説明

時差ぼけ症状の推定装置、推定システム、推定方法およびプログラム

【課題】時差ぼけの有無を客観的に判定するとともに、時差ぼけ症状の程度を定量的に評価できる、時差ぼけ症状の推定装置、推定システム、推定方法およびプログラムを提供する。
【解決手段】時差ぼけ症状の程度を異にする複数の標本について、深部体温系の生理指標の特徴量と活動量系の生理指標の特徴量のそれぞれを、時差ぼけ症状の程度に応じて区分し、時差ぼけ症状の程度の区分に応じた特徴量範囲を特定して設定される推定基準を取得する取得部27と、被験者Suについて、深部体温系の生理指標の特徴量と活動量系の生理指標の特徴量を抽出する抽出部23と、深部体温系の生理指標と活動量系の生理指標のそれぞれについて、被験者の生理指標の特徴量が推定基準のいずれの特徴量範囲に含まれるかを判定し、被験者の時差ぼけ症状を推定する症状推定部25とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時差ぼけ症状の推定装置、推定システム、推定方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
時差を伴う移動、シフトワーキング、不規則な生活等(勤務日と休日の睡眠相が大きく異なる生活習慣、不規則な睡眠覚醒習慣)により、生体リズムがずれて体調が狂う時差ぼけ(広義)が生じる。時差ぼけは、睡眠障害、疲労感の持続等の症状をもたらす。時差ぼけの症状により体調が狂うと、身体能力が低下したり、思わぬ事故が発生したりする。このため、体調管理の観点から、時差ぼけの有無を客観的に判定したり、時差ぼけ症状の程度を定量的に評価したりすることが望まれている。
【0003】
しかし、時差ぼけ症状には、個人差、年齢差、東西の移動方向の差等がある。例えば、時差ぼけ症状の持続期間には、1.7日〜17.9日の個人差があるといわれている(参考文献1)。このため、客観的な判定や定量的な評価が困難であり、これらの判定や評価は、主観的または定性的に行われているにすぎない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、様々な周期をもつ生体リズムのうち、特に概日周期の生体リズムとしては体温、血圧、心拍、睡眠覚醒等の生体リズムが知られている。そして、生体リズムの同調時間(時差に伴う生体リズムのずれが現実の生活時間等に同調するまでに要する時間)は、深部体温系の生理指標と活動量(睡眠覚醒)系の生理指標との間で大きく乖離していることが知られている。例えば、5時間以上の時差に伴う生体リズムのずれは、深部体温で約2週間、心拍・睡眠覚醒で2、3日であるといわれている(参考文献2、3)。また、時差ぼけの症状は、時差ぼけの原因が生じてから3、4日目が最も重くなるといわれている(参考文献4)。
【0005】
そして、生体リズム同士の同調時間の乖離は、複数の生体リズムが同一の生体内で異なる周期をとる内的脱同期の現象をもたらし、様々な不調を生体に及ぼす、いわゆる時差ぼけ(広義)を生じさせる(参考文献5)。このため、単一の生理指標を用いても、時差ぼけの有無を定量的に判定したり、時差ぼけ症状の程度を定量的に評価したりできない。
【0006】
そこで、本発明は、時差ぼけの有無を客観的に判定するとともに、時差ぼけ症状の程度を定量的に評価できる、時差ぼけ症状の推定装置、推定システム、推定方法およびプログラムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある観点によれば、時差ぼけ症状の程度を異にする複数の標本について、深部体温系の生理指標の特徴量と活動量系の生理指標の特徴量のそれぞれを、時差ぼけ症状の程度に応じて区分し、時差ぼけ症状の程度の区分に応じた特徴量範囲を特定して設定される推定基準を取得する取得部と、被験者について、深部体温系の生理指標の特徴量と活動量系の生理指標の特徴量を抽出する抽出部と、深部体温系の生理指標と活動量系の生理指標のそれぞれについて、被験者の生理指標の特徴量が推定基準のいずれの特徴量範囲に含まれるかを判定し、被験者の時差ぼけ症状を推定する推定部とを備える時差ぼけ症状の推定装置が提供される。
【0008】
推定部は、深部体温系の生理指標の特徴量が時差ぼけ症状を有する標本の特徴量範囲に含まれ、かつ活動量系の生理指標の特徴量が時差ぼけ症状を有しない標本の特徴量の特徴量範囲に含まれるときに、被験者の時差ぼけ症状の程度が重いと推定してもよい。
【0009】
取得部は、複数の標本の特徴量を、時差ぼけ症状を有する標本の特徴量範囲と、時差ぼけ症状を有しない標本の特徴量範囲とに区分し、時差ぼけ症状を有する標本の特徴量範囲の重心を基準にして、複数の標本の特徴量を、時差ぼけ症状の程度に応じて3つ以上に区分し、時差ぼけ症状の程度に応じた特徴量副範囲を特定して設定される推定基準を取得し、推定部は、被験者の生理指標の特徴量が推定基準のいずれの特徴量副範囲に含まれるかを判定し、被験者の時差ぼけ症状を推定してもよい。
【0010】
取得部は、複数の標本の特徴量を、標本による時差ぼけ症状の程度について主観的な評価に基づき3つ以上に区分し、時差ぼけ症状の程度に応じた特徴量副範囲を特定して設定される推定基準を取得し、推定部は、被験者の生理指標の特徴量が推定基準のいずれの特徴量副範囲に含まれるかを判定し、被験者の時差ぼけ症状を推定してもよい。
【0011】
取得部は、被験者を含む複数の標本の特徴量を、時差ぼけ症状の程度に応じて区分し、時差ぼけ症状の程度の区分に応じた特徴量範囲を特定して設定される推定基準を取得してもよい。
【0012】
推定装置は、時差ぼけ症状の原因となる時差の条件を示す時差条件に関連付けて、時差ぼけ症状の推定結果を格納する推定履歴格納部と、格納されている時差ぼけ症状の推定結果から、指定された時差条件に適合する推定結果を抽出する推定履歴抽出部とをさらに備えてもよい。
【0013】
推定装置は、被験者の生理指標の特徴量と、時差ぼけ症状に応じた特徴量の区分結果とを複数の推定装置から取得し、時差ぼけ症状の程度の区分に応じた特徴量範囲を特定して推定基準を設定する管理装置に接続され、取得部は、管理装置により設定された推定基準を取得してもよい。
【0014】
推定装置は、被験者の生理指標の特徴量の区分結果と、時差ぼけ症状の原因となる時差の条件を示す時差条件と、時差ぼけ症状の推定結果を複数の推定装置から取得し、特徴量の区分結果および時差条件に関連付けて、時差ぼけ症状の推定結果を管理する管理装置に接続され、推定装置は、管理されている時差ぼけ症状の推定結果のうち、指定された時差条件および特徴量の区分結果に適合する推定結果を取得する推定履歴取得部をさらに備えてもよい。
【0015】
抽出部は、時差ぼけ症状の程度を異にする複数の標本について、深部体温系の生理指標の特徴量と活動量系の生理指標の特徴量を抽出し、推定装置は、深部体温系の生理指標と活動量系の生理指標のそれぞれについて、抽出した生理指標の特徴量を時差ぼけ症状の程度に応じて区分し、時差ぼけ症状の程度の区分に応じた特徴量範囲を特定して推定基準を設定する設定部をさらに備え、取得部は、設定部により設定された推定基準を取得してもよい。
【0016】
推定基準は、標本の生活形態毎に設定され、推定部は、被験者の生活形態に応じた推定基準を用いて、被験者の時差ぼけ症状を推定してもよい。
【0017】
推定装置は、時差ぼけ症状の推定結果を被験者に通知する通知部をさらに備えてもよい。
【0018】
深部体温系の生理指標が鼓膜温であり、活動量系の生理指標が活動量であってもよい。
【0019】
推定装置は、推定基準を記憶する記憶部をさらに備え、取得部は、記憶部から推定基準を取得してもよい。
【0020】
本発明の他の観点によれば、時差ぼけ症状の程度を異にする複数の標本について、深部体温系の生理指標の特徴量と活動量系の生理指標の特徴量を抽出する抽出部と、深部体温系の生理指標と活動量系の生理指標のそれぞれについて、抽出した生理指標の特徴量を時差ぼけ症状の程度に応じて区分し、時差ぼけ症状の程度の区分に応じた特徴量範囲を特定して推定基準を設定する設定部とを備える設定装置と、被験者について、深部体温系の生理指標の特徴量と活動量系の生理指標の特徴量を抽出する抽出部と、深部体温系の生理指標と活動量系の生理指標のそれぞれについて、被験者の生理指標の特徴量が推定基準のいずれの特徴量範囲に含まれるかを判定し、被験者の時差ぼけ症状を推定する推定部とを備える推定装置とを有する時差ぼけ症状の推定システムが提供される。
【0021】
本発明の他の観点によれば、時差ぼけ症状の程度を異にする複数の標本について、深部体温系の生理指標の特徴量と活動量系の生理指標の特徴量のそれぞれを、時差ぼけ症状の程度に応じて区分し、時差ぼけ症状の程度の区分に応じた特徴量範囲を特定して設定される推定基準を取得し、被験者について、深部体温系の生理指標の特徴量と活動量系の生理指標の特徴量を抽出し、深部体温系の生理指標と活動量系の生理指標のそれぞれについて、被験者の生理指標の特徴量が推定基準のいずれの特徴量範囲に含まれるかを判定し、被験者の時差ぼけ症状を推定することを含む時差ぼけ症状の推定方法が提供される。
【0022】
本発明の他の観点によれば、深部体温系の生理指標の特徴量と活動量系の生理指標の特徴量のそれぞれを時差ぼけ症状の程度に応じて区分し、時差ぼけ症状の程度の区分に応じた特徴量範囲を特定した推定基準を取得する取得部と、ユーザから深部体温系の生理指標の特徴量と活動量系の生理指標の特徴量を抽出する抽出部と、深部体温系の生理指標と活動量系の生理指標のそれぞれについて、ユーザの生理指標の特徴量が推定基準のいずれの特徴量範囲に含まれるかを判定し、ユーザの時差ぼけ症状を推定する推定部とを備える時差ぼけ症状の推定装置が提供される。
【0023】
本発明の他の観点によれば、上記時差ぼけ症状の推定方法をコンピュータに実行させるためのプログラムが提供される。ここで、プログラムは、コンピュータ読取り可能な記録媒体を用いて提供されてもよく、通信手段等を介して提供されてもよい。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、時差ぼけの有無を客観的に判定するとともに、時差ぼけ症状の程度を定量的に評価できる、時差ぼけ症状の推定装置、推定システム、推定方法およびプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施形態に係る時差ぼけ症状の推定システムの全体構成を示す図である。
【図2】推定システムの全体的な処理を示すフロー図(1/2)である。
【図3】推定システムの全体的な処理を示すフロー図(2/2)である。
【図4】設定装置の機能構成を示すブロック図である。
【図5】推定装置の機能構成を示すブロック図である。
【図6】設定装置の動作を示すフロー図である。
【図7】鼓膜温の特徴量と活動量の特徴量の一例を示す図である。
【図8】標本者に対するアンケートの一例を示す図である。
【図9】鼓膜温の特徴量と活動量の特徴量について特徴量範囲の特定の一例を示す図である。
【図10】推定装置の動作を示すフロー図である。
【図11】鼓膜温の特徴量と活動量の特徴量について特徴量の判定の一例を示す図である。
【図12】症状の推定結果の通知の一例を示す図である。
【図13】標本情報に基づく鼓膜温の特徴量の推定基準の一例を示す図である。
【図14】統計処理に基づく鼓膜温の特徴量の推定基準の一例を示す図である。
【図15】症状の予測条件を取得するためのアンケートの一例を示す図である。
【図16】症状の予測結果の一例を示す図である。
【図17】複数の被験者の特徴量を考慮して推定基準を設定可能な推定システムの一例を示す図である。
【図18】被験者の特徴量を考慮して推定基準を設定可能な推定システムの一例を示す図である。
【図19】複数の推定装置間で症状の推定履歴を共有可能な推定システムの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0027】
[1.推定システムの構成]
まず、図1から図5を参照して、本発明の一実施形態に係る時差ぼけ症状の推定システム(以下、推定システムとも称する。)について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る推定システムの全体構成を示す図である。
【0028】
図1に示すように、推定システムは、時差ぼけ症状の推定に用いる推定基準ECを設定する設定装置1と、推定基準ECを用いて時差ぼけ症状を推定して推定結果ERを生成する推定装置2とからなる。推定基準ECは、時差ぼけ症状を異にする複数の標本Saに基づき設定され、被験者Suの時差ぼけ症状の推定に用いられる。
【0029】
図2および図3は、推定システムの全体的な処理を示すフロー図である。推定システムでは、図2に示すように、設定装置1が推定基準ECの設定処理を行い、図3に示すように、推定装置2が時差ぼけ症状の推定処理を行う。
【0030】
まず、図2を参照して、推定基準ECの設定処理について説明する。推定基準ECは、深部体温系の生理指標と活動量(睡眠覚醒)系の生理指標のそれぞれについて設定される。設定装置1は、時差ぼけ症状(症状)の程度を異にする複数の標本Saのそれぞれについて、標本Saの生理信号を計測し(ステップS11、S21)、生理信号から生理指標を導出し(S12、S22)、生理指標から特徴量を抽出する(S13、S23)とともに、症状の程度を取得する(S14、S24)。
【0031】
深部体温系指標とは、生体リズムの同調時間が活動量系指標と比べて長い指標である。この例としては、鼓膜温、口内体温、血中のメラトニン含有量やコルチゾール含有量が挙げられる。一方、活動量系指標とは、生体リズムの同調時間が深部体温系指標と比べて短い指標である。この例としては、活動量、脈拍数、AI(Augmentation Index)値、血圧値が挙げられる。
【0032】
生理指標の特徴量としては、例えば、鼓膜温、口内体温、メラトニンやコルチゾールの含有量、脈拍数、AI値、血圧値については、特定位相(振幅最大、最小等)の出現時刻、振幅量(最大、最小、平均等)が挙げられる。また、活動量については、入眠時刻、出眠時刻が挙げられる。複数の標本Saは、症状の推定対象となる被験者Suとは異なる複数の標本者Saであり、同一の標本者Saが2以上の標本Saとして利用されてもよい。なお、複数の標本Saは、被験者Suを含んでもよいが、ここでは、複数の標本者Saである場合について説明する。
【0033】
設定装置1は、複数の標本Saの生理指標の特徴量を症状の程度に応じて区分し(S15、S25)、症状の程度の区分に応じた特徴量範囲Rを特定する(S16、S26)ことで、推定基準ECを設定する(S17、S27)。推定基準ECは、深部体温系指標の特徴量と活動量系指標の特徴量のそれぞれについて設定される。
【0034】
ここで、生理指標の特徴量は、標本Saから取得された症状の程度に基づき、例えば、「正常」な標本Sa(症状が無い標本Sa)の特徴量と「異常」な標本Sa(症状が有る標本Sa)の特徴量との2段階に区分される。生理指標の特徴量は、3段階以上に区分されてもよいが、以下では、2段階に区分される場合について説明する。
【0035】
そして、複数の標本Saの生理指標の特徴量を症状の程度に応じて区分することで、「正常」な標本Saの特徴量を多く含む特徴量範囲Rnと、「異常」な標本Saの特徴量を多く含む特徴量範囲Raとが特定される。これにより、特徴量範囲「正常」Rnと特徴量範囲「異常」Raからなる推定基準ECが設定される。
【0036】
つぎに、図3を参照して、時差ぼけ症状の推定処理について説明する。推定装置2は、被験者Suの生理信号を計測し(ステップS31、S41)、生理信号から生理指標を導出し(S32、S42)、生理指標から特徴量を抽出する(S33、S43)。ここで、生理指標の特徴量としては、設定処理時に抽出された特徴量と同一の、深部体温系指標と活動量系指標の特徴量が抽出される。
【0037】
推定装置2は、被験者Suの生理指標の特徴量が推定基準ECのいずれの特徴量範囲Rに含まれるかを判定し(S34、S44)、特徴量の判定結果に基づき被験者Suの症状を推定する(S51)。ここで、生理指標の特徴量は、深部体温系指標の特徴量と活動量系指標の特徴量のそれぞれについて、いずれの特徴量範囲Rに含まれるかが判定される。
【0038】
例えば、深部体温系指標の特徴量が特徴量範囲「異常」Raに含まれ、活動量系指標の特徴量が特徴量範囲「正常」Rnに含まれると判定される。すると、活動量系の生体リズムが現実の生活時間等に同調しているが、深部体温系の生体リズムが同調していないことが分かる。これにより、深部体温系の生体リズムと活動量系の生体リズムとが同期していない、重度の時差ぼけ症状が推定される。
【0039】
図4は、設定装置1の機能構成を示すブロック図である。図4に示すように、設定装置1は、信号計測部11、指標導出部12、特徴量抽出部13、標本情報取得部14、基準設定部15、記憶部16を含んでいる。なお、標本情報取得部14を除く各部では、深部体温系指標と活動量系指標のそれぞれについて処理が行われる。
【0040】
信号計測部11は、各種のセンサを用いて標本Saの生理信号を計測する。例えば、鼓膜温、口内体温は、温度センサを用いて計測され、脈拍数、血圧値は、圧力センサを用いて計測され、活動量は、加速度センサを用いて計測される。生理信号は、例えば、一晩等の計測期間に亘って、所定の計測間隔および所定の継続時間で計測される。計測した生理信号は、生理データに変換される。
【0041】
指標導出部12は、生理データから生理指標を導出する。生理データは、フィルタ等を用いて特定の周波数成分を除去されたり、加速度センサの出力等を用いて非安静時のデータを棄却されたりする。生理データは、必要に応じて、他の生理指標に変換(例えば脈波からAI値に変換)され生理指標の所定の継続時間(例えば、数十秒から数分)中の平均値として導出される。
【0042】
特徴量抽出部13は、導出した生理指標から特徴量を抽出する。例えば、鼓膜温、口内体温、脈拍数、AI値、血圧値の特徴量は、導出された生理指標の時系列データに適合する概日周期の関数を求め、求めた関数を用いて特定位相(振幅最大、最小等)の出現時刻を求めたり、振幅量(最大、最小、平均等)を求めたりすることで抽出される。また、活動量の特徴量は、例えばCole−Kripkeのアルゴリズム(参考文献6)等を用いて、導出された活動量の時系列データから活動状態と睡眠状態の境界を特定することで抽出される。
【0043】
標本情報取得部14は、症状の程度、生活形態(朝型、夜型、中間型等)等を示す標本情報を標本Saから取得する。標本情報は、キー、ボタン、タッチパネル等の入力デバイスを通じて取得される。
【0044】
基準設定部15は、抽出した特徴量から症状の推定に用いる推定基準ECを設定する。推定基準ECは、複数の標本Saについて、生理指標の特徴量を症状の程度に応じて区分し、症状の程度の区分に応じた特徴量範囲Rを特定することで設定される。特徴量範囲Rは、例えば、サポートベクトルマシーンやブースティング等の機械学習アルゴリズムを用いて特定される。推定基準ECは、生活形態を示す標本情報に基づき、例えば、朝型、夜型、中間型のそれぞれの被験者用の推定基準ECとして設定されてもよい。
【0045】
記憶部16には、標本Saの生理信号や生理指標の時系列データ、特徴量、標本情報、推定基準EC等が記憶される。推定基準ECは、推定装置2との間で共有されてもよく、通信回線や記録媒体を通じて推定装置2に提供されてもよい。
【0046】
図5は、推定装置2の機能構成を示すブロック図である。図5に示すように、推定装置2は、信号計測部21、指標導出部22、特徴量抽出部23、被験者情報取得部24、症状推定部25、症状通知部26、記憶部27、時差条件取得部28、履歴格納部29、履歴抽出部30を含んでいる。なお、信号計測部21、指標導出部22および特徴量抽出部23では、深部体温系指標と活動量系指標のそれぞれについて処理が行われる。
【0047】
信号計測部21、指標導出部22および特徴量抽出部23は、設定装置1の対応する構成要素と同様に機能する。特徴量抽出部23は、被験者Suについて導出した生理指標から特徴量を抽出する。被験者情報取得部24は、生活形態等を示す被験者情報を被験者Suから取得する。
【0048】
症状推定部25は、被験者Suの生理指標の特徴量が推定基準ECのいずれの特徴量範囲Rに含まれるかを判定する。そして、症状推定部25は、深部体温系指標と活動量系指標のそれぞれの特徴量の判定結果に基づき、被験者Suの症状を推定する。なお、特徴量の判定は、被験者情報として取得される被験者Suの生活形態に対応する推定基準ECを用いて行われてもよい。
【0049】
症状通知部26は、症状の推定結果ER、後述する症状の推定履歴等をユーザに通知する。症状の通知は、視覚情報および/または聴覚情報として通知される。記憶部27には、推定基準EC、被験者Suの生理指標の計測値や導出値の時系列データ、特徴量等が記憶される。記憶部27には、設定装置1との間で共有される推定基準EC、または通信回線や記録媒体を通じて設定装置1から取得した推定基準ECが記憶される。
【0050】
時差条件取得部28は、時差ぼけの原因(移動、シフトワーキング等)により生じた時差、時差ぼけの原因が生じてからの経過日数を示す時差条件を取得する。時差条件は、被験者Suから取得されてもよく、GPS装置、加速度センサ等を通じて取得されてもよい。
【0051】
履歴格納部29には、生理指標の導出値の時系列データ、特徴量、特徴量の判定結果、症状の推定結果ER等が被験者Suから取得された時差条件に関連付けて症状の推定履歴として格納される。なお、図5では、記憶部27を通じて情報が格納されるように示されているが、記憶部27を通じずに格納されてもよい。履歴抽出部30は、被験者Suにより指定される予測条件(時差条件)に基づき、症状の推定履歴のうち、予測条件を満たす推定結果ERを抽出して症状通知部26に供給する。
【0052】
設定装置1と推定装置2の各構成要素は、回路ロジック等のハードウェアおよび/またはプログラム等のソフトウェアとして構成される。ソフトウェアとして構成される構成要素は、不図示のCPU上でプログラムを実行することにより実現される。
【0053】
推定システムは、設定装置1と推定装置2を一体化して構成されてもよい。推定システムまたは推定装置2は、例えば、携帯音楽プレイヤ、携帯電話、携帯情報端末等として構成されてもよい。この場合、生理指標を計測するために、温度センサ、加速度センサ等のセンサがイヤホンに搭載されてもよい。また、症状の推定結果ERは、推定装置2に代えて、液晶ディスプレイ等の表示装置やスピーカ等の出力装置を通じて被験者Suに通知されてもよい。
【0054】
また、推定システムは、設定装置1と推定装置2を別体として構成されてもよい。この場合、設定装置1と推定装置2との間では、通信回線や記録媒体を通じて、症状の推定に用いる推定基準ECや症状の推定結果ERが送受信されてもよい。また、推定装置2は、症状の推定結果ERを他のユーザ端末等に出力するように構成されてもよい。
【0055】
[2.推定システムの動作]
つぎに、図6から図16を参照して、推定システムの動作について説明する。以下では、深部体温系指標と活動量系指標として鼓膜温と活動量をそれぞれに用いて、生理指標の特徴量を「正常」な標本Saの特徴量と、「異常」な標本Saの特徴量との2段階に区分する場合について説明する。
【0056】
(推定基準ECの設定処理)
図6は、設定装置1の動作を示すフロー図である。まず、設定装置1は、症状の程度を異にする複数の標本Saのそれぞれについて、標本Saの生理信号を計測し、生理信号から生理指標を導出し、生理指標から特徴量を抽出するとともに、症状の程度示す被験者情報を取得する。以下では、1標本Saの生理指標の特徴量を抽出する動作について説明する。
【0057】
信号計測部11は、所定の計測時間に亘って、所定の計測間隔および所定の継続時間で、標本Saの鼓膜温と活動量を計測する(ステップS61)。記憶部16には、鼓膜温と活動量の計測値が時系列データとして記憶される。計測時間は、例えば一晩であり、計測間隔は、例えば数分から数十分であり、継続時間は、例えば数十秒から数分である。なお、計測は、食後1〜2時間を避けるとともに、標本Saが安静な状態で行われる。また、鼓膜温と活動量は、同時点に計測されてもよく、異なる時点に計測されてもよい。
【0058】
指標導出部12は、計測値の時系列データを用いて、継続時間中における鼓膜温の平均値と活動量の平均値を生理指標として導出する(S62)。記憶部16には、鼓膜温と活動量の導出値が時系列データとして記憶される。なお、生理指標の導出に際して、計測値の時系列データは、不連続データや非安静時のデータ等、異常値を棄却される。また、計測値の時系列データは、生理指標に応じて、例えば脈波をAI値(脈波の二次微分の変極点に相当する。)に変換する等、データ変換を施される。
【0059】
特徴量抽出部13は、導出値の時系列データを用いて、鼓膜温の特徴量と活動量の特徴量を生理指標の特徴量として抽出する(S63)。記憶部16には、鼓膜温と活動量の特徴量が標本Saに関連付けて記憶される。
【0060】
図7は、鼓膜温の特徴量と活動量の特徴量の一例を示す図である。図7に示すように、鼓膜温の特徴量は、導出値の時系列データに適合する概日周期の関数を求め、例えば、最小振幅の出現時刻(位相)とその振幅量の組合せとして抽出される。なお、特徴量は、例えば、特定位相(振幅最大、最小等)の出現時刻や振幅量(最大、最小、平均等)のうち2つ以上の値の組合せとして抽出されてもよい。活動量の特徴量は、導出値の時系列データから、活動量の分布状況に基づき、活動状態と睡眠状態との境界を入眠時刻として特定することで抽出される。
【0061】
標本情報取得部14は、標本者Saに対するアンケートを用いて、症状の程度を示す標本情報を標本者Saから取得する(S64)。記憶部16には、標本情報が標本Saに関連付けて記憶される。また、生活形態を示す標本情報が標本者Saから取得されてもよい。標本Saの生活形態は、標本Saに対するアンケートを用いて、朝型、夜型、中間型等のうちいずれかとして指定される。
【0062】
図8は、標本者Saに対するアンケートの一例を示す図である。図8に示すように、活動量以外の生理指標については、例えば、不眠・眠気、作業能率、意欲・食欲、疲労感、活動量の項目からなるアンケートを用いて標本情報が取得される。標本者Saは、良好な状態を5点、不良な状態を1点として項目毎に5段階評価を行う。また、活動量については、標本者Saの通常の入眠時刻が標本情報として取得される。
【0063】
つぎに、設定装置1は、複数の標本Saの生理指標の特徴量を症状の程度に応じて区分し、症状の程度の区分に応じた特徴量範囲Rを特定することで、推定基準ECを設定する。
【0064】
基準設定部15は、症状の程度を示す標本情報に基づき、複数の標本Saの生理指標の特徴量を症状の程度に応じて、「正常」な標本Saの特徴量と「異常」な標本Saの特徴量とに区分する(S65)。記憶部16には、特徴量の区分結果が標本Saに関連付けて記憶される。
【0065】
活動量以外の生理指標については、前述したアンケート項目の総合得点に基づき、例えば、総合得点16点以上を「正常」な標本Saの特徴量に区分し、総合得点15点以下を「異常」な標本Saの特徴量に区分する。また、活動量については、通常の入眠時刻(標本情報)と、実際の入眠時刻(活動量の特徴量)との差が所定時間(例えば1時間)内を「正常」な標本Saの特徴量に区分し、所定時間外を「異常」な標本Saの特徴量に区分する。
【0066】
基準設定部15は、特徴量の区分結果に基づき、特徴量範囲「正常」Rnと特徴量範囲「異常」Raを特定する(S66)ことで、推定基準ECを設定する(S67)。なお、生活形態別の推定基準ECは、生活形態毎の特徴量空間を用いて設定される。記憶部16には、特徴量範囲Rの特定結果が推定基準ECとして記憶される。
【0067】
図9は、鼓膜温の特徴量と活動量の特徴量について特徴量範囲Rの特定の一例を示す図である。なお、図9は、特徴量の分布、特徴量範囲Rの形状等を含む特徴量空間の一例を示すものである。図9に示すように、鼓膜温(活動量以外の生理指標)については、例えば、特定の位相の出現時刻を第1の次元、振幅量を第2の次元とする特徴量空間(平面)を用いて、推定基準ECが求められる。活動量については、入眠時刻を第1の次元とする特徴量空間(線)を用いて、推定基準ECが求められる。なお、生理指標の特徴量がn個の値の組合せからなるときには、第1、第2、…第nの次元の特徴量空間を用いて、推定基準ECが求められる。
【0068】
図9には、「正常」な標本Saの特徴量を○印としてプロットし、「異常」な標本Saの特徴量を×印としてプロットした、特徴量空間(平面、線)が示されている。特徴量空間上では、機械学習アルゴリズムを用いて、「正常」な標本Saの特徴量を多く含む範囲Rnと、「異常」な標本Saの特徴量を多く含む範囲Raとの境界Bが特定される。これにより、特徴量範囲「正常」Rnと特徴量範囲「異常」Raからなる推定基準ECが設定される。
【0069】
(症状の推定処理)
図10は、推定装置2の動作を示すフロー図である。まず、推定装置2は、被験者Suの生理信号を計測し、生理信号から生理指標を導出し、生理指標から特徴量を抽出する。
【0070】
信号計測部21は、所定の計測時間に亘って、所定の計測間隔および所定の継続時間で、被験者Suの鼓膜温と活動量を計測する(ステップS71)。記憶部27には、鼓膜温と活動量の計測値が時系列データとして記憶される。指標導出部22は、計測値の時系列データを用いて、継続時間中における鼓膜温の平均値と活動量の平均値を生理指標として導出する(S72)。記憶部27には、鼓膜温と活動量の導出値が時系列データとして記憶される。
【0071】
特徴量抽出部23は、導出値の時系列データを用いて、鼓膜温の特徴量(例えば、最小振幅の出現時刻とその振幅値)と活動量の特徴量(入眠時刻)を生理指標の特徴量として抽出する(S73)。記憶部27には、鼓膜温と活動量の特徴量が記憶される。被験者情報取得部24は、生活形態を示す標本情報を標本Saから取得してもよい。生活形態は、被験者Suに対するアンケートを用いて、朝型、夜型、中間型等のうちいずれかとして指定される。
【0072】
つぎに、推定装置2は、被験者Suの生理指標の特徴量が推定基準ECのいずれの特徴量範囲Rに含まれるかを判定し、特徴量の判定結果に基づき被験者Suの症状を推定する。
【0073】
症状推定部25は、鼓膜温の特徴量の推定基準ECと活動量の特徴量の推定基準ECを記憶部27から読み出す。症状推定部25は、鼓膜温と活動量のそれぞれについて、被験者Suの特徴量が特徴量範囲「正常」Rnと特徴量範囲「異常」Raのうちいずれに含まれるかを判定する(S74)。
【0074】
図11は、鼓膜温の特徴量と活動量の特徴量について特徴量の判定の一例を示す図である。図11に示す例では、被験者Aの特徴量は、鼓膜温の推定基準ECの特徴量範囲「正常」Rnに含まれ、被験者B、Cの特徴量は、特徴量範囲「異常」Raに含まれると判定される。同様に、被験者A、Bの特徴量は、活動量の推定基準ECの特徴量範囲「正常」Rnに含まれ、被験者Cの特徴量は、特徴量範囲「異常」Raに含まれると判定される。
【0075】
症状推定部25は、鼓膜温と活動量の特徴量の判定結果に基づいて、例えば表1を用いて被験者Suの症状の程度を推定する(S75)。
【0076】
【表1】

【0077】
つまり、深部体温系指標として鼓膜温、活動量系指標として活動量を用いるとすれば、鼓膜温の特徴量について「異常」と判定され、活動量の特徴量について「正常」と判定されると、重度の症状が推定される。同様に、鼓膜温の特徴量について「異常」と判定され、活動量の特徴量について「異常」と判定されると、中度の症状が推定され、鼓膜温の特徴量について「正常」と判定され、活動量の特徴量について「正常」と判定されると、軽度の症状または症状なしと推定される。これにより、症状の有無の客観的な判定とともに、症状の程度の定量的な評価が可能となる。
【0078】
症状通知部26は、症状の推定結果ERを被験者Suに通知する(S76)。症状の推定結果ERは、例えば「重度」、「中度」、「軽度」等、症状の程度を示す情報を少なくとも含み、さらに鼓膜温と活動量の特徴量の判定結果を含んでもよい。また、症状の推定結果ERは、症状の推定に用いた鼓膜温と活動量の計測値や導出値の時系列データ、特徴量等を含んでもよい。さらに、症状の推定結果ERは、特定の日時の推定履歴、平均的な推定履歴等と比較して表示されてもよい。
【0079】
図12は、症状の推定結果ERの通知の一例を示す図である。図12に示す例では、鼓膜温の特徴量が「異常」と判定され、活動量の特徴量が「正常」と判定され、症状の程度が「重度」と推定されている。
【0080】
この場合、深部体温系指標の特徴量が特徴量範囲「異常」Raに含まれ、活動量系指標の特徴量が特徴量範囲「正常」Rnに含まれることになり、活動量系の生体リズムが現実の生活時間等に同調しているが、深部体温系の生体リズムが同調していないことが分かる。これにより、深部体温系の生体リズムと活動量系の生体リズムとが同期していない、重度の時差ぼけ症状が推定される。
【0081】
(推定基準ECの他の設定例1)
上記説明では、推定基準ECは、生理指標の特徴量を「正常」な標本Saの特徴量と、「異常」な標本Saの特徴量との2段階の程度に区分して設定された。しかし、推定基準ECは、生理指標の特徴量を、さらに3段階以上に区分して設定されてもよい。これにより、2段階に区分する場合よりも、被験者Suの症状を詳細に推定できる。以下では、標本情報または統計処理に基づき、生理指標の特徴量を4段階に区分する場合について説明する。
【0082】
まず、標本情報に基づき生理指標の特徴量を4段階に区分する場合について説明する。標本情報取得部14は、前述したアンケートを用いて、症状の程度を示す標本情報をそれぞれの標本Saから取得する。基準設定部15は、標本情報に基づき、複数の標本Saの生理指標の特徴量を区分する。
【0083】
活動量以外の生理指標については、アンケート項目の総合得点に基づき、例えば、総合得点21〜25点が「正常度大」、16〜20点が「正常度小」、10〜15点が「異常度小」、5〜9点が「異常度大」な標本Saの特徴量にそれぞれ区分される。活動量については、通常の入眠時刻と実際の入眠時刻との差が1時間未満が「正常度大」、1時間以上2時間未満が「正常度小」、2時間以上4時間未満が「異常度小」、4時間以上が「異常度大」な標本Saの特徴量にそれぞれ区分される。
【0084】
そして、基準設定部15は、特徴量の区分結果に基づき、生理指標毎に特徴量空間を用いて推定基準ECを設定する。つまり、機械学習アルゴリズムを用いて、「正常度大」、「正常度小」、「異常度小」、「異常度大」のそれぞれの特徴量範囲Rn1、Rn2、Ra1、Ra2が特定される。図13は、標本情報に基づく鼓膜温の特徴量(時刻、振幅)の推定基準ECの一例を示す図である。なお、図13は、特徴量範囲Rの形状等を含め、特徴量空間の一例を示すものである。
【0085】
(推定基準ECの他の設定例2)
つぎに、前述した標本情報に基づき特徴量を区分できない場合、統計処理に基づき生理指標の特徴量を4段階に区分する場合について説明する。標本情報取得部14は、標本情報に基づく場合と同様に、前述したアンケートを用いて、症状の程度を示す標本情報をそれぞれの標本Saから取得する。基準設定部15は、標本情報に基づき、複数の標本Saの生理指標の特徴量を2段階、つまり「正常」と「異常」に区分する。
【0086】
基準設定部15は、特徴量の区分結果に基づき、生理指標毎に特徴量空間を用いて推定基準ECを設定する。まず、機械学習アルゴリズムを用いて、「正常」な標本Saの特徴量の範囲Rn(「正常」の範囲Rn)と「異常」な標本Saの特徴量の範囲Ra(「異常」の範囲Ra)との境界Bが特定される。つぎに、「正常」の範囲Rnの重心Gが求められる。
【0087】
そして、「正常」の範囲Rnの重心から、「正常」の範囲Rnと「異常」の範囲Raとの境界までの最小距離r1を半径とする空間(平面)内であれば「正常度大」、「正常」の範囲Rnのうち「正常度大」以外の範囲であれば「正常度小」と区分される。また、「正常」の範囲Rnの重心から、「正常」の範囲Rnと「異常」の範囲Raとの境界Bまでの最大距離r2を半径とする空間(平面)内であれば「異常度小」、上記以外の範囲であれば「異常度大」と区分される。これにより、「正常度大」、「正常度小」、「異常度小」、「異常度大」のそれぞれの特徴量範囲Rn1、Rn2、Ra1、Ra2が特定される。図14は、統計処理に基づく鼓膜温の特徴量(時刻、振幅)の推定基準ECの一例を示している。なお、図14は、特徴量範囲Rの形状等を含め、特徴量空間の一例を示すものである。
【0088】
深部体温系指標と活動量系指標について4段階の推定基準ECを設定する場合、生理指標毎の特徴量の判定結果から、例えば表2に基づき被験者Suの症状の程度が推定される。なお、症状の程度は、値が小さいほど重度の症状であることを示している。これにより、症状の程度をより詳細に分類することで、定量的な評価がより詳細に可能となる。
【0089】
【表2】

【0090】
深部体温系指標と活動量系指標の一方について4段階の推定基準ECを設定する場合、生理指標毎の特徴量の判定結果から、例えば下表に基づき被験者Suの症状の程度が推定される。表3は、深部体温系指標に4段階の推定基準ECを設定し、活動量系指標に2段階の推定基準ECを設定する場合の一例である。表4は、深部体温系指標に2段階の推定基準ECを設定し、活動量系指標に4段階の推定基準ECを設定する場合の一例である。
【0091】
【表3】

【0092】
【表4】

【0093】
(症状の予測処理)
つぎに、図15および図16を参照して、症状の推定履歴を用いて症状を予測する方法について説明する。症状の推定処理において、時差条件取得部28は、時差ぼけの原因により生じた時差、時差ぼけの原因が生じてからの経過日数を示す時差条件を取得する。時差ぼけの原因により生じた時差とは、移動時差、シフト時間等であり、時差ぼけの原因が生じてからの経過日数とは、時差を伴う移動、シフトワーキング等が生じてからの経過日数である。
【0094】
推定装置2では、前述したように、被験者Suの生理信号の計測、生理指標の導出、特徴量の抽出が行われ、生理指標の特徴量が判定されて症状が推定される。ここで、履歴格納部29には、生理指標の導出値の時系列データ、特徴量、特徴量の判定結果、症状の推定結果ER等が症状の推定履歴として、被験者Suおよび時差条件に関連付けて記憶される。これにより、履歴格納部29には、症状の推定履歴が被験者Suおよび時差条件に基づき参照可能な状態で蓄積される。
【0095】
症状を予測する場合、時差条件取得部28は、症状の予測条件として、時差ぼけの原因により生じた時差、時差ぼけの原因が生じてからの経過日数を指定する時差条件を被験者Suから取得する。図15は、症状の予測条件(時差条件)を取得するためのアンケートの一例を示す図である。
【0096】
時差条件を取得すると、履歴抽出部30は、時差条件に該当する推定履歴を履歴格納部29に格納されている推定履歴から抽出する。症状通知部26は、抽出した推定履歴を表示する。図16は、症状の予測結果の一例を示す図である。図16に示す例では、例えば5時間の時差を伴う移動をしてから3日後において、重度の症状が予測されている。これにより、被験者Suは、例えば、時差を伴う移動をする前や移動をした後に、移動からの経過日数に応じた症状を予測できる。
【0097】
[3.推定システムの変形例]
つぎに、図17から図19を参照して、推定システムの変形例について説明する。推定システムの変形例は、推定基準ECの設定方法および推定履歴の利用方法に関するものである。なお、以下では、生理指標の特徴量を「正常」な標本Saの特徴量と、「異常」な標本Saの特徴量との2段階の程度に区分して推定基準ECを設定する場合を想定して説明する。しかし、推定基準ECは、前述した推定基準の他の設定例1または設定例2に従って設定されてもよい。
【0098】
(推定基準ECの他の設定例1)
上記説明では、推定装置2に予め記憶されている推定基準ECを用いて、被験者Suの症状を推定する場合について説明した。しかし、推定基準ECは、例えば、複数の推定装置2からアクセス可能な管理装置3により管理されてもよい。図17は、複数の被験者Suの特徴量を考慮して推定基準ECを設定可能な推定システムの一例を示す図である。
【0099】
この場合、推定装置2aは、症状の推定処理において、推定基準ECの設定処理の場合と同様に、被験者Suaの症状の程度を示す情報を取得し、験者Suaの生理指標の特徴量を、例えば「正常」または「異常」な標本Saの特徴量に区分する。そして、推定装置2aは、特徴量の区分結果と特徴量とを特徴量情報として管理装置3に送信する。管理装置3は、被験者Suaの特徴量情報を他の被験者Suまたは標本者Saの特徴量情報とともにデータベース上で管理する。
【0100】
一方、推定装置2bは、被験者Subの症状を推定する際に、推定基準ECの送信を管理装置3に要求する。推定基準ECの送信要求に応じて、管理装置3は、管理している特徴量情報に基づき推定基準ECを新たに設定し、推定装置2bに送信する。推定基準ECは、推定処理の場合と同様に、特徴量の区分結果に応じて特徴量空間上に特徴量をプロットし、特徴量範囲Rを特定することで設定される。推定装置2bは、被験者Subの生理指標の特徴量を抽出し、最新の推定基準ECを用いて被験者Subの症状を推定する。
【0101】
これにより、複数の被験者Suの特徴量情報を用いて推定基準ECを設定することで、推定装置2に予め記憶されている推定基準ECを用いなくても被験者Suの症状を推定可能な、推定システムが実現される。
【0102】
(推定基準ECの他の設定例2)
また、上記説明では、被験者Suとは異なる複数の標本者Saの特徴量情報を用いて、推定基準ECを設定する場合について説明した。しかし、推定基準ECは、被験者Suの特徴量情報を考慮して設定されてもよい。被験者Suの特徴量情報は、推定基準ECの設定処理が可能な推定装置2(例えば設定装置1と一体化された推定装置2)により管理されてもよく、推定装置2からアクセス可能な管理装置3により管理されてもよい。以下では、前者の場合を想定して説明する。図18は、被験者Suの特徴量を考慮して推定基準ECを設定可能な推定システムの一例を示す図である。
【0103】
この場合、推定装置2は、症状の推定処理において、推定基準ECの設定処理の場合と同様に、被験者Suの症状の程度を示す情報を取得し、被験者Suの生理指標の特徴量を区分する。そして、推定装置2は、他の標本者Saの特徴量情報とともに、先の推定処理において取得された特徴量情報を考慮して推定基準ECを新たに設定する。なお、被験者Su自身の特徴量情報のみを用いて推定基準ECを設定してもよい。推定装置2は、他の推定処理において、先の推定処理と同一の被験者Suの生理指標の特徴量を抽出し、最新の推定基準ECを用いて被験者Suの症状を推定する。
【0104】
これにより、被験者Su自身の特徴量情報を用いて推定基準ECを設定することで、被験者Suの症状を高い精度で推定可能な、被験者Su専用の推定システムが実現される。
【0105】
(推定履歴の他の利用例)
また、上記説明では、症状の予測処理において、被験者Su自身の症状の推定履歴を用いて被験者Suの症状を予測する場合について説明した。しかし、被験者Suの症状は、他の被験者Suの症状の推定履歴を用いて予測されてもよい。被験者Suの症状の推定履歴は、例えば、複数の推定装置2からアクセス可能な管理装置3により管理される。図19は、複数の推定装置2a、2b間で症状の推定履歴を共有可能な推定システムの一例を示す図である。
【0106】
この場合、推定装置2は、被験者Suaの症状の推定処理において、推定基準ECの設定処理の場合と同様に、被験者Suaの症状の程度を示す情報を取得し、被験者Suaの生理指標の特徴量を区分する。そして、推定装置2aは、特徴量の区分結果と特徴量とを特徴量情報として管理装置3に送信する。推定装置2aは、被験者Suaの症状を推定し、被験者Suaから取得される時差条件とともに推定結果ERを管理装置3に送信する。
【0107】
管理装置3は、他の被験者Suの情報とともに被験者Suaの情報を管理する。管理装置3は、複数の被験者Suの推定結果ERを特徴量情報および時差条件に関連付けてデータベース上で管理する。
【0108】
推定装置2bは、被験者Subの症状の予測処理において、被験者Subの時差条件および特徴量情報を、推定履歴の送信要求とともに、管理装置3に送信する。なお、被験者Subの特徴量情報(特徴量の区分結果と特徴量)は、被験者Subについての症状の推定処理において予め求められているものとする。
【0109】
管理装置3は、推定履歴の送信要求に応じて、被験者Subの時差条件および特徴量情報に類似する時差条件および特徴量情報に関連付けて記憶されている推定履歴をデータベースから抽出する。そして、管理装置3は、抽出した推定履歴を推定装置2bに送信し、推定装置2bは、不図示の推定履歴取得部により取得した推定履歴をユーザに通知する。
【0110】
これにより、特徴量情報が類似する他の被験者Suとの間で症状の推定履歴を共有することで、被験者Suの症状を適切に予測可能な、推定システムが実現される。
【0111】
(参考文献リスト)
参考文献1:O’Connor, P.J.; Morgan, W.P. Athletic Performance Following Rapid Traversal of Multiple Time Zones-A Review. Sports Med. 1990, 10, 20-30.
参考文献2:Klein, K.E.; Wegmann, H.−M. The Resynchronization of Human Circadian Rhythms After Transmeridian Flights as a Result of Flight Direction and Mode of Activity. In Chronobiology; Scheving, L.E., Halberg, F., Pauly, J.E., Eds.; Thieme Publ.:Stuttgart, 1974; 564-570.
参考文献3:Winget, C.M.; De Roshia, C.M.; Holley, D.C. Circadian Rhythms and Athletic Performance. Med. Sci. Sports Exerc. 1985, 17, 498-516.
参考文献4:Reilly, T. (1998). Travel: Physiology, jet−lag, strategies. In: Encyclopedia of Sports Medicine and Science, T.D.Fahey (Editor). Internet Society for Sport Science: http://sportsci.org. 12 July 1998.
参考文献5:「基礎講座 睡眠改善学」、堀忠雄、白川修一郎
参考文献6:Cole RJ, Kripke DF, Gruen W, Mullaney DJ, Gillin JC. Automatic sleep/wake identification from wrist activity. Sleep. 1992;15:461-9.
【0112】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0113】
1 設定装置
2、2a、2b 推定装置
3 管理装置
11、21 信号計測部
12、22 指標導出部
13、23 特徴量抽出部
14 標本情報取得部
15 基準設定部
16、27 記憶部
24 被験者情報取得部
25 症状推定部
26 症状通知部
28 時差条件取得部
29 履歴格納部
30 履歴抽出部
Sa 標本
Su、Sua、Sub 被験者
R、Rn、Ra、Rn1、Rn2、Ra1、Ra2 特徴量範囲

【特許請求の範囲】
【請求項1】
時差ぼけ症状の程度を異にする複数の標本について、深部体温系の生理指標の特徴量と活動量系の生理指標の特徴量のそれぞれを、前記時差ぼけ症状の程度に応じて区分し、前記時差ぼけ症状の程度の区分に応じた特徴量範囲を特定して設定される推定基準を取得する取得部と、
被験者について、前記深部体温系の生理指標の特徴量と前記活動量系の生理指標の特徴量を抽出する抽出部と、
前記深部体温系の生理指標と前記活動量系の生理指標のそれぞれについて、前記被験者の生理指標の特徴量が前記推定基準のいずれの特徴量範囲に含まれるかを判定し、前記被験者の時差ぼけ症状を推定する推定部と
を備える時差ぼけ症状の推定装置。
【請求項2】
前記推定部は、前記深部体温系の生理指標の特徴量が時差ぼけ症状を有する標本の特徴量範囲に含まれ、かつ前記活動量系の生理指標の特徴量が時差ぼけ症状を有しない標本の特徴量の特徴量範囲に含まれるときに、前記被験者の時差ぼけ症状の程度が重いと推定する、請求項1に記載の時差ぼけ症状の推定装置。
【請求項3】
前記取得部は、前記複数の標本の特徴量を、時差ぼけ症状を有する標本の特徴量範囲と、時差ぼけ症状を有しない標本の特徴量範囲とに区分し、前記時差ぼけ症状を有する標本の特徴量範囲の重心を基準にして、前記複数の標本の特徴量を、前記時差ぼけ症状の程度に応じて3つ以上に区分し、前記時差ぼけ症状の程度に応じた特徴量副範囲を特定して設定される推定基準を取得し、
前記推定部は、前記被験者の生理指標の特徴量が前記推定基準のいずれの特徴量副範囲に含まれるかを判定し、前記被験者の時差ぼけ症状を推定する、請求項1または2に記載の時差ぼけ症状の推定装置。
【請求項4】
前記取得部は、前記複数の標本の特徴量を、前記標本による時差ぼけ症状の程度について主観的な評価に基づき3つ以上に区分し、前記時差ぼけ症状の程度に応じた特徴量副範囲を特定して設定される推定基準を取得し、
前記推定部は、前記被験者の生理指標の特徴量が前記推定基準のいずれの特徴量副範囲に含まれるかを判定し、前記被験者の時差ぼけ症状を推定する、請求項1または2に記載の時差ぼけ症状の推定装置。
【請求項5】
前記取得部は、前記被験者を含む複数の標本の特徴量を、前記時差ぼけ症状の程度に応じて区分し、前記時差ぼけ症状の程度の区分に応じた特徴量範囲を特定して設定される推定基準を取得する、請求項3に記載の時差ぼけ症状の推定装置。
【請求項6】
前記時差ぼけ症状の原因となる時差の条件を示す時差条件に関連付けて、前記時差ぼけ症状の推定結果を格納する推定履歴格納部と、
前記格納されている時差ぼけ症状の推定結果から、指定された時差条件に適合する推定結果を抽出する推定履歴抽出部とをさらに備える、請求項3に記載の時差ぼけ症状の推定装置。
【請求項7】
前記被験者の生理指標の特徴量と、前記時差ぼけ症状に応じた特徴量の区分結果とを複数の推定装置から取得し、前記時差ぼけ症状の程度の区分に応じた特徴量範囲を特定して推定基準を設定する管理装置に接続され、
前記取得部は、前記管理装置により設定された推定基準を取得する、請求項3に記載の時差ぼけ症状の推定装置。
【請求項8】
前記被験者の生理指標の特徴量の区分結果と、前記時差ぼけ症状の原因となる時差の条件を示す時差条件と、前記時差ぼけ症状の推定結果を複数の推定装置から取得し、前記特徴量の区分結果および前記時差条件に関連付けて、前記時差ぼけ症状の推定結果を管理する管理装置に接続され、
前記管理されている時差ぼけ症状の推定結果のうち、指定された時差条件および特徴量の区分結果に適合する推定結果を取得する推定履歴取得部をさらに備える、請求項3に記載の時差ぼけ症状の推定装置。
【請求項9】
前記抽出部は、前記時差ぼけ症状の程度を異にする複数の標本について、前記深部体温系の生理指標の特徴量と前記活動量系の生理指標の特徴量を抽出し、
前記深部体温系の生理指標と前記活動量系の生理指標のそれぞれについて、前記抽出した生理指標の特徴量を前記時差ぼけ症状の程度に応じて区分し、前記時差ぼけ症状の程度の区分に応じた特徴量範囲を特定して推定基準を設定する設定部をさらに備え、
前記取得部は、前記設定部により設定された推定基準を取得する、請求項3に記載の時差ぼけ症状の推定装置。
【請求項10】
前記推定基準は、前記標本の生活形態毎に設定され、
前記推定部は、前記被験者の生活形態に応じた推定基準を用いて、前記被験者の時差ぼけ症状を推定する、請求項3に記載の時差ぼけ症状の推定装置。
【請求項11】
前記時差ぼけ症状の推定結果を前記被験者に通知する通知部をさらに備える、請求項3に記載の時差ぼけ症状の推定装置。
【請求項12】
前記深部体温系の生理指標が鼓膜温であり、前記活動量系の生理指標が活動量である、請求項3に記載の時差ぼけ症状の推定装置。
【請求項13】
前記推定基準を記憶する記憶部をさらに備え、
前記取得部は、前記記憶部から前記推定基準を取得する、請求項1に記載の時差ぼけ症状の推定装置。
【請求項14】
時差ぼけ症状の程度を異にする複数の標本について、深部体温系の生理指標の特徴量と活動量系の生理指標の特徴量を抽出する抽出部と、
前記深部体温系の生理指標と活動量系の生理指標のそれぞれについて、前記抽出した生理指標の特徴量を前記時差ぼけ症状の程度に応じて区分し、前記時差ぼけ症状の程度の区分に応じた特徴量範囲を特定して推定基準を設定する設定部とを備える設定装置と、
被験者について、前記深部体温系の生理指標の特徴量と前記活動量系の生理指標の特徴量を抽出する抽出部と、
前記深部体温系の生理指標と前記活動量系の生理指標のそれぞれについて、前記被験者の生理指標の特徴量が前記推定基準のいずれの特徴量範囲に含まれるかを判定し、前記被験者の時差ぼけ症状を推定する推定部とを備える推定装置と
を有する時差ぼけ症状の推定システム。
【請求項15】
時差ぼけ症状の程度を異にする複数の標本について、深部体温系の生理指標の特徴量と活動量系の生理指標の特徴量のそれぞれを、前記時差ぼけ症状の程度に応じて区分し、前記時差ぼけ症状の程度の区分に応じた特徴量範囲を特定して設定される推定基準を取得し、
被験者について、前記深部体温系の生理指標の特徴量と前記活動量系の生理指標の特徴量を抽出し、
前記深部体温系の生理指標と前記活動量系の生理指標のそれぞれについて、前記被験者の生理指標の特徴量が前記推定基準のいずれの特徴量範囲に含まれるかを判定し、前記被験者の時差ぼけ症状を推定すること
を含む時差ぼけ症状の推定方法。
【請求項16】
時差ぼけ症状の程度を異にする複数の標本について、深部体温系の生理指標の特徴量と活動量系の生理指標の特徴量のそれぞれを、前記時差ぼけ症状の程度に応じて区分し、前記時差ぼけ症状の程度の区分に応じた特徴量範囲を特定して設定される推定基準を取得し、
被験者について、前記深部体温系の生理指標の特徴量と前記活動量系の生理指標の特徴量を抽出し、
前記深部体温系の生理指標と前記活動量系の生理指標のそれぞれについて、前記被験者の生理指標の特徴量が前記推定基準のいずれの特徴量範囲に含まれるかを判定し、前記被験者の時差ぼけ症状を推定すること
を含む時差ぼけ症状の推定方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項17】
深部体温系の生理指標の特徴量と活動量系の生理指標の特徴量のそれぞれを時差ぼけ症状の程度に応じて区分し、前記時差ぼけ症状の程度の区分に応じた特徴量範囲を特定した推定基準を取得する取得部と、
ユーザから前記深部体温系の生理指標の特徴量と前記活動量系の生理指標の特徴量を抽出する抽出部と、
前記深部体温系の生理指標と前記活動量系の生理指標のそれぞれについて、前記ユーザの生理指標の特徴量が前記推定基準のいずれの特徴量範囲に含まれるかを判定し、前記ユーザの時差ぼけ症状を推定する推定部と
を備える時差ぼけ症状の推定装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−161379(P2012−161379A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−22064(P2011−22064)
【出願日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】