説明

曇り止め剤及び曇り止め剤の製造方法

【課題】一般的なくもり止め剤は化学合成により作られた界面活性剤を用いられているため、人体に影響のない、安全かつ良質な曇り止め剤及び該曇り止め剤及びその製造方法を提供する。
【解決手段】粘性多糖類の粉末1〜15重量単位、タンパク質:0.5〜7.5重量単位、カルボキシル基を持ち炭素数2〜6個の化学構造を持つ有機酸:0.2〜3重量単位、ミネラル塩:1〜15重量単位からなる混合物質を水で稀釈して得た曇り止め剤及び前記混合物質を水で膨潤及び溶解させることを特徴とする曇り止め剤の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海藻の持つ粘性多糖類という天然素材を主原料として用いることで、人体へ影響のない曇り止め剤及び曇り止め方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水中で使用するガラス又はプラスチックス製の水泳用ゴーグル、水中眼鏡、あるいは雨天時の乗り物のガラス、ミラー等に曇りが生じ、前方の視界が遮られるという問題がある。
この原因は、水蒸気が前記ガラスやプラスチックスの表面に凝着し、それが表面張力によって微小な水滴になり、この無数の水滴が光を散乱するため視界が悪くなることが主たる原因である。
この無数の水滴の凝集を防止するため、例えば市販の水中ゴーグル用の曇り止め剤(例えば商品名Swimmers Demist SWANS,山本光学(株)製)として、主成分に脂肪酸系非イオン界面活性剤などの、化学合成により作りだされた界面活性剤が用いられている。
【0003】
一般に、界面活性剤は石鹸のような物質であるから、目などに対する刺激性を通常持っている。また、塗布後の耐久性の点では、視野の一時的回復ができればよいとされ、そのため再塗布の回数が多くプール水の泡立ち汚染などの問題も生じる場合がある。
特に、直接人体に触れる機会が多い、水泳用ゴーグル、水中メガネ等は化学合成原料ではなく、人体への影響が無い曇り止め剤を使用する事が望ましいのであるが、このような材料は現在のところ見出されていない。
水泳用ゴーグル、水中メガネ等の曇り止めの方法としては、水中での使用が目的であるので、電気や温風など物理的な曇り除去、またワイパーのような機械的な方法は使用できないので、化学的な方法に限られる。
【0004】
この化学的な曇り止め剤として、浴室用鏡などの表面を曇り止めするに際して、主剤にアルカリ珪酸塩など親水性無機非晶質物質と硬化補助剤に酸化亜鉛などの親水性金属酸化物粒子を用いる2成分混合系の発明が開示されている(特許文献1参照)。これを適用する pHが8.0〜12.0の範囲にあり、アルカリ性であることが特徴である。また、塗布後ドライヤーなどにより加熱することが耐水性を向上させるとしている。
この方法によれば、使用時に2液を混合する必要があり、アルカリ性であるため、人体への刺激性が懸念されるほか、施工時にダイヤモンド粉含有スポンジなどで表面の前処理をおこなう必要があるなど、通常のプールサイドなどでは使用が難しい。
【0005】
親水性の界面活性剤として非イオン型のショ糖脂肪酸エステルもしくは陰イオン型のドデシルベンゼンスルホン酸塩を用いる方法が開示されている(特許文献2)。この方法は、基本的に界面活性剤を主剤にしているので、界面活性剤使用の問題は避けられない。
さらに、この曇り止め剤は、カルシウムイオン、マグネシウムイオン等の多価イオン成分は少ないことが良いとされ、好ましい水としては、蒸留水、精製水又は水道水などが上げられている(同特許文献2の段落[0019]参照)。これは、使用が著しく限られることになり、海辺での水中メガネの使用に適用が難しい。
【0006】
吸水性高分子としてアクリル酸ナトリウムやビニルアルコール、ポリエチレングリコールなどを主剤とし、架橋剤としてエポキシ樹脂などを用いる技術が開示されている(特許文献3参照)。
この特許文献3の実施例によれば、曇り止め剤を塗布後、60°Cで5時間程度の架橋、固定化の時間を要する。また、ガラス表面に対する曇り止め剤であることから、やはり,樹脂製の多い水泳ゴーグルへのプールサイドあるいは海辺での手軽な塗布、利用が事実上できないという問題を有している。
【特許文献1】特開2004−315730号公報
【特許文献2】特開2003−183618号公報
【特許文献3】特開平7−207192号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
界面活性剤を主原料とした塗布型の水泳用ゴーグル、水中眼鏡などの曇り止め剤(溶液)が持つ皮膚や目などへ刺激性の低減と耐久性が脆弱である点を解決し、プールなどの水際での界面活性剤による泡立ちを低減させること、及び曇り止め機能の回復による耐久消費期間の延長による廃棄物やゴミの低減化、さらには乗り物の雨天時における視界確保ための軽便な使用を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための手段として、褐藻類に含まれる、フコイダン、アルギン酸等を含有する粘性多糖類による超親水性作用に着眼した。特に函館近海で採れるコンブ科トロロコンブ属の海藻であるガゴメには良質の粘性多糖類が多く含まれている。その粘性多糖類はフコイダン、アルギン酸という物質が主成分である。
この物質は、一般に褐藻類から熱水にて抽出しアルコール類にて沈殿として回収できるが、これを再び溶解し使用する。
さらに、タンパク質、有機酸、ミネラル塩を添加することができる。この水溶液は、天然原料を使用した良質かつ安全な曇り止め剤となり、これを塗布することで、ガラス、プラスチックス等の眼鏡、鏡、レンズ等の表面上に水膜を形成する曇り止め方法を提供する。
【0009】
本発明の具体的な手段として、
粘性多糖類を主成分とする曇り止め剤を提供するものである。この曇り止め剤は、超親水性を有している。化学物質である界面活性剤を使用せず、自然界に存在する褐藻類に含まれる粘性多糖類を使用することができる。これは、環境汚染がなく、さらに人体への悪影響がないという優れた特性を有している。
褐藻類に含まれる粘性多糖類は、一般的に乾燥葉体重量に対してフコイダンを10〜40g/kg及びアルギン酸を200〜300g/kg含有する。褐藻類に含まれるこれらの粘性多糖類を熱水で抽出し,乾燥粉末としたとき,粘性多糖類中の構成多糖成分の割合は、フコイダンがやや多く、100g中に50g以上含有し、残量アルギン酸として抽出することができる。
【0010】
本発明の曇り止め剤は、粘性多糖類の粉末1〜15重量単位、タンパク質:0.5〜7.5重量単位、カルボキシル基を持ち炭素数2〜6個の化学構造を持つ有機酸:0.2〜3重量単位、ミネラル塩:1〜15重量単位からなる混合物質を水で希釈して得ることができる。上記混合物質の比率が重要であり、水による希釈量は任意である。ここで表示する「重量単位」は「重量部」と表示することもでき、内容的に同一である。
例えば本発明の曇り止め剤は、水1リッターの稀釈水に対して、粘性多糖類の粉末1〜15g/l、タンパク質:0.5〜7.5g/l、カルボキシル基を持ち炭素数2〜6個の化学構造を持つ有機酸:0.2〜3g/l、ミネラル塩:1〜15g/lの各濃度からなる混合物質を得ることができる。
上記の場合、水1リッターに稀釈したが、本曇り止め剤は混合物質の比率が重要であり、水による希釈量は任意である。この場合、水による希釈量に実用上の制限があるが、この例示の濃度は曇り止め剤の保存性及び安定性からみて、最適な濃度の数量である。例示の成分の濃度組成を持つ溶液の全体は、使用時には曇り止め剤としての機能を有する限り、任意に水で希釈して使用することができる。
【0011】
前記タンパク質は、糖タンパク質と呼ばれる物質であり、タンパク質を構成するアミノ酸類に糖鎖と呼ばれる糖の構造を有するタンパク質の仲間である。
また、前記有機酸は、カルボキシル基を持つ炭素数が2個から6個の化学構造を持ち、水酸基が炭素原子と結合していてもよい。さらに、前記ミネラル塩は、海藻類が持つミネラル塩を使用するもので、とくにカルシウム塩に代表されるような2価以上の多価イオンとなる金属塩を使用する。
なお、本願発明の曇り止め剤の製造に際し、粘性多糖類をそのまま水に溶解するか又はアルコールで分散させて溶解してから添加する場合がある。アルコールで分散させて溶解させてから水を添加する方が、作業効率が良いので、勧められる手法である。なお、アルコール添加量は50〜70ml/lが適量である。アルコールは適宜添加することができる。
【0012】
粘性多糖類の抽出に際しては、例えば粉末にした褐藻類に熱水を加えて粘性多糖類を含むエキス成分を抽出し、次にこの抽出液を固液分離し、得られた上澄み液にアルコールを添加して粘性多糖類を不溶固形分として沈殿させ、これを固液分離して粘性多糖類を回収し、これを粉末化することにより、褐藻類に含まれる粘性多糖類を得ることができる。
曇り止め剤の製造に際しては、褐藻類としてガゴメこんぶを用いることが有効である。ガゴメこんぶにはフコイダンが通常のコンブよりも多量に含まれているからである。
曇り止め剤の製造に際しては、粘性多糖類の粉末1〜15重量単位、タンパク質:0.5〜7.5重量単位、カルボキシル基を持ち炭素数2〜6個の化学構造を持つ有機酸:0.2〜3重量単位、ミネラル塩:1〜15重量単位からなる混合物質を水で膨潤及び溶解させることが有効である。また、上記のようにアルコールで分散させて溶解させてから水に添加することもできる。希釈量は任意である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、天然原料を使用し、良質かつ安全な、曇り止め剤及び曇り止め剤の製造方法を提供することができる。曇り止め剤の成分は、天然由来であり市販品に認められる刺激性がないという著しい効果を有する。
海藻の粘性多糖類の超親水性により水膜を形成し,水中での良好な視界を確保できる効果を有する。さらに、タンパク質、有機酸、ミネラル塩を添加することにより、形成される水膜の耐久性を改善することができ、水膜が切れるまでの使用可能な時間を大幅に改善することができるという著しい効果を有する。
使用時に眼鏡レンズ表面に塗布し、過剰な成分は軽く水洗後、手早くしかも容易に使用が可能である。水又は水蒸気の環境下での使用に有効である。例えば、プール又は海水中でのゴーグル、水中めがね、浴槽の鏡、雨天時の自動車のサイドミラー、ドアガラスなどであり、本発明の曇り止め剤の簡単な噴霧又は塗布によって、効果を発揮する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の特徴を具体的に説明する。以下の説明は本願発明の理解を容易にするためのものであり,これに制限されるものではない。すなわち,本願発明の技術思想に基づく変形、他の実施態様、他の例等は、いずれも本願発明に含まれるものである。
【0015】
(粘性多糖類の抽出)
ガゴメの粉末1重量単位に対して、攪拌に十分な10〜30倍重量単位の熱水を加えて数分間、熱水中にコンブの粘性多糖類を含むエキス成分を抽出する。
次に、例えば遠心分離器などで固液分離を行い、得られた上澄み液に、上澄み液の2倍容量単位のエタノール(99%)を添加し、粘性多糖類を不溶固形分として沈殿せしめ、例えば遠心分離器などで固液分離を行い、固形分として粘性多糖類を回収する。
回収された粘性多糖類は、例えば凍結乾燥器を用いて乾燥させた後、例えば乳鉢などで粉砕し、曇り止め剤の主原料の粉末を得る。この成分は、ガゴメ粉末1重量単位から0.1〜0.01重量単位の範囲で回収できる。
図1に本法で得られるガゴメ粘性多糖類の赤外分光スペクトルを示した。この図は、1.6mg/200mg、KBr錠剤成形したものについて、波数(横軸)に対する透過率(%T)(縦軸)を測定したものである。
製造した粉末の品質を、この赤外分光スペクトルにより分析し、確認することができる。すなわち、製造した曇り止め剤が図1に示す赤外分光スペクトルを有していれば、本発明と同様の特性を備えたフコイダン及びアルギン酸を含有する粘性多糖類を主成分とする曇り止め剤であることを確認することができる。
【0016】
褐藻類、特にガゴメコンブに含まれるフコイダン及びアルギン酸を非アルカリ性の条件下で抽出した乾燥粉末100g中には、一般にフコイダンが50g以上含まれる。またアルギン酸も相当量が含まれる(50g以下程度)。この粘性多糖類が、曇り止め剤として大きな役割を担っている。
なお、粘性多糖類の抽出乾燥粉末は、アルギン酸量はカルバゾール硫酸比色法によりアルギン酸ナトリウムとして分析することができる。また、乾燥粉末の赤外分光スペクトルが既知のフコイダンと相同性が高いのでフコイダンは、共存するアルギン酸を差し引き計算により含有量を求めることができる。
例えば、フコイダンとアルギン酸は混合調製後,溶液中にそれぞれ4.2g/l,1.1g/lである場合、これは乾燥物100g中に換算するとアルギン酸は21g、フコイダンは79gとなる。このようにして、フコイダン及びアルギン酸の比率を求めることができる。本願発明においては、その比率が問題ではなく、抽出された物質に陽性反応が確認されればよく、粘性多糖類としての利用が重要である。
【0017】
(曇り止め剤の調製)
曇り止め剤の1l(リッター)を調製する例を挙げると、前記の方法で調製した粉末5gを、溶解性を高める補助分散剤として、50ml〜70mlのエタノール(99%)に分散させてから、蒸留水を加え、再び膨潤及び溶解させて0.5lとし、主剤となる粘性多糖溶液を得ることができる。
【0018】
(補助溶液の調製)
添加剤であるタンパク質については、例えばBSA(仔牛血清アルブミン)2gを0.5lの蒸留水に溶解させる。このたんぱく質には、この他、卵由来アルブミンを使用することができる。
また、有機酸については、例えばプロピオン酸ナトリウム塩(炭素数3)1gを0.5lの蒸留水に溶解させる。この有機酸には、この他モル当量のソルビン酸カリウム(炭素数6)を使用することができる。
ミネラル塩としては、例えば塩化カルシウム2水和物4gを0.5リッターの蒸留水に溶解させる。ミネラル塩には、この他モル当量の塩化マグネシウムを使用することができる。これらの4つ成分は、4つの成分を含む0.5リッターの混合溶液として調製できる。
【0019】
調製した主剤の粘性多糖溶液0.5リッターと、それぞれの成分を混合溶液とした補助溶液0.5lを混合し、1リッターの曇り止め剤を得ることができる。この時、不溶性の多糖が沈殿として生じた場合は、遠心分離器等を用いて除去する。
この曇り止め剤は、やや黄色味があり、不快な臭気もなくコロイド溶液状の体裁を示す。pHは中性であり、pH指示薬ブロモクレゾールグリーンで鮮明な青色となるので、容易に確認できる。
【0020】
日本工業規格JISK2399:2001に準拠して、上記で調整した曇り止め剤を、清浄なスライドガラスに、ガーゼで塗布し、軽く余剰分を洗い流し、同JISに記載されている水蒸気発生装置により、70°Cの蒸気を吹き付けることで、曇り止めの効果を確認することができた。ここでいうところの清浄なスライドガラスとは、JISK3370に適合する洗浄剤でガラス表面を洗い、塗布試験前のガラス表面に水膜を形成しないことを確認したスライドガラスのことである。
曇り止め剤が塗布されたガラス表面の水の接触角を接触角計(Drop Master DM300、協和界面科学(株))で測定し、7.7〜12.3度(界面活性剤の市販品は14.7〜19.6度)という値を得ることができたため,超親水性作用による水膜曇り止めの効果があることを確認できた。
【0021】
曇り止め剤の付着耐久性は、日本工業規格JISK2399:2001に準拠して水膜の切れる面積を目視で判定した。
大きめのビーカにイオン交換水を満たし、曇り具合の判定の度にスライドグラスを水中で揺らしてすすぎ、再び蒸気を吹き付けるという方法を繰り返した。これを一回の洗い流し試験と勘定した。上記の曇り止めを塗布したスライドガラスは洗い流し試験を100回以上通過する付着性能が確認された。これにより、本願発明の曇り止め剤は、水膜形成による曇り止めの効果の優れた特性を有することが確認できた。
【0022】
(樹脂製ゴーグルへの適用)
市販のスイミングゴーグルは樹脂製であり、素材はポリカーボネート(PC)製がある。市販されている代表的な製品を購入し、30回以上の洗い流し試験で曇っている部分が50%未満を合格とした場合、表1に示したとおりポリカーボネート製については適用できることが判った。
以上から、ガラス製については上記の通り有効であり、さらに樹脂製のゴーグル等でも材質によっては有効であることが確認できた。
【0023】
【表1】

【実施例】
【0024】
次に、実施例及び比較例について説明する。なお、これらの例は、本願発明の理解を容易にするためのものであって、本願発明は、これらの例に制限されるものではない。すなわち、本願発明の技術思想の範囲に含まれる態様、変形、実施例は、全て本願発明に含まれるものである。
【0025】
(実施例1)
前記[0015]の方法によりガゴメから抽出した粘性多糖類の粉末:53mgを[0017]の方法で溶解し5mlとした溶液と、[0018]の方法によりBSA:21mg、プロピオン酸ナトリウム:12mg、塩化カルシウム2水和物:44mgを含む混合溶液5mlを混合して合計10mlとし、遠心分離法により得られた上清を[0020]と[0021]の方法により、試験した。
前記粘性多糖類の抽出乾燥粉末は、アルギン酸量をカルバゾール硫酸比色法によりアルギン酸ナトリウムとして分析した。乾燥粉末の赤外分光スペクトルが既知のフコイダンと相同性が高いのでフコイダンは、共存するアルギン酸を差し引き計算により含有量を求める。その結果、フコイダンとアルギン酸は混合調製後それぞれ4.2g/l、1.1g/lであった。これは乾燥物100gに換算するとアルギン酸は21g、フコイダンは79gである。
本実施例1の水膜曇り止め剤は、前記粘性多糖類、BSA、プロピオン酸ナトリウム、塩化カルシウム2水和物がそれぞれ固液分を含む全量に対して、5.3g/l、2.1g/l、1.2g/l、4.4g/lであり、エタノール(比重0.79)3.9g/lを含有し、残部は水であった。この条件は、本願発明の範囲にある。
【0026】
(曇り止めの性能と濃度範囲規定の関係)
この水膜曇り止め剤について性能試験を実施した。この結果、付着性能は通過回数100回以上で極めて安定した水膜曇り止め効果を発揮した。
曇り止めの性能試験では、使用方法が塗布後簡単な濯(すす)ぎにより、余剰分を洗って試験する。すなわち、処方される成分の必要量は、表面に残留するわずかな量となる。しかし、濯ぎ前の曇り止め剤としては、水1リッターを稀釈剤として、粘性多糖類の粉末1〜15g/l、タンパク質:0.5〜7.5g/l、カルボキシル基を持ち炭素数2〜6個の化学構造を持つ有機酸:0.2〜3g/l、ミネラル塩:1〜15g/lからなる混合物質を準備して曇り止め剤とした。上記4成分以外は稀釈水である。
曇り止めの性能試験では、濯ぎにより、これらの量をさらに水で希釈して使用するが、これらの4成分の比率は反映される。
すなわち、濯ぎ後であっても、試験を行う際に必要とされる曇り止め剤は、粘性多糖類、たんぱく質、有機酸、ミネラルのこれら4成分が共存していることが確認できる。これら成分の含有により、効果があることを確認することができる。
【0027】
本願発明の曇り止め剤は、褐藻類に含まれるフコイダン及びアルギン酸を含有する粘性多糖類を単独で1g/l未満又は15g/lを超える量(他の条件は発明の範囲内)とした場合、付着性能における通過回数は、10〜80%の性能低下が認められた。このように粘性多糖類は、曇り止め剤に強く影響することが分った。
また、本願発明の粘性多糖類が1〜15g/lの範囲にあっても、タンパク質:0.5g/l未満又は7.5g/lを超える量、カルボキシル基を持ち炭素数2〜6個の化学構造を持つ有機酸:0.2g/l未満又は3g/lを超える量、海藻類が持つミネラル塩:1g/l未満又は15g/lを超える量の、それぞれの単独の条件下でも、同様に付着性能における通過回数は、それぞれ50〜90%の性能低下が認められた。また、これらの複合した範囲外の条件では、殆んど100%近い性能低下があった。
したがって、褐藻類に含まれるフコイダン及びアルギン酸を含有する粘性多糖類を1〜15重量単位、タンパク質:0.5〜7.5重量単位、カルボキシル基を持ち炭素数2〜6個の化学構造を持つ有機酸:0.2〜3重量単位、海藻類が持つミネラル塩:1〜15重量単位の比率で含有させ、水で希釈して曇り止め剤とするものが望ましいことが分る。必要に応じて、粘性多糖類をアルコールで分散後溶解することができる。
以下の実施例及び比較例については、これらの条件を前提に、粘性多糖類、たんぱく質、有機酸、ミネラルの添加種を変化させた場合、又は無添加の条件下での、それぞれの特性を調査した結果を示す。
【0028】
(実施例2)
上記実施例1と同様の方法により、水膜曇り止め剤を得た。ただし,ガゴメから抽出した粘性多糖類の粉末:53mgを溶解し5mlとした溶液と、卵由来アルブミン:21mg、プロピオン酸ナトリウム:12mg、塩化カルシウム2水和物:44mgを含む混合溶液5mlを混合して、合計10mlとし、遠心分離法により得られた上清を試験した。
本実施例2の水膜曇り止め剤は、前記粘性多糖類、卵由来アルブミン、プロピオン酸ナトリウム、塩化カルシウム2水和物は、水1リッターを稀釈剤とし、それぞれ5.3g/l、2.1g/l、1.2g/l、4.4g/lの比率であり、粘性多糖類を分散させ溶解するときに用いたエタノール(比重0.79)3.9g/lを含有し、残部は水である。この条件は、本願発明の範囲にある。
この水膜曇り止め剤について、上記と同様の性能試験を実施した。この結果、付着性能は通過回数50〜65回で良好な水膜曇り止め効果を発揮した。
【0029】
(実施例3)
上記実施例1と同様の方法により、水膜曇り止め剤を得た。ただし,ガゴメから抽出した粘性多糖類の粉末:53mgを溶解し5mlとした溶液と、BSA:21mg、ソルビン酸カリウム:19mg、塩化カルシウム2水和物:44mgを含む混合溶液5mlを混合して、合計10mlとし、遠心分離法により得られた上清を試験した。
本実施例3の水膜曇り止め剤は、前記粘性多糖類、BSA、ソルビン酸カリウム、塩化カルシウム2水和物は、水1リッターを稀釈剤とし、それぞれ5.3g/l、2.1g/l、1.9g/l、4.4g/lの比率であり、粘性多糖類を分散させ溶解するときに用いたエタノール(比重0.79)3.9g/lを含有し、残部は水である。この条件は、本願発明の範囲にある。
この水膜曇り止め剤について、上記と同様の性能試験を実施した。この結果、付着性能は通過回数100回以上で極めて安定した水膜曇り止め効果を発揮した。
【0030】
(実施例4)
上記実施例1と同様の方法により、水膜曇り止め剤を得た。ただし,ガゴメから抽出した粘性多糖類の粉末:53mgを溶解し5mlとした溶液と、BSA:21mg、プロピオン酸ナトリウム:12mg、塩化マグネシウム6水和物:61mgを含む混合溶液5mlを混合して、合計10mlとし,遠心分離法により得られた上清を試験した。
本実施例4の水膜曇り止め剤は、前記粘性多糖類、BSA、プロピオン酸ナトリウム、塩化マグネシウム6水和物は、水1リッターを稀釈剤とし、それぞれ5.3g/l、2.1g/l、1.2g/l、6.1g/lの比率であり、粘性多糖類を分散させ溶解するときに用いたエタノール(比重0.79)3.9g/lを含有し、残部は水である。この条件は、本願発明の範囲にある。
この水膜曇り止め剤について、上記と同様の性能試験を実施した。この結果、付着性能は通過回数60〜70回で良好な水膜曇り止め効果を発揮した。
【0031】
(実施例5)
上記実施例1と同様の方法により、水膜曇り止め剤を得た。ただし,ガゴメから抽出した粘性多糖類の粉末:53mgを溶解し5mlとした溶液と、卵由来アルブミン:21mg、ソルビン酸カリウム:19mg、塩化カルシウム2水和物:44mgを含む混合溶液5mlを混合して,合計10mlとし、遠心分離法により得られた上清を試験した。
本実施例5の水膜曇り止め剤は、前記粘性多糖類、卵由来アルブミン、ソルビン酸カリウム、塩化カルシウム2水和物は、水1リッターを稀釈剤とし、それぞれ5.3g/l、2.1g/l、1.9g/l、4.4g/lの比率であり、粘性多糖類を分散させ溶解するときに用いたエタノール(比重0.79)3.9g/lを含有し、残部は水である。この条件は、本願発明の範囲にある。
この水膜曇り止め剤について、上記と同様の性能試験を実施した。この結果、付着性能は通過回数50〜80回で良好な水膜曇り止め効果を発揮した。
【0032】
(実施例6)
上記実施例1と同様の方法により、水膜曇り止め剤を得た。ただし,ガゴメから抽出した粘性多糖類の粉末:53mgを溶解し5mlとした溶液と、卵由来アルブミン:21mg、プロピオン酸ナトリウム:12mg、塩化マグネシウム6水和物:61mgを含む混合溶液5mlを混合して,合計10mlとし,遠心分離法により得られた上清を試験した。
本実施例6の水膜曇り止め剤は、前記粘性多糖類、卵由来アルブミン、プロピオン酸ナトリウム、塩化マグネシウム6水和物は、水1リッターを稀釈剤とし、それぞれ5.3g/l、2.1g/l、1.2g/l、6.1g/lの比率であり、粘性多糖類を分散させ溶解するときに用いたエタノール(比重0.79)3.9g/lを含有し、残部は水である。この条件は、本願発明の範囲にある。
この水膜曇り止め剤について、上記と同様の性能試験を実施した。この結果、付着性能は通過回数100回以上で極めて安定した水膜曇り止め効果を発揮した。
【0033】
(実施例7)
上記実施例1と同様の方法により、水膜曇り止め剤を得た。ただし,ガゴメから抽出した粘性多糖類の粉末:53mgを溶解し5mlとした溶液と、卵由来アルブミン:21mg、ソルビン酸カリウム:19mg、塩化マグネシウム6水和物:61mgを含む混合溶液5mlを混合して,合計10mlとし,遠心分離法により得られた上清を試験した。
本実施例7の水膜曇り止め剤は、前記粘性多糖類、卵由来アルブミン、ソルビン酸カリウム、塩化マグネシウム6水和物は、水1リッターを稀釈剤とし、それぞれ5.3g/l、2.1g/l、1.9g/l、6.1g/lの比率であり、粘性多糖類を分散させ溶解するときに用いたエタノール(比重0.79)3.9g/lを含有し、残部は水である。この条件は、本願発明の範囲にある。
この水膜曇り止め剤について、上記と同様の性能試験を実施した。この結果、付着性能は通過回数100回以上で極めて安定した水膜曇り止め効果を発揮した。
【0034】
(実施例8)
上記実施例1と同様の方法により、水膜曇り止め剤を得た。ただし,ガゴメから抽出した粘性多糖類の粉末:53mgを溶解し5mlとした溶液と、BSA:21mg、ソルビン酸カリウム:19mg、塩化マグネシウム6水和物:61mgを含む混合溶液5mlを混合して,合計10mlとし,遠心分離法により得られた上清を試験した。
本実施例8の水膜曇り止め剤は、前記粘性多糖類、BSA、ソルビン酸カリウム、塩化マグネシウム6水和物は、水1リッターを稀釈剤とし、それぞれ5.3g/l、2.1g/l、1.9g/l、6.1g/lの比率であり、粘性多糖類を分散させ溶解するときに用いたエタノール(比重0.79)3.9g/lを含有し、残部は水である。この条件は、本願発明の範囲にある。
この水膜曇り止め剤について、上記と同様の性能試験を実施した。この結果、付着性能は通過回数45〜65回で良好な水膜曇り止め効果を発揮した。
上記実施例1−8については、ガゴメから抽出した粘性多糖類以外に、本願発明に規定する、たんぱく質、有機酸、ミネラルを添加したもので、優れた曇り止め効果を有していることが分る。
なお、上記実施例1−8において、粘性多糖類、たんぱく質、有機酸、ミネラルの添加種の組合せにおける曇り止めの効果は、いずれも効果があるが、効果を発揮する組合せは多様であることが分った。
【0035】
(比較例1)
上記実施例1と同様の方法により、ガゴメから抽出した粘性多糖類の粉末:53mgを溶解し、5mlとした溶液と、蒸留水:5mlを混合し、性能を試験した例である。比較例1の水膜曇り止め剤は、前記粘性多糖類のほか、エタノール(比重0.79)を含有するだけで、残部は希釈水であった。
この水膜曇り止めテスト剤について、上記と同様の性能試験を実施した。この結果、たんぱく質、有機酸、ミネラルを全く添加していないために、上記実施例1−8に比べると付着性能は劣る結果となった。すなわち、通過回数9〜11回で従来市販品より少し良い程度の曇り止め効果であった。これは、ガゴメから抽出した粘性多糖類の粉末だけでは、十分な曇り止め効果を有していないことを示している。
【0036】
(比較例2)
上記実施例1と同様の方法により、水膜曇り止め剤を得た。ただし、ガゴメから抽出した粘性多糖類の粉末:53mgを溶解し5mlとした溶液と、BSA:21mg、プロピオン酸ナトリウム:12mgを含む混合溶液5mlを混合して,合計10mlとし,遠心分離法により得られた上清を試験した。
比較例2の水膜曇り止めテスト剤は、前記粘性多糖類、BSA、プロピオン酸ナトリウムは、水1リッターを稀釈剤とし、それぞれ5.3g/l、2.1g/l、1.2g/lの比率であり、粘性多糖類を分散させ溶解するときに用いたエタノール(比重0.79)3.9g/lを含有し、残部は水である。この条件は、本願発明の範囲外にある。この水膜曇り止めテスト剤について、上記と同様の性能試験を実施した。
この結果、たんぱく質、有機酸を添加したが、ミネラルを全く添加していないために、上記実施例1−8に比べると付着性能は劣る結果となった。すなわち、付着性能は通過回数5〜7回であり、従来市販品相当の曇り止め効果程度であり、大きな効果を得ることができなかった。
【0037】
(比較例3)
上記実施例1と同様の方法により、水膜曇り止め剤を得た。ただし、ガゴメから抽出した粘性多糖類の粉末:53mgを溶解し5mlとした溶液と、BSA:21mg、塩化カルシウム2水和物:44mgを含む混合溶液5mlを混合して、合計10mlとし、遠心分離法により得られた上清を試験した。
比較例3の水膜曇り止めテスト剤は、前記粘性多糖類、BSA、塩化カルシウム2水和物は、水1リッターを稀釈剤とし、それぞれ5.3g/l、2.1g/l、4.4g/lの比率であり、粘性多糖類を分散させ溶解するときに用いたエタノール(比重0.79)3.9g/lを含有し、残部は水である。この条件は、本願発明の範囲外、すなわちたんぱく質とミネラルを添加したが、有機酸を添加していないケースである。この水膜曇り止めテスト剤について、上記と同様の性能試験を実施した。
付着性能は通過回数40回以上で塗布中心部は、比較的良好な水膜曇り止め効果を発揮したが、塗布面と非塗布面の境界(エッジ)が乱れ易いという欠点が現れた。
従来市販品よりも曇り止め効果が認められたが、十分ではなかった。なお、これにより有機酸の添加は、塗布面と非塗布面の境界の乱れを防止する効果があることが分った。
【0038】
(比較例4)
[0018]の方法によりBSA:21mg、プロピオン酸ナトリウム、塩化カルシウム2水和物:44mgを含む混合溶液5mlに、5mlの蒸留水を混合し、[0020]と[0021]の方法により、水膜曇り止めテスト剤を得た。
比較例4の水膜曇り止めテスト剤は、BSA、プロピオン酸ナトリウム、塩化カルシウム2水和物が、それぞれ固液分を含む全量に対して、水1リッターを稀釈剤とし、それぞれ2.1g/l、1.2g/l、4.4g/lの比率であり、残部は水である。この条件は、粘性多糖類を添加しておらず、本願発明の範囲外にある。この水膜曇り止めテスト剤について、上記と同様の性能試験を実施した。
この結果、付着性能は通過回数5〜15回で、従来市販品より少し良い程度の曇り止め効果であり、十分でなかった。実施例1と比較し、海藻由来の粘性多糖類の添加が、付着性能の大幅な改善に効果のあることが判る。
【0039】
(比較例5)
上記実施例1と同様の方法により、BSA:21mgを含む溶液5mlに蒸留水5mlを混合し、性能の試験した例である。付着性能は通過回数0回で曇り止め効果はなかった。
【0040】
(比較例6)
上記実施例1と同様の方法により、BSA:21mgとプロピオン酸ナトリウム:12mgを含む混合溶液5mlと蒸留水5mlを混合し,遠心分離法により得られた上清を同様の方法により性能の試験した例である。付着性能は通過回数0回で曇り止め効果はなかった。
【0041】
(比較例7)
上記実施例1と同様の方法により、BSA:21mgとプロピオン酸ナトリウム:12mgを含む混合溶液5mlと蒸留水5mlを混合し、同様の方法により性能の試験した例である。付着性能は通過回数0回で曇り止め効果はなかった。
【0042】
(比較例8)
市販の水中ゴーグル用の曇り止め剤(商品名Swimmers Demist SWANS,山本光学(株)製、主成分は脂肪酸系非イオン界面活性剤)を前記と前同様の方法により性能を試験した例である。付着性能は通過回数2〜5回であった。
実施例1〜8と比較例1〜8の試験結果を下記の表2にまとめて示した。
【0043】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、粘性多糖類のもつ超親水性作用を用いた、水又は水蒸気環境化で曇り止め効果を有する曇り止め剤に関する。特に、人体に無害で良質な水泳用ゴーグル、水中眼鏡などに使用することができる。したがって、特に健康に注意を払わなければならないスイミングスクール等の子供達への使用に有効であり、例えば、刺激性が低く目の健康的な発育を妨げることのない曇り止め剤を提供することができる。同時に、プールなど水際での従来の界面活性剤による泡立ちを低減させることができる。また、環境に優しい曇り止め剤を提供することができる。
さらには,曇り止め機能の回復によるゴーグルの使用期間の延長、すなわち,商品の耐久消費期間の延長による廃棄物及びゴミの低減化にも役に立つ。
そして、常時水を使用する、あるいは水と接する場所に設置された例えば浴槽のガラスや鏡の曇り止めに適用でき、特に、自動車のドアガラス、サイドミラーなどの雨天時における視界確保用の保安用品への利用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の実施の形態に関わるガゴメ抽出粘性多糖類の赤外分光スペクトルの例を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘性多糖類の粉末1〜15重量単位、タンパク質:0.5〜7.5重量単位、カルボキシル基を持ち炭素数2〜6個の化学構造を持つ有機酸:0.2〜3重量単位、ミネラル塩:1〜15重量単位からなる混合物質を水で稀釈して得た曇り止め剤。
【請求項2】
粘性多糖類をアルコールで分散後溶解させて、混合することを特徴とする請求項1記載の曇り止め剤。
【請求項3】
褐藻類に含まれるフコイダン及びアルギン酸を含有する粘性多糖類を用いることを特徴とする請求項1記載の曇り止め剤。
【請求項4】
褐藻類としてガゴメこんぶを用いることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の曇り止め剤。
【請求項5】
粘性多糖類の粉末1〜15重量単位、タンパク質:0.5〜7.5重量単位、カルボキシル基を持ち炭素数2〜6個の化学構造を持つ有機酸:0.2〜3重量単位、ミネラル塩:1〜15重量単位からなる混合物質を水で膨潤及び溶解させることを特徴とする曇り止め剤の製造方法。
【請求項6】
粘性多糖類をアルコールで分散後溶解させて、混合することを特徴とする請求項5記載の曇り止め剤の製造方法。
【請求項7】
褐藻類に含まれるフコイダン及びアルギン酸を含有する粘性多糖類を用いることを特徴とする請求項5又は6記載の曇り止め剤の製造方法。
【請求項8】
褐藻類としてガゴメこんぶを用いることを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の曇り止め剤の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2008−31329(P2008−31329A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−207429(P2006−207429)
【出願日】平成18年7月31日(2006.7.31)
【出願人】(000173511)財団法人函館地域産業振興財団 (32)
【出願人】(306027471)株式会社ノース技研 (1)
【Fターム(参考)】