普通型コンバイン
【課題】掻込リールの自動変速により、各種の作業走行について安定で無駄の無いリール変速動作を確保しつつ、手動変速時を含めて無駄な対応変速動作を回避してリール変速部の耐久性を確保することができる普通型コンバインを提供する。
【解決手段】普通型コンバインは、原動部(1)から刈取部(4)に刈取動力を受ける刈取入力軸(4a)と、この刈取入力軸(4a)から掻込リール(7)を無段階に変速伝動するリール変速部(6)と、このリール変速部(6)の出力回転速度を指示目標に沿って変速制御する制御部(C)とを備えて構成され、上記制御部(C)は、刈取走行に使用する車速範囲を複数に区分して定めた車速区分別の目標回転速度を指示目標として変速制御するとともに、上記刈取入力軸(4a)に受ける刈取動力の停止に応じてリール変速部(6)の変速制御を停止するものである。
【解決手段】普通型コンバインは、原動部(1)から刈取部(4)に刈取動力を受ける刈取入力軸(4a)と、この刈取入力軸(4a)から掻込リール(7)を無段階に変速伝動するリール変速部(6)と、このリール変速部(6)の出力回転速度を指示目標に沿って変速制御する制御部(C)とを備えて構成され、上記制御部(C)は、刈取走行に使用する車速範囲を複数に区分して定めた車速区分別の目標回転速度を指示目標として変速制御するとともに、上記刈取入力軸(4a)に受ける刈取動力の停止に応じてリール変速部(6)の変速制御を停止するものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、刈取部に掻込リールを備えた普通型コンバインに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1、特許文献2に示すように、刈取部に掻込リールを備えた普通型コンバインが知られている。この普通型コンバインは、機体に搭載した原動部から刈取動力を受けて刈取部の掻込リールを含む各機器を駆動する刈取入力軸と、この刈取入力軸から掻込リールに至る伝動系に介設して無段階に変速伝動するリール変速部と、このリール変速部を変速制御する制御部とを備え、刈取走行においてリール回転の手動変速制御が可能であり、また、走行車速に応じた回転速度て掻込リールを駆動する自動変速制御を選択することにより、車速の異なる各種の刈取走行について、安定した穀物刈取が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−213383号公報
【特許文献2】特開2007−195557号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、刈取走行において走行車速が変動すると、リール変速部の対応変速動作により掻込リールが追従変速されることにより、時にハンチングによって回転の不安定化を招くのみならず、リール変速部の頻繁な変速動作により、簡易な構成で多用される割プーリ式無段変速機構等によるリール変速部の耐久性の低下が避けられないという問題があり、また、リール回転の手動変速制御を含め、刈取走行中におけるエンジン停止にも制御目標の回転速度に調整するべくリール変速部が無駄な対応変速動作をするという問題があった。
【0005】
本発明の目的は、刈取部の掻込リール回転の自動変速により、車速の異なる各種の作業走行について、安定で無駄の無いリール変速動作を確保しつつ、手動変速を含む作業走行中におけるエンジン停止等の際の無駄な対応変速動作を解消してリール変速部の耐久性を確保することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、原動部(1)から伝達される動力を刈取部(4)に入力する刈取入力軸(4a)と、この刈取入力軸(4a)から伝達される動力で掻込リール(7)を無段階に変速伝動するリール変速部(6)と、このリール変速部(6)の出力回転速度を目標回転速度に沿って変速制御する制御部(C)とを備えた普通型コンバインにおいて、上記制御部(C)は、刈取走行に使用する車速範囲を複数に区分して定めた車速区分別の目標回転速度を目標としてリール変速部(6)を変速制御するとともに、上記刈取入力軸(4a)に入力される動力の伝達停止に基づいてリール変速部(6)の変速制御を停止する構成としたことを特徴とする普通型コンバインとする。
【0007】
上記掻込リールを備えた普通型コンバインは、原動部から刈取入力軸に受けた刈取動力が同刈取入力軸を介して掻込リールを含む刈取諸機器に伝動され、掻込リールはリール変速部を介してに変速伝動され、このリール変速部は、制御部により、車速区分に応じて段階的に変化する出力回転速度で掻込リールを変速伝動するとともに、刈取入力軸に受ける刈取動力の停止時に変速制御を停止する。
【0008】
請求項2に係る発明は、前記刈取入力軸(4a)に入力される動力の伝達停止は、原動部(1)に設けた原動部回転センサの検出信号による原動部(1)の停止に基づいて判定する構成としたことを特徴とする請求項1記載の普通型コンバインとする。
上記原動部回転センサによって刈取動力の停止が検出される。
【0009】
請求項3に係る発明は、前記刈取入力軸(4a)に入力される動力の伝達停止は、該刈取入力軸(4a)への動力の伝達を断接操作する刈脱モノレバー(15)に設けたレバーポジションセンサの操作位置信号による刈取部(4)の停止ポジション位置への操作に基づいて判定する構成としたことを特徴とする請求項1記載の普通型コンバインとする。
上記刈脱モノレバーによる停止操作によって刈取動力の停止が検出される。
【0010】
請求項4に係る発明は、前記刈取入力軸(4a)に入力される動力の伝達停止は、該刈取入力軸(4a)への動力の伝達を断接する刈取クラッチ(3)に設けた断接センサの検出信号による刈取クラッチの伝動切断動作に基づいて判定する構成としたことを特徴とする請求項1記載の普通型コンバインとする。
上記刈取クラッチの動力切断動作によって刈取動力の停止が検出される。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の発明によると、原動部(1)から刈取入力軸(4a)に入力された動力が、この刈取入力軸(4a)を介して掻込リール(7)を含む刈取各部に伝動され、掻込リール(7)はリール変速部(6)を介してに変速伝動され、このリール変速部(6)は、リール変速制御を行う制御部(C)により、車速区分に応じて段階的に変化する出力回転速度で掻込リール(7)を変速駆動するとともに、刈取入力軸(4a)に入力される動力の伝達停止時に変速制御を停止する。したがって、上記リール変速制御により、刈取走行時の車速変動によるハンチング動作等の不安定なリール変速動作が抑えられるとともに、作業区分と対応して車速区分を設定することにより、刈取走行におけるリール変速部(6)の変速動作が車速対応変速の場合より小さく抑えることができ、また、刈取入力軸(4a)に入力される動力の伝達停止の際は、変速動作が停止されることにより、車速区分に対応するリール回転を維持するための変速調節動作が抑えられることから、リール回転の安定化とともにリール変速部(6)の耐久性の向上を図ることができる。
【0012】
請求項2に係る発明は、請求項1の効果に加え、原動部回転センサの検出信号による簡易な構成によって刈取入力軸(4a)に入力される動力の伝達停止を確実に検出することができる。
【0013】
請求項3に係る発明は、請求項1の効果に加え、刈脱モノレバーに設けたレバーポジションセンサによる簡易な構成によって刈取入力軸(4a)に入力される動力の伝達停止を確実に検出することができる。
【0014】
請求項4に係る発明は、請求項1の効果に加え、刈取クラッチに設けた断接センサの検出信号による簡易な構成によって刈取入力軸(4a)に入力される動力の伝達停止を確実に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】刈取部の伝動系統展開線図
【図2】リール変速部の回転速度制御のシステム構成図
【図3】リール回転制御の処理手順(その1)
【図4】リール回転制御の処理手順(その2)
【図5】複数特性を併記した回転速度特性線図
【図6】機体旋回に関する制御システム構成図
【図7】複合スイッチによる制御のフローチャート
【図8】リール下降を連動制御するフローチャート
【図9】リール上下限値の算出のフローチャート
【図10】リール異常のフローチャート
【図11】普通型コンバインの側面図
【図12】刈取部の拡大側面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
上記技術思想に基づいて具体的に構成された実施の形態について以下に図面を参照しつつ説明する。
本発明の適用対象となる普通型コンバイン1は、図11に示すように、圃場走行可能な機体の前部に回転可能に掻込リール7を備えた昇降可能な刈取部Aを備え、機体後部には、刈取部Aで刈取った穀物を受けて脱穀する脱穀部Bと、その脱穀穀物を投入貯留する貯留部Cを備えて構成される。
【0017】
刈取部Aは、図12に示すように、機体の前端に設けた刈取入力軸4aについて昇降可能に軸支し、前端部に支持アーム7aによって掻込リール7を高さ調節可能に軸支し、その下側位置に、刈刃5b、幅寄せオーガ5a、フィーダチェーン5cを順に配置することにより、刈取と後送を行う。
【0018】
刈取部Aの伝動構成は、その伝動系統展開線図を図1に示すように、ディーゼルエンジン等による原動部1から走行変速部2を各種機器の動力を分岐しつつ、ベルトテンション式等による刈取クラッチ3を介して刈取部Aの各機器を駆動する刈取入力軸4aに刈取動力を受け、この刈取入力軸4aから幅寄せオーガ5a、刈刃5b、フィーダチェーン5cに伝動するとともに、電動式割プーリ機構等によって無段階に変速伝動するリール変速部6を介して掻込リール7に伝動し、リール変速部6の変速制御によって掻込リール7を手動変速とともに所定のリール変速自動制御を選択可能に構成する。
【0019】
リール変速部6の回転速度制御は、システム構成図を図2に示すように、リール変速部6を増減速動作させるリール回転速制御手段11を制御部Cに構成し、条件に応じて掻込リール7を所定の回転速度に調節するリール変速自動制御の適用を選択するためのリール変速自動スイッチ12、手動変速操作のための増減速スイッチ13のほか、機器センサとして刈取クラッチのオン・オフセンサ14、刈脱モノレバーのポジションセンサ15、リール回転センサ16、エンジン回転センサ17、車速センサ18を接続し、リール回転速制御手段11により、掻込リール7が条件に応じて設定した目標の回転速度となるように構成する。
【0020】
リール変速自動制御によるリール変速部6の具体的な制御は、刈取走行の車速域を複数の車速区分に分けてそれぞれに対応して段階的に変化する出力回転速度を設定し、この設定回転速度を目標として車速区分に応じてリール変速部6の変速比を段階的に制御するとともに、刈取入力軸4aに受ける刈取動力の停止検出に応じてリール変速部6の変速比をそのまま維持するべく変速制御を停止する。
【0021】
具体的な処理手順について、5段階の車速レベル1〜5に応じた目標回転数(rpm)を31(336)、42(454)、52(553)、61(652)、74(790)とした例を、図3のリール回転制御のフローチャート(その1)および図4のリール回転制御のフローチャート(その2)により以下に説明する。
【0022】
まず、図3のリール回転制御のフローチャート(その1)に示すように、リール変速自動スイッチ12の操作によってリール変速自動制御が適用される場合は、速度レベルの判定処理のステップ1(以下において「S1」の如く略記する。)によって速度レベルが1の場合は、車速が0.45m/s以上であれば速度レベルを2とし(S1a、S1b)て隣接の車速区分とし、また、速度レベルが2の判定(S2)の場合は、車速が0.75m/s以上であれば速度レベルを3とし(S2a、S2b)、車速が0.35m/s以下であれば速度レベルを1とし(S1a、S1b)て所定の車速範囲を外れると隣接の車速区分に変更する。
【0023】
同様にして、速度レベルの判定(S3、S4)によりそれぞれの場合に対応する所定の車速範囲を外れると隣接の車速区分に変更し、速度レベルが5の判定(S5)の場合は、車速が1.25m/s以下であれば速度レベルを4とすることにより、車速区分の判定を行う。また、刈取クラッチオフの場合はリール駆動ディレータイムセット(S6,S6a)を行うことにより、刈取クラッチオンから刈取駆動開始後における刈取部の回転数の安定に必要な遅延時間を確保して刈取装置各部の破損、過負荷を防止する。
【0024】
続いて、図4のリール回転制御のフローチャート(その2)に示すように、エンジン1の駆動中、刈取クラッチ3のオン、脱穀クラッチオン、リール駆動ディレーアップに該当しない場合と、ロール低回転異常の場合について以下の処理をパス(S11a〜S11e)する。
【0025】
他の場合については、リール自動オフがオンになった場合は、リール自動開始ディレーセット(S11f,S11g)を行い、非該当であればリール回転目標セット(S11h)を行い、その直前になされた作業者の手動操作の意図が反映されるように、リール自動ディレーアップ(S11j)を待ってからリール自動変速処理に入る。
【0026】
次いで、リール回転が車速区分対応の目標回転以上の判定(S12)に該当すれば、制御指示の対応動作が確認できる範囲で、すなわち、回転差が不感帯幅を超え、後述のリール減速異常に非該当で、リール回転が下限値を超える範囲(S12a〜S12c)である場合に限りリール減速を行い(S12d、S12e)、逆に、リール回転が車速区分対応の目標回転以下の判定(S13)に該当すれば、制御指示の対応動作が確認できる範囲で、すなわち、回転差が不感帯幅を超え、後述のリール減速異常に非該当で、リール回転が上限値に満たない範囲(S13a〜S13c)である場合に限りリール増速を行い(S13d、S13e)を行うことにより、目標回転速度を維持するべくリール変速部6を制御する。
【0027】
なお、上記リール回転制御の初期処理におけるリール上下限値の算出処理(S0a)は、リール変速部6の変速比範囲と対応するリール回転速度の上下限値をエンジン回転数に応じて変更するものであり、詳細には、図9のフローチャートに示すように、エンジン回転が500rpm以下の場合にリール回転の上下限をそれぞれ850、257rpm(S41,S41a)とし、他の場合は、下限が99rpm(S43,S43a)、上限が929rpm(S45,S45a)を限度として、エンジン回転対応の所定の上下限をそれぞれ算出(S44,S42)する。
【0028】
また、上記リール回転制御の初期処理におけるリールダイヤル操作(S0b)は、リール変速を規定する多段階の変速特性を作業者が圃場条件により選択した調整ダイヤル位置と対応して読み込む処理であり、詳細は後述する。
【0029】
さらに、リール回転異常判定は、図10のフローチャートに示すように、刈取クラッチオン、リール駆動ディレーアップ、エンジン駆動中の場合(S51〜S53)に、リール回転が10rpm以下を条件にリール低回転異常セット(S54,S54a)をし、リール増速中(S55)の場合は所定のリール回転増速が無く、増速異常タイマアップ(S55a〜S55c)であればリール増速異常セット(S55d)をし、また、リール減速中の場合(S56)は所定のリール回転減速が無く、異常タイマアップ(S56a〜S56c)であればリール減速異常セット(S56d)をする制御処理によって回転異常の判定を行う。
【0030】
上記制御を構成した刈取部4は、原動部1から刈取入力軸4aに受けた刈取動力が同刈取入力軸4aを介して掻込リール7を含む刈取部4の各刈取機器に伝動され、掻込リール7はリール変速部6を介してに変速伝動され、このリール変速部6は、リール変速自動制御の適用時に、車速区分に応じた出力回転速度で掻込リール7を変速伝動するとともに、刈取入力軸4aに受ける刈取動力の停止検出時に変速制御を停止する。
【0031】
したがって、リール変速自動制御により、刈取走行時の車速変動によるハンチング動作等の不安定なリール変速動作が抑えられるとともに、作業区分と対応して車速区分を設定することにより、刈取走行におけるリール変速部の変速動作が必要最小限に抑えられ、また、刈取入力軸に受ける刈取動力の停止の際は、変速動作が停止されて変速比が固定されることにより、車速区分に対応するリール回転を維持するための変速調節動作が抑えられることから、リール回転の安定化とともにリール変速部の耐久性の向上を図ることができる。
【0032】
また、刈取動力の停止検出は、原動部回転センサ17の検出信号による原動部1の停止、刈取部4の刈取動力を断接操作する刈脱モノレバーに設けたレバー操作センサ15の操作位置信号による刈取部4の停止操作、刈取部4の刈取動力を断接する刈取クラッチ3に設けた断接センサの検出信号による刈取クラッチ切断のいずれかによって判定することにより、簡易な構成によって刈取動力の停止を確実に検出することができる。
【0033】
(移行制御)
次に、上記リール変速自動制御の適用において、自動スイッチ12をオフした時、手動スイッチ13による増速または減速を行った後の無操作時は、リール回転速度を保持すべく、変速制御出力することにより、リール回転速度の固定または手動による操作が可能となる。
【0034】
また、手動スイッチ13は増速または減速の操作中に限って対応制御出力をし、その操作後に再び自動による目標回転速度の制御出力を行う制御処理を構成することにより、作業中の一時的な増速又は減速を行うことができる。
また、自動スイッチ12をオフした時は、目標回転速度への制御出力を停止することにより、リール回転速度の固定または手動による操作が可能となる。
また、自動スイッチ12をオフした時、手動スイッチ13による増速または減速を行った後の無操作時は、変速制御出力を停止することにより、リール回転速度の固定または手動による操作が可能となる。
【0035】
(調整ダイヤル)
上記回転速度特性について、リール回転速度を調整するための調整ダイヤルを設けることにより、作業する圃場条件により作業者の要求するリール回転速度に調節することが可能となり、さらに、標準特性Sのほかに、低速特性L、高速特性Hをダイヤルによって選択可能に、例えば、複数特性を併記した回転速度特性線図を図5に示すように、刈取走行の車速域を複数(図例は4〜5区分)の車速区分に対応して段階的に変化する3種類の出力回転速度を設定し、この中からダイヤルで選択することにより、簡単に調節することができる。
【0036】
(旋回制御)
次に、刈取部4の掻込リールの昇降動作と機体旋回動作を関連付けた制御について説明する。
機体旋回に関する制御システム構成図を図6に示すように、掻込リール7の昇降駆動部21aを制御するリール昇降制御手段21と、急旋回動作を含む機体の旋回駆動機器22aを制御する旋回制御手段22とを制御部Cに構成し、旋回操作のためのパワステレバー23と、機体旋回時の複数の付帯動作としてリール昇降と急旋回のための複合スイッチ24を設ける。
【0037】
複合スイッチ24は、急旋回とリール昇降の付帯動作を兼ねる単一のスイッチで構成し、詳細には、図7の付帯動作制御のフローチャートに示すように、そのオン操作により、パワステレバー23の左右操作によって機体を旋回させる際の操作量が中立位置より左方に所定以上操作されている時(S23a,S23b)に左急旋回動作の制御を行い(S23c)、右方に所定以上操作されている時(S24a,S24b)に右急旋回動作の制御を行い(S24c)、また、パワステレバーの操作量が所定未満ならば、旋回に付帯してリール下降(S25a〜S25c)またはリール上昇(S26a〜S26c)するように制御を構成する。
【0038】
上記制御を設けることにより、複合スイッチ24が旋回力アップスイッチとして機能することから、従来の主変速レバーに付設のリール昇降スイッチとペダルによる足元操作の急旋回スイッチの配置構成より旋回付帯操作として感覚的に分かり易く、かつ、2つの付帯動作を兼ねて部品点数を抑えることができる。
【0039】
また、リール下降を連動する場合は、図8のフローチャートに示すように、上記同様の急旋回の動作制御に続き、パワステレバー23の左右操作が所定以上の場合に、複合スイッチ24がオン(S31)を条件にリール下降(S32a,S32b)の動作制御を加えることにより、通常旋回中に行うリール下降を急旋回時に合わせて行うことができる。
【0040】
次に、複合スイッチ24を所定時間内にオフ操作した場合は、リール上昇又は下降のみを行い、所定時間以上オン操作を継続した場合に、急旋回制御出力を同時に行うことにより、リール昇降制御のみを使用したい場合に、ワンタッチ操作で行うことができる。
【0041】
また、パワステレバー23の左右操作が所定以上の時に複合スイッチ24をオン操作した場合について、リール7が既に下降位置にあっても再上昇出力を規制することにより、刈取部4に残る穀稈のこぼれを防止することができる。
【0042】
また、刈取クラッチ3の「切」もしくは刈取クラッチ3の入操作スイッチが「切」の場合に、無条件に複合スイッチ24を急旋回用スイッチとし、掻込リール7の昇降制御を停止させることにより、複合スイッチ24を旋回力アップスイッチとして感覚的に分かり易い位置に構成することができる。
【符号の説明】
【0043】
1 エンジン(原動部)
2 無段変速走行伝動部
3 刈取クラッチ
4 刈取部
4a 刈取入力軸
6 リール変速部
7 掻込リール
11 リール回転速制御手段
12 リール変速自動スイッチ
13 増減速スイッチ(手動スイッチ)
14 刈取クラッチ(オン・オフセンサ)
15 刈脱モノレバー(ポジションセンサ)
16 リール回転センサ
17 原動部回転センサ
18 車速センサ
21 リール昇降制御手段
21a 昇降駆動部
22 旋回制御手段
22a 旋回駆動機器
23 パワステレバー
24 複合スイッチ
C 制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は、刈取部に掻込リールを備えた普通型コンバインに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1、特許文献2に示すように、刈取部に掻込リールを備えた普通型コンバインが知られている。この普通型コンバインは、機体に搭載した原動部から刈取動力を受けて刈取部の掻込リールを含む各機器を駆動する刈取入力軸と、この刈取入力軸から掻込リールに至る伝動系に介設して無段階に変速伝動するリール変速部と、このリール変速部を変速制御する制御部とを備え、刈取走行においてリール回転の手動変速制御が可能であり、また、走行車速に応じた回転速度て掻込リールを駆動する自動変速制御を選択することにより、車速の異なる各種の刈取走行について、安定した穀物刈取が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−213383号公報
【特許文献2】特開2007−195557号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、刈取走行において走行車速が変動すると、リール変速部の対応変速動作により掻込リールが追従変速されることにより、時にハンチングによって回転の不安定化を招くのみならず、リール変速部の頻繁な変速動作により、簡易な構成で多用される割プーリ式無段変速機構等によるリール変速部の耐久性の低下が避けられないという問題があり、また、リール回転の手動変速制御を含め、刈取走行中におけるエンジン停止にも制御目標の回転速度に調整するべくリール変速部が無駄な対応変速動作をするという問題があった。
【0005】
本発明の目的は、刈取部の掻込リール回転の自動変速により、車速の異なる各種の作業走行について、安定で無駄の無いリール変速動作を確保しつつ、手動変速を含む作業走行中におけるエンジン停止等の際の無駄な対応変速動作を解消してリール変速部の耐久性を確保することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、原動部(1)から伝達される動力を刈取部(4)に入力する刈取入力軸(4a)と、この刈取入力軸(4a)から伝達される動力で掻込リール(7)を無段階に変速伝動するリール変速部(6)と、このリール変速部(6)の出力回転速度を目標回転速度に沿って変速制御する制御部(C)とを備えた普通型コンバインにおいて、上記制御部(C)は、刈取走行に使用する車速範囲を複数に区分して定めた車速区分別の目標回転速度を目標としてリール変速部(6)を変速制御するとともに、上記刈取入力軸(4a)に入力される動力の伝達停止に基づいてリール変速部(6)の変速制御を停止する構成としたことを特徴とする普通型コンバインとする。
【0007】
上記掻込リールを備えた普通型コンバインは、原動部から刈取入力軸に受けた刈取動力が同刈取入力軸を介して掻込リールを含む刈取諸機器に伝動され、掻込リールはリール変速部を介してに変速伝動され、このリール変速部は、制御部により、車速区分に応じて段階的に変化する出力回転速度で掻込リールを変速伝動するとともに、刈取入力軸に受ける刈取動力の停止時に変速制御を停止する。
【0008】
請求項2に係る発明は、前記刈取入力軸(4a)に入力される動力の伝達停止は、原動部(1)に設けた原動部回転センサの検出信号による原動部(1)の停止に基づいて判定する構成としたことを特徴とする請求項1記載の普通型コンバインとする。
上記原動部回転センサによって刈取動力の停止が検出される。
【0009】
請求項3に係る発明は、前記刈取入力軸(4a)に入力される動力の伝達停止は、該刈取入力軸(4a)への動力の伝達を断接操作する刈脱モノレバー(15)に設けたレバーポジションセンサの操作位置信号による刈取部(4)の停止ポジション位置への操作に基づいて判定する構成としたことを特徴とする請求項1記載の普通型コンバインとする。
上記刈脱モノレバーによる停止操作によって刈取動力の停止が検出される。
【0010】
請求項4に係る発明は、前記刈取入力軸(4a)に入力される動力の伝達停止は、該刈取入力軸(4a)への動力の伝達を断接する刈取クラッチ(3)に設けた断接センサの検出信号による刈取クラッチの伝動切断動作に基づいて判定する構成としたことを特徴とする請求項1記載の普通型コンバインとする。
上記刈取クラッチの動力切断動作によって刈取動力の停止が検出される。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の発明によると、原動部(1)から刈取入力軸(4a)に入力された動力が、この刈取入力軸(4a)を介して掻込リール(7)を含む刈取各部に伝動され、掻込リール(7)はリール変速部(6)を介してに変速伝動され、このリール変速部(6)は、リール変速制御を行う制御部(C)により、車速区分に応じて段階的に変化する出力回転速度で掻込リール(7)を変速駆動するとともに、刈取入力軸(4a)に入力される動力の伝達停止時に変速制御を停止する。したがって、上記リール変速制御により、刈取走行時の車速変動によるハンチング動作等の不安定なリール変速動作が抑えられるとともに、作業区分と対応して車速区分を設定することにより、刈取走行におけるリール変速部(6)の変速動作が車速対応変速の場合より小さく抑えることができ、また、刈取入力軸(4a)に入力される動力の伝達停止の際は、変速動作が停止されることにより、車速区分に対応するリール回転を維持するための変速調節動作が抑えられることから、リール回転の安定化とともにリール変速部(6)の耐久性の向上を図ることができる。
【0012】
請求項2に係る発明は、請求項1の効果に加え、原動部回転センサの検出信号による簡易な構成によって刈取入力軸(4a)に入力される動力の伝達停止を確実に検出することができる。
【0013】
請求項3に係る発明は、請求項1の効果に加え、刈脱モノレバーに設けたレバーポジションセンサによる簡易な構成によって刈取入力軸(4a)に入力される動力の伝達停止を確実に検出することができる。
【0014】
請求項4に係る発明は、請求項1の効果に加え、刈取クラッチに設けた断接センサの検出信号による簡易な構成によって刈取入力軸(4a)に入力される動力の伝達停止を確実に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】刈取部の伝動系統展開線図
【図2】リール変速部の回転速度制御のシステム構成図
【図3】リール回転制御の処理手順(その1)
【図4】リール回転制御の処理手順(その2)
【図5】複数特性を併記した回転速度特性線図
【図6】機体旋回に関する制御システム構成図
【図7】複合スイッチによる制御のフローチャート
【図8】リール下降を連動制御するフローチャート
【図9】リール上下限値の算出のフローチャート
【図10】リール異常のフローチャート
【図11】普通型コンバインの側面図
【図12】刈取部の拡大側面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
上記技術思想に基づいて具体的に構成された実施の形態について以下に図面を参照しつつ説明する。
本発明の適用対象となる普通型コンバイン1は、図11に示すように、圃場走行可能な機体の前部に回転可能に掻込リール7を備えた昇降可能な刈取部Aを備え、機体後部には、刈取部Aで刈取った穀物を受けて脱穀する脱穀部Bと、その脱穀穀物を投入貯留する貯留部Cを備えて構成される。
【0017】
刈取部Aは、図12に示すように、機体の前端に設けた刈取入力軸4aについて昇降可能に軸支し、前端部に支持アーム7aによって掻込リール7を高さ調節可能に軸支し、その下側位置に、刈刃5b、幅寄せオーガ5a、フィーダチェーン5cを順に配置することにより、刈取と後送を行う。
【0018】
刈取部Aの伝動構成は、その伝動系統展開線図を図1に示すように、ディーゼルエンジン等による原動部1から走行変速部2を各種機器の動力を分岐しつつ、ベルトテンション式等による刈取クラッチ3を介して刈取部Aの各機器を駆動する刈取入力軸4aに刈取動力を受け、この刈取入力軸4aから幅寄せオーガ5a、刈刃5b、フィーダチェーン5cに伝動するとともに、電動式割プーリ機構等によって無段階に変速伝動するリール変速部6を介して掻込リール7に伝動し、リール変速部6の変速制御によって掻込リール7を手動変速とともに所定のリール変速自動制御を選択可能に構成する。
【0019】
リール変速部6の回転速度制御は、システム構成図を図2に示すように、リール変速部6を増減速動作させるリール回転速制御手段11を制御部Cに構成し、条件に応じて掻込リール7を所定の回転速度に調節するリール変速自動制御の適用を選択するためのリール変速自動スイッチ12、手動変速操作のための増減速スイッチ13のほか、機器センサとして刈取クラッチのオン・オフセンサ14、刈脱モノレバーのポジションセンサ15、リール回転センサ16、エンジン回転センサ17、車速センサ18を接続し、リール回転速制御手段11により、掻込リール7が条件に応じて設定した目標の回転速度となるように構成する。
【0020】
リール変速自動制御によるリール変速部6の具体的な制御は、刈取走行の車速域を複数の車速区分に分けてそれぞれに対応して段階的に変化する出力回転速度を設定し、この設定回転速度を目標として車速区分に応じてリール変速部6の変速比を段階的に制御するとともに、刈取入力軸4aに受ける刈取動力の停止検出に応じてリール変速部6の変速比をそのまま維持するべく変速制御を停止する。
【0021】
具体的な処理手順について、5段階の車速レベル1〜5に応じた目標回転数(rpm)を31(336)、42(454)、52(553)、61(652)、74(790)とした例を、図3のリール回転制御のフローチャート(その1)および図4のリール回転制御のフローチャート(その2)により以下に説明する。
【0022】
まず、図3のリール回転制御のフローチャート(その1)に示すように、リール変速自動スイッチ12の操作によってリール変速自動制御が適用される場合は、速度レベルの判定処理のステップ1(以下において「S1」の如く略記する。)によって速度レベルが1の場合は、車速が0.45m/s以上であれば速度レベルを2とし(S1a、S1b)て隣接の車速区分とし、また、速度レベルが2の判定(S2)の場合は、車速が0.75m/s以上であれば速度レベルを3とし(S2a、S2b)、車速が0.35m/s以下であれば速度レベルを1とし(S1a、S1b)て所定の車速範囲を外れると隣接の車速区分に変更する。
【0023】
同様にして、速度レベルの判定(S3、S4)によりそれぞれの場合に対応する所定の車速範囲を外れると隣接の車速区分に変更し、速度レベルが5の判定(S5)の場合は、車速が1.25m/s以下であれば速度レベルを4とすることにより、車速区分の判定を行う。また、刈取クラッチオフの場合はリール駆動ディレータイムセット(S6,S6a)を行うことにより、刈取クラッチオンから刈取駆動開始後における刈取部の回転数の安定に必要な遅延時間を確保して刈取装置各部の破損、過負荷を防止する。
【0024】
続いて、図4のリール回転制御のフローチャート(その2)に示すように、エンジン1の駆動中、刈取クラッチ3のオン、脱穀クラッチオン、リール駆動ディレーアップに該当しない場合と、ロール低回転異常の場合について以下の処理をパス(S11a〜S11e)する。
【0025】
他の場合については、リール自動オフがオンになった場合は、リール自動開始ディレーセット(S11f,S11g)を行い、非該当であればリール回転目標セット(S11h)を行い、その直前になされた作業者の手動操作の意図が反映されるように、リール自動ディレーアップ(S11j)を待ってからリール自動変速処理に入る。
【0026】
次いで、リール回転が車速区分対応の目標回転以上の判定(S12)に該当すれば、制御指示の対応動作が確認できる範囲で、すなわち、回転差が不感帯幅を超え、後述のリール減速異常に非該当で、リール回転が下限値を超える範囲(S12a〜S12c)である場合に限りリール減速を行い(S12d、S12e)、逆に、リール回転が車速区分対応の目標回転以下の判定(S13)に該当すれば、制御指示の対応動作が確認できる範囲で、すなわち、回転差が不感帯幅を超え、後述のリール減速異常に非該当で、リール回転が上限値に満たない範囲(S13a〜S13c)である場合に限りリール増速を行い(S13d、S13e)を行うことにより、目標回転速度を維持するべくリール変速部6を制御する。
【0027】
なお、上記リール回転制御の初期処理におけるリール上下限値の算出処理(S0a)は、リール変速部6の変速比範囲と対応するリール回転速度の上下限値をエンジン回転数に応じて変更するものであり、詳細には、図9のフローチャートに示すように、エンジン回転が500rpm以下の場合にリール回転の上下限をそれぞれ850、257rpm(S41,S41a)とし、他の場合は、下限が99rpm(S43,S43a)、上限が929rpm(S45,S45a)を限度として、エンジン回転対応の所定の上下限をそれぞれ算出(S44,S42)する。
【0028】
また、上記リール回転制御の初期処理におけるリールダイヤル操作(S0b)は、リール変速を規定する多段階の変速特性を作業者が圃場条件により選択した調整ダイヤル位置と対応して読み込む処理であり、詳細は後述する。
【0029】
さらに、リール回転異常判定は、図10のフローチャートに示すように、刈取クラッチオン、リール駆動ディレーアップ、エンジン駆動中の場合(S51〜S53)に、リール回転が10rpm以下を条件にリール低回転異常セット(S54,S54a)をし、リール増速中(S55)の場合は所定のリール回転増速が無く、増速異常タイマアップ(S55a〜S55c)であればリール増速異常セット(S55d)をし、また、リール減速中の場合(S56)は所定のリール回転減速が無く、異常タイマアップ(S56a〜S56c)であればリール減速異常セット(S56d)をする制御処理によって回転異常の判定を行う。
【0030】
上記制御を構成した刈取部4は、原動部1から刈取入力軸4aに受けた刈取動力が同刈取入力軸4aを介して掻込リール7を含む刈取部4の各刈取機器に伝動され、掻込リール7はリール変速部6を介してに変速伝動され、このリール変速部6は、リール変速自動制御の適用時に、車速区分に応じた出力回転速度で掻込リール7を変速伝動するとともに、刈取入力軸4aに受ける刈取動力の停止検出時に変速制御を停止する。
【0031】
したがって、リール変速自動制御により、刈取走行時の車速変動によるハンチング動作等の不安定なリール変速動作が抑えられるとともに、作業区分と対応して車速区分を設定することにより、刈取走行におけるリール変速部の変速動作が必要最小限に抑えられ、また、刈取入力軸に受ける刈取動力の停止の際は、変速動作が停止されて変速比が固定されることにより、車速区分に対応するリール回転を維持するための変速調節動作が抑えられることから、リール回転の安定化とともにリール変速部の耐久性の向上を図ることができる。
【0032】
また、刈取動力の停止検出は、原動部回転センサ17の検出信号による原動部1の停止、刈取部4の刈取動力を断接操作する刈脱モノレバーに設けたレバー操作センサ15の操作位置信号による刈取部4の停止操作、刈取部4の刈取動力を断接する刈取クラッチ3に設けた断接センサの検出信号による刈取クラッチ切断のいずれかによって判定することにより、簡易な構成によって刈取動力の停止を確実に検出することができる。
【0033】
(移行制御)
次に、上記リール変速自動制御の適用において、自動スイッチ12をオフした時、手動スイッチ13による増速または減速を行った後の無操作時は、リール回転速度を保持すべく、変速制御出力することにより、リール回転速度の固定または手動による操作が可能となる。
【0034】
また、手動スイッチ13は増速または減速の操作中に限って対応制御出力をし、その操作後に再び自動による目標回転速度の制御出力を行う制御処理を構成することにより、作業中の一時的な増速又は減速を行うことができる。
また、自動スイッチ12をオフした時は、目標回転速度への制御出力を停止することにより、リール回転速度の固定または手動による操作が可能となる。
また、自動スイッチ12をオフした時、手動スイッチ13による増速または減速を行った後の無操作時は、変速制御出力を停止することにより、リール回転速度の固定または手動による操作が可能となる。
【0035】
(調整ダイヤル)
上記回転速度特性について、リール回転速度を調整するための調整ダイヤルを設けることにより、作業する圃場条件により作業者の要求するリール回転速度に調節することが可能となり、さらに、標準特性Sのほかに、低速特性L、高速特性Hをダイヤルによって選択可能に、例えば、複数特性を併記した回転速度特性線図を図5に示すように、刈取走行の車速域を複数(図例は4〜5区分)の車速区分に対応して段階的に変化する3種類の出力回転速度を設定し、この中からダイヤルで選択することにより、簡単に調節することができる。
【0036】
(旋回制御)
次に、刈取部4の掻込リールの昇降動作と機体旋回動作を関連付けた制御について説明する。
機体旋回に関する制御システム構成図を図6に示すように、掻込リール7の昇降駆動部21aを制御するリール昇降制御手段21と、急旋回動作を含む機体の旋回駆動機器22aを制御する旋回制御手段22とを制御部Cに構成し、旋回操作のためのパワステレバー23と、機体旋回時の複数の付帯動作としてリール昇降と急旋回のための複合スイッチ24を設ける。
【0037】
複合スイッチ24は、急旋回とリール昇降の付帯動作を兼ねる単一のスイッチで構成し、詳細には、図7の付帯動作制御のフローチャートに示すように、そのオン操作により、パワステレバー23の左右操作によって機体を旋回させる際の操作量が中立位置より左方に所定以上操作されている時(S23a,S23b)に左急旋回動作の制御を行い(S23c)、右方に所定以上操作されている時(S24a,S24b)に右急旋回動作の制御を行い(S24c)、また、パワステレバーの操作量が所定未満ならば、旋回に付帯してリール下降(S25a〜S25c)またはリール上昇(S26a〜S26c)するように制御を構成する。
【0038】
上記制御を設けることにより、複合スイッチ24が旋回力アップスイッチとして機能することから、従来の主変速レバーに付設のリール昇降スイッチとペダルによる足元操作の急旋回スイッチの配置構成より旋回付帯操作として感覚的に分かり易く、かつ、2つの付帯動作を兼ねて部品点数を抑えることができる。
【0039】
また、リール下降を連動する場合は、図8のフローチャートに示すように、上記同様の急旋回の動作制御に続き、パワステレバー23の左右操作が所定以上の場合に、複合スイッチ24がオン(S31)を条件にリール下降(S32a,S32b)の動作制御を加えることにより、通常旋回中に行うリール下降を急旋回時に合わせて行うことができる。
【0040】
次に、複合スイッチ24を所定時間内にオフ操作した場合は、リール上昇又は下降のみを行い、所定時間以上オン操作を継続した場合に、急旋回制御出力を同時に行うことにより、リール昇降制御のみを使用したい場合に、ワンタッチ操作で行うことができる。
【0041】
また、パワステレバー23の左右操作が所定以上の時に複合スイッチ24をオン操作した場合について、リール7が既に下降位置にあっても再上昇出力を規制することにより、刈取部4に残る穀稈のこぼれを防止することができる。
【0042】
また、刈取クラッチ3の「切」もしくは刈取クラッチ3の入操作スイッチが「切」の場合に、無条件に複合スイッチ24を急旋回用スイッチとし、掻込リール7の昇降制御を停止させることにより、複合スイッチ24を旋回力アップスイッチとして感覚的に分かり易い位置に構成することができる。
【符号の説明】
【0043】
1 エンジン(原動部)
2 無段変速走行伝動部
3 刈取クラッチ
4 刈取部
4a 刈取入力軸
6 リール変速部
7 掻込リール
11 リール回転速制御手段
12 リール変速自動スイッチ
13 増減速スイッチ(手動スイッチ)
14 刈取クラッチ(オン・オフセンサ)
15 刈脱モノレバー(ポジションセンサ)
16 リール回転センサ
17 原動部回転センサ
18 車速センサ
21 リール昇降制御手段
21a 昇降駆動部
22 旋回制御手段
22a 旋回駆動機器
23 パワステレバー
24 複合スイッチ
C 制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原動部(1)から伝達される動力を刈取部(4)に入力する刈取入力軸(4a)と、この刈取入力軸(4a)から伝達される動力で掻込リール(7)を無段階に変速伝動するリール変速部(6)と、このリール変速部(6)の出力回転速度を目標回転速度に沿って変速制御する制御部(C)とを備えた普通型コンバインにおいて、
上記制御部(C)は、刈取走行に使用する車速範囲を複数に区分して定めた車速区分別の目標回転速度を目標としてリール変速部(6)を変速制御するとともに、上記刈取入力軸(4a)に入力される動力の伝達停止に基づいてリール変速部(6)の変速制御を停止する構成としたことを特徴とする普通型コンバイン。
【請求項2】
前記刈取入力軸(4a)に入力される刈取動力の伝達停止は、原動部(1)に設けた原動部回転センサの検出信号による原動部(1)の停止に基づいて判定する構成としたことを特徴とする請求項1記載の普通型コンバイン。
【請求項3】
前記刈取入力軸(4a)に入力される刈取動力の伝達停止は、該刈取入力軸(4a)への動力の伝達を断接操作する刈脱モノレバー(15)に設けたレバーポジションセンサの操作位置信号による刈取部(4)の停止ポジション位置への操作に基づいて判定する構成としたことを特徴とする請求項1記載の普通型コンバイン。
【請求項4】
前記刈取入力軸(4a)に入力される刈取動力の伝達停止は、該刈取入力軸(4a)への動力の伝達を断接する刈取クラッチ(3)に設けた断接センサの検出信号による刈取クラッチの伝動切断動作に基づいて判定する構成としたことを特徴とする請求項1記載の普通型コンバイン。
【請求項1】
原動部(1)から伝達される動力を刈取部(4)に入力する刈取入力軸(4a)と、この刈取入力軸(4a)から伝達される動力で掻込リール(7)を無段階に変速伝動するリール変速部(6)と、このリール変速部(6)の出力回転速度を目標回転速度に沿って変速制御する制御部(C)とを備えた普通型コンバインにおいて、
上記制御部(C)は、刈取走行に使用する車速範囲を複数に区分して定めた車速区分別の目標回転速度を目標としてリール変速部(6)を変速制御するとともに、上記刈取入力軸(4a)に入力される動力の伝達停止に基づいてリール変速部(6)の変速制御を停止する構成としたことを特徴とする普通型コンバイン。
【請求項2】
前記刈取入力軸(4a)に入力される刈取動力の伝達停止は、原動部(1)に設けた原動部回転センサの検出信号による原動部(1)の停止に基づいて判定する構成としたことを特徴とする請求項1記載の普通型コンバイン。
【請求項3】
前記刈取入力軸(4a)に入力される刈取動力の伝達停止は、該刈取入力軸(4a)への動力の伝達を断接操作する刈脱モノレバー(15)に設けたレバーポジションセンサの操作位置信号による刈取部(4)の停止ポジション位置への操作に基づいて判定する構成としたことを特徴とする請求項1記載の普通型コンバイン。
【請求項4】
前記刈取入力軸(4a)に入力される刈取動力の伝達停止は、該刈取入力軸(4a)への動力の伝達を断接する刈取クラッチ(3)に設けた断接センサの検出信号による刈取クラッチの伝動切断動作に基づいて判定する構成としたことを特徴とする請求項1記載の普通型コンバイン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−24038(P2012−24038A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−167361(P2010−167361)
【出願日】平成22年7月26日(2010.7.26)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月26日(2010.7.26)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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