説明

映像表示装置、映像表示システム、映像表示方法およびプログラム

【課題】伝送路の通信状況の変化による映像品質の低下を抑制可能な、映像表示装置、映像表示システム、映像表示方法およびプログラムを提供する。
【解決手段】伝送路4を通じてカメラ1から配信される映像情報を受信する伝送IF31と、受信した映像情報を蓄積するバッファ32と、受信した映像情報をバッファに書込み、映像情報を書込み順にバッファから読出すバッファ制御部33と、読出した映像情報を映像情報の配信周期と表示周期との関係に基づき設定される1回以上の表示周期で繰返し表示する表示部35と、伝送路の通信状況によって、映像情報の受信間隔が配信周期よりも長くなると、映像情報を繰返し表示する表示周期の回数Ndを増加させ、映像情報の受信間隔が配信周期よりも短くなると、映像情報を繰返し表示する表示周期の回数を減少させる表示制御部34とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像表示装置、映像表示システム、映像表示方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、IPネットワーク等の伝送路を通じてカメラから映像情報を配信し、映像表示装置により受信して表示する映像表示システムが知られている。カメラまたはカメラサーバは、所定の配信周期で伝送路を通じて映像情報を配信する。映像表示装置は、伝送路を通じて映像情報を受信し、受信した映像情報をバッファに蓄積して所定のタイミングで表示する。
【0003】
しかし、伝送路における伝送レートの変化が映像表示装置のバッファ能力の範囲を超えると、所定のタイミングで映像情報を表示できなくなる。結果として、映像情報を滑らかに表示できなくなり、映像品質が低下してしまう。このため、例えば下記特許文献1には、伝送路の通信状況の変化によって、映像情報のデータレートを変更するように構成した映像表示技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−187383号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の映像表示技術では、データレートの変更に応じたデータ変換処理が必要となってしまう。また、伝送路の通信状況が低下すると、映像情報のデータレートが低下し、映像品質が低下してしまう。
【0006】
そこで、本発明は、伝送路の通信状況の変化による映像品質の低下を抑制可能な、映像表示装置、映像表示システム、映像表示方法およびプログラムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある観点によれば、伝送路を通じてカメラから配信される映像情報を受信する受信部と、受信した映像情報を蓄積するバッファと、受信した映像情報をバッファに書込み、映像情報を書込み順にバッファから読出すバッファ制御部と、読出した映像情報を映像情報の配信周期と表示周期との関係に基づき設定される1回以上の表示周期で繰返し表示する表示部と、伝送路の通信状況によって、映像情報の受信間隔が配信周期よりも長くなると、映像情報を繰返し表示する表示周期の回数を増加させ、映像情報の受信間隔が配信周期よりも短くなると、映像情報を繰返し表示する表示周期の回数を減少させる表示制御部とを備える映像表示装置が提供される。
【0008】
表示制御部は、映像情報の受信間隔と配信周期との差が閾値を超えると、映像情報を繰返し表示する表示周期の回数を増加または減少させてもよい。
【0009】
バッファ制御部または表示制御部は、バッファ上での映像情報の読出し位置を特定することで、映像情報の受信間隔と配信周期とを比較してもよい。
【0010】
バッファ制御部または表示制御部は、バッファに新たに書込まれた映像情報のシーケンスと、バッファから読み出される映像情報のシーケンスとの関係に基づき、バッファ上での映像情報の読出し位置を特定してもよい。
【0011】
本発明の他の観点によれば、カメラと、伝送路を通じてカメラに接続される映像表示装置とを有する映像表示システムが提供される。ここで、映像表示装置は、伝送路を通じてカメラから配信される映像情報を受信する受信部と、映像情報を蓄積するバッファと、受信した映像情報をバッファに書込み、映像情報を書込み順にバッファから読出すバッファ制御部と、読出した映像情報を映像情報の配信周期と表示周期との関係に基づき設定される1回以上の表示周期で繰返し表示する表示部と、伝送路の通信状況によって、映像情報の受信間隔が配信周期よりも長くなると、映像情報を繰返し表示する表示周期の回数を増加させ、映像情報の受信間隔が配信周期よりも短くなると、映像情報を繰返し表示する表示周期の回数を減少させる表示制御部とを備える。
【0012】
本発明の他の観点によれば、伝送路を通じてカメラから配信される映像情報を受信し、受信した映像情報をバッファに書込み、映像情報を書込み順にバッファから読出し、読出した映像情報を映像情報の配信周期と表示周期との関係に基づき設定される1回以上の表示周期で繰返し表示し、伝送路の通信状況によって、映像情報の受信間隔が配信周期よりも長くなると、映像情報を繰返し表示する表示周期の回数を増加させ、映像情報の受信間隔が配信周期よりも短くなると、映像情報を繰返し表示する表示周期の回数を減少させることを含む映像表示方法が提供される。
【0013】
本発明の他の観点によれば、上記映像表示方法をコンピュータに実行させるためのプログラムが提供される。ここで、プログラムは、コンピュータ読取り可能な記録媒体を用いて提供されてもよく、通信手段等を介して提供されてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、伝送路の通信状況の変化による映像品質の低下を抑制可能な、映像表示装置、映像表示システム、映像表示方法およびプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係る映像表示システムの全体構成を示す図である。
【図2】映像表示システムの機能構成を示すブロック図である。
【図3】映像表示装置の動作を示すフロー図である。
【図4】映像情報の書込み制御を示す図である。
【図5】映像情報の表示制御を示す図である。
【図6】映像情報の表示回数の調整方法を示す図(1/3)である。
【図7】映像情報の表示回数の調整方法を示す図(2/3)である。
【図8】映像情報の表示回数の調整方法を示す図(3/3)である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0017】
[1.映像表示システムの構成]
まず、図1および図2を参照して、本発明の実施形態に係る映像表示システムについて説明する。
【0018】
図1は、本発明の実施形態に係る映像表示システムの全体構成を示す図である。図1に示すように、映像表示システムは、カメラ1と、カメラ1に伝送路4を通じて接続されたサーバ2と、サーバ2に伝送路4を通じて接続された表示端末3とからなる。カメラ1は、IPカメラ等のネットワークカメラであり、サーバ2は、カメラサーバ等である。表示端末3は、パーソナルコンピュータ、携帯情報端末、携帯電話、ネットワークテレビ等の映像表示装置である。伝送路4は、IPネットワーク、LAN、WAN等、有線または無線の通信回線である。
【0019】
図2は、映像表示システムの機能構成を示すブロック図である。図2に示すように、カメラ1は、所定の撮影周期で撮像動作して映像情報を生成する映像入力部11と、映像情報を圧縮して伝送路4を通じてサーバ2に送信する伝送インタフェース(IF)12とを有している。カメラ1は、表示端末3からの操作情報に応じて、パン、チルト、ズーム動作可能に構成されてもよい。
【0020】
サーバ2は、伝送IF21と、バッファ22と、バッファ制御部23とを有している。伝送IF21は、カメラ1から映像情報を受信し、表示端末3から制御情報を受信するとともに、表示端末3からの要求に応じて、所定の配信周期で映像情報を表示端末3に配信する。バッファ22は、カメラ1とサーバ2との間の伝送路4における伝送レートの変化を吸収するために、映像情報を一時的に蓄積するFIFOメモリ等である。バッファ制御部23は、カメラ1から受信された映像情報をバッファ22に書込み、表示端末3に配信される映像情報をバッファ22から読み出して伝送IF21に供給する。なお、サーバ2は、カメラ1と一体に構成されてもよい。
【0021】
表示端末3は、伝送IF31(受信部)と、バッファ32と、バッファ制御部33と、表示制御部34と、表示部35と、操作部36と、制御部37とを有している。伝送IF31は、サーバ2から映像情報を受信して伸張してバッファ32に供給するとともに、制御部37からの制御情報をサーバ2に送信する。バッファ32は、サーバ2と表示端末3との間の伝送路4における伝送レートの変化を吸収するために、映像情報を一時的に蓄積するFIFOメモリ等である。操作部36は、ユーザから入力された操作情報を制御部37に供給する。制御部37は、表示端末3の動作を実現するための演算処理や制御処理を行う。
【0022】
バッファ制御部33は、伝送IF31が受信した映像情報をバッファ32に書き込み、書込み順にバッファ32から読出して表示制御部34に供給する。表示部35は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等のディスプレイとして構成されており、表示端末3の外部装置として構成されてもよい。表示部35は、読出した映像情報を映像情報の配信周期と表示周期との関係に基づき設定される1回以上の表示周期で繰返し表示する。なお、映像情報の配信周期と表示周期との関係については後述する。表示制御部34は、伝送路4の通信状況によって、映像情報の受信間隔が配信周期よりも長くなると、映像情報を繰返し表示する表示周期の回数(表示回数Nd)を増加させ、映像情報の受信間隔が配信周期よりも短くなると、映像情報を繰返し表示する表示周期の回数(表示回数Nd)を減少させる。
【0023】
ここで、バッファ制御部33、表示制御部34および制御部37は、ハードウェアロジックおよび/またはソフトウェアとして構成される。ソフトウェアとして構成される場合、表示端末3のCPUは、ROM等に記憶されているプログラムをRAM等に展開して実行することで、後述する映像表示方法を実現するための演算処理および制御処理を行う。
【0024】
[2.映像表示システムの動作]
つぎに、図3から図8を参照して、本発明の実施形態に係る映像表示装置の動作について説明する。
【0025】
以下では、サーバ2による映像情報の配信周期が1/30秒(30フレーム/秒)と設定され、表示端末3での映像情報の表示周期が1/60秒(垂直同期Vsync=60Hz)と設定されている場合を想定する。この場合、表示端末3による映像情報の受信間隔が配信周期に一致すれば、連続する2回の表示周期で同一の映像情報が繰り返し表示されることになる。しかし、実際の受信間隔(バッファ32への書込み間隔)は、伝送路4の通信状況に応じて、配信周期と一致したり、配信周期よりも長くなったり短くなったりすることになる。なお、上記した配信周期と表示周期の値は、あくまでも一例であり、他の周期で映像表示が行われてもよい。
【0026】
図3は、映像表示装置の動作を示すフロー図である。サーバ2では、カメラ1から撮影周期毎に送信される映像情報が受信され、受信した映像情報がバッファ22に蓄積されているとする。
【0027】
表示端末3では、操作部36を通じてユーザから映像表示の開始を要求されると、制御部37が伝送IF31を通じて映像情報の配信開始をサーバ2に要求する。伝送IF31は、要求に応じてサーバ2から配信される映像情報を順次に受信する。映像情報には、映像情報1、2、…というように、映像情報の表示順序または受信順序を示すシーケンスが含まれているとする。バッファ制御部33は、伝送IF31による映像情報の受信に応じて、次のように映像情報をバッファ32に順次に書込む。
【0028】
図4は、映像情報の書込み制御を示す図である。図4に示すように、バッファ制御部33は、先入先出し(FIFO)で映像情報をバッファ32に書込む。以下では、表示端末3の動作を分かり易く説明するために、バッファ32が参照位置1〜9に最大9個の映像情報を蓄積できるとする。
【0029】
まず、バッファ32が空の状態で映像情報1が受信されると、参照位置1に映像情報1が書込まれる(状態ST41)。映像情報2が受信されると、映像情報1が参照位置1から参照位置2に移動され、参照位置1に映像情報2が書込まれる(状態ST42)。以下同様に映像情報3〜9が受信されると、参照位置1〜9には、映像情報9〜1の順序で映像情報が蓄積される(状態ST43)。そして、映像情報10が受信されると、参照位置9に蓄積されていた映像情報1がバッファ32から削除され、参照位置1〜9には、映像情報10〜2の順序で映像情報が蓄積される(状態ST44)。
【0030】
また、バッファ制御部33は、新しく書込まれた映像情報のシーケンス(映像番号)を書込みカウンタCwにより管理している。書込みカウンタCwは、状態ST41でCw=1、状態ST42でCw=2、状態ST43でCw=9、状態ST44でCw=10に設定される。
【0031】
バッファ制御部33は、図4に示す状態ST43のように、バッファ32が映像情報によりフルの状態になると、バッファ準備の完了を制御部37に通知する。制御部37は、映像表示の開始を表示制御部34に指示する。
【0032】
映像表示の開始が指示されると、図3に示すように、表示制御部34は、読出しカウンタCrを初期化する(ステップS11)。読出しカウンタCrは、バッファ32の特定の参照位置に蓄積されている映像情報のシーケンスにより初期化される。特定の参照位置としては、伝送路4の通信状況の変化にバッファ32により柔軟に対応するために、例えばバッファ32の中央位置、つまり参照位置5が設定される。この場合、参照位置5に蓄積されている映像情報5のシーケンスが読出しカウンタによりCr=5と指定される。なお、特定の参照位置は、バッファ32の中央位置以外に設定されてもよい。
【0033】
また、伝送路4の通信状況の変化に応じて映像表示を制御するために、特定の参照位置が正常位置に設定され、正常位置の前後の参照位置が緩衝位置に設定される。また、緩衝位置よりも前側(参照位置の番号が小さい側)の参照位置が負の調整位置に設定され、緩衝位置よりも後ろ側(参照位置の番号が大きい側)の参照位置が正の調整位置に設定される。例えば、特定の参照位置が参照位置5である場合、参照位置5が正常位置、参照位置4、6が緩衝位置、参照位置1〜3が負の調整位置、参照位置7〜9が正の調整位置に設定される。なお、緩衝位置は、設定されなくてもよく、正の調整位置または負の調整位置の一方のみが設定されてもよい。また、緩衝位置、正または負の調整位置として設定される参照位置の数は、上記例に限定されない。
【0034】
表示制御部34は、読出しカウンタCrを用いて、映像情報の読出しをバッファ制御部33に指示する(ステップS12)。この場合、読出しカウンタCr=5により指定された映像情報5の読出しが指示される。
【0035】
読出し指示を受けると、バッファ制御部33は、カウンタCw、Crから映像情報の読出し位置を特定する(ステップS13)。この場合、書込みカウンタCwがCw=9であるので、参照位置9に映像情報9が蓄積されており、読出しカウンタCrがCr=5であるので、映像情報5の読出し位置は、参照位置5として特定される。つまり、この場合、映像情報5の読出し位置は、カウンタCw、CrよりCw−Cr+1として特定される。
【0036】
バッファ制御部33は、特定された参照位置から映像情報を読出し(ステップS14)、読出し位置の種類を示す情報とともに表示制御部34に供給する。この場合、映像情報5とともに、読出し位置が参照位置5、つまり正常位置であることを示す情報が供給される。
【0037】
表示制御部34は、映像情報を受けると、読出し位置の種類に応じて、映像情報の表示回数Ndを設定するために読出し位置を判定する(ステップS15)。表示制御部34では、次のように映像情報の表示回数Ndが設定される。なお、表示制御部34は、読出し位置の種類を示す情報に代えて、書き込みカウンタCwをバッファ制御部33から受けて、カウンタCw、Crを用いて読出し位置の種類を判定してもよい。
【0038】
読み出し位置の種類が正常位置または緩衝位置であると(ステップS16)、映像情報の受信間隔と配信周期とが一致しているか、またはその差が閾値未満であると判断される。よって、映像情報の配信周期(1/30秒)と表示周期(1/60秒)との関係に基づき、映像情報の表示回数Ndが標準値Nd=2に設定される(ステップS17)。
【0039】
一方、読出し位置の種類が負の調整位置であると(ステップS18)、映像情報の受信間隔が配信周期よりも長いと判断される。よって、映像情報の表示回数Ndが標準値よりも多い回数、例えばNd=3に設定される(ステップS19)。同様に、読出し位置の種類が正の調整位置であると、映像情報の受信間隔が配信周期よりも短いと判断される。よって、映像情報の表示回数Ndが標準値よりも少ない回数、例えばNd=1に設定される(ステップS20)。
【0040】
図5は、映像情報の表示制御を示す図である。読出し位置の種類が正常位置または緩衝位置であると、図5の状態ST51に示すように、表示制御部34は、第1の表示周期で映像情報を表示部35に出力し、第2の表示周期の到来を待ち、第2の表示周期が到来すると同一の映像情報を再び出力し、第3の表示周期の到来を待つ。よって、表示部35には、同一の映像情報が2回の表示周期で繰り返し表示される。
【0041】
読出し位置の種類が負の調整位置であると、図5の状態ST52に示すように、表示制御部34は、第1の表示周期で映像情報を表示部35に出力し、第2の表示周期が到来すると同一の映像情報を再び出力し、第3の表示周期が到来すると同一の映像情報をさらに再び出力する。よって、表示部35には、同一の映像情報が3回の表示周期で繰り返し表示される。読出し位置の種類が正の調整位置であると、図5の状態ST53に示すように、表示制御部34は、第1の表示周期で映像情報を表示部35に出力する。よって、表示部35には、同一の映像情報が1回の表示周期で表示される。
【0042】
表示制御部34は、映像情報の読出し位置に応じた表示回数Ndで映像情報を表示すると、読出しカウンタCrを1インクリメントする(ステップS21)。この場合、例えば読出しカウンタがCr=6に更新される。そして、表示制御部34は、ステップS12の処理に復帰し、読出しカウンタにより指定した映像情報の読出しをバッファ制御部33に指示する。この場合、読出しカウンタCr=6により指定された映像情報6の読出しが指示される。
【0043】
なお、上記ステップS12〜S21の処理の途中で、操作部36を通じてユーザから映像表示の終了を要求されると、制御部37は、映像表示の終了を表示制御部34に指示する。また、制御部37は、伝送IF31を通じて映像表示の配信終了をサーバ2に要求する。
【0044】
図6から図8は、映像情報の表示回数Ndの調整方法を示す図である。図6には、映像情報の受信間隔が配信周期と一致している場合が示されている。映像表示の開始が指示された時点では、参照位置1〜9に映像情報9〜1が蓄積されており、書込みカウンタがCw=9に設定される。読出しカウンタCr=5を用いて、映像情報5の読み出しが指示されると、書込みカウンタがCw=9であるので、映像情報5が参照位置5、つまり正常位置から読み出される。よって、映像情報5の表示回数NdがNd=2に設定され、映像情報5が第1および第2の表示周期で繰り返し表示される(状態ST61)。
【0045】
第3の表示周期が到来する前に、映像情報10が新たに書込まれ、書込みカウンタがCw=10に設定される。読出しカウンタCr=6を用いて、映像情報6の読み出しが指示されると、書込みカウンタがCw=10であるので、映像情報6が参照位置5、つまり正常位置から読み出される。よって、映像情報6の表示回数NdがNd=2に設定され、映像情報6が第3および第4の表示周期で繰り返し表示される(状態ST62)。
【0046】
図7には、映像情報の受信間隔が配信周期よりも長くなる場合が示されている。映像表示の開始が指示された時点では、書込みカウンタがCw=9に設定される。よって、図6に示す状態ST61と同様に、映像情報5が第1および第2の表示周期で繰り返し表示される(状態ST71)。
【0047】
そして、映像情報の受信間隔が配信周期よりも長くなると、第3の表示周期が到来する前に、映像情報10が新たに書込まれず、書込みカウンタがCw=9に設定されたままとなる。読出しカウンタCr=6を用いて、映像情報6の読み出しが指示されると、書込みカウンタがCw=9であるので、映像情報6が参照位置4、つまり緩衝位置から読み出される。よって、映像情報6の表示回数NdがNd=2に設定され、映像情報6が第3および第4の表示周期で繰り返し表示される(状態ST72)。
【0048】
第5の表示周期が到来する前に、依然として映像情報10が新たに書込まれておらず、書込みカウンタがCw=9に設定されたままとなる。読出しカウンタCr=7を用いて、映像情報7の読み出しが指示されると、書込みカウンタがCw=9であるので、映像情報7が参照位置3、つまり負の調整位置から読み出される。よって、映像情報7の表示回数NdがNd=3に設定され、映像情報7が第5〜第7の表示周期で繰り返し表示される(状態ST73)。
【0049】
そして、第6の表示周期の直後に映像情報の受信間隔が配信周期と一致する。すると、第8の表示周期が到来する前に、映像情報10が新たに書込まれ、書込みカウンタがCw=10に設定される。読出しカウンタCr=8を用いて、映像情報8の読み出しが指示されると、書込みカウンタがCw=10であるので、映像情報8が参照位置3、つまり負の調整位置から読み出される。よって、映像情報8の表示回数NdがNd=3に設定され、映像情報8が第8〜第10の表示周期で繰り返し表示される(状態ST74)。
【0050】
第11の表示周期が到来する前に、映像情報11、12が新たに書込まれ、書込みカウンタがCw=12に設定される。読出しカウンタCr=9を用いて、映像情報9の読み出しが指示されると、書込みカウンタがCw=12であるので、映像情報9が参照位置4、つまり緩衝位置から読み出される。よって、映像情報9の表示回数NdがNd=2に設定され、映像情報9が第11および第12の表示周期で繰り返し表示される(状態ST75)。
【0051】
これにより、映像情報の受信間隔が配信周期より長くなっても、同一の映像情報の表示回数Ndを多くすることで、受信間隔と配信周期との時間差が縮小され、バッファ32の能力の範囲で映像表示を制御できる。これにより、映像情報の受信が遅れても、映像情報を滑らかに表示でき、映像品質の低下を抑制することができる。
【0052】
図8には、映像情報の受信間隔が配信周期よりも短くなる場合が示されている。映像表示の開始が指示された時点では、書込みカウンタがCw=9に設定される。よって、図6に示す状態ST61と同様に、映像情報5が第1および第2の表示周期で繰り返し表示される(状態ST81)。
【0053】
そして、映像情報の受信間隔が配信周期よりも短くなると、第3の表示周期が到来する前に、映像情報10、11が新たに書込まれ、書込みカウンタがCw=11に設定される。読出しカウンタCr=6を用いて、映像情報6の読み出しが指示されると、書込みカウンタがCw=11であるので、映像情報6が参照位置6、つまり緩衝位置から読み出される。よって、映像情報6の表示回数NdがNd=2に設定され、映像情報6が第3および第4の表示周期で繰り返し表示される(状態ST82)。
【0054】
第5の表示周期が到来する前に、映像情報12、13が新たに書込まれ、書込みカウンタがCw=13に設定される。読出しカウンタCr=7を用いて、映像情報7の読み出しが指示されると、書込みカウンタがCw=13であるので、映像情報7が参照位置7、つまり正の調整位置から読み出される。よって、映像情報7の表示回数NdがNd=1に設定され、映像情報7が第5の表示周期でのみ表示される(状態ST83)。
【0055】
そして、第5の表示周期の直後に映像情報の受信間隔が配信周期と一致する。すると、第6の表示周期が到来する前に、映像情報14が新たに書込まれておらず、書込みカウンタがCw=13に設定されたままとなる。読出しカウンタCr=8を用いて、映像情報8の読み出しが指示されると、書込みカウンタがCw=13であるので、映像情報8が参照位置6、つまり緩衝位置から読み出される。よって、映像情報8の表示回数NdがNd=2に設定され、映像情報8が第6および第7の表示周期で繰り返し表示される(状態ST84)。
【0056】
これにより、映像情報の受信間隔が配信周期より短くなっても、同一の映像情報の表示回数Ndを少なくすることで、受信間隔と配信周期との時間差が縮小され、バッファ32の能力の範囲で映像表示を制御できる。これにより、映像情報の受信が早くなっても、映像情報を滑らかに表示でき、映像品質の低下を抑制することができる。
【0057】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0058】
1 カメラ
2 サーバ
3 表示端末
4 伝送路
31 伝送インタフェース
32 バッファ
33 バッファ制御部
34 表示制御部
35 表示部
36 操作部
37 制御部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝送路を通じてカメラから配信される映像情報を受信する受信部と、
前記受信した映像情報を蓄積するバッファと、
前記受信した映像情報を前記バッファに書込み、前記映像情報を書込み順に前記バッファから読出すバッファ制御部と、
前記読出した映像情報を映像情報の配信周期と表示周期との関係に基づき設定される1回以上の表示周期で繰返し表示する表示部と、
前記伝送路の通信状況によって、前記映像情報の受信間隔が前記配信周期よりも長くなると、前記映像情報を繰返し表示する表示周期の回数を増加させ、前記映像情報の前記受信間隔が前記配信周期よりも短くなると、前記映像情報を繰返し表示する表示周期の回数を減少させる表示制御部と
を備える映像表示装置。
【請求項2】
前記表示制御部は、前記映像情報の前記受信間隔と前記配信周期との差が閾値を超えると、前記映像情報を繰返し表示する表示周期の回数を増加または減少させる、請求項1に記載の映像表示装置。
【請求項3】
前記バッファ制御部または前記表示制御部は、前記バッファ上での前記映像情報の読出し位置を特定することで、前記映像情報の前記受信間隔と前記配信周期とを比較する、請求項1または2に記載の映像表示装置。
【請求項4】
前記バッファ制御部または前記表示制御部は、前記バッファに新たに書込まれた前記映像情報のシーケンスと、前記バッファから読み出される映像情報のシーケンスとの関係に基づき、前記バッファ上での前記映像情報の読出し位置を特定する、請求項3に記載の映像表示装置。
【請求項5】
カメラと、伝送路を通じて前記カメラに接続される映像表示装置とを有し、
前記映像表示装置は、
前記伝送路を通じて前記カメラから配信される映像情報を受信する受信部と、
前記映像情報を蓄積するバッファと、
前記受信した映像情報を前記バッファに書込み、前記映像情報書込み順に前記バッファから読出すバッファ制御部と、
前記読出した映像情報を前記映像情報の配信周期と表示周期との関係に基づき設定される1回以上の表示周期で繰返し表示する表示部と、
前記伝送路の通信状況によって、前記映像情報の受信間隔が前記配信周期よりも長くなると、前記映像情報を繰返し表示する表示周期の回数を増加させ、前記映像情報の前記受信間隔が前記配信周期よりも短くなると、前記映像情報を繰返し表示する表示周期の回数を減少させる表示制御部と
を備える映像表示システム。
【請求項6】
伝送路を通じてカメラから配信される映像情報を受信し、
前記受信した映像情報を前記バッファに書込み、前記映像情報を書込み順に前記バッファから読出し、
前記読出した映像情報を映像情報の配信周期と表示周期との関係に基づき設定される1回以上の表示周期で繰返し表示し、
前記伝送路の通信状況によって、前記映像情報の受信間隔が前記配信周期よりも長くなると、前記映像情報を繰返し表示する表示周期の回数を増加させ、前記映像情報の前記受信間隔が前記配信周期よりも短くなると、前記映像情報を繰返し表示する表示周期の回数を減少させること
を含む映像表示方法。
【請求項7】
伝送路を通じてカメラから配信される映像情報を受信し、
前記受信した映像情報を前記バッファに書込み、前記映像情報を書込み順に前記バッファから読出し、
前記読出した映像情報を映像情報の配信周期と表示周期との関係に基づき設定される1回以上の表示周期で繰返し表示し、
前記伝送路の通信状況によって、前記映像情報の受信間隔が前記配信周期よりも長くなると、前記映像情報を繰返し表示する表示周期の回数を増加させ、前記映像情報の前記受信間隔が前記配信周期よりも短くなると、前記映像情報を繰返し表示する表示周期の回数を減少させること
を含む映像表示方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−119784(P2012−119784A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−265650(P2010−265650)
【出願日】平成22年11月29日(2010.11.29)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】