説明

映像表示装置、表示パネル及び映像処理装置

【課題】
映像表示を行うモニタ装置と、映像信号を所定のインタフェースを介してモニタ装置へ送信するセットトップボックスとが互いに別体に構成されて入れも、両方の装置間での連携動作を良好に行うことを可能にする。
【解決手段】
本発明に係る映像表示装置は、映像表示を行うモニタ装置(11)と、所定のインタフェースを介して前記モニタ装置に映像信号を出力する前記モニタ装置と別筐体の映像処理装置(12)とを備える。モニタ装置には第1の電源ボタンが、映像処理装置には第2の電源ボタンが、更にモニタ装置または映像処理装置のいずれかを操作するためのリモコン装置には第3の電源ボタンが設けられている。そして、第1の電源ボタン、第2の電源ボタン及び第3の電源ボタンのどれが操作された場合でも、モニタ装置と映像処理装置の電源状態が等しくなるように、モニタ装置と映像処理装置の電源を連動して制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに別体の筐体で構成された表示パネルと映像処理装置とをインタフェースを介して接続することにより映像表示装置を構成する場合において、表示パネルと映像処理装置とを良好に動作させるための技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
LCDやPDPなどフラットパネルを用いたテレビ受信機等の映像表示装置では、設置レイアウトの自由度向上させて例えば壁掛け設置が可能なようにするために、フラットパネルを含むモニタ装置とチューナを含む映像処理装置とを分離し、それらを別体の筐体で構成する場合がある。このような従来技術としては、例えば特許文献1に記載のものが知られている。
【0003】
この特許文献1には、アンテナ端子と繋がるチューナ・映像処理部を有する映像処理装置(以下、「セットトップボックス」と呼ぶ場合もある)と、映像を表示するフラットパネルを含むモニタ装置を分離してそれぞれ別体の筐体の装置とし、それぞれの装置間を専用の伝送ケーブルで接続する形態のテレビ受信装置が記載されている。
【0004】
【特許文献1】特開2005-086721号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
セットトップボックス装置とモニタ装置が連携し、一体のテレビジョン受信機として動作するためには、セットトップボックスとモニタ装置の双方が、お互いに連係動作可能な特定の機器であることを認識する必要がある。しかしながら、上記特許文献1には、セットトップボックスまたはモニタ装置が、それぞれ接続された相手(機器)が連携動作可能な機器かどうかを認識するための構成を開示していない。また、セットトップボックス及びモニタ装置が、それぞれ連携動作可能でない相手(機器)と接続された場合についても考慮されていない。更に、セットトップボックスとモニタ装置の一方の電源がOFFの場合、ユーザは、当該セットトップボックスとモニタ装置を備える映像表示装置を使用していないことが多い。それにも関わらず、一方の装置の電源がOFFにときに他方の装置がONされていると、映像表示装置を使用していない状態においても余分な電力が消費されることとなる。また、一方の装置の電源がONで他方の装置の電源がOFFの場合には、上記連携動作が行えない場合が生じる。特許文献1では、このようなセットトップボックスとモニタ装置との電源状態の不一致に係る課題等についても考慮されていない。
【0006】
ところで、映像機器間を互いに接続するインタフェースとして、近年では、デジタル映像・音声を伝送するためのHDMI(High-Definition Multimedia Interface)規格に基づくインタフェースが用いられる場合がある(以下、このインタフェースを単に「HDMI」と呼ぶこととする)。HDMIには機器同士の制御用通信プロトコルとしてCEC(Consumer Electric Control)通信プロトコルが規定されている(例えばHDMI-Specification Informational Ver1.0参照)。
【0007】
HDMIでは、セットトップボックスとモニタ装置の双方が、お互いに連係動作可能な機器であることを認識するために、信号送信側機器(ここではセットトップボックス)が、信号受信側機器(ここではモニタ装置に相当)に関連付けられた機器情報(EDID:メーカ名、製品コード、解像度など)を信号受信側機器から取得するような仕組みとなっている。しかし、同様の仕組みでモニタ装置がセットトップボックス装置の機器情報を取得することはできない。
【0008】
また、セットトップボックスとモニタ装置が、HDMIインタフェースに対応した入出力を持つ中継装置を介してHDMIケーブルで接続されている場合、セットトップボックスが取得する機器情報は、中継機器の機器情報のみであって、モニタ装置の機器情報を得ることはできない。つまり、EDID情報取得の仕組みだけでは、セットトップボックス装置とモニタ装置がお互いを認識することができず、一体のテレビジョン受信機として動作することができないという課題がある。
【0009】
本発明は、このような課題に鑑みて為されたものであり、それぞれ別体に構成された映像処理装置とモニタ装置とを良好に連携動作させるための技術を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、映像表示を行うモニタ装置と、入力された映像信号に対して所定の処理を施して、所定のインタフェースを介して前記モニタ装置に出力する映像処理装置とを互いに例えばHDMI等の所定のインタフェースで接続し、モニタ装置及び映像処理装置のそれぞれが、接続相手の装置からその装置に関連付けられた認証コマンドを受信または送信可能とする。そしてモニタ装置及び映像処理装置のいずれか一方または両方が、上記認証コマンドを受信した場合に、モニタ装置と映像処理装置との間で制御信号の送受信して連携動作を行うことを特徴とするものである。
【0011】
前記表示パネルは、前記映像表示装置を操作するためのリモコン装置からのリモコン信号を受信するように構成されており、前記連携動作を行う場合は、前記モニタ装置で受信したリモコン信号によるコマンドを前記制御信号として前記インタフェースを介して前記映像処理装置に送信し、前記パネル装置が単独動作を行う場合は、前記モニタ装置で受信したリモコン信号を該モニタ装置内部で処理する。また、前記映像処理装置は、前記制御信号として画質を調整するための制御信号を前記パネル装置に送信可能に構成されており、前記連携動作を行う場合は、前記画質を調整するための制御信号を、前記インタフェースを介して前記パネル装置に送信する。
【0012】
上記インタフェースは、好ましくはHDMIである。また、前記認証コマンド及び前記制御信号は、前記HDMI内のCEC(Consumer Electric Control)ラインにより伝送される。
【0013】
上記連携動作時に、前記映像処理装置に内蔵されている画質補正部と前記モニタ装置に内蔵されている画質補正部が、前記制御信号を用いて互いに連携して制御されるようにしてもよい。
【0014】
更にまた、本発明は、上記モニタ装置と前記映像処理装置との間で、前記インタフェースを介して各装置の電源状態に関する情報を送受信可能に構成され、前記モニタ装置と前記映像処理装置のそれぞれの電源状態が一致するように、該モニタ装置と前記映像処理装置の電源が制御されるようにしたことを他の特徴とするものである。例えば前記モニタ装置と前記映像処理装置の一方の装置が電源ONの場合は他方の装置の電源をONとし、一方の装置が電源OFFの場合は他方の装置の電源をOFFとする。この両装置間における電源の一致制御は、モニタ装置と映像処理装置との間で送受信される認証コマンドを用いて行い、いずれか一方または両方の装置において、前記認証コマンドにより認証が為された場合に、前記電源の制御が許可される。
【0015】
このように構成することで、映像処理装置とモニタ装置が連携し、一体のテレビジョン受信機として動作するシステムが構成される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、それぞれ別体に構成された映像処理装置とモニタ装置とを良好に連携動作させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0018】
図1は本発明に掛かる実施形態の一例を示す図である。セットトップボックス11とモニタ12は、HDMIケーブルで接続され一体の映像表示装置としてのテレビジョン受信システムを構成する。まず映像処理装置であるセットトップボックス11の動作を説明する。セットトップボックス11は電源SW110を押すことにより電源ONとなり、DDCインタフェース112からモニタ12のEDIDデータ127を読み込み、制御マイコン113に伝える。制御マイコン113はHDMI-Specification Informational Ver1.0に記載されているとおり、EDIDデータに含まれる物理アドレス、モニタ12が対応する映像フォーマットを取得する。チューナ118は、例えばデジタルテレビジョン信号等の映像信号を受信する。ここで、デジタルテレビジョン信号は、例えばMPEG−2、MPEG−4等で圧縮符号化されている。映像音声処理部114では、その圧縮符号化されたデジタルテレビジョン信号を非圧縮映像信号に変換された後、画素変換、フレームレート変換により前記映像フォーマットに変換され、TMDSトランスミッタ115からHDMIケーブルのTMDS線103を通してモニタ12に伝送される。また、制御マイコンが前記物理アドレスを取得したことにより、セットトップボックス11は制御信号としてのCECコマンドを発信することが可能となり、CECインタフェース111からHDMIのCEC線101へ、ポーリング用CECコマンドを発信して、CECネットワークにおける論理アドレスを確定する。論理アドレス確定後、CECネットワーク全体へ論理アドレスと物理アドレスを通知するCECコマンドを発信する。
【0019】
次にモニタ12の動作を説明する。HDMIのTMDS線103を通して伝送された映像信号はTMDSレシーバ126で受信し、映像音声信号処理部124にて画質補正処理を行った後、映像表示部128にて表示される。この画質補正処理は制御マイコン123からの制御で補正量が制御される。モニタ12の物理アドレスは決まっているため、制御マイコン123の起動後から制御信号としてのCECコマンドを発信することが可能であり、CECインタフェース121からHDMIのCEC線101に、ポーリング用CECコマンドを発信し、CECバス系統内における論理アドレスを確定する。論理アドレス確定後、CECネットワーク全体へ論理アドレスと物理アドレスを通知するCECコマンドを発信する。
【0020】
モニタ12には、テレビジョン受信システムを操作もしくは制御するためのリモコン装置14から発信されたリモコン信号を受信するためのリモコン受光部129が設けられており、モニタ12は、それ自身で、リモコン14からの電源ON信号で電源を立ち上げることも可能である。
【0021】
次にセットトップボックス11とモニタ12の連携認証動作について説明する。図2は連携認証のフローである。図2の符号11はセットトップボックス11、符号12はモニタ12を示している。まずセットトップボックス11がモニタ12のEDIDリード211を実行する。これと前後してモニタ12はCECネットワーク全体に対して論理アドレス“テレビ”と物理アドレスを通知するコマンド212を発行する。セットトップボックス11は、このコマンド212を受信し、論理アドレスが“テレビ”である機器が存在することを把握する。この後、セットトップボックス11は物理アドレスと論理アドレスが確定後、CECネットワーク全体に対して、論理アドレス“チューナ”と物理アドレスを通知するコマンド213を発行する。モニタ12はこのコマンド213を受信し、論理アドレス“チューナ”である機器が存在することを把握する。これらのコマンド212、コマンド213は、他の論理アドレス“テレビ”の機器、論理アドレス“チューナ”機器でも発行するものであり、この状態だけでは連携の認証は成立しない。
【0022】
コマンド213が発行されたことで、論理アドレス“チューナ”の機器がCECコマンド送受信可能な状態である(すなわち“テレビ”の機器と連携動作可能である)ことをモニタ12が把握できるので、モニタ12は、連携動作が可能な特定の装置であることを示す連携認証用CECベンダコマンド214を発行する。モニタ12と連携可能なセットトップボックス11はベンダコマンド214を受信すると、CECネットワークにより連携動作可能なモニタが接続されていることを認識し、連携動作モードに移行するとともに、同じく連携動作が可能な特定の装置であることを示す連携認証用CECベンダコマンド215を発行する。モニタ12はベンダコマンド215を受信すると、連携可能なセットトップボックスが接続されていることを認識し、連携動作モードに移行する。これらのコマンドシーケンスにより、セットトップボックス11とモニタ12は、CEC線101を介したCECコマンドの送受信による連携動作モードとなり、一体のテレビ受信システムとして動作することになる。
【0023】
連携動作モードでは、リモコン14の電源ボタンや、セットトップボックス11の電源ボタン110、モニタ12の電源ボタン120のいずれかの操作により、セットトップボックス11及びモニタ12の電源ON・OFFが可能となる。このセットトップボックス11とモニタ12との電源状態の連携制御の詳細については後述する。また、セットトップボックス11の映像音声信号処理部114とモニタ12の映像音声信号処理部124での画質補正量をそれぞれ組み合わさった状態で適切な画質補正とするように補正制御される。例えば、モニタ12に表示される映像信号の全体の画質補正量を定めておき、この画質補正量をセットトップボックス11側とモニタ12側で分配するように連携するようにしてもよい。例えば、セットトップボックス11の映像音声信号処理部114では、全体画質補正量のうち10%程度の補正量で画質補正を行い、モニタ12の映像音声信号処理部124では残り90%の補正量で画質補正を行うようにしてもよい。この分配は、セットトップボックス11の映像音声信号処理部114とモニタ12の映像音声信号処理部124における処理量の状態で変更するようにしてもよい。例えば、セットトップボックス11の映像音声信号処理部114の処理量が大きい場合は、映像音声信号処理部114の画質補正量を0または少なくし、モニタ12の映像音声信号処理部124での画質補正量を多くする。また、HDMIインタフェースにおける信号伝送状態によって上記分配を変更するようにしてもよい。例えばHDMIインタフェースにおける信号の伝送減衰量が大きい場合は、映像音声信号処理部114の画質補正量を0または少なくし、モニタ12の映像音声信号処理部124のみで画質補正を行うか、または映像音声信号処理部124での画質補正量を多くする。またHDMIインタフェースでの伝送減衰量が大きい場合は、両方の映像音声信号処理部で同程度の補正量で画質補正を行うことで、強めに画質補正を行うようにしてもよい。
【0024】
また、モニタ12のリモコン受光部129へリモコン14からメニュー表示要求信号を送信すると、その要求信号はCECコマンドとしてCEC線101を介してセットトップボックス11に送信され、セットトップボックス11は、そのCECコマンドに応答してメニュー画面を作成する。そのメニュー画面の画像信号は、非圧縮映像信号と合成されてTMDS線103を通してモニタ12に伝送される。これにより、モニタ12にはそのセットトップボックス11のメニュー画面が表示される。ユーザは、リモコン14を用いて表示されたメニュー画面を操作すると、モニタ12の制御マイコン123は、その操作の種類に応じた処理を発生する。これによりセットトップボックス11とモニタ12の機能を同時に制御する。例えばリモコン14によってコントラスト調整やブライトネス調整などの画質調整のための操作がメニュー画面上で選択された場合には、制御マイコン123はそのリモコン信号を画質調整のためのCECコマンドにしてCEC線101を介してセットトップボックス11に送信する。これによりセットトップボックス11の制御マイコン113は、そのCECコマンドに応答して映像音声信号処理部123を制御して選択された所望の画質調整を行う。また上記のようにモニタ12の映像音声信号処理部124と連携して画質調整を行うようにしてもよい。また、メニュー画面から図示しないスピーカからの音声ボリューム調整が選択された場合には、モニタ12の制御マイコン123は、そのリモコン信号を上記のようにCECコマンドとしてセットトップボックス11に送信せず、モニタ12の映像音声信号処理部124に出力する。これにより、モニタ12のスピーカからの音声ボリュームがリモコン信号に応じて所望の値に調整される。このように、連携動作モードでは、リモコンからのコマンドの種類に応じて、セットトップボックス11側で行う制御かモニタ12側で行う制御かを判別し、その判別に応じてCECコマンドの発行の要否が制御される。
【0025】
更にまた、本実施例では、ゲーム用低遅延表示モードを備えている。映像音声信号処理部123及び124は、例えば入力映像信号の単位時間当たりのフレーム数を増加するためのフレームレート変換処理や、映像信号を拡大縮小するためのスケーリング処理が行われる。フレームレート変換処理やスケーリング処理を行うと、モニタ12に表示される映像のタイミングが入力映像信号のタイミングよりもたとえば数十〜数百ms程度遅延する場合がある。このゲーム用低遅延表示モードモードは、例えば、このような処理(特にフレームレート変換処理)を中断することで上記のような表示映像の遅延を軽減するものである。たとえば、セットトップボックス11側にゲーム機器を接続した場合、前記メニュー画面で、ゲーム用低遅延表示モードをアクティブに設定すると、セットトップボックス11の映像音声信号処理部114を低遅延表示モードに制御すると同時に、CECベンダコマンドを用いて、モニタ12の映像音声信号処理部124を低遅延表示モードに制御する。このように本テレビジョン受信システムでは、セットトップボックス11とモニタ12の2つの機器で構成されていながら、あたかも1つの機器として動作することが可能である。
【0026】
なお、セットトップボックス11とモニタ12の連携認証が不成立に終わった場合は、セットトップボックス11とモニタ12は、それぞれ単独で動作する。例えば、モニタ12は、リモコン14からのリモコン信号をセットトップボックス11側へ送信せず、その内部の制御マイコン123によってモニタ12のみを制御する。
【0027】
ここで、セットトップボックス11とモニタ12の連携動作時の電源管理方法、すなわち電源一致制御動作について説明する。この電源一致制御動作は、上記のような認証コマンドに基づく認証が成功した場合に許可されるものであり、すなわち連携動作モードに移行した場合にのみ実行される。
【0028】
連携動作時において、セットトップボックス11とモニタ12はともに電源ON/OFFとなる必要があるが、制御方法によっては、片方が電源ONで片方が電源OFFというように電源状態の不一致が発生し、連携動作に支障をきたす場合がある。これを回避するにはどちらが片方の機器が双方の電源を管理することが望ましい。本実施例の構成では電源起動において次の3つの方法が存在する。(1)セットトップボックス11の電源SW110を押す。(2)リモコン14から電源ON信号をモニタ12のリモコン受光部129に送信。(3)モニタ12の電源SW130を押す。
【0029】
まず、前記(1)について図4(1)のCECコマンドフローで説明する。セットトップボックス11の電源SW110が押されると、セットトップボックス11は、モニタ12へ電源ONを指示するCECベンダコマンド411を発行する。その後、セットトップボックス11は、モニタ12へ電源状態を問い合わせるCECベンダコマンド412を発行する。モニタ12から電源状態“電源ON”を示すCECベンダコマンド413が受信したのを受け、セットトップボックス11は自らの電源をON状態へ移行させる。
【0030】
次に前記(2)について図4(2)のCECコマンドフローで説明する。モニタ12はリモコン受光部129でリモコンからの電源ON信号を受信すると、セットトップボックス11へ電源ONを指示するリモコン信号を受信したことを示すCECベンダコマンド414を発行する。セットトップボックス11は、モニタ12へ電源ONを指示するCECベンダコマンド411を発行する。その後、セットトップボックス11は、モニタ12へ電源状態を問い合わせるCECベンダコマンド412を発行する。モニタ12から電源状態“電源ON”を示すCECベンダコマンド413が受信したのを受け、セットトップボックス11は自らの電源をON状態へ移行させる。
【0031】
次に前記(3)について図4(3)のCECコマンドフローで説明する。モニタ12は電源ボタン130が押されると、セットトップボックス11へ電源ボタンが押されたことを示すCECベンダコマンド415を発行する。セットトップボックス11は、モニタ12へ電源ONを指示するCECベンダコマンド411を発行する。その後、セットトップボックス11は、モニタ12へ電源状態を問い合わせるCECベンダコマンド412を発行する。モニタ12から電源状態“電源ON”を示すCECベンダコマンド413を受信したのを受け、セットトップボックス11は自らの電源をON状態へ移行させる。
【0032】
つまり、モニタ12は、それに備えられている電源ボタン130が押された場合や、リモコンからの電源ON信号を受信した場合でも、直ちに電源ONを行わず、セットトップボックスからの電源ONの指示を待って電源をONする。さらにセットトップボックス11はモニタ12が電源ON状態に移行したことを確認してから自らを電源ON状態へ移行させる。このように、セットトップボックス11が連携動作するモニタ12の電源状態も含め一元管理することにより、電源状態不一致を回避することができる。ここでは、電源ONへの移行について説明したが、電源OFFへの移行も同様であり、前記説明の“電源ON”を、“電源OFF”と読み替えることで説明できる。
【0033】
このように本実施例では、セットトップボックス11及びモニタ12が、それぞれ、各装置に関連付けられた認証コマンドを接続先の機器から受信して認証を行い、認証が為されたことで始めて両者の装置の連携動作を許可している。これによって、連携動作が可能とされた特定の装置同士を接続した場合にのみこれらの装置間で連携動作が可能となり、かかるテレビジョン受信システムにおいて良好に連携動作を行うことができる。また、この連携動作によってセットトップボックス11及びモニタ12の電源状態の不一致を解消することができ、余分な電力消費や連携動作の不具合を解消することができる。
【0034】
上記実施例の説明では、セットトップボックス11及びモニタ12の両方において認証が成功した場合に連携動作が許可されるようにしたが、いずれか一方の装置のみで認証が為された場合に連携動作を許可するようにしてもよい。この認証は、少なくともモニタ側で行うことが好ましい。また、本発明の実施例について、テレビジョン受信システムを例にして説明したが、これに限られるものではなく、上記のように映像信号を出力する装置とそれを受けて映像を表示するシステムに適用されることは言うまでも無い。
【実施例2】
【0035】
次に本発明の第二の実施例について説明する。図3は本発明に係る第二の実施例の一例を示す図である。この実施形態は、第一の実施例のセットトップボックス11と、モニタ12の間に、HDMIインタフェースを介して音声アンプ機器33が挿入されたものである。この音声アンプ機器は、例えば複数のスピーカと接続されており、モニタ12に元々備えられたスピーカと共同して、またはモニタ32のスピーカに代えて、接続された複数のスピーカから音声を出力させるものである。図3のセットトップボックス31、モニタ32は、内部構成を含め、図1に記載のセットトップボックス11、モニタ12と同じものである。
【0036】
図3において、音声アンプ機器33は、セットトップボックス31からのTMDS信号をTMDSレシーバ336で受信し、そのままTMDSトランスミッタ335から出力するとともに、TMDS信号に多重されている音声信号を抽出し、制御マイコン333からの制御により音声処理部334で処理を行う。音声アンプ機器33はモニタ32のEDIDデータを、DDCインタフェースを介して取得し、物理アドレスやモニタ32が対応する映像フォーマット情報を、EDID327に反映させる。セットトップボックス31やモニタ32とのCECコマンド送受信はCECインタフェース321を介して行う。
【0037】
本実施例が前記第一の実施例と異なる部分は、セットトップボックス31とモニタ32との間に音声アンプ機器33に接続されているので、セットトップボックス31が、モニタ32のEDIDを直接取得することができない点である。しかしながら、このような接続構成であっても、本実施例では、モニタ32のEDIDを一旦音声アンプ機器33に格納し、それをCECインタフェースによりセットトップボックス31に送信するようにしているので、セットトップボックス31はモニタ32のEDIDを取得することができる。これにより、セットトップボックス31とモニタ32の連携認証処理を、図2にて説明したCECベンダコマンドフローで実現するため、EDIDを直接取得できない接続状態においても連携動作を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の実施例1を説明する図
【図2】本発明の実施例1の連携認証コマンドフローを説明する図
【図3】本発明の実施例2を説明する図
【図4】本発明の実施例1の電源起動コマンドフローを説明する図
【符号の説明】
【0039】
11・・・セットトップボックス
12・・・モニタ
14・・・リモコン
101・・・HDMIケーブルのCEC線
102・・・HDMIケーブルのDDC線
103・・・HDMIケーブルのTMDS線
110・・・セットトップボックスの電源SW
111・・・セットトップボックスのCECインタフェース
112・・・セットトップボックスのDDCインタフェース
113・・・セットトップボックスの制御マイコン
114・・・セットトップボックスの映像音声信号処理部
115・・・セットトップボックスのTMDSトランスミッタ
118・・・セットトップボックスのチューナ
120・・・モニタの電源SW
121・・・モニタのCECインタフェース
123・・・モニタの制御マイコン
124・・・モニタの映像音声信号処理部
126・・・モニタのTMDSレシーバ
127・・・モニタのEDID
128・・・モニタの映像表示部
129・・・モニタのリモコン受信部
211・・・EDIDリード
212・・・コマンド
213・・・コマンド
214・・・コマンド
215・・・コマンド
31・・・セットトップボックス
32・・・モニタ
34・・・リモコン
301・・・HDMIケーブルのCEC線
302・・・HDMIケーブルのDDC線
303・・・HDMIケーブルのTMDS線
310・・・セットトップボックスの電源SW
311・・・セットトップボックスのCECインタフェース
312・・・セットトップボックスのDDCインタフェース
313・・・セットトップボックスの制御マイコン
314・・・セットトップボックスの映像音声信号処理部
315・・・セットトップボックスのTMDSトランスミッタ
318・・・セットトップボックスのチューナ
320・・・モニタの電源SW
321・・・モニタのCECインタフェース
323・・・モニタの制御マイコン
324・・・モニタの映像音声信号処理部
326・・・モニタのTMDSレシーバ
327・・・モニタのEDID
328・・・モニタの映像表示部
329・・・モニタのリモコン受信部
331・・・音声アンプ機器のCECインタフェース
333・・・音声アンプ機器の制御マイコン
334・・・音声アンプ機器の映像音声信号処理部
335・・・音声アンプ機器のTMDSトランスミッタ
336・・・音声アンプ機器のTMDSレシーバ
337・・・音声アンプ機器のEDID
338・・・音声アンプ機器の映像表示部
339・・・音声アンプ機器のリモコン受信部
411・・・電源ONを指示するCECベンダコマンド
412・・・電源状態を問い合わせるCECベンダコマンド
413・・・電源状態“電源ON”を示すCECベンダコマンド
414・・・電源ONを指示するリモコン信号を受信したことを示すCECベンダコマンド
415・・・モニタの電源ボタンが押されたことを示すCECベンダコマンド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像表示を行うモニタ装置と、入力された映像信号に対して所定の処理を施して、所定のインタフェースを介して前記モニタ装置に出力する映像処理装置とを備え、前記モニタ装置と前記映像処理装置とが別筐体で構成された映像表示装置において、
前記モニタ装置には第1の電源ボタンが設けられ、前記映像処理装置には第2の電源ボタンが設けられており、
前記モニタ装置に設けられた前記第1の電源ボタンが押されたときは、当該モニタ装置と前記映像処理装置の電源を、両者の電源状態が等しくなるように制御され、
前記映像処理装置に設けられた前記第2の電源ボタンが押されたときは、当該映像処理装置と前記モニタ装置の電源を、両者の電源状態が等しくなるように制御される、
ことを特徴とする映像表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の映像表示装置において、前記モニタ装置及び前記映像処理装置のいずれかを操作するためのリモコン装置に設けられた第3の電源ボタンの操作でも、前記モニタ装置と前記映像処理装置の電源を、両者の電源状態が等しくなるように制御されるようにしたことを特徴とする映像表示装置。
【請求項3】
請求項2に記載の映像表示装置において、前記映像処理装置は、前記第1、第2及び第3の電源ボタンのいずれかの操作に基づく電源制御の指令に応答して前記モニタ装置の電源情報を取得し、該取得された電源情報に基づき前記モニタ装置の電源状態を制御することを特徴とする映像表示装置。
【請求項4】
映像表示を行うモニタ装置と、入力された映像信号に対して所定の処理を施して、所定のインタフェースを介して前記モニタ装置に出力する映像処理装置とを備え、前記モニタ装置と前記映像処理装置とが別筐体で構成された映像表示装置において、
前記モニタ装置には第1の電源ボタンが、前記映像処理装置には第2の電源ボタンが、更に前記モニタ装置及び前記映像処理装置のいずれかを操作するためのリモコン装置には第3の電源ボタンがそれぞれ設けられており、
前記第1の電源ボタン、前記第2の電源ボタン及び前記第3の電源ボタンのいずれかが操作された場合でも、前記モニタ装置と前記映像処理装置の電源状態が等しくなるように、前記モニタ装置と前記映像処理装置の電源が制御されることを特徴とする映像表示装置。
【請求項5】
映像表示を行うモニタ装置と、入力された映像信号に対して所定の処理を施して、所定のインタフェースを介して前記モニタ装置に出力する映像処理装置とを備え、前記モニタ装置と前記映像処理装置とが別筐体で構成された映像表示装置において、
前記モニタ装置に設けられた第1の電源ボタンと、前記映像処理装置に設けられた第2の電源ボタンと、前記モニタ装置及び前記映像処理装置のいずれかを操作するためのリモコン装置に設けられた第3の電源ボタンと、前記映像処理装置に設けられた制御部とを備え、
前記制御部は、前記第1の電源ボタン、前記第2の電源ボタン及び前記第3の電源ボタンのいずれかが操作された場合でも、前記モニタ装置の電源と前記映像処理装置の電源とを連動させて制御することを特徴とする映像表示装置。
【請求項6】
請求項5に記載の映像表示装置において、前記制御部は、
前記第1の電源ボタン、前記第2の電源ボタン及び前記第3の電源ボタンのいずれかに対して電源オフの操作が為されると、前記モニタ装置の電源と前記映像処理装置の電源のいずれも電源オフとなるように両者の電源を連動させて制御し、
前記第1の電源ボタン、前記第2の電源ボタン及び前記第3の電源ボタンのいずれかに対して電源オンの操作が為されると、前記モニタ装置の電源と前記映像処理装置の電源のいずれも電源オンとなるように両者の電源を連動させて制御することを特徴とする映像表示装置。
【請求項7】
映像表示を行うモニタ装置と、入力された映像信号に対して所定の処理を施して、所定のインタフェースを介して前記モニタ装置に出力する映像処理装置とを備え、前記モニタ装置と前記映像処理装置とが別筐体で構成された映像表示装置において、
前記モニタ装置と前記映像処理装置との間で、前記インタフェースを介して各装置の電源状態に関する情報を送受信可能に構成され、
前記モニタ装置と前記映像処理装置のそれぞれの電源状態が一致するように、該モニタ装置と前記映像処理装置の電源が制御されることを特徴とする映像表示装置。
【請求項8】
請求項7に記載の映像表示装置において、前記モニタ装置と前記映像処理装置の一方の装置が電源ONの場合は他方の装置の電源をONとし、一方の装置が電源OFFの場合は他方の装置の電源をOFFとすることを特徴とする映像表示装置。
【請求項9】
請求項7に記載の映像表示装置において、前記モニタ装置と前記映像処理装置との間で、前記インタフェースを介して各装置に関連付けられた認証コマンドを送受信可能でありいずれか一方または両方の装置において、前記認証コマンドに認証がなされた場合に、前記電源の制御が許可されることを特徴とする映像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−141940(P2009−141940A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−213463(P2008−213463)
【出願日】平成20年8月22日(2008.8.22)
【分割の表示】特願2007−316529(P2007−316529)の分割
【原出願日】平成19年12月7日(2007.12.7)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】