説明

映像表示装置

【課題】映像表示装置に対してのさまざまな向きの設置に対応でき、もって良好な画像を表示することが可能な映像表示を実現することを目的とするものである。
【解決手段】本発明は、左右方向の傾き角度を検出する角度センサ15と、前後方向の傾き角度を検出する角度センサ16とを備え、画面に、前記角度センサ15、16により検出される左右方向および前後方向の傾き角度を表示し、この表示を見ながら設置可能なように構成したものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は映像表示装置に関し、特にPDP、LCDなど平板型の映像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
映像表示装置は、薄型化、大型化、高画質化、多機能化が進み、一般家庭におけるテレビ放送の視聴目的以外に、文教、金融、医療、ホテル、商業施設、官庁、自治体などの幅広い分野において、電子広告、あるいは、プレゼンテーションなどの用途で広く利用されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−131580号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述のように、映像表示装置の利用の態様が多様化するに従い、映像表示装置を設置するにあたっては、据置きスタンド、壁掛け金具、天吊り金具などのさまざまな固定具が用いられ、また、設置方向も、用途に応じてさまざまな向きでの設置がなされる。
【0004】
本発明はこのような現状に鑑みてなされたものであり、映像表示装置に対してのさまざまな向きの設置に対応でき、もって良好な画像を表示することが可能な映像表示を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を実現するために本発明の映像表示装置は、左右方向の傾き角度を検出する角度センサと、前後方向の傾き角度を検出する角度センサとを備え、画面に、前記角度センサにより検出される左右方向および前後方向の傾き角度を表示し、この表示を見ながら設置可能なように構成したものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、映像表示装置に対してのさまざまな向きの設置に対応でき、もって良好な画像を表示することが可能な映像表示を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の一実施の形態による映像表示装置について図を用いて説明するが、本発明の実施の態様はこれに限定されるものではない。
【0008】
図1は、本発明の一実施の形態による映像表示装置の概略構成を示すブロック図である。
【0009】
10は、本発明の一実施の形態による映像表示装置である。11は、入力信号と、OSDメニューなどのオンスクリーン表示データ(以下、OSDメニューとする)に対して、所定の信号処理を施す信号処理回路である。12は、信号処理回路11で施された信号を映し出すPDPあるいはLCDなどの表示用のパネルである。13は、メニュー画面の各項目の設定値などを格納するRAMである。14は、OSDメニューを構成するための素材と、表示位置のxy座標値などが格納されたROMである。15は、映像表示装置10の左右方向の傾きの角度を検出するための角度センサである。16は、映像表示装置10前後方向の傾きの角度を検出するための角度センサである。
【0010】
17は、マイクロコンピュータであり、リモコンあるいは本体キーのキーコードを確定するキーコード確定手段20と、OSDメニューの画面の各項目の設定値などを管理するデータ管理手段21と、キーコード確定手段20と、角度センサ16から取得したデータより、傾斜角度表示モードか否かを判断する傾斜角度表示判定手段22と、OSDメニューを生成するOSDデータ生成手段23と、データ管理手段21と、角度センサ15から取得したデータより、OSDメニューの左右方向への補正を行うか否かを判断するOSD左右方向補正判定手段24と、OSDメニューの左右方向への補正を行うOSD左右方向補正手段25と、データ管理手段21と、角度センサ16から取得したデータより、OSDメニューの前後方向への補正を行うか否かを判断するOSD前後方向補正判定手段26と、OSDメニューの前後方向への補正を行うOSD前後方向補正手段27と、OSDメニューを信号処理回路11に送出するOSDデータ送信手段28とを備えた制御部である。
【0011】
なお、図2(a)には映像表示装置10が左右方向に傾いた状態を、図2(b)には映像表示装置10が前後方向に傾いた状態を、また図2(c)には映像表示装置10が左右方向には傾いておらず水平である状態を、また図2(d)には映像表示装置10が前後方向には傾いておらず垂直な状態を、それぞれ模式的に示す。なお、図2(a)、(c)には映像表示装置10の正面図を、図2(b)、(d)には映像表示装置10の側面図を、それぞれ概略的に示している。
【0012】
次に、本発明の一実施の形態による映像表示装置が表示するOSDメニューの一例について以下、説明する。
【0013】
まず、本発明の一実施の形態による映像表示装置は、図3に示すように、OSDメニュー40を、映像表示装置10の左右方向の傾きの角度に関わらず、常にある一定の角度、例えば水平方向(0度)を保った状態で表示を行う。
【0014】
このような表示により、例えば、図4に示すような、OSDメニュー40の表示の向きが映像表示装置10の左右方向の傾きと同期して傾いてしまうという場合と比べて、OSDメニューの視認性を著しく向上させることができる。
【0015】
以上のような表示は、映像表示装置10の左右方向の傾きを、角度センサ(左右方向)15により検出し、この検出結果に基づき、OSDメニューの左右方向の傾きをOSD左右方向補正手段25により補正することによって実現が可能である。
【0016】
なお、上述においては、角度センサ15によるOSDデータに対する補正は、映像信号、すなわち映像表示装置10のパネル12に表示される映像とは独立して行われるものであることから、例えば、映像表示装置10の左右方向の傾きに対して、表示される映像は同期して傾かせ、OSDメニューは同期させずに、例えば水平状態を保ったまま表示させる、といった多様な表示が可能となる。
【0017】
また、図5に示すように、PDPやLCD等のような平板型の映像表示装置10は、その設置の形態が多種多様であり、それに従い、用途に応じたさまざまな向きでの設置がなされる。図5(a)は、映像表示装置10を壁面・床面などに設置する例を、また、図5(b)は、映像表示装置10を天吊り状態に設置した例を、それぞれ模式的に示す図である。ここで図5(a)に示すように、壁掛け設置あるいは床面設置など、背丈ほどの比較的低い場所に設置されている場合であると、OSDメニューの表示内容が見づらいと感じた場合には映像表示装置10に近づくことで、その見づらさを解消することができる。しかしながら、図5(b)に示すように、映像表示装置10を天吊り金具などの固定具を用いて建物の天井に設置している場合、映像表示装置10に近づくことには限界があり、OSDメニューの視認性が悪くなるという課題が発生する場合があった。
【0018】
それに加え、OSDメニューの大きさおよび表示位置は、壁掛け設置や床面設置などに適した大きさ・位置に、通常、設定されており、例えば図5(c)に示すような、表示領域41の略中央部に小さく表示されるようなOSDメニュー40であると、さらに視認性を悪くする原因となっていた。
【0019】
そこで、本発明の一実施の形態による映像表示装置は、人と映像表示装置との距離が固定されてしまい、OSDメニューの大きさとの関係から、「見づらい」などの支障が生じるような、天吊り状態に設置される場合に、視認性が高まるようなOSDメニューの表示に補正する、というものである。このような、表示としては、例えば、図6(a)に示すように、ODSメニュー40を拡大して表示するということや、また図6(b)に示すように、OSDメニュー40を下方に表示することで、図6(c)に示すように、人44と映像表示装置10との隔たりを、距離42から距離43(距離42>距離43)に縮め、もってOSDメニューの視認性を向上させるという表示を挙げることができる。
【0020】
以上のような表示は、映像表示装置10の前後方向の傾きを、角度センサ(左右方向)16により検出し、この検出結果に基づき、OSDメニューをOSD前後方向補正手段27により補正することによって実現が可能である。すなわち、映像表示装置10が天吊り状態であるか否かを、角度センサ16により前後方向の傾きを検出し、ある値以上の傾き角を検出した場合に天吊り状態であると自動的に判断するというものである。なお、手入力で天吊り状態である旨を入力してやるといったものでもかまわない。
【0021】
以上、天吊り状態か否かを判断し、天吊り状態であると判断した場合には、OSDメニューの表示領域内での拡大および/または表示領域内での下方への表示位置の補正を行うので、OSDメニューの視認性を著しく向上させることができる。
【0022】
次に、上述したようなOSDメニューの表示を行うに際しての処理の流れについて説明する。
【0023】
図7は、OSDメニューの表示を行うに際しての設定を行うための画面の一例を概略的に示すものである。
【0024】
30は設定画面の一例を模式的に示す図である。31は、OSDメニューの左右方向の傾きに関するメニュー項目であり、映像表示装置の左右方向の傾きに対して、OSDメニューの表示の補正を行わないのか(オフ)行うのか、行うとした場合、その角度(例えば、水平状態とするのなら0度)を入力するものである。32は、31で選択できる項目を示すものである。
【0025】
33は、OSDメニューの前後方向の傾きに関するメニュー項目であり、映像表示装置の前後方向の傾きに対して、OSDメニューの表示の大きさを拡大したり、表示位置を下方方向に移動させたりすることを実行する(オン)か否か(オフ)を設定するものである。34は、33で選択できる項目を示すものである。
【0026】
35は、33で映像表示装置の前後方向の傾きに対してOSDメニューの表示を補正する(オン)とした場合の、補正範囲に関するメニュー項目であり、図1の角度センサ(前後方向)16で検出した傾きの角度がいくらの範囲であれば、OSDメニューの補正を実行するかを設定するものである。36は、35で選択できる項目を示すものである。
【0027】
なお、上述した設定画面30での設定値は、データ管理手段21に保存されるものである。また、図8は、OSDメニューの補正に際して、処理の流れを概略的に示すフローチャートである。
【0028】
まず最初に、OSDデータを表示する旨を、例えばリモコンからのキーコードの送信などにより、指示する。
【0029】
すると、ステップS11においてキーコード確定手段20(図1)がそのキーコードを認識する。次にステップS12において、OSDデータ生成手段23(図1)により、当該のOSDメニューが生成される。
【0030】
次にステップS13において、図7のOSD左右方向傾き補正31で設定されている値が“オフ” か、そうでないかを判断する。そして“オフ”ではなく、何らかの値が設定されている場合には、ステップS14において、その設定されている値が、映像表示装置10の左右方向の傾きの角度と一致するかを判定する。
【0031】
そして、一致しない場合には、ステップS15において、OSDメニューの左右方向の傾き補正処理を行い、その後、ステップS16に進む。また、一致する場合には、補正処理を行わずにステップS16に進む。
【0032】
なお、上述のステップS14の処理は省略して、ステップS13において“オフ”でない場合には、常にステップS15での補正処理を行い、その後、ステップS16に進むという処理としてもかまわない。
【0033】
また、ステップS13において、OSD左右方向傾き補正31で設定されている値が“オフ”と判断された場合には、OSDメニューに対しての補正は行わず、ステップ16に進む。
【0034】
ステップS16においては、OSD前後方向傾き補正33(図7)で設定されている値が“オン”であるか“オフ”であるかの判断を行う。“オフ”、すなわち補正を行わないと設定されていると判断される場合には、補正を行わずステップS19に進む。
【0035】
ステップS16において、“オン”、すなわち補正を行うと設定されている場合には、ステップS17において、現在の映像表示装置の前後方向の傾きの角度が、OSD補正範囲35(図7)で設定されている値の範囲内であるか否かを判断する。そして範囲外であると判断される場合には、補正を行わずにステップS19に進み、範囲内である場合には、ステップS18において、映像表示装置の前後方向の傾きに対するOSDメニュー表示の補正が行われる。この際の補正は、例えば表示領域内でOSDメニューなどのオンスクリーン表示データを拡大し、および/または、表示位置を下方方向に移動するというような、天吊り状態の際にもOSDメニューの視認性を高める、というものである。
【0036】
ステップS19では、以上のステップS11〜S18を経たOSDメニューを図1の信号処理回路11に送出する。
【0037】
なお、以上の説明において、左右方向、前後方向の傾きの角度は、角度センサ15、16により検出した値に基づくものである。
【0038】
また、図5に示したように、PDPやLCD等のような平板型の映像表示装置10は、その設置の形態が多種多様であり、それに従い、設置の方向も、用途に応じてさまざまな向きでの設置がなされることから、このような多種多様な映像表示装置の設置に対応する際には、その左右方向、前後方向の傾きの調整が必要となる。例えば、天吊り状態で設置するような場合、横方向には水平で且つ前後方向には、ある所定の角度に傾けて設置する、ということが必要となるが、このような設置の要求に対しては、従来、水準器などの測定器を用いて対応していたが、細かい傾き角度への対応は煩雑なものとなっていた。また、映像表示装置を壁面に対して前後方向に傾けて設置される場合にも、傾斜角度が決められるような固定具を使用しなかった場合には、測定器を用いて、設置仕様に対する正確な傾斜角度を測定しなければならなかった。
【0039】
ここで、本発明の映像表示装置であれば角度センサを備えており、そこで、例えば図9に示すように、角度センサ15、16により検出した値をそれぞれ、左右方向の傾きの角度60、前後方向の傾きの角度61として映像表示装置10の画面に表示するようにすれば、その値を見ながら映像表示装置10の設置の際の左右方位、前後方向の傾きを調整できるので、設置の際の工数を大幅に削減することが可能となる。
【0040】
このような、左右方向の傾きの角度、前後方向の傾きの角度を映像表示装置10の画面へ表示するということについては、表示する旨のキーコードの入力を行い、そのキーコードを傾斜角度表示判定手段22により判定し、そして画面への表示を行うということで実現が可能である。
【0041】
また、このような用途の際には、設置に際して要求されている傾き角度を予め入力し、その上で、設置を行い、上記入力された値と現実の傾きの角度との差の度合いが視覚的に、例えばスケールなどで表示される、といったものとしてもかまわない。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、映像表示装置に対してのさまざまな向きの設置に対応でき、もって良好な画像を表示することが可能な映像表示を実現するのに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の一実施の形態による映像表示装置の概略構成を示すブロック図
【図2】本発明の一実施の形態による映像表示装置の、左右方向、水平方向を概略的に示す図
【図3】本発明の一実施の形態による映像表示装置におけるOSDメニューの表示の一例を概略的に示す図
【図4】映像表示装置におけるOSDメニューの表示の一例を概略的に示す図
【図5】映像表示装置の設置の態様を概略的に示す図
【図6】本発明の一実施の形態による映像表示装置におけるOSDメニューの表示の一例を概略的に示す図
【図7】本発明の一実施の形態による映像表示装置におけるOSDメニューの表示を行うに際しての設定の画面の一例を概略的に示す図
【図8】本発明の一実施の形態による映像表示装置におけるOSDメニューの補正の処理の流れの一例を概略的に示すフローチャート
【図9】本発明の一実施の形態による映像表示装置における画面表示の一例を概略的に示す図
【符号の説明】
【0044】
10 映像表示装置
15 角度センサ(左右方向)
16 角度センサ(前後方向)
40 OSDメニュー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右方向の傾き角度を検出する角度センサと、
前後方向の傾き角度を検出する角度センサとを備え、
画面に、前記角度センサにより検出される左右方向および前後方向の傾き角度を表示し、この表示を見ながら設置可能なように構成した映像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−198742(P2009−198742A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−39638(P2008−39638)
【出願日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】