説明

映像表示装置及び映像表示装置の制御方法

【課題】 現在表示中のコンテンツが三次元表示対応コンテンツの場合、簡単で、かつ分かりやすい操作で、該コンテンツの三次元映像と二次元映像の二画面表示に切り換えることが可能な映像表示装置及び映像表示装置の制御方法を提供する。
【解決手段】 制御部210は、二画面表示キーがユーザによって押下された場合、表示中のコンテンツの種別が3D映像であるか否かを判定し、3D映像が表示中であると判定された場合には、同一の映像について3D映像と2D映像とを共に表示する3D/2D二画面表示画面を生成し、表示する処理を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次元映像と三次元映像を同一画面に表示可能な映像表示装置及びその制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、立体映像を上演可能な設備を有する映画館が増えており、衛星放送でも立体的に見ることができる放送コンテンツが放映されるなど、立体映像視聴に対応したコンテンツ(以下、3D対応コンテンツと称する)の普及が始まっている。
【0003】
これらのコンテンツにおける立体視は、視聴者の左右の眼に視点の異なった視差画像を表示することにより達成される(以下、両眼視差方式と称す)が、該方式の立体映像を視聴する際、下記の問題が起こりうることが知られている。第一の問題は、立体映像を観察する際の目の働きは通常の目の働きとは違うため、映像の内容によっては目の疲れが生じる可能性があることが挙げられる。第二の問題は、視差映像から生じる距離感覚と、実際のモニタまでの距離が異なることによる違和感から、“3D酔い”や“VR酔い”と呼ばれる症状を示す可能性があることである。したがって、視聴者によっては上記問題を避けるため、立体視対応のコンテンツであっても、奥行きを感じる立体映像(3D映像)で視聴するのではなく、通常の平面映像(2D映像)で視聴することを希望する場合が想定できる。
【0004】
上記問題に関して、3D映像を2D映像へ変換表示可能であり、映像コンテンツが3D映像であるとき2D映像で表示するよう設定可能な映像表示装置(特許文献1参照)が提案されている。
【0005】
3D対応コンテンツを自宅で視聴する場合、複数人で1つの画面に映し出されたコンテンツを視聴するケースが考えられる。この場合、上述の理由により3D映像での視聴を希望する者と、2D映像での視聴を希望する者に分かれる可能性がある。
【0006】
また、3D映像を実現する技術は、専用の眼鏡をかけて見る方式が主流であるため、複数人で視聴する際に、眼鏡が足りなくなる事態も容易に起こりえる。この場合も、3D映像での視聴者と2D映像での視聴者に分かれることになる。
【0007】
このように、3D映像の視聴者と2D映像の視聴者が同時に存在した場合、それぞれの希望を満たす為の1つの解決手段として、同一コンテンツの3D映像と2D映像の二画面表示(以下、3D/2D二画面表示と称する)を行うことが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−121553号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、一画面表示状態から3D/2D二画面表示に変更する操作は、手間がかかることが予想される。なぜならば、現在の画面状態から同一チャンネルの二画面表示状態に変更する操作でさえ、一般的に下記3ステップの操作が必要であり、これらの操作に加え、片方の画面の表示次元を三次元から二次元に変更する操作を行う必要があるからである。
【0010】
(1)二画面表示キーを押下し、二画面表示に切り換える。
(2)左右キーの押下により、選局操作権を新しく作成された二画面目に移動させる。
(3)二画面目の表示チャンネルを、一画面目と同一のチャンネルに選局する。
【0011】
また、今後3D対応コンテンツ放送が増加することが予想されるため、3D/2D二画面表示に変更する操作を行う機会も増加するだろうと考えられる。したがって、該操作は簡単に行え、しかも操作が分かりやすいことが望ましい。
【0012】
以上より本発明は、現在表示中のコンテンツが3D対応コンテンツの場合、簡単で、かつ分かりやすい操作で3D/2D二画面表示に切り換えることが可能な映像表示装置及び映像表示装置の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明の映像処理装置は、表示部に左目用映像と右目用映像とを表示するとともに、表示された左目用映像及び右目用映像をそれぞれ左目及び右目で観察するための眼鏡をユーザが利用することで、前記左目用映像及び右目用映像から映像を立体認識可能とする表示を行う映像表示装置であって、前記表示部に2種類の映像を並列に表示する二画面表示機能を実行するための操作入力を受信する受信手段と、前記二画面表示機能を実行する操作入力を受信したことに応じて、二画面のうち、一方の画面領域に二画面表示機能の実行前に表示していた第1の映像を表示し、他方の画面領域には前記第1の映像とは異なる種類の第2の映像を表示する処理を実行する制御手段と、を有し、前記制御手段は、前記二画面表示機能を実行する操作入力を受信した際に、ユーザが立体認識可能なように前記左目用映像及び前記右目用映像を前記第1の映像として表示していた場合には、前記一方の画面領域には当該左目用映像及び右目用映像をユーザが立体認識可能なように表示し、前記他方の画面領域には前記左目用映像または前記右目用映像のいずれか一方を表示する処理を実行する。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように、本発明によれば現在表示中のコンテンツが3D対応コンテンツの場合、簡単で、かつ分かりやすい操作で3D/2D二画面表示に切り換えることが可能な映像表示装置及び映像表示装置の制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施例1における映像表示装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施例1における、放送システムのPMTデータの内容を示す図である。
【図3】本発明の実施例1の映像表示システムにおいて、3D対応コンテンツが入力された際の各所のデータ内容を示す図である。
【図4】本発明の実施例1における、映像表示位置及び表示レイアウトの一例を示す図である。
【図5】本発明の実施例1における処理手順を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施例2における映像表示装置の構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の実施例2の映像表示システムにおいて、3D対応コンテンツが入力された際の映像データ内容を示す図である。
【図8】本発明の実施例2における処理手順を示すフローチャートである。
【図9】本発明の実施例2における二画面表示画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0017】
本実施例では、一画面表示で任意のコンテンツを表示中、ユーザにより二画面表示操作が入力された際に、該コンテンツが3D対応コンテンツか否かを判断する。3D対応コンテンツならば、3D/2D二画面表示を行う二画面表示機能を備えた映像表示装置についての説明を行う。ここで、二画面表示操作とは、リモコンに付属する二画面表示キーの押下であるとする。
【0018】
本実施例の映像表示装置は、3D映像表示を実現する技術として、両眼視差方式の1つであるフレームシーケンシャル方式を利用したシステムで実現する。
【0019】
フレームシーケンシャル方式とは、モニタに出力する映像とその映像を見るための専用眼鏡(以下、3D眼鏡と称する)の両方を制御することによって、両眼視差を実現する技術である。モニタには、フレーム毎に左目用画像と右目用画像を交互に表示する。それに同期して3D眼鏡の左右レンズ部についたシャッターを交互に開閉することによって、左目用画像は左目で観察し、右目用画像は右目で観察するようになる。このような構成によって、ユーザは映像を立体認識可能となる。レンズ部のシャッターには、液晶シャッターのような透過/非透過を高速に切り換え可能なものを使用する。
【0020】
また本実施例では、3D対応コンテンツの取得先として放送波を想定しており、本実施例の映像表示装置は、次に説明する放送システムに対応している。
【0021】
本実施例で使用する放送システムについて説明する。本放送システムは、通常の2D映像のコンテンツ(以下、3D非対応コンテンツと称する)だけではなく、3D対応コンテンツの放送にも対応できるようにしたものである。3D対応コンテンツの放送に対応するため、放送規格として使用されているMPEG2(Moving Picture Experts Group−Phase2)−TS(Transport Stream)システムを拡張して用いる。まず、図2を使用して、拡張した点を説明する。
【0022】
図2は、本放送システムで送信する、3D対応コンテンツと3D非対応コンテンツのPMT(Program Map Table)の内容の一例を示した図である。PMTには、データ内容とそのPID(Packet ID)を関連付ける一覧表100に加え、新たに本コンテンツが3D対応コンテンツかどうかを示すフラグである、3D対応フラグ101を持つ。3D対応コンテンツである場合、3D対応フラグ=“真”となり、3D対応コンテンツではない場合、3D対応フラグ=“偽”となる。
【0023】
また、3D対応コンテンツの場合(3D対応フラグ=“真”の場合)、左目用映像データと右目用映像データの2つの映像データを多重化して送信する。このことより、一覧表100には、左目用映像データと右目用映像データ、音声データの3種のPIDが格納される。なお、左目用映像と右目用映像は、それぞれ独立した2D映像のコンテンツとなっているため、左目用映像のみ、もしくは右目用映像のみを表示した場合でも、通常の平面映像として見ることが可能である。
【0024】
一方、3D対応コンテンツではない場合(3D対応フラグ=“偽”の場合)、視差を作成する必要がないため、映像データは1つで良い。したがって一覧表100には、1つの映像データと音声データの2種類のPIDが格納される。
【0025】
以上を踏まえ、本発明による映像表示装置の実施例について説明する。以下、本実施例について図面を用いて説明する。図1は、本発明を適用した3D映像表示システムの構成の一例であり、アンテナ1、映像表示装置200、リモコン2、3D眼鏡300からなる。また図3は、3D映像コンテンツが入力された際の、上記3D映像表示システムの各所のデータ内容を示しており、番号(1)〜(9)は、図1のシステム構成図の番号(1)〜(2)に対応している。
【0026】
アンテナ1は、地上デジタル放送や衛星デジタル放送、ブロードバンド放送等、上述の放送システムに対応した放送信号を受信し、映像表示装置200にその受信信号を送る。
【0027】
映像表示装置200は、映像コンテンツを受信し再生可能な装置である。また、フレームシーケンシャル方式に対応しており、3D対応コンテンツの放送を受信した場合、該方式に則った3D映像の表示と3D眼鏡300の制御を行う。
【0028】
リモコン2は、ユーザが映像表示装置200を操作するのに用い、赤外線等を用いて操作内容を映像表示装置200に送信する。3D眼鏡300は、ユーザが3D映像視聴時に着用するフレームシーケンシャル方式に対応したシャッター付き眼鏡であり、映像表示装置200から赤外線等を用いて送られるシャッターの開閉制御信号に従って、左右のシャッターを開閉する。
【0029】
次に、映像表示装置200の各機能ブロックを説明する。放送受信部201は、アンテナ1から送られた放送信号の復調やエラー訂正処理等を行い、TSデータを作成する。分離部202は、放送受信部201から入力されたTSデータに対し、逆多重化(デマルチプレクス)処理を行い、映像データ、音声データ、および番組情報や3D対応フラグ等の情報を抽出する。抽出後の映像データ、および音声データは、上述したPMT内のPIDの一覧表を参照し、そのPIDに従って再構築する。その後、デコード部203に出力する。
【0030】
入力されたコンテンツが3D対応コンテンツの場合(3D対応フラグ=“真”の場合)、左目用映像データは左目用映像デコーダ203bに、右目用映像データは右目用映像デコーダ203cに出力する。一方、入力されたコンテンツが3D非対応コンテンツである場合(3D対応フラグ=“偽”の場合)、映像データは右目用映像デコーダ203cに出力する。音声データは、3D対応フラグに関わらず、音声デコーダ203aに出力する。
【0031】
デコード部203は、分離部202から入力された映像データや音声データに対して、復号(デコード)処理を行う。本実施例では、右目用映像と左目用映像の、2つの映像データの同時デコード処理が必要となるため、2つの映像デコーダ(右目用映像デコーダ203bと左目用映像デコーダ203c)を備える。また、音声データをデコードする音声デコーダを1つ(音声デコーダ203a)備える。デコード後の音声データは、後述の音声出力部204へ出力し、映像データは、後述の映像切換部205、およびビデオメモリ制御部206に出力する。また、映像データを出力する際、1フレーム分のデータの送信を終える毎に、その旨を伝えるフレーム同期信号Vfを映像切換部205に出力する機能も持つ。
【0032】
図3の(1)、(2)は、それぞれ右目用映像デコーダ203b、左目用映像デコーダ203cの出力データを示しており、右目用映像デコーダ203bからは右目用映像が、左目用映像デコーダ203cからは左目用映像が出力される。また、図3の(3)は、フレーム同期信号Vfである。この信号は1フレーム周期毎にパルスが反転する信号となっている。
【0033】
音声出力部204は、映像表示装置200に内蔵されたスピーカを想定しており、音声デコーダ203aでデコードされた音声データを、音として出力する。映像切換部205は、入力されたフレーム同期信号Vfに合わせて、後述のビデオメモリ制御部206に入力された2つの映像データを交互に出力する。フレーム同期信号Vfは、1フレーム単位で送信されるため、右目用映像データ、左目用映像データが1フレーム毎に交互に出力される(図3の(4)参照)。したがって、フレームシーケンシャル方式で3D映像を視聴する際に用いる映像(以下、フレームシーケンシャル映像と称す)を作成したことになる。また、右目用映像データ、左目用映像データのどちらを出力しているかを示す映像切換信号Sv1を作成し、制御信号送信部211に出力する機能も持つ。図3の(5)は、映像切換信号Sv1の例である。フレーム同期信号Vfのパルスの反転に同期して、右目用映像を出力中はパルスをLowに、左目用映像を出力中はパルスをHighにする信号となっている。
【0034】
ビデオメモリ制御部206は、制御部210からのレイアウト指示に従って、入力された映像データのリサイズを行い、ビデオメモリ207に書き込む。レイアウト指示は、図4(a)の様に、画面における画像の左上の座標(x0、y0)と右下の座標(x1、y1)で指定されるとする。1フレーム分の映像データをビデオメモリ207に書き込んだのち、それを読み出し、表示部208に出力する。
【0035】
ビデオメモリ207は、ビデオメモリ制御部206が映像のレイアウト等を整えるために使用する一時バッファである。
【0036】
表示部208は、映像表示装置200に内蔵されたモニタを想定しており、ビデオメモリ制御部206から入力された映像データを表示する。操作入力部209は、リモコン2を介して行われたユーザ操作を認識し、後述する制御部210に供給する。
【0037】
制御部210は、ユーザ操作に応じて、ビデオメモリ制御部206に対しレイアウトの変更を指示したり、制御信号送信部211に対し、シャッターの開閉制御信号の送信指示を出したりするなど、映像表示装置200のコントロール全般を行う。また、制御部210は、3D映像を表示中か否かを示す情報である3D映像表示フラグを内部で保持する。該フラグは、ビデオメモリ制御部206に対し、映像切換部205からの出力をビデオメモリ207に書き込むよう指示したかどうかと等しく、映像切換部205からの出力を書き込むよう指示した場合「真」を、それ以外の場合「偽」の値を格納する。
【0038】
制御信号送信部211は、3D眼鏡300とのインターフェースであり、制御部210からの指示により、映像切換信号Sv1と3D眼鏡300付属のシャッターの開閉が同期するように、シャッターの開閉制御信号Sv2を作成し、3D眼鏡300に送信する。図3の(6)は、シャッター開閉制御信号Sv2の例である。映像切換信号Sv1に同期して、左目用映像出力中は左目用シャッターを開け(OFF)、かつ右目用シャッターを閉じ(ON)にし、右目用映像出力中は、左目用シャッターを閉じ(ON)、かつ右目用シャッターを開ける(OFF)よう信号を作成する。ここで、前者の場合はパルスをHighにし、後者の場合はパルスをLowとする。
【0039】
続いて、3D眼鏡300の各機能ブロックを説明する。制御信号受信部301は、映像表示装置200の制御信号送信部211から送信されたシャッターの開閉制御信号Sv2を受信し、シャッター制御部302へ該信号を送信する。シャッター制御部302は、シャッターの開閉制御信号を受信し、それに従って右目用シャッター303と左目用シャッター304に、シャッターの開閉指示を送る。図3の(7)、(8)は、それぞれ右目用シャッターの制御信号、左目用シャッターの制御信号を示している。シャッターの制御信号は、パルスがHighの場合は開ける(OFF)旨を、パルスがLowの場合は閉じる(ON)旨を表す。ビデオメモリ制御部206への出力(図3の(4))が、右目用映像データの出力中は右目用シャッターは開状態で、左目用シャッターは閉状態となり、左目用映像データの出力中は右目用シャッターは閉状態で、左目用シャッターは開状態となる。
【0040】
右目用シャッター303と左目用シャッター304は、シャッター制御部302からの指示により、シャッターの開閉動作を行う。
【0041】
以上より、本映像表示システムに3D映像が入力された際、3D眼鏡着用のユーザに見える映像は、図3の(9)の映像データとなり、右目には右目用映像のみ、左目には左目用映像のみが見え、視差を実現することが可能となる。
【0042】
映像表示装置、および3D眼鏡としての基本機能を実行する為のブロックは、上記構成で説明したブロック以外にも存在するが、本発明に寄与しないものに関しては、説明を割愛する。
【0043】
次に、図5のフローチャートを用いて、3D対応コンテンツの表示中にユーザが二画面表示キーを押下した際の、制御部210の動作を説明する。図5のフローチャートは、制御部210が、操作入力部209からの通知により、二画面表示キーの押下を認識した時点から実行されるものとする。
【0044】
ステップS101で、制御部210は分離部202から、現在選局中のコンテンツの3D対応フラグを取得する。
【0045】
ステップS102で、制御部210は、3D対応フラグの値より、選局中のコンテンツが3D対応コンテンツかどうかを判断する。3D対応フラグ=“真”の場合(3D対応コンテンツである場合)、3D/2D二画面表示を作成するため、処理をステップS103へ進める。一方、3D対応フラグ=“偽”の場合(3D非対応コンテンツである場合)、通常の二画面表示処理を行う、ステップS106へ進める。通常の二画面表示処理の例としては、左側の画面領域に二画面表示機能の実行前に選局して表示していたチャンネルの映像を表示し、他方の右側の画面領域に前回の二画面表示時に最後に選局したチャンネルの映像を表示する等が挙げられる。ステップS106を実行後、処理を終了する。
【0046】
ステップS103で、制御部210は、内部で保持している3D映像表示フラグの値を用いて、現在画面に3D映像を表示しているか否かを判断する。3D映像表示中ならば(3D映像表示フラグ=「真」ならば)、処理をステップS105に進める。3D映像が非表示ならば(3D映像表示フラグ=「偽」ならば)、処理をステップS104に進める。
【0047】
ステップS104で、制御部210は、2D映像のみ表示している状態から3D映像を新たに表示することになるため、3D眼鏡のシャッターの起動指示を送る。すなわち、制御信号送信部211に対し、シャッター開閉制御信号Sv2の送信開始を指示する。その後、処理をステップS105に進める。
【0048】
ステップS105で、制御部210は、3D/2D二画面表示画面を作成する処理を行う。映像切換部205からビデオメモリ制御部206に出力された映像データは、3D映像用のフレームシーケンシャル映像であり、右目用デコーダ203bから出力された映像データは通常右目用映像の2D映像である。したがって、フレームシーケンシャル映像と2D映像を並べて配置することで、3D/2D二画面表示を実現することが可能である。以上より、制御部210はビデオメモリ制御部206に対し、映像切換部205と右目用デコーダ203bから入力された2つの映像データを、ビデオメモリ207に書き込むよう指示する。このとき、2つの映像データのレイアウトも指示する。図4(b)は、レイアウト指示の例である。映像切換部205から入力されたデータ(3D映像データ)の表示位置を、(x0_3d、y0_3d)と(x1_3d、y1_3d)で指定する。また、右目用デコーダ203bから入力された映像データ(2D映像データ)の表示位置を(x0_2d、y0_2d)と(x1_2d、y1_2d)で指定する。この指示を受け、ビデオメモリ制御部206は、指定されたレイアウトに従って映像データのリサイズ処理を行い、ビデオメモリ207に1フレーム分の映像データを書き込む。その後ビデオメモリ制御部206が、作成した映像データを表示部208に送出することにより、3D/2D二画面表示がそれぞれの映像を並列に配置した状態で実行される。以上で、処理を終了する。
【0049】
以上、本実施例では、フレームシーケンシャル方式を用いた3D映像表示装置において、3D/2D二画面表示を実現することができる。また、ユーザの二画面表示操作に対し、表示中のコンテンツが3D対応コンテンツか否かの判断を行い、3D対応コンテンツならば通常の二画面表示ではなく、3D/2D二画面表示を表示する。したがって、3D映像対応コンテンツ表示中の、3D/2D二画面表示への表示変更操作が簡単となり、ユーザの利便性が向上する。
【実施例2】
【0050】
続いて、本発明を適用した映像表示システムの第2の実施例について説明する。本実施例の映像表示装置の動作は、実施例1と同様、一画面表示で任意のコンテンツを表示中、ユーザにより二画面表示操作が入力された際に、該コンテンツが3D対応コンテンツか否かを判断し、3D対応コンテンツならば、3D/2D二画面表示を行うものである。しかし、3D映像表示を実現する技術として、両眼視差方式の1つである偏光方式を利用したシステムで実現している。
【0051】
偏光方式とは、左右の映像にそれぞれ縦横の偏光をかけて重ねて表示し、偏光フィルタの付いたメガネで分離することで、両眼視差を実現する技術である。本実施例では、左右の映像を走査線毎に交互に表示し、それに対応した偏光板をモニタの前に設置することで、左右の映像の重ね合わせを実現する。
【0052】
また本実施例でも、実施例1と同様、3D対応コンテンツの取得先として放送波を想定しており、本実施例の映像表示装置は、実施例1と同じ放送システムに対応している。
【0053】
以下、本実施例について図面を用いて説明する。図6は、本発明を適用した3D映像表示システムの構成の一例であり、アンテナ11、映像表示装置400、リモコン12、偏光眼鏡13からなる。また図7は、3D映像コンテンツが入力された際の、上記3D映像表示システムの各所のデータ内容を示しており、番号(10)〜(14)は、図6のシステム構成図の番号(10)〜(14)に対応している。
【0054】
アンテナ11は、実施例1と同様、上述の放送システムに対応した放送信号を受信し、映像表示装置400にその受信信号を送る。映像表示装置400は、映像コンテンツを受信し再生可能な装置である。また、偏光方式に対応しており、3D対応コンテンツの放送を受信した場合、該方式に則った3D映像の表示を行う。
【0055】
リモコン12は、ユーザが映像表示装置400を操作するのに用い、赤外線等を用いて操作内容を映像表示装置400に送信する。偏光眼鏡13は、ユーザが3D映像視聴時に着用する偏光フィルタ付き眼鏡である。右レンズのフィルタは、縦偏光の光を通すが横偏光の光を通さないフィルタであり、左レンズのフィルタは、縦偏光の光は通さないが横偏光の光を通すフィルタである。
【0056】
次に、映像表示装置400の各機能ブロックを説明する。放送受信部401は、アンテナ11から送られた放送信号の復調やエラー訂正処理等を行い、TSデータを作成する。
【0057】
分離部402は、放送受信部401から入力されたTSデータに対し、逆多重化(デマルチプレクス)処理を行い、映像データ、音声データ、および番組情報や3D対応フラグ等の情報を抽出する。その後、抽出後の映像データ、および音声データをPIDに従って再構築し、デコード部403に出力する。
【0058】
入力されたコンテンツが3D対応コンテンツの場合(3D対応フラグ=“真”の場合)、左目用映像データは左目用映像デコーダ403bに、右目用映像データは右目用映像デコーダ403cに出力される。一方、入力されたコンテンツが3D非対応コンテンツである場合(3D対応フラグ=“偽”の場合)、映像データは右目用映像デコーダ403cに出力される。音声データは、3D対応フラグに関わらず、音声デコーダ403aに出力される。
【0059】
デコード部403は、分離部402から入力された映像データや音声データに対して、復号(デコード)処理を行う。本実施例では、右目用映像と左目用映像の2つの映像データの同時デコードが必要となるため、2つの映像デコーダ(右目用映像デコーダ403bと左目用映像デコーダ403c)を備える。また、音声データをデコードする音声デコーダを1つ(音声デコーダ403a)備える。デコード後の音声データは、後述の音声出力部404へ出力し、映像データは、後述の映像切換部405、およびビデオメモリ制御部406に出力する。映像データを出力する際、1水平走査線分のデータの送信を終える毎に、その旨を伝える水平走査線同期信号Hfを映像切換部405に出力する機能も持つ。
【0060】
図7の(10)、(11)は、それぞれ右目用映像デコーダ403b、左目用映像デコーダ403cの1フレーム分の出力データを示しており、右目用映像デコーダ403bからは右目用映像が、左目用映像デコーダ403cからは左目用映像が出力されている。
【0061】
音声出力部404は、映像表示装置400に内蔵されたスピーカを想定しており、音声デコーダ403aでデコードされた音声データを音として出力する。
【0062】
映像切換部405は、入力された水平走査線同期信号Hfに合わせて、後述のビデオメモリ制御部406に、入力された2つの映像データを交互に出力する。水平走査線同期信号Hfは、水平走査線1本分のデータ単位で送信されるため、右目用映像データ、左目用映像データが1水平走査線毎に交互に出力されることになる(図7の(12)参照)。したがって、偏光方式で3D映像を視聴する際に用いる映像(以下、偏光映像と称す)を作成したことになる。
【0063】
ビデオメモリ制御部406は、制御部410からのレイアウト指示に従って、入力された映像データのリサイズを行い、ビデオメモリ407に書き込む。レイアウト指示は、実施例1と同様、画面における画像の左上の座標(x0、y0)と右下の座標(x1、 y1)で指定する(図4参照)。また、ビデオメモリ制御部406は、1フレーム分の映像データをビデオメモリ407に書き込んだのち、それを読み出し、表示部408に出力する。
【0064】
ビデオメモリ407は、ビデオメモリ制御部406が、映像のレイアウト等を整えるために使用する一時バッファである。表示部408は、映像表示装置400に内蔵されたモニタを想定しており、ビデオメモリ制御部406から入力された映像データを表示する。
【0065】
操作入力部209は、リモコン12を介して行われたユーザ操作を認識し、後述する制御部410に供給する。
【0066】
制御部410は、ユーザ操作に応じて、ビデオメモリ制御部406に対しレイアウトの変更を指示する等、映像表示装置400のコントロール全般を行う。
【0067】
偏光板411は、ビデオメモリ制御部406から出力された映像データを偏光するフィルタである。ビデオメモリ制御部406で書き出す3D映像に合わせて、1水平走査線の幅ごとに縦偏光フィルタ、横偏光フィルタを交互に配置している。本実施例では、ビデオメモリ制御部406で作成する映像は、図7の(12)の様に、画面上から左目用映像L1、右目用映像R2、左目用映像L3、・・・となる。そのため、偏光板411の構成は、画面上から、横偏光フィルタ、縦偏光フィルタ、横偏光フィルタ、・・・の順に配置されたものとなる。
【0068】
以上より、本映像表示システムに3D映像が入力された際、ユーザの目に見える映像は、水平走査線の本数が半分に間引かれた映像となり、右目に見える映像は図7の(13)、左目に見える映像は、図7の(14)となる。解像度は元のデータよりも低くなるが、右目には右目用映像のみが見え、左目には左目用映像のみが見えるため、視差を実現することが可能となる。
【0069】
映像表示装置の基本機能を実行する為のブロックは、上記構成で説明したブロック以外にも存在するが、本発明に寄与しないものに関しては、説明を割愛する。
【0070】
次に、図8のフローチャートを用いて、3D対応コンテンツの表示中にユーザが二画面表示キーを押下した際の、制御部410の動作を説明する。図8のフローチャートは、制御部410が、操作入力部409からの通知により、二画面表示キーの押下を認識した時点から実行されるものとする。
【0071】
ステップS201で、制御部410は、分離部402から現在選局中のコンテンツの3D対応フラグを取得する。すなわち、ステップS201はステップS101と同様の処理である。
【0072】
ステップS202で、制御部410は3D対応フラグの値から、現在選局中のコンテンツが3D対応コンテンツかどうかを判断する。3D対応フラグ=“真”の場合(3D対応コンテンツである場合)、3D/2D二画面表示を作成するため、処理をステップS203へ進める。一方、3D対応フラグ=“偽”の場合(3D非対応コンテンツである場合)、通常の二画面表示処理を行う、ステップS204へ進める。通常の二画面表示処理の例としては、左画面に現在選局中のチャンネルを表示し、新たに作成した右画面に前回二画面表示時に最後に選局したチャンネルを表示する等が挙げられる。ステップS204実行後、処理を終了する。すなわち、ステップS202は、ステップS102と同様の処理である。
【0073】
ステップS203で、制御部410は、3D/2D二画面表示画面を作成する処理を行う。映像切換部405からビデオメモリ制御部406に出力された映像データは、3D映像用の偏光映像であり、右目用デコーダ403bから出力された映像データは、通常右目用映像の2D映像である。したがって、偏光映像と2D映像を並べて配置することで、3D/2D二画面表示を実現することが可能である。以上より、制御部410はビデオメモリ制御部406に対し、映像切換部405と右目用デコーダ403bから入力された2つの映像データをビデオメモリ407に書き込むよう指示する。このとき、2つの映像データのレイアウトも指示する。レイアウトの指示方法は実施例1と同様であるため、説明を割愛する。この指示を受け、ビデオメモリ制御部406は、指定されたレイアウトに従って映像データのリサイズ処理を行い、ビデオメモリ407に1フレーム分の映像データを書き込む。ビデオメモリ407に書き込まれた映像データは、図9のような映像となる。その後、当処理を終了する。
【0074】
以上、本実施例では、偏光方式を用いた3D映像表示装置において、3D/2D二画面表示を実現することができる。また、ユーザの二画面表示操作に対し、表示中のコンテンツが3D対応コンテンツか否かの判断を行い、3D対応コンテンツならば、通常の二画面表示ではなく、3D/2D二画面表示を表示する。したがって、3D映像対応コンテンツ表示中の、3D/2D二画面表示への表示変更操作が簡単となり、ユーザの利便性が向上する。
【0075】
なお、上述した実施例1及び実施例2では、2D映像表示領域に右目用映像を表示するように制御していたが、2D映像表示領域に左目用映像を表示するように制御しても本発明の効果を享受することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部に左目用映像と右目用映像とを表示するとともに、表示された左目用映像及び右目用映像をそれぞれ左目及び右目で観察するための眼鏡をユーザが利用することで、前記左目用映像及び右目用映像から映像を立体認識可能とする表示を行う映像表示装置であって、
前記表示部に2種類の映像を並列に表示する二画面表示機能を実行するための操作入力を受信する受信手段と、
前記二画面表示機能を実行する操作入力を受信したことに応じて、二画面のうち、一方の画面領域に二画面表示機能の実行前に表示していた第1の映像を表示し、他方の画面領域には前記第1の映像とは異なる種類の第2の映像を表示する処理を実行する制御手段と、
を有し、
前記制御手段は、前記二画面表示機能を実行する操作入力を受信した際に、ユーザが立体認識可能なように前記左目用映像及び前記右目用映像を前記第1の映像として表示していた場合には、前記一方の画面領域には当該左目用映像及び右目用映像をユーザが立体認識可能なように表示し、前記他方の画面領域には前記左目用映像または前記右目用映像のいずれか一方を表示する処理を実行することを特徴とする映像表示装置。
【請求項2】
表示部に左目用映像と右目用映像とを表示するとともに、表示された左目用映像及び右目用映像をそれぞれ左目及び右目で観察するための眼鏡をユーザが利用することで、前記左目用映像及び右目用映像から映像を立体認識可能とする表示を行う映像表示装置の制御方法であって、
前記表示部に2種類の映像を並列に表示する二画面表示機能を実行するための操作入力を受信する受信工程と、
前記二画面表示機能を実行する操作入力を受信したことに応じて、二画面のうち、一方の画面領域に二画面表示機能の実行前に表示していた第1の映像を表示し、他方の画面領域には前記第1の映像とは異なる種類の第2の映像を表示する処理を実行する制御工程と、
を有し、
前記制御工程では、前記二画面表示機能を実行する操作入力を受信した際に、ユーザが立体認識可能なように前記左目用映像及び前記右目用映像を前記第1の映像として表示していた場合には、前記一方の画面領域には当該左目用映像及び右目用映像をユーザが立体認識可能なように表示し、前記他方の画面領域には前記左目用映像または前記右目用映像のいずれか一方を表示する処理を実行することを特徴とする映像表示装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−61360(P2011−61360A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−207094(P2009−207094)
【出願日】平成21年9月8日(2009.9.8)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】