時間遅延測定
間に遅延がある対応する第1の信号と第2の信号とを処理する方法であって、少なくとも第1の信号はチップ境界を有する2進信号であり、当該方法は、連続する遅延量がチップ境界間の間隔未満だけ互いに異なり、第1の信号と第2の信号との間に複数の異なる遅延を導入することと、導入された遅延に従って値がいかに変化するかの表現(その表現は、第1の信号と第2の信号との間の遅延に対する所定の関係を有する導入された遅延に関連するレベル変化を含む)を取得するために、各導入された遅延に対し、少なくとも、同じ状態を有する第1の信号のビット間のチップ境界の時間において得られる第2の信号のサンプルを合計することとを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包括的には時間遅延測定に関する。本発明は、詳細には、これに限定されるものではないが、スペクトラム拡散無線信号の到着時間の正確な測定を必要とするシステムに対して、特に、時間測定が不可欠であり、理想的には、周囲の反射(すなわち、マルチパス現象)によってもたらされる受信無線信号の歪みの影響を受けにくいものであるべき全地球的航法衛星システム(GNSS)受信機に対して適用可能である。
【背景技術】
【0002】
長年、スペクトラム拡散無線信号は、測距の用途に利用されてきた。1つの既知の例は、航法スペクトル拡散無線信号を送信する複数の地球周回衛星を含む全地球測位システム(GPS)である。これらの航法無線信号は、GPSシステム時間と同期して衛星特定の擬似ランダム雑音(PRN)コードシーケンスを用いて同期変調されるLバンド搬送波である。GPS受信機は、特定の衛星に対し、その衛星からの信号送信とその受信機への到着との間の時間差を測定することによって、測距評価を行うことができる。その後、この時間差は、測定された時間差に光の速度を乗算することによって、その等価距離に変換される。三角測量原理に基づき、3つの衛星の測距値の最小値を確定することができると、受信機は、衛星位置に基づいてその位置を導出することができる。衛星位置は、無線周波数搬送波を変調するPRNの上に「ピギーバックされ」て航法メッセージに埋め込まれている。
【0003】
時間差を確定するために、GPS受信機は、局所的に生成されたPRNシーケンスを、コード通信衛星によって送信されたPRNシーケンスと整列させる。完全な整列が達成され維持されると、局所PRN生成プロセスは、信号送信衛星のプロセスと同期しているとみなされる。したがって、衛星信号送信時間を、局所PRN生成プロセスの内部状態から推測することができ、必要な時間差を、受信機内のローカルクロックに従って測定することができる。コスト及びサイズに関して考慮しなければならないため、多くのGPS受信機は、安価なローカルクロック源しか利用せず、それは、衛星に存在しているものより必然的にはるかに不正確であり且つ安定していない。しかしながら、受信機位置確定手続きに追加の衛星測距を含めることによって、このローカルクロックの精度の低下を、容易に較正することができる。言い換えれば、入手可能な4つの衛星測距値のうちの最小値を用いて、受信機位置及び受信機ローカルクロック時間オフセットを容易に確立することができる。
【0004】
局所的に生成されたPRNコードを送信衛星信号のPRNコードに整列させることには、一般に、(a)衛星PRNコードの捕捉ステップと、(b)コードの追跡ステップとが含まれる。捕捉ステップは、通常、受信機が一連の相関測定を行うこと、すなわち、受信変調信号を、時間がPRNコードシーケンスの単一チップ又は1チップの半分だけ離れている局所的に生成されたレプリカと相互相関させることからなる。これは、一般に、コード位相探索操作と呼ばれる。相互相関のうちの1つによって、動作マージンを含む背景ノイズフロアを上回るように設定されている事前設定された閾値を超える値が明らかとなる場合、探索は終了する。この探索を終了する相関測定値に関連する、対応するコード位相は、局所的に生成されたPRNコードに対する粗整列である。この後、追跡手続きが開始する。これは、捕捉段階からの最大で半チップの大きさまでのあり得る粗整列誤差を略ゼロまで低減し、それ以降、位相同期を維持することを目的とする。
【0005】
追跡操作は、一般に、局所PRNコード位相を入力信号のPRNコード位相とロックさせる遅延ロックループ(DLL)を利用する。DLLの動作には、局所的に生成されたコードシーケンスと受信コードシーケンスとの間の非ゼロ位相差の存在及び極性を示すフィードバック誤差信号が必要である。通常、受信機内で、早発相関測定値及び後発相関測定値の対が作成され、2つの相関測定値間の減算を使用して、このフィードバック信号を生成するための位相弁別器が形成される。従来、この位相誤差検出を行うための局所的に生成されたPRNシーケンスの早発及び後発の対の間の時間間隔は、1チップの値であるが、特に、同じ衛星同報通信信号の周囲からの幾分かの追加の反射によって受信信号が歪む場合、改善された性能を得るために「より狭い」時間間隔を利用する傾向が増大している。
【0006】
GPS受信機は、その視界にある航法衛星のそれぞれから直接経路(ダイレクトパス)(すなわちline-of-sight:LoS)信号のみを受信することが望ましいが、これは、多くの適用シナリオにおいてほとんど実際的でない。一般に、且つ実際的に、受信信号は、受信機の視野内にある衛星からのLoS信号のみでなく、異なる経路に沿って移動していると共に周囲から受信機に反射される、同じ衛星からのマルチパス信号群も含んでいる。マルチパス信号は、直接経路信号の後に受信機に到達し、直接経路信号と結合して、DLLループ動作に悪影響を与える歪んだ信号を形成し、衛星送信コード位相と局所的に生成されたコードシーケンスのコード位相との間に同期オフセットをもたらす可能性がある。この同期オフセットは、直接、衛星と受信機との間の距離の測定における測距誤差の原因となり、受信機位置決定が、真の受信機位置から、通常、数メートルから数10メートルの大きさでずれることになる。
【0007】
マルチパス効果による誤差を最小限にするために、多数の技法が開発されてきた。これらの技法に関する調査及び考察研究は、DS−CDMA(直接拡散符合分割多元接続)通信においてマルチパス干渉を緩和するという文脈で発表されている(非特許文献1)。GPS受信機用途に焦点を当てると、特許文献1、特許文献2、特許文献3、及び特許文献4は、狭い時間遅延の早発−後発相関器の使用について論じている。特許文献5、特許文献6、特許文献7及び非特許文献2は、早発相関器と後発相関器とのアレイを使用して、LoS信号伝播時間を推定する方法を提示しており、これは、文字通りMEDLL(マルチパス推定DLL)アルゴリズムと呼ばれることが多い。MEDLL法は、特に、測定されたアレイ位置において相関曲線の歪みを推定し、反復を通じて、歪みから1つ又は複数の反射信号の大きさ及び位相を推測することによって、マルチパス誤差の寄与を測定する。
【0008】
さらなる開発において、特許文献8及び特許文献9並びに非特許文献3は、MEDLLにおいて採用された手法を、従来の三角形状PRN相関結果の代りにパルス形状を表す相関累算のアレイをもたらす、特別に配置された相関測定まで拡張した。このパルス形状の相関の変形は、非特許文献3において「視覚相関器」と呼ばれている。従来の早発−後発コード位相誤差弁別器のマルチパス干渉に対する感度を低減することに特に留意すると、多数の特許及び特許出願が、相関構成が変更された特別なコード位相誤差弁別器を開示している。例は、特許文献10(ゲート相関器のアレイが配備されている)、特許文献11及び特許文献12(マルチパス信号の寄与を抑制又はデエンファシスする、いくつかの提案される重み窓関数が詳述されている)、特許文献13(空白化されたPRNコードと呼ばれるコード遷移エッジ中心の特別な重み窓が使用される)、特許文献14(対称型タイプ又はまとめてゼロ平均される非対称型タイプのマルチパス緩和窓を利用する)、及び特許文献15(チップ境界に中心を置く狭い「W型」相関窓、及びサブクラスの狭い「W型」相関窓の一次結合を使用する)を含む。上記異なるマルチパス低減技法はすべて、相関概念に基づき、GPS受信機に対する困難なマルチパス干渉問題に取り組むことにおいて、さまざまな程度の成功をもたらした。それでもなお、制約された入力信号帯域を処理する(狭帯域受信機)ために複雑性が低く、特に近接する反射信号(すなわち、GPS C/A PRNコードの場合に最大数10ナノ秒程度までの短い遅延)がある場合に、より優れた性能を有する解決法に対し、問題が残っている。
【0009】
従来の相関概念に対して著しく異なる手法として、特許文献16は、第1の基準信号とその時間遅延したレプリカとの間の遅延を確定する、本明細書ではクロスレーションと呼ぶ技法を開示している。この方法は、ロバストであり、比較的容易にハードウェアにおいて実装することができる。特許文献17の特許出願では、障害物検出システムが、狭い間隔で配置された複数の障害物を識別する高分解能を提供すべきである用途により適しているシステムを提供することが提案されている。擬似二元波形を処理するクロスレーションを使用するさらなる態様が、無線信号反射物体を検出するという文脈で、2006年10月23日に出願された特許文献18において提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第5809064号明細書
【特許文献2】米国特許第5495499号明細書
【特許文献3】米国特許第5390207号明細書
【特許文献4】米国特許第5101416号明細書
【特許文献5】米国特許第5414729号明細書
【特許文献6】米国特許第5692008号明細書
【特許文献7】米国特許第5615232号明細書
【特許文献8】国際公開第2004/093339号パンフレット
【特許文献9】カナダ公開特許2006/02540448号明細書
【特許文献10】米国特許第6603803号明細書
【特許文献11】米国特許第5966403号明細書
【特許文献12】米国特許第6804927号明細書
【特許文献13】欧州特許出願公開第0892277号明細書
【特許文献14】国際公開第9637789号パンフレット
【特許文献15】米国特許第5808582号明細書
【特許文献16】米国特許第6539320号明細書
【特許文献17】欧州特許出願公開第1596220号明細書
【特許文献18】国際出願PCT/GB06/003944号明細書
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Elena Simona Lohan他著「Highly Efficient Techniques for Mitigating the Effects of Multipath Propagation in DS-CDMA Delay Estimation」(IEEE TRANSACTIONS ON WIRELESS COMMUNICATIONS, VOL. 4, NO. 1, JANUARY 2005)
【非特許文献2】R.D.J. Van Nee、J. Siereveld、P.C. Fenton及びB.R. Townsend著「The multipath estimating delay locked loop: Approaching theoretical accuracy limits」(Proc. IEEE Position Location Navigation Symp., vol. 1, 1994, pp. 246-251)
【非特許文献3】Patric C. Fenton及びJason Jones著「The Theory and Performance of NovAtel Inc.'s Vision Correlator」(Proceedings of ION GNSS, 2005 Long Beach, CA)
【発明の概要】
【0012】
本発明の態様は、添付の特許請求の範囲に示されている。
【0013】
一態様によれば、間に遅延を有する対応する第1の信号と第2の信号とを処理する方法であって、少なくとも第1の信号は、チップ境界を有する不規則な2進信号であり、当該方法は、値を得るために、それぞれが、同じ状態を有する第1の信号のビット間に位置するそれぞれのチップ境界の時間に対する所定の遅延時間において実質的に得られる、第2の信号のサンプルを合計することと、チップ境界間の間隔未満だけ互いに異なる、異なる所定の遅延時間に対する他の値を取得し、値が所定の遅延時間に従っていかに変化するかの表現(その表現は、第1の信号と第2の信号との間の遅延に対する所定の関係を有する遅延時間に関連するレベル変化を含む)を取得するためにサンプリングを繰り返すこととを含む信号を処理する方法が提供される。
【0014】
導入された所定の遅延が信号間の遅延と一致する時、合計されたサンプルは、所定のタイプのチップ境界に対応する時刻において、第2の信号のレベルによって確定される値をもたらし、したがって、この値は、予測通りに平均レベルと異なる。しかしながら、導入された所定の遅延が、信号間の遅延とは大幅に異なる場合、第1の信号は、不規則であり好ましくはランダムである(この用語は本明細書では擬似ランダムを含むように使用される)ため、サンプルは相関せず、したがって、それらの合計は平均値を表す。値の表現を調べることによって、平均値と所定の異なる値との間、又は2つの所定の異なる値の間の変化の位置を特定し、したがって、信号間の遅延を発見することが可能である。
【0015】
このような技法を、信号間の遅延を測定するために使用することができる。本技法が、同じ状態を有する第1の信号のビット間のチップ境界に応じてのみ得られるサンプルを含む場合、下記でタイプbと呼ぶ表現が得られる。これは、ある位置に立上り及び立下りを有し、それら位置のいずれか又は双方を、信号間の遅延を発見するために確定し且つ使用することができる。立上り及び立下りは広く離れており、これは、システムによっては、雑音及び帯域幅制限によってエッジの検出において発生する可能性のある問題を緩和するために有利であり得る。
【0016】
本技法が、同じ状態を有する第1の信号のビット間のチップ境界に応じて、且つ異なる状態間のチップ境界に応じて得られるサンプルを含む場合、下記でタイプcと呼ぶ表現が得られる。これは、ある位置に、より近いが実質的により高い立上り及び立下りを有し、このため、タイプb表現を使用する場合より雑音の影響を受けない時間遅延確定が可能になる。
【0017】
双方の場合において、サンプルを合計することによって単純に得られないが、時間的に離れたサンプル間の差を合計することによって得られる値を導出することによって、エッジの強調を得ることができ、それによって、微分が有効に行われる。したがって、たとえば、選択されたチップ境界のそれぞれによって、2つの時間的に離れたサンプルを導出することができ、それらの間の差を、先行するチップ境界に応じて累算された値に加算することができる。代替的に、各導入された遅延に対して得られたサンプルを、次に導入された遅延からのサンプルから減算することができる。さらなる代替形態として、サンプリングの前に第2の信号を微分することができる。
【0018】
上述した技法が、反対の状態のビット間のチップ境界のみを使用することによって変更された場合、以下タイプaと呼ぶ表現が得られる。これは、2006年10月23日に出願された特許文献18(図15a及び図15bを参照)に述べられているような上記で提案された技法を使用して得ることができる表現に類似している。このような表現は有用であるが、タイプb及びタイプc表現によって、早発の負のサイドローブの存在等、タイプa表現のいくつかの問題が回避される。
【0019】
本発明を、GPS及び他の同様の測位システムにおいて信号を処理するために、特に、DLLコード整列又はマルチパス混入からのLoS信号タイミング回復のためのループ位相誤差弁別器を追跡するために、有益であるように使用することができる。
【0020】
ここで、本発明を具現化する構成を、添付図面を参照して例を用いて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】標準的な従来技術によるGPS受信機構造のブロック図である。
【図2】1チップ間隔が空けられた早発−後発相関弁別器関数を示す図である。
【図3】マルチパス干渉がいかに追跡オフセットをもたらすかを示す一例を示す。
【図4】PRNコードに対するチップ境界イベントタイプの図である。
【図5】PRNチップイベントの異なる組合せを使用する場合の一次出力関数を示す。
【図6】PRNチップイベントの異なる組合せを使用する場合のパルス出力関数を示す。
【図7】PRNチップイベントに基づく、出力関数に対する信号帯域幅の影響を示す。
【図8】LoS回復アルゴリズムフローチャートである。
【図9】本発明の実施の形態1によるGPS受信機を示す。
【図10】本発明の実施の形態2によるGPS受信機を示す。
【図11】本発明の実施の形態3によるGPS受信機を示す。
【図12】本発明の実施の形態において使用することができる一次出力信号プロセッサを示す。
【図13】図12のプロセッサの動作を示す図である。
【図14】本発明の実施の形態において使用することができるパルス出力信号プロセッサを示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明を、入力GPS航法信号の処理、及びLoS信号の信号到着時間測定を行うという文脈で説明する。しかしながら、多くの代替的な実施様態が可能である。
【0023】
図1は、入力信号を処理するGPS受信機の標準的な従来技術による受信機構造を示す簡易ブロック図である。ここで、PRNコードタイプは、簡単にするために、公共民間C/A(C/A=粗いアクセス(coarse access)又は民間アクセス(civilian access))コードであるものとする。図における基本的な構成要素は、信号処理態様に関する限り、複数の同一のチャネルである。それぞれは、PRNコード発生器を、所与の衛星に対応するコードシーケンスを生成するように構成することによって、その所与の衛星を追跡する。図に示すように、受信無線周波数信号は、ダウンコンバートされた後にサンプリングされ、それらサンプルは、独立したチャネル化処理のために複数のチャネルに供給される。独立したチャネル化処理は、GPSシステムにおいて使用されるPRNコード間の直交特性に起因して可能である。
【0024】
受信機チャネルのそれぞれには、本質的に2つの閉ループが存在し、一方は、PRNコードを追跡するためのものであり、他方は、ダウンコンバートされた搬送波位相を追跡するためのものである。搬送波追跡は、通常、コスタス(Costas)位相ロックループ(PLL)構造を利用し、そこでは、ループを駆動するために逆位相タイプの位相誤差信号を導出するために、パンクチュアル相関器の出力が使用される(「パンクチュアル(punctual)」という語は、ここでは、使用されるコードが、PRN発生器の基準時間に対し意図的なオフセットがなく正確に整列されることを意味する)。コード追跡ループに対し、コード位相誤差弁別器を使用して、整列駆動信号が生成され、これは、局所PRN発生器を、通常は、DLL構成を通じて入力衛星信号のPRN発生器と同期させることを目的とする。従来、この弁別器は、局所的に生成されたコードと受信コードとの間に1チップの時間間隔がある早発−後発相関器対から形成されており、すなわち、早発相関器に使用される局所的に生成されたコードと、後発相関器に使用される局所的に生成されたコードとが、PRN発生器の基準時間に対して半チップ早く、且つ半チップ遅いように意図的にシフトされる。このようにして得られた弁別器関数は、図2に示す形状を有している。入力信号のタイミングが図2の中心勾配の引込み領域内に入ると、この領域は、1チップ分の時間幅を有し、DLLループは、局所PRN発生器を入力信号と同期させることができなければならない。ループの安定した平衡点は、中心勾配のゼロ値点にあり、これは、マルチパス信号が存在しない時に、PRN発生器の位相を入力衛星信号の位相と強制的に一致させるという効果を有している。
【0025】
入力信号が、受信機チャネルが追跡しようと試みている衛星からの複数のレプリカを含む場合、これらレプリカのそれぞれは、早発−後発弁別器出力に影響を及ぼし、その結果、合成関数波形がDLLループに作用することになる。図3は、LoS信号弁別器関数の重畳と、遅延しスケーリングされた(極性を有する)反射信号の重畳との合成関数波形の一例を示す。明らかに、合成波形のDLLループ動作の平衡ゼロ値点は、LoS信号のタイミング点に対応する点から離れるようにシフトしている。その結果、追跡ループは、マルチパス状態が変化しないままである限り、局所的に生成されたPRNコードシーケンスに対して、静的なオフセット誤差をもたらす。
【0026】
マルチパス現象によって引き起される悪影響を最小限にするように、GPS受信機内で利用することができる3つの手法が存在する。
・DLLループにおいて、マルチパスレプリカに比較的影響を受けない、改善されたコード位相誤差弁別器を設計し、利用する。目的は、可能な場合は追跡オフセットを除去し、又はDLL機構内で追跡オフセットを小さいスケールに制限し、それによって、結果としてもたらされる測距測定誤差が状況を考慮して小さいレベルで維持される。
・DLL追跡時間オフセットからもたらされる、マルチパスがもたらす測距誤差に対する影響を推定し、補償する。本質的に、この手法は、DLLループから独立して、且つその外側でタイミングオフセット問題を扱い、測距測定間隔がはるかに長いという事実によって、DLLループ制御更新より概して低頻度で推定を行うことができる。
・上記2つの手法の組合せ。
【0027】
本発明において開示する本質的な技法を、上述した手法のそれぞれに適用することができる。
【0028】
本技法は、観察窓内でのイベント駆動型信号抽出及び累算を含む。本明細書において説明する特定の例では、関係するイベントは、局所PRN発生器のチップ境界である。これらは、さらに、チップ値に応じて、且つPRNコードの対応するチップ境界において値のスイングが発生するか否かに応じて、上方遷移(up-transition)(UT)イベント、下方遷移(down-transition)(DT)イベント、正の非遷移(positive-no-transition)(PNT)イベント、及び負の非遷移(negative-no-transition)(NNT)イベントといったサブカテゴリにグループ化される。図4を参照されたい。
【0029】
図12は、本発明による技法を使用して、局所PRNコードのイベントに応じて時間遅延測定を可能にすることができる、信号プロセッサを示す。図12のプロセッサの動作原理を、図13を参照して説明する。
【0030】
図13の上部に、局所コード発生器によって生成された例示的な基準PRNコードを示す。この下に、受信信号から抽出されたPRNコードを示し、これは、基準PRNコードに対して未知の時間遅延を有している。受信PRN信号は、いくつかのタイプのイベントを除去した後(適当な場合)、局所基準PRNコードにおけるチップ境界に対応するイベントに応じてサンプリングされる。局所PRNコードにおける各選択されたイベントによって、複数の相互に遅延したサンプルが、入力PRN信号から取り出される。
【0031】
図13は、上方遷移(UT)イベント及び下方遷移(DT)イベントのみが使用される一例を示す。図13の上部に示すように、かかるイベントのそれぞれは、それぞれの時間窓を通じて入力信号の複数のサンプルの取得をトリガする。窓幅は、チップ境界の間隔の2倍以上であることが好ましい。したがって、隣接するチップ境界に対する窓がオーバラップすることが好ましい。帯域幅が8MHzの場合、サンプルは16MHzのレートで取得されることが好ましく、それによって、チップ境界間の間隔が約1μSである場合、隣接するチップ境界間の間隔に少なくとも約10〜20のサンプルがあることになる。
【0032】
時間窓を、w1、w2、…wNに示す。これらのそれぞれの窓内のサンプルは、それぞれのチップ境界に対して異なる遅延時間において取得される。特定の相対遅延時間において取得されたサンプルは、他の窓が同じタイプのイベントに一致するとすれば、それら他の窓の対応するサンプルと加算される。DTイベントによってトリガされたサンプルの累積値は、UTイベントによってトリガされた累積値から減算される。図13の下部は、複数の窓のそれぞれに関して、その窓内のサンプルの表現を、すべての窓におけるサンプル値の最終的な累積和の表現と共に示す。
【0033】
図13に示す例では、サンプリングが局所PRNコードにおける検出された遷移に応じて行われるため、サンプルを合計することによって形成された最終表現は、局所PRNコード信号と入力PRN信号との間の遅延を表す位置(局所PRNコードのイベントタイミングに対する)における極値間の遷移を示す。
【0034】
図12は、サンプリング動作及び結合動作を実行するプロセッサの1つの実施の形態を示す。上記で定義したクロスレーションPRNチップイベント(UT、DT、PNT、及びNNT)を、本質的に、イベントタイミングと符号指示とからなるものとみなすことができる。これらは、受信機内において、局所PRN発生器基準時間に対して局所的に生成される。プロセッサは、累算器Accとさまざまな遅延素子Dとのアレイを有しており、遅延素子Dのそれぞれは、受信信号を、ベースバンド入力サンプルクロック間の間隔に対応する量だけ遅延させる。プロセッサに対する制御信号はまた、サンプルクロックと同期する。
【0035】
各選択されたチップイベントは、ANDゲートの1つの入力と、遅延Dを介してANDゲートの反転入力とに送達される。したがって、ANDゲートの出力は、各選択されたチップイベントに対してイネーブルパルスを生成する。
【0036】
入力信号(x)のベースバンドサンプルは、一定遅延回路CDによって、累算器Accに送達されるために遅延される。遅延したサンプルはまた、符号反転ブロックSIによって反転し、それによって、反転したサンプルを、代替的に累算器Accに送達させることができる。
【0037】
本構成は、各チップイベントがイネーブルパルスを生成し、それによって、アレイにおける第1の累算器が、累算器の入力においてスイッチに送達される符号選択信号によって表されるイベントのタイプに応じて、入力信号xか又はその反転のいずれかをサンプリングする、というものである。
【0038】
同じ動作が、イネーブルパルス及び符号選択信号を受け取る遅延回路Dによってもたらされる遅延時間後に、次の累算器によって実行される。その後、この動作は、累算器の残りによってさらなる遅延に続いて繰り返される。したがって、各チップイベントは、窓期間を通じて複数のサンプルの捕捉を(チップイベントに対して異なる遅延で)トリガする。各累算器Accは、入力信号サンプルを累算し、累算器Accのアレイの結果は、累算期間の最後に出力を形成し、その後、累算器は、ゼロにクリアされ、新たな「累算及びダンプ」実行サイクルに備える。
【0039】
図における「一定遅延」コンポーネントは、設計整列問題を考慮して使用される。その役割は、局所PRN発生器タイミングをプロセッサ観察窓の指定された位置にシフトさせることである。また、図12のイベント入力がベースバンドサンプルクロックと同期するため、サンプルタイミングは、可能性のある遅延が最大1サンプルクロックで、真のPRNチップタイミングに近似する、ということも指摘されるべきである。これは、一般に、PRNチップクロックがサンプルクロックに対して非同期であるためである。累算サイクルにこのような遅れ傾向の近似が多数存在する場合、クロスレーション結果に対する統計的な正味の影響は、PRNチップタイミング位置が観察窓において0.5サンプル間隔前にシフトするということであり、これは、より正確な結果を得るために考慮されるべきである。
【0040】
図12の「イネーブル」信号は、チップイベントが現れると、1サンプルクロック期間有効になる。これは、加算又は減算のいずれかによる累算をもたらす「符号選択」信号と共に作用する。遅延素子は、対象領域において入力信号を抽出する機能を具現化する。
【0041】
図5は、理想的な無限の入力信号帯域幅と適当な観察窓サイズとを仮定して、単一PRNコードシーケンス(すなわちマルチパスレプリカなし)に対する特徴的なプロセッサ出力結果を示す。図に3つの出力波形を示し、そのそれぞれは、PRNコードチップイベントの異なる選択によって得られる。詳細には、図のケースa)は、図13の例に対応し、局所生成PRNコードシーケンス(図において「基準PRNコード」と示す)によって、上方遷移(加算で累算される)イベントか又は下方遷移(減算で累算される)イベントが発生する場合に、入力信号に対して累算が実行されることによって得られ、累算式が(UT−DT)として表され、ケースb)は、同様の累算手続きに対応するが、PNTイベント及びNNTイベントのみを使用し(図において式に対し(PNT−NNT)と表す)、最後に、ケースc)は、上記の2つのケースの組合せであり、すべてのイベントが使用され、特定の累算式がUT+PNT−DT−PNTとして、すなわち有効にa)及びb)の波形の和として表される。便宜上、これら3つの異なるケースを、ここでは代替的に、それぞれタイプa表現、タイプb表現、及びタイプc表現と呼ぶ。
【0042】
累算器アレイ素子の長さは、具現化されるプロセッサの観察窓のサイズを画定する。正確なサイズはタスクによって決まり、重要な特徴が範囲外にならないように十分に長くなければならない。場合によっては、図5に示す矩形波の上部領域の中間と同様にゼロ領域等、それほど重要でない予期された領域における単一サンプルより、長い間隔を有することが可能である。
【0043】
サンプル捕捉に使用されるイベントは、局所的に生成されるPRNコードに基づくが、同じシーケンスを含む入力信号は、互いに対して固定オフセットを有する正のエッジ又は負のエッジによって、出力表現に現れる。したがって、これらの表現の導関数は、常に、図6に示すように、入力PRN信号シーケンスの相対的なタイミングを示すディラックデルタ関数の形態の主成分を有する。入力信号にマルチパス成分が存在する場合、結果として得られる出力表現は、スケーリングされ且つ遅延した対応する個々の成分の出力関数の重畳である。便宜上、ここでは、図5の表現を一次表現と呼び、図6におけるそれらの微分形状をパルス表現と呼ぶことにする。
【0044】
図6におけるパルス表現のケースc)は、ケースa)のものと同じタイミング指示パルスを提供するが、ケースa)の早発のサイドローブを有していないことが留意される。これは、LoS信号検出問題を解決する際に2つの態様において有利である。第1に、最も早い雑音レベルを上回る信号パルスが、LoS信号の出力がその遅延したマルチパスレプリカの出力より高いか否かに拘らず、LoS信号となるため、検出問題が単純になる。第2に、LoSタイミングパルスに対するあり得る干渉の数が低減する。これは、LoS信号に対して約1チップ遅延しているそれら受信レプリカは、この時、タイミング点において本質的にゼロエネルギーをもたらしているためである(受信機の帯域幅が入力信号に対して常に制限されているため、実際的に重要な問題である)。ケースc)と比較して、図のケースb)を、同様に早発のサイドローブはないものとしてみなすことができるが、それは、パルスの振幅がケースc)のわずか半分であり、そのためより雑音の影響を受け易いため、概してより好ましくない。しかしながら、タイミング信号パルス(左のパルス)とその対応する後の(右の)パルスとの間の間隙がより広いため、これらのパルスのエネルギーが時間の経過によって拡散する、狭帯域低コスト受信機での使用が考慮されるオプションである。立上り及び立下りの広い分布は、エッジ検出に役立つことができる。時間遅延を、一方の又は双方のエッジの位置から確定することができる。
【0045】
パルス表現を使用することが望まれる場合、これを、差分演算子を適用することによって一次表現の後処理として得ることができるか、又は図12に示すものの代りに図14に示すもののようなプロセッサを使用することによって直接得ることができる。図14に示す構成は、図12に示すものと本質的に同一であるが、入力信号xのサンプルは、減算器SBの正入力と、遅延回路Dを介して負入力とに与えられ、それによって、減算器の出力は、入力サンプルの微分を有効にもたらす。したがって、累算器は、サンプル自体ではなく入力サンプル(又はそれらの符号反転)の導関数を受け取る。
【0046】
イベント入力は、「正常な」タイミング分岐と共にその「デルタ」遅延バージョンからのものを含む。構成は図12と同じであるが、好ましくは、ANDゲートの反転入力によって受け取られる信号に加えられる「デルタ」遅延の値が、ベースバンドサンプルクロック期間以下であることが異なる。概念的に、「デルタ」値がより狭いことによって、パルス表現は一次表現の理想的な導関数により近づく。しかしながら、これは、実際には、「デルタ」が狭いほど、図14の累算器のイネーブル信号を制御する、2つの同期チップ(近似)イベント間に入る実際の非同期PRN発生器チップタイミングイベントが少なくなるという事実によって、相殺される。これによって、パルスクロスレーション観察窓における対応するPRNチップタイミング位置を明確にする際に、幾分かの不都合な統計的変動がもたらされる可能性がある。したがって、実際の具現化では、「デルタ」時間間隔とサンプリングレートの時間間隔との間の実際的な妥協が必要である。代替的に、補間フィルタを利用して、狭い「デルタ」間隔の場合に、プロセッサに入る入力信号のデータレートを増大させることができる。
【0047】
他の構成が可能である。たとえば、パルス表現を、代りに以下によって得ることができる。
1)単一のイネーブルパルスの代りに、一対の間隔が狭いイネーブルパルスを使用し、符号選択信号が各対のイネーブルパルス間で反転するように配置する。これによって、各チップイベントによって、各累積器が入力信号xの第1のサンプルを受け取った後、わずかに時間遅延し、且つ反転した第2のサンプルを受け取ることになる。したがって、累算器は、有効に、入力信号の微分を累算することになる。又は、
2)各累算器の出力を、隣接する累算器の出力から減算することができ、これによって、パルス表現を得るために一次表現が有効に微分される。
【0048】
いずれの技法が使用されても、パルス表現は、それぞれが、他のタイプの選択されたイベント(存在する場合)のそれぞれに対する対応する和と結合される、特定のタイプの選択されたイベントによってトリガされる第1のサンプルと第2のサンプルとの間の差の和を表す連続した値を含む。
【0049】
後述するように、図12のプロセッサ及び/又は図14のプロセッサを、たとえばGPS受信機において時間遅延測定に使用することができる。いずれの場合も、出力表現を検査して、受信信号のイベントの組合せを表すレベル変化の位置(すなわち、相対遅延)が確定され、これは局所信号と受信信号との間の遅延を示す。
【0050】
タイプcパルスクロスレーション関数を使用して、最も早いパルスピーク位置検出アルゴリズムを介してLoS信号タイミングが推定されることが好ましい。これを、パルスクロスレーション出力において最も早いノイズレベルを上回るピーク位置に対する左から右への探索を通じて有利に行うことができる。フィルタインパルス応答のエネルギー集中が、従来の相関技法と比較して、明確にタイミング点の中心にあるため、マルチパス信号の悪影響が大幅に最小化され、非常に近接した遅延信号レプリカの成分にのみ制約される。
【0051】
しかしながら、正確な時間遅延測定には、一次表現の場合はエッジ、又はパルス表現の場合はスパイクの正確な位置を検出する必要がある。
【0052】
受信機の信号帯域幅は、実際のシステムでは常に制限される。8MHz入力信号帯域幅を仮定すると、図7は、GPS PRN−1コードシーケンスに対するクロスレーション結果を示し、これは、実際には、帯域幅制限フィルタのインパルス応答と無限帯域幅PRN信号の対応するクロスレーション関数との間の畳込みの等価な結果である。簡単にするために、図にはタイプc表現のみを含む。図を、図5c)及び図6c)の無限入力信号帯域幅のものと比較すると、受信機フィルタが、クロスレーション出力関数の形成に重要な役割を果たしていることが明らかである。一次クロスレーション関数におけるリンギング効果及び勾配エッジによって、入力信号のタイミングスポットを確定する際に、パルス形状の関数より扱いが不便となる。さらに、帯域幅制限フィルタの存在によって、クロスレーション関数の立上り勾配又はLoS信号パルスが、いくつかの近接するマルチパスレプリカが存在する場合にそれらによって影響を受ける可能性がある。これによって、いくつかの近接するマルチパス信号に起因してパルス形状が「歪む(skewed)」場合に、LoSタイミングを回復する方法があることが望ましい。
【0053】
近接する遅延信号レプリカからのマルチパス干渉のこの問題を緩和するために、局所フィッティングアルゴリズムを使用して、最も早いパルス形状がマルチパス信号レプリカの存在に起因して歪んでいる可能性がある表現から、LoSパルスピークタイミングスポットを回復することが好ましい。
【0054】
簡単にするために、通常は実際の場合である、ベースバンドの信号帯域幅制限フィルタのインパルス応答は対称的であるものとする。アルゴリズムを、非対称フィルタインパルス応答を含むように拡張することが可能であるが、フィッティングパラメータベクトルの次元を増大させる必要がある。
【0055】
帯域幅制限フィルタインパルス応答をf(t)として示し、f(t)はその中心t=0に対しても対称である。そして、タイプcパルス表現を、重畳から以下のように記述することができる。
【0056】
【数1】
【0057】
ここで、mは、LoS信号及びその遅延した遅延信号レプリカの双方を含む受信信号の数であり、n(t)はこの表現におけるノイズ項であり、TcはPRNコードチップ持続時間であり、aiは第i成分の振幅減衰であり、τiはその対応するタイミングである。受信機が、事前格納されたテーブルの形態か又はその分析式の形態のいずれかで有効なフィルタインパルス応答f(t)を知っていると仮定する。これを、実際には、設計の分析によって、又は較正測定を行うことによって確立することができる。
【0058】
開示したアルゴリズムの基本的な概念は、後述するように、完全な範囲の成分分解の代りに3パスモデルを用いて、受信機クロスレーション出力の最も早いピーク位置の周囲で対象領域カーブフィッティングを実行することである。このような手法の利点は、概して未知の数の成分を含む、式(1)の右側に対する正確な逆畳込み解を得るという、概して困難で、計算的に不明確であり、且つコストのかかる問題を回避する可能性がある、ということである。このような簡易化が可能であるのは、GPS及び他の飛行時間検出用途の場合、LoS信号のタイミング情報のみが必要であるためである。
【0059】
3パスモデルのパラメータをベクトル形式で示すと、以下のようになる。
【0060】
【数2】
【0061】
そして、以下の式(3)に基づく局所フィッティングから、LoSタイミング推定値
【数3】
を抽出することができる。
【0062】
【数4】
【0063】
式(3)において、間隔[tp−R1,tp+Rh]は、最も早いピーク位置tpの周囲のフィッティング領域を定義する。これは、R1=Rhと設定することによって対称であってもよく、又は異なる値を選択することによって非対称であってもよい。領域のサイズは、概して、入力信号の帯域幅の逆数の1倍から1.4倍の間、すなわちインパルス関数メインローブのゼロからゼロの幅のおよそ50%〜70%であるべきである。重み関数w(t)が含まれることによって、通常ピーク位置の近傍における、フィッティングプロセス中の重みが微調整されるが、それを単純に1に設定することができる。式(3)の項
【数5】
は、間隔[tp−R1,tp+Rh]に対し(1)に表されるパルスクロスレーション出力の3パスモデル近似値を表す。モデルでは、後発のサイドローブは、それらからの寄与が、少なくとも略1チップの遅延であることと、インパルス関数f(t)の概して明確なパルスエネルギー集中とによって、LoSタイミング位置の近傍では本質的にゼロであるため、モデルでは無視されることに留意されたい。
【0064】
(3)の最小化プロセスは、6次元最適化を含む。これを、減衰量(a0,a1,a2)の確定を、最小二乗平均又は遅延パラメータの所与のセット(τ0,τ1,τ2)に対する他の適当な技法によって別個に行うことができるようにする、「歪み関数」を定義し利用することによって、ベクトル空間[τ0,τ1,τ2]において3次元探索まで簡略化することができる。
【0065】
「歪み関数」y(k)は、以下のように、推定されたタイミング点τ0が、クロスレーション出力X(t)におけるLoS成分パルスの真のタイミング点(すなわち、メインローブの中心にある)であると仮定し、仮定されたLoSタイミングτ0に対して等しい時間間隔でX(t)の減算を実行することによって、形成される。
【0066】
【数6】
【0067】
ここで、δはデジタル化サンプリング時間間隔である。X(t)を対象領域におけるその3パスモデル近似値に置き換え、u(k)で新たな雑音項を示すことによって、以下のようになる。
【0068】
【数7】
【0069】
f(t)が対称である場合、LoS信号からの寄与はゼロであり、そのため、y(k)は、以下のように、2つの遅延したマルチパス成分によってもたらされる歪み項のみ(そのため選択された名前「歪み関数」)まで低減される。
【0070】
【数8】
【0071】
「歪み関数」(5b)から、f(t)は既知であり、且つ(τ1,τ2)は探索プロセスにおいて与えられるため、(a1,a2)に対する解を以下のように得ることができる。
【0072】
【数9】
【0073】
この最小化の解は簡単であり、最小二乗手法又は他の任意の適当な最適化技法を使用して効率的に行うことができる。この後、a0の推定値を、(τ0,τ1,τ2)を考慮して既存の
【数10】
次第で、以下の線形回帰を用いて単純に得ることができる。
【0074】
【数11】
【0075】
「歪み関数」概念を利用して、図8は、遅延空間探索演算アルゴリズムをフローチャートとして示す。パルスクロスレーション出力におけるLoS信号成分に対するマルチパス干渉決定が、3パスモデルτ0<τ1<τ2の近接した遅延信号レプリカに制約されるため、アルゴリズムの探索空間が大幅に低減される。これが、τ0に対する初期推定値がすでに正確であるという利点と組み合わされ、アルゴリズムを、適度な計算要件でのリアルタイム演算に対して実行可能とする。
【0076】
図9は、本発明によるGPS受信機の1つの実施の形態を示す。搬送波追跡の場合、図12に示すもののようなプロセッサを使用してタイプc表現が生成され、そこから、局所的に生成されたPRN信号と受信PRNコードとの間の遅延を、結果として得られたパルス(図5c参照)の立上りの位置から確定することができる。時間遅延を表す出力が、搬送波位相を追跡する搬送波追跡ブロックに与えられる。これはまた、本質的に既知の方法で、航法メッセージデータ回復ブロックにおいて、航法メッセージを導出するためにも使用される。タイミング推定器ブロックは、局所PRNコードのタイミングを表す信号と、タイプc一次表現プロセッサから局所コードと受信PRNコードとの間の遅延を表すさらなる信号とを受け取り、これらから、チャネルに対する必要なタイミング信号を計算する。タイミング推定値は、図8に関して説明したカーブフィッティング手続きを使用することによって改良されることが好ましい。
【0077】
本実施の形態は、PRNコード追跡DLLループに対して従来の早発−後発相関器弁別器を保持している。したがって、PRNコード発生器自体は、マルチパス信号レプリカが存在する場合にオフセットにある可能性がある。これは、タイプcイベントプロセッサからの入力とPRNコード発生器からの局所PRN基準タイミングとを取得するタイミング推定器ブロックによるタイミング出力の前に緩和される。イベントプロセッサ出力はまた、データ抽出及び搬送波PLLループ位相追跡にも使用される。これらタスクに対してイベントプロセッサ出力から必要な信号を導出するために、複数のオプションが利用可能である。特に、一例として、タイプc一次表現における局所基準タイミング点から開始して、1チップ長さの時間窓に対応するプロセッサ出力サンプルを累算することによって、従来のパンクチュアル相関器からのものと等価な出力信号がもたらされ、それによって、この例の場合、従来のパンクチュアル相関器と同様に追跡及びデータ抽出を実行することができる。
【0078】
図10は、タイプc表現が使用される別の実施の形態を示す。この場合、搬送波追跡は、従来のパンクチュアル相関器によって行われるが、タイミング推定及び航法メッセージ回復は、たとえば、図14に示すもののようなプロセッサから、タイプcパルス表現出力から導出される遅延測定値に応じて実行される。
【0079】
図11は、タイプa表現及びタイプc表現の双方が利用されるさらに別の実施の形態を示す。これは図10と同様であるが、搬送波追跡は、たとえば、図12に示すもののようなプロセッサから、タイプa一次表現出力に応じて実行されることが異なる。タイプa一次表現は、システムの誤動作を検出するためにチップ形状を監視する都合のよい手段を提供することが留意されるべきである。さらに、コードループDLL弁別器及び航法メッセージデータリカバリを、図に示すものとは別の構成として、タイプa一次表現からそれらの値を導出するように構成することができる。
【0080】
さまざまな変更が可能である。説明した例では、第1の(局所的に生成された)信号と第2の(受信)信号とは便宜上双極性であるが、これは必須ではない。両信号は2進であるが、これもまた必須ではない。たとえば、第1の信号を、アナログ信号をハードリミットすることによって導出することができる。したがって、それら信号が、イベント間隔が一致する一連のイベントを有するという点で一致するが、他の点では異なってもよい。説明した実施の形態は、別個の成分がそれぞれの導入された遅延に対して使用されるという点で、並列に動作する。しかしながら、同じ累算器が可変遅延回路と共に使用される直列構成を使用することも可能である。説明した実施の形態では、信号対雑音比を向上させるためPNTチップ境界及びNNTチップ境界の双方が使用されているが、それは必須ではない。また、タイプc表現を得る場合に、UT境界及びDT境界の双方を使用することは必須ではない。
【技術分野】
【0001】
本発明は、包括的には時間遅延測定に関する。本発明は、詳細には、これに限定されるものではないが、スペクトラム拡散無線信号の到着時間の正確な測定を必要とするシステムに対して、特に、時間測定が不可欠であり、理想的には、周囲の反射(すなわち、マルチパス現象)によってもたらされる受信無線信号の歪みの影響を受けにくいものであるべき全地球的航法衛星システム(GNSS)受信機に対して適用可能である。
【背景技術】
【0002】
長年、スペクトラム拡散無線信号は、測距の用途に利用されてきた。1つの既知の例は、航法スペクトル拡散無線信号を送信する複数の地球周回衛星を含む全地球測位システム(GPS)である。これらの航法無線信号は、GPSシステム時間と同期して衛星特定の擬似ランダム雑音(PRN)コードシーケンスを用いて同期変調されるLバンド搬送波である。GPS受信機は、特定の衛星に対し、その衛星からの信号送信とその受信機への到着との間の時間差を測定することによって、測距評価を行うことができる。その後、この時間差は、測定された時間差に光の速度を乗算することによって、その等価距離に変換される。三角測量原理に基づき、3つの衛星の測距値の最小値を確定することができると、受信機は、衛星位置に基づいてその位置を導出することができる。衛星位置は、無線周波数搬送波を変調するPRNの上に「ピギーバックされ」て航法メッセージに埋め込まれている。
【0003】
時間差を確定するために、GPS受信機は、局所的に生成されたPRNシーケンスを、コード通信衛星によって送信されたPRNシーケンスと整列させる。完全な整列が達成され維持されると、局所PRN生成プロセスは、信号送信衛星のプロセスと同期しているとみなされる。したがって、衛星信号送信時間を、局所PRN生成プロセスの内部状態から推測することができ、必要な時間差を、受信機内のローカルクロックに従って測定することができる。コスト及びサイズに関して考慮しなければならないため、多くのGPS受信機は、安価なローカルクロック源しか利用せず、それは、衛星に存在しているものより必然的にはるかに不正確であり且つ安定していない。しかしながら、受信機位置確定手続きに追加の衛星測距を含めることによって、このローカルクロックの精度の低下を、容易に較正することができる。言い換えれば、入手可能な4つの衛星測距値のうちの最小値を用いて、受信機位置及び受信機ローカルクロック時間オフセットを容易に確立することができる。
【0004】
局所的に生成されたPRNコードを送信衛星信号のPRNコードに整列させることには、一般に、(a)衛星PRNコードの捕捉ステップと、(b)コードの追跡ステップとが含まれる。捕捉ステップは、通常、受信機が一連の相関測定を行うこと、すなわち、受信変調信号を、時間がPRNコードシーケンスの単一チップ又は1チップの半分だけ離れている局所的に生成されたレプリカと相互相関させることからなる。これは、一般に、コード位相探索操作と呼ばれる。相互相関のうちの1つによって、動作マージンを含む背景ノイズフロアを上回るように設定されている事前設定された閾値を超える値が明らかとなる場合、探索は終了する。この探索を終了する相関測定値に関連する、対応するコード位相は、局所的に生成されたPRNコードに対する粗整列である。この後、追跡手続きが開始する。これは、捕捉段階からの最大で半チップの大きさまでのあり得る粗整列誤差を略ゼロまで低減し、それ以降、位相同期を維持することを目的とする。
【0005】
追跡操作は、一般に、局所PRNコード位相を入力信号のPRNコード位相とロックさせる遅延ロックループ(DLL)を利用する。DLLの動作には、局所的に生成されたコードシーケンスと受信コードシーケンスとの間の非ゼロ位相差の存在及び極性を示すフィードバック誤差信号が必要である。通常、受信機内で、早発相関測定値及び後発相関測定値の対が作成され、2つの相関測定値間の減算を使用して、このフィードバック信号を生成するための位相弁別器が形成される。従来、この位相誤差検出を行うための局所的に生成されたPRNシーケンスの早発及び後発の対の間の時間間隔は、1チップの値であるが、特に、同じ衛星同報通信信号の周囲からの幾分かの追加の反射によって受信信号が歪む場合、改善された性能を得るために「より狭い」時間間隔を利用する傾向が増大している。
【0006】
GPS受信機は、その視界にある航法衛星のそれぞれから直接経路(ダイレクトパス)(すなわちline-of-sight:LoS)信号のみを受信することが望ましいが、これは、多くの適用シナリオにおいてほとんど実際的でない。一般に、且つ実際的に、受信信号は、受信機の視野内にある衛星からのLoS信号のみでなく、異なる経路に沿って移動していると共に周囲から受信機に反射される、同じ衛星からのマルチパス信号群も含んでいる。マルチパス信号は、直接経路信号の後に受信機に到達し、直接経路信号と結合して、DLLループ動作に悪影響を与える歪んだ信号を形成し、衛星送信コード位相と局所的に生成されたコードシーケンスのコード位相との間に同期オフセットをもたらす可能性がある。この同期オフセットは、直接、衛星と受信機との間の距離の測定における測距誤差の原因となり、受信機位置決定が、真の受信機位置から、通常、数メートルから数10メートルの大きさでずれることになる。
【0007】
マルチパス効果による誤差を最小限にするために、多数の技法が開発されてきた。これらの技法に関する調査及び考察研究は、DS−CDMA(直接拡散符合分割多元接続)通信においてマルチパス干渉を緩和するという文脈で発表されている(非特許文献1)。GPS受信機用途に焦点を当てると、特許文献1、特許文献2、特許文献3、及び特許文献4は、狭い時間遅延の早発−後発相関器の使用について論じている。特許文献5、特許文献6、特許文献7及び非特許文献2は、早発相関器と後発相関器とのアレイを使用して、LoS信号伝播時間を推定する方法を提示しており、これは、文字通りMEDLL(マルチパス推定DLL)アルゴリズムと呼ばれることが多い。MEDLL法は、特に、測定されたアレイ位置において相関曲線の歪みを推定し、反復を通じて、歪みから1つ又は複数の反射信号の大きさ及び位相を推測することによって、マルチパス誤差の寄与を測定する。
【0008】
さらなる開発において、特許文献8及び特許文献9並びに非特許文献3は、MEDLLにおいて採用された手法を、従来の三角形状PRN相関結果の代りにパルス形状を表す相関累算のアレイをもたらす、特別に配置された相関測定まで拡張した。このパルス形状の相関の変形は、非特許文献3において「視覚相関器」と呼ばれている。従来の早発−後発コード位相誤差弁別器のマルチパス干渉に対する感度を低減することに特に留意すると、多数の特許及び特許出願が、相関構成が変更された特別なコード位相誤差弁別器を開示している。例は、特許文献10(ゲート相関器のアレイが配備されている)、特許文献11及び特許文献12(マルチパス信号の寄与を抑制又はデエンファシスする、いくつかの提案される重み窓関数が詳述されている)、特許文献13(空白化されたPRNコードと呼ばれるコード遷移エッジ中心の特別な重み窓が使用される)、特許文献14(対称型タイプ又はまとめてゼロ平均される非対称型タイプのマルチパス緩和窓を利用する)、及び特許文献15(チップ境界に中心を置く狭い「W型」相関窓、及びサブクラスの狭い「W型」相関窓の一次結合を使用する)を含む。上記異なるマルチパス低減技法はすべて、相関概念に基づき、GPS受信機に対する困難なマルチパス干渉問題に取り組むことにおいて、さまざまな程度の成功をもたらした。それでもなお、制約された入力信号帯域を処理する(狭帯域受信機)ために複雑性が低く、特に近接する反射信号(すなわち、GPS C/A PRNコードの場合に最大数10ナノ秒程度までの短い遅延)がある場合に、より優れた性能を有する解決法に対し、問題が残っている。
【0009】
従来の相関概念に対して著しく異なる手法として、特許文献16は、第1の基準信号とその時間遅延したレプリカとの間の遅延を確定する、本明細書ではクロスレーションと呼ぶ技法を開示している。この方法は、ロバストであり、比較的容易にハードウェアにおいて実装することができる。特許文献17の特許出願では、障害物検出システムが、狭い間隔で配置された複数の障害物を識別する高分解能を提供すべきである用途により適しているシステムを提供することが提案されている。擬似二元波形を処理するクロスレーションを使用するさらなる態様が、無線信号反射物体を検出するという文脈で、2006年10月23日に出願された特許文献18において提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第5809064号明細書
【特許文献2】米国特許第5495499号明細書
【特許文献3】米国特許第5390207号明細書
【特許文献4】米国特許第5101416号明細書
【特許文献5】米国特許第5414729号明細書
【特許文献6】米国特許第5692008号明細書
【特許文献7】米国特許第5615232号明細書
【特許文献8】国際公開第2004/093339号パンフレット
【特許文献9】カナダ公開特許2006/02540448号明細書
【特許文献10】米国特許第6603803号明細書
【特許文献11】米国特許第5966403号明細書
【特許文献12】米国特許第6804927号明細書
【特許文献13】欧州特許出願公開第0892277号明細書
【特許文献14】国際公開第9637789号パンフレット
【特許文献15】米国特許第5808582号明細書
【特許文献16】米国特許第6539320号明細書
【特許文献17】欧州特許出願公開第1596220号明細書
【特許文献18】国際出願PCT/GB06/003944号明細書
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Elena Simona Lohan他著「Highly Efficient Techniques for Mitigating the Effects of Multipath Propagation in DS-CDMA Delay Estimation」(IEEE TRANSACTIONS ON WIRELESS COMMUNICATIONS, VOL. 4, NO. 1, JANUARY 2005)
【非特許文献2】R.D.J. Van Nee、J. Siereveld、P.C. Fenton及びB.R. Townsend著「The multipath estimating delay locked loop: Approaching theoretical accuracy limits」(Proc. IEEE Position Location Navigation Symp., vol. 1, 1994, pp. 246-251)
【非特許文献3】Patric C. Fenton及びJason Jones著「The Theory and Performance of NovAtel Inc.'s Vision Correlator」(Proceedings of ION GNSS, 2005 Long Beach, CA)
【発明の概要】
【0012】
本発明の態様は、添付の特許請求の範囲に示されている。
【0013】
一態様によれば、間に遅延を有する対応する第1の信号と第2の信号とを処理する方法であって、少なくとも第1の信号は、チップ境界を有する不規則な2進信号であり、当該方法は、値を得るために、それぞれが、同じ状態を有する第1の信号のビット間に位置するそれぞれのチップ境界の時間に対する所定の遅延時間において実質的に得られる、第2の信号のサンプルを合計することと、チップ境界間の間隔未満だけ互いに異なる、異なる所定の遅延時間に対する他の値を取得し、値が所定の遅延時間に従っていかに変化するかの表現(その表現は、第1の信号と第2の信号との間の遅延に対する所定の関係を有する遅延時間に関連するレベル変化を含む)を取得するためにサンプリングを繰り返すこととを含む信号を処理する方法が提供される。
【0014】
導入された所定の遅延が信号間の遅延と一致する時、合計されたサンプルは、所定のタイプのチップ境界に対応する時刻において、第2の信号のレベルによって確定される値をもたらし、したがって、この値は、予測通りに平均レベルと異なる。しかしながら、導入された所定の遅延が、信号間の遅延とは大幅に異なる場合、第1の信号は、不規則であり好ましくはランダムである(この用語は本明細書では擬似ランダムを含むように使用される)ため、サンプルは相関せず、したがって、それらの合計は平均値を表す。値の表現を調べることによって、平均値と所定の異なる値との間、又は2つの所定の異なる値の間の変化の位置を特定し、したがって、信号間の遅延を発見することが可能である。
【0015】
このような技法を、信号間の遅延を測定するために使用することができる。本技法が、同じ状態を有する第1の信号のビット間のチップ境界に応じてのみ得られるサンプルを含む場合、下記でタイプbと呼ぶ表現が得られる。これは、ある位置に立上り及び立下りを有し、それら位置のいずれか又は双方を、信号間の遅延を発見するために確定し且つ使用することができる。立上り及び立下りは広く離れており、これは、システムによっては、雑音及び帯域幅制限によってエッジの検出において発生する可能性のある問題を緩和するために有利であり得る。
【0016】
本技法が、同じ状態を有する第1の信号のビット間のチップ境界に応じて、且つ異なる状態間のチップ境界に応じて得られるサンプルを含む場合、下記でタイプcと呼ぶ表現が得られる。これは、ある位置に、より近いが実質的により高い立上り及び立下りを有し、このため、タイプb表現を使用する場合より雑音の影響を受けない時間遅延確定が可能になる。
【0017】
双方の場合において、サンプルを合計することによって単純に得られないが、時間的に離れたサンプル間の差を合計することによって得られる値を導出することによって、エッジの強調を得ることができ、それによって、微分が有効に行われる。したがって、たとえば、選択されたチップ境界のそれぞれによって、2つの時間的に離れたサンプルを導出することができ、それらの間の差を、先行するチップ境界に応じて累算された値に加算することができる。代替的に、各導入された遅延に対して得られたサンプルを、次に導入された遅延からのサンプルから減算することができる。さらなる代替形態として、サンプリングの前に第2の信号を微分することができる。
【0018】
上述した技法が、反対の状態のビット間のチップ境界のみを使用することによって変更された場合、以下タイプaと呼ぶ表現が得られる。これは、2006年10月23日に出願された特許文献18(図15a及び図15bを参照)に述べられているような上記で提案された技法を使用して得ることができる表現に類似している。このような表現は有用であるが、タイプb及びタイプc表現によって、早発の負のサイドローブの存在等、タイプa表現のいくつかの問題が回避される。
【0019】
本発明を、GPS及び他の同様の測位システムにおいて信号を処理するために、特に、DLLコード整列又はマルチパス混入からのLoS信号タイミング回復のためのループ位相誤差弁別器を追跡するために、有益であるように使用することができる。
【0020】
ここで、本発明を具現化する構成を、添付図面を参照して例を用いて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】標準的な従来技術によるGPS受信機構造のブロック図である。
【図2】1チップ間隔が空けられた早発−後発相関弁別器関数を示す図である。
【図3】マルチパス干渉がいかに追跡オフセットをもたらすかを示す一例を示す。
【図4】PRNコードに対するチップ境界イベントタイプの図である。
【図5】PRNチップイベントの異なる組合せを使用する場合の一次出力関数を示す。
【図6】PRNチップイベントの異なる組合せを使用する場合のパルス出力関数を示す。
【図7】PRNチップイベントに基づく、出力関数に対する信号帯域幅の影響を示す。
【図8】LoS回復アルゴリズムフローチャートである。
【図9】本発明の実施の形態1によるGPS受信機を示す。
【図10】本発明の実施の形態2によるGPS受信機を示す。
【図11】本発明の実施の形態3によるGPS受信機を示す。
【図12】本発明の実施の形態において使用することができる一次出力信号プロセッサを示す。
【図13】図12のプロセッサの動作を示す図である。
【図14】本発明の実施の形態において使用することができるパルス出力信号プロセッサを示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明を、入力GPS航法信号の処理、及びLoS信号の信号到着時間測定を行うという文脈で説明する。しかしながら、多くの代替的な実施様態が可能である。
【0023】
図1は、入力信号を処理するGPS受信機の標準的な従来技術による受信機構造を示す簡易ブロック図である。ここで、PRNコードタイプは、簡単にするために、公共民間C/A(C/A=粗いアクセス(coarse access)又は民間アクセス(civilian access))コードであるものとする。図における基本的な構成要素は、信号処理態様に関する限り、複数の同一のチャネルである。それぞれは、PRNコード発生器を、所与の衛星に対応するコードシーケンスを生成するように構成することによって、その所与の衛星を追跡する。図に示すように、受信無線周波数信号は、ダウンコンバートされた後にサンプリングされ、それらサンプルは、独立したチャネル化処理のために複数のチャネルに供給される。独立したチャネル化処理は、GPSシステムにおいて使用されるPRNコード間の直交特性に起因して可能である。
【0024】
受信機チャネルのそれぞれには、本質的に2つの閉ループが存在し、一方は、PRNコードを追跡するためのものであり、他方は、ダウンコンバートされた搬送波位相を追跡するためのものである。搬送波追跡は、通常、コスタス(Costas)位相ロックループ(PLL)構造を利用し、そこでは、ループを駆動するために逆位相タイプの位相誤差信号を導出するために、パンクチュアル相関器の出力が使用される(「パンクチュアル(punctual)」という語は、ここでは、使用されるコードが、PRN発生器の基準時間に対し意図的なオフセットがなく正確に整列されることを意味する)。コード追跡ループに対し、コード位相誤差弁別器を使用して、整列駆動信号が生成され、これは、局所PRN発生器を、通常は、DLL構成を通じて入力衛星信号のPRN発生器と同期させることを目的とする。従来、この弁別器は、局所的に生成されたコードと受信コードとの間に1チップの時間間隔がある早発−後発相関器対から形成されており、すなわち、早発相関器に使用される局所的に生成されたコードと、後発相関器に使用される局所的に生成されたコードとが、PRN発生器の基準時間に対して半チップ早く、且つ半チップ遅いように意図的にシフトされる。このようにして得られた弁別器関数は、図2に示す形状を有している。入力信号のタイミングが図2の中心勾配の引込み領域内に入ると、この領域は、1チップ分の時間幅を有し、DLLループは、局所PRN発生器を入力信号と同期させることができなければならない。ループの安定した平衡点は、中心勾配のゼロ値点にあり、これは、マルチパス信号が存在しない時に、PRN発生器の位相を入力衛星信号の位相と強制的に一致させるという効果を有している。
【0025】
入力信号が、受信機チャネルが追跡しようと試みている衛星からの複数のレプリカを含む場合、これらレプリカのそれぞれは、早発−後発弁別器出力に影響を及ぼし、その結果、合成関数波形がDLLループに作用することになる。図3は、LoS信号弁別器関数の重畳と、遅延しスケーリングされた(極性を有する)反射信号の重畳との合成関数波形の一例を示す。明らかに、合成波形のDLLループ動作の平衡ゼロ値点は、LoS信号のタイミング点に対応する点から離れるようにシフトしている。その結果、追跡ループは、マルチパス状態が変化しないままである限り、局所的に生成されたPRNコードシーケンスに対して、静的なオフセット誤差をもたらす。
【0026】
マルチパス現象によって引き起される悪影響を最小限にするように、GPS受信機内で利用することができる3つの手法が存在する。
・DLLループにおいて、マルチパスレプリカに比較的影響を受けない、改善されたコード位相誤差弁別器を設計し、利用する。目的は、可能な場合は追跡オフセットを除去し、又はDLL機構内で追跡オフセットを小さいスケールに制限し、それによって、結果としてもたらされる測距測定誤差が状況を考慮して小さいレベルで維持される。
・DLL追跡時間オフセットからもたらされる、マルチパスがもたらす測距誤差に対する影響を推定し、補償する。本質的に、この手法は、DLLループから独立して、且つその外側でタイミングオフセット問題を扱い、測距測定間隔がはるかに長いという事実によって、DLLループ制御更新より概して低頻度で推定を行うことができる。
・上記2つの手法の組合せ。
【0027】
本発明において開示する本質的な技法を、上述した手法のそれぞれに適用することができる。
【0028】
本技法は、観察窓内でのイベント駆動型信号抽出及び累算を含む。本明細書において説明する特定の例では、関係するイベントは、局所PRN発生器のチップ境界である。これらは、さらに、チップ値に応じて、且つPRNコードの対応するチップ境界において値のスイングが発生するか否かに応じて、上方遷移(up-transition)(UT)イベント、下方遷移(down-transition)(DT)イベント、正の非遷移(positive-no-transition)(PNT)イベント、及び負の非遷移(negative-no-transition)(NNT)イベントといったサブカテゴリにグループ化される。図4を参照されたい。
【0029】
図12は、本発明による技法を使用して、局所PRNコードのイベントに応じて時間遅延測定を可能にすることができる、信号プロセッサを示す。図12のプロセッサの動作原理を、図13を参照して説明する。
【0030】
図13の上部に、局所コード発生器によって生成された例示的な基準PRNコードを示す。この下に、受信信号から抽出されたPRNコードを示し、これは、基準PRNコードに対して未知の時間遅延を有している。受信PRN信号は、いくつかのタイプのイベントを除去した後(適当な場合)、局所基準PRNコードにおけるチップ境界に対応するイベントに応じてサンプリングされる。局所PRNコードにおける各選択されたイベントによって、複数の相互に遅延したサンプルが、入力PRN信号から取り出される。
【0031】
図13は、上方遷移(UT)イベント及び下方遷移(DT)イベントのみが使用される一例を示す。図13の上部に示すように、かかるイベントのそれぞれは、それぞれの時間窓を通じて入力信号の複数のサンプルの取得をトリガする。窓幅は、チップ境界の間隔の2倍以上であることが好ましい。したがって、隣接するチップ境界に対する窓がオーバラップすることが好ましい。帯域幅が8MHzの場合、サンプルは16MHzのレートで取得されることが好ましく、それによって、チップ境界間の間隔が約1μSである場合、隣接するチップ境界間の間隔に少なくとも約10〜20のサンプルがあることになる。
【0032】
時間窓を、w1、w2、…wNに示す。これらのそれぞれの窓内のサンプルは、それぞれのチップ境界に対して異なる遅延時間において取得される。特定の相対遅延時間において取得されたサンプルは、他の窓が同じタイプのイベントに一致するとすれば、それら他の窓の対応するサンプルと加算される。DTイベントによってトリガされたサンプルの累積値は、UTイベントによってトリガされた累積値から減算される。図13の下部は、複数の窓のそれぞれに関して、その窓内のサンプルの表現を、すべての窓におけるサンプル値の最終的な累積和の表現と共に示す。
【0033】
図13に示す例では、サンプリングが局所PRNコードにおける検出された遷移に応じて行われるため、サンプルを合計することによって形成された最終表現は、局所PRNコード信号と入力PRN信号との間の遅延を表す位置(局所PRNコードのイベントタイミングに対する)における極値間の遷移を示す。
【0034】
図12は、サンプリング動作及び結合動作を実行するプロセッサの1つの実施の形態を示す。上記で定義したクロスレーションPRNチップイベント(UT、DT、PNT、及びNNT)を、本質的に、イベントタイミングと符号指示とからなるものとみなすことができる。これらは、受信機内において、局所PRN発生器基準時間に対して局所的に生成される。プロセッサは、累算器Accとさまざまな遅延素子Dとのアレイを有しており、遅延素子Dのそれぞれは、受信信号を、ベースバンド入力サンプルクロック間の間隔に対応する量だけ遅延させる。プロセッサに対する制御信号はまた、サンプルクロックと同期する。
【0035】
各選択されたチップイベントは、ANDゲートの1つの入力と、遅延Dを介してANDゲートの反転入力とに送達される。したがって、ANDゲートの出力は、各選択されたチップイベントに対してイネーブルパルスを生成する。
【0036】
入力信号(x)のベースバンドサンプルは、一定遅延回路CDによって、累算器Accに送達されるために遅延される。遅延したサンプルはまた、符号反転ブロックSIによって反転し、それによって、反転したサンプルを、代替的に累算器Accに送達させることができる。
【0037】
本構成は、各チップイベントがイネーブルパルスを生成し、それによって、アレイにおける第1の累算器が、累算器の入力においてスイッチに送達される符号選択信号によって表されるイベントのタイプに応じて、入力信号xか又はその反転のいずれかをサンプリングする、というものである。
【0038】
同じ動作が、イネーブルパルス及び符号選択信号を受け取る遅延回路Dによってもたらされる遅延時間後に、次の累算器によって実行される。その後、この動作は、累算器の残りによってさらなる遅延に続いて繰り返される。したがって、各チップイベントは、窓期間を通じて複数のサンプルの捕捉を(チップイベントに対して異なる遅延で)トリガする。各累算器Accは、入力信号サンプルを累算し、累算器Accのアレイの結果は、累算期間の最後に出力を形成し、その後、累算器は、ゼロにクリアされ、新たな「累算及びダンプ」実行サイクルに備える。
【0039】
図における「一定遅延」コンポーネントは、設計整列問題を考慮して使用される。その役割は、局所PRN発生器タイミングをプロセッサ観察窓の指定された位置にシフトさせることである。また、図12のイベント入力がベースバンドサンプルクロックと同期するため、サンプルタイミングは、可能性のある遅延が最大1サンプルクロックで、真のPRNチップタイミングに近似する、ということも指摘されるべきである。これは、一般に、PRNチップクロックがサンプルクロックに対して非同期であるためである。累算サイクルにこのような遅れ傾向の近似が多数存在する場合、クロスレーション結果に対する統計的な正味の影響は、PRNチップタイミング位置が観察窓において0.5サンプル間隔前にシフトするということであり、これは、より正確な結果を得るために考慮されるべきである。
【0040】
図12の「イネーブル」信号は、チップイベントが現れると、1サンプルクロック期間有効になる。これは、加算又は減算のいずれかによる累算をもたらす「符号選択」信号と共に作用する。遅延素子は、対象領域において入力信号を抽出する機能を具現化する。
【0041】
図5は、理想的な無限の入力信号帯域幅と適当な観察窓サイズとを仮定して、単一PRNコードシーケンス(すなわちマルチパスレプリカなし)に対する特徴的なプロセッサ出力結果を示す。図に3つの出力波形を示し、そのそれぞれは、PRNコードチップイベントの異なる選択によって得られる。詳細には、図のケースa)は、図13の例に対応し、局所生成PRNコードシーケンス(図において「基準PRNコード」と示す)によって、上方遷移(加算で累算される)イベントか又は下方遷移(減算で累算される)イベントが発生する場合に、入力信号に対して累算が実行されることによって得られ、累算式が(UT−DT)として表され、ケースb)は、同様の累算手続きに対応するが、PNTイベント及びNNTイベントのみを使用し(図において式に対し(PNT−NNT)と表す)、最後に、ケースc)は、上記の2つのケースの組合せであり、すべてのイベントが使用され、特定の累算式がUT+PNT−DT−PNTとして、すなわち有効にa)及びb)の波形の和として表される。便宜上、これら3つの異なるケースを、ここでは代替的に、それぞれタイプa表現、タイプb表現、及びタイプc表現と呼ぶ。
【0042】
累算器アレイ素子の長さは、具現化されるプロセッサの観察窓のサイズを画定する。正確なサイズはタスクによって決まり、重要な特徴が範囲外にならないように十分に長くなければならない。場合によっては、図5に示す矩形波の上部領域の中間と同様にゼロ領域等、それほど重要でない予期された領域における単一サンプルより、長い間隔を有することが可能である。
【0043】
サンプル捕捉に使用されるイベントは、局所的に生成されるPRNコードに基づくが、同じシーケンスを含む入力信号は、互いに対して固定オフセットを有する正のエッジ又は負のエッジによって、出力表現に現れる。したがって、これらの表現の導関数は、常に、図6に示すように、入力PRN信号シーケンスの相対的なタイミングを示すディラックデルタ関数の形態の主成分を有する。入力信号にマルチパス成分が存在する場合、結果として得られる出力表現は、スケーリングされ且つ遅延した対応する個々の成分の出力関数の重畳である。便宜上、ここでは、図5の表現を一次表現と呼び、図6におけるそれらの微分形状をパルス表現と呼ぶことにする。
【0044】
図6におけるパルス表現のケースc)は、ケースa)のものと同じタイミング指示パルスを提供するが、ケースa)の早発のサイドローブを有していないことが留意される。これは、LoS信号検出問題を解決する際に2つの態様において有利である。第1に、最も早い雑音レベルを上回る信号パルスが、LoS信号の出力がその遅延したマルチパスレプリカの出力より高いか否かに拘らず、LoS信号となるため、検出問題が単純になる。第2に、LoSタイミングパルスに対するあり得る干渉の数が低減する。これは、LoS信号に対して約1チップ遅延しているそれら受信レプリカは、この時、タイミング点において本質的にゼロエネルギーをもたらしているためである(受信機の帯域幅が入力信号に対して常に制限されているため、実際的に重要な問題である)。ケースc)と比較して、図のケースb)を、同様に早発のサイドローブはないものとしてみなすことができるが、それは、パルスの振幅がケースc)のわずか半分であり、そのためより雑音の影響を受け易いため、概してより好ましくない。しかしながら、タイミング信号パルス(左のパルス)とその対応する後の(右の)パルスとの間の間隙がより広いため、これらのパルスのエネルギーが時間の経過によって拡散する、狭帯域低コスト受信機での使用が考慮されるオプションである。立上り及び立下りの広い分布は、エッジ検出に役立つことができる。時間遅延を、一方の又は双方のエッジの位置から確定することができる。
【0045】
パルス表現を使用することが望まれる場合、これを、差分演算子を適用することによって一次表現の後処理として得ることができるか、又は図12に示すものの代りに図14に示すもののようなプロセッサを使用することによって直接得ることができる。図14に示す構成は、図12に示すものと本質的に同一であるが、入力信号xのサンプルは、減算器SBの正入力と、遅延回路Dを介して負入力とに与えられ、それによって、減算器の出力は、入力サンプルの微分を有効にもたらす。したがって、累算器は、サンプル自体ではなく入力サンプル(又はそれらの符号反転)の導関数を受け取る。
【0046】
イベント入力は、「正常な」タイミング分岐と共にその「デルタ」遅延バージョンからのものを含む。構成は図12と同じであるが、好ましくは、ANDゲートの反転入力によって受け取られる信号に加えられる「デルタ」遅延の値が、ベースバンドサンプルクロック期間以下であることが異なる。概念的に、「デルタ」値がより狭いことによって、パルス表現は一次表現の理想的な導関数により近づく。しかしながら、これは、実際には、「デルタ」が狭いほど、図14の累算器のイネーブル信号を制御する、2つの同期チップ(近似)イベント間に入る実際の非同期PRN発生器チップタイミングイベントが少なくなるという事実によって、相殺される。これによって、パルスクロスレーション観察窓における対応するPRNチップタイミング位置を明確にする際に、幾分かの不都合な統計的変動がもたらされる可能性がある。したがって、実際の具現化では、「デルタ」時間間隔とサンプリングレートの時間間隔との間の実際的な妥協が必要である。代替的に、補間フィルタを利用して、狭い「デルタ」間隔の場合に、プロセッサに入る入力信号のデータレートを増大させることができる。
【0047】
他の構成が可能である。たとえば、パルス表現を、代りに以下によって得ることができる。
1)単一のイネーブルパルスの代りに、一対の間隔が狭いイネーブルパルスを使用し、符号選択信号が各対のイネーブルパルス間で反転するように配置する。これによって、各チップイベントによって、各累積器が入力信号xの第1のサンプルを受け取った後、わずかに時間遅延し、且つ反転した第2のサンプルを受け取ることになる。したがって、累算器は、有効に、入力信号の微分を累算することになる。又は、
2)各累算器の出力を、隣接する累算器の出力から減算することができ、これによって、パルス表現を得るために一次表現が有効に微分される。
【0048】
いずれの技法が使用されても、パルス表現は、それぞれが、他のタイプの選択されたイベント(存在する場合)のそれぞれに対する対応する和と結合される、特定のタイプの選択されたイベントによってトリガされる第1のサンプルと第2のサンプルとの間の差の和を表す連続した値を含む。
【0049】
後述するように、図12のプロセッサ及び/又は図14のプロセッサを、たとえばGPS受信機において時間遅延測定に使用することができる。いずれの場合も、出力表現を検査して、受信信号のイベントの組合せを表すレベル変化の位置(すなわち、相対遅延)が確定され、これは局所信号と受信信号との間の遅延を示す。
【0050】
タイプcパルスクロスレーション関数を使用して、最も早いパルスピーク位置検出アルゴリズムを介してLoS信号タイミングが推定されることが好ましい。これを、パルスクロスレーション出力において最も早いノイズレベルを上回るピーク位置に対する左から右への探索を通じて有利に行うことができる。フィルタインパルス応答のエネルギー集中が、従来の相関技法と比較して、明確にタイミング点の中心にあるため、マルチパス信号の悪影響が大幅に最小化され、非常に近接した遅延信号レプリカの成分にのみ制約される。
【0051】
しかしながら、正確な時間遅延測定には、一次表現の場合はエッジ、又はパルス表現の場合はスパイクの正確な位置を検出する必要がある。
【0052】
受信機の信号帯域幅は、実際のシステムでは常に制限される。8MHz入力信号帯域幅を仮定すると、図7は、GPS PRN−1コードシーケンスに対するクロスレーション結果を示し、これは、実際には、帯域幅制限フィルタのインパルス応答と無限帯域幅PRN信号の対応するクロスレーション関数との間の畳込みの等価な結果である。簡単にするために、図にはタイプc表現のみを含む。図を、図5c)及び図6c)の無限入力信号帯域幅のものと比較すると、受信機フィルタが、クロスレーション出力関数の形成に重要な役割を果たしていることが明らかである。一次クロスレーション関数におけるリンギング効果及び勾配エッジによって、入力信号のタイミングスポットを確定する際に、パルス形状の関数より扱いが不便となる。さらに、帯域幅制限フィルタの存在によって、クロスレーション関数の立上り勾配又はLoS信号パルスが、いくつかの近接するマルチパスレプリカが存在する場合にそれらによって影響を受ける可能性がある。これによって、いくつかの近接するマルチパス信号に起因してパルス形状が「歪む(skewed)」場合に、LoSタイミングを回復する方法があることが望ましい。
【0053】
近接する遅延信号レプリカからのマルチパス干渉のこの問題を緩和するために、局所フィッティングアルゴリズムを使用して、最も早いパルス形状がマルチパス信号レプリカの存在に起因して歪んでいる可能性がある表現から、LoSパルスピークタイミングスポットを回復することが好ましい。
【0054】
簡単にするために、通常は実際の場合である、ベースバンドの信号帯域幅制限フィルタのインパルス応答は対称的であるものとする。アルゴリズムを、非対称フィルタインパルス応答を含むように拡張することが可能であるが、フィッティングパラメータベクトルの次元を増大させる必要がある。
【0055】
帯域幅制限フィルタインパルス応答をf(t)として示し、f(t)はその中心t=0に対しても対称である。そして、タイプcパルス表現を、重畳から以下のように記述することができる。
【0056】
【数1】
【0057】
ここで、mは、LoS信号及びその遅延した遅延信号レプリカの双方を含む受信信号の数であり、n(t)はこの表現におけるノイズ項であり、TcはPRNコードチップ持続時間であり、aiは第i成分の振幅減衰であり、τiはその対応するタイミングである。受信機が、事前格納されたテーブルの形態か又はその分析式の形態のいずれかで有効なフィルタインパルス応答f(t)を知っていると仮定する。これを、実際には、設計の分析によって、又は較正測定を行うことによって確立することができる。
【0058】
開示したアルゴリズムの基本的な概念は、後述するように、完全な範囲の成分分解の代りに3パスモデルを用いて、受信機クロスレーション出力の最も早いピーク位置の周囲で対象領域カーブフィッティングを実行することである。このような手法の利点は、概して未知の数の成分を含む、式(1)の右側に対する正確な逆畳込み解を得るという、概して困難で、計算的に不明確であり、且つコストのかかる問題を回避する可能性がある、ということである。このような簡易化が可能であるのは、GPS及び他の飛行時間検出用途の場合、LoS信号のタイミング情報のみが必要であるためである。
【0059】
3パスモデルのパラメータをベクトル形式で示すと、以下のようになる。
【0060】
【数2】
【0061】
そして、以下の式(3)に基づく局所フィッティングから、LoSタイミング推定値
【数3】
を抽出することができる。
【0062】
【数4】
【0063】
式(3)において、間隔[tp−R1,tp+Rh]は、最も早いピーク位置tpの周囲のフィッティング領域を定義する。これは、R1=Rhと設定することによって対称であってもよく、又は異なる値を選択することによって非対称であってもよい。領域のサイズは、概して、入力信号の帯域幅の逆数の1倍から1.4倍の間、すなわちインパルス関数メインローブのゼロからゼロの幅のおよそ50%〜70%であるべきである。重み関数w(t)が含まれることによって、通常ピーク位置の近傍における、フィッティングプロセス中の重みが微調整されるが、それを単純に1に設定することができる。式(3)の項
【数5】
は、間隔[tp−R1,tp+Rh]に対し(1)に表されるパルスクロスレーション出力の3パスモデル近似値を表す。モデルでは、後発のサイドローブは、それらからの寄与が、少なくとも略1チップの遅延であることと、インパルス関数f(t)の概して明確なパルスエネルギー集中とによって、LoSタイミング位置の近傍では本質的にゼロであるため、モデルでは無視されることに留意されたい。
【0064】
(3)の最小化プロセスは、6次元最適化を含む。これを、減衰量(a0,a1,a2)の確定を、最小二乗平均又は遅延パラメータの所与のセット(τ0,τ1,τ2)に対する他の適当な技法によって別個に行うことができるようにする、「歪み関数」を定義し利用することによって、ベクトル空間[τ0,τ1,τ2]において3次元探索まで簡略化することができる。
【0065】
「歪み関数」y(k)は、以下のように、推定されたタイミング点τ0が、クロスレーション出力X(t)におけるLoS成分パルスの真のタイミング点(すなわち、メインローブの中心にある)であると仮定し、仮定されたLoSタイミングτ0に対して等しい時間間隔でX(t)の減算を実行することによって、形成される。
【0066】
【数6】
【0067】
ここで、δはデジタル化サンプリング時間間隔である。X(t)を対象領域におけるその3パスモデル近似値に置き換え、u(k)で新たな雑音項を示すことによって、以下のようになる。
【0068】
【数7】
【0069】
f(t)が対称である場合、LoS信号からの寄与はゼロであり、そのため、y(k)は、以下のように、2つの遅延したマルチパス成分によってもたらされる歪み項のみ(そのため選択された名前「歪み関数」)まで低減される。
【0070】
【数8】
【0071】
「歪み関数」(5b)から、f(t)は既知であり、且つ(τ1,τ2)は探索プロセスにおいて与えられるため、(a1,a2)に対する解を以下のように得ることができる。
【0072】
【数9】
【0073】
この最小化の解は簡単であり、最小二乗手法又は他の任意の適当な最適化技法を使用して効率的に行うことができる。この後、a0の推定値を、(τ0,τ1,τ2)を考慮して既存の
【数10】
次第で、以下の線形回帰を用いて単純に得ることができる。
【0074】
【数11】
【0075】
「歪み関数」概念を利用して、図8は、遅延空間探索演算アルゴリズムをフローチャートとして示す。パルスクロスレーション出力におけるLoS信号成分に対するマルチパス干渉決定が、3パスモデルτ0<τ1<τ2の近接した遅延信号レプリカに制約されるため、アルゴリズムの探索空間が大幅に低減される。これが、τ0に対する初期推定値がすでに正確であるという利点と組み合わされ、アルゴリズムを、適度な計算要件でのリアルタイム演算に対して実行可能とする。
【0076】
図9は、本発明によるGPS受信機の1つの実施の形態を示す。搬送波追跡の場合、図12に示すもののようなプロセッサを使用してタイプc表現が生成され、そこから、局所的に生成されたPRN信号と受信PRNコードとの間の遅延を、結果として得られたパルス(図5c参照)の立上りの位置から確定することができる。時間遅延を表す出力が、搬送波位相を追跡する搬送波追跡ブロックに与えられる。これはまた、本質的に既知の方法で、航法メッセージデータ回復ブロックにおいて、航法メッセージを導出するためにも使用される。タイミング推定器ブロックは、局所PRNコードのタイミングを表す信号と、タイプc一次表現プロセッサから局所コードと受信PRNコードとの間の遅延を表すさらなる信号とを受け取り、これらから、チャネルに対する必要なタイミング信号を計算する。タイミング推定値は、図8に関して説明したカーブフィッティング手続きを使用することによって改良されることが好ましい。
【0077】
本実施の形態は、PRNコード追跡DLLループに対して従来の早発−後発相関器弁別器を保持している。したがって、PRNコード発生器自体は、マルチパス信号レプリカが存在する場合にオフセットにある可能性がある。これは、タイプcイベントプロセッサからの入力とPRNコード発生器からの局所PRN基準タイミングとを取得するタイミング推定器ブロックによるタイミング出力の前に緩和される。イベントプロセッサ出力はまた、データ抽出及び搬送波PLLループ位相追跡にも使用される。これらタスクに対してイベントプロセッサ出力から必要な信号を導出するために、複数のオプションが利用可能である。特に、一例として、タイプc一次表現における局所基準タイミング点から開始して、1チップ長さの時間窓に対応するプロセッサ出力サンプルを累算することによって、従来のパンクチュアル相関器からのものと等価な出力信号がもたらされ、それによって、この例の場合、従来のパンクチュアル相関器と同様に追跡及びデータ抽出を実行することができる。
【0078】
図10は、タイプc表現が使用される別の実施の形態を示す。この場合、搬送波追跡は、従来のパンクチュアル相関器によって行われるが、タイミング推定及び航法メッセージ回復は、たとえば、図14に示すもののようなプロセッサから、タイプcパルス表現出力から導出される遅延測定値に応じて実行される。
【0079】
図11は、タイプa表現及びタイプc表現の双方が利用されるさらに別の実施の形態を示す。これは図10と同様であるが、搬送波追跡は、たとえば、図12に示すもののようなプロセッサから、タイプa一次表現出力に応じて実行されることが異なる。タイプa一次表現は、システムの誤動作を検出するためにチップ形状を監視する都合のよい手段を提供することが留意されるべきである。さらに、コードループDLL弁別器及び航法メッセージデータリカバリを、図に示すものとは別の構成として、タイプa一次表現からそれらの値を導出するように構成することができる。
【0080】
さまざまな変更が可能である。説明した例では、第1の(局所的に生成された)信号と第2の(受信)信号とは便宜上双極性であるが、これは必須ではない。両信号は2進であるが、これもまた必須ではない。たとえば、第1の信号を、アナログ信号をハードリミットすることによって導出することができる。したがって、それら信号が、イベント間隔が一致する一連のイベントを有するという点で一致するが、他の点では異なってもよい。説明した実施の形態は、別個の成分がそれぞれの導入された遅延に対して使用されるという点で、並列に動作する。しかしながら、同じ累算器が可変遅延回路と共に使用される直列構成を使用することも可能である。説明した実施の形態では、信号対雑音比を向上させるためPNTチップ境界及びNNTチップ境界の双方が使用されているが、それは必須ではない。また、タイプc表現を得る場合に、UT境界及びDT境界の双方を使用することは必須ではない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
間に遅延を有する対応する第1の信号と第2の信号とを処理する方法であって、少なくとも前記第1の信号は、チップ境界を有する不規則な2進信号であり、該方法は、
値を得るために、それぞれが、同じ状態を有する前記第1の信号のビット間に位置するそれぞれのチップ境界の時間に対する所定の遅延時間において実質的に得られる、前記第2の信号のサンプルを合計することと、
チップ境界間の間隔未満だけ互いに異なる、異なる所定の遅延時間に対する他の値を取得し、前記値が前記所定の遅延時間に従っていかに変化するかの表現(該表現は、前記第1の信号と前記第2の信号との間の前記遅延に対する所定の関係を有する遅延時間に関連するレベル変化を含む)を取得するために前記サンプリングを繰り返すことと
を含む信号を処理する方法。
【請求項2】
前記合計されたサンプルは、同じ状態のビット間のチップ境界に応じてのみ得られる請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記値は、第1の状態のビット間のチップ境界に応じて得られたサンプルの合計から、第2の状態のビット間のチップ境界に応じて得られたサンプルの合計を減算したものを表す請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記合計されたサンプルは、同じ状態のビット間のチップ境界に応じて且つ異なる状態のビット間のチップ境界に応じて得られる請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記値は、第1の状態のビット間のチップ境界に応じて且つ第1のタイプの状態遷移が存在するチップ境界に応じて得られたサンプルの合計から、第2の状態のビット間のチップ境界に応じて且つ第2のタイプの状態遷移が存在するチップ境界に応じて得られたサンプルの合計を減算したものを表す請求項4に記載の方法。
【請求項6】
各前記値は、時間的に離れたサンプルの対間の差の合計を表し、前記レベル変化は、パルスを含む請求項1ないし5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
関連付けられる導入された遅延を確定するために、前記レベル変化に対してカーブフィッティングアルゴリズムを適用するステップを含む請求項1ないし6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記カーブフィッティングアルゴリズムは、3パスモデルを使用する請求項7に記載の方法。
【請求項9】
第1の信号及び第2の信号を処理する請求項1ないし8のいずれか1項に記載の手段と、前記レベル変化に応じて前記第1の信号と前記第2の信号との間の遅延を表す信号を提供する手段とを備える時間遅延測定装置。
【請求項10】
局所PRNコード発生器と、前記コード発生器によって生成されるコードと受信無線信号から得られるコードとの間の時間遅延を測定するように構成された請求項9に記載の時間遅延測定装置とを有する無線受信機。
【請求項11】
前記無線受信機は、複数のチャネルと、各チャネルにおいて、局所的に生成されたPRNコードとそれぞれの衛星からの信号から得られるコードとの間の時間遅延を測定する請求項9に記載の時間遅延測定装置とを有するGPS受信機である請求項10に記載の無線受信機。
【請求項12】
請求項1ないし8のいずれか1項に記載の方法を実行する手段を備える装置。
【請求項13】
請求項2又は3に記載の方法を実行する手段と、請求項4又は5に記載の方法を実行する手段とを備える請求項12に記載の装置。
【請求項14】
請求項2又は3に記載の方法、及び請求項4又は5に記載の方法の双方を実行することが可能な手段又は実行するために適した手段を備える請求項12に記載の装置。
【請求項1】
間に遅延を有する対応する第1の信号と第2の信号とを処理する方法であって、少なくとも前記第1の信号は、チップ境界を有する不規則な2進信号であり、該方法は、
値を得るために、それぞれが、同じ状態を有する前記第1の信号のビット間に位置するそれぞれのチップ境界の時間に対する所定の遅延時間において実質的に得られる、前記第2の信号のサンプルを合計することと、
チップ境界間の間隔未満だけ互いに異なる、異なる所定の遅延時間に対する他の値を取得し、前記値が前記所定の遅延時間に従っていかに変化するかの表現(該表現は、前記第1の信号と前記第2の信号との間の前記遅延に対する所定の関係を有する遅延時間に関連するレベル変化を含む)を取得するために前記サンプリングを繰り返すことと
を含む信号を処理する方法。
【請求項2】
前記合計されたサンプルは、同じ状態のビット間のチップ境界に応じてのみ得られる請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記値は、第1の状態のビット間のチップ境界に応じて得られたサンプルの合計から、第2の状態のビット間のチップ境界に応じて得られたサンプルの合計を減算したものを表す請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記合計されたサンプルは、同じ状態のビット間のチップ境界に応じて且つ異なる状態のビット間のチップ境界に応じて得られる請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記値は、第1の状態のビット間のチップ境界に応じて且つ第1のタイプの状態遷移が存在するチップ境界に応じて得られたサンプルの合計から、第2の状態のビット間のチップ境界に応じて且つ第2のタイプの状態遷移が存在するチップ境界に応じて得られたサンプルの合計を減算したものを表す請求項4に記載の方法。
【請求項6】
各前記値は、時間的に離れたサンプルの対間の差の合計を表し、前記レベル変化は、パルスを含む請求項1ないし5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
関連付けられる導入された遅延を確定するために、前記レベル変化に対してカーブフィッティングアルゴリズムを適用するステップを含む請求項1ないし6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記カーブフィッティングアルゴリズムは、3パスモデルを使用する請求項7に記載の方法。
【請求項9】
第1の信号及び第2の信号を処理する請求項1ないし8のいずれか1項に記載の手段と、前記レベル変化に応じて前記第1の信号と前記第2の信号との間の遅延を表す信号を提供する手段とを備える時間遅延測定装置。
【請求項10】
局所PRNコード発生器と、前記コード発生器によって生成されるコードと受信無線信号から得られるコードとの間の時間遅延を測定するように構成された請求項9に記載の時間遅延測定装置とを有する無線受信機。
【請求項11】
前記無線受信機は、複数のチャネルと、各チャネルにおいて、局所的に生成されたPRNコードとそれぞれの衛星からの信号から得られるコードとの間の時間遅延を測定する請求項9に記載の時間遅延測定装置とを有するGPS受信機である請求項10に記載の無線受信機。
【請求項12】
請求項1ないし8のいずれか1項に記載の方法を実行する手段を備える装置。
【請求項13】
請求項2又は3に記載の方法を実行する手段と、請求項4又は5に記載の方法を実行する手段とを備える請求項12に記載の装置。
【請求項14】
請求項2又は3に記載の方法、及び請求項4又は5に記載の方法の双方を実行することが可能な手段又は実行するために適した手段を備える請求項12に記載の装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公表番号】特表2010−519527(P2010−519527A)
【公表日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−550322(P2009−550322)
【出願日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際出願番号】PCT/GB2008/001119
【国際公開番号】WO2008/119972
【国際公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【出願人】(501253316)ミツビシ・エレクトリック・アールアンドディー・センター・ヨーロッパ・ビーヴィ (77)
【氏名又は名称原語表記】MITSUBISHI ELECTRIC R&D CENTRE EUROPE B.V.
【住所又は居所原語表記】20 Frederick Sanger Road, The Surrey Research Park, Guildford, Surrey GU2 5YD, Great Britain
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際出願番号】PCT/GB2008/001119
【国際公開番号】WO2008/119972
【国際公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【出願人】(501253316)ミツビシ・エレクトリック・アールアンドディー・センター・ヨーロッパ・ビーヴィ (77)
【氏名又は名称原語表記】MITSUBISHI ELECTRIC R&D CENTRE EUROPE B.V.
【住所又は居所原語表記】20 Frederick Sanger Road, The Surrey Research Park, Guildford, Surrey GU2 5YD, Great Britain
【Fターム(参考)】
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