説明

映像表示装置及び映像表示方法

【課題】複数画面表示において、画面合成をした後の映像信号では表示領域に割り当てられるディスプレイの画素が小さくなることにより、画質低下もしくは文字が見えない等の情報欠けが発生する。
【解決手段】本発明の映像表示装置は、複数の映像信号毎に位置調整情報を作成する位置調整部と、位置調整情報に基づいて複数の映像信号の映像取り込み位置を制御する複数の位置制御部と、複数の映像信号及びディスプレイの表示領域に基づいて複数の映像信号毎にサイズ調整情報を作成するサイズ調整部と、サイズ調整情報に基づいて複数の位置制御部が出力した複数の映像信号のサイズを調整する複数のサイズ制御部と、複数のサイズ制御部が出力した複数の映像信号を合成する映像合成部と、合成された映像信号をディスプレイに表示させる映像出力部と、を具備することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像表示装置及び映像表示方法に関し、更に詳しくは、入力された複数の映像信号を合成して表示させることが可能な映像表示装置及び映像表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
映像表示装置では、入力された複数の映像信号を合成表示するために、図6に示すようなピクチャーアンドピクチャー(Picture and Picture、以下、PandPと称す)601、ピクチャーアウトピクチャー(Picture out Picture、以下、PoutPと称す)602、ピクチャーインピクチャー(Picture in Picture、以下、PinPと称す)603のような表示方法を採用している。PandPとは、複数の映像信号を並べて表示する表示方法である。PoutPとは、主画面(特定の映像信号)を縮小するとともに縮小によって空いた領域に副画面(特定の映像信号以外の映像信号)を表示する表示方法である。PinPとは、主画面(特定の映像信号)の中に副画面(特定の映像信号以外の映像信号)を表示する表示方法である。
【0003】
また、従来、2つの映像信号を2画面表示(PoutP)する場合に、リモコン操作により主画面及び副画面の画面サイズを変更可能な映像表示装置がある(例えば、特許文献1参照)。この映像表示装置では、リモコンのスライドレバーを操作することで2画面のサイズ比率を任意に変更し、サイズ比率に応じて、画面に表示する映像信号の表示サイズを変更している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−085546号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の特許文献1記載の映像表示装置では、2画面のサイズ比率の変更に応じて映像信号自体の表示サイズも変更するものであり、例えば視聴中のDVD映像を主画面に表示し、ニュース情報を一部に含むデータ放送を副画面に表示する場合において、主画面サイズを大きくした場合に、副画面に表示されたニュース情報の表示サイズが小さくなり、画質劣化もしくは情報欠けが発生し、ユーザーはニュース情報を確認しにくいという問題があった。
【0006】
ここで、上記問題を、図7を用いて詳述する。例えば、1440画素×1080画素の出力映像(データ放送)701に対して、ニュース情報702が720画素×360画素になっている場合、ニュース情報702を含むデータ放送701を副画面として表示すると、副画面の上下に無駄な領域が表示されているだけではなく、副画面の領域に割り当てられるディスプレイの画素が小さくなることにより、画質低下もしくはニュース情報702の文字が見えない等の情報欠けが発生するという問題があった。
【0007】
詳述すると、例えば、全体の画素が水平1366画素、垂直768画素のディスプレイで、PoutPによって2画面を表示させた場合、主画面の表示領域は1024画素×768画素となり、副画面の表示領域は342画素×256画素となる。この副画面の表示領域の中で、720画素×360画素のニュース情報702を表示させた場合、水平画素は342×(720/1440)=171画素、垂直画素は256×(360/1080)=85画素となり、2画面表示前のニュース情報702の画素よりも2画面表示後のニュース情報703の画素は小さな画素となり、画質劣化もしくは情報欠けが発生する。
【0008】
また、上記従来の特許文献1記載の映像表示装置では、2画面表示する際に、2画面表示領域以外の領域704には映像信号が表示されておらず、表示領域を有効に活用できていない。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、複数の映像信号を合成表示する場合において、各々の映像信号を任意の位置で切り出し、切り出された映像信号を合成してマルチ画面として全画面表示することが可能な映像表示装置及び映像表示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の請求項1に係る映像表示装置は、入力された複数の映像信号を合成してディスプレイに表示させる映像表示装置であって、複数の映像信号毎に水平映像位置及び垂直映像位置を位置調整情報として作成して出力する位置調整部と、位置調整部から入力された位置調整情報に基づいて複数の映像信号の映像取り込み位置を制御して出力する複数の位置制御部と、複数の映像信号及びディスプレイの水平出力領域及び垂直出力領域に基づいて、複数の映像信号毎に水平サイズ調整及び垂直サイズ調整をサイズ調整情報として作成して出力するサイズ調整部と、サイズ調整部から入力されたサイズ調整情報に基づいて、複数の位置制御部が出力した複数の映像信号のサイズを調整して出力する複数のサイズ制御部と、複数のサイズ制御部から入力された複数の映像信号を合成して合成映像信号を出力する映像合成部と、映像合成部から入力された合成映像信号をディスプレイに表示させる映像出力部と、を具備することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の請求項2に係る映像表示装置は、本発明の請求項1に係る映像表示装置の構成において、映像信号を切り出す位置に関する要求を受信して位置制御情報として出力する入力部と、を更に備え、位置調整部は、入力部から入力された位置制御情報に基づいて映像信号の位置調整情報を作成して出力し、サイズ調整部は、映像信号及びディスプレイの水平出力領域及び垂直出力領域に基づいて、映像信号をディスプレイ全体に拡大するようサイズ調整情報を作成する、ことを特徴とする。
【0012】
また、本発明の請求項3に係る映像表示方法は、入力された複数の映像信号を合成してディスプレイに表示させるための映像表示方法であって、複数の映像信号毎に水平映像位置及び垂直映像位置を位置調整情報として作成して出力する位置調整ステップと、出力された位置調整情報に基づいて複数の映像信号の映像取り込み位置を制御して出力する位置制御ステップと、複数の映像信号及びディスプレイの水平出力領域及び垂直出力領域に基づいて、複数の映像信号毎に水平サイズ調整及び垂直サイズ調整をサイズ調整情報として作成して出力するサイズ調整ステップと、出力されたサイズ調整情報に基づいて、位置制御ステップが出力した複数の映像信号のサイズを調整して出力するサイズ制御ステップと、サイズ制御ステップが出力した複数の映像信号を合成して合成映像信号を出力する映像合成ステップと、出力された合成映像信号をディスプレイに表示させる映像出力ステップと、を有することを特徴とする。
【0013】
また、本発明の請求項4に係る映像表示方法は、本発明の請求項3に係る映像表示方法の構成において、映像信号を切り出す位置に関する要求を受信して位置制御情報として出力する入力ステップと、を更に備え、位置調整ステップは、出力された位置制御情報に基づいて映像信号の前記位置調整情報を作成して出力し、サイズ調整ステップは、映像信号及びディスプレイの水平出力領域及び垂直出力領域に基づいて、映像信号をディスプレイ全体に拡大するようサイズ調整情報を作成する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、複数の映像信号をそれぞれ任意の位置で切り出し、切り出された映像信号を合成してマルチ画面で全画面表示するので、画質が劣化することなく、かつ文字情報を欠落することがなくなり、効果的に映像を表示させることができる。
【0015】
また、リモコンの十字キーを利用して、ユーザー操作により、簡単に各映像信号の切り出し位置調整を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態1に係る映像表示装置の構成を示すブロック図
【図2】本発明の実施の形態1に係る合成表示画面の例を示す図
【図3】本発明の実施の形態2に係る映像表示装置の構成を示すブロック図
【図4】本発明の実施の形態2に係る合成表示画面の例を示す図
【図5】本発明の実施の形態2に係る合成表示画面の例を示す図
【図6】従来の合成表示画面を示す図
【図7】従来のPoutP表示画面を示す図
【図8】従来のPoutP表示画面を示す図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0018】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る映像表示装置の構成を示すブロック図である。本実施の形態では、多画面を合成する例として、2つの映像信号(映像信号A、映像信号B)を合成して2画面(PinP)表示する映像表示装置を例に挙げて説明する。映像表示装置100は、位置調整部111と、サイズ調整部112と、第1の位置制御部121と、第2の位置制御部122と、第1のサイズ制御部123と、第2のサイズ制御部124と、映像合成部130と、映像出力部140から構成される。
【0019】
位置調整部111は、入力部(図示せず)からの合成画面表示要求に応じて位置調整情報を作成し、作成された位置調整情報を第1の位置制御部121及び第2の位置制御部122へ出力する。位置調整情報の作成方法については、後ほど図2を用いて詳述する。
【0020】
サイズ調整部112は、位置調整部111からの情報に応じてサイズ調整情報を作成し、作成されたサイズ調整情報を第1のサイズ制御部123及び第2のサイズ制御部124へ出力する。サイズ調整情報の作成方法については、後ほど図2を用いて詳述する。
【0021】
第1の位置制御部121は、位置調整部111からの位置調整情報に基づいて、入力された映像信号Aの映像開始位置を調整し、映像開始位置が調整された映像信号Aをサイズ制御部123へ出力する。第2の位置制御部122は、位置調整部111からの位置調整情報に基づいて、入力された映像信号Bの映像開始位置を調整し、映像開始位置が調整された映像信号Bをサイズ制御部124へ出力する。ここで、映像信号A及び映像信号Bは、チューナ(図示せず)で受信された放送信号に含まれる映像信号であってもよいし、通信部(図示せず)によってネットワーク経由で受信された映像信号であってもよい。また、媒体挿入部(図示せず)に挿入された記録媒体に記録された映像信号であってもよい。
【0022】
第1のサイズ制御部123は、サイズ調整部112からのサイズ調整情報に基づいて、第1の位置制御部121から入力された映像信号Aの映像サイズを調整し、映像サイズが調整された映像信号Aを映像合成部130へ出力する。第2のサイズ制御部124は、サイズ調整部112からのサイズ調整情報に基づいて、第2の位置制御部122から入力された映像信号Bの映像サイズを調整し、映像サイズが調整された映像信号Bを映像合成部130へ出力する。
【0023】
映像合成部130は、第1のサイズ制御部123から入力された映像信号Aと第2のサイズ制御部124から入力された映像信号Bとを合成し、合成された映像信号である合成映像信号を映像出力部140へ出力する。映像出力部140は、映像合成部130から入力された合成映像信号をディスプレイ(図示せず)に表示させる。
【0024】
まず、図8に示す従来の映像表示装置における合成表示画面例を用いて本発明の課題を明確化する。図8では、映像信号A801として、水平720画素、垂直480画素の映像信号が入力され、映像信号B802として、水平1440画素、垂直1080画素の映像信号が入力される場合を考える。これは、映像信号A801としてDVDの映像信号が入力され、映像信号B802として地上デジタル放送(データ放送)の映像信号が入力されている場合の一般的な画素数である。
【0025】
図8に示す従来の映像表示装置では、映像信号を内部画像メモリに取り込む開始点を設定することで位置制御を行っている。例えば、映像信号A801に対して、水平同期期間(HsA)と水平バックポーチ期間(HbA)を加算することにより水平映像位置A804を定め(水平映像位置A=HsA+HbA)、映像信号A801の有効画素から映像を取り込む。同様に、垂直映像位置A805に関しては、垂直同期期間(VsA)と垂直バックポーチ期間(VbA)を加算して垂直映像位置A805を定め(垂直映像位置A=VsA+VbA)、映像信号A801の有効画素から映像を取り込む。
【0026】
上記処理後、図8に示す従来の映像表示装置は、入力画素から出力画素への拡大/縮小率を設定することでサイズ調整を行う。映像信号A801の水平有効画素領域が720画素、映像信号A801の水平出力領域が1024画素であるため、水平サイズ調整A=(1024/720)によって拡大率を定義する。同様に、垂直有効画素領域が480画素、垂直出力領域が768画素であるため、垂直サイズ調整A=(768/480)によって拡大率を定義する。
【0027】
映像信号B802に関しては、映像信号B802が水平1440画素、垂直1080画素、出力画素が水平342画素、垂直256画素であるため、上記の算出式によって、水平映像位置B、垂直映像位置B、水平サイズ調整B、垂直サイズ調整Bを同様に算出する。
【0028】
次に、図8に示す従来の映像表示装置は、映像信号A801の表示開始座標を、ディスプレイに対して(水平開始座標、垂直開始座標)=(0、0)に設定し、映像信号B802の表示開始座標を(水平開始座標、垂直開始座標)=(1024、256)に設定した場合、図8の合成画面806のような合成映像信号がディスプレイに表示される。
【0029】
しかしながら、上記従来の映像表示装置では、例えば、副画面に表示する映像信号B802がデータ放送であって、映像信号B802の一部に水平720画素、垂直360画素のニュース情報803などの注目すべき小さな映像があった場合、最終の出力画像上である合成画面806では、このニュース情報803は水平171画素、垂直85画素で表示されることになり(807)、元のニュース情報803に対して、画素比=(171×85)/(720×360)=0.0562となり、約5.6%の情報となってしまう。これでは、大幅な画質劣化を発生させる、もしくは文字情報が正しく表示できない可能性がある。また、ディスプレイ上に無駄な領域が多く残されてしまう。
【0030】
そこで、本発明の実施の形態1に係る映像表示装置100では、主画面、副画面を全画面に表示させ、副画面の映像の一部分だけを切り取り合成することによって、効果的に映像を表示させることを目的としている。以下、本実施の形態に係る映像表示装置100の映像合成処理について図2を用いて説明する。ここで、映像信号A及び映像信号Bについては、図8の映像信号A801及び映像信号B802であるとする。
【0031】
本実施の形態では、位置調整部111は、入力された映像信号がデータ放送であるか否かを判断し、映像信号がデータ放送でない場合は映像信号をディスプレイ全体に拡大表示させるように位置調整情報を作成し、映像信号がデータ放送である場合はデータ放送のうちの表示が必要と判断した所定部分の映像信号(例えば、ニュース情報等の文字情報)を拡大表示させるように位置調整情報を作成する。また、位置調整部111は、データ放送であるか否かの情報をサイズ調整部112へ出力する。
【0032】
映像信号A801に関しては、位置調整部111は、映像信号A801をデータ放送でないと判断する。そのため、映像信号A801の水平映像位置Aを水平同期期間(HsA)と水平バックポーチ期間(HbA)を加算することにより算出する(水平映像位置A=HsA+HbA)。また、垂直映像位置Aを垂直同期期間(VsA)と垂直バックポーチ期間(VbA)を加算することにより算出する(垂直映像位置A=VsA+VbA)。そして、水平映像位置A及び垂直映像位置Aを位置調整情報として第1の位置制御部121へ出力する。第1の位置制御部121は位置調整情報に基づいて、該当する位置から映像信号A801をとりこみ、第1のサイズ制御部123へ出力する。
【0033】
一方、映像信号B802に関しては、位置調整部111は、映像信号B802をデータ放送として判断し、かつニュース情報803を必要な所定部分の映像信号と判断する。ニュース情報803は、水平720画素、垂直360画素であって、映像信号B802(水平1440画素、垂直1080画素)の水平方向の右2分の1、ならびに垂直方向下3分の1に位置する。この時、位置調整部111は、映像信号B802の水平映像位置B201を、水平映像位置B=HsB+HbB+(1440−720)によって算出し、映像信号B802の垂直映像位置B202を、垂直映像位置B=VsB+VbB+(1080−360)によって算出する。そして、水平映像位置B201及び垂直映像位置B202を位置調整情報として第2の位置制御部122へ出力する。第2の位置制御部122は位置調整情報に基づいて、該当する位置から映像信号B802をとりこみ、第2のサイズ制御部124へ出力する。
【0034】
次に、サイズ調整部112の処理について説明する。サイズ調整部112は、位置調整部111からの情報(映像信号がデータ放送であるか否かの情報)に応じて、サイズ調整情報を作成する。映像信号がデータ放送でない場合は映像信号をディスプレイ全体に拡大表示させるようにサイズ調整情報を作成し、映像信号がデータ放送である場合はデータ放送のうちの表示が必要と判断した所定部分の映像信号(例えば、ニュース情報等の文字情報)を拡大表示させるようにサイズ調整情報を作成する。
【0035】
映像信号A801はデータ放送ではないので、サイズ調整部112は、水平出力領域を1366画素と判断し、水平サイズ調整A=(1366/720)によって拡大率を定義する。同様に、垂直出力領域は768画素となり、垂直サイズ調整A=(768/480)によって拡大率を定義する。そして、水平サイズ調整A及び垂直サイズ調整Aをサイズ調整情報として第1のサイズ制御部123へ出力する。第1のサイズ制御部123はサイズ調整情報に基づいて、第1の位置制御部121から入力された映像信号A801を拡大して映像合成部130へ出力する。
【0036】
一方、映像信号B802はデータ放送であってニュース情報803はデータ放送のうちの表示が必要と判断した所定部分の映像信号であるため、少なくとも、映像信号B802を全画面表示したときのニュース情報803と同サイズ(水平方向の右2分の1、ならびに垂直方向下3分の1)で表示する必要がある。そのため、サイズ調整部112は、水平出力領域を水平方向の2分の1である683画素とし、垂直出力領域を垂直方向の3分の1である256画素と判断する。そして、水平サイズ調整値Bを、水平サイズ調整B=(683/720)によって定義し、垂直サイズ調整Bを、垂直サイズ調整B=(256/360)によって定義する。そして、水平サイズ調整B及び垂直サイズ調整Bをサイズ調整情報として第2のサイズ制御部124へ出力する。第2のサイズ制御部124はサイズ調整情報に基づいて、第2の位置制御部122から入力された映像信号B802を拡大して映像合成部130へ出力する。
【0037】
映像合成部130は、拡大された映像信号A801と拡大された映像信号B802とを合成して映像出力部140へ出力する。具体的には、映像信号A801の表示開始座標を、ディスプレイ(図示せず)に対して(水平開始座標、垂直開始座標)=(0、0)に設定し、映像信号B802の表示開始座標を(水平開始座標、垂直開始座標)=(1366/2、768×2/3)に設定し、映像信号A801の上に映像信号B802を乗せる形で合成して出力する。これにより、ディスプレイ(図示せず)には、映像信号B802の一部の映像領域が、元の映像信号B802を画面全体に表示したときと同じ領域に同じ倍率で表示される状態(203)となり、画質が劣化することや、文字情報などが正しく表示されない、といった問題は発生しなくなる。
【0038】
なお、本実施の形態では、ニュース情報を水平720画素、垂直360画素の領域を例として挙げたが、任意の画素の映像に関しても同様に適用できる。
【0039】
(実施の形態2)
図3は、本発明の実施の形態2に係る映像表示装置の構成を示すブロック図である。本実施の形態では、ユーザーのリモコン操作によって、映像信号の切り出し位置を可変させる点が実施の形態1と異なる。本実施の形態の映像表示装置300は、入力部301と、位置調整部302と、サイズ調整部303と、第1の位置制御部121と、第2の位置制御部122と、第1のサイズ制御部123と、第2のサイズ制御部124と、映像合成部130と、映像出力部140から構成される。図1と同符号を付したものは同機能を有するため説明を省略する。
【0040】
入力部301は、ユーザーからの位置切り出しに関する要求をリモコン信号として受信し、受信したリモコン信号を解析して位置制御情報として位置調整部302へ出力する。
【0041】
位置調整部302は、入力部301から受信した位置制御情報に基づいて、位置調整情報を作成し、作成された位置調整情報を第1の位置制御部121及び第2の位置制御部122へ出力する。位置調整情報の作成方法については、後ほど図4及び図5を用いて詳述する。
【0042】
サイズ調整部302は、ディスプレイ(図示せず)の水平出力領域及び垂直出力領域の情報に基づいて、映像信号をディスプレイ(図示せず)全体に拡大表示させるようにサイズ調整情報を作成し、作成されたサイズ調整情報を第1のサイズ制御部123及び第2のサイズ制御部124へ出力する。
【0043】
次に、図4を用いて、本発明の実施の形態2に係る映像表示装置300の位置調整部302での位置調整処理について説明する。
【0044】
例えば、図4(1)に示すように、予め位置調整部302において映像表示領域の水平方向を10ステップに分割したとき、左から2ステップの位置と、右から0ステップの位置に映像信号を切り出す境界を持つ映像信号401が表示されているとする。このとき、ユーザーが位置切り出しに関する要求としてリモコン(図示せず)の十字キーの右を3回押すことによって、入力部301はこの位置切り出しに関する要求をリモコン信号として受信し、「映像信号を右から3ステップ分切り取る」という位置制御情報を生成して、位置調整部302へ出力する。位置調整部302は、位置調整情報として「左側にある映像信号の境界を左から2ステップの位置から、5ステップの位置まで、右方向に3ステップ移動する」ことを示す位置調整情報を作成し、第1の位置制御部121または第2の位置制御部122へ出力する。第1の位置制御部121または第2の位置制御部122は、位置調整部302からの位置調整情報に基づいて、映像信号を切り出して第1のサイズ制御部123または第2のサイズ制御部124へ出力する。これにより映像信号402が表示される。また、リモコン十字キーの左を2回押すことで、右側にある映像信号の境界を右から0ステップの位置から、2ステップの位置まで、左方向に2ステップ移動させた映像信号403を表示することもできる。以下、前記処理について図4(1)を用いて詳述する。
【0045】
図4(1)は、左側の映像信号の境界を左から2ステップの位置から、5ステップの位置まで、変化させたい場合について示している。ここで、切り出し対象の元映像信号は映像信号B802(水平1440画素、垂直1080画素)であるとする。また、映像信号B802の水平表示領域を10ステップに分割した場合、水平表示領域の1ステップは1440×(1/10)=144画素となる。
【0046】
位置調整部302において、映像信号B802の取り込み位置を左から5ステップの位置に移動させる場合、映像信号B(水平1440画素、垂直1080画素)の映像取り込み位置は、水平映像位置B=HsB+HbB+1440×(5/10)となり、垂直映像位置B=VsB+VbBとなる。位置調整部302は、この水平映像位置B及び垂直映像位置Bを位置調整情報として第2の位置制御部122へ出力する。
【0047】
サイズ調整部303は、ディスプレイ(図示せず)の水平出力領域が1366画素、垂直出力領域が768画素であるので、実施の形態1と同様に、水平サイズ調整B=(1366/1440)、垂直サイズ調整B=(768/1080)としたサイズ調整情報を第2のサイズ制御部124へ出力する。つまり、位置調整部302で取り込んだ映像信号B802の一部の映像信号を、元の映像信号B802を全画面表示したときと同じ倍率でディスプレイ(図示せず)に拡大表示させるように拡大率を設定する。
【0048】
上記処理後、映像合成部130において、拡大された映像信号A801と拡大された映像信号B802とを合成して映像出力部140へ出力する。具体的には、映像信号B802の表示開始座標を左から5ステップの位置に移動させる。つまり、映像信号A801の表示開始座標を、ディスプレイ(図示せず)に対して(水平開始座標、垂直開始座標)=(0、0)に設定し、映像信号B802の表示開始座標を(水平開始座標、垂直開始座標)=(1366×(5/10)、0)に設定し、映像信号A801の上に映像信号B802を 乗せる形で合成した映像信号402をディスプレイ(図示せず)に表示する。
【0049】
このように、映像取り込み位置を、表示開始位置を設定したいステップの位置に設定することで、リモコンの十字キー右押しで、副画面が左から切り取られていく動作を実現することができる。同様の処理によって、リモコンの十字キー左押しで、副画面が右から切り取られていく動作も実現できる。
【0050】
図4(2)は、予め位置調整部302において映像表示領域の垂直方向を10ステップに分割したとき、上から1ステップの位置と、下から0ステップの位置に映像信号を切り出す境界を持つ映像信号404が表示されているとする。このとき、ユーザーが位置切り出しに関する要求としてリモコン(図示せず)の十字キーの下を6回押すことで、映像信号の境界を上から1ステップの位置から、7ステップの位置まで、下方向に6ステップ移動した映像信号405を表示することができる。また、リモコン十字キーの上を5回押すことで、映像信号の境界を下から0ステップの位置から、5ステップの位置まで、上方向に2ステップ移動させた映像信号406を表示することもできる。以下、前記処理について図4(2)を用いて詳述する。
【0051】
図4(2)は、映像信号の境界を上から1ステップの位置から、7ステップの位置まで、変化させたい場合について示している。ここで、切り出し対象の元映像信号は映像信号B802(水平1440画素、垂直1080画素)であるとする。また、映像信号B802の垂直表示領域を10ステップに分割した場合、垂直表示領域の1ステップは1080×(1/10)=108画素となる。
【0052】
位置調整部302において、映像信号B802の取り込み位置を上から7ステップの位置に移動させる場合、映像信号B(水平1440画素、垂直1080画素)の映像取り込み位置は、水平映像位置B=HsB+HbBとなり、垂直映像位置B=VsB+VbB+1080×(7/10)となる。位置調整部302は、この水平映像位置B及び垂直映像位置Bを位置調整情報として第2の位置制御部122へ出力する。
【0053】
サイズ調整部303は、ディスプレイ(図示せず)の水平出力領域が1366画素、垂直出力領域が768画素であるので、実施の形態1と同様に、水平サイズ調整B=(1366/1440)、垂直サイズ調整B=(768/1080)としたサイズ調整情報を第2のサイズ制御部124へ出力する。つまり、位置調整部302で取り込んだ映像信号B802の一部の映像信号を、元の映像信号B802を全画面表示したときと同じ倍率でディスプレイ(図示せず)に拡大表示させるように拡大率を設定する。
【0054】
上記処理後、映像合成部130において、拡大された映像信号A801と拡大された映像信号B802とを合成して映像出力部140へ出力する。具体的には、映像信号B802の表示開始座標を上から7ステップの位置に移動させる。つまり、映像信号A801の表示開始座標を、ディスプレイ(図示せず)に対して(水平開始座標、垂直開始座標)=(0、0)に設定し、映像信号B802の表示開始座標を(水平開始座標、垂直開始座標)=(0、768×(7/10))に設定し、映像信号A801の上に映像信号B802を 乗せる形で合成した映像信号405をディスプレイ(図示せず)に表示する
このように、映像取り込み位置を、表示開始位置を設定したいステップの位置に設定することで、リモコンの十字キー下押しで、副画面が上から切り取られていく動作を実現することができる。同様の処理によって、リモコンの十字キー上押しで、副画面が下から切り取られていく動作も実現できる。
【0055】
なお、図5に示すように、水平方向の映像信号を切り取る境界の位置を決定した後、垂直方向の映像信号を切り取る位置を決定することで、水平方向、垂直方向の両方とも任意の位置で切り取ることができ、必要な領域のみを切り出すこともできる。
【0056】
なお、本実施の形態では、水平表示領域、垂直表示領域をともに10ステップに分割した例を挙げて説明したが、さらに多くのステップに分割することもできる。例えば、画素数と等しいステップに分割した際は、画素単位での移動も可能である。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明にかかる映像表示装置及び映像表示方法は、複数の画面を合成して出力することが可能な映像表示装置において、複数の映像信号をそれぞれ任意の位置で切り出し、切り出された映像信号を合成してマルチで全画面表示することにより効果的に映像を表示させることができ、また、リモコンの十字キーを利用して、より簡単な映像信号の切り出し位置を調整することができるので、複数の映像入力を合成して表示させることが可能な映像表示装置として有用である。
【符号の説明】
【0058】
100、300 映像表示装置
111、302 位置調整部
121、303 サイズ調整部
121 第1の位置制御部
122 第2の位置制御部
123 第1のサイズ制御部
124 第2のサイズ制御部
130 映像合成部
140 映像出力部
301 入力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された複数の映像信号を合成してディスプレイに表示させる映像表示装置であって、
複数の前記映像信号毎に水平映像位置及び垂直映像位置を位置調整情報として作成して出力する位置調整部と、
前記位置調整部から入力された前記位置調整情報に基づいて複数の前記映像信号の映像取り込み位置を制御して出力する複数の位置制御部と、
複数の前記映像信号及び前記ディスプレイの水平出力領域及び垂直出力領域に基づいて、複数の前記映像信号毎に水平サイズ調整及び垂直サイズ調整をサイズ調整情報として作成して出力するサイズ調整部と、
前記サイズ調整部から入力された前記サイズ調整情報に基づいて、前記複数の位置制御部が出力した複数の前記映像信号のサイズを調整して出力する複数のサイズ制御部と、
前記複数のサイズ制御部から入力された複数の前記映像信号を合成して合成映像信号を出力する映像合成部と、
前記映像合成部から入力された前記合成映像信号を前記ディスプレイに表示させる映像出力部と、を具備することを特徴とする映像表示装置。
【請求項2】
前記映像信号を切り出す位置に関する要求を受信して位置制御情報として出力する入力部と、を更に備え、
前記位置調整部は、前記入力部から入力された前記位置制御情報に基づいて前記映像信号の前記位置調整情報を作成して出力し、
前記サイズ調整部は、前記映像信号及び前記ディスプレイの水平出力領域及び垂直出力領域に基づいて、前記映像信号を前記ディスプレイ全体に拡大するよう前記サイズ調整情報を作成する、ことを特徴とする請求項1に記載の映像表示装置。
【請求項3】
入力された複数の映像信号を合成してディスプレイに表示させるための映像表示方法であって、
複数の前記映像信号毎に水平映像位置及び垂直映像位置を位置調整情報として作成して出力する位置調整ステップと、
出力された前記位置調整情報に基づいて複数の前記映像信号の映像取り込み位置を制御して出力する位置制御ステップと、
複数の前記映像信号及び前記ディスプレイの水平出力領域及び垂直出力領域に基づいて、複数の前記映像信号毎に水平サイズ調整及び垂直サイズ調整をサイズ調整情報として作成して出力するサイズ調整ステップと、
出力された前記サイズ調整情報に基づいて、前記位置制御ステップが出力した複数の前記映像信号のサイズを調整して出力するサイズ制御ステップと、
前記サイズ制御ステップが出力した複数の前記映像信号を合成して合成映像信号を出力する映像合成ステップと、
出力された前記合成映像信号を前記ディスプレイに表示させる映像出力ステップと、を有することを特徴とする映像表示方法。
【請求項4】
前記映像信号を切り出す位置に関する要求を受信して位置制御情報として出力する入力ステップと、を更に備え、
前記位置調整ステップは、出力された前記位置制御情報に基づいて前記映像信号の前記位置調整情報を作成して出力し、
前記サイズ調整ステップは、前記映像信号及び前記ディスプレイの水平出力領域及び垂直出力領域に基づいて、前記映像信号を前記ディスプレイ全体に拡大するよう前記サイズ調整情報を作成する、ことを特徴とする請求項3に記載の映像表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−254198(P2011−254198A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−125579(P2010−125579)
【出願日】平成22年6月1日(2010.6.1)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】