説明

時分割多重信号を交換するために分割および再組み立て(SAR)機能を用いるスケーラブルなネットワーク要素

適度な機器コストでより高容量を可能にする、伝送網で時分割多重信号を交換するためのネットワーク要素を提供するために、ネットワーク要素は、いくつかの入力ポート(I;IO1−IO8)と、いくつかの出力ポート(O;IO1−IO8)と、入力ポートと出力ポート(IO1−IO8)を相互に接続するスイッチファブリック(SF;58)とを有する。スイッチファブリック(SF;58)は、セルのセルヘッダに含まれているアドレスに基づいて固定長のセルを交換するように構成された1つまたは複数のスイッチモジュール(SE1−SEn)を含むセルベースのスイッチである。入力ポート(I)は、入力時分割多重信号を分割して固定長のセルにし、各セルにアドレス情報を割り当てるための分割装置(11)を含む。出力ポート(O)は、上記スイッチファブリック(SF;58)から受信したセルを再組み立てして出力時分割多重信号にするための再組み立て装置(14)を含む。アドレス情報は、ファブリックアドレス(H1、H2)およびTDMアドレス(P0、P1)を含む。スイッチファブリックは、ファブリックアドレス(H1、H2)に従ってセルを対応する出力ポート(O)に交換し、再組み立て装置(14)は、TDMアドレス(P0、P1)に従ってセルを再組み立てする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気通信の分野に関し、より詳細には、伝送網において時分割多重信号を交換するためのネットワーク要素および関連する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
WO03/013061は、パケットサービスの交換システムについて記載しており、このシステムではパケットが同じ長さのセルに分割され、各セルにはアドレス情報が付加され、このアドレス情報がスイッチファブリックによって使用されて出力ポートを決定し、出力側でパケットを適切に再組み立てする。
【0003】
WO93/05596は、非同期転送モードのネットワークにおける適応型輻輳制御について記載している。分割通信ユニットが、ATM網を通じた伝送のために複数のチャネルに対して同時にパケットを複数のセルに分割する。再組み立て通信ユニットが、複数のチャネルに対して同時に、ATM網から受信したセルを再組み立てする。分割および再組み立てにはパイプライン処理装置が使用される。
【0004】
米国特許第7,286,566号は、ルータまたはスイッチの中のラインカードで、それぞれパケットまたはセルの交換に使用する、マルチサービスの分割および再組み立て集積回路について記載している。
【0005】
パケット交換サービスは現在増えつつあるが、伝送網は今日依然として、SDH(Synchronous Digital Hierarchy、同期デジタル階層)のような回線交換技術に主に依存しており、一定のレートの伝送信号が、時分割多重サブレート信号を伝送する。ペイロード信号が、SDHでは仮想コンテナと呼ばれる多重単位にマッピングされる。多重単位がネットワークを介したエンドツーエンドのパスを表し、パスと共に、連続するすべての伝送フレーム中の同じ相対位置にある対応する多重単位を半永久的に交換するようにネットワーク要素を設定することによって、ネットワークにおけるコネクションが確立される。
【0006】
ネットワーク要素は、例えば挿入/分岐多重化装置およびデジタルクロスコネクトである。このようなネットワーク要素は、I/O(入力/出力)ポートおよびI/Oポートを相互に接続するスイッチマトリクスを含む。ネットワークにおいてパスを確立するために多重単位のレベルで行われる必要があるスイッチ機能は、空間領域と時間領域の両方において、すなわち異なるI/Oポート間および異なるタイムスロット位置間で交換することを含む。一般に、伝送信号は、入力ポートにおいてタイミング再生および整列され、スイッチ機能は、あらかじめ設定された相互接続マップに従って共通のシステムクロックと同期して整列された信号のタイムスロットで行われる。
【0007】
米国特許第6,714,537号は、SONET網のスイッチ要素について記載しており、これは、接続表に従って入力ポートと出力ポートとの間で接続を交換するように静的に構成されたスイッチマトリクスを含む。第1の構成から第2の構成にわたる迅速な交換を容易にするために、スイッチ要素は2つの表を有するが、スイッチマトリクスは依然として、第1の表に格納されたそのときのスイッチ構成データに従って構成されたままであり、スイッチ構成更新データは他方の表に与えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第03/013061号
【特許文献2】国際公開第93/05596号
【特許文献3】米国特許第7,286,566号明細書
【特許文献4】米国特許第6,714,537号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
今日のネットワークではトラフィック需要が絶えず増大しており、一度に多くのトラフィック信号を交換することができるネットワーク要素の必要性がある。一方で、ネットワーク要素は安価で小型になり、かつ消費電力は下がるものとする。
【0010】
今日、ネットワーク要素は、I/Oおよびスイッチ機能に専用の集積回路を使用して構成される。一般に半導体技術は、各技術世代に対してより高度な集積を可能にするが、さらに高容量かつ高集積へネットワーク要素を進化させるには、その集積回路を完全に再設計する必要がある。このようなネットワーク要素は高度に専門化された機器であるので、程々の数量でしか製造されず、このような再設計は、実質的に機器コストを高くする原因となる。
【0011】
したがって、適度な機器コストでより高容量を可能にする、伝送網において時分割多重信号を交換するネットワーク要素および関連する方法を提供することが、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
以下に記載するこうした目的および他の目的は、いくつかの入力ポートと、いくつかの出力ポートと、入力ポートおよび出力ポートを相互に接続するスイッチファブリックとを有する時分割多重信号を交換するためのネットワーク要素によって達成される。スイッチングファブリックは、セルのセルヘッダに含まれるアドレスに基づいて固定長のセルを交換するように構成された1つまたは複数のスイッチモジュールを含むセルベースのスイッチである。入力ポートは、入力時分割多重信号を固定長のセルに分割して、各セルにアドレス情報を割り当てるための分割装置を含む。出力ポートは、上記スイッチファブリックから受信したセルを再組み立てして出力時分割多重信号にするための再組み立て装置を含む。アドレス情報は、ファブリックアドレスおよびTDMアドレスを含む。スイッチファブリックは、ファブリックアドレスに従ってセルを対応する出力ポートに交換し、再組み立て装置は、TDMアドレスに従ってセルを再組み立てする。
【0013】
次に、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】セルベースのスイッチファブリックを使用したネットワーク要素の構造を示す図である。
【図2】図1のネットワーク要素の中の内部信号構造を示す図である。
【図3】図1のネットワーク要素の中のセル構造を示す図である。
【図4】4レーン幅パラレルインタフェースを通じて送信されるセル構造を示す図である。
【図5】図1のネットワークで使用されるラインカードのブロック図である。
【図6】図3のセル構造の変形を示す図である。
【図7】STS−1マルチフレームを図6に示すセル構造を有するセルに分割した図である。
【図8】図1のネットワーク要素のコントローラおよびその機能をより詳細に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
ネットワーク要素の一実施形態を図1に示す。このネットワーク要素は、いくつかの入力ポートおよび出力ポートを含む。簡単にするために、ただ1つの入力ポートIを示し、ただ1つの出力ポートOを示す。入力ポートおよび出力ポートは、ラインカードTIO上に配置される。ラインカードは、受信機能RXおよび送信機能TXを含む。図では、ただ1つの受信機能RX−TIOおよびただ1つの送信機能TX−TIOを示す。しかしながら、実際の応用におけるネットワーク要素が、例えば好ましい実施形態では32のラインカードなど、いくつかのラインカードを有することは明らかである。さらに、各ラインカードは、2つ以上の入力ポートおよび対応する出力ポートを提供することができる。好ましい実施形態では、各ラインカードは、10Gb/sTDM信号に8つの入力ポートおよび対応する8つの出力ポートを有する。合計では、これが2.5Tb/sのシステム容量になる。
【0016】
ラインカードは、いくつかのスイッチモジュールSE1−SEnから構築されたスイッチファブリックSFに接続される。これらのモジュールSE1−SEnは、全二重の交換容量を有するセルフルーティングスイッチ要素であり、固定サイズのセルの交換をサポートする。このようなスイッチモジュールは市販されており、一般にイーサネット(登録商標)トラフィックの交換または他の種類のパケット交換トラフィックに使用される。このようなスイッチモジュールは、比較的大量に製造される汎用部品である。TDM用途にこれらの装置を再利用することにより、適度な価格で最高レベルの集積を有する最新技術を利用した大規模ネットワーク要素を構築することができる。
【0017】
2.5Tb/sのシステム容量を有する好ましい実施形態では、スイッチファブリックSFは、5つのファブリックカード上に配置された20個のスイッチモジュールと、機器を保護する目的で3つのファブリックボード上に配置されたさらに12個のスイッチモジュールを含む。各スイッチモジュールは、6.25Gb/sで64×64ラインのスイッチ容量を有する。この選択および寸法は一例にすぎず、必要に応じて、また利用できる構成要素に応じて拡大、縮小することができると理解されたい。
【0018】
ラインカードTIOは、TDMフレーマ10、分割および再組み立て(SAR)機能のモジュール11、およびマトリクスアダプタ(MA)12を含む。受信方向(入口側)では、TDMフレーマ10は受信した伝送信号の伝送オーバヘッドを終端させる。さらにフレーマは、受信した信号のタイミング再生およびアライメント機能も行う。SARモジュール11は、受信したTDM信号中のタイムスロットから多重単位を取り出し、これらをセル形式に変換する。またSARモジュールは、以下に説明するようにアドレス情報を含むセルヘッダを各セルに挿入する。マトリクスアダプタ12は、スイッチファブリックSFのスイッチ要素SE1−SEnにセルを分配し、またスケジューリングおよびトラフィック整形のためのトラフィックマネージャを収容している。このようなマトリクスアダプタもまた、イーサネットまたはパケット交換用途で使用されるように市販されている。
【0019】
さらに、ネットワーク要素は、TDMシェルフコントローラTSCを含み、これを介してラインカードは、以下により詳細に説明するように構成されることが可能である。またシェルフコントローラは、TDMフレーマで終端されたオーバヘッド情報を受信する。
【0020】
ラインカードの送信側(出口側)TIO−TXは、図1の右側に示す。送信方向では、マトリクスアダプタ13が、スイッチマトリクスSMからセルを受信し、これらを順序づけて、SARモジュール14に送り込む。SARモジュールは、受信したセルから有用なデータを取り出し、これらを多重単位に再組み立てする。TDMフレーマ15が、この多重単位を新しく作成したTDMフレームにマッピングしてその先の送信に備える。
【0021】
前述のように、図1の信号フローは、左から右へ向かっている。同じ長さのフレームに構成されたTDMライン信号が、入力ポートIで受信される。この実施形態では、ライン信号は、10Gbit/sの容量を有するSTM64信号であることが可能である。STM64フレームは、64の高次多重単位VC−4を含む。あるいは、4×STM16または16×STM4、またはその組み合わせの多重化されたライン信号を使用することができる。さらに、STS−192に相当するSONETは、同様にライン信号として使用されることが可能である。いずれの場合にも、交換粒度はSTS−1として選択され、これは1/3STM1に対応する。しかしながらこれは、内部交換実体(internal switching entity)にすぎず、交換の前にフレーム処理が行われて、例えばSTM1が3つの独立したSTS−1として交換できるようにする。実際のフレーム処理は、TDMフレーマ10によって行われ、TDMフレーマは、STM64フレームのセクションオーバヘッドを終端し、そのAUポインタを処理する。
【0022】
図2に信号構造を概略的に示す。TDMフレーマ10の出力は連続ビットストリームであり、さらにフレームに構築されるが、ローカルクロックに同期され、フレームヘッダ(セクションオーバヘッド)が取り出される。多重単位は、各フレーム内の固定タイムスロットに見つけられることになる。SARモジュール11は、このタイムスロットから多重単位を取り出し、ビットストリームを60Bのペイロードセルに分割することによって、これらをセル形式に変換する。SARモジュール11の出力は、60Bのペイロード、4Bのアドレスオーバヘッドならびに、フレーミングバイトおよびCRCバイトを含む追加の8Bのセルヘッダを持つセル形式を有する。好ましい実施形態では、10Gイーサネット用途には一般的なチップ間のフォーマットまたはバックプレーンのフォーマットである、改良されたXAUIインタフェース(XAUIは「10ギガビットのアタッチメントユニットインタフェース(attachment unit interface)」を表す)を使用する。SAR11とMA12の間のXAUIインタフェースは、4レーンの幅を有するパラレルインタフェースである。4パラレルレーンにわたるセルバイトの分配を、図4に示す。ここでは8バイトのXAUIセルヘッダは、セルの終わりに位置しており、CRC(cyclic redundancy check)およびフレーミング(/K/、/T/)バイトを含み、これらがセルの終わりを決定する。XAUIまたはその変形は、チップ間インタフェースの1つの可能性にすぎず、インタフェースのフォーマットに基づく他のセルを同様に使用することができると理解されたい。
【0023】
MA12、13とスイッチファブリックSFとの間のインタフェースは、9バイトのセルヘッダを有する固有のインタフェースであり、これはさらに、送信側MA13にセルの順序を管理するタイムスタンプを含む。
【0024】
4Bのアドレスフィールドは、図3により詳細に示すが、2Bのファブリックヘッダと2BのTDMヘッダを含む。ファブリックヘッダは、スイッチファブリックによって調べられる。ファブリックヘッダは、セルが向かう出力ポートを示すアドレスを含む。各ラインカードには8つの出力ポートがあるので、ファブリックヘッダは、宛先MAを識別する11ビットと、その宛先MAによって提供される出力ポートを識別する4ビットを含む。第1のビットは、以下にさらに詳細に説明するように、ユニキャスト接続とマルチキャスト接続を区別するために使用される。ユニキャスト接続の場合には、このビットは「0」に設定される。
【0025】
TDMヘッダは、送信側SARモジュールによって調べられ、また16ビットの出口識別子を含む。最下位8ビット(P1)は、セルが属するタイムスロットを示す。この実施形態のネットワーク要素は、STS−1(Synchronous Transport Signalレベル1)の粒度で交換するので、10G出力信号(STM64またはSTS−192)では192のタイムスロットがある。したがって、8ビットでこれらに十分対処できる(2=256)。最上位8ビット(P0)は、タイムスロットが属する10G信号を識別し、セルのペイロードはこれにマッピングされる必要がある。これは、ファブリックヘッダH1、H2の情報を考えると冗長であるように思われることもあるが、マルチキャスト接続が含まれるとき、例えば保護切り替えのために、システムにおいて信号を明確に識別するのに役立つことがわかる。
【0026】
図1のネットワーク要素のラインカード50を、図5に示す。ラインカード50は、光ファイバリンクを接続するための8つのI/OポートIO1−IO8を含む。各I/OポートIO1−IO8には、シリアライザ/デシリアライザ(Serdes)に接続されたE/O変換器(電気/光)が備えつけてあり、各方向においてシリアルインタフェースとパラレルインタフェースとの間でデータを変換する。ラインカード50はさらに2つのフレーマ回路51a、51bを含み、各フレーマ回路51a、51bは、4つのI/Oポートを提供し、4×10Gの容量を有する。2つのフレーマ回路51a、51bのそれぞれが、同じく40Gの容量を有するSARモジュール52a、52bに接続され、この2つのSARモジュール52a、52bのそれぞれはMA53a、53bに接続する。2つのMA53a、53bは、それぞれ4レーン幅のインタフェースを介してスイッチファブリック58に接続される。ラインカードのすべての機能が双方向性であって、送受信機能を含むことに注意されたい。概略的に示すラインカード50上の相互接続、ならびに外部ファイバの接続は、好ましくは2つの送信方向に対して別個の物理接続として実装される。
【0027】
ラインカード50はさらに、カードコントローラ55を含み、これは、ハブ回路54を介して2つのフレーマ回路51a、51b、およびSARモジュール52a、52bに接続される。ハブ54は、ブリッジとして働き、チップインタフェースの場合、異なるタイプを相互に接続する。カードコントローラ55は、コントローラTSC(図1参照)までLANインタフェース(GE LAN)を有する。ハブ54は、シリアルインタフェースSRIOおよび多重化されたTDMインタフェースのような追加の外部インタフェースを提供する。ラインカード上の集積回路とハブ54との間の制御インタフェースとして、コンパクトPCIインタフェース(cPCI)が機能する。
【0028】
フレーマ回路51a、51bは、受信したライン信号のセクションオーバヘッドを終端させ、ハブ54を介して制御バイトをカードコントローラ55に転送する。カードコントローラ55は、ラインカードを管理し、設定する。しかしながら、シェルフコントローラTSCが、ハブ54の外部インタフェースを介して直接にフレーマおよびSARモジュールを管理し、設定して、カードコントローラ55の機能を引き継ぐことができ、したがってラインカードは、別個のカードコントローラなしで実装されることも可能である。
【0029】
SARは、受信したTDM信号からのタイムスロットを分割してセルにし、ファブリックアドレスおよびTDMアドレスを割り当てる。これらはカードコントローラ55によって、または直接TSCによって設定されたものである。MAは、イーサネット装置では標準的な構成要素であり、セルベースのスイッチファブリック58と協力して、送信側MAへ相互接続機能を提供し、送信側MAは受信したセルを、宛先インタフェースの4ビットに従って適切な出力ポートに分配する。送受信方向のMAおよびスイッチファブリックSFは、したがって3段のスイッチマトリクスとして見られることが可能である。このようなスイッチマトリクスは、システム容量に応じて、3段より多くを有することも可能であると理解されたい。
【0030】
図6は、セルヘッダの形式に関する改良を示す。これは、追加ヘッダのバイトP2を含む。さらにバイトP3は、ペイロードバイトとして、またはヘッダの拡張として使用されることが可能である。バイトP2は、出口同期用の4ビットと、マルチフレーム中のセル番号を示す4ビットとを有する。500μsのマルチフレーム、すなわち4つの連続したSTS−1フレームで、分割が行われる。
【0031】
図5でわかるように、STS−1伝送セル形式は、セルヘッダに通常の5バイトを、ペイロードに59バイトを提供するが、STS−1セルトランスポート内には、6バイトの拡張ヘッダおよび58バイトのペイロードを有するいくつかのセルがある。オーバーヘッドカラム1、2、および3を含む完全なSTS−1フレームが、STS−1セル伝送のペイロードセクションを通って伝送される。STS−1セル伝送は、マルチフレーム構造を有し、マルチフレーム内の正に第1のセルは、常に固定セル位置(P4)でSTS1フレームの開始を伝送する。このセルは、セルヘッダの出口同期セクション内のマーカによって示される。STS−1セル伝送内のマルチフレームの蓄積インターバルの継続時間は、500μsである。この時間間隔の間、4×810バイト=3240バイトが、図7に示すように伝送されることになる。
【0032】
時間領域および空間領域中のTDMサブ信号を1つの入力ポートから1つの出力ポートに交換できるようにする上述のアドレスメカニズムに加えて、さらにこの実施形態のネットワーク要素は、ある入力信号を2つ以上の出力ポートに送信する能力を提供する。このような接続は、マルチキャスト接続と呼ばれる。このため、ファブリックヘッダH1、H2は、15ビットのマルチキャストアドレスに置き換えられ、ファブリックモジュールSE1からSEnおよびMAは、あるマルチキャストアドレスを持つセルを適切な出力ポートに交換するように構成される。このようなマルチキャスト接続は、主として保護切り替えに使用され、この場合入力信号は、冗長リンクを通じて送信される必要がある。マルチキャスト接続の場合は、ファブリックヘッダの第1のビットは「1」に設定される。
【0033】
マルチキャスト交換の例を使用して、図8に示すコントローラの機能および設計についてより詳細に説明する。コントローラTSCは、集信モジュール81と、保護マネージャ82と、データプレーンコントローラまたはネットワーク管理設備と通信するための通信コントローラ86とを含む。これらのモジュールは、FPGA(フィールドゲートプログラマブルアレイ)として実装されることが好ましい。保護マネージャ82は、保護制御ブロック83と、接続マップブロック84と、ファブリックマネージャ85とを含み、ネットワーク要素においてスイッチ機能の実際の設定および管理を行う。
【0034】
受信側ラインカードでは、フレーマ10が、セクションオーバヘッドを終端させ、そこから制御バイトを取り出す。フレーマは、ラインおよびセクションアラーム、ならびに仮想コンテナ(VC)毎のアラームおよびステータス情報を検出し、自動保護切り替え(APS)バイトK1およびK2を取り出し、性能管理(PM)の原型を決定する。これらの情報は、ハブ54のTDMインタフェースを介してコントローラTSCに転送され、集信モジュール81によってすべてのラインカードから集約される。保護制御ブロック83は、これらのデータを評価して、障害または信号低下の場合には、いつ保護切り替えを行う必要があるかを判断し、それに従ってブロック84の接続マップを設定する。新しい接続を確立する、または既存の接続を切断する接続/切断要求が、通信コントローラ86で受信され、それによってブロック84の接続マップを設定する。接続マップ84は、ファブリックマネージャ85によって次の方法において実装される:いかなる種類の接続(ユニキャストおよびマルチキャスト)についても、ファブリックマネージャは、STS−1毎に接続タグを付けて受信側SARモジュール11を設定する、すなわち、各特定のSTS−1のセル毎にどのアドレスが使用されるかを設定する。
【0035】
スイッチファブリックはセルフルーティングであって、セルの順序を維持するので、マルチキャスト接続のみが、ファブリックマネージャを通して設定される必要がある。これは、マルチキャストアドレス毎にそれぞれのセルがどのポートに進む必要があるかをスイッチ要素がわかるようにスイッチ要素を設定することによって達成される。最終的にファブリックマネージャは、マルチキャストバッファならびにSTS−1タイムスロットを割り当てるように送信側SARモジュールを設定する。単一のTDMアドレスを有するセルが、2つ以上の出力ポートに送信されて、これらのポートで必ずしも同じタイムスロットに終わらないので、直接ラインカードでタイムスロットを設定することが必要である。さらに、バッファにより、単一セルを同じSARモジュールによって提供される2つ以上の出力にマルチキャストすることも可能になる。
【0036】
したがって、入口側でセルのアドレスを設定することによって、接続が行われる。ファブリックヘッダH1、H2は宛先MAポートをアドレス指定し、TDMヘッダP0、P1は、STS−1タイムスロットをアドレス指定する。ファブリックの接続性は、TDMシェルフコントローラTSCによって評価され、ラインカードの分割および再組み立て(SAR)機能にダウンロードされる。ファブリック全体の宛先ヘッダは、パス(SNCP)およびライン交換機能(MSP)を考慮して1秒あたり200回のレート(5msサイクル)で計算される。5ms毎に、完全な接続性がラインカードおよびファブリック装置にダウンロードされる。上述のように、ファブリック装置は、マルチキャスト接続に対してのみ設定される必要がある。
【0037】
TDMラインカードに加えて、ネットワーク要素はさらにパケットラインカードを装備されることが可能であり、そうしてリアルマルチサービスのスイッチを提供する。このようなマルチサービスのネットワーク要素により、単一の「タイプに依存しない」スイッチマトリクスを使用して、パケットサービスならびに同期TDMサービスを交換することが可能になる。伝統的には、これらの2種類のトラフィックには全く異なるネットワークが使用されたが、単一ノードへの実装により、単一ネットワークアーキテクチャ内であらゆる種類のサービスを有することが可能になる。これは、TDMトラフィック用のTDMマトリクスと、パケットトラフィック用のセルマトリクスの両方を有する混合ネットワーク要素と比べると、コストを大幅に節減する。
【0038】
上記の原理に基づいて、特定の実施形態に様々な変更形態を想定することができることは明らかであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
いくつかの入力ポート(I、IO1−IO8)と、いくつかの出力ポート(O;IO1−IO8)と、前記入力ポート(I、IO1−IO8)と前記出力ポート(O、IO1−IO8)を相互に接続するスイッチファブリック(SF;58)とを含む時分割多重信号を交換するためのネットワーク要素であって、
前記スイッチファブリック(SF;58)が、前記セルのセルヘッダに含まれているアドレス(H1、H2、P0、P1)に基づいて固定長のセルを交換するように構成された1つまたは複数のスイッチモジュール(SE1−SEn)を含むセルベースのスイッチであり、
前記入力ポート(I)が、入力時分割多重信号を分割して固定長のセルにし、各セルにアドレス情報を割り当てるための分割装置(11;52a、52b)を含み、
前記出力ポート(O)が、前記スイッチファブリック(SF;58)から受信したセルを再組み立てして出力時分割多重信号にするための再組み立て装置(14;52a、52b)を含み、
前記アドレス情報が、ファブリックアドレス(H1、H2)およびTDMアドレス(P0、P1)を含み、
前記スイッチファブリック(SF;58)が、前記ファブリックアドレス(H1、H2)に従って前記セルを対応する出力ポート(O;IO1−IO8)に交換し、
前記再組み立て装置(14;52a、52b)が、前記TDMアドレス(P0、P1)に従って前記セルを再組み立てする、
ネットワーク要素。
【請求項2】
スイッチファブリック(SF;58)がセルフルーティングである、請求項1に記載のネットワーク要素。
【請求項3】
前記スイッチファブリック(SF;58)が、いくつかの同一のスイッチ要素(SE1−SEn)を含み、前記ネットワーク要素がさらに、セルをスイッチ要素(SE1、SEn)に分配する少なくとも1つのマトリクスアダプタ(12;53a、53b)を含む、請求項1に記載のネットワーク要素。
【請求項4】
前記マトリクスアダプタ(13;53a、53b)がまた、前記スイッチファブリック(SF;58)からセルを受信し、これらのセルのヘッダからの情報に従ってこれらのセルを並べ換え、並べ換えられたセルを対応する出力ポートの再組み立て装置(14)に転送する、請求項3に記載のネットワーク要素。
【請求項5】
1つまたは複数の入力ポートおよび1つまたは複数の出力ポートが、ラインカード(50)上に配置され、前記1つまたは複数の入力ポートおよび出力ポート(IO1−IO8)に対応する分割装置(11)および再組み立て装置(14)を含む分割および再組み立てモジュール(52a、52b)と、マトリクスアダプタ(53a、53b)とを含み、前記ネットワーク要素が複数のこのようなラインカードを含む、請求項3に記載のネットワーク要素。
【請求項6】
前記分割装置(11;52a、52b)に接続され、各セルにどのアドレス情報を入力するかを前記分割装置(11;52a、52b)に設定するように構成されたコントローラ(TSC)をさらに含む、請求項1に記載のネットワーク要素。
【請求項7】
さらにマルチキャスト接続を確立するように構成され、マルチキャスト接続の場合には、前記ファブリックアドレスがマルチキャストアドレスに置き換えられ、前記スイッチファブリックが、前記マルチキャストアドレスに基づいて適切な出力ポートにセルを分配するように設定された、請求項1に記載のネットワーク要素。
【請求項8】
パケットトラフィック信号を受信し、前記パケットトラフィック信号を固定長のセルに変換するための1つまたは複数のパケットラインカードをさらに含む、請求項1に記載のネットワーク要素。
【請求項9】
時分割多重信号を交換する方法であって、
入力ポート(I)において、入力時分割多重信号を固定長のセルに分割し、各セルにアドレス情報を割り当てるステップであって、前記アドレス情報が、ファブリックアドレス(H1、H2)およびTDMアドレス(P0、P1)を含むステップと、
前記ファブリックアドレス(H1、H2)に従ってセルベースのスイッチファブリック(SF;58)を介して前記セルを対応する前記スイッチファブリック(SF;58)の出力ポート(O;IO1−IO8)に交換するステップと、
前記出力ポート(O)において、前記TDMアドレス(P0、P1)に従って前記スイッチファブリック(SF;58)から受信したセルを再組み立てして、出力時分割多重信号にするステップと
を含む、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2012−513136(P2012−513136A)
【公表日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−541362(P2011−541362)
【出願日】平成21年12月11日(2009.12.11)
【国際出願番号】PCT/EP2009/066978
【国際公開番号】WO2010/069884
【国際公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(391030332)アルカテル−ルーセント (1,149)
【Fターム(参考)】