説明

曲げ制御変位部を備えた金属シート及びその形成方法

【課題】曲げ加工線に沿う精密曲げが可能なようにシート材料を用意する方法を提供する。
【解決手段】曲げ加工線に沿って曲げ加工可能なシート材料を作製する方法であって、シート材料の厚さ方向に少なくとも1つの変位部を形成するステップを有し、曲げ加工線に最も近い変位部の周囲の一部が、エッジとこれに対向したフェースを形成し、かかるエッジとフェースが、曲げ加工中、変位部の周囲の互いに側部に対するシートのエッジ−フェース係合関係を生じさせることができるように構成されている方法。形成ステップは好ましくは、打抜き加工、穴あけ加工、ロールフォーミング加工、エンボス加工のうちの1つを用いて達成される。かかる加工法を用いる曲げ加工に適した材料のシートも又、被膜の使用、シンガードの使用、及び曲げ加工誘導スリット相互間のシートの領域の変位と同様に、開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、シート材料の精密折り曲げ加工に関し、特に、穴あけ加工、打抜き加工、ロールフォーミング加工、エンボス加工及びこれら類似した方法を用いて曲げ加工可能にシート材料を用意し、次に、このシートを三次元構造体の状態に曲げ加工し又は折り曲げ加工することに関する。
【背景技術】
【0002】
本願は、2003年9月26日に出願された同時係属米国特許出願第10/672,766号(発明の名称:TECHNIQUES FOR DESIGNING AND MANUFACTURING PRECISION-FOLDED, HIGH STRENGTH, FATIGUE-RESISTANT STRUCTURES AND SHEET THEREFOR)に基づく一部継続出願であり、この米国特許出願は、2002年9月26日出願された同時係属米国特許出願第10/256,870号(発明の名称:METHOD FOR PRECISION BENDING OF SHEET MATERIALS, SLIT SHEET AND FABRICATION PROCESS)に基づく一部継続出願であり、この米国特許出願は、2000年8月17日出願された同時係属米国特許出願第09/640,267号(発明の名称:METHOD FOR PRECISION BENDING OF A SHEET OF MATERIAL ANDSLIT SHEET THEREFOR)に基づく一部継続出願であり、この米国特許出願は、今や、米国特許第6,481,259号となっている。
【0003】
この方法及び装置は、上述の関連出願に詳細に開示されたスリッティング(slitting)及びグルービング(grooving)幾何学的形状を利用しており、これら関連出願の各々を参照により引用し、これらの開示内容全体を本明細書の一部とする。これら関連出願では、多様なシート材料の曲げを精密に制御するスリット及び溝を形成する幾つかの方法又は製造方法が開示され、かかる方法としては、レーザ切断法、水ジェット切断法、打抜き加工法、穴あけ加工法、成形法、注型法、光造形法、ロールフォーミング加工法、機械加工法、化学的切削加工法、フォトエッチング法等が挙げられる。曲げを誘発させるスリット幾何学的形状を製作するこれら方法のうちの幾つかは、他のものよりも高価な場合がある。例えば、レーザ切断法は、本来的に、例えば穴あけ法又は打抜き法と比較して追加のコストを必要とするが、穴あけ法及び打抜き法は、比較的厚手のシート材料に特に好適であるというわけではない。
【0004】
上述の関連出願の精密曲げスリット幾何学的形状は有利には、比較的薄手のシート材料から作られた多くの構造体に利用できる。これら構造体は、強度又は疲労抵抗に関する要件よりも複雑且つ精密な曲げパターンに関する要望により一層推進される傾向がある。比較的薄手のシート材料で作ることができるが、精密且つ複雑な曲げを必要とする構造体の一形式の例は、電子部品シャーシ、例えば、コンピュータ、オーディオレシーバ、テレビジョン受信機、DVDプレーヤー等である。
【0005】
先の関連出願である米国特許出願第10/672,766号明細書において注目されるように、この先の関連出願の教示に従ってスリット又は溝が設けられた扁平なシートは、「ピックアンドプレイス(pick-and-place)」技術を用いて扁平なシートに取り付けられた電子部品を有する場合がある。次に、かかるシートをエンクロージャ又はハウジングの状態に折り曲げるのがよく、かかるハウジング内で、部品の全ては、所望の位置で互いに空間的に関連している。「ピックアンドプレイス」技術は、比較的小さな力による曲げ技術を用いて正確に寸法決めされたエンクロージャの状態に扁平なシートを折り曲げることができるので、コストを大幅に減少させる。かかる電子用シャーシは、レーザ切断法又は水ジェット切断法を用いて形成できるが、安価なスリット形成法又は溝形成法を利用できればかなり利点がある。かくして、安価な製作法、例えば穴あけ加工法、打抜き加工法、ロールフォーミング加工法等は、関連出願のスリット幾何学的形状がもたらすことができる精密という利点を失わせなければ、比較的薄手の材料に用いると非常に有利であろう。
【0006】
さらに、スリット形成法、例えば穴あけ加工法、打抜き加工法及びロールフォーミング加工法は、本質的にゼロの切り溝(ひき目)又はスリット幅寸法を有するスリットを生じさせることができ、レーザ切断法及び水ジェット切断法は、材料を除去し、測定可能なレベルの切り溝又は幅寸法を有するスリットを生じさせる。切り溝がゼロのスリットを有するシートは、シートを曲げた後、曲げ加工線に沿って一層閉じられるという利点を有する。かくして、これらシートは、測定可能なレベルの切り溝寸法を有するシートとして曲げ加工中、非常に開く傾向はない。これにより、ゼロ切り溝シートは、保護層による被覆を行いやすくなり、この保護層は、曲げ加工線を密封してこれを閉じ、シートを、電磁遮蔽が必要であり又は耐腐食性、魅力的な外観、流体を備える必要のある用途に用いることができるようにする。
【0007】
したがって、本発明の目的は、曲げ加工線に沿う精密曲げが可能なようにシート材料を用意する方法を提供することにあり、この方法は、比較的安価であり、シート材料を用いる多様な用途に適合可能なものである。
【0008】
本発明の別の目的は、曲げ加工可能にシート材料を用意する安価な方法を提供することにあり、この方法は、累積曲げ誤差がない精密な曲げを可能にし、複雑な曲げパターンに適しており、曲げを行うのに最小限の力しか必要としないものである。
【0009】
本発明の別の目的は、密封でき、流体密、耐腐食性であり、或いは魅力的な外観を備える必要のある構造体を製造できる安価な製造方法を用いてスリット又は溝が形成された曲げ加工可能なシート材料を提供することにある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の曲げ加工可能なシート材料及び曲げを誘発するシート形成方法は、添付の図面に例示されると共に図示されているように、以下の発明を実施するための最良の形態に後で詳細に記載される他の目的、特徴及び利点を有する。
【0011】
本発明の曲げ加工線に沿って曲げ加工可能にシート材料を用意する方法は、概要を説明すると、シート材料の厚さ方向に少なくとも1つの変位部を形成するステップを有し、曲げ加工線に最も近い変位部の周囲の一部が、曲げ加工中、シート材料のエッジ−フェース係合状態を生じさせるよう構成されると共に位置決めされたエッジ及びこれに対向したフェースをもたらす。変位部は好ましくは、穴あけ加工法、打抜き加工法、ロールフォーミング加工法、エンボス加工法、化学的切削加工法又はエッチング法のうちの1つを用いて形成され、これら方法において、ダイス、工作機械、ナイフ又は化学薬剤が、シート材料にゼロ切り溝又は溝のスリット又は剪断線を形成する。ダイスを用いる場合、曲げ加工線に最も近いダイスにより生じる変位部の周囲は、少なくとも部分的に剪断され、多くの場合、曲げ加工線の近くでシート材料の厚さ寸法を完全に通って剪断される。最も好ましくは、複数個の変位部が、曲げ加工線に沿って形成され、交互に位置する変位部は、曲げ加工線の互いに反対側に位置決めされる。最も好ましい形態では、曲げ加工線に最も近い周囲部は、事実、曲げ加工線上に重ね合わされて曲げ加工線の互いに反対側の変位部相互間のジョグ距離は、本質的にゼロであるようになっている。しかしながら、変位部は、シートの厚さ寸法の約−0.5倍〜約+0.5倍のジョグ距離を有するのがよい。また、変位部をダイスセットによって塑性変形させて互いに反対側のエッジ及びフェース構造体を形成してもよい。曲げ加工時、シート材料は、塑性変形変位部に沿って破損又は破断せず、したがって、曲げ部は、曲げ加工線に沿って流体密の連続構造体として維持されるようになり、又は、シート材料は、剪断されたシートと類似したフェース及びこれに対向したエッジをもたらすよう破断する場合がある。スリット又は溝内部に形成された舌部を変位させることは好ましいが、スリットと又は溝相互間の領域を長手方向に変位させ、依然としてエッジ−フェース精密曲げを達成することも可能である。さらに、曲げ方向は好ましくは、舌部の変位方向であるが、低い精度が許容できる場合、曲げは、逆方向であってもよい。
【0012】
曲げ加工線に沿う曲げに適したシート材料も又提供され、このシート材料は、概要を述べると、少なくとも1つの変位部をシート材料の厚さ方向に有するシートであり、曲げ加工線に最も近い変位部の周囲の部分が、曲げ加工中、周囲の部分の互いに反対側でシート材料のエッジ−フェース係合状態を生じさせるよう構成されると共に位置決めされたエッジ及びこれに対向したフェースをもたらす。最も好ましくは、複数個の変位部が、曲げ加工線の交互の側に曲げ加工線に沿って位置決めされる。被覆材料の連続層を曲げ加工前にシートに被着させるのがよく、それにより結果的に得られた曲げ部が流体密であり、耐腐食性であり、しかも魅力のあるようにする。シート材料の変位部は、シートを部分的に通って延び又はこれを完全に貫通して延びるのがよく、精度を制御する斜めの曲げストラップを利用することにより、シートを最大精度が得られるよう又は逆方向に変位部の方向に曲げ加工するのがよい。エッジ−フェース曲げにより達成できる精度が必要でない場合、シートを逆方向に曲げてもよいが、このようにするかどうかは任意であり、しかも望ましさは低い。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1A】本発明に従って曲げ加工制御変位部が形成された材料のシートの部分平面図である。
【図1B】図1Aの1B−1B線に沿って見た図1Aのシートの拡大部分断面端面図である。
【図1C】シートを図1Bの平らな状態から90°だけ曲げた状態の図1Bに対応する断面図である。
【図1D】保護膜が材料シートにくっ付けられたシートの変形実施形態の図1Bに相当する断面図である。
【図1E】図1Dの曲げ加工された被覆シートの図1Cに対応する断面図である。
【図2A】図1Aに対応した材料のシートの部分平面略図であり、たった1つの変位部又は剪断された舌部が、理解を容易にするために示されている図である。
【図2B】図2Aに示すシートの図1Bに対応した図である。
【図2C】図2Aに示すシートの図1Cに対応した図である。
【図3A】図1Aに対応した材料のシートの部分平面略図であり、たった1つの変位部又は剪断された舌部が示され、この舌部が、剪断されると共にシートの厚さ寸法を超えて変位した状態を示す図である。
【図3B】図3Aのシートの図1Bに対応した図である。
【図3C】図3Aのシートの図1Cに対応した図である。
【図4A】補強された中央舌状変形部を有する単一舌部の変形実施形態を有する図1Aに対応した材料のシートの部分平面略図である。
【図4B】図4Aのシートの図1Bに対応した図である。
【図4C】図4Aのシートの図1Cに対応した図である。
【図4D】図4の4D−4D線矢視断面図である。
【図5A】塑性変形され、シートの厚さ方向に変位した単一の舌部の変形実施形態を有する図1Aに対応した材料のシートの部分平面略図である。
【図5B】図5Aのシートの図1Bに対応した図である。
【図5C】図5Aのシートの図1Cに対応した図である。
【図5D】シートが曲げ加工中、破損し又は破断した図5に対応した図である。
【図6A】図1Aに対応した材料のシートの部分平面略図であり、連続周囲部を備えた変形部の変形実施形態が、シートの厚さ寸法を通って部分的に剪断された状態で示されている図である。
【図6B】図6Aのシートの実施形態の図1Bに対応した図である。
【図6C】図6Aのシートの実施形態の図1Cに対応した図である。
【図7A】図6Aに対応した材料のシートの部分平面略図であり、シートに設けられた変位部が周囲の一方の側部を通って部分的にのみ剪断され、周囲の反対側の側部を完全に貫通して剪断された状態を示す図である。
【図7B】図7Aのシートの図1Bに対応した図である。
【図7C】図7Aのシートの図1Cに対応した図である。
【図8】図2A〜図2Cに示す形式の変位部を有する曲げ加工された状態の材料シートの正面図であり、曲げ被覆シンガードが破線で示され、直立した固定タブを示している図である。
【図9】実線で示されたシンガードが固定タブに取り付けられた状態の図8の材料シートの端面図である。
【図10】破線で示されたシンガード及び取り付け構造体を備えた曲げ状態の材料シートの変形実施形態の正面図である。
【図11】図10の材料シートの端面図であり、実線で示されたシンガードが、取り付け構造体によりシートに取り付けられている状態を示す図である。
【図12A】本発明に従って形成され、回転式シリンダ及び可動リンク装置により曲げ加工可能に固定ツール上に位置決めされた材料のシートの概略側面図である。
【図12B】ツールプレート上でのシートの部分曲げ加工後における図12Aの材料のシートの概略側面図である。
【図12C】90°曲げ加工後における図12Aにおける材料のシートの概略側面図である。
【図13A】本発明に従って形成され、空気圧曲げ加工ブラダにより曲げ加工可能に固定ツール上に位置決めされた材料のシートの概略側面図である。
【図13B】90°曲げ加工後における図13Aにおける材料のシートの概略側面図である。
【図14A】本発明に従って溝が形成された材料のシートの概略平面図である。
【図14B】図14Aのシートの端面図である。
【図14C】図14Aのシートの側面図であり、曲げ加工線よりも上のシートの半分が、紙面の外方に曲げ加工された状態で示されている図である。
【図14D】図14Cにおいて曲げ加工された直後のシートの端面図である。
【図15A】本発明の変形実施形態に従って溝が形成されると共に応力除去特徴部が設けられた材料のシートの概略平面図である。
【図15B】図15Aのシートの端面図である。
【図15C】図15Aのシートの側面図であり、曲げ加工線よりも下のシートの半分が紙面の外方に曲げ加工された状態で示されている図である。
【図15D】図15Cの曲げ状態のシートの端面図である。
【図16A】曲げ加工を制御する剪断線を有すると共にエッジ−フェース曲げ加工を生じさせるよう変位した曲げ加工線の同一側上の長手方向の隣り合う剪断線相互間の領域を有する材料のシートの概略平面図である。
【図16B】図16Aのシートの側面図であり、曲げ加工される前の状態で示された図である。
【図16C】図16Aのシートの上半分が、紙面中へ曲げ加工された状態で示された図である。
【図16D】図16Cの曲げ状態のシートの端面図である。
【図16E】図16Aの16E−16E線に沿って見た図16Aのシートの拡大断面図である。
【図16F】90°だけ曲げ加工された状態の図16Eのシートの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明の好ましい実施形態を詳細に参照し、かかる実施形態の例が、添付の図面に示されている。本発明を好ましい実施形態と関連して説明するが、かかる実施形態は、本発明をこれら実施形態に限定するものではないことは理解されよう。これとは逆に、本発明は、特許請求の範囲に記載された本発明の精神及び範囲に含まれる変形例、改造例及び均等例を包含するものである。
【0015】
シート材料を精密曲げ加工する本発明の方法及び装置は、上述の先の関連出願において開示されたスリッティング又はスリット幾何学的形状に基づいており、かかる特許出願を参照により引用し、その開示内容全体を本明細書の一部とする。
【0016】
先の関連出願と関連して上述したように、シート材料の曲げ加工を制御すると共に正確に位置決めするスリットの形成方法は、例えば穴あけ加工、打抜き加工、ロールフォーミング加工、機械加工、フォトエッチング加工、化学的機械加工等のような方法を含む。これら方法は、軽量又は薄手の材料に特に好適である。ただし、これら方法は又、比較的厚手のシート材料にも使用できる。厚い又は厚手の材料は、レーザ切断又は水ジェット切断機器を用いてスリット又は溝が形成されるとより有利な場合が多い。
【0017】
先の関連出願に記載されているように、シート材料の精密曲げ加工にとって非常に有利な用途の1つは、電子部品シャーシと関連している。かかるシャーシは、電子機器用の最終的なハウジング内部に三次元アレイの状態で多数の部品を位置決めできるよう非常に複雑である場合が多い。レーザ切断法及び水ジェット切断法は両方共、幾分費用が高くつくので、安価な大量生産法、例えば穴あけ法、打抜き法、ロールフォーミング法等を用いて電子部品用のシャーシ及び他の多くの安価なハウジング等を形成できることが特に望ましい。したがって、本発明は、これら安価な製作方法を比較的薄手のシート材料にどのように適用すれば顕著な利点が得られるかを示している。
【0018】
いま図1A〜図1Cを参照すると、全体を符号21で示された材料のシートが、図1Aに示されており、この材料シートは、曲げ加工線23の近くでこれに沿って位置決めされた複数個のスリット22を有している。スリットは、曲げ加工線23から遠ざかって湾曲した端部を有するように見え、湾曲状態のスリット端部は、これらの間に、先の関連出願第10/672,766号明細書に相当詳細に記載されている仕方で、曲げ加工線23を斜めに横切って延びる中心線を有する曲げ加工ストラップ24を構成している。理解されるように、長手方向に隣接したスリット22は、曲げ加工線の長さに沿って曲げ加工線23の互いに反対側で交互に位置決めされており、これは、好ましい構成例であるが、絶対に必要であるというわけではない。
【0019】
また図1Aで理解できるように、スリット22は、曲げ加工線26から側方に変位した又はずれた位置に位置決めされているが、これは、主として、曲げ加工線の位置を示すためになされている。本発明の最も好ましい形態では、薄手の材料が曲げ加工のために用意されているとき、スリット22は、曲げ加工線23上に実質的に重ね合わされることになる。このことが好ましいが、その理由は、これにより、広範なシート材料の厚さについて同一のダイスセットの使用が容易になるからである。
【0020】
先の関連出願第10/672,766号明細書に記載されているように、スリット22相互間の「ジョグ」距離は、曲げ加工線の互いに反対側のスリット相互間の側方距離として定められる。したがって、本願における実施形態の最も好ましい形態では、ジョグ距離は、ゼロに実施的に等しく、即ち、スリットは、曲げ加工線23上に正確に位置決めされ、したがって、湾曲した端部のところを除き、曲げ加工線の互いに反対側のスリット相互間には側方間隔が無いようになっている。先の関連出願明細書に示されているように、曲げ加工線23に対するスリット相互間のジョグ距離は好ましくは、シート21の厚さ寸法よりも小さい。明らかなこととして、ゼロというジョグ距離は、その要件を満たしている。
【0021】
加うるに、シート21の右側の端のスリット22a,22bについて理解できるように、負のジョグ距離も又採用できる。理解されるように、スリット22aは、曲げ加工線23を横切って延び、スリット22bも同様である。これは、本発明の教示の範囲内で許容可能であり、これにより、精密な制御状態の曲げ加工にとって望ましい曲げ加工線23に沿うエッジ−フェース曲げ加工が得られる。代表的には電子機器シャーシに用いられる薄手の材料に関し、スリット22相互間のジョグ距離は好ましくは、シート21の厚さ寸法t(図1B)の約0.5倍〜約+0.5倍である。スリット相互間のジョグ距離が材料のシートの厚さの約−0.5倍以上を超えて次第にマイナスの度合が大きくなるにつれ、シートは、2本の曲げ加工線に沿って曲がる傾向があり、かかる曲げ部は、スリットの縁相互間に位置する単一の曲げ加工線ではなく、スリットの縁のところに位置決めされる。例えばシートの厚さの約0.8倍では、2本の曲げ加工線に関するかかる現象が、0.060板金(金属シート)で生じることが判明している。
【0022】
スリット22がゼロの切り溝(ひき目)寸法を有している状態で負のジョグ距離を用いた場合、スリットは、90°の曲げ加工後であっても、その長さに沿って比較的閉じられた状態のままであろう。スリットが例えばレーザ加工により切り溝を備えると共に負のジョグ距離が用いられた場合、スリットの互いに反対側の材料は、例えば90°までの曲げ加工時、分離し又は「採光(daylight)」する傾向がある。しかしながら、これは、用途に応じて、完全に許容できる場合がある。
【0023】
以下にかなり詳細に説明するように、スリットをシート21に穴あけし又は打抜き加工する最も好ましい方式は、シートの厚さ方向にスラグの舌部又は包囲領域をシートを剪断するダイスによって変位させることである。しかしながら、先の関連出願明細書から理解されるように、スリット22を剪断線又はスリットとして形成してもよく、この場合、シートの一部も又変位させるダイスではなく、ナイフを用いてシートの変位が生じないようにする。シートにナイフでスリットを形成するのではなく、シートに変位部を形成した場合の利点の1つは、スリット22の互いに反対側の材料のエッジ−フェース摺動が減少し又は必要ではないということにある。シートの変位は又、各エッジ及び各フェースが曲げ加工中右方向に動くようにすることにより必要な曲げ加工力を減少させる。
【0024】
好ましい形態では、スリット22を形成するのに、厚さ方向に変位部を設けて曲げ加工線23に最も近い変位部の周囲の一部が、曲げ加工中、この互いに反対側の材料のシートのエッジ−フェース係合関係を生じさせるように構成されると共に位置決めされたエッジ26とこれに対向したフェース27をもたらすようにする。図1Bに示すように、D字形舌部28が、シート21を曲げたときに、舌部28から見てスリット22の反対側の下側コーナ部26又はエッジが当たるフェース27をもたらすよう下方に変位している。図1B及び図1Cに最もよく示されているように、スリット周囲の一部は、曲げ加工線23の平面に重ね合わされている。図1Bでは紙面中に延びる次のスリットは、エッジ26aが当たるフェース27aをもたらすよう下方に変位した同様にD字形の舌部28aを有している。
【0025】
シート21が例えば90°曲げられると、エッジ26,26aは、回動して、フェース27,27aのほぼ中点のところでフェース27,27aに係合する。曲げが続くと、これらエッジは、曲げ加工線23(これは、図1Cでは、45°だけ回転したように見える)上に位置する互いに反対側の支点として働く。かくして、曲げが始まると直ぐにと言ってよいほど、エッジ26,26aは、回転してフェース27,27aに係合し、その結果、曲げ加工は、曲げ加工線23周りに生じるよう非常に正確に制御される。斜めに差し向けられる曲げ加工ストラップ24は、曲げ加工中、エッジ26,26aを引っ張ってこれをフェース27,27aに当接状態に維持し、それにより支点を互いに反対側のフェースに接触させたままにする。このエッジ−フェース係合方式は、先の関連出願明細書に更に詳細に記載されている。
【0026】
図1A及び図1Bの記載は、エッジ−フェース接触状態をより明確に示すために厚さが大幅に拡大されている。しかしながら、理解されるように、シート21は、比較的薄手であり、例えば、0.060インチ(1.52mm)であるのがよく、舌部28は、ほんの0.03インチ(0.76mm)だけ厚さ寸法において下方に変位している。しかしながら、これら寸法は、薄手のシート材料では、舌部材料の変位部は、非常に大きくはないということを示す以外に重要なものではない。
【0027】
図1Cから理解されるように、エッジ26,26aは、ストラップ24によりフェース27,27aと密な係合状態に保持される傾向がある。かくして、スリット22のところであっても、曲げ加工線に最も近いスリットの周囲の両側のシート材料は、スリットの長さ全体にわたり互いに接触状態にある。これは、曲げ状態のシートを例えば電磁遮蔽が必要な用途或いは流体を収容する必要のある用途において使用できるようにする傾向がある。しかしながら、流体密の曲げ部を一段と保証するためには、連続した好ましくは可撓性の被覆材料をスリット22の領域全体にわたりシートにくっ付け又は結合することが好ましい。本発明のこの実施形態は、図1B及び図1Cに対応した図1D及び図1Eに見える。軟質シーラントの連続層又は被膜29が、スリットを横切ってシート21の下向きの表面に被着され、くっ付けられ又は結合されているように見える。これは、最も好ましくは、シート21が実質的に平らな状態であるが、図1Dに示すように剪断された状態にある間に達成される。図1Eの位置への曲げ加工時、被膜29は、フェース27,27aと材料のシートの下側との間で押し潰され又は圧縮される傾向がある。保護具合の最も高い被膜、例えば、エポキシや塗料は、シートの圧縮及び曲げに破損を生じないで順応するほど十分可撓性及び圧縮性がある。かくして、被膜29は、流体密である連続表面が生じるようにする。明らかなこととして、被膜を図1Eの曲げ状態のシートに単に吹き付けることも又、本発明の範囲内で可能であるが、多くの用途の場合、被膜29を平らであるが穴あけ加工され、打抜き加工され又はロールフォーミング加工されたシートに被着させることがより好ましい。というのは、曲げ加工線23は、曲げ加工後に被覆するのが困難な複雑な内部の場所に位置している場合があるからである。
【0028】
軟質密封被膜によるシートの両側の完全な被覆が望ましい場合、一般的には、図2A〜図2Cに示すように、曲げ状態のD字形舌部28の実施形態では、軟質被膜29をシートの両面に被着させる(曲げ加工に先立って)。明らかに理解できるように、曲げ状態の舌部36は、シートに対しエッジ38回りに回転する。これにより、被膜はシートの頂面又は上向きの表面上に無傷且つ連続状態のままであり、下面又は下向きの表面に被着されている被膜は、図1D又は図1Eに示すようにタブ端部(37)の下で圧縮される。
【0029】
当業者には明らかなように、図1A〜図1Dの変位部又は舌部28は、穴あけ加工、打抜き加工、エンボス加工及びロールフォーミング加工法により容易に形成できる。1組のダイスを用いると、舌部28を下方に穴あけすることができ、周囲の一部は、対向したエッジ及びフェースの曲げ制御スリット22を形成する。図示のように、想像線31は、明確に定められた肩ではないが、舌部28がシートの頂面に到達する箇所であり、下方に変位していない。図1A〜図1Cは、本質的に穴あけダイスにより半分に剪断された舌部又は変位部28を示しており、したがって、変位部28の上面は、シートの厚さ寸法の約1/2まで下方に変位しており、これにより、エッジの下半分上のダイスは、フェース27,27aを剪断してこれらを完全なものにする。
【0030】
図2A〜図2Cでは、方法は、同じであり、穴あけ加工又はロールフォーミング加工装置が、シートの全厚tだけ変位部又は舌部36を下方に剪断しているに過ぎない。かくして、変位部又は舌部36の周囲のフェース37は今や、フェース37の上方エッジがスリット22の反対側のエッジ38のところに位置決めされるまで変位する。これは、図2Cに示すように、曲げ加工中、エッジ38のところにフェース37のコーナ部との点接触状態を生じさせる傾向がある。それにもかかわらず、フェース37のエッジ上のエッジ支点38はこの場合も又、曲げ加工線23に沿う斜めの曲げ加工ストラップの対向した引っ張りと一緒になって、曲げ加工の場所を正確に制御する。
【0031】
図3A〜図3Cでは、シート21を穴あけ加工中に剪断して変位部又は舌部41のフェース42が今や、シート材料の下面43の下に低くなった状態になるようにする。したがって、エッジ44は、対向したフェース42には係合せず、図3Cで最もよく理解できるように、曲げ加工中、フェース42には係合しないであろう。これとは異なり、曲げ加工線23に対する曲げ部の位置の制御は、反対側の斜めに延びる曲げ加工ストラップ24によって達成される。曲げ加工ストラップ24を用いてシート材料の曲げ部の位置決めを制御する場合の精度は、曲げ加工中、スリット周囲の互いに反対側の側部のエッジ−フェース係合により達成できる精度よりも低い。それにもかかわらず、斜めに曲がるストラップ24は、低い曲げ力を必要とする精度がほどほどの曲げ部を生じさせることができ、曲げ加工ストラップは、曲げ加工中、過度に捩じれ又は応力を生じない。したがって、結果として得られる製品の寸法上の要件に関して許容誤差が大きい用途の場合、図3Bの位置への舌部41の過剰変位を採用することができる。注目されるべきこととして、ダイスセットを用いると、変位部又は舌部41を図3Bの位置に次第に剪断し、次に、舌部41を第2のダイスステーションにおいて図2B又は図1Bの位置まで上方に変位させることができる。例えば、下方に変位した舌部が完全に剪断され、しかもエッジが曲げ加工時に対向したフェースに係合するように再位置決めされていることを確かめることが望ましい又は必要である場合、2ステーション作業が行われることになる。
【0032】
図4A〜図4Dの実施形態では、図2A〜図2Cの舌部の完全剪断に対応した完全に剪断された状態の変位部又は舌部51が示されている。しかしながら、舌部51は、図4A〜図4Dでは、下方に変形した中央補強部分52を備えている。これにより、曲げ加工線23上に位置するコーナ部又は箇所において下側エッジ26とフェース27の係合が可能になる。舌部51の一段と下方に変位した中央部分52は、シートの過剰曲げが制限されるのを保証する。
【0033】
次に図5A〜図5Dを参照すると、剪断ではなく、塑性変形によりエッジ及び対向したフェースを生じさせるシート材料の変位部が示されている。シート21は、代表的には鋭利なエッジを備えていない打抜き加工又はロールフォーミング加工ダイスにより符号61のところで下方に変位しており、下方変位の結果として、シートの領域62の塑性変形が生じるようになっている。曲げ加工時、曲げストリップ24はこの場合も又、張力が加えられ又は曲げ加工され、それによりシートを曲げ加工線23の互いに反対側で互いに引っ張って領域62が剪断又は破損を生じないで変形するようにする。事実、変位部61の端部の見かけのフェースは、曲げ加工線23上の見かけのエッジ63に係合して曲げ部の配設場所を正確に制御する。この方式は、延性のあるシート材料に最適であり、この方式は、結果的に流体密曲げ部が得られるという利点を有する。
【0034】
図5Dでは、破損又は破断がフェース64のところで生じていて見かけのフェースが実際のフェース64になるようにする変形例が示されている。精密曲げ加工の観点では、破損部64が生じているかどうか、エッジ63が舌部61の下方変位の終わりに実際のフェース64又は見かけのフェースから曲げ加工されているかどうかは問題ではない。
【0035】
図6A〜図6C及び図7A〜図7Cでは、変位部は、閉じられた周囲を有し又は曲げ加工線23の交互の側で下向きに変位した材料のスラグとして形成されている。説明を楽にするため、複数個のこれらスラグタイプの変位部は、図示されておらず、これらは図1Aに示すように位置決めされており、好ましくは、曲げ加工線に最も近い周囲側部は、曲げ加工線23に対して重ね合わせ関係で位置決めされている。かかる楕円形変位部又はスラグは、穴あけ加工、打抜き加工、ロールフォーミング加工及びこれらに類似した大量生産で安価な製作法を容易に受けることができる。スラグは、種々の形状を取ることができ、かかる形状としては、“D”形、直行したストラップ及びエッジ−フェース係合状態を生じさせる非一様な形状が挙げられる。
【0036】
図6Aでは、シート22には楕円形変位部71が形成されており、この楕円形変位部は、曲げ加工線23に最も近いその周囲22の一部が、図6B及び図6Cに示すように下方に変位している。変位部71の下向き変位又は剪断により、周囲22を横切る下側エッジ26が当接するフェース27が生じている。シートを曲げると、フェース27は、フェース26回りに回動して図6Cに示す位置に至り、長手方向に隣り合う楕円形変位部71の端部相互間の斜めのストラップ24は、舌部28相互間のストラップ24について上述したように曲げ加工される。これは、変位部71の剪断の半分なので、その結果は、これまた剪断された変位部71の周囲の遠くに位置する側部72が設けられていることを除き、図1A〜図1Cで達成された結果と本質的に同一である。図6Bから理解できるように、遠隔側部72は、シートに穴あけされた楕円形ボア内に設けられていて、エッジ26の回動中、フェース27を支持して曲げ部を曲げ加工線23上に正確に位置決めするようになっている。
【0037】
図7A〜図7Cは、図6A〜図6Cに類似しており、曲げ加工線23上の楕円形変位部又はスラグ81の周囲の部分のみ、即ち、曲げ制御スリット22が、シートの全厚だけ剪断されており、他方、遠くに位置する周囲側部82は、半分剪断されているに過ぎない。したがって、エッジ26は、図2A〜図2Cに示す仕方と類似した仕方でフェース27の上方コーナ部を中心として回動する。
【0038】
図示していないが、楕円形変位部又はスラグ71,81も又、シート21から完全に穴あけされ又は打ち抜かれてシートに沿って楕円形穴が後に残されるようにするのがよい。かかる穴は、穴の各々の互いに反対側の端部のところで逆方向に斜めになった斜めに延びる曲げ加工ストラップ24を構成することになる。これら曲げ加工ストラップは、曲げ加工線23を横切って延び、この場合も又、曲げ加工線23に沿って曲げを生じさせるが、エッジ−フェース係合は生じないようにする。というのは、スラグフェース27は今や無くなっているからである。得られる精度は低いが、かかる実施形態は、曲げ加工線23に沿ってほどほどに正確な曲げを生じさせる。
【0039】
図8〜図11では、本発明の穴あけ又は打抜き加工されたシートの2つの変形実施形態が示されており、かかる変形実施形態では、「シンガード(shin guard)」が、曲げ状態のシートのコーナ部に追加されている。先の関連出願第10/672,766号明細書では、滑らかなコーナ部表面をもたらすよう曲げ加工線上にコーナ部覆いを用いることが記載されている。かかる覆いは、本明細書及び先の関連出願明細書では、「シンガード」と呼ばれており、図8〜図11は、シンガードを曲げ状態のシートのコーナ部に固定できる仕方の2つの実施形態を示している。
【0040】
図8では、シート材料21が、直角に曲げ加工されている。シート21は、図2A〜図2Cと関連して示すように構成された複数個の舌部状変位部28を有している。かかる変位部のフェース27の上側コーナ部は、舌状変位部28の周囲の他方の側のエッジ26とエッジ−フェース係合状態にある。シート21には、複数個の外方に延びる固定タブ91が穴あけされており、かかる固定タブは、シンガード92を曲げ加工された状態の構造体のコーナ部周りに且つ曲げ加工線23を横切って結合するために用いられている。図8及び図9に示す実施形態では、シンガード92は、タブ91を受け入れるよう寸法決めされたキャビティ94を有し、このキャビティは好ましくは、タブ91に設けられた内方に向いた肩98と係合する外方に向いた肩97に通じるテーパ付き入口面96を有している。したがって、シンガードは、タブ91上に単に位置決めでき、次に、曲げ状態のシート21に向かって押圧でき、それにより肩97がタブの内方に向いた表面98の背後にスナップ嵌合し、それによりシンガードを曲げ状態の構造体のコーナ部に固定するようになっている。変形例として、シンガードをコーナ部に沿って定位置に滑らせてもよい。
【0041】
図10及び図11では、開口部101が、シート材料21に一定間隔を置いて設けられており、テーパが付けられていてネック付きの突起104を有するシンガード103が設けられている。突起104は、開口部101を通って押圧され、外方に向いた肩106が曲げ状態のシート21の内方に向いた表面107の背後にスナップ嵌合するようになっている。この場合も又、変位部又は舌部28は、図2A〜図2Cと関連して図示したように構成されている。
【0042】
本願及び先の関連出願において説明したスリット又は変位部幾何学的形状の重要な特徴のうちの1つは、材料のシートの折り曲げには、比較的小さな力が必要であるということである。曲げ加工ストラップ24は好ましくは、曲げ加工線に沿って大部分とはいえないほどの量の材料を有し、これらストラップは、シート材料の曲げ加工中、捩じられて曲げ加工される。エッジ26とフェース27との間の支点及び曲げ加工線の両側のシートの長いレバーアームにより、比較的小さな力によるシートの曲げが非常に単純になる。例えば、シートのエッジをスロット又は溝の中に配置し、次に手作業で力を反対側のエッジに加えてシートを容易に曲げることが可能である。電子用シャーシに関しシート材料が曲げ加工される大抵の場合、シートを手で曲げることができる。しかしながら、例えば、曲げ加工線沿って変位部を形成することによりシートを第1のステーションで曲げ加工可能に用意し、しかる後シートを別のステーションに移動させ、次に比較的小さな力で曲げる装置によって曲げる順送り型ダイス組立体では、自動機械で具体化された方法で曲げを行うことができるようにすることが最も好ましい。
【0043】
図12A〜図12Cは、固定状態のツールプレート110が、上述した仕方で曲げ加工可能に準備されたシート21を準備する機械式曲げ装置を示している。曲げ加工シリンダ111が、矢印113で示すように下向き変位可能に可動リンク装置又はアーム112に取り付けられている。シリンダ111を移動させてシート21に当てると、シリンダに設けられた切欠き116のエッジ114が、シート21に係合し、シリンダ及びリンク装置112を時計回りの方向に回転させ始める。リンク装置112が引き続き下方に動くと、シリンダ111は引き続き位置21まで回転し続けて図12Cに示すような形態になる。変形例として、ツールプレート110が可動であってもよく、或いはツールプレート110とシリンダ111の両方が可動であってもよい。
【0044】
図13A及び図13Bに示す別の方式は、ツールプレート110が、ツールプレートのエッジ122上に位置決めされた空気圧ブラダ121を有するようにすることである。ブラダ121を図13Bに示す状態にインフレートさせると、このブラダは、シート21の非支持部分に係合し、これを図13Bに示す曲げ位置まで駆動する。図13Bの曲げを行うのに必要な曲げ力が小さいので、空気圧曲げシステムの使用が容易に可能である。
【0045】
本発明のシートを曲げるために用いられるのに適した他の曲げ装置としては、プレスブレーキが挙げられる。
【0046】
図14A〜図14D及び図15A〜図15Dでは、先の関連出願の幾何学的形状を用いるシートへの溝の機械加工、化学的切削加工又はフォトエッチングの使用について説明することができる。図14Aでは、シート221に、変位部及びは剪断線22と関連して上述したように曲げ加工線223に沿って複数個の溝222を形成する。好ましい形態では、溝222のエッジ226は、曲げ加工線223の平面上に落ち又はこれに対して実質的に重ね合わされる。溝220は、曲げ加工線223の互いに反対側の側部に交互に位置し、長手方向に隣り合う溝220相互間には曲げ加工ストラップ224が設けられ、これら曲げ加工ストラップは、曲げ加工線223を斜めに横切って延びるように見える。
【0047】
図14C及び図14Bでは、シート221は、図14Cの紙面から出るように曲げ加工され又は溝222に向かって曲げ加工されている。その結果、精密な曲げを生じさせるよう実際の支点のエッジ−フェース係合状態ではないが、斜めの曲げ加工ストラップ224に加わる等しい張力によって曲げが引き起こされ、これにより、曲げ加工線223に実質的に沿う曲げが得られる。溝に向かう曲げの精度は、エッジ−フェース曲げ方式で達成できるほど極めて良好であるというわけではないが、例えば電子シャーシ部品と関連した多くの用途にとって申し分なく許容範囲内である。
【0048】
この点において、図1A〜図7Cに示す本発明の実施形態は全て、曲げ加工可能シートを用意する際、シートに形成された舌部又はスラグの変位方向に曲げ加工されたものとして示されている。しかしながら、これらと同じ実施形態も又、上方に、即ち、シートのスリッティング中、舌部又はスラグの変位方向とは逆に曲げ加工されてもよい。かかる逆方向への曲げにより、曲げ加工ストラップ24は、エッジ−フェース係合ではなく、曲げの精度を制御するが、ストラップは、曲げ加工線23に沿ってほどほどの精度の曲げを与える。
【0049】
図15A〜図15Dのシート221は、溝形成により曲げ加工可能に用意されており、これら溝は、各端部のところに応力除去ランド又は領域228を有している。この場合も又、溝222aは、シートの全厚を貫通せず、これら溝は、曲げ加工線223aに対して斜めの曲げ加工ストラップ224aを構成する。この場合も又、シートは、溝から遠ざけられるのではなく、溝の中に曲げ加工され、ストラップ224aは、曲げ加工線223aに沿う曲げ部の位置を制御するために用いられる。
【0050】
次に図16A〜図16Fを参照すると、曲げ加工線の同一側の長手方向に隣り合う弧状スリット相互間の材料がスリットにより構成される舌部又はスラグではなく、変位している本発明の実施形態が示されている。図16Aでは、シート材料321は、曲げ加工線323の交互の側に位置決めされた複数個のスリット322を有するものとして示されている。斜めに延びる曲げ加工ストラップ324が設けられ、スリット322は、弧状スリット322の各側に舌部328及び中間領域330を構成している。
【0051】
しかしながら、上述した実施形態とは異なり、D字形舌部328は、変位しておらず、シート321の平面内に位置したままである。これとは異なり、曲げ加工線323の同一側の舌部328に長手方向に隣接し又はこれら舌部相互間の材料又は領域330は、図16Eに最もよく示されているように、上方に変位している。かくして、穴あけ加工、ロールフォーミング加工、エンボス加工、打抜き加工等の際、スリット322及びフェース327を生じさせる剪断力は、領域330をシート321の平面から上方に変位させる上向き剪断力である。上方に変位した領域330の下側コーナ部又はエッジ326は、フェース327のコーナ部に当接する。シートが図16Fの位置まで曲げ加工されると、エッジ326は、フェース327を下って滑り、曲げ加工ストラップ324を回転した曲げ加工線又は平面323周りに正確に曲げる。その結果得られた曲げ状態のシートも又、図16C及び図16Dに示されている。ただし、これらは、図16Fに対して90°回転してある。
【0052】
他の実施形態と関連して上述したように、図16A〜図16Fの実施形態は、剪断したスリット322が先の関連出願の幾何学的形状を有する変位法を採用している。小さな力を用いる精密な曲げのためのシートの用意は、安価な製作法、例えば穴あけ加工、打抜き加工、ロールフォーミング加工等を用いて達成できる。
【符号の説明】
【0053】
21 シート材料
22 スリット
23 曲げ加工線
28 舌部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
曲げ加工線に沿って曲げられるシート材料を用意する方法であって、
前記シート材料の厚さ方向に少なくとも1つの変位部を形成することを含み、前記曲げ加工線に最も近い前記変位部の周囲の一部が、曲げ加工中、前記シート材料のエッジ−フェース係合状態を生じさせるように構成され、位置決めされたエッジ及びこれに対向したフェースをもたらす、
方法。
【請求項2】
前記形成工程では、前記シート材料を前記周囲の前記一部に沿ってその厚さ寸法方向に部分的に剪断する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記形成工程では、前記シート材料を前記周囲の前記一部に沿って前記厚さ寸法方向に十分に剪断して曲げ加工時、前記シート材料の前記厚さ寸法全体にわたる破損を生じさせる、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記形成工程では、前記シート材料を前記周囲の前記一部に沿って前記厚さ寸法全体にわたって剪断する、請求項2記載の方法。
【請求項5】
前記形成工程では、前記シート材料を塑性変形させて前記シート材料を曲げ加工時、前記厚さ寸法にわたって破損させないように構成されたエッジ及びこれに対向したフェースをもたらす、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記形成工程は、打抜き加工法、穴あけ加工法、ロールフォーミング加工法、剪断ナイフを利用した方法及びエンボス加工法のうちの1つを用いて達成される、請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記形成工程の際、複数個の変位部を前記曲げ加工線に沿って前記シート材料に形成し、各変位部は、前記シート材料のエッジ−フェース曲げ加工可能に複数個のエッジ及びこれらに対向したフェースをもたらすよう前記曲げ加工線の近くに周囲部分を有する、請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記形成工程の際、前記複数個の変位部を前記曲げ加工線に沿って形成し、各変位部は、前記曲げ加工線上に実質的に重ね合わされた前記周囲部分を有する、請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記形成工程の際、複数個の変位部を前記シート材料に形成し、少なくとも1つの変位部の前記周囲部分は、前記曲げ加工線の各側に位置決めされる、請求項7記載の方法。
【請求項10】
前記形成工程の際、前記変位部の前記周囲部分を前記曲げ加工線の反対側で前記シート材料の前記厚さ寸法よりも小さな相互のジョグ距離のところに位置決めする、請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記ジョグ距離は、前記シート材料の前記厚さ寸法の約−0.5倍〜約+0.5倍である、請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記形成工程の際、前記変位部の前記周囲部分を前記曲げ加工線の互いに反対側に形成して前記曲げ加工線を斜めに横切って延びるよう差し向けられた曲げ加工ストラップを構成する、請求項9記載の方法。
【請求項13】
前記形成工程の際、前記変位部に変位部の方向と逆の方向に延びる補強リブを形成する、請求項1記載の方法。
【請求項14】
前記形成工程後、被覆材料の層を前記変位部の前記周囲の前記一部を横切って前記シート材料に被着する工程とを更に有する、請求項1記載の方法。
【請求項15】
前記被着工程では、軟質被膜材料の連続層を形成する、請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記形成工程の際、各変位部の前記周囲の前記一部を前記シート材料の前記厚さ寸法方向に少なくとも部分的に剪断する、請求項7記載の方法。
【請求項17】
前記形成工程の際、各変位部の前記周囲部分を前記シート材料を剪断しないで塑性変形させる、請求項7記載の方法。
【請求項18】
前記変位部は、前記シート材料から前記周囲の前記一部まで延びる舌部である、請求項1記載の方法。
【請求項19】
前記変位部は、前記周囲の前記一部に長手方向に隣接した領域である、請求項1記載の方法。
【請求項20】
曲げ加工線に沿って曲げられるシート材料を用意する方法であって、
前記曲げ加工線の近くまで長手方向に延びる複数個の荷重支持フェース構造体を形成し、
前記フェース構造体と逆の位置で延びる複数個のエッジ構造体を形成することを含み、 前記形成工程の際、前記曲げ加工線を斜めに横切って延びる複数個の曲げ加工ストラップを構成するよう前記エッジ構造体及び前記フェース構造体を形成する、
方法。
【請求項21】
前記形成工程は、前記シート材料を厚さ方向に変位させて前記複数個のフェース構造体及びこれらに対向したエッジ構造体を生じさせることにより実施される、請求項20記載の方法。
【請求項22】
前記変位工程は、打抜き加工法、穴あけ加工法、ロールフォーミング加工法、プレス加工法及びエンボス加工法のうちの1つを用いて実施される、請求項21記載の方法。
【請求項23】
前記形成工程は、前記フェース構造体及びこれらに対向した前記エッジ構造体と定位置に且つ前記曲げ加工線に沿う前記シート材料の曲げ加工中、前記エッジ構造体と前記フェース構造体の係合を生じさせる形態で形成することにより実施される、請求項20記載の方法。
【請求項24】
前記形成工程は、前記フェース構造体及びこれらに対向した前記エッジ構造体を前記シート材料の厚さの約−0.5倍〜約+0.5倍の前記曲げ加工線を横切るジョグ距離を有する位置で前記曲げ加工線の互いに反対側の側部に交互に位置するよう形成することにより実施される、請求項23記載の方法。
【請求項25】
曲げ加工線に沿って曲げられるシート材料を用意する方法であって、
前記シート材料を複数本の剪断線に沿って前記シート材料の厚さ寸法方向に部分的に剪断することを含み、前記剪断線は、曲げ加工中、前記剪断線の互いに反対側での前記シート材料のエッジ−フェース係合状態を生じさせるよう前記曲げ加工線に沿って構成され、位置決めされている、
方法。
【請求項26】
前記剪断工程は、打抜き加工用ダイス、ナイフ、穴あけ加工用ダイス、エンボス加工用ダイス及びロールフォーミング加工用ダイスのうちの1つを用いて実施される、請求項25記載の方法。
【請求項27】
前記剪断線は、D字形剪断線と楕円形剪断線のうちの一方である、請求項25記載の方法。
【請求項28】
前記剪断線は、前記曲げ加工線に沿って細長く、中央部分が前記曲げ加工線まで実質的に平行に延び、前記曲げ加工線から遠ざかって湾曲した端部を有する、請求項25記載の方法。
【請求項29】
シート材料を曲げ加工する方法であって、
前記シート材料の厚さ方向に複数個の変位部を形成することを含み、前記曲げ加工線に最も近い前記変位部の周囲の一部が、曲げ加工中、前記シート材料のエッジ−フェース係合状態を生じさせるよう構成され、位置決めされたエッジ及びこれに対向したフェースをもたらし、
前記シート材料を前記曲げ加工線に沿って曲げ加工することを含む、
方法。
【請求項30】
前記形成工程は、打抜き加工法、ロールフォーミング加工法、穴あけ加工法及びエンボス加工法のうち1つを用いて実施される、請求項29記載の方法。
【請求項31】
前記形成工程では、前記周囲の前記一部を前記シート材料の前記厚さ寸法方向に部分的に剪断し、前記曲げ加工工程では、前記周囲の前記一部を前記シート材料の前記厚さ寸法の残部を通って破損させる、請求項29記載の方法。
【請求項32】
前記形成工程は、前記シート材料を剪断することなく前記シート材料を塑性変形させることによって実施され、前記曲げ加工工程は、前記シート材料を破損させないで実施される、請求項29記載の方法。
【請求項33】
前記曲げ加工工程の際、前記シート材料を前記変位部の方向に曲げ加工する、請求項29記載の方法。
【請求項34】
前記曲げ加工工程の際、前記シート材料を前記変位部の方向とは逆の方向に曲げ加工する、請求項29記載の方法。
【請求項35】
前記曲げ加工工程は、ダイス及びツールプレートのうちの少なくとも一方を前記シート材料が前記ツールプレート上で前記ダイスと前記ツールプレートの間に設けられ、前記曲げ加工線が前記ツールプレートのエッジ上に重ね合わされた状態で動かすことにより実施される、請求項29記載の方法。
【請求項36】
前記曲げ加工工程は、ブラダ及びツールプレートのうちの少なくとも一方を前記シート材料が前記ツールプレート上で前記ブラダと前記ツールプレートの間に設けられ、前記曲げ加工線が前記ツールプレートのエッジ上に重ね合わされた状態で動かすことにより実施される、請求項29記載の方法。
【請求項37】
前記曲げ加工工程後、シンガードを前記シート材料に固定して前記曲げ加工線を横切って延びるようにする工程を更に有する、請求項29記載の方法。
【請求項38】
被覆材料の連続層を前記曲げ加工工程後、前記変位部及び前記曲げ加工線を横切って前記シート材料の少なくとも一方の表面に被着させる工程を更に有する、請求項29記載の方法。
【請求項39】
可撓性材料の連続層を前記曲げ加工工程後、前記変位部及び前記曲げ加工線を横切って前記シート材料の少なくとも一方の表面に被着させることを含む、請求項29記載の方法。
【請求項40】
前記曲げ加工工程は、手作業で実施される、請求項29記載の方法。
【請求項41】
前記曲げ加工工程は、プレスブレーキを用いて実施される、請求項29記載の方法。
【請求項42】
シート材料を曲げ加工する方法であって、
曲げ加工線に沿って且つ該曲げ加工線の近くで、前記曲げ加工線の互いに反対側に交互に位置決めされた複数本の剪断線を形成して前記曲げ加工線を斜めに横切って延びる複数の曲げ加工ストラップを構成し、
前記シート材料を前記曲げ加工線に沿って曲げ加工することを含む、
方法。
【請求項43】
前記形成工程は、前記剪断線の一方の側に設けられたエッジと前記剪断線の反対側に設けられたフェースのエッジ−フェース係合が可能であるように前記剪断線を構成すると共に位置決めするよう実施される、請求項42記載の方法。
【請求項44】
前記剪断線は、前記シート材料の厚さ寸法方向に延びる、請求項42記載の方法。
【請求項45】
前記剪断線は、前記シート材料の厚さ寸法方向に部分的にしか延びていない、請求項42記載の方法。
【請求項46】
曲げ加工線に沿って曲げ加工するのに適したシート材料であって、
少なくとも1つの変位部を前記シート材料の厚さ方向に有し、前記曲げ加工線に最も近い前記変位部の周囲の部分が、曲げ加工中、前記周囲の前記部分の互いに反対側で前記シート材料のエッジ−フェース係合状態を生じさせるように構成され、位置決めされたエッジ及びこれに対向したフェースをもたらす、
シート材料。
【請求項47】
前記シート材料は、前記曲げ加工線に沿って位置決めされた複数個の変位部を備えている、請求項46記載のシート材料。
【請求項48】
交互に設けられた変位部が、前記曲げ加工線に沿って長手方向に且つ該曲げ加工線の互いに反対側に位置決めされていて、前記変位部の隣り合う端部相互間に位置していて、前記曲げ加工線を横切って延びる曲げ加工ストラップを構成している、請求項47記載のシート材料。
【請求項49】
前記曲げ加工線の互いに反対側で前記周囲の前記部分相互間の側方ジョグ距離は、前記シート材料の前記厚さ寸法よりも短い、請求項48記載のシート材料。
【請求項50】
前記側方ジョグ距離は、前記シート材料の前記厚さ寸法の約−0.5倍〜約+0.5倍である、請求項49記載のシート材料。
【請求項51】
前記側方ジョグ距離は、約ゼロであり、前記周囲の前記部分は、前記曲げ加工線上に実質的に重ね合わされている、請求項50記載のシート材料。
【請求項52】
前記変位部の前記周囲の前記部分は、前記シート材料の前記厚さ寸法方向に部分的に剪断されている、請求項46記載のシート材料。
【請求項53】
前記変位部の前記周囲の前記部分は、前記シート材料の前記厚さ寸法を完全に通って剪断されている、請求項46記載のシート材料。
【請求項54】
前記変位部の前記周囲の前記部分は、前記シート材料の前記厚さ寸法方向に剪断されないで、塑性変形されている、請求項46記載のシート材料。
【請求項55】
前記変位部の前記周囲の前記部分は、前記変位部の方向とは逆の方向に延びる補強リブを有する、請求項46記載のシート材料。
【請求項56】
前記変位部は、前記周囲の前記部分のところの最大深さから前記シート材料の平面まで前記曲げ加工線から遠ざかる方向に上方に傾斜している、請求項46記載のシート材料。
【請求項57】
前記変位部は、実質的に同一の厚さ寸法だけ全体にわたって変位した領域である、請求項46記載のシート材料。
【請求項58】
前記シート材料は、前記曲げ加工線に沿って曲げ加工されている、請求項48記載のシート材料。
【請求項59】
前記シート材料は、前記変位部の方向に曲げ加工されている、請求項58記載のシート材料。
【請求項60】
前記シート材料は、前記変位部の方向とは逆の方向に曲げ加工されている、請求項58記載のシート材料。
【請求項61】
前記シート材料は、前記曲げ加工線に沿って曲げ加工されている、請求項54記載のシート材料。
【請求項62】
前記変位部を形成した後、前記シート材料の少なくとも一方の表面に被着された被膜材料の連続層を有する、請求項46記載のシート材料。
【請求項63】
前記シート材料は、前記被覆材料の連続層を破損させないで、前記曲げ加工線に沿って曲げ加工されている、請求項62記載のシート材料。
【請求項64】
曲げ加工された状態の前記シート材料に固定されていて、前記曲げ加工線を横切って延びるシンガードを更に有する、請求項58記載のシート材料。
【請求項65】
前記変位部は、前記周囲の前記部分の長手方向において隣接して位置している、請求項46記載のシート材料。
【請求項66】
曲げ加工線に沿って曲げられるシート材料を用意する方法であって、
前記シート材料に、該シート材料の厚さ方向に該シート材料から変位された少なくとも1つの舌部を形成することを含み、前記舌部の周囲の前記曲げ加工線に最も近い部分が、スリットにより形成され、前記舌部は、曲げ加工線に沿って細長く、中央部分で曲げ加工線と実質的に平行に延びており、曲げ加工線から遠ざかる方向に湾曲した端部分を有する、方法。
【請求項67】
前記舌部は、D字形と楕円形のうちの一方である、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記形成工程の際、前記舌部を、前記スリットのところの最大深さから前記シート材料の平面まで前記曲げ加工線から遠ざかる方向に上方に傾斜するように形成する、請求項66に記載の方法。
【請求項69】
前記形成工程の際、前記舌部を、該舌部の全領域に亘って実質的に同一の厚さ寸法だけ変位させる、請求項66に記載の方法。
【請求項70】
前記スリットは、前記シート材料のエッジ−フェース係合状態を生じさせるように構成され、位置決めされたエッジ及びこれに対向した面を形成し、前記エッジは、前記スリットによって形成された前記舌部のコーナ部および前記シート材料の上面または下面であり、前記対向した面は、前記舌部からスリットの反対側のシート材料の上面または下面である、請求項66に記載の方法。
【請求項71】
前記スリットは、前記シート材料のエッジ−フェース係合状態を生じさせるように構成され、位置決めされたエッジ及びこれに対向した面を形成し、前記エッジは、前記スリットによって形成された前記シート材料のコーナ部および前記シート材料の上面または下面であり、前記対向した面は、前記スリットによって前記舌部の周囲に形成された舌部の面である、請求項66に記載の方法。
【請求項72】
前記形成工程の際、前記曲げ加工線に沿って前記シート材料から変位された複数個の舌部を形成し、前記各舌部の周囲の前記曲げ加工線に最も近い部分が、スリットにより形成され、前記各舌部は、曲げ加工線に沿って細長く、中央部分で曲げ加工線と実質的に平行に延びており、曲げ加工線から遠ざかる方向に湾曲した端部分を有する、請求項66に記載の方法。
【請求項73】
前記形成工程の際、前記複数個の舌部を前記曲げ加工線に沿って形成し、各スリットの中央部分は、前記曲げ加工線上で実質的に重ね合わされる、請求項72に記載の方法
【請求項74】
前記形成工程の際、少なくとも1つのスリットの中央部分が前記曲げ加工線の一方の側に位置決めされ、少なくとももう1つのスリットの中央部分が前記曲げ加工線の反対側に位置決めされるように前記シート材料に前記複数個の舌部を形成する、請求項72に記載の方法。
【請求項75】
前記形成工程の際、スリットの中央部分を前記曲げ加工線の反対側で前記シート材料の前記厚さ寸法よりも小さな相互のジョグ距離のところに位置決めする、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
前記ジョグ距離は、前記シート材料の前記厚さ寸法の約−0.5倍〜約+0.5倍である、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
前記形成工程の際、前記スリットを前記曲げ加工線の互いに反対側に形成して前記曲げ加工線を斜めに横切って延びるよう差し向けられた中心軸線を有する曲げ加工ストラップを構成する、請求項74に記載の方法。
【請求項78】
前記各スリットは、前記シート材料のエッジ−フェース係合状態を生じさせるように構成され、位置決めされたエッジ及びこれに対向した面を形成し、前記エッジは、前記スリットによって形成された前記舌部のコーナ部および前記シート材料の上面または下面であり、前記対向した面は、前記舌部からスリットの反対側のシート材料の上面または下面である、請求項72に記載の方法。
【請求項79】
前記各スリットは、前記シート材料のエッジ−フェース係合状態を生じさせるように構成され、位置決めされたエッジ及びこれに対向した面を形成し、前記エッジは、前記スリットによって形成された前記シート材料のコーナ部および前記シート材料の上面または下面であり、前記対向した面は、前記スリットによって前記舌部の周囲に形成された舌部の面である、請求項72に記載の方法。
【請求項80】
前記舌部は、D字形と楕円形のうちの一方である、請求項72に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図1E】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14A】
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【図14B】
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【図14C】
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【図14D】
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【図15A】
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【図15B】
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【図15C】
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【図15D】
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【図16A】
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【図16B】
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【図16C】
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【図16D】
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【図16E】
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【図16F】
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【公開番号】特開2012−45626(P2012−45626A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−234364(P2011−234364)
【出願日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【分割の表示】特願2007−501910(P2007−501910)の分割
【原出願日】平成17年3月1日(2005.3.1)
【出願人】(503064198)インダストリアル オリガミ インコーポレイテッド (18)
【Fターム(参考)】