説明

映像投射装置、複数の光源の制御方法、および、制御プログラム

【課題】設定された投射映像の明るさに応じて複数の光源の全体の光量を制御可能な映像投射装置を提供する。
【解決手段】映像投射装置は、映像信号を入力する入力手段と、映像信号を光信号に変調して投射映像を生成する光変調手段と、複数の光源のそれぞれの点灯状態を制御する光源点灯手段と、投射映像の明るさを調整する明るさ調整手段と、明るさ調整手段により設定された投射映像の明るさが増加した場合、複数の光源の全体の光量が増加するように光源点灯手段を制御する制御手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投射映像の明るさを設定可能な映像投射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プロジェクタは、ランプからの光を液晶などにより変調することで、映像端子に入力された映像信号を投射する。2つのランプを用いたプロジェクタは、明るい投射映像が得られるように両方のランプを点灯させて用いられるが、投射環境によっては1つのランプのみを点灯させて用いることにより、明るさを抑えた投射が可能となる。1つのランプのみによる投射に切り替えることで、消費電力を抑制してランプの寿命を延ばすことができ、また、発熱量の低下によりファン速度を落として低騒音化を図ることができる。例えば特許文献1には、従来のプロジェクタの構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−338601号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
投射映像の明るさは、各ランプの点灯状態と動作モードの組み合わせにより決定されるが、従来のプロジェクタにおいて、ユーザにより設定された投射映像の明るさが各ランプの点灯状態や動作モードと関連付けられていない。
【0005】
そこで本発明は、設定された投射映像の明るさに応じて複数の光源の全体の光量を制御可能な映像投射装置、複数の光源の制御方法、および、制御プログラムを提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面としての映像投射装置は、映像信号を入力する入力手段と、前記映像信号を光信号に変調して投射映像を生成する光変調手段と、複数の光源のそれぞれの点灯状態を制御する光源点灯手段と、前記投射映像の明るさを調整する明るさ調整手段と、前記明るさ調整手段により設定された前記投射映像の明るさが増加した場合、前記複数の光源の全体の光量が増加するように前記光源点灯手段を制御する制御手段とを有する。
【0007】
本発明の他の側面としての映像投射装置は、映像信号を入力する入力手段と、前記映像信号を光信号に変調して投射映像を生成する光変調手段と、複数の光源のそれぞれの光量を制御する光量制御手段と、前記投射映像の明るさを調整する明るさ調整手段と、前記明るさ調整手段により設定された前記投射映像の明るさが増加した場合、前記複数の光源の全体の光量が増加するように前記光量制御手段を制御する制御手段とを有する。
【0008】
本発明の他の側面としての複数の光源の制御方法は、映像信号を入力するステップと、前記映像信号を光信号に変調して投射映像を生成するステップと、明るさ調整手段により設定された前記投射映像の明るさが増加した場合、複数の光源の全体の光量が増加するように該複数の光源のそれぞれの点灯状態を制御するステップとを有する。
【0009】
本発明の他の側面としての複数の光源の制御方法は、映像信号を入力するステップと、前記映像信号を光信号に変調して投射映像を生成するステップと、明るさ調整手段により設定された前記投射映像の明るさが増加した場合、複数の光源の全体の光量が増加するように該複数の光源のそれぞれの光量を制御するステップとを有する。
【0010】
本発明の他の側面としての制御プログラムは、複数の光源を備えた映像投射装置により実行可能な制御プログラムであって、映像信号を入力するステップと、前記映像信号を光信号に変調して投射映像を生成するステップと、明るさ調整手段により設定された前記投射映像の明るさが増加した場合、複数の光源の全体の光量が増加するように該複数の光源のそれぞれの点灯状態を制御するステップとを有する。
【0011】
本発明の他の側面としての制御プログラムは、複数の光源を備えた映像投射装置により実行可能な制御プログラムであって、映像信号を入力するステップと、前記映像信号を光信号に変調して投射映像を生成するステップと、明るさ調整手段により設定された前記投射映像の明るさが増加した場合、前記複数の光源の全体の光量が増加するように前記複数の光源のそれぞれの光量を制御するステップとを有する。
【0012】
本発明の他の目的及び特徴は、以下の実施例において説明される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、設定された投射映像の明るさに応じて複数の光源の全体の光量を制御可能な映像投射装置、複数の光源の制御方法、および、制御プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施例1乃至3におけるプロジェクタの構成図である。
【図2】実施例1、4におけるランプ点灯制御およびランプ光量制御の組み合わせを示す図である。
【図3】実施例1におけるランプ点灯制御およびランプ光量制御の組み合わせを示す図である。
【図4】実施例2におけるランプ点灯制御を示す図である。
【図5】実施例2におけるランプ点灯制御を示す図である。
【図6】実施例3におけるランプ点灯制御、ランプ光量制御、および、映像信号明るさ補正の組み合わせを示す図である。
【図7】実施例3におけるランプ点灯状態およびランプ光量を設定するときのフローチャートである。
【図8】実施例3におけるランプ点灯状態およびランプ光量を設定するときのフローチャートである。
【図9】実施例4におけるプロジェクタの構成図である。
【図10】実施例4、5におけるランプ累積点灯時間と推定ランプ明るさの関係を示す図である。
【図11】実施例5におけるプロジェクタの構成図である。
【図12】実施例5におけるプロジェクタの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図において、同一の部材については同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。
【実施例1】
【0016】
まず、本発明の実施例1におけるプロジェクタ(映像投射装置)について説明する。図1は、本実施例におけるプロジェクタの構成図である。映像信号は、入力端子101(入力手段)に入力された映像信号は、映像入力回路102においてその信号の種別が判定され、映像処理回路103に出力される。映像処理回路103は、入力された映像信号がアナログ信号である場合、その映像信号のA/D変換を行ってから映像処理回路103に出力する。映像処理回路103は、映像信号の解像度を表示パネル105に合わせるように解像度変換を行い、また、キーストン補正を行うなどの各種処理を行う。
【0017】
映像処理回路103の出力は、表示回路104において、赤、青、緑の各色の信号に分離され、入力階調に対して出力輝度特性が所望の特性となるように、表示パネル105が駆動される。ランプ107、108(複数の光源)のそれぞれのランプからの入射光は集光部120に集光され、集光された光は表示パネル105に入射する。集光部120から表示パネル105への入射光は、映像信号に対応した反射率(透過型プロジェクタの場合には透過率)となるように表示回路104により駆動され、投射レンズ群106を通過してスクリーン2に投射される。表示回路104および表示パネル105は、映像信号を光信号に変調して投射映像を生成する光変調手段である。
【0018】
ランプ光量制御部110、112は、コントローラ109からの指令に基づき、ノーマルモードとエコモードとを切り替えてランプ107、108それぞれの点灯制御を行う。このようにランプ光量制御部110、112は、ランプ107、108のそれぞれの光量を制御する光量制御手段である。ノーマルモードは、最大駆動電力でランプ107、108を駆動するモードである。エコモードは、ノーマルモードの駆動電力に対して駆動電力を低下させたモードであり、ランプ107、108のそれぞれから集光部120への入射光量(ランプ光量)を低下させるとともに消費電力を抑制する。本実施例では、複数のモード構成により、ノーマルモードによるランプ光量が必要ない場合、エコモードに切り替えることで表示パネル105への入射光量を低下させるとともに消費電力を抑制することができる。ランプ光量制御部110、112は、ランプ107、108のそれぞれに対して第1の光量となるノーマルモード(第1の状態)と第1の光量よりも小さい第2の光量となるエコモード(第2の状態)とを切り替え、ランプ107、108の全体の光量を調整する。
【0019】
またコントローラ109は、ランプ107、108の両方をオンにする駆動と、一方をオンにして他方をオフする駆動を切り替えるように、ランプ点灯制御部111、113を制御する。2つのランプ107、108によるランプ光量が必要でない場合、ランプ107、108のいずれか一方をオフとすることで、表示パネル105への入射光量(ランプ光量)を低下させるとともに、消費電力を抑制することができる。このように、ランプ点灯制御部111、113のそれぞれにより、ランプ107、108のランプ点灯状態(オン/オフ)を切り替えることが可能である。ランプ点灯制御部111、113は、ランプ107、108のそれぞれの点灯状態を制御する光源点灯手段である。
【0020】
また、本実施例のプロジェクタは、明るさ調整操作部114(明るさ調整手段)を備える。ユーザは、明るさ調整操作部114を操作することにより、投射映像の明るさを調整することができる。コントローラ109は、明るさ調整操作部114による設定値に応じて、ランプ光量制御部110、112およびランプ点灯制御部111、113を統合的に制御する。このときコントローラ109(制御手段)は、明るさ調整操作部114による設定値に応じて、各ランプの点灯状態および光量制御状態を、例えば図2に示されるように組み合わせて制御する。具体的には、コントローラ109は、明るさ調整操作部114により設定された投射映像の明るさが増加した場合、ランプ107、108の全体の光量が増加するようにランプ点灯制御部111、113を制御する。
【0021】
図2は、本実施例におけるランプ点灯制御およびランプ光量制御の組み合わせを示す図である。本実施例において、ランプ107、108の全体の光量は、ランプ光量制御部110、112、および、ランプ点灯制御部111、113の統合制御により、5段階(5レベル)に制御される。具体的には、投射光量を最小にする場合(最も暗くする場合)、ランプ107をエコモードでオンにし、ランプ108をオフにする。このようにランプ107、108のオン/オフ制御およびモード制御により、投射光量は段階的に変化(増加)し、投射光量を最大にする場合(最も明るくする場合)、ランプ107、108の両方をノーマルモードでオンにする。
【0022】
図2に示されるように、明るさ調整操作部114は、明るさの設定値に従って、消費電力、騒音(ファン回転速度)、寿命などが変化することを表示してもよい。明るさが暗くなるように設定した場合(投射光量を小さくした場合)、消費電力は小さくなり、騒音(ファン回転速度)は小さくなり、光源の寿命は長くなる。一方、明るさが明るくなるように設定した場合(投射光量を大きくした場合)、消費電力および騒音は大きくなり、光源の寿命は短くなる。
【0023】
本実施例において、コントローラ109は、明るさ調整操作部114による設定値に基づいて、ランプ光量制御部110、112およびランプ点灯制御部111、113を制御する。ただし本実施例はこれに限定されるものではない。例えば、明るさ調整操作部114がコントローラ109を介さずに、ランプ光量制御部110、112およびランプ点灯制御部111、113を直接制御するように構成してもよい。
【0024】
また、ランプ107、108の一方のみがオンの場合、各ランプの点灯状態の設定は、設定毎や起動毎などの交互に点灯制御する方法のほか、各ランプの累積点灯時間などにより各ランプの点灯状態を決定してもよい。同様に、一方のランプをノーマルモードでオンにし他方のランプをエコモードでオンにする場合の各ランプの光量制御状態は、設定毎または起動毎などの交互に光量制御状態を変更する方法のほか、各ランプの累積点灯時間などにより決定してもよい。例えば、累積点灯時間の短いランプを優先的にオン、かつ優先的にノーマルモードで駆動するように2つのランプの点灯状態と光量制御状態を決定することで、2つのランプの残り寿命を平均化しランプ交換時期を同一化し、メンテナンスの回数を減らすことができる。また、一方のみのランプが点灯状態である場合にそのランプをオフした直後であるなどの理由により、点灯処理が可能な温度ではないランプを避けるように点灯ランプを選択してもよい。以上のような制御を行うことで、ユーザが明るさと関連付けられた簡易なUI(ユーザインターフェース)により、各ランプを最適な点灯状態および光量制御状態に設定することができる。
【0025】
なお、図2に示されるランプ点灯制御およびランプ光量制御は、ランプ107、108の両方をエコモードで駆動したときの明るさが、一方のランプをノーマルモードで駆動して他方のランプをオフにしたときよりも明るくなるように設計されている場合に成立する。一方のランプをノーマルモードで駆動して他方のランプをオフにしたときの明るさが、両方のランプをエコモードで駆動したときよりも明るい場合、図2と異なる制御にする必要がある。この場合、明るさ調整操作部114の設定値に応じて、コントローラ109は、例えば図3に示されるようにランプ点灯制御およびランプ光量制御を行う。図3は、この場合のランプ点灯制御およびランプ光量制御の組み合わせを示す図である。図3の制御は、レベル2とレベル3におけるランプ点灯制御およびランプ光量制御が図2の制御と逆になっている。以上の構成により、本実施例の効果を得ることができる。
【実施例2】
【0026】
次に、本発明の実施例2におけるプロジェクタについて説明する。本実施例のプロジェクタの基本構成は、図1に示される実施例1のプロジェクタと同様であるため、それらの説明は省略する。ただし本実施例において、ランプ光量制御部110、112は、ランプ107、108のそれぞれの駆動モードをノーマルモードとエコモードとの間で切り替える代わりに、ランプ光量を連続的に変化させるように制御する。
【0027】
コントローラ109は、明るさ調整操作部114による設定値に応じて、各ランプの点灯状態を例えば図4に示されるように組み合わせて制御する。図4は、本実施例におけるランプ点灯制御を示す図である。コントローラ109は、明るさ調整操作部114の設定値(明るさ)に基づいて、ランプ光量制御部110、112およびランプ点灯制御部111、113を制御する。具体的には、明るさ調整操作部114の明るさの設定値に応じて、連続的にランプ全体の光量が変化するように点灯しているランプの光量と各ランプの点灯制御を行う。そして、設定された明るさLが所定の明るさLsよりも暗い場合には、ランプ107をオンにしてランプ108をオフにする。また、設定された明るさLが所定の明るさLsよりも明るい場合にはランプ107、108の両方をオンにする。
【0028】
コントローラ109は、ランプ107のみをオンにするようにランプ点灯制御部111、113を制御するとき、ランプ光量制御部110は、明るさ調整操作部114の設定値(明るさ)に応じて連続的にランプ107の光量を変化させる。すなわちランプ光量制御部110は、明るさ調整操作部114の設定値が増加するにつれてランプ107の光量が連続的に増加するように制御する。
【0029】
コントローラ109は、ランプ107、108の両方をオンにするようにランプ点灯制御部111、113を制御するとき、ランプ光量制御部110は、ランプ107の光量が一定になるように(例えば最大値)制御する。一方、ランプ光量制御部112は、明るさ調整操作部114の設定値(明るさ)に応じて連続的にランプ108の光量を変化させる。すなわちランプ光量制御部110は、明るさ調整操作部114の設定値が増加するにつれてランプ108の光量が連続的に増加するように制御する。このような制御により、図4に示されるようにランプの全体の光量を連続的に変化させることができる。
【0030】
コントローラ109は、明るさ調整操作部114による設定値に応じて、各ランプの点灯状態を例えば図5に示されるように組み合わせて制御してもよい。図5は、本実施例における別形態のランプ点灯制御を示す図である。
【0031】
設定された明るさLが所定の明るさLsよりも暗い場合は図4と同様の制御が行われる。一方、設定された明るさLが所定の明るさLsよりも明るい場合、ランプ107、108の両方がオンになる。このとき、ランプ光量制御部110、112はそれぞれ、明るさ調整操作部114の設定値(明るさ)に応じて連続的にランプ107、108の光量を変化させる。すなわちランプ光量制御部110、112は、明るさ調整操作部114の設定値が増加するにつれてランプ107、108の両方の光量が連続的に増加するように制御する。このような制御によっても、図5に示されるようにランプの全体の光量を連続的に変化させることができる。
【実施例3】
【0032】
次に、本発明の実施例3におけるプロジェクタについて説明する。本実施例のプロジェクタの基本構成は、図1に示される実施例1のプロジェクタと同様であるため、それらの説明は省略する。ただし、本実施例の映像処理回路103(映像信号処理手段)は、投射映像の輝度を低下させるように映像信号処理を行うことができる。本実施例のコントローラ109は、明るさ調整操作部114による設定値に応じて、ランプ点灯制御部111、113、ランプ光量制御部110、112、および、映像処理回路103を制御し、適切な投射光量を設定する。ランプ点灯制御部111、113はランプ点灯状態を制御し、ランプ光量制御部110、112はランプ光量をノーマルモードまたはエコモードのいずれかで制御する。また、映像処理回路103は、信号処理により映像信号明るさ補正を行う。
【0033】
本実施例のプロジェクタにおいて、ランプ点灯状態、ランプ光量、および、映像信号明るさ補正を、図6に示すように組み合わせて制御を行う。図6は、本実施例におけるランプ点灯制御、ランプ光量制御、および、映像信号明るさ補正の組み合わせを示す図である。
【0034】
本実施例において、コントローラ109は、明るさ調整操作部114の調整に対して、ランプ点灯状態およびランプ光量の明るさ変化よりも微小な量の明るさ変化に対応するように、映像信号明るさ補正値を決定する。具体的には、コントローラ109は、映像処理回路103で所望の映像信号明るさ補正を行う(映像信号明るさ補正値を算出する)ように映像処理回路103を制御する。このようにコントローラ109は、明るさ調整操作部114の設定値(設定された明るさ)に応じて、ランプ光量制御部110、112、ランプ点灯制御部111、113、および、映像処理回路103を制御する。このため、図6に示されるように、ランプ光量制御部110、112がノーマルモードとエコモードとの間で制御する場合でも、投射映像の明るさを連続的に変化させることができる。
【0035】
図6に示されるように、ランプ点灯状態およびランプ光量がレベル1〜5のそれぞれの範囲内で明るさ調整操作部114の設定値(投射映像の明るさ)が増加した場合、映像処理回路103による信号処理で投射映像の明るさを調整する。すなわち映像処理回路103は、投射映像の明るさが増加するように光変調手段(表示回路104、表示パネル105)を制御する。本実施例において、コントローラ109は、ランプ点灯制御部111、113、ランプ光量制御部110、112、および、映像処理回路103の組み合わせにより投射映像の明るさを制御する。以上のとおり本実施例では、ランプ点灯制御およびランプ光量制御に加えて映像処理回路103による信号処理で明るさ補正を行うことにより、投射映像の明るさの微調整を容易に行うことが可能となる。なお本実施例では、ランプ光量制御部110、112によるランプ光量制御を行わないでもよい。ランプ点灯制御部111,113および映像処理回路103の組み合わせでも、投射映像の明るさを連続的に変化させることができる。
【0036】
一般的に、ランプは一定温度以下にならないと点灯処理が行うことができず、オフした直後は点灯できる温度ではなく、オフ直後に点灯処理を行うような操作は、温度が低下するまで待機する必要がある。ユーザが、投射映像を見ながら明るさ調整操作部114を用いて試行錯誤すると、大きな処理時間を要することになり、点灯状態および光量の変更は可能な限り少ないことが望ましい。このため明るさ調整時には、例えば図7に示されるように制御を行う。
【0037】
図7は、本実施例におけるランプ点灯状態とランプ光量を設定するときのフローチャートである。まずステップS101において、コントローラ109は、明るさ調整操作部114による設定値が、ランプ点灯状態またはランプ光量の変更を伴うか否かを判定する。ランプ点灯状態またはランプ光量の変更を伴わない場合、コントローラ109は、ステップS102において映像信号明るさ補正の設定を行う。一方、ランプ点灯状態またはランプ光量の変更を伴う場合、コントローラ109は、ステップS103において、ランプ点灯状態またはランプ光量の変更の可否をユーザに問い合わせるUIを表示する。ユーザがこの変更を許可した場合、コントローラ109は、ステップS104において映像信号明るさ補正とともにランプ点灯状態またはランプ光量を変更する。一方、ユーザがこの変更を許可しない場合、コントローラ109はこの変更をしないで設定フローを終了する。
【0038】
一般的に、画面に表示されるUI上で、リモートコントローラや操作パネルなどにより明るさ調整値を設定可能に構成されている場合、専用UIの表示開始と終了などで、明るさ調整の開始と終了が明示されている。そこで、図8に示されるフローチャートのように制御を行うことでも、ランプ点灯状態やランプ光量の変更を最小限に抑制することができる。
【0039】
図8は、本実施例における他の実施形態であるランプ点灯状態とランプ光量を設定するときのフローチャートである。まずステップS201において、明るさ調整開始が明示された場合、プロジェクタの最大光量を出力できるランプ点灯状態とランプ光量に変更する。コントローラ109は、ランプ点灯状態とランプ光量の変更に対して、明るさ調整開始時と同一の明るさとなるように、映像信号明るさ補正値を映像処理回路103に設定する。続いてステップS202において、コントローラ109は、明るさ調整操作部114の設定に対して、映像信号明るさ補正値の設定のみで投射光量を制御する。すなわちコントローラ109は、ランプ点灯状態およびランプ光量を変更せずに投射光量を制御する。明るさ調整の終了が明示された場合、または、終了後一定時間が経過した場合、コントローラ109は、調整された投射光量となる最適な各ランプの点灯状態および各ランプ光量、および、映像信号明るさ補正値を設定する。
【0040】
本実施例のコントローラ109は、投射映像の明るさを低下させる場合、映像処理回路103により光変調手段を制御した後、ランプ点灯制御部111、113を制御する。以上のように制御を行うことで、ランプ点灯状態およびランプ光量の変更をできるだけ少なくしつつ、最適なランプ点灯状態およびランプ光量を設定することができる。
【実施例4】
【0041】
次に、本発明の実施例4におけるプロジェクタについて説明する。図9は、図9は、本実施例におけるプロジェクタの構成図である。本実施例のプロジェクタは、ランプ107、108の累積点灯時間をそれぞれ記憶するランプ累積点灯時間記憶部115(記憶手段)を備える点で、図1に示される実施例1のプロジェクタとは異なる。他の基本構成は実施例1と同様であるため、その説明は省略する。
【0042】
図10は、本実施例におけるランプ累積点灯時間と推定ランプ明るさの関係を示す図である。一般的にランプは、図10に示されるように累積点灯時間とともにその明るさは低下する。本実施例では、ランプ累積点灯時間をランプ累積点灯時間記憶部115に記憶する。そしてコントローラ109は、ランプ累積点灯時間記憶部115に記憶された値に応じて、ユーザに対してランプ寿命を予告するUIを表示する処理や、ランプ交換を促すUIを表示する処理などを行う。
【0043】
また、エコモードによる駆動時は、ランプへの負荷は小さく、同様に明るさの劣化もノーマルモードでの駆動に比べて少ない。そこで、ノーマルモードでの駆動に比べて、点灯時間による加算量をノーマルモードのときの累積点灯時間よりも小さい値に換算して積算し、ランプ累積点灯時間としてもよい。また、ランプが新品に交換された場合には、累積点灯時間は初期値にリセットされる。なお、新品のランプに対する劣化の程度が推測可能な情報であれば、ランプ累積点灯時間でなくてもよく、他のパラメータを用いて推測することができる。
【0044】
図10に示されるように、ランプ累積点灯時間記憶部115に記憶されたランプ累積点灯時間に基づいて、コントローラ109は、各ランプの現在の明るさを推定することができる。コントローラ109は、推定される各ランプの明るさに基づいて、ランプ107、108の両方をエコモードで駆動したときの明るさと、一方のランプをノーマルモードで駆動して他方のランプをオフにしたときの明るさとを比較する。ここで、両方のランプをエコモードで駆動したときのほうが明るい場合、コントローラ109は、図2に示されるように、明るさ調整操作部114の設定値と、ランプ光量制御部110、112およびランプ点灯制御部111、113とを対応付けて制御する。これに対し、一方のランプをオフにしたときのほうが明るい場合、コントローラ109は、図3に示されるように、明るさ調整操作部114の設定値と、ランプ光量制御部110、112およびランプ点灯制御部111、113とを対応付けて制御する。
【0045】
このようにコントローラ109は、ランプ107、108のそれぞれの明るさを取得し、取得した明るさに基づいてランプ点灯制御部111、113およびランプ光量制御部110、112の制御方法を変更する。具体的には、本実施例のプロジェクタはランプ107、108の累積点灯時間を記憶するランプ累積点灯時間記憶部115を有し、コントローラ109はランプ累積点灯時間記憶部115に記憶された累積点灯時間からランプ107、108の明るさを推定する。
【0046】
本実施例によれば、2つのランプ107、108の点灯状態と光量制御状態の組み合わせによる明るさの順序がランプ累積点灯時間に依存する場合でも、2つのランプの投射光量の明るさの順序が入れ替わることを効果的に防ぐことができる。
【実施例5】
【0047】
次に、本発明の実施例5におけるプロジェクタについて説明する。図11は、本実施例におけるプロジェクタの構成図である。本実施例のプロジェクタは、ランプ107から集光部120への入射光を測定する測定部116、および、ランプ108から集光部120への入射光を測定する測定部117を備える点で、図1に示される実施例1のプロジェクタとは異なる。他の基本構成は実施例1と同様であるため、その説明は省略する。
【0048】
一般的にランプは、図10に示されるように累積点灯時間とともにその明るさは低下する。このため本実施例において、コントローラ109は、測定部116により測定されるランプ107の明るさ、および、測定部117により測定されるランプ108の明るさを取得し、ランプ107、108の明るさの実測値に基づいて各ランプの制御を行う。このように、測定部116、117はそれぞれ、ランプ107、108の輝度を測定する輝度測定手段であり、コントローラ109は、測定部116、117により測定された輝度に基づいてランプ107、108の明るさを取得する。各ランプの測定時には、ノーマルモードとエコモードとを切り替えてそれぞれ測定してもよく、または、一方のランプの測定値から、他方の測定値を推定してもよい。
【0049】
続いてコントローラ109は、測定部116、117による測定値に基づいて、ランプ107、108の両方をエコモードで駆動したときの明るさと、一方のランプをオンとして他方のランプをオフとしたときの明るさとを比較する。ここで、両方のランプをエコモードで駆動したときのほうが明るい場合、コントローラ109は、図2に示されるように、明るさ調整操作部114の設定値と、ランプ光量制御部110、112およびランプ点灯制御部111、113とを対応付けて制御する。これに対し、一方のランプをオフにしたときのほうが明るい場合、コントローラ109は、図3に示されるように、明るさ調整操作部114の設定値と、ランプ光量制御部110、112およびランプ点灯制御部111、113とを対応付けて制御する。
【0050】
図12は、本実施例における別形態であるプロジェクタの構成図である。図12に示されるように、測定部116、117に代えて、集光部120の後段部の光量を測定する測定部118(輝度測定手段)を設けてもよい。この場合、測定対象である一方のランプをオンにし、他方のランプをオフにしたときの測定部118の測定値について、各ランプを対象として測定することで、各ランプの光量の測定が可能である。または、両方のランプをオンしたときの測定部118の測定値と、一方のランプをオンにして他方のランプをオフにしたときの測定部118の測定値とに基づいて、演算により各ランプの光量を測定することもできる。このような制御は、電源オン時に時間差を設けて各ランプの点灯処理が行われるように構成し、順次、測定部118で光量を測定するように行われてもよい。
【0051】
本実施例によれば、2つのランプ107、108の点灯状態と光量制御状態の組み合わせによる明るさの順序がランプ累積点灯時間に依存する場合でも、2つのランプの投射光量の明るさの順序が入れ替わることを効果的に防ぐことができる。
【0052】
上記各実施例によれば、設定された投射映像の明るさに応じて複数の光源の全体の光量を制御可能な映像投射装置および複数の光源の制御方法を提供することができる。また、このような制御方法は、複数の光源を備えた映像投射装置により実行可能な制御プログラムにより実現することができる。
【0053】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0054】
101:入力端子
103:映像処理回路
104:表示回路
109:コントローラ
114:明るさ調整操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像信号を入力する入力手段と、
前記映像信号を光信号に変調して投射映像を生成する光変調手段と、
複数の光源のそれぞれの点灯状態を制御する光源点灯手段と、
前記投射映像の明るさを調整する明るさ調整手段と、
前記明るさ調整手段により設定された前記投射映像の明るさが増加した場合、前記複数の光源の全体の光量が増加するように前記光源点灯手段を制御する制御手段と、を有することを特徴とする映像投射装置。
【請求項2】
映像信号を入力する入力手段と、
前記映像信号を光信号に変調して投射映像を生成する光変調手段と、
複数の光源のそれぞれの光量を制御する光量制御手段と、
前記投射映像の明るさを調整する明るさ調整手段と、
前記明るさ調整手段により設定された前記投射映像の明るさが増加した場合、前記複数の光源の全体の光量が増加するように前記光量制御手段を制御する制御手段と、を有することを特徴とする映像投射装置。
【請求項3】
前記複数の光源のそれぞれの光量を制御する光量制御手段を更に有し、
前記制御手段は、前記明るさ調整手段により設定された前記投射映像の明るさが増加した場合、前記複数の光源の全体の光量が増加するように前記光源点灯手段および前記光量制御手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の映像投射装置。
【請求項4】
前記明るさ調整手段により設定された前記投射映像の明るさが増加した場合、該投射映像の明るさが増加するように前記光変調手段を制御する映像信号処理手段を更に有し、
前記制御手段は、前記光源点灯手段および前記映像信号処理手段の組み合わせにより前記投射映像の明るさを制御することを特徴とする請求項1に記載の映像投射装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記投射映像の明るさを低下させる場合、前記映像信号処理手段により前記光変調手段を制御した後、前記光源点灯手段を制御することを特徴とする請求項4に記載の映像投射装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記複数の光源の明るさを取得し、取得した該明るさに基づいて前記光源点灯手段および前記光量制御手段の制御方法を変更することを特徴とする請求項3乃至5のいずれか1項に記載の映像投射装置。
【請求項7】
前記複数の光源の累積点灯時間を記憶する記憶手段を更に有し、
前記制御手段は、前記記憶手段に記憶された前記累積点灯時間から前記複数の光源の明るさを推定することを特徴とする請求項6に記載の映像投射装置。
【請求項8】
前記複数の光源の輝度を測定する輝度測定手段を更に有し、
前記制御手段は、前記輝度測定手段により測定された前記輝度に基づいて前記複数の光源の明るさを取得することを特徴とする請求項6に記載の映像投射装置。
【請求項9】
映像信号を入力するステップと、
前記映像信号を光信号に変調して投射映像を生成するステップと、
明るさ調整手段により設定された前記投射映像の明るさが増加した場合、複数の光源の全体の光量が増加するように該複数の光源のそれぞれの点灯状態を制御するステップと、を有することを特徴とする複数の光源の制御方法。
【請求項10】
映像信号を入力するステップと、
前記映像信号を光信号に変調して投射映像を生成するステップと、
明るさ調整手段により設定された前記投射映像の明るさが増加した場合、複数の光源の全体の光量が増加するように該複数の光源のそれぞれの光量を制御するステップと、を有することを特徴とする複数の光源の制御方法。
【請求項11】
複数の光源を備えた映像投射装置により実行可能な制御プログラムであって、
映像信号を入力するステップと、
前記映像信号を光信号に変調して投射映像を生成するステップと、
明るさ調整手段により設定された前記投射映像の明るさが増加した場合、複数の光源の全体の光量が増加するように該複数の光源のそれぞれの点灯状態を制御するステップと、を有することを特徴とする制御プログラム。
【請求項12】
複数の光源を備えた映像投射装置により実行可能な制御プログラムであって、
映像信号を入力するステップと、
前記映像信号を光信号に変調して投射映像を生成するステップと、
明るさ調整手段により設定された前記投射映像の明るさが増加した場合、前記複数の光源の全体の光量が増加するように前記複数の光源のそれぞれの光量を制御するステップと、を有することを特徴とする制御プログラム。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図1】
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【図9】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−20146(P2013−20146A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−154205(P2011−154205)
【出願日】平成23年7月12日(2011.7.12)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】