説明

最適なシート構築特性を有する対となった縦糸の3層形成布

抄紙機の形成部に使用し得る抄紙機用布であって、機械を横切る方向(CD)ヤーンの2つの層を有する抄紙機用布を開示する。CDヤーンと織り交ぜられるのは、MDヤーンのシステムである。少なくともいくつかのMDヤーンは、第1MDヤーン及び第2MDヤーンを有する交差対と、第3MDヤーン及び第4MDヤーンを有する第2対とを有する交互の対にグループ分けされる。第1MDヤーン及び第2MDヤーンは、組み合わせて、第1層において各CDヤーンと織成され、且つ第1層と第2層との間を交差する。これらの対における左及び右の縦糸は、隣り合う対からの隣り合うヤーンが隣り合う対の隣り合わないヤーンからのMD方向のセルの長さよりも大きい又は小さいMD方向のセルの長さを有するように、配列される。第3MDヤーンは、CDヤーンの第1層と織り交ぜられ、第4MDヤーンは、CDヤーンの第2層と織り交ぜられる。この様式において、対となった縦糸の2層形成布は、排出、及び重なり合う位置における形態上のマーキングを最小限にするように、製造され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製紙技術に関する。特に、本発明は、抄紙機の形成部用の形成布に関する。
【背景技術】
【0002】
製紙工程中、セルロース製の繊維ウェブは、繊維スラリー、つまりセルロース繊維の水性懸濁液を、抄紙機の形成部において移動する形成布上に堆積させることで、形成される。このスラリーから形成布を介して大量の水が排出され、形成布の表面上にセルロース製の繊維ウェブが残存する。
【0003】
新規に形成されたセルロース製の繊維ウェブは、形成部から、一連のプレスニップを有するプレス部へと進む。セルロース製の繊維ウェブは、プレス布、又はしばしば斯かる2つのプレス布との間に支持されたプレスニップを通過する。プレスニップにおいて、セルロース製の繊維ウェブには、圧縮力がかけられ、この力によりここから水を絞り出し、このウェブにおいてセルロース製の繊維が互いに結合して、セルロース製の繊維ウェブから紙シートとなる。この水は、プレス布及び各種の布に受容され、理想的には、紙シートに戻らない。
【0004】
この紙シートは、蒸気で内的に加熱される、少なくとも1連の回転可能な乾燥ドラム又はシリンダーを含む乾燥部へと最終的に進む。この新規に形成された紙シートは、ドラムの表面に対して紙シートを近接させて保持する、乾燥布によって一連のドラムのそれぞれの周囲に連続して配置されるセルペンタイン路(serpentine path)に向けられる。この加熱されたドラムは、紙シートの水分含量を、蒸発を介して所望のレベルにまで低減する。
【0005】
理解されるべきように、形成布、プレス布及び乾燥布は、すべて抄紙機上で無端ループの形態を取り、コンベアの様式で機能する。また理解されるべきように、製紙工程は、かなりの速度で進む連続工程である。つまり、上述の繊維スラリーは、形成部の形成布上に連続して堆積されつつ、一方で新規に製造された紙シートは、乾燥部を脱出した後、ロール上に連続して巻き取られる。
【0006】
また、プレス布は、紙シートの表面仕上げにも関与する。つまり、プレス布は、プレスニップの通過中、平滑でマークのつかない表面を紙に補完するように、平滑な表面と均一な弾力を有する構造となるように、設計される。
【0007】
プレス布は、プレスニップにおいて湿潤する紙から抽出された大量の水を受容する。この機能を満たすため、水が脱出するようにプレス布の内部にボイド容量と一般的に称される空間を文字通り有する必要があり、この布は、全体的な耐用年数の間、水に対して十分な透過性を有する必要がある。最後に、プレス布は、湿潤した紙から受容した水がプレスニップから脱出した紙に戻りかつ再湿潤させることを防止し得る必要がある。
【0008】
各種の織成布は、多くの異なる形態を取る。例えば、織成された無端の形態や、平織りされて継目を有する無端の形態にされるなどである。
【0009】
本発明は、特に形成部に使用される形成布に関する。形成布は、製紙工程の間、重要な役割を演じる。その一つの機能としては、上述したように、紙製品を形成し、且つ製造された紙製品をプレス部に運搬することである。
【0010】
しかしながら、形成布は、水の除去及び紙の形成の問題を解決する必要もある。つまり、形成布は、水の通過を可能とする(つまり、排出率を制御する)ように設計されるとともに、同時に、水とともに繊維やその他の固形物が通過するのを阻止するように、設計される。排出が極端に速く又は遅く起こる場合、紙の質及び機械の効率が影響を受ける。排出を制御するため、水を排出するための形成布内部の、一般的にボイド容量と称される空間は、適切に設計されるべきである。
【0011】
現代の形成布は、製造される紙のグレードに併せて導入される抄紙機の要件を満たすよう設計された種々の形態で製造される。一般的に形成布は、モノフィラメント、諸よりモノフィラメント、マルチフィラメント又は諸よりマルチフィラメントのヤーンから織成された基礎布を有し、これは、単層又は多層であってもよい。これらのヤーンは、ポリアミド、ポリエステル樹脂などの抄紙機用布技術における当業者にこれらの目的で使用される種々の合成ポリマー樹脂のいずれかから典型的に成形される。
【0012】
本発明は、多層布をともに保持する一体化された機械方向(MD)の結合ヤーンの対を使用して、形成布における望ましくない排出に伴うマークを無くした布について述べる。先行技術において、MDヤーンは、たった10%のバインダー、または100%ものバインダーからなるものであってもよい。対となって一体化されたMDヤーンを有する布について述べる文献としては、特許文献1(Osterbergの特許)が挙げられ、この文献では、これらの対は、上部の織成に一体化された一部であって、下部の織成において結合ヤーンとして機能する。また、特許文献2(Vohringerの特許)は、少なくとも10%のMDヤーンからなるこれらの対について重点的に述べており、上部及び下部の織成において一体的な部分となっている。また、特許文献3(Johanssonの特許)は、これらの対からなる100%のMDヤーンを有する。Osterberg、Vohringer及びJohanssonの特許の欠点は、ヤーンを互いに交差させ織成布において配列される方法を変化させて形成された強固な上部面の対角面(diagonal)及び強固な排出の対角面にある(Vohringerの特許については、下記に詳細に述べる)。
【0013】
図3は、Johanssonの特許の教示に従って織成した布の形成部側から見た図である。Johanssonの特許は、布の上部側及び下部側を交互に製造するMDヤーンの対で製造された1つの縦糸系を有する2層の形成布について述べる。これらの対の1つが上部面の織成パターンを織成する一方で、他の対は、下部面の織成パターンを織成する。これらの対は、その後、上部面の織成パターンを織成するヤーンが下部面を織成するように、且つその逆となるように、布の上部面と下部面との間を交差する。Johanssonに述べるように、各対は、100%のMDヤーンからなる。図3において、対における2つのヤーンが互いに交差する交差点(crossover point)300に丸を付す。強固な形態上の対角面パターンを構築するように交差点が配列される態様について、注意を要する。対角線310は、同様の対角面パターンに沿った交差点の並び(sequence)を強調する。不運なことに、対となって一体化された100%のMDヤーンを使用する場合、対角面パターンに配列した交差点で形成されたこの強固な形態上の欠点を消失させるのに十分離れて交差点を分布させることは、不可能である。
【0014】
形成布の設計は、所望する布の支持性と布の安定性との妥協も必要とする。微細なメッシュの布は、所望の紙表面特性を提供するかもしれないが、斯かる設計は、所望の安定性を有さない可能性があり、結果的に布の寿命を短縮させてしまう。一方、粗いメッシュの布は、繊維の支持性のコストにおいて、安定性と長い寿命とを提供する。この設計上のトレードオフの関係を最小限とし、支持性と安定性との両方を最適化するように、多層の布が開発されてきた。例えば、2層及び3層の布において、形成側は、支持性を担当するように、設計される一方で、摩耗側は、安定性を担当するように、設計される。
【0015】
また、3層の設計では、布の形成表面を摩耗表面と独立に織成し得る。この非依存性故、3層設計布は、高いレベルの繊維の支持性と、最適な内部のボイド容量とを提供し得る。従って、これらの3層は、単層及び2層の設計に対して排出の点で有意に向上させ得る。
【0016】
本質的に、3層の布は、形成層と摩耗層との2つの層を、結合ヤーンでともに保持してなる。この結合性は、布の全体の一体化に非常に重要である。3層の布に関する問題の1つには、経時的に布の破断をもたらす、これら2層間の相対的な滑りである。また、結合ヤーンは、紙のマーキングをもたらす形成層の構造を破壊する可能性がある。
【特許文献1】米国特許第4,501,303号明細書
【特許文献2】米国特許第5,152,326号明細書
【特許文献3】米国特許第4,605,585号明細書
【特許文献4】米国特許第5,169,499号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は、対となった縦糸の3層の布について、開示し、隣り合う対からの隣り合うヤーンが、隣り合う対の隣り合わないヤーンからの機械方向(MD)のセルの長さよりも大きい又は小さいMDのセルの長さを有するものである。本発明は、縦糸の交差点、及びこの交差点における右の縦糸と左の縦糸との配置に起因する、形態上及び排出のマーキングを最小限にする問題を解決する。本発明は、また、布の各層の滑りを最小限にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
従って、本発明は、形成布に関するものであるが、抄紙機の形成部、プレス部及び乾燥部においても適用し得る。
【0019】
本発明による布は、3層の形成布であって、機械を横切る方向(CD)の第1層及び第2層を有する対となった縦糸の結合ヤーンの最適な配置を有するものである。CDヤーンの第1層は、布の形成側を形成し、CDヤーンの第2層は、布の摩耗側を形成する。CDヤーンと織り交ぜられるのは、機械方向(MD)のヤーンのシステムである。少なくともいくつかのMDヤーンは、第1MDヤーン及び第2MDヤーンを有する交差対と、第3MDヤーン及び第4MDヤーンを有する第2対とを有する対にグループ化される。この交差対は、CDヤーンの第1層及び第2層と織り交ぜられる。この対は、第1MDヤーンと第2MDヤーンとの境界が対称である場合、1つの縦糸ビーム(beam)から織成されてもよい。この対における縦糸の境界が非対称に設計される場合、交差対を織成するのに2つのビームを使用してもよい。第3MDヤーンは、それ自体の縦糸ビームに由来するCDヤーンの第1層と織り交ぜられ、第4MDヤーンは、それ自体の縦糸ビームに由来するCDヤーンの第2層と織り交ぜられる。少なくとも3つの縦糸ビームは、対称な縦糸の境界を有する交差対でパターンを織成するのに必要とされ、少なくとも4つの縦糸ビームは、交差対が非対称な縦糸の境界を有する場合、必要とされる。
【0020】
本発明による他の実施例としては、抄紙機の形成部に使用され得る布であって、機械を横切る方向(CD)のヤーンの2つの層を有するものである。CDヤーンと織り交ぜられるのは、MDヤーンのシステムである。少なくともいくつかのMDヤーンは、第1MDヤーン及び第2MDヤーンを有する交差対と、第3MDヤーン及び第4MDヤーンを有する第2対とを有する交互の対にグループ化される。第1MDヤーン及び第2MDヤーンは、組み合わせて、第1層における2つよりも大きいシェッドパターン(shed pattern)を織成し、且つ第1層と第2層との間を交差する。各対における左の縦糸ヤーン及び右の縦糸ヤーンは、隣り合う対からの隣り合う(like−adjacent)ヤーンが隣り合う対からの隣り合わない(non−like adjacent)ヤーンに由来するMDセルの長さよりも小さなMDセルの長さを有するように、配列される。第3MDヤーンは、CDヤーンの第1層と織り交ぜられ、第4MDヤーンは、CDヤーンの第2層と織り交ぜられる。
【0021】
本発明による布は、無端の形態の形成部上に配置される。本発明による布のパターンは、縦糸の交差点の配置及び各交差対におけるヤーンの配置に由来する排出及び形態上のマーキングを最小限にする。このことは、隣り合う対からの隣り合うヤーンが隣り合う対からの隣り合わないヤーンからのMDセルの長さよりも大きい又は小さいMDセルの長さを有することにより、達成される。特に有用な場合において、交差点が繰り返すパターンのCD方向における長さがCD方向の織成パターンの繰り返しに分割可能となり、その結果2の倍数となり、且つ同じCD方向の線に沿った交差点におけるヤーンが反対方向に伸びる場合、そのパターンは、ルーム(loom)が「装飾的な(fancy)」描写(draw)にスレッド化される場合、パターンの繰り返しに関するフレームの数の半分のルーム上に、織成され得る。このことは、コストも少なく、複雑なルームも少なくすることができることから、製造者にとって有利である。
【0022】
本発明の他の態様によると、本発明による布は、第1層と第2層との間にCDヤーンの第3層をさらに有してもよい。この布は、縦糸が長いフロート(long floats)又は縦糸のランナー(runner)を摩耗に対する耐性を付与する摩耗側上に形成するように、織成されてもよい。この適用の目的に関し、長いフロートとは、縦糸が布の摩耗側の外部表面上を2つ以上のCDヤーンを横切ることを意味する。布のシュート比(shute ratio)は、例えば1:1又は2:1の範囲などのように、変化してもよい。第1層及び第2層におけるCDヤーン及びMDヤーンの径は、種々の範囲であってもよい。さらに、第1層及び第2層のCDヤーンは、垂直に積層された位置に存在しなくてもよい。また、交差対における各MDヤーンは、第1層と第2層との間を交差する場合、異なる数の連続するCDヤーンを横切ってもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
下述する図について頻繁に参照して、本発明について詳細に説明する。
【0024】
本発明をより完全に理解する目的で、以下の記載及び添付した図面について、説明する。
【0025】
図3に示すJohanssonの特許に教示の布で示される強固な交差パターンの対角線310に対抗するため、本発明は、交差点を拡散するように、交差対間第2MDヤーンの対を織成する。この第2対におけるヤーンの少なくとも1つは、形成側の織成パターンの一部となる。これらの追加のヤーンは、第2の縦糸システムとなり、得た布の構造は、3層となる。この交差対は、上部側及び下部側を共に結合する結合ヤーンを構築し、上部側の織成の一体化した一部である。必要な機械方向の引張強さを追加するため、第3の縦糸システムをこの第2の縦糸システムの下部に追加する。この第3の縦糸システムは、摩耗側を結合するか、下部側の織成の一体化した一部として機能するかする交差対を有する布の摩耗側を構築する。
【0026】
図1は、隣り合う対からの隣り合うヤーンが隣り合う対からの隣り合わないヤーンからのMDセルの長さよりも大きなMDセルの長さを有するように配列された各対における左の縦糸ヤーン及び右の縦糸ヤーンのサテン織りの交差配置における対の縦糸布の形成側(FD)の表面図の例を示す。図2は、本発明による対となった縦糸の布の形成側の平面図であって、隣り合う対からの隣り合うヤーンが最適条件にある隣り合う対からの隣り合わないヤーンからのMDセルの長さよりも小さい長さを有するように配列された各対における左の縦糸ヤーン及び右の縦糸ヤーンのサテン織りの交差配列を示す。本発明は3層の布に関するものであるので、この織成は、別の形成側と摩耗側の層を有する。摩耗側のパターンは、示していない。各層は、CDヤーン自体のセットからなる。このパターンは、CDヤーンの各セットの後、形成側及び摩耗側の層の両方において繰り返している。従って、図1及び2の図は、MD方向における1つの完全なパターンを示す。
【0027】
本発明では、交互の対にグループ化された4つのMDヤーンを使用する。図1及び2の各カラムは、MDヤーンの対に対応する。MD方向の縦糸の第1対における各ヤーンは、形成側又は摩耗側の層のみを織成する。従って、第1カラム100(図1及び2)は、第1対の形成縦糸を示し、ここで、縦糸のナックル(knuckle)は、”X”101で示す。縦糸の第2対は、形成側の層と摩耗側の層との間を織成する交差対である。従って、図1及び2における第2カラム110は、交差対における縦糸を有する。これらの図において、交差対の左のヤーンで形成された縦糸のナックルは、”X”111で示すが、単一の網掛けしたボックスで示す、クロスオーバー120として同様のカラムに位置する。また、交差対における右のヤーンで形成された縦糸のナックルは、Xで示すが、ナックル130の並びは、カラムの上下方向に垂直に伸びる網掛けのボックスで強調する。例えば、図1の第2カラムにおいて、右の縦糸は、形成側の5つのナックルを織成し、その後、摩耗側に交差する。一方、左の縦糸は、5つのナックルについて形成側に交差する前に、摩耗側と織成する。この位置において、左の縦糸と右の縦糸とが再度交差する。従って、図1及び2においてその他のカラム毎に示したように、交差対における各ヤーンは、他の層と交差する前に、ひとつの層における複数のCDヤーンを橋渡し(span)する。ボックス140は、右のヤーンが隣り合う対のその他のそれぞれと隣り合うパターンにおけるセルを強調する。ボックス150は、左のヤーンが隣り合う対のその他のそれぞれと隣り合うパターンにおけるセルを強調する。ボックス160は、ひとつの対からの左のヤーン及びこのひとつの対に隣り合う対の右のヤーンが互いに隣り合うパターンにおけるセルを強調する。隣り合う対(140及び150)からの隣り合うヤーンで生じるこれらのセルのMD方向の長さは、隣り合う対(160)からの隣り合わないヤーンから生じるセルの長さよりも大きい場合、このパターンは、紙シートの強固な対角面のマークに対応する広い対角面のバンドを有する。図1及び2における重なり合った対角線は、このパターンにおける交差対のそれぞれの左のヤーン及び右のヤーンの配置で形成された対角パターンを示す。図2における対角線は、図1の対角線よりも垂直に近く配向しており、従って、この対における左のヤーン及び右のヤーンの配置で生じる排出パターンを大幅に減少させている。このことは、図2において、隣り合う対(140及び150)からの隣り合うヤーンで生じたセルのMD方向の長さが、隣り合う対(160)からの隣り合わないヤーンで生じたセルの長さよりも大きいか小さいためである。図2は、交差並びに右のヤーン及び左のヤーンの好適な組み合わせを提供するものであって、本発明の好適な実施例である。
【0028】
図2は、同じCD方向の線に沿った交差におけるヤーンが反対側に伸びる交差配置を示す。円200及び四角210は、その交差の繰り返しにおける同じ交差点を強調する。しかしながら、その右のヤーン及び左のヤーンは、これらの交差において反対側に伸びる。円200で強調した交差における右のヤーンは、上方に伸びる一方で、四角210で強調した交差における右のヤーンは、下方に伸びる。
【0029】
図2のパターンは、40のMDヤーンの繰り返し(全ての回で上部上に20のヤーン)であり、直線的な描写で40のフレームのルーム(loom)上に織成されてもよく、「装飾的(fancy)な描写で20のフレームのルーム上に織成されてもよい。図1は、同じCD方向の線に沿った交差におけるヤーンが同じ方向に伸びる交差配置を示し、従って、この交差パターン及び織成パターンは、同じ繰り返しの長さを有する。また、これは、装飾的な描写でルーム上にフレームの半分の数で織成され得ない。図6は、本発明による3層の布を織成するように3つの縦糸を有する「装飾的」な描写で設定された1つの特別なハーネスのルームについての概略図を示す。比較するため、図5は、直線的な描写で設定された同様のハーネスルームを示す概略図である。図5及び6において、機械方向は、縦方向であり、機械を横切る方向は、横方向である。各カラムは、MDヤーンであり、各ロー(row)は、ルーム上のフレームを示す。示した装飾的な描写のハーネス610及び直線的な描写のハーネス600は、図6において同じフレームに沿って示す。装飾的な描写は、同じCD方向の線に沿った交差におけるヤーンが異なる方向に伸びる布を織成する際、ルームのハーネスに必要な数を半分に減少させ、交差パターンの繰り返しの長さは、織成パターンの繰り返しパターンに分割され得る。また、その結果、2の倍数となる。本発明は、16及び20のハーネスのルームとその他の数のハーネスを有するルームとに適用可能である。事実、交差の分散と、各交差対における左の縦糸及び右の縦糸の配列には、40の縦糸の繰り返しが最適である。各ビームの織成パターンについては、後述する。本発明は、示したような3つのビームの実施例に好ましく実用化されるが、対となる縦糸のヤーンが非対称な境界を有する場合、3つ以上のビームにも実用化され得る。これらの交差対は、上部及び下部のMDヤーンの1つ以上で分割されてもよい。この図及びその他の図における抄紙機用布のヤーン間の空間は、明確に示すため、誇張されている。装飾的な描写は、フレームの数の半分を必要とするので、適用可能な製造者には有益である。
【0030】
図4は、Vohringerの特許に従った対となる縦糸の布についての形成側(FS)の平面図を示す。ここで、交差する縦糸の対は、3つの上部のMDヤーンで分割されている。この対における左のヤーンと右のヤーンの配列で形成されたCD方向のパターンに留意する。このことは、望ましくない。なぜなら、紙シートに導入することとなるCD方向の排出マーキングを生じるためである。この交差配列は、隣り合う対からの隣り合うヤーンが隣り合う対からの隣り合わないヤーンからのMD方向のセルの長さと同じであるように配列されている。この場合、同じCD方向の線に沿った交差におけるヤーンは、所望しない排出で生じるマークを最小限とするように、反対方向に伸びる必要がある。この布は、CD方向の線に沿った同じ交差400を強調する円で示したように、同じ方向に伸びる同じCD線に沿った交差におけるヤーンを有する。
【0031】
図7A及び7Bは、布の形成側の図を示しており、a)隣り合う対からの隣り合うヤーンが隣り合う対からの隣り合わないヤーンからのMD方向のセルの長さよりも大きいMD方向のセルの長さを有するように配列された対における左の縦糸ヤーン及び右の縦糸ヤーンのサテン織りの交差の配列で織成されたものを示すとともに、b)隣り合う対からの隣り合うヤーンが隣り合う対からの隣り合わないヤーンからのMD方向のセルの長さよりも小さいMD方向のセルの長さを有するように配列された対における左の縦糸ヤーン及び右の縦糸ヤーンのサテン織りの交差配列で織成されたものをそれぞれ示す。図7Aの写真は、上部側が平織りで下部側が一つの下部側のヤーンのそれぞれに2つの上部側のCDヤーンを有する5シェッド(shed)である20のMDヤーンの繰り返しで織成された布の形成側を示す。この布は、対となったMD方向のバインダーからなる全体の縦糸システムの50%を有する。円700は、1つのCD方向の線に沿った交差点を強調する。ボックス720は、MDヤーンの単一の対を強調する。縦糸の50%が、これらの対であることに留意する。これらの対は、1つの上部のMDヤーン、及び上部のMDヤーンの下部に積層された1つの下部のMDヤーンで分割される。
【0032】
図7Aのパターンにおいて、その交差点は、形成側の全体に一様に分布され、これにより、強固な形態上の対角面のマークを消失させる。強固な排出の対角面は、布の内部にいまや明らかである。この排出の対角面の問題は、図8Aにおいて明らかであって、この図は、図7Aの布を透過した光の写真を示す。強固な対角線の暗部と光の領域とに留意する。より暗い領域は、布の閉鎖領域に存在する一方、光の領域は、より大きな空きスペースに存在する。排出は、この暗い部分で妨害され、これにより、紙に所望しない排出マークを残存させる。
【0033】
この排出の問題は、対における左の縦糸ヤーン及び右の縦糸ヤーンの配列による。この対における左の縦糸ヤーン及び右の縦糸ヤーンは、隣り合う対からの隣り合うヤーンが隣り合う対からの隣り合わないヤーンからのMD方向のセルの長さよりも大きいMD方向のセルの長さを有するように配列される。この並びは、究極的に図8Aに示した排出マークをもたらす。この布は、同じ方向に伸びる同じCD方向の線に沿った交差における同様のヤーンを有する。図7Aに示すように、各円700は、1つのCD方向の線に沿った対の左のヤーン及び右のヤーンの交差点を強調する。この交差点において、全ての右のヤーンは、上方に伸び、全ての左のヤーンは、下方に伸びる。
【0034】
排出のマークの問題を消失させるため、交差点におけるヤーンの位置を配列する必要がある。本発明による布を、図7Bに示す。この布は、対における左の縦糸ヤーン及び右の縦糸ヤーンが、隣り合う対からの隣り合うヤーンが隣り合う対からの隣り合わないヤーンからのMD方向のセルの長さよりも小さいMD方向のセルの長さを有するように配列されている以外は、図7Aとほぼ同様である。この布は、反対方向に伸びる同様のCD方向の線に沿った交差における同様のヤーンを有する。この対は、交差700から上方に伸びる対における左のヤーンから、交差710において下方に伸びる対における左のヤーンへと至る。図8Bに示す透過した光の写真に示すように、強固な暗部の対角は、消失し、光及び暗部のスポットは、より一様に分布している。最適な形態上の特性に交差点が分布しているばかりでなく、対における左のヤーン及び右のヤーンが最適な排出特性をも生じている。
【0035】
図9A及び9Bは、本発明による対となった縦糸の3層の特定の例についての断面図を示す。図9Aは、下部の摩耗側の一体化部分として機能する対となった縦糸のヤーンが1:1のシュート比(shute ratio)を有するものを示す。図9Bは、下部側にバインダーとして機能する対となった縦糸のヤーンが2:1のシュート比を有するものを示す。図9Aにおいて、偶数の番号のCDヤーンは、形成側の層を形成し、奇数のCDヤーンは、摩耗側の層を形成する。
【0036】
交差する縦糸の対は、第1縦糸901及び第2縦糸902を有する。第2の縦糸の対は、形成側の縦糸903及び摩耗側の縦糸904を有する。形成側の縦糸903は、形成側の織成パターンに寄与する第2の縦糸のシステムを示し、交差を分離するように対となった一体のバインダー間に織成される。摩耗側の縦糸904は、第2の縦糸のシステムの下部に直接積層される第3の縦糸のシステムを示し、摩耗側の織成パターンに寄与する。交差する対となった縦糸ヤーンは、バインダーとして機能してもよく、布の摩耗側の一体化の一部であってもよい。従って、本発明の第1の実施例は、第1の縦糸のビームに由来する交差する縦糸の第1対を有する一方、縦糸の第2の対における各縦糸は、分離した縦糸のビームに由来する。この実施例は、全体のMD方向の縦糸のシステムの50%で構築されている。第2の縦糸のシステム及び第3の縦糸のシステムは、全体の縦糸のシステムの25%に寄与する。
【0037】
図9C、9D及び9Eは、対となった縦糸の3層の布の一例についての断面図を示しており、いくつかの摩耗側の縦糸は、摩耗耐性のため、長いフロート(long float)又は縦糸ランナー(warp runner)を形成するものである。特に、図9Cにおいて、交差する縦糸の対における各縦糸は、摩耗側で長いフロートを生じてもよい一方、図9Dにおいて、第3の縦糸のシステム、つまり摩耗側の縦糸904は、摩耗側上で長いフロートを形成する。このフロートを形成するのに、各縦糸の種々の組み合わせを使用してもよい。さらに、図9Eに示すように、交差する対の縦糸及び第3の縦糸のシステムの両方は、縦糸のランナーを形成してもよい。図9C、9D及び9Eに4以上のフロートの長さを有するものを示しているが、2以上の長さの他のフロートを利用してもよい。図9C及び9Dは、MD方向の縦糸の50%が縦糸ランナーであるパターンを示す一方で、図9Eでは、100%のMD方向の縦糸が縦糸ランナーとして機能するものを示す。本発明による縦糸ランナーは、摩耗側の摩耗耐性を提供するばかりでなく、この種の布を運行させる抄紙機上の荷重を軽減する機能を有する。
【0038】
図10A、10B及び10Cは、本発明による対となった縦糸の3層の布の一例についての摩耗側のパターンの図であって、摩耗側の縦糸は、長いフロート又は縦糸のランナーを形成するものである。特に、図10Aは、5シェッドの摩耗側の縦糸のランナーと2:1のシュート比を有する布用の摩耗側のシュート及び縦糸の図である。図10Bは、5シェッドの摩耗側の縦糸のランナーと1:1のシュート比を有する布用の摩耗側のシュート及び縦糸の図である。図10Cは、5シェッドの摩耗側の縦糸のランナーの布を示しており、CD方向の梱包ヤーン(packing yarn)を追加したものである。
【0039】
本発明の他の実施例を示したのが、図9Fである。この実施例において、布の形成表面は、平織り(2シェッド)のパターンに限定されない。例えば、図9Fは、5シェッドの形成表面を有する対となった縦糸の3層の布の特定の例についての断面図を示す。第1縦糸901及び第2縦糸902の交差対は、組み合わせて、形成表面において5シェッドのパターンを織成する。形成側の縦糸903もまた、5シェッドのパターンに織成される。この実施例と異なる態様は、図9Bに示す2シェッドのパターンと比較して、明らかである。
【0040】
図9Fがこの実施例用の縦糸の境界の一例を示す一方、図11A及び11Bは、それぞれ5シェッド及び10シェッドのシュートの境界を示す。これらの図11A及び11Bの両方の図において、形成側のCDヤーン1101は、5シェッドのパターンを有する一方、摩耗側のCDヤーン1102は、図11Aでは5シェッドのパターンで示され、図11Bでは、10シェッドのパターンで示されている。
【0041】
図12A及び12Bは、図9Fに示した実施例用の形成側の交差の配置の平面図をそれぞれ示す。図12Aは、直線的な描写を用いて織成された4シェッドのパターン、又は20のフレームのハーネスの形成側のものを示す。図12Bは、装飾的な描写を用いて織成され、又は40のフレームのハーネスで織成された同様のパターンであって、この実施例の理想を示すものである。より暗く網掛けされた領域は、交差対の右のヤーンの形成側の境界に対応する一方、より明るく網掛けされた領域は、縦糸のヤーンの交差(つまり、交差する対のヤーンは、1つの層から他の層に交差する)に対応する。円形の交差1205は、右のヤーンが形成層へと上方に交差する一方、左のヤーンが摩耗層へと下部に交差する交差の配向を示す。図12Aにおいて、ボックス状のセル1201は、隣り合う「右」のヤーンの領域を示す一方、ボックス状のセル1202は、隣り合う「左」のヤーンの領域を示す。逆に、図12Bでは、ボックス状のセル1203は、隣り合わないヤーンの領域を示す。図1に示すように、図12Aにおいて、隣り合う対からの隣り合うヤーンで生じたセルの長さは、隣り合う対からの隣り合わないヤーンで生じたセルよりも大きい。従って、図12Aに示すパターンは、紙シート上で強固な対角のマーキングをもたらす。図12Bにおいて、図2と同様であるが、隣り合う対からの隣り合うヤーンで生じたセルの長さは、隣り合う対からの隣り合わないヤーンで生じたセルの長さ以下である。従って、図12Bのパターンは、対角のマーキングを減少させ、結果として、シートをマーキングする特性が向上する。
【0042】
この例示のパターンにおいては、5シェッドのパターンを示しているが、この実施例は、このような態様に限定されず、種々の数のシェッドを有するパターンを含む。この実施例は、ティシュー型の紙の形成に使用するのに特に適する。
【0043】
本発明による他の態様としては、パターンが摩耗側のシュート比が1:1、2:1、3:2、又はその他の本技術分野において公知の比率のものであってもよい。形成側のシュートは、摩耗側のシュートに対して、積層されてもよいし、積層されなくてもよい。本発明による布は、3つの積層されたシュートを有してもよく、従って、第1層と第2層との間にCDヤーンの第3層を有するものであってもよい。また、交差対における各MDヤーンは、第1層と第2層との間を交差する場合、異なる数の連続するCDヤーンに対して通過してもよい。交差する縦糸は、サテン織りのモチーフで横断してもよく、或いは直線的な綾織り(twill)のモチーフを有してもよい。3層に積層されたシュートの布において、交差する縦糸は、表面から中心の層へと織成してもよく、或いは表面から表面へと織成してもよい一方で、摩耗側の縦糸は、摩耗側から中心層へと織成してもよく、或いは、摩耗側でのみ織成してもよい。これらの例は、本発明の代表例を単に示すものであって、本発明を限定することを意図するものではない。
【0044】
本発明による布は、モノフィラメントのヤーンのみを好ましく有する。特に、CDヤーンは、抗汚染性のポリエステルモノフィラメントであってもよい。斯かる抗汚染性は、標準的なポリエステルと比較してより変形し易いものであってもよく、結果として、より非変形性のヤーンと比較して、比較的低い透過性(例えば、100CFM)を有するように布をより簡便に織成し得る。CDヤーン及び/又はMDヤーンは、1つ以上の異なる径の円形の断面形状を有してもよい。また、形成側及び摩耗側におけるCDヤーン及びMDヤーンは、異なる径を有してもよい。形成側のCDヤーン及びMDヤーンは、摩耗側のCDヤーン及びMDヤーンよりも小さい径を好ましく有してもよい。しかしながら、本発明において、ヤーンの径は、異なる種々の組み合わせで使用されてもよい。さらに、いくつか又は全てのCDヤーン及び/又はMDヤーンは、方形の断面形状及び/又は非円形の断面形状などのその他の1つ以上の断面形状を有してもよい。
【0045】
CDヤーンは、抄紙機の布用の斯かるヤーンの製造に使用される種々の合成ポリマー樹脂の円形断面を有するモノフィラメントヤーンであってもよい。ポリエステル及びポリアミドは、斯かる材料の2つの例である。斯かる材料の他の例としては、名称RYTON(登録商標)で市販されているポリフェニレンサルファイド(PPS)があり、特許文献4に開示され、THERMONETICS(登録商標)でAlbany International Corp.から市販されている種々の、改変された熱耐性、加水分解耐性及び汚染耐性を有するポリエステルがある。なお、特許文献4の開示の内容を参照して、本願に取り込む。さらに、斯かる材料として、ポリ(シクロヘキサンジメチレン テレフタレート−イソフタレート)(PCTA)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)及びその他のものを使用してもよい。
【0046】
上述の事項の改変は、当業者に明らかであって、このように改変することは、本発明の範囲を超えるものではない。添付した特許請求の範囲は、斯かる状況を包含するように解釈されるべきものである。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】隣り合う対からの隣り合うヤーンが隣り合う対からの隣り合わないヤーンからのMDセルの長さよりも大きなMDセルの長さを有するように配列された、対における左の縦糸ヤーン及び右の縦糸ヤーンを有するサテン織りの交差配置についての形成側の平面図を示す。
【図2】隣り合う対からの隣り合うヤーンが隣り合う対からの隣り合わないヤーンからのMDセルの長さよりも小さなMDセルの長さを有するように配列された、対における左の縦糸ヤーン及び右の縦糸ヤーンを有するサテン織りの交差配置についての形成側の平面図を示す。
【図3】Johanssonの特許の教示に従って織成した布の形成側の図である。
【図4】Vohringerの特許の教示に従った交差配置についての形成側の平面図を示す。
【図5】直線的な描写で設定したハーネスルーム(harness loom)の1つの特定の例を示す概略図である。
【図6】装飾的な描写で設定したハーネスルームの1つの特定の例を示す概略図である。
【図7A】隣り合う対からの隣り合うヤーンが隣り合わないヤーンからのMDセルの長さよりも大きいMDセルの長さを有するように配置された対における左の縦糸ヤーン及び右の縦糸ヤーンのサテン織りの交差配置で織成された布の形成側の図を示す。
【図7B】隣り合う対からの隣り合うヤーンが隣り合う対からの隣り合わないヤーンからのMDセルの長さよりも小さいMDセルの長さを有するように配置された対における左の縦糸ヤーン及び右の縦糸ヤーンのサテン織りの交差配置で織成された布の形成側の図を示す。
【図8A】図7Aで示す布を通過した光を示す。
【図8B】図7Bで示す布を通過した光である。
【図9A】本発明による対となった縦糸の3層の布において、1:1のシュート比を有する特定の例についての断面図を示す。
【図9B】本発明による対となった縦糸の3層の布において、2:1のシュート比を有する特定の例についての断面図を示す。
【図9C】本発明による布の摩耗側上において、縦糸が長いフロート又は縦糸ランナーを形成した対となった縦糸の3層の布の例についての断面図を示す。
【図9D】本発明による布の摩耗側上において、縦糸が長いフロート又は縦糸ランナーを形成した対となった縦糸の3層の布の例についての断面図を示す。
【図9E】本発明による布の摩耗側上において、縦糸が長いフロート又は縦糸ランナーを形成した対となった縦糸の3層の布の例についての断面図を示す。
【図9F】本発明の一実施例に従った5シェッドの形成表面を有する対となった縦糸の3層布の特定の例についての断面図を示す。
【図10A】本発明による布の摩耗側上において、縦糸ヤーンが長いフロート又は縦糸ランナーを形成した、対となった縦糸の2層布の摩耗側のパターンを示す図である。
【図10B】本発明による布の摩耗側上において、縦糸ヤーンが長いフロート又は縦糸ランナーを形成した、対となった縦糸の2層布の摩耗側のパターンを示す図である。
【図10C】本発明による布の摩耗側上において、縦糸ヤーンが長いフロート又は縦糸ランナーを形成した、対となった縦糸の2層布の摩耗側のパターンを示す図である。
【図11A】図9Fに示した例についての5シェッドのシュート境界を示す。
【図11B】図9Fに示した例についての10シェッドのシュート境界を示す。
【図12A】図9Fに示した例についての直線的描写を用いた交差配置の形成側の平面図を示す。
【図12B】図9Fに示した例についての装飾的描写を用いた交差配置の形成側の平面図である。
【符号の説明】
【0048】
100 第1カラム
101 X
110 第2カラム
111 X
120 クロスオーバー
130 ナックル
140 ボックス
150 ボックス
160 ボックス
200 円
210 四角
300 交差点
310 対角線
400 交差
600 ハーネス
610 ハーネス
700 円
710 交差
720 ボックス
901 第1縦糸
902 第2縦糸
903 形成側の縦糸
904 摩耗側の縦糸
1101 形成側のCDヤーン
1102 摩耗側のCDヤーン
1201 ボックス状のセル
1202 ボックス状のセル
1203 ボックス状のセル
1205 交差

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械を横切る方向(CD)のヤーンの第1層及び第2層と;
機械方向(MD)のヤーンのシステムであって、少なくともいくつかのMDヤーンは、第1MDヤーン及び第2MDヤーンを有する交差対と、第3MDヤーン及び第4MDヤーンを有する第2対とを有する対にグループ化された、システムと;
を有する抄紙機用布であって、
前記交差対は、前記第1MDヤーン及び第2MDヤーンが、前記第1層の各CDヤーンを織成し且つ第1層と第2層とを交差するように組み合わせるように、前記のCDヤーンの第1層及び第2層と織り交ぜられ;
前記の対の前記のヤーンは、隣り合う対からの隣り合うヤーンが、隣り合う対からの隣り合わないヤーンからのMD方向のセルの長さよりも小さいMD方向のセルの長さを有するように配列され;且つ
前記第3MDヤーンは、前記のCDヤーンの第1層と織り交ぜられ、前記第4MDヤーンは、前記のCDヤーンの第2層と織り交ぜられていることを特徴とする抄紙機用布。
【請求項2】
当該布は、3層の形成布であることを特徴とする請求項1に記載の抄紙機用布。
【請求項3】
前記のCDヤーンの第1層は、当該布の形成側を形成し、
前記のCDヤーンの第2層は、当該布の摩耗側を形成することを特徴とする請求項1に記載の抄紙機用布。
【請求項4】
前記交差対は、サテン織りモチーフに配列されていることを特徴とする請求項1に記載の抄紙機用布。
【請求項5】
前記交差対は、綾織りモチーフに配列されていることを特徴とする請求項1に記載の抄紙機用布。
【請求項6】
前記第1層と前記第2層との間にCDヤーンの第3層をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の抄紙機用布。
【請求項7】
当該布は、1:1のシュート比を有することを特徴とする請求項1に記載の抄紙機用布。
【請求項8】
当該布は、2:1のシュート比を有することを特徴とする請求項1に記載の抄紙機用布。
【請求項9】
当該布は、20のハーネスの配置に製造されることを特徴とする請求項1に記載の抄紙機用布。
【請求項10】
当該布は、40のハーネスの配置に製造されることを特徴とする請求項1に記載の抄紙機用布。
【請求項11】
少なくともいくつかの前記MDヤーンは、ポリアミドヤーン、ポリエステルヤーン、ポリフェニレンサルファイドヤーン、改変された熱耐性、加水分解耐性及び汚染耐性のポリエステルヤーン、ポリ(シクロヘキサンジメチレン テレフタレートイソフタレート)ヤーン並びにポリエーテルエーテルケトンヤーンのいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の抄紙機用布。
【請求項12】
少なくともいくつかの前記MDヤーンは、ポリアミドヤーン、ポリエステルヤーン、ポリフェニレンサルファイドヤーン、改変された熱耐性、加水分解耐性及び汚染耐性のポリエステルヤーン、ポリ(シクロヘキサンジメチレン テレフタレートイソフタレート)ヤーン並びにポリエーテルエーテルケトンヤーンのいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の抄紙機用布。
【請求項13】
当該布は、平織り、又は無端の形態であることを特徴とする請求項1に記載の抄紙機用布。
【請求項14】
前記第1層及び前記第2層の少なくともいくつかのCDヤーンは、垂直に相対した積層位置に存在することを特徴とする請求項1に記載の抄紙機用布。
【請求項15】
前記交差対の各MDヤーンは、前記第1層と前記第2層との間を交差する場合、少なくとも1つのCDヤーン上を通過することを特徴とする請求項1に記載の抄紙機用布。
【請求項16】
3つの縦糸のビームを使用することを特徴とする請求項1に記載の抄紙機用布。
【請求項17】
3つ以上の縦糸のビームを使用することを特徴とする請求項1に記載の抄紙機用布。
【請求項18】
当該布は、同じCD方向の線に沿った交差におけるヤーンが異なる方向に伸び、且つ交差パターンが織成パターンの繰り返しの2の倍数である場合、装飾的な描写でスレッド化されたルーム上に織成されることを特徴とする請求項1に記載の抄紙機用布。
【請求項19】
前記交差対は、摩耗側の織成の一体化部分であることを特徴とする請求項3に記載の抄紙機用布。
【請求項20】
前記交差対は、摩耗側の織成においてバインダーとして機能することを特徴とする請求項3に記載の抄紙機用布。
【請求項21】
前記交差対は、前記第1層において少なくとも1つのMDヤーンで分割されていることを特徴とする請求項1に記載の抄紙機用布。
【請求項22】
当該布は、形成側と摩耗側とを有し;
前記MDヤーンのいくつかは、当該布の摩耗側上で長いフロートを形成することを特徴とする請求項1に記載の抄紙機用布。
【請求項23】
前記のヤーンのいくつかは、異なる径を有することを特徴とする請求項1に記載の抄紙機用布。
【請求項24】
前記MDヤーンの少なくともいくつかは、非円形の断面を有することを特徴とする請求項1に記載の抄紙機用布。
【請求項25】
前記CDヤーンの少なくともいくつかは、非円形の断面を有することを特徴とする請求項1に記載の抄紙機用布。
【請求項26】
機械を横切る方向(CD)のヤーンの第1層及び第2層と;
機械方向(MD)のヤーンのシステムであって、前記MDヤーンの少なくともいくつかは、第1MDヤーン及び第2MDヤーンを有する交差対と、第3MDヤーン及び第4MDヤーンを有する第2対とを有する対にグループ化され;
前記交差対は、前記第1MDヤーン及び前記第2MDヤーンが、前記第1層における各CDヤーンを織成するように且つ前記第1層と前記第2層との間の交差するように組み合わせるように、前記のCDヤーンの第1層及び第2層と織り交ぜられ;
前記の対の前記のヤーンは、隣り合う対からの隣り合うヤーンが、隣り合う対からの隣り合わないヤーンからのMD方向のセルの長さよりも大きい長さのMD方向のセルの長さを有するように配列され;且つ
前記第3MDヤーンは、前記のCDヤーンの第1層と織り交ぜられ、前記第4MDヤーンは、前記のCDヤーンの第2層と織り交ぜられていることを特徴とする抄紙機用布。
【請求項27】
当該布は、3層の形成布であることを特徴とする請求項26に記載の抄紙機用布。
【請求項28】
前記のCDヤーンの第1層は、当該布の形成側を形成し、
前記のCDヤーンの第2層は、当該布の摩耗側を形成することを特徴とする請求項26に記載の抄紙機用布。
【請求項29】
前記交差対は、サテン織りモチーフに配列されていることを特徴とする請求項26に記載の抄紙機用布。
【請求項30】
前記交差対は、綾織りモチーフに配列されていることを特徴とする請求項26に記載の抄紙機用布。
【請求項31】
前記第1層と前記第2層との間にCDヤーンの第3層をさらに有することを特徴とする請求項26に記載の抄紙機用布。
【請求項32】
当該布は、1:1のシュート比を有することを特徴とする請求項26に記載の抄紙機用布。
【請求項33】
当該布は、2:1のシュート比を有することを特徴とする請求項26に記載の抄紙機用布。
【請求項34】
当該布は、20のハーネスの配置に製造されることを特徴とする請求項26に記載の抄紙機用布。
【請求項35】
当該布は、40のハーネスの配置に製造されることを特徴とする請求項26に記載の抄紙機用布。
【請求項36】
少なくともいくつかの前記MDヤーンは、ポリアミドヤーン、ポリエステルヤーン、ポリフェニレンサルファイドヤーン、改変された熱耐性、加水分解耐性及び汚染耐性のポリエステルヤーン、ポリ(シクロヘキサンジメチレン テレフタレートイソフタレート)ヤーン並びにポリエーテルエーテルケトンヤーンのいずれかであることを特徴とする請求項26に記載の抄紙機用布。
【請求項37】
少なくともいくつかの前記MDヤーンは、ポリアミドヤーン、ポリエステルヤーン、ポリフェニレンサルファイドヤーン、改変された熱耐性、加水分解耐性及び汚染耐性のポリエステルヤーン、ポリ(シクロヘキサンジメチレン テレフタレートイソフタレート)ヤーン並びにポリエーテルエーテルケトンヤーンのいずれかであることを特徴とする請求項26に記載の抄紙機用布。
【請求項38】
当該布は、平織り、又は無端の形態であることを特徴とする請求項26に記載の抄紙機用布。
【請求項39】
前記第1層及び前記第2層の少なくともいくつかのCDヤーンは、垂直に相対した積層位置に存在することを特徴とする請求項26に記載の抄紙機用布。
【請求項40】
前記交差対の各MDヤーンは、前記第1層と前記第2層との間を交差する場合、少なくとも1つのCDヤーン上を通過することを特徴とする請求項26に記載の抄紙機用布。
【請求項41】
3つの縦糸のビームを使用することを特徴とする請求項26に記載の抄紙機用布。
【請求項42】
3つ以上の縦糸のビームを使用することを特徴とする請求項26に記載の抄紙機用布。
【請求項43】
当該布は、同じCD方向の線に沿った交差におけるヤーンが異なる方向に伸び、且つ交差パターンが織成パターンの繰り返しの2の倍数である場合、装飾的な描写でスレッド化されたルーム上に織成されることを特徴とする請求項26に記載の抄紙機用布。
【請求項44】
前記交差対は、摩耗側の織成の一体化部分であることを特徴とする請求項28に記載の抄紙機用布。
【請求項45】
前記交差対は、摩耗側の織成においてバインダーとして機能することを特徴とする請求項28に記載の抄紙機用布。
【請求項46】
前記交差対は、前記第1層において少なくとも1つのMDヤーンで分割されていることを特徴とする請求項26に記載の抄紙機用布。
【請求項47】
当該布は、形成側と摩耗側とを有し;
前記MDヤーンのいくつかは、当該布の摩耗側上で長いフロートを形成することを特徴とする請求項26に記載の抄紙機用布。
【請求項48】
前記のヤーンのいくつかは、異なる径を有することを特徴とする請求項26に記載の抄紙機用布。
【請求項49】
前記MDヤーンのいくつかは、非円形の断面を有することを特徴とする請求項26に記載の抄紙機用布。
【請求項50】
前記CDヤーンのいくつかは、非円形の断面を有することを特徴とする請求項26に記載の抄紙機用布。
【請求項51】
機械を横切る方向(CD)のヤーンの第1層及び第2層と;
機械方向(MD)のヤーンのシステムであって、少なくともいくつかのMDヤーンは、第1MDヤーン及び第2MDヤーンを有する交差対と、第3MDヤーン及び第4MDヤーンを有する第2対とを有する対にグループ化された、システムと;
を有する抄紙機用布であって、
前記交差対は、前記第1MDヤーン及び第2MDヤーンが、前記第1層において2よりも大きいシェッドのパターンで織成し且つ第1層と第2層とを交差するように組み合わせるように、前記のCDヤーンの第1層及び第2層と織り交ぜられ;
前記の対の前記のヤーンは、隣り合う対からの隣り合うヤーンが、隣り合う対からの隣り合わないヤーンからのMD方向のセルの長さよりも小さいMD方向のセルの長さを有するように配列され;且つ
前記第3MDヤーンは、前記のCDヤーンの第1層と織り交ぜられ、前記第4MDヤーンは、前記のCDヤーンの第2層と織り交ぜられていることを特徴とする抄紙機用布。
【請求項52】
前記第1層は、5シェッドのパターンで織成されることを特徴とする請求項51に記載の抄紙機用布。
【請求項53】
前記第2層は、5シェッドのパターンで織成されることを特徴とする請求項51に記載の抄紙機用布。
【請求項54】
前記第2層は、10シェッドのパターンで織成されることを特徴とする請求項51に記載の抄紙機用布。
【請求項55】
前記のヤーンのいくつかは、異なる径を有することを特徴とする請求項51に記載の抄紙機用布。
【請求項56】
前記MDヤーンのいくつかは、非円形の断面を有することを特徴とする請求項51に記載の抄紙機用布。
【請求項57】
前記CDヤーンのいくつかは、非円形の断面を有することを特徴とする請求項51に記載の抄紙機用布。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図3】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図9D】
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【図9E】
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【図9F】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12A】
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【図12B】
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【公表番号】特表2008−509294(P2008−509294A)
【公表日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−524991(P2007−524991)
【出願日】平成17年8月1日(2005.8.1)
【国際出願番号】PCT/US2005/027749
【国際公開番号】WO2006/015377
【国際公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【出願人】(591097414)アルバニー インターナショナル コーポレイション (110)
【氏名又は名称原語表記】ALBANY INTERNATIONAL CORPORATION
【Fターム(参考)】