと、レンズが結像した被写体像を画素単位の電気信号に変換する撮像素子と、撮像素子が出力する電気信号をA/D変換して画素データを出力するA/D変換器を備える。画素データは信号処理部103に入力される。
【0019】
信号処理部103は、レベル補正部、ホワイトバランス補正部、γ補正部、色処理部、色差変換部、符号化/復号化部から構成される。信号処理部103は、撮像部102から入力された画素データに対し、設定に従った信号処理を適用し、RAWデータ、もしくはJPEGデータの形式でバス107を介して蓄積部104へ蓄積する。
【0020】
蓄積時のデータフォーマットは、例えばユーザにより設定可能で、撮影された同一シーンのコンテンツに対して単一のデータフォーマットで蓄積するように設定したり、撮影された同一シーンのコンテンツを複数の異なるデータフォーマットで蓄積するように設定することも可能である。
【0021】
蓄積部104は、記憶装置を備え、蓄積されているコンテンツデータについて、記憶場所(ディレクトリ)情報、符号化方式、フレーム周波数、データフォーマット情報、画像サイズ情報などをコンテンツプロファイルとして管理する。
【0022】
GUI生成部105は、撮影日時やファイル名といったコンテンツ情報や、ソース側装置100もしくはシンク側装置200の操作ガイドといった文字図形情報をビデオメモリのGUI用プレーンに描画する。そして、信号処理部103により復号化したコンテンツの映像信号に合成して外部I/F部106に出力する。
【0023】
外部I/F部106は、後述する転送制御方法に基づいて、シンク側装置200との間でストリーム転送、ファイル転送を実行する。
本実施形態において、外部I/F部106は、ストリーム転送時にはGUI生成部105を通じてユーザから指定されたコンテンツの映像信号をシンク側装置200へ出力する。また、ファイル転送時には蓄積部104から取得したコンテンツデータをファイル単位でシンク側装置200へ出力する。コンテンツデータがシンク側装置200にファイル転送された場合には、シンク側装置200でコンテンツデータの復号化処理を行う必要がある。
【0024】
本実施形態において、シンク側装置200はデジタルテレビであり、放送信号を受信して映像信号及び音声信号を出力する受信部201と、この受信部201から取得した映像信号及び音声信号をコンテンツデータとして蓄積する蓄積部202とを有する。
【0025】
外部I/F部203は、ストリーム転送時にはソース側装置100から入力された外部入力の映像信号及び音声信号を、バス212を介して出力部205へ出力する。ファイル転送時には、ソース側装置100から受信したデータを所定のファイル単位でコンテンツデータとして蓄積部202へ蓄積する。
【0026】
信号処理部204は、蓄積部202からコンテンツの映像信号及び音声信号を取得し、出力部205を介して表示部206と音声出力部207へ出力する。
GUI生成部208は、撮影日時やファイル名といったコンテンツ情報やシンク側装置200の操作ガイドといった文字図形情報をシンク側装置200のビデオメモリのGUI用プレーンに描画する。そして、信号処理部204により復号化したコンテンツの映像信号に合成して出力部205に出力する。また、GUI生成部208は、シンク側装置200のメニューや放送信号を通じて受信した番組情報の表示など、他のGUIについても描画出力する。
【0027】
ユーザがリモコン209を操作すると、操作内容は操作入力部210が受信し、制御部211に出力する。制御部211は、リモコン209のキー操作を、ストリーム転送時にはソース側装置を制御するためのパススルーコマンドとして、接続線300を介してソース側装置100へ送信する。一方、ファイル転送時には、リモコン209のキー操作を、シンク側装置200の動作を指示するキー操作として処理するか、ソース側装置100のディレクトリ操作や検索等の要求を行う制御コマンドとして変換し、接続線300を介して送信する。ソース側装置100は、受信コマンドに応じて適切な処理を実行し、必要に応じてシンク側装置200へ処理結果を返す。
【0028】
本実施形態において、外部I/F部106及び203は、少なくともファイル転送とストリーム転送の転送プロトコルをサポートするものとするが、他のプロトコルをサポートしても良い。また、接続線300は有線に限らず無線であっても良い。
【0029】
次に、本実施形態におけるソース側装置としてのデジタルカメラ100をシンク側装置としてのデジタルテレビ200に接続したときの動作について説明する。
ユーザが外部I/F部106及び203を接続線300で接続することにより、シンク側装置200にソース側装置100を接続すると、シンク側装置200のGUI生成部208は、ソース側装置100の操作を開始するためのアイコンを表示部206に表示する(図2)。図2の例では、アイコン213が、ソース側装置100の操作を開始するためのアイコンである。
【0030】
ユーザがリモコン209を用いて、アイコン213を押下する操作を行うと、ソース側装置100の操作開始が要求されたものとして、シンク側装置200の制御部211は、外部I/F部203を通じてソース側装置100に対して電源オン要求のコマンドを送信する。また、制御部211は、例えば蓄積部202に記憶されているビューワアプリケーションを読み出し、起動する。さらに制御部211は、後述するように、ソース側装置100に対して転送プロトコルを指定する。
【0031】
本実施形態において、シンク側装置200が実行可能なビューワアプリケーションには、
(1)ソース側装置100で復号化しストリーム転送で入力された外部入力信号を表示出力するための外部入力ビューワアプリケーション、
(2)ファイル転送されて蓄積部202に蓄積されているコンテンツデータを信号処理部204で復号化して表示出力するための内部ビューワアプリケーション、
があるものとする。
【0032】
ここで、操作開始要求に応答してどちらのビューワアプリケーションを起動するかは、ユーザにより設定可能である。例えば、ソース側装置としてのカメラ100を初めてシンク側装置200に接続した際にGUI生成部208が設定画面を表示部206に表示し、ユーザに設定させてもよい。図3は、ビューワアプリケーションの起動設定画面の例を示す図である。
【0033】
起動設定画面には、選択可能な項目として、オート301、外部入力ビューワ302、内部ビューワ303が含まれる。ユーザはリモコンの上下キーによるフォーカス移動と、決定操作によりいずれか1つの項目を指定し、シンク側装置200に指示できる。説明ダイアログ304はフォーカスされている設定項目の概要を説明するもので、ユーザは、説明ダイアログ304を参照して、より詳細に各項目の内容を把握することが可能である。起動設定画面から指定された項目に対応する起動設定は、例えば蓄積部202に記憶される。
【0034】
ユーザが項目「外部入力ビューワ」を指定した場合、ユーザが次にシンク側装置200とソース側装置100とを接続した場合、シンク側装置200は外部入力ビューワアプリケーションを起動し、ソース側装置100に対してストリーム転送を要求する。
【0035】
一方、「内部ビューワ」が指定されると、ユーザが次にシンク側装置200とソース側装置100とを接続した場合、シンク側装置200は内部ビューワアプリケーションを起動し、ソース側装置100に対してファイル転送を要求する。
ここで、「オート」が指定されると、以下に説明する手順により、ソース側装置100に対して要求する転送プロトコルとして、ストリーム転送プロトコルとファイル転送プロトコルのうち適切なプロトコルを自動的に決定する。
【0036】
図4は、シンク側装置200からソース側装置100に対して転送プロトコルを指定する際の通信手順を説明するシーケンス図である。
シンク側装置200の制御部211は、ソース側装置100が接続されたことを外部I/F部203を通じて検知すると(S401、S402)、機器種別を確認する為のコマンドをソース側装置100へ送信する(S403)。このコマンドを受信したソース側装置100の制御部101は、機器種別をレスポンスとして返す(S404)。この時、制御部211は外部I/F部203に接続された機器がカメラであることを確認できる。
【0037】
制御部211はさらに、ソース側装置100に対して機器情報を問い合わせるコマンドを送信し(S405)、これに対して制御部101は製造元、シリアル番号、ファームウェアのバージョン等の機器情報をレスポンスとして返す(S406)。
【0038】
次に、制御部211は、ソース側装置100に対して、対応する転送プロトコルを問い合わせ(S407)、制御部101は対応する転送プロトコルをレスポンスとして返す(S408)。制御部211はこのレスポンスによって、ソース側装置100がストリーム転送やファイル転送に対応していることを確認できる。
【0039】
次に第1の取得手段としての制御部211は、ソース側装置100に対し、蓄積しているコンテンツデータのプロファイルを問い合わせ(S409)、制御部101は各コンテンツデータの蓄積部104から読み出したプロファイルをレスポンスとして返す(S410)。上述の通り、コンテンツプロファイルには、コンテンツデータの符号化方式や保存形式としてのファイルフォーマット、画素数、フレーム周波数等が含まれる。
【0040】
さらに、第2の取得手段としての制御部211は、ソース側装置100に対し、GUI描画性能に関する情報を問い合わせる(S411)。ソース側装置100の制御部101は、GUI生成部105に関する情報、例えばGUIプレーンの幅/高さ、表示色のビット深さ、また描画するアイコンなどの元画像データの階調数等、特に画質に関わる情報をレスポンスとして返す(S412)。
【0041】
ここまでの処理が終了すると、シンク側装置200の制御部211は、ソース側装置100から取得した情報に基づいて転送プロトコルを決定する(S413)。そして、コンテンツ視聴の為のビューワアプリケーションを起動し、決定した転送プロトコルをソース側装置100に対して指定する。転送方法の決定プロセスについては後述する。
【0042】
シンク側装置200の制御部211は、転送プロトコルとしてストリーム転送プロトコルを使用すると決定した場合には、外部入力ビューワアプリケーションを起動し(S414)、ソース側装置100からストリーム転送されたコンテンツデータを表示再生する(S415、S416)。
【0043】
一方、ファイル転送プロトコルを使用すると決定した場合、制御部211は内部ビューワアプリケーションを起動し(S417)、ソース側装置100の蓄積部104に蓄積されているコンテンツデータのディレクトリ情報を問い合わせるコマンドを送信する(S418)。このコマンドを受信した制御部101は、コンテンツデータのディレクトリ情報をレスポンスとしてシンク側装置200に返す(S419)。
【0044】
制御部211は、受信したディレクトリ情報に基づき、ソース側装置100に対してファイル転送を要求する(S420)。ファイル転送を要求されたソース側装置100の制御部101は、シンク側装置200に対してコンテンツデータを順次転送する(S421)。
【0045】
図5は、図4のS413における転送方法の決定処理の詳細を説明するフローチャートである。
第1の判定手段としての制御部211は、S410で取得したコンテンツプロファイルに含まれる、符号化方式に関する情報から、コンテンツデータが、信号処理部204で復号可能な形式であるかどうかを判定する(S502)。
【0046】
信号処理部204で復号可能と判定される場合(S503,Yes)、制御部211はシンクDecoder Flag(以下、シンクDec.Flag)=1、ソースDecoder Flag(以下、ソースDec.Flag)=1に設定する(S504)。
【0047】
そして、GUI描画性能に基づく転送方法判断処理を実行する(S506)。詳細については後述するが、この転送方法判断処理において、シンクGUI Flag、ソースGUI Flagが設定される。制御部211は、シンクDec.Flag、ソースDec.Flag、シンクGUI Flag及びソースGUI Flagの値に応じて、転送方法(転送プロトコル)を決定する。
【0048】
一方、信号処理部204で復号化可能でないと判定される場合(S503,No)、制御部211はシンクDec.Flag=0、ソースDec.Flag=1に設定する(S505)。
そして、制御部211は、S507で、転送方法をストリーミング転送に決定する。
S508で制御部211は、決定した転送方法(転送プロトコル)に対応したビューワアプリケーションを起動し、ソース側装置100に対してデータ転送を要求する。
【0049】
図6は、図5のS506で行われるGUI描画性能に基づく転送方法判断処理の詳細を説明するフローチャートである。
第2の判定手段としての制御部211は、S409で取得したコンテンツプロファイルに基づき、コンテンツデータを表示出力する際にシンク側装置200でのフォーマット変換が必要かどうかを判定する(S602)。ここで、フォーマット変換には、アスペクト比の変換やインタレース−プログレッシブ変換(IP変換)等が含まれる。
【0050】
フォーマット変換が必要と判定される場合、制御部211はシンクGUI Flag=1、ソースGUI Flag=0を設定する(S607)。
フォーマット変換が不要と判定される場合、制御部211は、シンク側装置200の映像信号の処理能力はソース側装置100と同等と判断する。そして、比較手段としての制御部211は、S412で取得したソース側装置のGUI描画性能と、シンク側装置のGUI描画性能とを比較する(S604)。
【0051】
制御部211は比較の結果、描画性能が同等と判断される場合(S604,Yes)は、シンクGUI Flag=1、ソースGUI Flag=1に設定する(S605)。ここで、GUI描画性能が同等とは、完全な同一に限定されず、例えば、GUIプレーンの幅/高さ、データ描画時の階調数やビット深さの差が、予め定られた範囲内である場合であってよい。
【0052】
一方、描画性能が同等でないと判断される場合(S604,No)には、制御部211は、シンク側装置200のGUI描画性能(GUI生成部208の性能)の方が高いか判定する(S606)。
【0053】
シンク側装置200のGUI描画性能の方が高いと判定される場合(S606,Yes)、制御部211はシンクGUI Flag=1、ソースGUI Flag=0に設定する(S607)。一方、シンク側装置200のGUI描画性能の方が低いと判定される場合(S606,N0)、制御部211はシンクGUI Flag=0、ソースGUI Flag=1に設定する(S608)。ここで、描画性能が低いとは、GUIプレーンの幅又は高さが小さい場合や、階調数が低い場合、ビット深さが浅い場合であってよい。
【0054】
そして、制御部211は、シンクDec.Flag、ソースDec.Flag、シンクGUI Flag及びソースGUI Flagの値に応じて、転送方法(転送プロトコル)を決定する(S609)。
【0055】
表1に、本実施形態における、シンクDec.Flag、ソースDec.Flag、シンクGUI Flag及びソースGUI Flagの値と、決定される転送方法との関係を示す。
【0056】
【表1】

【0057】
ここで、全てのフラグが1の場合、すなわち、
・コンテンツデータがシンク側装置200で復号化可能、
・シンク側装置200でのフォーマット変換が不要、
・GUI描画性能がシンク側装置200とソース側装置100とで同等、
の全条件を満たす場合は、ストリーム転送、ファイル転送のどちらに決定しても良いことを示している。例えば、ストリーム転送を予めデフォルトで設定している場合は、ストリーム転送に決定されることになる。
【0058】
その他は、シンク側装置200で復号化可能で、シンク側装置200のGUI描画性能の方がソース側装置100のGUI描画性能より高い場合を除き、ストリーム転送に決定される。
【0059】
そのため、シンク側装置200で復号化できないコンテンツデータは、ストリーム転送が要求されるため、ソース側装置100が復号化した映像がシンク側装置200で可能となり、ユーザが視聴可能となる。
【0060】
また、シンク側装置200で復号化できる場合には、GUIの描画性能に差があれば、GUIの描画性能の高い側で復号化を行うように転送方法を決定することで、ユーザは、高画質のGUIを視聴並びに操作することができる。
【0061】
このように、本実施形態によれば、シンク側装置(映像表示装置)でソース側装置(映像出力装置)が有するコンテンツデータを復号化できるか否かに応じてコンテンツデータを転送する際に適切な転送プロトコルを自動的に選択することが可能となる。
【0062】
さらに、シンク側装置がコンテンツデータを復号化可能な場合には、ソース側装置とシンク側装置のGUI描画性能が高い方で復号化するように転送プロトコルを決定することで、ユーザに画質の高いGUIを提供することも可能になる。
【0063】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
第1の実施形態ではシンク側装置が転送方法(転送プロトコル)を決定し、決定した転送方法をソース側装置に要求する構成について説明を行った。これに対し、本実施形態では、ソース側装置が転送方法(転送プロトコル)を決定する構成である点で異なる。
【0064】
本第2の実施形態では、シンク側装置200がサポートするフォーマットと、シンク側装置200のGUI描画性能に基づいてソース側装置100が転送方法を決定し、決定した転送方法をシンク側装置200に通知することを特徴とする。シンク側装置200はソース側装置100から通知された転送方法に基づいて適切なビューワアプリケーションを起動し、ソース側装置100に転送方法を指定する。
【0065】
図7は、シンク側装置200が、ソース側装置100から通知される転送プロトコルをソース側装置100に対して指定する際の通信手順を説明するシーケンス図である。図7において、図4と同等の手順には同じ参照数字を付し、重複する説明を省略する。
シンク側装置200がソース側装置100の接続を検知し、機器種別の問い合わせを行うまでの処理(S401〜S403)は第1の実施形態と共通である。
【0066】
ソース側装置100の制御部101は、シンク側装置200からの機器種別の問い合わせ(S401)により、シンク側装置200が接続されたことを検知する。そして、ソース側装置100の制御部101は、シンク側装置200へ自身の機種種別の回答を返すと(S404)、続いてシンク側装置200に対して機器情報を問い合わせるコマンドを送信する(S705)。
これに対し、シンク側装置200の制御部211は、製造元、シリアル番号、ファームウェアのバージョン等の情報をレスポンスとして返す(S706)。
【0067】
以降、GUI描画性能の問い合わせ(S711)およびそれに対するレスポンス(S712)までは、第1の実施形態におけるS407〜S412と、コマンドとそれに対するレスポンスの送信方向が逆転する他は、同等の処理を行う(S707〜S712)。
【0068】
この一連の処理において、ソース側装置100の制御部101は、シンク側装置200が対応可能な転送プロトコル(S708)、シンク側装置200が蓄積する各コンテンツデータのプロファイル(S710)、シンク側装置200のGUI描画性能(S712)をそれぞれ取得する。
【0069】
ここまでの処理が終了すると、ソース側装置100の制御部101は、S706〜S712の処理で取得した情報に基づいて転送方法を決定し(S713)、決定した転送方法をシンク側装置200に通知する(S714)。なお、シンク側装置200で復号化可能な符号化方式については、取得したコンテンツプロファイルから推定することができる。すなわち、シンク側装置200が蓄積しているコンテンツデータは、シンク側装置200で復号化可能な形式であるものと見なし、コンテンツプロファイル中の符号化方式に関する情報に基づいて、シンク側装置200で復号化可能な形式か否かを判定する。
【0070】
転送方法の決定方法は第1の実施形態におけるS413と同様である。従って、ソース側装置100の蓄積部104に蓄積しているコンテンツデータをシンク側装置200の信号処理部204が復号化できない場合にはストリーム転送が決定される。また、シンク側装置200の信号処理部204で復号化できる場合には、GUI描画性能の高い方で再生できるように転送方法を決定する。
S714で転送方法が通知された後の処理は、第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0071】
本実施形態によっても、第1の実施形態と同様、コンテンツデータを転送する際に適切な転送プロトコルを自動的に選択することが可能となる。さらにはGUIも良い画質で視聴可能となる。
【0072】
(他の実施形態)
上述の実施形態においては、コンテンツデータをシンク側装置(映像表示装置)が復号化可能である場合、さらにGUI描画性能を考慮して転送プロトコルを決定していた。しかしながら、GUI描画性能の考慮は本発明において必須ではない。シンク側装置が復号化できない形式のコンテンツデータであれば、ソース側装置で復号化してから転送するプロトコルを自動選択することにより、少なくともコンテンツが視聴できないという課題は解消することができる。
【0073】
また、上述の実施形態では、シンク側装置でフォーマット変換が必要か否かを考慮し、フォーマット変換不要の場合のみGUI描画性能を考慮する構成を説明したが、フォーマット変換の要否を考慮せずに、直接GUI描画性能を考慮してもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の転送プロトコルのうちの1つを用いて、映像出力装置からコンテンツデータを取得し、表示する映像表示装置であって、
前記映像出力装置から、少なくとも符号化方式についての情報を含む、コンテンツデータの情報を取得する第1の取得手段と、
前記第1の取得手段が取得した符号化方式についての情報に基づいて、前記コンテンツデータを前記映像表示装置で復号化可能であるか否かを判定する第1の判定手段と、
前記第1の判定手段により、前記コンテンツデータを前記映像表示装置で復号化可能でないと判定された場合には、前記映像出力装置で前記コンテンツデータを復号化してから転送する転送プロトコルを、前記複数の転送プロトコルの中から決定する決定手段と、
前記決定手段が決定した転送プロトコルを指定して、前記コンテンツデータの転送を前記映像出力装置に要求する要求手段とを有することを特徴とする映像表示装置。
【請求項2】
前記第1の判定手段により、前記コンテンツデータを前記映像表示装置で復号化可能であると判定された場合に、前記コンテンツデータのフォーマット変換が前記映像表示装置で必要であるか否かを判定する第2の判定手段をさらに有し、
前記決定手段が、前記第2の判定手段により、前記コンテンツデータのフォーマット変換が前記映像表示装置で必要であると判定された場合には、前記映像出力装置で前記コンテンツデータを復号化してから転送する転送プロトコルを、前記複数の転送プロトコルの中から決定することを特徴とする請求項1記載の映像表示装置。
【請求項3】
前記映像表示装置に表示するGUIを生成するGUI生成手段と、
前記映像出力装置におけるGUI描画性能を前記映像出力装置から取得する第2の取得手段と、
前記第1の判定手段により、前記コンテンツデータを前記映像表示装置で復号化可能であると判定された場合に、前記第2の取得手段が取得した前記映像出力装置におけるGUI描画性能と、前記GUI生成手段のGUI描画性能とを比較する比較手段とをさらに有し、
前記決定手段が、前記比較手段により、前記映像出力装置におけるGUI描画性能の方が前記GUI生成手段の描画性能より高いと判定された場合には、前記映像出力装置で前記コンテンツデータを復号化してから転送する転送プロトコルを、前記複数の転送プロトコルの中から決定することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の映像表示装置。
【請求項4】
前記決定手段が、前記比較手段により、前記GUI生成手段の描画性能の方が前記映像出力装置におけるGUI描画性能より高いと判定された場合には、前記映像出力装置では前記コンテンツデータを復号化せずに転送する転送プロトコルを、前記複数の転送プロトコルの中から決定することを特徴とする請求項3記載の映像表示装置。
【請求項5】
蓄積装置に蓄積したコンテンツデータを、複数の転送プロトコルのうちの1つを用いて映像表示装置に出力する映像出力装置であって、
前記映像表示装置から、前記映像表示装置が蓄積しているコンテンツデータについて、少なくとも符号化方式についての情報を取得する第1の取得手段と、
前記第1の取得手段が取得した符号化方式についての情報に基づいて、前記映像表示装置で復号化可能な符号化方式を判定する第1の判定手段と、
前記蓄積装置に蓄積したコンテンツデータの符号化方式が前記第1の判定手段により前記映像表示装置で復号化可能な符号化方式でないと判定された場合には、前記映像出力装置で前記コンテンツデータを復号化してから転送する転送プロトコルを、前記複数の転送プロトコルの中から決定する決定手段と、
前記決定手段が決定した転送プロトコルを、前記映像表示装置に通知する通知手段とを有することを特徴とする映像出力装置。
【請求項6】
複数の転送プロトコルのうちの1つを用いて、映像出力装置からコンテンツデータを取得し、表示する映像表示装置の制御方法であって、
前記映像出力装置から、少なくとも符号化方式についての情報を含む、コンテンツデータの情報を取得する第1の取得ステップと、
前記第1の取得ステップで取得された符号化方式についての情報に基づいて、前記コンテンツデータを前記映像表示装置で復号化可能であるか否かを判定する第1の判定ステップと、
前記第1の判定ステップにより、前記コンテンツデータを前記映像表示装置で復号化可能でないと判定された場合には、前記映像出力装置で前記コンテンツデータを復号化してから転送する転送プロトコルを、前記複数の転送プロトコルの中から決定する決定ステップと、
前記決定ステップで決定された転送プロトコルを指定して、前記コンテンツデータの転送を前記映像出力装置に要求する要求ステップとを有することを特徴とする映像表示装置の制御方法。
【請求項7】
蓄積装置に蓄積したコンテンツデータを、複数の転送プロトコルのうちの1つを用いて映像表示装置に出力する映像出力装置の制御方法であって、
前記映像表示装置から、前記映像表示装置が蓄積しているコンテンツデータについて、少なくとも符号化方式についての情報を取得する第1の取得ステップと、
前記第1の取得ステップで取得された符号化方式についての情報に基づいて、前記映像表示装置で復号化可能な符号化方式を判定する第1の判定ステップと、
前記蓄積装置に蓄積したコンテンツデータの符号化方式が前記第1の判定ステップにより前記映像表示装置で復号化可能な符号化方式でないと判定された場合には、前記映像出力装置で前記コンテンツデータを復号化してから転送する転送プロトコルを、前記複数の転送プロトコルの中から決定する決定ステップと、
前記決定ステップで決定された転送プロトコルを、前記映像表示装置に通知する通知ステップとを有することを特徴とする映像出力装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−38820(P2013−38820A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−229237(P2012−229237)
【出願日】平成24年10月16日(2012.10.16)
【分割の表示】特願2008−25737(P2008−25737)の分割
【原出願日】平成20年2月5日(2008.2.5)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】