説明

書類解繊装置

【課題】事務所、研究所又は銀行等の執務所で簡便に取り扱うことができ、且つ、完璧に秘密漏洩を防ぐことが可能な書類解繊装置を得る。
【解決手段】モータ9が設けられた受台5を有し、この受台の上に胴体部4を保定し、この胴体部の上方に一対の支持筐体10a,10bを対峙させ、この支持筐体の互いに内側を向く壁面には上側に同方向に切り欠かれたストッパー12a,12bを形成し下側に互いに逆向きに切り欠かれたストッパー13a,13bを形成した案内溝11a,11bを設けてあり、各案内溝に案内されて移動し各ストッパーに係合する突起14a,14bを有し内部にはモータ9に連結し得る回転羽を有するタンク2を備えて書類解繊装置を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、書類解繊装置に関し、特に、事務所、研究所又は銀行等の執務所で機密書類を処理して秘密漏洩を防ぐために好適に使用することができる書類解繊装置に係る。
【背景技術】
【0002】
機密書類を処理して秘密漏洩を防ぐために、一般に、シュレッダーという紙の破砕装置が利用されている。(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平05−277392号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、機密書類をシュレッダーで処理した場合、処理後に残る物は紙の細片であり、多くの時間をかけて丹念に細片を編集して行くと、元の書類を再現させることができるので、秘密漏洩を困難にすることはできても、完璧に秘密漏洩を防ぐことはできないという欠点があった。
【0004】
そこで、本発明は、事務所、研究所又は銀行等の執務所で簡便に取り扱うことができ、且つ、完璧に秘密漏洩を防ぐことが可能な書類解繊装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために本発明では、以下のような構成を採用した。
すなわち、モータが設けられた受台を有し、この受台の上に胴体部を保定し、この胴体部の上方に一対の支持筐体を対峙させ、この支持筐体の互いに内側を向く壁面には上側に同方向に切り欠かれたストッパーを形成し下側に互いに逆向きに切り欠かれたストッパーを形成した案内溝を設けてあり、この案内溝に案内されて移動し前記各ストッパーに係合する突起を有し内部には前記モータに連結し得る回転羽を有するタンクを備えて書類解繊装置を構成する。そして、前記支持筐体内にダンパーを設け、各ダンパーはタンクの突起に係合させて書類解繊装置を構成することもある。
【発明の効果】
【0006】
本発明の書類解繊装置は、タンクを垂直状態から水平状態に簡単に変更することが可能であり、書類解繊装置を事務所、研究所又は銀行等の執務所で簡便に取り扱うことができるようになる。また、解繊後にタンクに残る物はパルプ状の繊維であり、解繊前に書類に書かれていた内容は全く消失してしまうので完璧に秘密漏洩を防ぐことが可能になる。さらに、本発明の書類解繊装置は、蓋を含めずに三つの部分に分解可能であり、運送が容易になる。そして、前記支持筐体内にダンパーを設ける場合にはダンパーの付勢力がタンクを持ち上げる際に付加されて、楽々とタンクを持ち上げることが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の実施形態の書類解繊装置を示す斜視図であり、図2は書類解繊装置の分解斜視図である。これらの図において、書類解繊装置1はタンク2を有し、このタンク2の上部には蓋3を設けてある。前記タンク2の下方には胴体部4を設けてあり、この胴体部4の下方には受台5を設けてある。この受台5の周縁部には上に立ち上がる周縁折り曲げ部6を形成してあり、前記胴体部4の側壁の下端部を前記周縁折り曲げ部6の内側に嵌合させて前記胴体部4を前記受台5に保定してある。なお、前記胴体部4の側壁の下端部と前記周縁折り曲げ部6とは必要により螺合するようにしてもよい。また、前記受台5の底面側には四箇所に高さを可変し得る脚部15を設けている。
【0008】
図3はタンクを前記胴体部4から外した状態を示す斜視図である。前記胴体部4には天板部7を形成してあり、この天板部7には左右方向に対してはほぼ中央、前後方向に対してはやや後方にずれた部位に円孔8を穿設してある。この円孔8のほぼ中央部に対向する前記受台5側の部位にはモータ9が前記受台に固定されていて、このモータ9の回転軸には後記する回転羽の回転軸に繋がるカプラー17と結合するためのカプラー18が固定されている。
【0009】
前記天板部7の左右両側辺には前記円孔8を挟んで一対の支持筐体10a、10bを対峙させてあり、前記支持筐体10a、10bの互いに内側を向く壁面の前後方向のほぼ中央に縦長の案内溝11a、11bを形成してある。また、この支持筐体10a、10bの内部には、必要により、スプリングダンパー、ガスダンパー、オイルダンパーその他のダンパー16(図6、図7)を設けることがあり、その場合、前記ダンパーは後記の突起14a及び突起14bに係合させる。
【0010】
図4(a)及び図4(b)は案内溝を示す一部省略概略平面図である。図において、案内溝11a、11bの上側には同方向に切り欠かれたストッパー12a、12bを形成してあり、下側には互いに逆向きに切り欠かれたストッパー13a、13bを形成してある。なお、ストッパー13a、13bはタンクの自重で後記の突起14a及び突起14bが滑り込み易くなるよう若干下向きに傾斜するよう切り欠いてある。なお、前記案内溝11a、11bは図4(a)及び図4(b)に示されるようにほぼ直線ではなく、図8に示すように曲線に形成することもできる。このように形成すると、前記タンク2を外す際、手前にやや引きながら上に持ち上げるとき楽々と持ち上がるようにすることができる。
【0011】
図5はタンクの下端側に設けられた突起を示す概略側面図である。突起14a及び突起14bは前記タンク2の側面下端側に設けてあり、突起14a及び突起14bの頭部には抜け止め用の鍔を形成してある。
【0012】
前記タンク内には書類を解繊するための不図示の回転羽を設けてあり、その回転軸は下方に延び端部に前記カプラー18に結合するためのカプラー17が固定されている。
而して、書類解繊装置1の設置場所に前記受台5を置く。次に、前記胴体部4の側壁の下端部を前記周縁折り曲げ部6の内側に嵌合させる。次いで、前記支持筐体10a、10bの天板は着脱可能にしてあるので、これらを外し、前記タンク2の突起14a及び突起14bを前記案内溝11a、11bの最上端に臨ませ、そのまま下方へ前記タンクを下げると、前記突起14a及び前記突起14bは前記案内溝11a、11bに案内されて移動し、前記タンクを下げ切ったところで前記タンク2側のカプラーと前記モータ2側のカプラとが結合する。そして、前記タンクを若干捻る。すると、前記突起14a及び前記突起14bが前記ストッパー13a及び前記ストッパー13bに係合する。その状態で前記支持筐体10a、10bの天板を元に戻す。前記タンク2内に処理すべき書類と適量の水を入れる。電源コードを電源に接続し、書類解繊開始スイッチを操作して解繊処理を開始する。所定時間後解繊終了スイッチを操作して解繊処理を終了する。次に、前記タンク6を前述の場合とは逆の方向に若干捻る。すると、前記突起14a及び前記突起14bと前記ストッパー13a及び前記ストッパー13bとの係合がそれぞれ外れる。そのまま、前記タンク6を若干手前へ引き加減にしながら上に持ち上げる。すると、前記突起14a及び前記突起14bが前記ストッパー12aと前記ストッパー12bに係合する。そのまま、前記タンク2を手前に倒すと、前記タンク2は約90度傾いて前記胴体部4の天板部7に対し横臥した状態(図6)で安定する。解繊されパルプ状になった書類はビニール袋などに前記タンク2から掻き出して移し、生ごみとして廃棄する。
【0013】
図9(a)及び図9(b)は前記カプラー18に取付けて前記カプラー17と前記カプラー18との連結を円滑に行わせるための套体である。
套体19は、例えば、金属で形成してあり、図9(a)に示すものは四角筒に形成してあり、図9(b)に示すものは六角筒に形成してあるが、三角筒、八角筒、円筒その他の形状であってもよい。前記套体19の各壁面には両端からほぼ中央に向かって次第に降下する漸降部20を形成してあり、中央部には垂直に落ち込む細溝部21を形成してある。なお、図示のものでは前記漸降部20として傾斜辺にしてあるが、必要により弧状辺に形成することもある。
【0014】
而して、前記套体19は正しく位置決めして前記カプラー18に通孔22を介してねじや鋲で固定される。一方、前記カプラー17には前記細溝部21の外側へ少し突出する程度の突起体を設ける。
【0015】
かくして、突起体を有する前記カプラー17が上から次第に降下してくると、やがて、突起体が前記漸降部20に当接する。さらに前記カプラー17が降下すると前記突起体が前記漸降部20に案内されて前記突起体は中央部に移動する。そして、ついに前記突起体は前記細溝部21内に陥落する。そのとき、前記カプラー17と前記カプラー18とがぴったりと結合する。なお、図3に示されるように係合部のセグメントが120度ごとに3つ設けられているものでは図9(b)に示される套体19を用いるのが適当であり、係合部のセグメントが90度ごとに四つ設けられているものでは図9(a)に示される套体19を用いるのが適当である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態の書類解繊装置を示す斜視図である。
【図2】書類解繊装置の分解斜視図である。
【図3】タンクを胴体部から外した状態を示す斜視図である。
【図4】(a)及び(b)は案内溝を示す一部省略概略平面図である。
【図5】タンクの下端側に設けられた突起を示す概略側面図である。
【図6】タンクの横臥状態を示す斜視図である。
【図7】図6の一点鎖線で囲まれた部分の拡大斜視図である。
【図8】案内溝の変形例を示す一部省略概略平面図である。
【図9】(a)及び(b)はカプラーに固定される套体を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0017】
1 書類解繊装置
2 タンク
3 蓋
4 胴体部
5 受台
6 周縁折り曲げ部
7 天板部
8 円孔
9 モータ
10a 支持筐体
10b 支持筐体
11a 案内溝
11b 案内溝
12a ストッパー
12b ストッパー
13a ストッパー
13b ストッパー
14a 突起
14b 突起
15 脚部
16 ダンパー
17 カプラー
18 カプラー
19 套体
20 漸降部
21 細溝部
22 通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータが設けられた受台を有し、該受台の上に胴体部を保定し、該胴体部の上方に一対の支持筐体を対峙させ、該支持筐体の互いに内側を向く壁面には上側に同方向に切り欠かれたストッパーを形成し下側に互いに逆向きに切り欠かれたストッパーを形成した案内溝を設けてあり、該案内溝に案内されて移動し前記各ストッパーに係合する突起を有し内部には前記モータに連結し得る回転羽を有するタンクを備えることを特徴とする書類解繊装置。
【請求項2】
モータが設けられた受台を有し、該受台の上に胴体部を保定し、該胴体部の上方に一対の支持筐体を対峙させ、該支持筐体の互いに内側を向く壁面には上側に同方向に切り欠かれたストッパーを形成し下側に互いに逆向きに切り欠かれたストッパーを形成した案内溝を設けてあり、該案内溝に案内されて移動し前記各ストッパーに係合する突起を有し内部には前記モータに連結し得る回転羽を有するタンクを備え、且つ、前記モータの回転軸に固定されるカプラーを有し該カプラーには漸降部と細溝部とが形成された套体が固定され、一方、前記回転羽の回転軸には前記カプラーに連結する他のカプラーが固定され、該カプラーには前記細溝部の外側へ少し突出する程度の突起体を設けてあることを特徴とする書類解繊装置。
【請求項3】
支持筐体内にダンパーを設け、各ダンパーはタンクの突起に係合させてある請求項1又は請求項2に記載の書類解繊装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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