説明

曲面添付ステレオグラム

【課題】シングルイメージ・ランダムドット・ステレオグラムの模様を持った器物を作成する場合、従来の平面投影を描画したステレオグラムでは立体視できない。
【解決手段】ステレオグラム描画イメージ作成に際して、添付される器物の曲面の上にイメージ生成し、これを印刷イメージもしくは添付ラベルの印刷イメージとする。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】

【産業上の利用分野】
【0001】
この考案は器物の模様にステレオグラムを用いるためのものである。
【背景技術】
【0002】
シングルイメージ・ランダムドット・ステレオグラムもしくはシングルイメージステレオグラムは(以下単にステレオグラムという)特許文献1でも使用されている裸眼立体視する技術である。また、紙面上のイメージをカップなどの器物に模様として印刷することも、特許文献2のように既存の技術で可能である。
【特許文献1】特許公開2004−209871
【特許文献2】特許公開2000−254969
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら平面として立体視する前提の印刷イメージを器物の曲面に添付して立体視する場合、平面に近似できる局所部分を除いて、両眼への方向が想定外に位置するため立体視できない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
作成イメージを曲面上に印刷・添付することを前提にステレオグラムを作成する。このために従来仮想立体上の点から左右視点に至る左右視線の交差する点を投射する平面を理論生成し、描画平面としていたのに対し、左右視線の交差点を投影する理論曲面に投射して、これを平面展開して描画平面とする。ここで仮想立体とは立体視によって存在するように見える曲面や凹凸図形を指す。
【作用】
【0005】
この方法により、コップなどの曲面にステレオグラムが印刷、添付されてもこの器物を立体視することで器物の表面曲面上に無い仮想立体画像を見ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】仮想立体上の点に向かう左右視線の交点投射面を円筒曲面としたイメージ図。
【図2】仮想立体上の点に向かう左右視線の交点投射面を平面とした従来方式のイメージ図
【図3】図1をイメージ投射曲面の円筒底面方向から見た断面図
【図4】視点を結ぶ直線と垂直な方向から図2を見た断面図
【実施例】
【0007】
本考案の実施例を図に従って説明する。
【0008】
図1は仮想立体上の点に向かう左右視線の交点投射面を円筒曲面としたイメージ図である。
1は右視点である。
2は左視点である。左右視点を結ぶ線は円筒の底面と平行になるように円筒を置く。
3は投射曲面の円筒である。
,P,P...は投射曲面を視線が通過する点であり、左右視線の交点となっている。
4は仮想立体である。
,Q,Q...は仮想立体表面と視線が交わる点である。
5は右視線である。
6は左視線である。
【0009】
図2は仮想立体上の点に向かう左右視線の交点投射面を平面とした従来方式のイメージ図である。
11は右視点である。
12は左視点である。
13は投射面の平面である。投射面は左右視点を結ぶ線と平行に置く。
,P,P...は投影面を視線が通過する点であり、P,P...は左右視線の交点となっている。
14は仮想立体である。
,Q,Q...は仮想立体表面と視線が交わる点である。
15は右視線である。
16は左視線である。
【0010】
図3は図1をイメージ投射曲面の円筒の底面方向から見た断面図である。
21は右視点である。
22は左視点である。
23は投影面の断面上の部分を表す円である。
24は仮想立体の断面図形である。
【0011】
図4は図2をY軸方向から見た断面図である。Y軸は左右視点を結ぶ直線と垂直に設定している。
31は右視点である。
32は左視点である。
33は投射面の断面上の部分を表す線分である。
34は仮想立体の断面図形である。
【0012】
図2に示した仮想立体表面の点Q,Q,Q....において、最も右の点Qから右視点に至る直線が、投射面と交わる点Pと左視点に至る直線が投射面と交わる点Pとを得、この Pを経て右視点から仮想立体に至る直線の仮想立体表面上の点Qを得る。同様にして、次々にP,PおよびQ,Qを得る。これが通常の平面にステレオグラムの描画をする場合の座標決定である。この投射平面のイメージP,P...を描画イメージとして紙などの平面に印刷する。
曲面に描画する場合、同様に図1に示した最も右の点Qから右視線上のP点と左視線上のPとを得、このPを経て右視点から仮想立体に至る点Qを得る。
【0013】
図4において、右視点の座標(X,Y,Z)=(Ex,Ey,Ez)とし、仮想立体上の点Qの座標を(X,Y,Z)とするとこの間を結ぶ右視線は

であり、投射面をZ軸と垂直にとり、投射面の座標をZ=Zsとするとこの面と右視線の交点PのX、Y座標はこの式でZ=Zsとすることで求められる。
【0014】
円筒面にランダムドット描画する場合、断面図3のX,Z座標の原点を簡単のため円筒断面円の中心に置き右視点の座標(X,Y,Z)=(Ex,Ey,Ez)とし、仮想立体上の点Qの座標を(X,Y,Z)とすると、この間を結ぶ直線は▲1▼,▲1▼’式と同一になる。ここで断面円の式は半径rとして
+Z= r .........▲2▼
であり、この▲1▼式と▲2▼式からP点のX、Z座標(Px,Pz)が2解求められる。このうちZ座標の大きなもの、つまり視点に近いものを選択する。ここで得られたZ座標を▲1▼’に代入して、Y座標を得る。
【0015】
図2において原点とPとを結ぶ直線がZ軸となす角θは

となる。
描画平面を円筒側面上に添付する場合、Z軸とP点との間の弧の長さrθは描画平面上のP点のX座標になる。したがって、▲3▼式からθのラジアン値を求めると得られる。また、描画平面上のY座標はこのように座標軸をとった場合、投射曲面上のP点のY座標と一致する。
【0016】
投射曲面上のP点からQ点を求める方法は投射面が平面・曲面の場合にかかわらず、P点と視点を結ぶ直線が仮想立体表面を通過する点を求めることで得られる。
【0017】
円筒以外の投射曲面を対象とする場合、
Z=f(X,Y) ..........▲4▼
の曲面式を有限二次元データとして持ち、これらの有限の点を結んで出来るポリゴン面と視線との交点を内挿近似する。また、これらの曲面上の長さをポリゴン上の線分の和を近似値として求め、描画平面の座標とする。
【0018】
上記の方法で点列を求め、これをランダムドットもしくは同形イメージのパターン上の描画ピクセルとして、ステレオグラムイメージを生成し、器物に印刷もしくはラベルとして印刷する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
:非伸縮紙面添付可能な曲面に対し、該当曲面上に立体視できるシングルイメージ・ステレオグラムもしくはランダムドット・シングルイメージ・ステレオグラムの画像を印刷した物品。
【請求項2】
:非伸縮紙面添付可能な曲面に対し、該当局面に添付すると立体視できるシングルイメージ・ステレオグラムもしくはランダムドット・シングルイメージ・ステレオグラムの画像を印刷したラベル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−88673(P2012−88673A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−246838(P2010−246838)
【出願日】平成22年10月17日(2010.10.17)
【出願人】(592185013)
【Fターム(参考)】