暗渠形成装置
【課題】時間の経過により穿入溝跡の両対向面が近接して狭まって閉塞されたとしても縦口路が維持され、暗渠の排水性及び通気性を良好に保持することができる。
【解決手段】走行機体1に連結機構2により機枠3を連結し、機枠に穿入ビーム4を揺振機構5により進行方向に揺振動作自在に縦設し、穿入ビームの下部に土中に暗渠Hを形成可能な弾丸体14を配設し、穿入ビームの進行方向後方位置に穿入ビームにより土中の上下方向に延びて形成される穿入跡溝Sの一方側面を拡張して地表面に開口する縦口路Tを形成可能な拡張部材15を配設し、拡張部材を拡張動作させる拡張機構16を配設してなる。
【解決手段】走行機体1に連結機構2により機枠3を連結し、機枠に穿入ビーム4を揺振機構5により進行方向に揺振動作自在に縦設し、穿入ビームの下部に土中に暗渠Hを形成可能な弾丸体14を配設し、穿入ビームの進行方向後方位置に穿入ビームにより土中の上下方向に延びて形成される穿入跡溝Sの一方側面を拡張して地表面に開口する縦口路Tを形成可能な拡張部材15を配設し、拡張部材を拡張動作させる拡張機構16を配設してなる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は例えば水田や畑の土中に暗渠を形成する際に用いられる暗渠形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来この種の暗渠形成装置として、走行機体に連結機構により機枠を連結し、機枠に穿入ビームを揺振機構により進行方向に揺振動作自在に縦設し、穿入ビームの下部に土中に暗渠を形成可能な弾丸体を配設してなる構造のものが知られている。
【0003】
しかして、水田等は表層の耕耘層、その下層の耕盤、さらに下層の芯土層からなり、この耕耘層、耕盤及び芯土層に穿入ビームを穿入進行させ、耕盤を破ってその下の芯土層に弾丸体により暗渠を開穴形成することになる。
【特許文献1】実開昭61−80602号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記従来構造の場合、穿入ビームの穿入作業進行直後は土中の上下方向に形成される穿入跡溝は穿入ビームの厚さに応じた幅に保持されているが、時間の経過により穿入溝跡の両対向面が近接して狭まって閉塞されることになり、このため暗渠本来の排水性及び通気性を低下させることがあるという不都合を有している。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はこのような不都合を解決することを目的とするもので、本発明のうちで、請求項1記載の発明は、走行機体に連結機構により機枠を連結し、該機枠に穿入ビームを揺振機構により進行方向に揺振動作自在に縦設し、該穿入ビームの下部に土中に暗渠を形成可能な弾丸体を配設してなり、上記穿入ビームの進行方向後方位置に該穿入ビームにより土中の上下方向に延びて形成される穿入跡溝の一方側面を拡張して地表面に開口する縦口路を形成可能な拡張部材を配設し、該拡張部材を拡張動作させる拡張機構を配設し、該拡張機構として、上記拡張部材を角度回動可能に設けると共に該拡張部材を間欠的に一方向に強制角度回動させる間欠拡張機構を設けてなることを特徴とする暗渠形成装置にある。
【発明の効果】
【0006】
本発明は上述の如く、請求項1記載の発明にあっては、走行機体に連結機構により機枠を連結し、該機枠に穿入ビームを揺振機構により進行方向に揺振動作自在に縦設し、該穿入ビームの下部に土中に暗渠を形成可能な弾丸体を配設してなり、上記穿入ビームの進行方向後方位置に該穿入ビームにより土中の上下方向に延びて形成される穿入跡溝の一方側面を拡張して地表面に開口する縦口路を形成可能な拡張部材を配設し、該拡張部材を拡張動作させる拡張機構を配設し、該拡張機構として、上記拡張部材を角度回動可能に設けると共に該拡張部材を間欠的に一方向に強制角度回動させる間欠拡張機構を設けてなるから、走行機体の進行に伴い穿入ビームは進行方向に揺振動作しつつ土中に穿入して穿入跡溝を形成すると共に弾丸体により暗渠を連続して形成することになり、この際、上記穿入ビームの進行方向後方位置に配置された拡張部材は拡張部材を間欠的に一方向に強制角度回動させる拡張機構により拡張動作し、穿入ビームにより土中の上下方向に延びて形成される穿入跡溝の一方側面を拡張して地表面に開口する縦口路を形成することができ、従って、時間の経過により穿入溝跡の両対向面が近接して狭まって閉塞されたとしても縦口路が維持され、この縦口路の存在により暗渠の排水性及び通気性を良好に保持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1乃至図12は本発明の実施の形態例を示し、図1乃至図10は第一形態例、図11、図12は第二形態例である。
【0008】
図1乃至図10の第一形態例において、1は走行機体であって、この場合トラクタが用いられ、走行機体1の後部に三点リンク式の連結機構2により機枠3を上下動可能に連結して構成している。
【0009】
4は穿入ビーム、5は揺振機構であって、この場合、機枠3に揺動アーム6の中程部を支点軸7により揺振動作自在に枢着すると共に機枠3に主軸8を軸受8a・8aにより回転自在に横設し、走行機体1の動力取出軸9と主軸8とを自在継手10により連結し、揺動アーム6と穿入ビーム4との間に偏心輪機構11を介装し、即ち、偏心輪機構11として、上記主軸8の軸受8a・8a間に偏心軸部11aを形成し、偏心軸部11aに接続部材11bの上側の軸受11cを嵌合し、接続部材11bの下側の軸受11dに揺動アーム6の基軸6aを嵌挿し、揺動アーム6をガイドロール6b・6b及びガイド片3a・3aにより上下揺動案内し、主軸8の回転により偏心輪機構11を介して揺動アーム6を支点軸7を中心として上下揺振動作させ、揺動アーム6の後端部に穿入ビーム4を上下方向に取付け、穿入ビーム4の下端部に犂体12を取付けると共にフック状の連結材13により砲弾状の弾丸体14を連結して構成している。
【0010】
しかして、走行機体1の進行に伴い穿入ビーム4は進行方向に揺振動作しつつ土中Wに穿入して穿入跡溝Sを形成すると共に犂体12の穿入後方位置の弾丸体14により暗渠Hを連続して形成することになる。
【0011】
15は拡張部材、16は拡張機構であって、この拡張部材15は上記穿入ビーム4の進行方向後方位置に配設され、穿入ビーム4により土中Wの上下方向に延びて形成される穿入跡溝Sを拡張して地表面Mに開口する縦口路Tを形成可能に設けられ、拡張機構16はこの拡張部材15を拡張動作させるように構成されている。
【0012】
この場合、上記機枠3の後部に軸受筒体17を縦設し、軸受筒体17に支持軸18を回転自在に縦設し、軸受筒体17に軸受片体19を形成し、支持軸18の下端部を軸受片体19により回転自在に軸受し、支持軸18に拡張部材15としての羽根板状の突状体15aを上下に延びて突設してなり、又、拡張機構16として、間欠拡張機構16aが用いられ、この場合、上記機枠3に減速機構20を取付け、減速機構20の入力軸20aと主軸8とを継手21により連結し、減速機構20の出力軸20bと回転縦軸20cとの間にチェーン機構20dを介装し、回転縦軸20cに旋回アーム22を取付け、旋回アーム22に押動ロール23を植設し、支持軸18の上端部に押動ロール23により押圧可能な係合爪部材24を水平突設している。
【0013】
しかして、主軸8の回転により回転縦軸20cが回転し、回転縦軸20cの回転により押動ロール23は係合爪部材24を係合押動し、この押動により拡張部材15は角度強制回動し、これにより縦口路Tが拡張形成され、更なる回動により押動ロール23が係合爪部材24から離反すると、拡張部材15の羽根板状の突条体15aは穿入ビーム4の穿入跡溝Sの側面に当接して戻復帰回動し、突条体15aは一定の周期で間欠的に一定の正逆の往復角度回転することになる。
【0014】
25は溝切円盤であって、上記穿入ビーム4の基部に取付片25aを垂設し、取付片25aに溝切円盤25を回転自在に取り付け、穿入ビーム4の進行方向前方位置に揺振動作しつつ穿入条溝Fを形成するように構成している。
【0015】
26は転輪であって、上記機枠3の左右両側位置に取付アーム26a・26aを高さ調節機構26bにより高さ調節自在に配置し、田面等の地表面Mに転輪26を接地させ、機枠3の安定走行及び暗渠Hの表面からの形成高さの設定を図るように構成している。
【0016】
この実施の第一形態例は上記構成であるから、走行機体1の進行に伴い穿入ビーム4は進行方向に揺振動作しつつ土中Wに穿入して穿入跡溝Sを形成すると共に犂体12の穿入後方位置の弾丸体14により暗渠Hを連続して形成することになり、この際、図10の如く、上記穿入ビーム4の進行方向後方位置に配置された拡張部材15は拡張機構16により拡張動作し、穿入ビーム4により土中Wの上下方向に延びて形成される穿入跡溝Sを拡張して地表面Mに開口する縦溝状の縦口路Tを形成することができ、従って、時間の経過により穿入溝跡Sの両対向面が近接して狭まって閉塞されたとしても縦口路Tが維持され、縦口路Tの存在により暗渠Hの排水性及び通気性を良好に保持することができる。尚、縦口路Tの下端は適宜設定されるが、一般的に暗渠Hに届かない暗渠近接位置に設定されることが望ましく、何故ならば、暗渠Hと縦口路Tとが連通状態であると縦口路Tの内面の土が暗渠H内に流入し、暗渠Hを閉塞することがあるからである。
【0017】
又、この場合、上記拡張機構16として、上記拡張部材15を間欠的に拡張動作させる間欠拡張機構16aを設けてなるから、図10の如く、穿入ビーム4により形成された穿入跡溝Sを点在的に拡幅拡張して縦口路Tを形成することができ、縦口路Tを良好に形成することができ、又、この場合、上記拡張部材15は往復角度回転可能な突条体15aを備えてなるから、突条体15aの半径分の扇形状の縦口路Tを容易に形成することができる。
【0018】
図11、図12の第二形態例は別例構造を示し、この場合、軸受筒体19にバネ掛け部材19a・19aを取付け、バネ掛け部材19a・19aと突条体15aとの間にそれぞれ戻動用バネ27・27を掛架し、戻動用バネ27・27により拡張部材15の突条体15aを常態において後方向きに位置させるように構成している。
【0019】
この実施の第二形態例にあっても、上記第一形態例と同様な作用効果を得ることができると共に拡張部材15の突条体15aは戻動用バネ27・27により強制的に穿入ビーム4の穿入跡溝Sに戻復帰回動し、このため、突条体15aの往復角度回動が確実になされ、縦口路Tを良好に形成することができる。
【0020】
尚、本発明は上記実施の形態例に限られるものではなく、拡張部材15、拡張機構16の構造等は適宜変更して設計されるものである。
【0021】
以上、所期の目的を充分達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の第一形態例の全体側面図である。
【図2】本発明の実施の第一形態例の部分側面図である。
【図3】本発明の実施の第一形態例の部分平面図である。
【図4】本発明の実施の第一形態例の部分側断面図である。
【図5】本発明の実施の第一形態例の部分平断面図である。
【図6】本発明の実施の第一形態例の部分拡大側断面図である。
【図7】本発明の実施の第一形態例の部分拡大平断面図である。
【図8】本発明の実施の第一形態例の部分横断面図である。
【図9】本発明の実施の第一形態例の部分平面図である。
【図10】本発明の実施の第一形態例の部分平面図である。
【図11】本発明の実施の第二形態例の部分後面図である。
【図12】本発明の実施の第二形態例の部分平断面図である。
【符号の説明】
【0023】
W 土中
H 暗渠
T 縦口路
S 穿入溝跡
M 地表面
1 走行機体
2 連結機構
3 機枠
4 穿入ビーム
5 揺振機構
14 弾丸体
15 拡張部材
16 拡張機構
16a 間欠拡張機構
【技術分野】
【0001】
本発明は例えば水田や畑の土中に暗渠を形成する際に用いられる暗渠形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来この種の暗渠形成装置として、走行機体に連結機構により機枠を連結し、機枠に穿入ビームを揺振機構により進行方向に揺振動作自在に縦設し、穿入ビームの下部に土中に暗渠を形成可能な弾丸体を配設してなる構造のものが知られている。
【0003】
しかして、水田等は表層の耕耘層、その下層の耕盤、さらに下層の芯土層からなり、この耕耘層、耕盤及び芯土層に穿入ビームを穿入進行させ、耕盤を破ってその下の芯土層に弾丸体により暗渠を開穴形成することになる。
【特許文献1】実開昭61−80602号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記従来構造の場合、穿入ビームの穿入作業進行直後は土中の上下方向に形成される穿入跡溝は穿入ビームの厚さに応じた幅に保持されているが、時間の経過により穿入溝跡の両対向面が近接して狭まって閉塞されることになり、このため暗渠本来の排水性及び通気性を低下させることがあるという不都合を有している。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はこのような不都合を解決することを目的とするもので、本発明のうちで、請求項1記載の発明は、走行機体に連結機構により機枠を連結し、該機枠に穿入ビームを揺振機構により進行方向に揺振動作自在に縦設し、該穿入ビームの下部に土中に暗渠を形成可能な弾丸体を配設してなり、上記穿入ビームの進行方向後方位置に該穿入ビームにより土中の上下方向に延びて形成される穿入跡溝の一方側面を拡張して地表面に開口する縦口路を形成可能な拡張部材を配設し、該拡張部材を拡張動作させる拡張機構を配設し、該拡張機構として、上記拡張部材を角度回動可能に設けると共に該拡張部材を間欠的に一方向に強制角度回動させる間欠拡張機構を設けてなることを特徴とする暗渠形成装置にある。
【発明の効果】
【0006】
本発明は上述の如く、請求項1記載の発明にあっては、走行機体に連結機構により機枠を連結し、該機枠に穿入ビームを揺振機構により進行方向に揺振動作自在に縦設し、該穿入ビームの下部に土中に暗渠を形成可能な弾丸体を配設してなり、上記穿入ビームの進行方向後方位置に該穿入ビームにより土中の上下方向に延びて形成される穿入跡溝の一方側面を拡張して地表面に開口する縦口路を形成可能な拡張部材を配設し、該拡張部材を拡張動作させる拡張機構を配設し、該拡張機構として、上記拡張部材を角度回動可能に設けると共に該拡張部材を間欠的に一方向に強制角度回動させる間欠拡張機構を設けてなるから、走行機体の進行に伴い穿入ビームは進行方向に揺振動作しつつ土中に穿入して穿入跡溝を形成すると共に弾丸体により暗渠を連続して形成することになり、この際、上記穿入ビームの進行方向後方位置に配置された拡張部材は拡張部材を間欠的に一方向に強制角度回動させる拡張機構により拡張動作し、穿入ビームにより土中の上下方向に延びて形成される穿入跡溝の一方側面を拡張して地表面に開口する縦口路を形成することができ、従って、時間の経過により穿入溝跡の両対向面が近接して狭まって閉塞されたとしても縦口路が維持され、この縦口路の存在により暗渠の排水性及び通気性を良好に保持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1乃至図12は本発明の実施の形態例を示し、図1乃至図10は第一形態例、図11、図12は第二形態例である。
【0008】
図1乃至図10の第一形態例において、1は走行機体であって、この場合トラクタが用いられ、走行機体1の後部に三点リンク式の連結機構2により機枠3を上下動可能に連結して構成している。
【0009】
4は穿入ビーム、5は揺振機構であって、この場合、機枠3に揺動アーム6の中程部を支点軸7により揺振動作自在に枢着すると共に機枠3に主軸8を軸受8a・8aにより回転自在に横設し、走行機体1の動力取出軸9と主軸8とを自在継手10により連結し、揺動アーム6と穿入ビーム4との間に偏心輪機構11を介装し、即ち、偏心輪機構11として、上記主軸8の軸受8a・8a間に偏心軸部11aを形成し、偏心軸部11aに接続部材11bの上側の軸受11cを嵌合し、接続部材11bの下側の軸受11dに揺動アーム6の基軸6aを嵌挿し、揺動アーム6をガイドロール6b・6b及びガイド片3a・3aにより上下揺動案内し、主軸8の回転により偏心輪機構11を介して揺動アーム6を支点軸7を中心として上下揺振動作させ、揺動アーム6の後端部に穿入ビーム4を上下方向に取付け、穿入ビーム4の下端部に犂体12を取付けると共にフック状の連結材13により砲弾状の弾丸体14を連結して構成している。
【0010】
しかして、走行機体1の進行に伴い穿入ビーム4は進行方向に揺振動作しつつ土中Wに穿入して穿入跡溝Sを形成すると共に犂体12の穿入後方位置の弾丸体14により暗渠Hを連続して形成することになる。
【0011】
15は拡張部材、16は拡張機構であって、この拡張部材15は上記穿入ビーム4の進行方向後方位置に配設され、穿入ビーム4により土中Wの上下方向に延びて形成される穿入跡溝Sを拡張して地表面Mに開口する縦口路Tを形成可能に設けられ、拡張機構16はこの拡張部材15を拡張動作させるように構成されている。
【0012】
この場合、上記機枠3の後部に軸受筒体17を縦設し、軸受筒体17に支持軸18を回転自在に縦設し、軸受筒体17に軸受片体19を形成し、支持軸18の下端部を軸受片体19により回転自在に軸受し、支持軸18に拡張部材15としての羽根板状の突状体15aを上下に延びて突設してなり、又、拡張機構16として、間欠拡張機構16aが用いられ、この場合、上記機枠3に減速機構20を取付け、減速機構20の入力軸20aと主軸8とを継手21により連結し、減速機構20の出力軸20bと回転縦軸20cとの間にチェーン機構20dを介装し、回転縦軸20cに旋回アーム22を取付け、旋回アーム22に押動ロール23を植設し、支持軸18の上端部に押動ロール23により押圧可能な係合爪部材24を水平突設している。
【0013】
しかして、主軸8の回転により回転縦軸20cが回転し、回転縦軸20cの回転により押動ロール23は係合爪部材24を係合押動し、この押動により拡張部材15は角度強制回動し、これにより縦口路Tが拡張形成され、更なる回動により押動ロール23が係合爪部材24から離反すると、拡張部材15の羽根板状の突条体15aは穿入ビーム4の穿入跡溝Sの側面に当接して戻復帰回動し、突条体15aは一定の周期で間欠的に一定の正逆の往復角度回転することになる。
【0014】
25は溝切円盤であって、上記穿入ビーム4の基部に取付片25aを垂設し、取付片25aに溝切円盤25を回転自在に取り付け、穿入ビーム4の進行方向前方位置に揺振動作しつつ穿入条溝Fを形成するように構成している。
【0015】
26は転輪であって、上記機枠3の左右両側位置に取付アーム26a・26aを高さ調節機構26bにより高さ調節自在に配置し、田面等の地表面Mに転輪26を接地させ、機枠3の安定走行及び暗渠Hの表面からの形成高さの設定を図るように構成している。
【0016】
この実施の第一形態例は上記構成であるから、走行機体1の進行に伴い穿入ビーム4は進行方向に揺振動作しつつ土中Wに穿入して穿入跡溝Sを形成すると共に犂体12の穿入後方位置の弾丸体14により暗渠Hを連続して形成することになり、この際、図10の如く、上記穿入ビーム4の進行方向後方位置に配置された拡張部材15は拡張機構16により拡張動作し、穿入ビーム4により土中Wの上下方向に延びて形成される穿入跡溝Sを拡張して地表面Mに開口する縦溝状の縦口路Tを形成することができ、従って、時間の経過により穿入溝跡Sの両対向面が近接して狭まって閉塞されたとしても縦口路Tが維持され、縦口路Tの存在により暗渠Hの排水性及び通気性を良好に保持することができる。尚、縦口路Tの下端は適宜設定されるが、一般的に暗渠Hに届かない暗渠近接位置に設定されることが望ましく、何故ならば、暗渠Hと縦口路Tとが連通状態であると縦口路Tの内面の土が暗渠H内に流入し、暗渠Hを閉塞することがあるからである。
【0017】
又、この場合、上記拡張機構16として、上記拡張部材15を間欠的に拡張動作させる間欠拡張機構16aを設けてなるから、図10の如く、穿入ビーム4により形成された穿入跡溝Sを点在的に拡幅拡張して縦口路Tを形成することができ、縦口路Tを良好に形成することができ、又、この場合、上記拡張部材15は往復角度回転可能な突条体15aを備えてなるから、突条体15aの半径分の扇形状の縦口路Tを容易に形成することができる。
【0018】
図11、図12の第二形態例は別例構造を示し、この場合、軸受筒体19にバネ掛け部材19a・19aを取付け、バネ掛け部材19a・19aと突条体15aとの間にそれぞれ戻動用バネ27・27を掛架し、戻動用バネ27・27により拡張部材15の突条体15aを常態において後方向きに位置させるように構成している。
【0019】
この実施の第二形態例にあっても、上記第一形態例と同様な作用効果を得ることができると共に拡張部材15の突条体15aは戻動用バネ27・27により強制的に穿入ビーム4の穿入跡溝Sに戻復帰回動し、このため、突条体15aの往復角度回動が確実になされ、縦口路Tを良好に形成することができる。
【0020】
尚、本発明は上記実施の形態例に限られるものではなく、拡張部材15、拡張機構16の構造等は適宜変更して設計されるものである。
【0021】
以上、所期の目的を充分達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の第一形態例の全体側面図である。
【図2】本発明の実施の第一形態例の部分側面図である。
【図3】本発明の実施の第一形態例の部分平面図である。
【図4】本発明の実施の第一形態例の部分側断面図である。
【図5】本発明の実施の第一形態例の部分平断面図である。
【図6】本発明の実施の第一形態例の部分拡大側断面図である。
【図7】本発明の実施の第一形態例の部分拡大平断面図である。
【図8】本発明の実施の第一形態例の部分横断面図である。
【図9】本発明の実施の第一形態例の部分平面図である。
【図10】本発明の実施の第一形態例の部分平面図である。
【図11】本発明の実施の第二形態例の部分後面図である。
【図12】本発明の実施の第二形態例の部分平断面図である。
【符号の説明】
【0023】
W 土中
H 暗渠
T 縦口路
S 穿入溝跡
M 地表面
1 走行機体
2 連結機構
3 機枠
4 穿入ビーム
5 揺振機構
14 弾丸体
15 拡張部材
16 拡張機構
16a 間欠拡張機構
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行機体に連結機構により機枠を連結し、該機枠に穿入ビームを揺振機構により進行方向に揺振動作自在に縦設し、該穿入ビームの下部に土中に暗渠を形成可能な弾丸体を配設してなり、上記穿入ビームの進行方向後方位置に該穿入ビームにより土中の上下方向に延びて形成される穿入跡溝の一方側面を拡張して地表面に開口する縦口路を形成可能な拡張部材を配設し、該拡張部材を拡張動作させる拡張機構を配設し、該拡張機構として、上記拡張部材を角度回動可能に設けると共に該拡張部材を間欠的に一方向に強制角度回動させる間欠拡張機構を設けてなることを特徴とする暗渠形成装置。
【請求項1】
走行機体に連結機構により機枠を連結し、該機枠に穿入ビームを揺振機構により進行方向に揺振動作自在に縦設し、該穿入ビームの下部に土中に暗渠を形成可能な弾丸体を配設してなり、上記穿入ビームの進行方向後方位置に該穿入ビームにより土中の上下方向に延びて形成される穿入跡溝の一方側面を拡張して地表面に開口する縦口路を形成可能な拡張部材を配設し、該拡張部材を拡張動作させる拡張機構を配設し、該拡張機構として、上記拡張部材を角度回動可能に設けると共に該拡張部材を間欠的に一方向に強制角度回動させる間欠拡張機構を設けてなることを特徴とする暗渠形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−100505(P2007−100505A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−336283(P2006−336283)
【出願日】平成18年12月13日(2006.12.13)
【分割の表示】特願2001−388238(P2001−388238)の分割
【原出願日】平成13年12月20日(2001.12.20)
【出願人】(395008849)株式会社富士トレーラー製作所 (32)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月13日(2006.12.13)
【分割の表示】特願2001−388238(P2001−388238)の分割
【原出願日】平成13年12月20日(2001.12.20)
【出願人】(395008849)株式会社富士トレーラー製作所 (32)
【Fターム(参考)】
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