映像表示装置
【課題】複数のカメラの映像信号を同期させることなく、また、時間的に途切れることなく複数のカメラ映像を表示できるようにする。
【解決手段】切替回路１０は、同期信号検出手段３０ａにより水平同期信号が検出され、再度、水平同期信号が検出される度に、順次、映像信号を切り替えて出力するようになっており、切替回路１０より出力される映像信号を、当該映像信号を出力しているカメラ毎に、順次、ライン単位で切り替えながらメモリ６０に取り込み、メモリ６０から映像信号を読み出して表示部７０に表示させる。
【解決手段】切替回路１０は、同期信号検出手段３０ａにより水平同期信号が検出され、再度、水平同期信号が検出される度に、順次、映像信号を切り替えて出力するようになっており、切替回路１０より出力される映像信号を、当該映像信号を出力しているカメラ毎に、順次、ライン単位で切り替えながらメモリ６０に取り込み、メモリ６０から映像信号を読み出して表示部７０に表示させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、複数のカメラより入力される複数の映像信号を記憶媒体に取り込むとともに当該記憶媒体から映像信号を読み出して表示部に表示させる映像表示装置に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
従来、車両や建物の周辺等を監視する監視カメラには、ＮＴＳＣ方式のカメラが多く用いられている。このようなＮＴＳＣ方式のカメラは、６０フィールド／秒で映像が更新されるようになっている。
【０００３】
このようなカメラの画像を取り込む装置として、複数のカメラに垂直同期信号と水平同期信号を供給して、複数のカメラから垂直同期信号と水平同期信号に同期して撮影画像を出力させ、複数のカメラの撮影画像をフィールド単位で間引くようにしてメモリに取り込むようにしたものがある（例えば、特許文献１参照）。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００４】
【特許文献１】特開平１０−１５５１３２号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
しかしながら、上記特許文献１に記載された装置では、垂直同期信号と水平同期信号に同期して画像を出力することができる特殊なカメラを用意する必要があるため高価となってしまう。
【０００６】
また、上記特許文献１に記載された装置のように、複数のカメラ画像をフィールド単位で間引くようにしてメモリに取り込む構成では、例えば、４つのカメラを接続した場合、１５フィールド／秒の画像がメモリに取り込まれることになり、画像の更新間隔が長くなるため、時間的に途切れて表示されるといった問題がある。
【０００７】
例えば、車両前方をカメラで撮影した映像に画像処理を施して、人物や車両の急な飛び出し等を報知するようなシステムでは、表示映像が時間的に途切れてしまうと、報知遅れが生じるため好ましくない。
【０００８】
また、複数のカメラの各々にデコーダＡＤ変換回路とデコーダを別々に設けるように構成すれば、複数のカメラの映像を途切れることなく高画質で表示することが可能であるが、デコーダＡＤ変換回路とデコーダの数が多くなるためシステムが高価となってしまう。
【０００９】
本発明は上記問題に鑑みたもので、複数のカメラの映像信号を同期させることなく、また、時間的に途切れることなく複数のカメラ映像を表示できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【００１０】
上記目的を達成するため、請求項１に記載の発明は、複数のカメラより入力される複数の映像信号を記憶媒体に取り込むとともに当該記憶媒体から映像信号を読み出して表示部に表示させる映像表示装置であって、複数のカメラより入力される複数の映像信号から１つを選択して出力する切替回路と、切替回路より出力される映像信号から水平同期信号を検出すると水平同期検出信号を出力する水平同期信号検出手段と、を備え、切替回路は、水平同期信号検出手段により水平同期信号が検出され、再度、水平同期信号が検出される度に、順次、映像信号を切り替えて出力するようになっており、切替回路より出力される映像信号を、当該映像信号を出力しているカメラ毎に、順次、ライン単位で切り替えながら記憶媒体に取り込む記憶制御手段と、を備えたことを特徴としている。
【００１１】
このような構成によれば、切替回路は、水平同期信号検出手段により水平同期信号が検出され、再度、水平同期信号が検出される度に、順次、映像信号を切り替えて出力するようになっており、切替回路より出力される映像信号を、当該映像信号を出力しているカメラ毎に、順次、ライン単位で切り替えながら記憶媒体に取り込み、記憶媒体から映像信号を読み出して表示部に表示させるので、複数のカメラの映像信号を同期させることなく、また、時間的に途切れることなく複数のカメラ映像を表示することができる。
【００１２】
また、請求項２に記載の発明は、記憶制御手段は、水平同期信号検出手段により水平同期信号が検出されると切替回路より出力される映像信号の取り込みを開始し、再度、水平同期信号が検出されると切替回路より出力される映像信号の取り込みを停止するようにして、切替回路より出力される映像信号を、順次、ライン単位で切り替えながら記憶媒体に取り込むことを特徴としている。
【００１３】
このように、記憶制御手段は、水平同期信号検出手段により水平同期信号が検出されると切替回路より出力される映像信号の取り込みを開始し、再度、水平同期信号が検出されると切替回路より出力される映像信号の取り込みを停止するようにして、切替回路より出力される映像信号を、順次、ライン単位で切り替えながら記憶媒体に取り込むことができる。
【図面の簡単な説明】
【００１４】
【図１】本発明の一実施形態に係る映像表示装置の構成を示す図である。
【図２】切替回路による出力信号の切替について説明するための図である。
【図３】各カメラの被写体の様子を示す図である。
【図４】各カメラより出力される映像信号のタイミングについて説明するための図である。
【図５】各カメラ映像における、水平方向および垂直方向のタイミングのずれについて説明するための図である。
【図６】映像信号のメモリへの取り込みについて説明するための図である。
【図７】映像信号を格納するメモリ領域および表示画像について説明するための図である。
【図８】映像表示について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【００１５】
本発明の一実施形態に係る映像表示装置の構成を図１に示す。本映像表示装置は、切替回路１０、ＡＤコンバータ２０、デコーダ３０、フィルタ４０、メモリコントローラ５０、メモリ６０および表示部７０を備えている。本映像表示装置には、車両周辺を撮影する４つのカメラＡ〜ＤからそれぞれＮＴＳＣ方式のアナログ映像信号が入力されるようになっている。なお、カメラＡ〜Ｄより入力されるアナログ映像信号は非同期で入力される。
【００１６】
切替回路１０は、カメラＡ〜Ｄより入力される複数の映像信号から１つを選択して出力する。
【００１７】
ＡＤコンバータ２０は、切替回路１０より出力されるアナログの映像信号をデジタル信号に変換する回路である。
【００１８】
デコーダ３０は、ＡＤコンバータ２０より出力される映像信号をＲ／Ｇ／Ｂデジタル映像信号に変換する回路である。
【００１９】
デコーダ３０は、同期検出回路３０ａを有している。この同期検出回路３０ａは、映像信号から水平同期信号を検出すると水平同期信号を検出したことを示す水平同期検出信号を出力するとともに、映像信号から垂直同期信号を検出すると、垂直同期信号を検出したことを示す垂直同期検出信号を出力する。水平同期信号は、水平方向の走査線の同期を取るためのパルス信号であり、垂直同期信号は、フレームの区切りを示すパルス信号である。
【００２０】
フィルタ４０は、画像補間により画質を向上させるもので、所謂補間フィルタとして構成される。
【００２１】
メモリコントローラ５０は、メモリ６０へのデータの書き込みおよび読み出し等、メモリ６０のインタフェースを統括する回路である。
【００２２】
表示部７０は、液晶等のディスプレイを有し、メモリコントローラ５０から送出される映像信号に応じた映像をディスプレイに表示させる。
【００２３】
切替回路１０には、同期検出回路３０ａより水平同期検出信号が入力されるようになっている。
【００２４】
切替回路１０は、図２に示すように、電源が投入された初期状態では、カメラＡより入力される映像信号を選択して出力し、水平同期検出信号が入力され、再度、水平同期検出信号が入力されると、カメラＢより入力される映像信号を選択して出力する。更に、カメラＢの映像信号を出力した状態で、水平同期検出信号が入力され、再度、水平同期検出信号が入力されると、カメラＣより入力される映像信号を選択して出力する。更に、カメラＣの映像信号を出力した状態で、水平同期検出信号が入力され、再度、水平同期検出信号が入力されると、カメラＤより入力される映像信号を選択して出力する。更に、カメラＤの映像信号を出力した状態で、水平同期検出信号が入力され、再度、水平同期検出信号が入力されると、カメラＡより入力される映像信号を選択して出力する。
【００２５】
このように、切替回路１０は、水平同期検出信号が入力され、再度、水平同期検出信号が入力される度に、順次、映像信号を切り替えて出力するようになっている。
【００２６】
メモリコントローラ５０は、切替回路１０よりＡＤコンバータ２０、デコーダ３０を介して入力される映像信号を、この映像信号を出力しているカメラ毎に、ライン単位で、順次、切り替えながらメモリ６０に取り込むとともに、メモリ６０から映像信号を読み出して表示部７０に表示させる。
【００２７】
次に、切替回路１０より入力される映像信号のメモリ６０への取り込みについて説明する。
【００２８】
まず、カメラＡ〜カメラＤの被写体が、図３に示すようになっているものとする。また、図４に示すように、カメラＡ〜カメラＤより出力される映像信号は同期していない。
【００２９】
このため、図５に示すように、カメラＡの映像を基準とすると、カメラＢ〜カメラＤの映像は、水平方向（図面左右方向）、垂直方向（図面上下方向）のタイミングがすれる。
【００３０】
メモリコントローラ５０は、図２に示したように、切替回路１０より同期検出回路３０ａより出力される水平同期検出信号に従って、順次、切り替えて出力される映像信号を、この映像信号を出力しているカメラ毎に、ライン単位で、順次、切り替えながらメモリ６０に取り込む。
【００３１】
具体的には、図６に示すように、切替回路１０よりカメラＡの映像信号がデコーダ３０に入力され、このカメラＡの映像信号の水平同期信号を検出したことを示す水平同期検出信号が同期検出回路３０ａより出力されると、カメラＡの映像信号のメモリ６０への取り込みを開始する（Ａ−１）。
【００３２】
そして、再度、カメラＡの映像信号の水平同期信号を検出したことを示す水平同期検出信号が同期検出回路３０ａより出力されると、カメラＡの映像信号のメモリ６０への取り込みを停止する（Ａ−２）。この水平同期検出信号により切替回路１０より出力される映像信号がカメラＡのものからカメラＢのものへと切り替わる。
【００３３】
メモリコントローラ５０は、カメラＡの映像信号の水平同期信号を検出したことを示す水平同期検出信号が同期検出回路３０ａより出力されるまで待機した後、水平同期検出信号の入力に応じてカメラＢの映像信号のメモリ６０への取り込みを開始する（Ｂ−１）。
【００３４】
そして、再度、カメラＢの映像信号の水平同期信号を検出したことを示す水平同期検出信号が同期検出回路３０ａより出力されると、カメラＢの映像信号のメモリ６０への取り込みを停止する（Ｂ−２）。この水平同期検出信号により切替回路１０より出力される映像信号がカメラＢのものからカメラＣのものへと切り替わる。
【００３５】
メモリコントローラ５０は、カメラＣの映像信号の水平同期信号を検出したことを示す水平同期検出信号が同期検出回路３０ａより出力されるまで待機した後、水平同期検出信号の入力に応じてカメラＣの映像信号のメモリ６０への取り込みを開始する（Ｃ−１）。
【００３６】
そして、再度、カメラＣの映像信号の水平同期信号を検出したことを示す水平同期検出信号が同期検出回路３０ａより出力されると、カメラＣの映像信号のメモリ６０への取り込みを停止する（Ｃ−２）。なお、この水平同期検出信号により切替回路１０より出力される映像信号がカメラＣのものからカメラＤのものへと切り替わる。
【００３７】
メモリコントローラ５０は、カメラＤの映像信号の水平同期信号を検出したことを示す水平同期検出信号が同期検出回路３０ａより出力されるまで待機した後、水平同期検出信号の入力に応じてカメラＤの映像信号のメモリ６０への取り込みを開始する（Ｄ−１）。
【００３８】
そして、再度、カメラＤの映像信号の水平同期信号を検出したことを示す水平同期検出信号が同期検出回路３０ａより出力されると、カメラＤの映像信号のメモリ６０への取り込みを停止する（Ｄ−２）。なお、この水平同期検出信号により切替回路１０よりカメラＡＤの映像信号が出力されるようになる。
【００３９】
メモリコントローラ５０は、カメラＡの映像信号の水平同期信号を検出したことを示す水平同期検出信号が同期検出回路３０ａより出力されるまで待機した後、水平同期検出信号の入力に応じてカメラＡの映像信号のメモリ６０への取り込みを開始する（Ａ−３）。
【００４０】
このような処理を繰り返し実施して、切替回路１０より出力される映像信号が、この映像信号を出力しているカメラ毎に、順次、ライン単位で切り替えながらメモリ６０に取り込まれる。すなわち、図６中の網掛けで示される部分がメモリ６０に取り込まれる。
【００４１】
また、メモリコントローラ５０は、同期検出回路３０ａからの垂直同期検出信号に基づいてカメラＡ〜カメラＤより出力される各映像信号のフィールドの切り替わりを認識し、切替回路１０より出力される映像信号を、フィールド毎に取り込む。
【００４２】
図７に示すように、カメラＡ〜カメラＤより出力される映像信号は、別々のメモリ領域にフィールド毎に取り込まれる。すなわち、カメラＡの映像信号はカメラＡに割り当てられたメモリ領域（アドレスＡｋを先頭アドレスとするメモリ領域）に取り込まれ、カメラＢの映像信号はカメラＢに割り当てられたメモリ領域（アドレスＢｎを先頭アドレスとするメモリ領域）に取り込まれ、カメラＣの映像信号はカメラＣに割り当てられたメモリ領域（アドレスＣｌを先頭アドレスとするメモリ領域）に取り込まれ、カメラＤの映像信号はカメラＤに割り当てられたメモリ領域（アドレスＤｍ）を先頭アドレスとするメモリ領域）に取り込まれる。
【００４３】
このようにして、メモリ６０には、水平同期、垂直同期の各タイミングが補正された状態で、各カメラＡ〜Ｄの映像データが格納される。
【００４４】
メモリコントローラ５０は、メモリ６０に格納された映像データを、予め定められた先頭アドレス（例えば、カメラＡの映像データはアドレスＡｋ、カメラＢの映像データはアドレスＢｎ、カメラＣの映像データはアドレスＣｌ、カメラＢの映像データはアドレスＤｍ）を指定して、読み出すことができる。
【００４５】
メモリ６０に取り込んだ映像信号に基づいて表示部７０に表示される表示映像は、図７に示されたようなものとなる。すなわち、分解能はある程度低下するものの、時間的に途切れることなく映像を表示することができる。
【００４６】
例えば、車両前方を撮影するカメラを含む４つのカメラを接続し、４つのカメラ画像をフィールド単位で間引くようにして、１５フィールド／秒でカメラ画像をメモリに取り込むような構成とした場合、図８（ａ）に示すように、映像の更新間隔が長くなるため、車両前方のカメラで撮影された画像に含まれる歩行者が時間的に途切れて表示される。
【００４７】
これに対し、本映像表示装置のように、ライン単位で切り替えながらも６０フィールド／秒でカメラ映像をメモリに取り込む構成では、図８（ｂ）に示すように、画質は劣化するものの連続的に表示される。
【００４８】
上記した構成によれば、切替回路１０は、同期信号検出手段３０ａにより水平同期信号が検出され、再度、水平同期信号が検出される度に、順次、映像信号を切り替えて出力するようになっており、切替回路１０より出力される映像信号を、当該映像信号を出力しているカメラ毎に、順次、ライン単位で切り替えながらメモリ６０に取り込み、メモリ６０から映像信号を読み出して表示部７０に表示させるので、複数のカメラの映像信号を同期させることなく、また、時間的に途切れることなく複数のカメラ映像を表示することができる。
【００４９】
具体的には、メモリコントローラ５０は、水平同期信号検出回路３０ａにより水平同期信号が検出されると切替回路１０より出力される映像信号の取り込みを開始し、再度、水平同期信号が検出されると切替回路１０より出力される映像信号の取り込みを停止するようにして、切替回路１０より出力される映像信号を、順次、ライン単位で切り替えながらメモリ６０に取り込むことができる。
【００５０】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々なる形態で実施することができる。
【００５１】
例えば、上記実施形態では、車両周辺を撮影する４つのカメラＡ〜Ｄからアナログ映像信号が入力される例を示したが、上記した技術は車両周辺を撮影するカメラ以外の用途に適用することもできる。また、カメラの台数も、４つに限定されるものではない。
【００５２】
また、上記実施形態では、フィルタ４０により画像補間を行う構成を示したが、例えば、デコーダ３０より出力される映像信号にスケーリング補間を施すスケーリング処理回路を備えるように構成してもよい。また、メモリ６０からデータを読み出す際に、フィルタによる画像補間を実施するように構成したり、スケーリング処理回路によるスケーリング補間を実施するように構成してもよい。
【００５３】
なお、上記実施形態における構成と特許請求の範囲の構成との対応関係について説明すると、メモリ６０が記憶媒体に相当し、同期検出回路３０ａが水平同期信号検出手段に相当し、メモリコントローラ５０が切替回路１０より出力される映像信号を、当該映像信号を出力しているカメラ毎に、順次、ライン単位で切り替えながらメモリ６０に取り込む処理が記憶制御手段に相当する。
【符号の説明】
【００５４】
１０ 切替回路
２０ ＡＤコンバータ
３０ デコーダ
３０ａ 同期検出回路
４０ フィルタ
５０ メモリコントローラ
６０ メモリ
７０ 表示部
【技術分野】
【０００１】
本発明は、複数のカメラより入力される複数の映像信号を記憶媒体に取り込むとともに当該記憶媒体から映像信号を読み出して表示部に表示させる映像表示装置に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
従来、車両や建物の周辺等を監視する監視カメラには、ＮＴＳＣ方式のカメラが多く用いられている。このようなＮＴＳＣ方式のカメラは、６０フィールド／秒で映像が更新されるようになっている。
【０００３】
このようなカメラの画像を取り込む装置として、複数のカメラに垂直同期信号と水平同期信号を供給して、複数のカメラから垂直同期信号と水平同期信号に同期して撮影画像を出力させ、複数のカメラの撮影画像をフィールド単位で間引くようにしてメモリに取り込むようにしたものがある（例えば、特許文献１参照）。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００４】
【特許文献１】特開平１０−１５５１３２号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
しかしながら、上記特許文献１に記載された装置では、垂直同期信号と水平同期信号に同期して画像を出力することができる特殊なカメラを用意する必要があるため高価となってしまう。
【０００６】
また、上記特許文献１に記載された装置のように、複数のカメラ画像をフィールド単位で間引くようにしてメモリに取り込む構成では、例えば、４つのカメラを接続した場合、１５フィールド／秒の画像がメモリに取り込まれることになり、画像の更新間隔が長くなるため、時間的に途切れて表示されるといった問題がある。
【０００７】
例えば、車両前方をカメラで撮影した映像に画像処理を施して、人物や車両の急な飛び出し等を報知するようなシステムでは、表示映像が時間的に途切れてしまうと、報知遅れが生じるため好ましくない。
【０００８】
また、複数のカメラの各々にデコーダＡＤ変換回路とデコーダを別々に設けるように構成すれば、複数のカメラの映像を途切れることなく高画質で表示することが可能であるが、デコーダＡＤ変換回路とデコーダの数が多くなるためシステムが高価となってしまう。
【０００９】
本発明は上記問題に鑑みたもので、複数のカメラの映像信号を同期させることなく、また、時間的に途切れることなく複数のカメラ映像を表示できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【００１０】
上記目的を達成するため、請求項１に記載の発明は、複数のカメラより入力される複数の映像信号を記憶媒体に取り込むとともに当該記憶媒体から映像信号を読み出して表示部に表示させる映像表示装置であって、複数のカメラより入力される複数の映像信号から１つを選択して出力する切替回路と、切替回路より出力される映像信号から水平同期信号を検出すると水平同期検出信号を出力する水平同期信号検出手段と、を備え、切替回路は、水平同期信号検出手段により水平同期信号が検出され、再度、水平同期信号が検出される度に、順次、映像信号を切り替えて出力するようになっており、切替回路より出力される映像信号を、当該映像信号を出力しているカメラ毎に、順次、ライン単位で切り替えながら記憶媒体に取り込む記憶制御手段と、を備えたことを特徴としている。
【００１１】
このような構成によれば、切替回路は、水平同期信号検出手段により水平同期信号が検出され、再度、水平同期信号が検出される度に、順次、映像信号を切り替えて出力するようになっており、切替回路より出力される映像信号を、当該映像信号を出力しているカメラ毎に、順次、ライン単位で切り替えながら記憶媒体に取り込み、記憶媒体から映像信号を読み出して表示部に表示させるので、複数のカメラの映像信号を同期させることなく、また、時間的に途切れることなく複数のカメラ映像を表示することができる。
【００１２】
また、請求項２に記載の発明は、記憶制御手段は、水平同期信号検出手段により水平同期信号が検出されると切替回路より出力される映像信号の取り込みを開始し、再度、水平同期信号が検出されると切替回路より出力される映像信号の取り込みを停止するようにして、切替回路より出力される映像信号を、順次、ライン単位で切り替えながら記憶媒体に取り込むことを特徴としている。
【００１３】
このように、記憶制御手段は、水平同期信号検出手段により水平同期信号が検出されると切替回路より出力される映像信号の取り込みを開始し、再度、水平同期信号が検出されると切替回路より出力される映像信号の取り込みを停止するようにして、切替回路より出力される映像信号を、順次、ライン単位で切り替えながら記憶媒体に取り込むことができる。
【図面の簡単な説明】
【００１４】
【図１】本発明の一実施形態に係る映像表示装置の構成を示す図である。
【図２】切替回路による出力信号の切替について説明するための図である。
【図３】各カメラの被写体の様子を示す図である。
【図４】各カメラより出力される映像信号のタイミングについて説明するための図である。
【図５】各カメラ映像における、水平方向および垂直方向のタイミングのずれについて説明するための図である。
【図６】映像信号のメモリへの取り込みについて説明するための図である。
【図７】映像信号を格納するメモリ領域および表示画像について説明するための図である。
【図８】映像表示について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【００１５】
本発明の一実施形態に係る映像表示装置の構成を図１に示す。本映像表示装置は、切替回路１０、ＡＤコンバータ２０、デコーダ３０、フィルタ４０、メモリコントローラ５０、メモリ６０および表示部７０を備えている。本映像表示装置には、車両周辺を撮影する４つのカメラＡ〜ＤからそれぞれＮＴＳＣ方式のアナログ映像信号が入力されるようになっている。なお、カメラＡ〜Ｄより入力されるアナログ映像信号は非同期で入力される。
【００１６】
切替回路１０は、カメラＡ〜Ｄより入力される複数の映像信号から１つを選択して出力する。
【００１７】
ＡＤコンバータ２０は、切替回路１０より出力されるアナログの映像信号をデジタル信号に変換する回路である。
【００１８】
デコーダ３０は、ＡＤコンバータ２０より出力される映像信号をＲ／Ｇ／Ｂデジタル映像信号に変換する回路である。
【００１９】
デコーダ３０は、同期検出回路３０ａを有している。この同期検出回路３０ａは、映像信号から水平同期信号を検出すると水平同期信号を検出したことを示す水平同期検出信号を出力するとともに、映像信号から垂直同期信号を検出すると、垂直同期信号を検出したことを示す垂直同期検出信号を出力する。水平同期信号は、水平方向の走査線の同期を取るためのパルス信号であり、垂直同期信号は、フレームの区切りを示すパルス信号である。
【００２０】
フィルタ４０は、画像補間により画質を向上させるもので、所謂補間フィルタとして構成される。
【００２１】
メモリコントローラ５０は、メモリ６０へのデータの書き込みおよび読み出し等、メモリ６０のインタフェースを統括する回路である。
【００２２】
表示部７０は、液晶等のディスプレイを有し、メモリコントローラ５０から送出される映像信号に応じた映像をディスプレイに表示させる。
【００２３】
切替回路１０には、同期検出回路３０ａより水平同期検出信号が入力されるようになっている。
【００２４】
切替回路１０は、図２に示すように、電源が投入された初期状態では、カメラＡより入力される映像信号を選択して出力し、水平同期検出信号が入力され、再度、水平同期検出信号が入力されると、カメラＢより入力される映像信号を選択して出力する。更に、カメラＢの映像信号を出力した状態で、水平同期検出信号が入力され、再度、水平同期検出信号が入力されると、カメラＣより入力される映像信号を選択して出力する。更に、カメラＣの映像信号を出力した状態で、水平同期検出信号が入力され、再度、水平同期検出信号が入力されると、カメラＤより入力される映像信号を選択して出力する。更に、カメラＤの映像信号を出力した状態で、水平同期検出信号が入力され、再度、水平同期検出信号が入力されると、カメラＡより入力される映像信号を選択して出力する。
【００２５】
このように、切替回路１０は、水平同期検出信号が入力され、再度、水平同期検出信号が入力される度に、順次、映像信号を切り替えて出力するようになっている。
【００２６】
メモリコントローラ５０は、切替回路１０よりＡＤコンバータ２０、デコーダ３０を介して入力される映像信号を、この映像信号を出力しているカメラ毎に、ライン単位で、順次、切り替えながらメモリ６０に取り込むとともに、メモリ６０から映像信号を読み出して表示部７０に表示させる。
【００２７】
次に、切替回路１０より入力される映像信号のメモリ６０への取り込みについて説明する。
【００２８】
まず、カメラＡ〜カメラＤの被写体が、図３に示すようになっているものとする。また、図４に示すように、カメラＡ〜カメラＤより出力される映像信号は同期していない。
【００２９】
このため、図５に示すように、カメラＡの映像を基準とすると、カメラＢ〜カメラＤの映像は、水平方向（図面左右方向）、垂直方向（図面上下方向）のタイミングがすれる。
【００３０】
メモリコントローラ５０は、図２に示したように、切替回路１０より同期検出回路３０ａより出力される水平同期検出信号に従って、順次、切り替えて出力される映像信号を、この映像信号を出力しているカメラ毎に、ライン単位で、順次、切り替えながらメモリ６０に取り込む。
【００３１】
具体的には、図６に示すように、切替回路１０よりカメラＡの映像信号がデコーダ３０に入力され、このカメラＡの映像信号の水平同期信号を検出したことを示す水平同期検出信号が同期検出回路３０ａより出力されると、カメラＡの映像信号のメモリ６０への取り込みを開始する（Ａ−１）。
【００３２】
そして、再度、カメラＡの映像信号の水平同期信号を検出したことを示す水平同期検出信号が同期検出回路３０ａより出力されると、カメラＡの映像信号のメモリ６０への取り込みを停止する（Ａ−２）。この水平同期検出信号により切替回路１０より出力される映像信号がカメラＡのものからカメラＢのものへと切り替わる。
【００３３】
メモリコントローラ５０は、カメラＡの映像信号の水平同期信号を検出したことを示す水平同期検出信号が同期検出回路３０ａより出力されるまで待機した後、水平同期検出信号の入力に応じてカメラＢの映像信号のメモリ６０への取り込みを開始する（Ｂ−１）。
【００３４】
そして、再度、カメラＢの映像信号の水平同期信号を検出したことを示す水平同期検出信号が同期検出回路３０ａより出力されると、カメラＢの映像信号のメモリ６０への取り込みを停止する（Ｂ−２）。この水平同期検出信号により切替回路１０より出力される映像信号がカメラＢのものからカメラＣのものへと切り替わる。
【００３５】
メモリコントローラ５０は、カメラＣの映像信号の水平同期信号を検出したことを示す水平同期検出信号が同期検出回路３０ａより出力されるまで待機した後、水平同期検出信号の入力に応じてカメラＣの映像信号のメモリ６０への取り込みを開始する（Ｃ−１）。
【００３６】
そして、再度、カメラＣの映像信号の水平同期信号を検出したことを示す水平同期検出信号が同期検出回路３０ａより出力されると、カメラＣの映像信号のメモリ６０への取り込みを停止する（Ｃ−２）。なお、この水平同期検出信号により切替回路１０より出力される映像信号がカメラＣのものからカメラＤのものへと切り替わる。
【００３７】
メモリコントローラ５０は、カメラＤの映像信号の水平同期信号を検出したことを示す水平同期検出信号が同期検出回路３０ａより出力されるまで待機した後、水平同期検出信号の入力に応じてカメラＤの映像信号のメモリ６０への取り込みを開始する（Ｄ−１）。
【００３８】
そして、再度、カメラＤの映像信号の水平同期信号を検出したことを示す水平同期検出信号が同期検出回路３０ａより出力されると、カメラＤの映像信号のメモリ６０への取り込みを停止する（Ｄ−２）。なお、この水平同期検出信号により切替回路１０よりカメラＡＤの映像信号が出力されるようになる。
【００３９】
メモリコントローラ５０は、カメラＡの映像信号の水平同期信号を検出したことを示す水平同期検出信号が同期検出回路３０ａより出力されるまで待機した後、水平同期検出信号の入力に応じてカメラＡの映像信号のメモリ６０への取り込みを開始する（Ａ−３）。
【００４０】
このような処理を繰り返し実施して、切替回路１０より出力される映像信号が、この映像信号を出力しているカメラ毎に、順次、ライン単位で切り替えながらメモリ６０に取り込まれる。すなわち、図６中の網掛けで示される部分がメモリ６０に取り込まれる。
【００４１】
また、メモリコントローラ５０は、同期検出回路３０ａからの垂直同期検出信号に基づいてカメラＡ〜カメラＤより出力される各映像信号のフィールドの切り替わりを認識し、切替回路１０より出力される映像信号を、フィールド毎に取り込む。
【００４２】
図７に示すように、カメラＡ〜カメラＤより出力される映像信号は、別々のメモリ領域にフィールド毎に取り込まれる。すなわち、カメラＡの映像信号はカメラＡに割り当てられたメモリ領域（アドレスＡｋを先頭アドレスとするメモリ領域）に取り込まれ、カメラＢの映像信号はカメラＢに割り当てられたメモリ領域（アドレスＢｎを先頭アドレスとするメモリ領域）に取り込まれ、カメラＣの映像信号はカメラＣに割り当てられたメモリ領域（アドレスＣｌを先頭アドレスとするメモリ領域）に取り込まれ、カメラＤの映像信号はカメラＤに割り当てられたメモリ領域（アドレスＤｍ）を先頭アドレスとするメモリ領域）に取り込まれる。
【００４３】
このようにして、メモリ６０には、水平同期、垂直同期の各タイミングが補正された状態で、各カメラＡ〜Ｄの映像データが格納される。
【００４４】
メモリコントローラ５０は、メモリ６０に格納された映像データを、予め定められた先頭アドレス（例えば、カメラＡの映像データはアドレスＡｋ、カメラＢの映像データはアドレスＢｎ、カメラＣの映像データはアドレスＣｌ、カメラＢの映像データはアドレスＤｍ）を指定して、読み出すことができる。
【００４５】
メモリ６０に取り込んだ映像信号に基づいて表示部７０に表示される表示映像は、図７に示されたようなものとなる。すなわち、分解能はある程度低下するものの、時間的に途切れることなく映像を表示することができる。
【００４６】
例えば、車両前方を撮影するカメラを含む４つのカメラを接続し、４つのカメラ画像をフィールド単位で間引くようにして、１５フィールド／秒でカメラ画像をメモリに取り込むような構成とした場合、図８（ａ）に示すように、映像の更新間隔が長くなるため、車両前方のカメラで撮影された画像に含まれる歩行者が時間的に途切れて表示される。
【００４７】
これに対し、本映像表示装置のように、ライン単位で切り替えながらも６０フィールド／秒でカメラ映像をメモリに取り込む構成では、図８（ｂ）に示すように、画質は劣化するものの連続的に表示される。
【００４８】
上記した構成によれば、切替回路１０は、同期信号検出手段３０ａにより水平同期信号が検出され、再度、水平同期信号が検出される度に、順次、映像信号を切り替えて出力するようになっており、切替回路１０より出力される映像信号を、当該映像信号を出力しているカメラ毎に、順次、ライン単位で切り替えながらメモリ６０に取り込み、メモリ６０から映像信号を読み出して表示部７０に表示させるので、複数のカメラの映像信号を同期させることなく、また、時間的に途切れることなく複数のカメラ映像を表示することができる。
【００４９】
具体的には、メモリコントローラ５０は、水平同期信号検出回路３０ａにより水平同期信号が検出されると切替回路１０より出力される映像信号の取り込みを開始し、再度、水平同期信号が検出されると切替回路１０より出力される映像信号の取り込みを停止するようにして、切替回路１０より出力される映像信号を、順次、ライン単位で切り替えながらメモリ６０に取り込むことができる。
【００５０】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々なる形態で実施することができる。
【００５１】
例えば、上記実施形態では、車両周辺を撮影する４つのカメラＡ〜Ｄからアナログ映像信号が入力される例を示したが、上記した技術は車両周辺を撮影するカメラ以外の用途に適用することもできる。また、カメラの台数も、４つに限定されるものではない。
【００５２】
また、上記実施形態では、フィルタ４０により画像補間を行う構成を示したが、例えば、デコーダ３０より出力される映像信号にスケーリング補間を施すスケーリング処理回路を備えるように構成してもよい。また、メモリ６０からデータを読み出す際に、フィルタによる画像補間を実施するように構成したり、スケーリング処理回路によるスケーリング補間を実施するように構成してもよい。
【００５３】
なお、上記実施形態における構成と特許請求の範囲の構成との対応関係について説明すると、メモリ６０が記憶媒体に相当し、同期検出回路３０ａが水平同期信号検出手段に相当し、メモリコントローラ５０が切替回路１０より出力される映像信号を、当該映像信号を出力しているカメラ毎に、順次、ライン単位で切り替えながらメモリ６０に取り込む処理が記憶制御手段に相当する。
【符号の説明】
【００５４】
１０ 切替回路
２０ ＡＤコンバータ
３０ デコーダ
３０ａ 同期検出回路
４０ フィルタ
５０ メモリコントローラ
６０ メモリ
７０ 表示部
【特許請求の範囲】
【請求項１】
複数のカメラより入力される複数の映像信号を記憶媒体に取り込むとともに当該記憶媒体から前記映像信号を読み出して表示部に表示させる映像表示装置であって、
前記複数のカメラより入力される前記複数の映像信号から１つを選択して出力する切替回路と、
前記切替回路より出力される映像信号から水平同期信号を検出すると水平同期検出信号を出力する水平同期信号検出手段と、を備え、
前記切替回路は、前記水平同期信号検出手段により前記水平同期信号が検出され、再度、前記水平同期信号が検出される度に、順次、前記映像信号を切り替えて出力するようになっており、
前記切替回路より出力される前記映像信号を、当該映像信号を出力しているカメラ毎に、順次、ライン単位で切り替えながら前記記憶媒体に取り込む記憶制御手段と、を備えたことを特徴とする映像表示装置。
【請求項２】
前記記憶制御手段は、前記水平同期信号検出手段により前記水平同期信号が検出されると前記切替回路より出力される前記映像信号の取り込みを開始し、再度、前記水平同期信号が検出されると前記切替回路より出力される前記映像信号の取り込みを停止するようにして、前記切替回路より出力される前記映像信号を、順次、ライン単位で切り替えながら前記記憶媒体に取り込むことを特徴とする請求項１に記載の映像表示装置。
【請求項１】
複数のカメラより入力される複数の映像信号を記憶媒体に取り込むとともに当該記憶媒体から前記映像信号を読み出して表示部に表示させる映像表示装置であって、
前記複数のカメラより入力される前記複数の映像信号から１つを選択して出力する切替回路と、
前記切替回路より出力される映像信号から水平同期信号を検出すると水平同期検出信号を出力する水平同期信号検出手段と、を備え、
前記切替回路は、前記水平同期信号検出手段により前記水平同期信号が検出され、再度、前記水平同期信号が検出される度に、順次、前記映像信号を切り替えて出力するようになっており、
前記切替回路より出力される前記映像信号を、当該映像信号を出力しているカメラ毎に、順次、ライン単位で切り替えながら前記記憶媒体に取り込む記憶制御手段と、を備えたことを特徴とする映像表示装置。
【請求項２】
前記記憶制御手段は、前記水平同期信号検出手段により前記水平同期信号が検出されると前記切替回路より出力される前記映像信号の取り込みを開始し、再度、前記水平同期信号が検出されると前記切替回路より出力される前記映像信号の取り込みを停止するようにして、前記切替回路より出力される前記映像信号を、順次、ライン単位で切り替えながら前記記憶媒体に取り込むことを特徴とする請求項１に記載の映像表示装置。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【公開番号】特開２０１２−１８６６９３（Ｐ２０１２−１８６６９３Ａ）
【公開日】平成２４年９月２７日（２０１２．９．２７）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１１−４８９３４（Ｐ２０１１−４８９３４）
【出願日】平成２３年３月７日（２０１１．３．７）
【出願人】（０００００４２６０）株式会社デンソー (27,639)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２４年９月２７日（２０１２．９．２７）
【国際特許分類】
【出願日】平成２３年３月７日（２０１１．３．７）
【出願人】（０００００４２６０）株式会社デンソー (27,639)
【Ｆターム（参考）】
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