説明

映像表示装置

【課題】コンテンツの動画表示が行われない未使用状態において,消費電力を極力抑えつつ静止画表示を行うことができる映像表示装置を提供すること。
【解決手段】電源のON/OFF操作等に応じて,映像処理回路2により生成される動画表示用の映像信号に基づき動画表示を行う状態と,メインMPU81により生成されて信号バッファ11に記録される静止画表示用の映像信号に基づき静止画表示を行う状態とを切り替え,その映像の表示状態の切り替えに応じて,給電切替回路10により,動画用の映像信号を生成する映像信号入力部1や映像処理回路2に対する電力供給を行うか否かを切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,外部からの入力信号に基づいて動画表示用の映像信号を生成し,その映像信号に基づく映像を表示する映像表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年,液晶テレビジョン受像機に代表されるパネル型の映像表示装置は,画面の大型化が進み,壁掛け型の或いは壁に埋め込まれた映像表示装置が,壁の大部分を占める場合もある。そのような大型の映像表示装置は,映画やスポーツ等に関するコンテンツを臨場感の高い動画映像及び音声により出力することができる。
一方,部屋の壁における大きな範囲を占めるパネル型の映像表示装置が,ユーザにより指定された放送コンテンツや録画されたコンテンツの動画出力及び音声出力を行わない未使用状態において,その大きな黒い画面の存在により,部屋の景観を損なうことが懸念される。
そこで,パネル型の映像表示装置に対し,前記未使用状態における映像表示部に静止画を表示させる状態(以下,静止画表示状態という)で動作する機能を設けることが検討されている。これにより,パネル型の映像表示装置が,前記未使用状態において,壁に飾られた絵画のような部屋の装飾物として機能することにより,部屋の景観悪化が回避できると考えられる。なお,前記静止画表示状態とする動作モードは,ウォールピクチャモードなどとも称される。
一方,特許文献1には,キャラクタジェネレータにより文字のパターン画像(静止画)を生成し,その文字のパターン画像を液晶表示部に表示させる装置について示されている。
【特許文献1】特開平3−94293号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら,パネル型の映像表示装置が,前記静止画表示状態において,動画表示中と同等の電力を消費するようでは,前記未使用状態での消費電力量を含む総消費電力量が著しく増大するという問題点があった。
従って,本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり,その目的とするところは,コンテンツの動画表示が行われない未使用状態において,消費電力を極力抑えつつ静止画表示を行うことができる映像表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために本発明に係る映像表示装置は,以下の(1)〜(6)に示される各構成要素を備えている。
(1)動画表示用の映像信号を生成する動画用映像信号生成手段。
(2)映像信号に基づく映像を表示する映像表示手段。
(3)静止画表示用の映像信号を生成する静止画用映像信号生成手段。
(4)前記映像表示手段による映像の表示状態を,前記動画用映像信号生成手段により生成された映像信号に基づき動画を表示する動画表示状態と前記静止画用映像信号生成手段により生成された映像信号に基づき静止画を表示する静止画表示状態とのいずれかに切り替える表示状態切替手段。
(5)前記表示状態切替手段による映像の表示状態の切り替えに応じて,前記動画用映像信号生成手段に対する電力供給を行うか否かを切り替える給電切替手段。
【0005】
本発明に係る映像表示装置は,コンテンツの動画表示を行わない未使用状態において,動画表示用の映像信号を生成する回路(前記動画用映像信号生成手段)に対する電力供給を遮断し,静止画を前記映像表示手段に表示させることができる。これにより,前記未使用状態における消費電力を極力抑えつつ静止画表示を行うことができる。
例えば,本発明に係る映像表示装置が液晶表示装置である場合が考えられる。その場合,本発明に係る映像表示装置が,次の(6)〜(8)に示される構成要素を備え,さらに,前記静止画用映像信号生成手段が,次の(9)に示される処理を行うことが考えられる。
(6)映像信号に基づく映像を描画する液晶パネル及びその液晶パネルを照明するバックライトを備えた前記映像表示手段。
(7)画像データを記憶する画像データ記憶手段。
(8)前記静止画表示状態において,前記静止画用映像信号生成手段によって新たに映像信号が生成される際に前記バックライトをその輝度を滑らかに変化させつつ一時的に消灯させる調光手段。
(9)前記静止画用映像信号生成手段が,前記静止画表示状態において,前記画像データ記憶手段に記憶された複数の画像データのいずれかを順次選択して前記映像表示手段による静止画表示用の新たな映像信号を生成する。
これにより,前記静止画表示状態において,静止画表示の切り替えがスムーズに行われてユーザに違和感が生じず,かつ,前記バックライトの消費電力を抑えることができる。
また,本発明に係る映像表示装置が,さらに,次の(10)に示される構成要素を備えれば好適である。
(10)前記静止画表示状態において,前記静止画用映像信号生成手段に対する一時的な電力供給が周期的に行われるよう制御する給電周期制御手段。
この場合,前記静止画用映像信号生成手段が,前記静止画表示状態において前記給電周期制御手段の制御により電力供給が行われるごとに,前記画像データ記憶手段に記憶された複数の画像データのいずれかを順次選択して前記映像表示手段による静止画表示用の新たな映像信号を生成する。
これにより,前記静止画表示状態における前記静止画用映像信号生成手段の消費電力をも抑えることができる。
さらに,前記調光手段が,前記静止画表示状態における点灯中の前記バックライトの輝度を前記動画表示状態における前記バックライトの輝度よりも低い輝度に設定することも考えられる。これにより,前記静止画表示状態における当該映像表示装置(液晶表示装置)の消費電力をなおいっそう低減できる。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば,コンテンツの動画表示が行われない未使用状態において,消費電力を極力抑えつつ静止画表示を行うことができる映像表示装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下添付図面を参照しながら,本発明の実施の形態について説明し,本発明の理解に供する。尚,以下の実施の形態は,本発明を具体化した一例であって,本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
ここに,図1は本発明の実施形態に係る映像表示装置の一例である液晶表示装置Xの概略構成を表すブロック図,図2は液晶表示装置Xにおける映像表示状態切り替え処理の手順を表すフローチャートである。
【0008】
まず,図1に示されるブロック図を参照しつつ,本発明の実施形態に係る映像表示装置の一例である液晶表示装置Xの主要部の構成について説明する。
図1に示されるように,液晶表示装置Xは,映像信号入力部1,映像処理回路2,液晶駆動回路3,液晶パネル4,LED給電回路5,LEDバックライト6,調光回路7,メイン制御回路8,サブMPU9,給電切替回路10,信号バッファ11等を備えている。
【0009】
前記映像信号入力部1は,外部から入力される信号に基づいて映像信号を生成する映像信号の入力インターフェース部である。例えば,前記映像信号入力部は,外部から入力される放送信号から放送コンテンツの映像信号を抽出するチューナや,外部から映像信号を入力して後段の回路へ伝送する外部入力端子等を備えている。以下,この映像信号入力部1を通じて前記映像処理回路2へ伝送される映像信号を入力映像信号と称する。
また,前記映像処理回路2は,前記入力映像信号に基づいて,動画表示用の映像信号を生成する回路である(前記動画用映像信号生成手段の一例)。より具体的には,前記映像処理回路2は,前記入力映像信号に基づいて,動画における1コマの画像を構成する各画素の3原色(R,G,B)それぞれの映像輝度(画素階調)を表すフレーム信号を順次生成し,そのフレーム信号を一定周期で前記液晶駆動回路3に伝送する回路である。なお,前記フレーム信号の生成周期は,例えば,120Hz(いわゆる倍速)である。
また,前記映像処理回路2は,1フレーム分の前記入力映像信号が入力されるごとに,その1フレーム分の映像輝度(階調レベル)の指標値として,当該1フレーム分の前記入力映像信号における各画素の映像輝度の平均値である平均輝度レベルDb(いわゆるAPL(Average Picture Level))を算出し,その算出結果を前記調光回路7に伝送する。前記平均輝度レベルDbは,1フレーム分の前記入力映像信号における各画素の3原色(R,G,B)の映像輝度(階調レベル)の加重平均値である。
【0010】
前記液晶駆動回路3は,前記映像処理回路2から一定周期で順次伝送されてくる動画表示用の前記フレーム信号に基づいて,そのフレーム信号に対応する1フレーム分の映像(1コマの画像)を前記液晶パネル4に順次表示させる回路である。
より具体的には,前記液晶駆動回路3は,液晶表示パネルに設けられた各画素の液晶素子に対し,R,G,B3原色それぞれの階調レベル(輝度レベルといってもよい)に応じた電圧(階調電圧)の階調信号を供給する。これにより,前記液晶パネル4は,前記入力映像信号に基づく映像(動画)を表示する。
また,前記液晶駆動回路3は,前記信号バッファ11に記録されている静止画表示用の映像信号(以下,静止画信号という)に基づいて,その静止画信号に対応する静止画像を前記液晶パネル4に表示させることもできる。
また,前記液晶パネル4は,映像信号に基づく映像を描画するパネルである。
なお,前記液晶駆動回路8及び前記液晶パネル4は,前記フレーム信号等の映像信号に基づく映像を表示する映像表示手段の一例である。
前記LEDバックライト6は,映像を表示する前記液晶パネル4の背面側に配列され,複数の白色LED又は複数組のRGB3色のLEDを光源として前記液晶パネル4を照明する照明手段である。
【0011】
前記LED給電回路5は,前記メイン制御回路8及び前記調光回路7からの制御指令に従って,前記LEDバックライト6に対する供給電力,即ち,前記LEDバックライト6の輝度を,供給電流のレベルの切り替え制御とPWM制御との組合せによって調節する回路である。
より具体的には,前記LED給電回路5は,前記LEDバックライト6における各LEDに電流を供給するとともに,その電流のレベルを,前記調光回路7から入力される指定電流レベルに調節する。但し,前記指定電流レベルは,前記LEDの定格電流(最大電流)を含む予め定められた複数段階の電流レベルのいずれかである。
さらに,前記LED給電回路5は,電流値が前記指定電流レベルに調節されたパルス電流を,前記調光回路7から入力される指示値であるデューティ比に従って周期的にON/OFFさせつつ前記LEDバックライトが備える各LEDに供給するPWM調光を行う。前記デューティ比は,前記調光回路7により,前記LEDバックライト6の目標輝度に応じて自動設定される。
即ち,前記LED給電回路5は,前記調光回路7からの前記指定電流レベルに従って電流レベルが切り替えられた電流供給のPWM制御により,前記LEDバックライト6の輝度を目標輝度に調節する。
【0012】
また,前記調光回路7は,前記メイン制御回路8から入力される前記LEDバックライト6の基準輝度と,前記映像処理回路2から入力される前記平均輝度レベルDbと,予め不図示のレジスタ等に記憶(格納)されたルックアップテーブルである目標輝度設定テーブルとに基づいて,前記LEDバックライト6の目標輝度を決定(設定)する。
より具体的には,前記調光回路7は,前記平均輝度レベルDbが高くなれば,前記LEDバックライト6の目標輝度を前記基準輝度よりも下げることによって眩しさを緩和し,前記平均輝度レベルDbが低くなれば,前記LEDバックライト6の輝度を前記基準輝度よりも上げることによって映像の明るさを十分に確保する。
さらに,前記調光回路7は,前記目標輝度と不図示のレジスタ等に記録された調光テーブルとに基づいて,PWM調光におけるパルス電流の電流値及びデューティ比を決定(設定)する。その電流値及びデューティ比は,前記LED給電回路5に伝送される。
なお,前記調光回路7は,例えばFPGAやASIC等により具現化されている。
【0013】
前記メイン制御回路8は,演算手段であるメインMPU81及び不揮発性メモリであるEEPROM82等を備え,前記メインMPU81が不図示のROMに記憶された制御プログラムを実行することにより,当該液晶表示装置Xが備える各構成要素の制御処理を実行するものである。
前記EEPROM82には,前記メインMPU81により読み書きされる各種のデータが記憶されている。例えば,前記メインMPU81には,当該液晶表示装置Xの動作モードの設定内容や,前記液晶パネル4を通じた静止画表示に用いられる1つ又は複数の画像データなどが予め記憶されている(画像データ記憶手段の一例)。
また,前記サブMPU9は,不図示のROMに記憶された制御プログラムを実行することにより,主として前記メイン制御回路8に対する通電が停止されているときの各種の制御を実行するものである。
例えば,前記メイン制御回路8は,不図示のリモート操作器を通じた操作入力に従って,映像表示状態の切り替え処理や,前記LEDバックライト6の目標輝度の情報の入力及びその入力情報に基づく目標輝度の設定処理を行う。
ここで,映像表示状態の切り替え手順を規定する動作モードには,通常モードとウォールピクチャモードとの2種類が含まれる。これら2種類の動作モードのいずれが採用されるかは,不図示のリモート操作器に対するユーザの選択操作に応じて選択(設定)される。そして,前記サブMPU9は,主として前記ウォールピクチャモードが採用(選択)されている場合に,前記メイン制御回路8に対する通電が停止されているときの制御を行う。
なお,動作モードに応じた映像表示状態の切り替え手順については後述する。
また,前記メインMPU81は,予め前記EEPROM82に記憶された画像データに基づいて,静止画表示用の映像信号である前記静止画信号を生成して前記信号バッファ11に記録する処理も実行する(静止画用映像信号生成手段の一例)。なお,後述するように,前記静止画信号の生成処理は,前記ウォールピクチャモードが選択されているときに実行される。
また,前記信号バッファ11は,前記メインMPU81により生成される前記静止画信号を,新たな前記静止画信号が生成されるまで保持する(一時記憶する)記憶手段の一例である。
また,前記給電切替回路10は,当該液晶表示装置Xが備える各部品に対して個別に電力供給を行うか否かを切り替える回路である。例えば,前記給電切替回路10は,前記メインMPU81や前記サブMPU9による映像の表示状態の切り替えに応じて,動画用の映像信号(前記フレーム信号)を生成する前記映像信号入力部1及び前記映像処理回路2や,前記メイン制御回路8,前記液晶駆動回路3,前記調光回路7等に対する電力供給を行うか否かを切り替える回路である(給電切替手段の一例)。なお,前記給電切替回路10は,前記サブMPU9により制御される。
【0014】
次に,図2に示されるフローチャートを参照しつつ,前記メインMPU81及び前記サブMPU9により制御される映像表示状態切り替え処理の手順について説明する。なお,以下に示されるS1,S2,…は,処理手順(ステップ)の識別符号符号を表す。
まず,前記サブMPU9が,不図示のリモート操作器における電源ON操作又は電源OFF操作がなされたか否かを監視する(S1)。
なお,液晶表示装置Xは,操作キーが設けられた不図示のリモート操作器と,そのリモート操作器が操作キーに対する操作に応じて出力する赤外線信号を受信する不図示の赤外線受信部とを備えている。そして,前記メインMPU81及び前記サブMPU9は,前記赤外線受信部を通じて,前記リモート操作器に対する操作内容を検知する。
【0015】
そして,前記サブMPU9は,電源ON操作を検知すると,前記給電切替回路10を制御することにより,前記映像信号入力部1,前記映像処理回路2,前記液晶駆動回路3,前記メイン制御回路8,前記調光回路7及び前記LED給電回路5に対する通電を開始させる(S4)。なお,既に通電がなされている回路は,その通電状態が維持される。
そして,前記液晶パネル4に動画を表示させる処理(S5,S6)が,前記リモート操作器を通じた電源OFF操作が検知(S7)されるまで継続して実行される。
即ち,前記映像信号入力部1及び前記映像処理回路2により,放送コンテンツ等に関する動画用の映像信号(前記フレーム信号)が順次生成され,前記液晶駆動回路3により,そのフレーム信号に基づく動画の描画処理が実行される(S5)。それと並行して,前記メインMPU81により設定される前記基準輝度に基づいて,前記調光回路7による前記LEDバックライト6の輝度調節が行われる(S6)。その際,前記調光回路7は,前記LEDバックライト6の輝度が,前記メインMPU81により設定された前記基準輝度を前記フレーム信号の平均輝度レベルDbに応じて補正した輝度となるように,前記LEDバックライト6のPWM制御を行う。
このように,前記サブMPU9及び前記メインMPU81は,前記電源ON操作に応じて,当該液晶表示装置Xの状態を動画表示状態へ移行させる。この動画表示状態は,前記映像処理回路2により生成される動画用の映像信号である前記フレーム信号に基づく映像(動画)を前記液晶パネル4に表示させる状態である。
そして,前記サブMPU9は,動画表示状態において前記リモート操作器に対する電源OFF操作を検知すると,処理を後述するステップS2へ移行させる。
【0016】
一方,前記サブMPU9は,ステップS1又はステップS2において前記電源OFF操作を検知すると,その時点で設定されている映像表示モードが前記通常モード及び前記ウォールピクチャモードのいずれであるかを判別する(S2)。
なお,前記サブMPU9は,前記メインMPU81が起動しているときに,そのメインMPU81から前記映像表示モードの情報を予め取得し記憶している。
そして,前記電源OFF操作が検知されたときの前記映像表示モードが前記通常モードである場合,前記サブMPU9は,前記給電切替回路10を制御することにより,前記映像信号入力部1,前記映像処理回路2,前記液晶駆動回路3,前記メイン制御回路8,前記調光回路7及び前記LED給電回路5に対する通電を停止させる(S3)。なお,既に通電が停止されている回路は,その通電停止状態が維持される。これにより,当該液晶表示装置Xの状態が,前記液晶パネル4による映像表示を行わない映像非表示状態へ移行する。この映像非表示状態は,映像表示に関する各種部品に対する通電が停止されたいわゆる待機状態である。その後,前記サブMPU9は,処理をステップS1へ戻す。
【0017】
一方,前記電源OFF操作が検知されたときの前記映像表示モードが前記ウォールピクチャモードである場合,前記サブMPU9は,前記給電切替回路10を制御することにより,前記メイン制御回路8に対する通電を開始させる(S8)。なお,既に前記メイン制御回路8に対して通電がなされているときは,その通電状態が維持される。
さらに,前記サブMPU9は,前記調光回路7を制御することにより,前記LEDバックライト6の輝度を滑らかに変化させて徐々に消灯させる(S9)。
そして,前記LEDバックライト6が消灯している間に,前記メインMPU81が,予め前記EEPROM82に記憶された画像データに基づいて,静止画表示用の映像信号である前記静止画信号を生成して前記信号バッファ11に記録する(S10)。
その際,前記サブMPU9は,動画用の映像信号(前記フレーム信号)を生成する前記映像信号入力部1及び前記映像処理回路2に対する通電を停止させる(S11)。これに応じて,前記液晶駆動回路3は,映像信号の入力先を,前記映像処理回路2から前記信号バッファ11へ切り替える。これにより,前記LEDバックライト6が未点灯の状態で,前記液晶パネル4における静止画の描画が行われる。
さらに,前記信号バッファ11への前記静止画信号の記録の終了に応じて,前記サブMPU9は,前記調光回路7を制御することにより,前記メイン制御回路8に対する通電を停止させる(S8)。それと併せて,前記サブMPU9は,前記調光回路7を制御することにより,前記LEDバックライト6の輝度を滑らかに変化させて徐々に点灯させる(S13)。これにより,前記液晶パネル4において描画された静止画が,徐々に視認可能な状態となって表示される。但し,点灯後の前記LEDバックライト6の輝度は,前記動画表示状態における通常の輝度よりも低い輝度に調節される。
このように,前記ウォールピクチャモードが選択されている場合,前記サブMPU9及び前記メインMPU81は,前記電源OFF操作に応じて,当該液晶表示装置Xの状態を静止画表示状態へ移行させる。この静止画表示状態は,当該液晶表示装置Xが使用されないとき(前記映像信号入力部1を通じた入力信号に基づく動画の鑑賞がなされないとき)に,前記信号バッファ11に記録された前記静止画信号に基に基づく映像(静止画)が前記液晶パネル4に表示され,壁掛けの絵画のようになった状態である。
また,前記静止画表示状態においては,動画用の映像信号の生成のみに関与する前記映像信号入力部1及び前記映像処理回路2に対する通電が停止され,主として静止画の表示に必要な部品に対して選択的に通電がなされた消費電力の低い状態である。
【0018】
そして,前記サブMPU9は,前記静止画表示状態(S13)において,予め設定された映像切り替え周期の経過を監視し(S14),その映像切り替え周期が経過するごとに,以上に示したステップS8〜S13の処理を繰り返す。これにより,前記サブMPU9は,前記静止画信号を生成する前記メイン制御回路8に対する一時的な電力供給(S8〜S12)が周期的に行われるよう前記給電切替回路10を制御する(給電周期制御手段の一例)。
そして,前記メインMPU81は,前記静止画表示状態において前記サブMPU9の制御により電力供給が行われるごとに,前記EEPROM82に記憶された複数の画像データのいずれかを順次選択し,選択した画像データに基づいて前記液晶パネル4による静止画表示に用いられる新たな映像信号(前記静止画信号)の生成及び前記信号バッファ11への記録を実行する(S10)。なお,画像データの選択順序は,予め定められた順序又はランダムな順序が考えられる。
これにより,前記静止画表示状態における前記メイン制御回路8の消費電力をも抑えることができる。
また,前記静止画表示状態において,前記サブMPU9及び前記調光回路7が,前記メインMPU81によって周期的に新たな前記静止画信号が生成される際に,それと同期して,前記LEDバックライト6をその輝度を滑らかに変化させつつ一時的に消灯させる(S9,S13:調光手段の一例)。
これにより,前記静止画表示状態において,静止画表示の切り替えがスムーズに行われてユーザに違和感が生じず,かつ,前記LEDバックライト6の消費電力を抑えることができる。
さらに,前記サブMPU9及び前記調光回路7が,前記静止画表示状態における点灯中の前記LEDバックライト6の輝度(ステップS13での輝度)を前記動画表示状態における前記LEDバックライト6の輝度(ステップS6での輝度)よりも低い輝度に設定する。これにより,前記静止画表示状態における当該液晶表示装置Xの消費電力をなおいっそう低減できる。
そして,前記サブMPU9は,ステップS8〜S14の処理を繰り返す間に,随時,前記リモート操作器を通じた電源ON操作の有無を監視し(S15),電源ON操作を検知すると,処理を前述したステップS1へ戻す。
【0019】
以上に示したように,前記サブMPU9及び前記メインMPU81は,前記液晶パネル4による映像の表示状態を,前記映像信号入力部1及び前記映像処理回路2により生成された映像信号(前記フレーム信号)に基づき動画を表示する動画表示状態(S5,S6)と,前記メインMPU81により生成された映像信号(前記静止画信号)に基づき静止画を表示する静止画表示状態(S10〜S13)とのいずれかに切り替える(S1,S2:表示状態切替手段の一例)。
そして,液晶表示装置Xによれば,前記ウォールピクチャモードが選択されている場合,コンテンツの動画表示が行われない未使用状態(前記電源OFF操作がなされた後の状態)において,前記映像信号入力部1や前記映像処理回路2,並びに前記メイン制御回路8の消費電力を抑えつつ,静止画表示を行うことができる。
なお,以上に示した液晶表示装置Xでは,前記EEPROM82に記憶された画像データに基づいて前記静止画信号が生成されたが,そうでない実施例も考えられる。例えば,前記メインMPU82が,画像データに基づかずにプログラム的に静止画を表すパターン画像信号を生成し,それを前記信号バッファ11に記録することも考えられる。
【0020】
また,液晶表示装置Xが,不図示の着脱式のデータ記録メディア(カード式メモリ等)に記憶されたデータにアクセスするデータ記録メディアインターフェースを備える場合,前記メインMPU81が,そのデータ記録メディアから,静止画表示用の画像データを前記EEPROM82に転送することも考えられる。
その他,前記映像処理回路2が,ビデオキャプチャ機能により動画用の映像信号における1コマ分の前記フレーム信号を前記メインMPU81に伝送し,前記メインMPU81が,そのフレーム信号に基づく画像データを前記EEPROM82に記録することも考えられる。
【0021】
また,前述した実施形態では,前記ウォールピクチャモードが選択されている場合に,電源OFF操作の検知に応じて,前記サブMPU9が前記動画表示状態から前記静止画表示状態へ切り替える制御を行ったが,他のイベントに応じて状態切り替えを行う例も考えられる。
例えば,液晶表示装置Xが,その画面の縁部等に配置された赤外線センサなどの人検知センサを備え,その人検知センサによって予め定められた時間以上,人が検知されない状況が継続した場合に,前記サブMPU9が,前記動画表示状態から前記静止画表示状態へ切り替える制御を行うこと等も考えられる。
その他,液晶表示装置Xが,公衆の場に設置される情報案内用の映像表示装置である場合,前記リモート操作器(操作部)に対する操作が予め定められた時間以上継続して検知されない場合に,前記サブMPU9が,前記動画表示状態から前記静止画表示状態へ切り替える制御を行うこと等も考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明は,映像表示装置に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態に係る映像表示装置の一例である液晶表示装置Xの概略構成を表すブロック図。
【図2】液晶表示装置Xにおける映像表示状態切り替え処理の手順を表すフローチャート。
【符号の説明】
【0024】
X :液晶表示装置(映像表示装置)
1 :映像信号入力部
2 :映像処理回路
3 :液晶駆動回路
4 :液晶パネル
5 :LED給電回路
6 :LEDバックライト
7 :調光回路
8 :メイン制御回路
81:メインMPU
82:EEPROM
9 :サブMPU
10:給電切替回路
11:信号バッファ
S1,S2,…:処理手順(ステップ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動画表示用の映像信号を生成する動画用映像信号生成手段と,映像信号に基づく映像を表示する映像表示手段と,を備えた映像表示装置であって,
静止画表示用の映像信号を生成する静止画用映像信号生成手段と,
前記映像表示手段による映像の表示状態を,前記動画用映像信号生成手段により生成された映像信号に基づき動画を表示する動画表示状態と前記静止画用映像信号生成手段により生成された映像信号に基づき静止画を表示する静止画表示状態とのいずれかに切り替える表示状態切替手段と,
前記表示状態切替手段による映像の表示状態の切り替えに応じて,前記動画用映像信号生成手段に対する電力供給を行うか否かを切り替える給電切替手段と,
を具備してなることを特徴とする映像表示装置。
【請求項2】
映像信号に基づく映像を描画する液晶パネル及び該液晶パネルを照明するバックライトを備えた前記映像表示手段と,
画像データを記憶する画像データ記憶手段と,
前記静止画表示状態において,前記静止画用映像信号生成手段によって新たに映像信号が生成される際に前記バックライトをその輝度を滑らかに変化させつつ一時的に消灯させる調光手段と,を具備し,
前記静止画用映像信号生成手段が,前記静止画表示状態において,前記画像データ記憶手段に記憶された複数の画像データのいずれかを順次選択し,選択した画像データに基づいて前記映像表示手段による静止画表示用の新たな映像信号を生成してなる請求項1に記載の映像表示装置。
【請求項3】
前記静止画表示状態において,前記静止画用映像信号生成手段に対する一時的な電力供給が周期的に行われるよう制御する給電周期制御手段を具備し,
前記静止画用映像信号生成手段が,前記静止画表示状態において前記給電周期制御手段の制御により電力供給が行われるごとに,前記画像データ記憶手段に記憶された複数の画像データのいずれかを順次選択して前記映像表示手段による静止画表示用の新たな映像信号を生成してなる請求項2に記載の映像表示装置。
【請求項4】
前記調光手段が,前記静止画表示状態における点灯中の前記バックライトの輝度を前記動画表示状態における前記バックライトの輝度よりも低い輝度に設定してなる請求項2又は3のいずれかに記載の映像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−122401(P2010−122401A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−294953(P2008−294953)
【出願日】平成20年11月18日(2008.11.18)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】