説明

暗がりにおいて車道縁反射体と車両電灯とを区別する方法

本発明は、車両周辺へ向けられるカメラセンサを持つ車両にある自動電灯制御装置において使用するため、車道縁にある反射体(R)と車両電灯(FL1,FL2)とを区別しかつ確認する方法及び装置に関し、車両周囲の画像列が記録され、画像列内の光点が検出されて時間的に追跡され、それから各光点が光源として車両電灯(FL1,FL2)を持つか又は反射体(R)を持つかが決定され、検出される光点の位置から、全カメラ画像のための統計カードが求められ、この統計カードが、主として反射体(R)が占める範囲と、主として先行車両(FL2)又は対抗車両(FL1)が占める範囲とを含み、反射体(R)が占める範囲内で検出されるすべての光源が、可能性のある反射体(R)であると確認され、車両電灯(FL1,FL2)が占める範囲内にあるすべての光源が、可能性のある車両電灯(FL1,FL2)であると確認される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車において使用するため、請求項1の上位概念に記載の車道縁にある反射体と車両電灯とを区別する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
国際公開第2004/034183号は、車両周辺へ向けられるカメラセンサを持つ自動車用の自動電灯制御方法を開示しており、この方法は自身で光を放射する可動電灯特に車両電灯に対する少なくとも1つのカテゴリーを規定し、車両周辺の画像列が記録され、画像列にある少なくとも1つの光点が追跡され、追跡される1つの光点の強度が少なくとも2つの画像において求められ、測定される強度が分析され、強度値から他の車両の電灯が認識され、前照灯が制御されて、他の車両の運転者が眼をくらまされないようにする。光点の運動の分析もカテゴリー化の基礎として提案される。
【0003】
車両電灯と同じような強度をカメラ画像に生ずる可能性のある反射体の存在することがわかった。これにより誤った決定が行われて、自動電灯制御の際安全性又は少なくとも快適さを損なう可能性がある。光点の運動を考慮しても、いずれにせよ誤分類は防止されない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の問題は、反射体と車両電灯との区別の信頼性を高める方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は請求項1の特徴を持つ方法によって解決される。本発明の有利な展開は従属請求項からわかり、個々の特徴の組合わせ及び展開も考えられる。
【0006】
本発明の基本思想は、反射体が車道縁に設けられ、対向車両又は先行車両の電灯が大抵の場合車道上にある、という事実を利用することである。それにより反射体を検出する確率が高い区域と、車両電灯を検出する確率が高い区域とを、カメラ画像上で求めることができる。この知見が光点の区別と確認に利用される。
【0007】
車両にある自動電灯制御装置において使用するため、車道縁にある反射体と車両電灯とを区別して確認する本発明の方法は、車両周辺に向けられるカメラセンサを含んでいる。カメラセンサは車両周辺の画像列を記録する。光点が画像列内で検出され、時間的に追跡される。それから各光点が光源として車両電灯を持つか車道縁にある反射体を持つかが決定される。
【0008】
それから光点の確認が、特にその最大強度及び/又はその寿命により行われる。
【0009】
検出される光点の位置から、全カメラ画像に対する統計カードが求められる。統計カードは、既に検出されて確認された光点の種類及び位置から生じる。統計カードは、主として反射体が占める範囲又は区域と、主として先行車両又は対抗車両が占める範囲又は区域を含む。
【0010】
それから反射体が占める範囲において検出されるすべての光源が、可能性のある反射体であると確認される。この場合可能性のある反射体とは、反射体が占める範囲内で検出されなかった光点より高い確率を持つような光点が、反射体であると確認されることを意味する。それ以外の区別基準が存在しないか又は考慮されない場合、反射体が占める範囲内に検出された光点が、反射体であると確認されることになる。車両電灯が占める範囲内にあるすべての光源は、可能性のある車両電灯であると確認される。
【0011】
好ましい実施形態によれば、別の光点を持つ線上の画像に配置されている光点が、可能性のある反射体であると確認される。
【0012】
本発明の別の実施形態では、実際の空間における光源の周期的配置に一致する空間的配置を持つ光点が、可能性のある反射体であると確認される。
【0013】
本発明の有利な構成では、静的又は動的カメラ取付け位置を考慮することにより、世界座標に統計カードが作成される。世界座標にある統計カードは主として反射体が占める範囲と、主として先行車両又は対抗車両が占める範囲とを含んでいる。
【0014】
更に光点が光源としての車両電灯であるか又は反射体であるかの決定が、追跡される光点の移動ベクトルの方向及び長さを考慮して行われる。移動ベクトルは、光点が1つの画像へどんな値(長さ)だけどんな方向に移動したかを示す。
【0015】
移動ベクトルを求める際、自己車両の速度を考慮することができる。移動ベクトルが適当に等級付けされると、移動ベクトルの速度不変な分布が生じる。適当な光点の移動ベクトルが車両運動にほぼ一致していることで、反射体であることがわかる。速度不変な表示では、反射体の移動ベクトルは理論的に零に等しい。
【0016】
好ましい実施形態によれば、光源が車両電灯であるか又は反射体であるかの決定時点が、光点が検出される位置及び光点の強度に関係して遅くされるか又は速められる。
【0017】
統計カード及び光点の現在の強度、光点の線状及び/又は周期的配置のような別の基準が区別及び確認に及ぼす影響は、異なる強さで重み付けされてもよい。例えば車両電灯を代表する1つの手掛かりしか存在しないと、速やかな決定が行われ、それにより自動電灯制御装置が減光して、他の運転者をまぶしくしない。これに反し反射体を代表する手掛かりが圧倒的に存在すると、決定の基礎が一層確実になるまで、決定が遅らされる。
【0018】
更に連続又は不連続な複数の範囲から成るカードが、車道推移及び/又は車道縁構築の変化を考慮するために、忘却係数を持っている。
【0019】
有利な構成では、かじ取り角及び/又は片揺れ角が例えばセンサデータから既知であり、カードがその湾曲を車道推移に合わされる。
【0020】
本発明の展開では、センサに基く車線検出装置が設けられ、この車線検出装置により前にある車線についての情報が供給される。車線検出は例えばレーダセンサ、ライダセンサ又はカメラセンサのデータに基くことができる。車道の前にある湾曲推移についてのこれらの情報に基いて、可能性のある反射体が存在する範囲の場所が統計カードに合わされる。
【0021】
その代りにGPS受信機及び例えばナビゲーション装置に存在するディジタル道路カードを使用しても、車線推移を求めることができる。
【0022】
更に統計カードが、車線検出により求められる車道の幅又は求められる現在の走行動作に合わされる。この場合現在の走行動作は車線変更又は片揺れ角の変化を含んでいる。
【0023】
本発明は更に車道縁にある反射体と車両周辺にある車両電灯とを区別して確認する装置を含む。この装置はカメラセンサ及び評価装置を含み、評価装置が、前記請求項の1つに記載の方法により、カメラセンサにより検出される画像データを評価する。
【0024】
本発明の利点は、反射体と車両電灯との区別の確実性を高めることである。それにより自動電灯制御装置の誤動作が防止され、走行の快適さ及び安全性が高められる。区別を行うことができるまでの時間は、統計カードの使用により減少される。
【0025】
実施例及び図面により、本発明が以下に詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】 統計カードの作成を説明するためのセクタ区分を持つカメラ画像を示す。
【図2】 図2はカーブの多い車道推移のための一層小さい長方形セクタを持つセクタ区分を示す。
【図3】 車線検出により求められる車道推移へのカードセクタの適合を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1に、カメラセンサにより記録される画像が概略的に示されている。画像は車道、対向車両FL1、先行車両FL2、及び車道縁に設けられている反射体Rを示す。暗がりでは、車両及び車道限界柱が光点としてしか認識されない。画像はセクタに分割される。図1の例では、セクタが走行方向に延びる同じ幅(例えば1mの幅)の条片により規定されている。このセクタ区分は特に直線車道部分に適している。カメラセンサは1つの画像列を記録する。光点は画像列内で検出され、時間的に追跡される。それから各光点が光源として車両電灯FL1,FL2を持つか又は車道縁にある反射体Rを持つかが決定される。この区別は強度推移、運動パターン又は他の適当なパラメータで行うことができる。
【0028】
どんなセクタにおいてどんな頻度で反射体R又は車両電灯FL1,FL2が確認されたかの頻度分布が作成される。この頻度分布から、セクタから生じる全カメラ画像についての統計カードが得られる。統計カードは、各セクタについて、そこでどんな頻度で反射体Rが確認されたか、又はどんな頻度で先行車両FL2又は対向車両FL1の電灯が確認されたかを推定することができる。
【0029】
図1からの状況についての統計カードは、中立セクタ(完全に左、完全に右)、多い反射体出現Rを持つセクタ(左及び右の車道縁セクタ)、及び多い車両電灯出現FL1,FL2を持つセクタ(車道上のセクタ)を生じることになる。
【0030】
カメラセンサにより新しい光点を持つ画像が記録され、また光点が評価装置により検出されると、光点が検出されたセクタにおいてどんな頻度で反射体R又は車両電灯FL1,FL2が現れたかが求められる。セクタにおいて車両電灯FL1,FL2より多い反射体Rが現れた場合、光点が可能性のある反射体Rであると確認され、また逆に反射体Rが光点であると確認される。
【0031】
セクタに車両電灯FL1,FL2と同じ又は類似な多数の反射体Rが生じていると、光点のそれ以外の特徴が確実な認識を可能にするまで、確認が先へ延ばされる。確認するためのそれ以外の特徴は、強度推移のほかに、光点の幾何学的配置又は移動ベクトルであってもよい。
【0032】
反射体Rは、図1に示されているように、しばしば別の反射体Rを持つ線上に配置されている。反射体Rの空間的配置は、実際の空間における2つの反射体Rの間の等しい間隔を持つ反射体Rの周期的配置にしばしば一致している、
【0033】
光点の移動ベクトルの分析は、自己車両の速度を知ることによって容易になる。この場合動かない周辺のどの画素がどんな大きさで移動するかが既知である。それにより求められる移動ベクトルを、動く車両の系に変換することができる。このように変換される移動ベクトルは、速度不変とも称される。速度不変移動ベクトルの中には、走行方向に向くもの、(自己の)走行方向とは逆に向くもの、及び動きを示さないものがある。これらは、先行車両FL2、対向車両FL1、及び静止している反射体Rに相当する。
【0034】
図2では、カメラ画像が格子網の形に細分されている。図1と比較してもっと多数のセクタに細分することにより、対応する統計カードがカーブの多い車道推移を考慮できるという利点が生じる。統計カードは既に説明したように形成され、格子網の解像度を持つ確認された光点の軌道の集合に相当する。
【0035】
図3は、セクタが車道推移にどのように合わされるかを霊視している。車道推移はレーダ、ライダ又はカメラに基く車線検出により求められる。車線検出から車道の前にある湾曲推移についての情報に基いて、可能性のある反射体R又は車両電灯FL1,FL2が存在するセクタの場所が、統計カードに合わされる。図3は左カーブを示している。所定の幅を持つ平行な条片に相当するセクタは、同じ曲線半径だけ湾曲している。左のすべての反射体R及び右のすべての反射体Rは、それぞれ1つのセクタにある。異なるセクタ幅の場合、それは反射体Rが存在するそれぞれ2つ又は3つのセクタであってもよい。これに反し反射体Rが占めるセクタの間にあるセクタにおいて、車両電灯FL1,FL2が一層頻繁に検出される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両周辺へ向けられるカメラセンサを持つ車両において使用するため、車道縁にある反射体(R)と車両電灯(FL1,FL2)とを区別しかつ確認する方法であって、
車両周囲の画像列が記録され、
画像列内の光点が検出されて時間的に追跡され、
それから各光点が光源として車両電灯(FL1,FL2)を持つか又は反射体(R)を持つかが決定され、
検出される光点の位置から、全カメラ画像のための統計カードが求められ、この統計カードが、主として反射体(R)が占める範囲と、主として先行車両(FL2)又は対抗車両(FL1)が占める範囲とを含み、
反射体(R)が占める範囲内で検出されるすべての光源が、可能性のある反射体(R)であると確認され、
車両電灯(FL1,FL2)が占める範囲内にあるすべての光源が、可能性のある車両電灯(FL1,FL2)であると確認される
方法。
【請求項2】
別の光点を持つ線上の画像に配置されている光点が、可能性のある反射体(R)であると確認されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
実際の空間における光源の周期的配置に一致する空間的配置を持つ光点が、可能性のある反射体(R)であると確認されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
カメラ取付け場所を考慮することにより、世界座標に統計カードが作成され、このカードが、主として反射体(R)が占める範囲と、主として先行車両(FL2)又は対抗車両(FL1)が占める範囲とを含んでいることを特徴とする、先行する請求項の1つに記載の方法。
【請求項5】
光点が光源としての車両電灯(FL1,FL2)であるか又は反射体(R)であるかの決定が、追跡される光点の移動ベクトルの方向及び長さを考慮して行われることを特徴とする、先行する請求項の1つに記載の方法。
【請求項6】
光源が車両電灯(FL1,FL2)であるか又は反射体(R)であるかの決定時点が、光点が検出される位置及び光点の強度に関係して遅くされるか又は速められることを特徴とする、先行する請求項の1つに記載の方法。
【請求項7】
複数の範囲から成るカードが、車道推移及び/又は車道縁構築の変化を考慮するために、忘却係数を持っていることを特徴とする、先行する請求項の1つに記載の方法。
【請求項8】
かじ取り角及び/又は片揺れ角が既知であり、カードがその湾曲を車道推移に合わされることを特徴とする、先行する請求項の1つに記載の方法。
【請求項9】
センサに基く車線検出が意図され、この車線検出により前にある車線についての情報が供給され、こうして可能性のある反射体(R)が存在するカード上の範囲の場所が、車道の前にある湾曲推移についての情報に適当に合わされることを特徴とする、先行する請求項の1つに記載の方法。
【請求項10】
統計カードが、車線検出により求められる車道の幅に合わされることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
統計カードが、車線検出により求められる現在の走行動作に合わされることを特徴とする、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
車道縁にある反射体(R)と車両周辺にある車両電灯(FL1,FL2)とを区別して確認する装置が、カメラセンサ及び評価装置を含んでいるものにおいて、評価装置が、請求項1〜11の1つに記載の方法により、カメラセンサにより検出される画像データを評価することを特徴とする、装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2011−505284(P2011−505284A)
【公表日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−532422(P2010−532422)
【出願日】平成20年10月15日(2008.10.15)
【国際出願番号】PCT/DE2008/001687
【国際公開番号】WO2009/052788
【国際公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【出願人】(504087204)アーデーツエー・オートモテイブ・デイスタンス・コントロール・システムズ・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング (33)
【Fターム(参考)】