有利なコーンデザインを持つカテーテルバルーン
【課題】 有利なコーンデザインを持つカテーテルバルーンを提供する。
【解決手段】 本発明のカテーテルバルーンは特に、一つのコーン容積(mm3 による)の、膨張された中央セクション横断面積(mm2 による)に対する比率が少なくとも約2.1mmである少なくとも一つのコーンセクションを有する。特定の用途において有利なコーンデザインは、中央セクションのどのような顕著な拡張より前の、コーンセクションの優先的な拡張を助ける。従って、本発明によって提供されたバルーンはまた、バルーンカテーテル又はプロテーゼ移送システムの構成要素として有利に用いられ得る。そのように用いられたとき、本発明のバルーンは、膨張又は移送のそれぞれの間の、バルーン及び/又はプロテーゼのどのような偏移も低減するために役立ち得る。拡張手法においてバルーンカテーテルを用いる方法並びに、プロテーゼを移送するためのプロテーゼ移送システムもまた提供される。
【解決手段】 本発明のカテーテルバルーンは特に、一つのコーン容積(mm3 による)の、膨張された中央セクション横断面積(mm2 による)に対する比率が少なくとも約2.1mmである少なくとも一つのコーンセクションを有する。特定の用途において有利なコーンデザインは、中央セクションのどのような顕著な拡張より前の、コーンセクションの優先的な拡張を助ける。従って、本発明によって提供されたバルーンはまた、バルーンカテーテル又はプロテーゼ移送システムの構成要素として有利に用いられ得る。そのように用いられたとき、本発明のバルーンは、膨張又は移送のそれぞれの間の、バルーン及び/又はプロテーゼのどのような偏移も低減するために役立ち得る。拡張手法においてバルーンカテーテルを用いる方法並びに、プロテーゼを移送するためのプロテーゼ移送システムもまた提供される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的に、医学分野における拡張及びステント移送手法において有用なカテーテルバルーンに関するものである。より特別には、本発明は、コーンセクションが、使用目的に応じて、カテーテルバルーンの中央セクションに対して優先的に拡張する能力を持つコーンセクションを提供し得るデザインを有する、カテーテルバルーンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
管腔形成術は、閉塞された管腔内経路が再開又は拡張されるところの、広範に用いられる治療処置である。典型的な手法において、バルーンのような膨張可能な部材を含むカテーテルが、動脈、静脈、気道等のような患者の管腔経路内に経皮的に挿入される。一旦挿入されると、バルーンは、望まれる処置部位に押し進められ、そこでバルーンは、管腔経路を拡張するために膨張され得る。特定の用途において、管腔経路内に、ステントのような血管プロテーゼを配置するために、バルーンカテーテルが使用され得、その後、管腔経路の開通性を維持するために、プロテーゼが作動することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
血管形成術及びステント処置は広範に用いられ且つ大きな成功を納めた手法であるが、それらに対する改良がいまだに行われ得る。例えば、拡張手法において、膨張可能な部材の位置を良好に制御するため、膨張可能な部材を制御可能に膨張させ、そして時には優先的に膨張させることが望ましい。血管内プロテーゼが移送されるべきところの手法において、補綴機器の移送における堅牢性を向上させることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は一般的に、利点のあるデザインを有するコーンセクションを包含するカテーテルバルーンに関するものである。特に、コーンセクションは、バルーンのより制御された膨張を提供し得る一つのコーンセクションの容積の、完全に膨張された中央セクションの横断面積に対する一定の比率を有する。バルーンを含むカテーテルからのプロテーゼの移送のような特定用途において、前記コーン構造は、バルーンの中央セクションより前の前記コーンの優先的拡張を助け得る。このような優先的拡張は更に、移植機器の位置を制御するために機能し得る。望ましくはサック又はスリーブが用いられるこのようなプロテーゼ移送システムにおいて、本発明バルーンの使用は、特に利点が有り得る。特に、中央セクションより前の本発明バルーンのコーンセクションの優先的拡張は、このようなサック又はスリーブからのステントの解放を助け得る。
【0005】
第一の観点において、本発明は、カテーテルバルーン及び、本発明のカテーテルバルーンの形成方法を提供する。前記カテーテルバルーンは一般的に、バルーンの中央セクションに対して近位及び遠位の、拡張可能なコーンセクションを有する。バルーンが完全に膨張されたとき、中央セクションは横断面積を有し、そしてそれぞれのコーンセクションは容積を有し、その結果、前記コーンセクションの何れかのmm3 による容積の、前記中央セクションのmm2 による横断面積に対する比率は、少なくとも2.1mmである。この比率及び、この比率を計算するために用いられた測定結果は、ミリメーターで表わされるけれども、前記測定結果又は得られた比率が、適切な換算係数を適用することによりミリメーター単位に換算される限り、前記測定結果は如何なる単位でも取られ得、比率が計算される。
【0006】
前述の利点のある比率を提供するために充分な容積を持つコーンセクションを提供する一つの方法は、多数のセクションを有する階段状構造であって、該構造において、セクションの少なくとも一つが、中央セクションに対して180度を越える内角を規定する構造を持つコーンセクションを提供することであることが今や発見された。従って、別の観点において、本発明は、バルーンの中央セクションに対して近位及び遠位のコーンセクションを有するカテーテルバルーンを提供する。前記コーンセクションの少なくとも一つは、多数のセクションであって、それらセクションの少なくとも一つが中央セクションに対して約180度を越える内角を規定する、多数のセクションを含む階段状構造を有する。
【0007】
別の観点において、本発明はバルーンカテーテル及びその製造方法を提供する。前記バルーンカテーテルは一般的に、カテーテルシャフトの遠位セクションに膨張可能なカテーテルバルーンを持つ細長いシャフトを有するカテーテルを含む。前記カテーテルバルーンは一般的に、該バルーンの中央セクションに対し近位及び遠位のコーンセクションを有する。バルーンが充分に膨張されたとき、中央セクションはmm2 による横断面積を有し、そしてそれぞれのコーンセクションはmm3 による容積を有し、その結果、前記コーンセクションの何れかの容積の、前記中央セクションの横断面積に対する比率は、少なくとも約2.1mmである。
【0008】
本発明の別の観点は、ステント移送システムを提供することであり、該ステント移送システムは一般的にバルーンカテーテルを含み、該バルーンカテーテルは、カテーテルシャフトの遠位セクションに膨張可能なバルーンを持つ細長いシャフトを有する。前記カテーテルバルーンは一般的に、バルーンの中央セクションの近位及び遠位に、拡張可能なコーンセクションを有する。バルーンが充分に膨張されたとき、中央セクションはmm2 による横断面積を有し、そしてそれぞれのコーンセクションはmm3 による容積を有し、その結果、前記コーンセクションの何れかの容積の、前記中央セクションの横断面積に対する比率は、少なくとも約2.1mmである。
拡張可能なステントは、カテーテルバルーンの中央セクションの少なくとも一部分の周囲に、操作可能に配置される。
【0009】
有利には、本発明のカテーテルバルーンは、スリーブ又はサックを含むステント移送システムにおいて、このようなスリーブ又はサックの後退の際に役立ち得る。従って、前記ステント移送システムは、所望により、このようなスリーブ又はサック少なくとも一つを更に含み得る。カテーテルバルーンに対して遠位の遠位シャフトセクションに固定された第一端及び、ステントとスリーブとの間の余白部を規定する第二端を有し、スリーブは、前記カテーテルバルーンが実質的に膨張されないとき、ステントと中央セクションとの間の余白部にオーバーレイ(overlie)している、スリーブが提供され得る。
【0010】
本発明のカテーテルバルーンは、管腔形成カテーテル又はステント移送システムの構成要素として用いられるとき、その向上した性能を提供する。例えば、ステント移送システムと組み合わせて使用されるとき、本発明のコーンデザインは、コーンセクションの優先的な拡張を助け得る。この優先的な拡張は、該拡張がなければ生じ得る、移送中のステントの如何なる偏移も低減し得る。結果として、本発明は更に、体管腔の拡張方法、又は、ステントの移送方法を提供する。前記方法は、本発明の特徴を具現するバルーンカテーテル又はステント移送システムを用意し、バルーンカテーテル又はステント移送システムを、場合に応じて、体管腔内に挿入し、そして、中央セクションが体管腔を拡張するために及び/又はステントを移送するために拡張するようにバルーンを膨張させる、各段階を含む。
【0011】
本発明のこれらの及びその他の利点は、本発明の下記の詳細な説明及び添付された例示図面から、より明らかになるであろう。
【0012】
本明細書に取り込まれ且つ本明細書の一部を構成する添付図面は、本発明の複数の観点を説明し、そして、詳細な実施例の記載と一緒になって、本発明の原理を説明するために役立つ。図面の簡単な説明は下記の通りである。
図1は、本発明の特徴を具現するカテーテルバルーンの長手方向の断面図であり、
図2は、本発明の特徴を具現する別のカテーテルバルーンの概略斜視図であり、
図2Aは、図2での、バルーンの1−1線と2−2線との間として提供され、且つA−A線にて断面が取られた、図2のカテーテルバルーンの長手方向の部分断面図であり、
図3は、バルーンが膨張されていない状態の、本発明の特徴を具現するバルーンカテーテルの、部分的に破断された拡大図であり、
図4は、部分的に膨張されたバルーンを表わす、図3に示されるバルーンカテーテルの断面図であり、
図5は、完全に膨張されたバルーンを表わす、図3に示されるバルーンカテーテルの断面図であり、
図6は、バルーンが膨張されていない状態の、本発明の特徴を具現するバルーンを用いる、ステント移送システムの断面図であり、
図7は、部分的に膨張されたバルーンを表わす、図6に示されるステント移送システムの断面図であり、
図8は、膨張されたバルーン及びステントを表わす、図6に示されるステント移送システムの断面図であり、
図9は、バルーンが膨張されていない状態にあり、且つステント移送システムがスリーブを含む、本発明の特徴を具現する、バルーンを用いる他のステント移送システムの断面図であり、
図10は、部分的に膨張されたバルーンを表わす、図9に示されるステント移送システムの断面図であり、そして
図11は、膨張されたバルーン及びステントを表わす、図9に示されるステント移送システムの断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に記載された本発明の実施態様は、全てを網羅することを、又は、下記の詳細な説明において開示された特別な実施態様に本発明を限定することを意図していない。むしろ、実施態様は、当業者が本発明の原理及び実施について理解することができるように記載されている。
【0014】
本発明は、有利なデザインを有するコーンセクションを含むカテーテルにおける使用のために適するバルーンを提供する。特に、本発明のカテーテルバルーンは、一つのコーンの容積(mm3 による)の、完全に膨張された中央セクションの横断面積(mm2 による)に対する比率が少なくとも約2.1mmであるような容積を有するコーンセクションを有する。この比率及び、この比率を計算するために用いられる測定結果は、ミリメーターで表わされるけれども、前記測定結果には如何なる単位でも取られ得、前記測定結果又は得られる比率が、適切な換算係数を適用することによりミリメーター単位に換算される限り、比率が計算される。
【0015】
このようなコーンセクションを有するカテーテルバルーンはより制御可能に膨張され得、そして特定の用途において、バルーンの中央セクションのどのような程度の膨張より前の、前記コーンセクションの優先的拡張を提供し得ることが今や発見された。このようなコーンデザインを有するバルーンは、バルーンカテーテル又はプロセーゼ移送システムにおいて用いられ得、この場合、前記能力は、該能力がなければ生じ得る、拡張及び移送の間のプロセーゼの如何なる偏移も低減するために機能し得る。
【0016】
本発明の特徴を具現するカテーテルバルーンの一例が図1に示されている。とりわけ、図1は、側断面図として、拡張された膨張可能なバルーン10を示している。膨張可能なバルーン10は、少なくとも三つの領域を有するものとして、本発明のデザイン特徴を説明するために記載されている。
【0017】
第一領域は、バルーン10の真ん中のセクション、又は、中央セクション12であり、そして、図1中、‘B’により示されている。膨張されたとき、中央セクション12は一般的に、血管壁のような患者の管腔経路、或いはステントの内径に平行し、且つ嵌合している。中央セクション12は膨張可能なバルーン10の長さの大部分を含み得、そして典型的には、バルーン10が完全に膨張されたとき、前記三つの領域のうち最大の直径を有する。
【0018】
バルーン10の第二領域は、バルーン10の第一端及び第二端上のウエスト16からなる。ウエスト16は、カテーテルシャフト1本又はそれより多く(図示されず)にバルーン10を接着するために使用されている。ウエスト16は、図1中、‘C’により示されている。
【0019】
図1中、‘A’により示されている第三領域は、中央セクション12とウエスト16との間に設けられた、バルーン10のコーンセクション14からなる。図1に示されるように、膨張可能なバルーン10は、単一の中央セクション12、近位及び遠位コーンセクション14並びに、近位及び遠位ウエスト16を包含する。しかしながら、他の構造も可能であり、そして本発明の範囲に含まれる。例えば、他の機能を実行するために、記載されたセクション12、14及び16の間に、他の領域が設けられ得る。
【0020】
コーンセクション14は、3−3線及び4−4線により規定される第一セクション20、2−2線及び3−3線により規定される第二セクション22、及び1−1線及び2−2線により規定される第三セクション24を包含する。第一セクション20は中央セクション12に近位であり、そして、中央セクション12に対して、第一角度αを形成する。第一角度αは、望ましくは、約90度と約180度との間にある。第二セクション22は第一セクション20に近位であり、そして示されるように、中央セクション20に対して、角度βを形成する。角度βは、望ましくは、約180度と約360度との間、典型的には約180度と約270度との間にある。第三セクション24は第二セクション22に近位であり、そして、第二セクション22に対して角度δを形成し、該角度δは、望ましくは、約30度と約180度との間にある。
【0021】
一つのコーンセクション14の容積の、完全に膨張された中央セクション12の横断面積に対する予め選択された比率を設けることにより、予め選択された比率を有しないバルーンよりもより制御可能な膨張を提供し得るカテーテルバルーン10が製造され得る。より特別には、一つのコーンセクション14の容積(mm3 による)の、完全に膨張された中央セクション12の横断面積(mm2 による)に対する比率が、少なくとも約2.1mm、好ましくは少なくとも約2.25mm、より好ましくは少なくとも約2.5mmのとき、本発明の利点が見出され得ることが今や発見された。勿論、上述の如く、容積及び横断面積の測定結果は、該測定結果又は計算された比率の両方又は何れかの単位が、適切な換算係数を適用することにより数学的にミリメーター単位に換算される限り、如何なる単位においても取られ且つ同様の比率が計算され得る。
【0022】
一般的に、より大きな比率はコーンセクション14のより制御可能な膨張を示唆するので、この比率に対する最大値は存在しないと信じられている。前記比率は、例えば、3.0mm、3.5mm、4.0mm、4.5mm、5.0mm等であり得る。しかしながら、説明の目的においてのみ、コーンセクション14の容積(mm3 による)の、完全に膨
張された中央セクション12の横断面積(mm2 による)に対する比率が、約2.1mmないし約4.0mm、より好ましくは約2.1mmないし約2.5mmのとき、本発明の相関関係は特に利点があると信じられている。
【0023】
中央セクション12の両側のコーンセクション14の容積及び/又は形状は、少なくとも一つのコーンセクションの容積を用いて特定の比率が達成され得る限り、同一である必要はない。即ち、図1に示されたバルーン10の実施態様は対称的であり、そして中央セクション12は前記バルーンの中央に位置しているけれども、特別な用途及び生体構造のために、別のバルーンデザインが使用され得る。加えて、一つのコーンセクション14の容積の、中央セクション12の横断面積に対する利点のある比率が提供される限り、どのような寸法のカテーテルバルーンに対しても、本発明の思想が適用され得る。
【0024】
最後に、コーンセクション14の形状又は構造は決定的なものではなく、そして階段状のコーン構造が図1に示されているけれども、コーンセクション14はこの構造を示す必要はない。むしろ、コーンセクション14は、一つのコーンセクション14の容積(mm3 による)の、完全に膨張された中央セクション12の横断面積(mm2 による)に対する比率が、少なくとも約2.1mmである限り、階段状、先細り状又は何らかの他の適する形状であり得る。
【0025】
この観点において、本発明の特徴を具現する更なる適するバルーン構造が図2及び図2Aに示されている。特に図2は、バルーンが、ウエスト16及び中央セクション12に加えて、‘突出した’コーンセクション14を包含するバルーンカテーテルを示す。特に、ウエスト16は、図2A中の‘C’により示されている。コーンセクション14は、図2A中の‘A’により示されており、そして、中央セクション12とウエスト16との間に設けられている。
【0026】
コーン容積及び断面積は、公知の数式に基づいて、コーン及びバルーン全ての構造に対して容易に計算され得、そして、中央セクション12又は、中央セクション12とコーンセクション14の一方若しくは両方が完全に膨張されたとき、バルーン10に基づいて計算される。本明細書中で使用され且つ議論されるとき、全ての測定結果及び計算は、ミリメーター単位により表わされ、そして行われた。例えば、コーンセクション14が先細り形状のとき、コーンセクションのコーン容積は、規定された幾何学的3D形状の容積の累積に基づいて計算される。一般的に、先細り形状のコーンセクション14は、式V=(1/3)πr2 hを適用することにより容積が計算され得るところの、正環状コーン構造を持つコーンセクションを提供する。図1に示されるように、コーンセクションが階段状であるとき、コーン容積は、介在角度により規定される二つの領域に適用されるところの、上記と同じ式を使用することにより計算される。即ち、1−1線と2−2線により、2−2線と3−3線により、そして3−3線と4−4線により規定されるコーンセクションのコーン容積が計算され、そして、バルーン10の一つのコーンセクション14の容積を得るために、加算される。コーンセクション14の容積は、コーンセクション14を水で満たし、次いでその水を秤量することにより、更に容易に決定され得る。
【0027】
中央セクション12の横断面積は、完全に膨張されたときの中央セクション12に基づいて計算され、そして、公知の数式A=πr2 を使用して計算され得る。
【0028】
更に、本発明に関して行われるとき、横断面積及びコーン容積は、一旦、バルーンが形成されたとき、コーンセクション14又は中央セクション12内に導入され得るどのような他の部材及び/又は物質に係わらず、上記のように計算される。即ち、図2に示されるように、カテーテルバルーン10がバルーンカテーテルに含まれて存在するとき、コーンセクション14の容積、又は、中央セクション12の横断面積は、一旦、バルーンカテー
テルが組み立てられたとき、例えば、内管部材及び外管部材(共に、図2に示されていない)により占有される容積及び断面積より計算された容積又は断面積を低減することなく、計算される。更に、バルーンの壁厚は無視し得るものと想定され、即ち、行われた断面積及び容積の計算は、それぞれのバルーンセクションの外径に基づいていた。
【0029】
本発明のカテーテルバルーンは、カテーテルバルーンを製造するための慣用の技術を包含するどのような好適な技術によっても、製造され得る。例えば、本発明の特徴を具現するカテーテルバルーンは、成形により形成され得る。図1に示されるバルーンを、又は、本発明の範囲内のどのような他のバルーンをも成形するため、押し出されたポリマー管が、高められた温度におけるバルーンの望ましい形状を一般的に有する成形型内で、半径方向に拡張され且つ軸方向に拡張され得る。得られたバルーンは、例えば、バルーンの収縮を低減するため、周知の如く、一回又はそれより多くの回数、熱処理され得る。バルーンを製造するための限定的でない例は、米国特許第4950239号明細書、同第4490421号明細書、同第5195969号明細書、同第5556383号明細書、同第6210364号明細書、同第5270086号明細書及び同第6168748号明細書に開示されている。
【0030】
カテーテルバルーン10は、カテーテルバルーンを形成するために典型的に使用されるどのような材料、又は、材料の組み合わせからも形成され得る。選択される特別な材料は、カテーテルバルーンの意図する用途に依存する。順応性材料が望まれる用途においては、低圧で、比較的柔軟な又は可撓性のあるポリマー状材料、例えば、熱可塑性ポリマー、熱可塑性エラストマー、ポリエチレン(高密度、低密度、中密度、直鎖状低密度)、ポリエチレンの種々のコポリマー及びブレンド、アイオノマー、ポリエステル、ポリウレタン及びポリウレタンコポリマー[例えば、ペレタン(登録商標)(Pellethane)のようなもの]、ポリカーボネート、ポリアミド[例えば、ナイロン(登録商標)(Nylon)12のようなもの]、ポリ塩化ビニル、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンコポリマー、ポリエーテル−ポリエステルコポリマー[例えば、ハイトレル(登録商標)(Hytrel)及びアーニテル(登録商標)(Arnitel)のようなもの]並びにポリエーテル−ポリアミドコポリマー[例えば、ペバックス(登録商標)(Pebax)のようなもの]が有用である。非順応性バルーン材料が望まれるとき、比較的剛性のある材料、例えば、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリイミド、熱可塑性ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリフェニレンスルフィド、ポリプロピレン及び硬質ポリウレタンが有用である。
【0031】
上述のように、カテーテルバルーン10は材料の組み合わせからなり得、そして共押出され得、単層化又は多層化され得る。カテーテルバルーン10は更に、望まれる場合には、どのような公知の好適なコーティングを用いても、コートされ得る。例えば、潤滑性のバルーン表面が望まれる場合において、このようなコーティングが望まれ得る。
【0032】
バルーン材料は更に、該材料の性質及び、特別な用途において望まれる特性に応じて、架橋されていてもよいし、又は、架橋されていなくてもよい。一般的に言えば、バルーン材料を架橋することは、最終的に膨張されたバルーン寸法全体にわたり、より大きな制御をもたらす。即ち、架橋、初期加圧、拡張及び予備収縮の後、そうして処理されたバルーンは、その後、付与された膨張圧に応じて、同一材料からなる架橋されていないバルーンに対してより制御された方法で、再現可能な直径に拡張され得る。望まれる場合には、例えば、熱処理及び/又は電子ビーム暴露のような何れかの慣用の方法により、架橋が行われ得る。
【0033】
一旦形成された後、図1に示されるバルーン壁18のどの部分の厚さも、望まれる場合には、変更され得る。バルーンの厚さを変更することは、例えば、望まれる小さい断面積
を達成するため、又は、種々のバルーン圧力水準を達成するため、カテーテルシャフトの周囲をバルーン10で覆うことを容易にするために、有用であり得る。望まれる結果を達成するため、材料が付加され、除去され、又はそれらが組み合わされ得る。典型的には、バルーン10の中央セクション12及び/又はコーンセクション14において、バルーン壁18の厚さを変更することが望ましい。バルーンのコーンセクションの厚さを変更する手段の例は、本件と同一出願人による米国特許第5733301号明細書に開示されており、従って、その全体は、本明細書において参照として取り込まれている。
【0034】
図3に、本発明の特徴及び利点を具現するバルーンカテーテルを示す。バルーンカテーテル300は一般的に、近位セクション302及び遠位セクション303を有する細長いカテーテルシャフト301、カテーテルシャフト301の遠位セクション303に配置された膨張可能なバルーン30、並びに、ガイドワイヤー311に沿って制御可能に摺動することを可能にするため及びシャフト301内への流体導入のため、シャフト301の近位セクション302に固定されたマニホールド304を包含する。放射線不透過性のマーカー314がカテーテルシャフト301上に、例えば、バルーン30の中央セクション32の近位端及び遠位端近傍の内管部材307上に、設けられ得る。図3において、バルーンカテーテル300は、患者の体管腔305内にあるバルーン30の膨張前の状態にて、即ち、患者の体内を進むために断面積の小さい、拡張されていない状態で、示されている。
【0035】
示された実施態様において、カテーテルシャフト301は外管部材306及び、外管部材306内に配置された、そして、外管部材306に沿って膨張管腔308を規定している管部材307を有する。膨張管腔308は、膨張可能なバルーン30の内部チャンバー309と流体接続している。内管部材307は、患者の体管腔305を通って進むために適するガイドワイヤー311を摺動可能に受けるためにそれを通って延びている内管腔310を有する。膨張可能なバルーン30の遠位端は、内管部材307の遠位端に封止されて固定されており、そして、バルーン30の近位端は、外管部材306の遠位端に封止されて固定されている。バルーン30は、例えば、膨張ポート312を通って注入されるか、又は、そうでなければ、膨張管腔308を通って供給される放射線不透過性のどのような液体によっても、或いは、カテーテルの特定のデザインに応じて、カテーテルシャフトの外側とバルーン30を形成している部材との間に形成された通路からのような他の手段により、膨張され得る。流体移送及びバルーン内への導入の詳細及び機構は、カテーテルの具体的なデザインにより変化し、そして、従来技術において周知である。
【0036】
バルーンカテーテルのための種々のデザインは従来技術において周知であり、そして、それら及び他の開発されたバルーンカテーテルの全てが、本発明のバルーンの特徴を取り込み得る。その例を少し挙げると、それらは、オーバー−ザ−ワイヤー(over−the−wire)カテーテル、シングルオペレーター又は急速交換カテーテル、及び固定ワイヤーカテーテルを包含する。更に、カテーテルシャフト301並びにその中に取り込まれた外管部材306及び内管部材307は、どのような慣用の拡張カテーテル又はステント移送カテーテル並びにその中に取り込まれた内管部材及び外管部材の寸法をも有し得る。慣用のカテーテルシャフトのシャフト直径は一般的に、例えば、約4フレンチ(French)ないし約15フレンチの範囲である。
【0037】
図4及び図5は、バルーンカテーテル300内に本発明のバルーン30を取り込み、その後、処置手法においてバルーンカテーテル300を用いることで見出され得る利点を示す。特に、図4は、体管腔305内に位置する病変38内に配置され、そして特に膨張された膨張可能なバルーン30を示す。図5は、体管腔305内の病変38を拡張するために完全に膨張された膨張可能なバルーン30を示す。
【0038】
特に図4を参照すると、バルーン30は、バルーン30の中央に位置する中央セクション32及び、中央セクション32の近位端及び遠位端に隣接するコーンセクション34を包含する。図示されるように、コーンセクション34は、結合ウエスト36に対して先細り又は湾曲しているが、しかし、どのような他の構造であってもよい。何らかの適する手段、例えば接着及び/又は溶融結合を使用して、中央セクション32に遠位のバルーン30のウエスト36は内管部材307に封止されて固定されており、他方、中央セクション32に近位のバルーン30のウエスト36は外管部材306に封止されて固定されている。
【0039】
さて図6ないし図8に注目すると、本発明の特徴を具現するステント移送システム600が示されている。示されたステント移送システムは、図2に関して上で議論したバルーンカテーテルと殆ど同じであり得、そして、同様の特徴及び特徴間の相関関係は、それらの記載が上記本文中に見出され得るので、更に議論しない。
【0040】
図6を特に参照すると、バルーン60は、ステント移送システム600を形成するためにその上に固定されたステント613を有する。ステント移送システム600は、患者の体内を進むために断面積の小さい、拡張されていない状態のバルーン60及びステント613を持つ、患者の体管腔605内にあるバルーン60の膨張の前の状態にて示されている。
【0041】
図7は、最初に低い圧力で部分的に膨張されたバルーン60を示す。バルーン60の部分的な膨張は、中央セクション62の又は中央セクション62に固定されたステント613の顕著な拡張を引き起こすことなく、コーンセクション64の膨張を引き起こす。そのように部分的に膨張されたとき、中央セクション62は、膨張されない、断面積の小さい構造で残り、他方、コーンセクション64は、中央セクション62及びステント613の外径よりも大きく膨張された外径に拡張した。
【0042】
図8に最もよく示されるように、膨張圧力が増加されるとき、中央セクション62は血管壁605に対して拡張し、それにより、その上に固定されたステント613を拡張する。この位置において、ステント613は充分に展開しており、そして、管腔605の開通性を維持することが可能である。有利には、そして、コーンセクション64の優先的な拡張に少なくとも一部が起因して、さもなければ生じ得る、管腔605内のステント613のどのような位置偏移も低減され得、その結果、より堅牢なステント移送が得られ得る。
【0043】
ステント613は、どのような公知方法によっても、例えば、ステント613を接触させることにより、バルーン60の周囲又は上を覆うか又は包むことにより、手動により又は圧接器具を用いることによりバルーン60上にステント613を圧接することにより、又は、どのような他の公知方法によっても、バルーン60上に固定され得る。ステント613は、該ステント613が拡張するときステント613の軸方向の長さが減少し、従って、ステント移送システム600からのステント613の解放性を向上させるような編まれていない材料からも形成され得る。更に、ステント613は、塑性変形可能な又は弾性変形可能なステントを包含する、どのような種類のステントであってもよく、或いは、超弾性的ステントであってもよい。最後に、ステント613は、異なる編み(knitting)パラメーター、壁厚、ループ寸法を用いて形成され得、又は、どのような種類のステント材料からも形成され得る。例えば、ステント613は、ステンレススチール、チタン、ニオブ、タンタル、ニッケル−チタン合金、何れかの他の適する金属合金、プラスチック材料、又は種々の他の材料からなり得る。ステント613は更に、望まれる場合には、フィルム又は膜で被覆され得る。
【0044】
図9ないし図11は、本発明の特徴を具現する別のステント移送システムを示す。ステ
ント移送システム900を形成するためステント913が固定されているバルーンカテーテルは、図3に関して議論したものと殆ど同じであり得、そして、図9ないし図11に関して、実質的に更に議論しない。
【0045】
図9を参照すると、ステント移送システム900は、どのような公知手法によってもカテーテルに装着され得るバルーン90を含むバルーンカテーテルを包含する。バルーン90は、その収縮された状態で図9に示されている。ステント913は、二つのスリーブ915により、バルーン90の中央セクション92の周囲の位置に保持されている。上述の如く、ステント913は、意図される用途に対して適するどのような適する材料、及び長さ並びに胴回りでも形成され得る。ステント913は、患者の体内に挿入し且つ体内を進むために適する圧縮された直径を与えるために、バルーン90の中央セクション92に対して半径方向に圧縮されている。スリーブ915は、例えば、接着、熱的結合等により、一端でカテーテルに軸方向に固定されており、そして他端で、ステント913のそれぞれの端又は余白部に対して、ステント913に重ね合わせられている。二つのスリーブ915を持って示されているけれども、ステント移送システム900は、一つのスリーブ915のみを与えられ得る。
【0046】
図10は、最初に低い圧力で部分的に膨張されたバルーン90を示す。最初の圧力は、中央セクション92又は中央セクション92に固定されたステント913の顕著な拡張を引き起こすことなく、コーンセクション94の膨張を引き起こす。コーンセクション94の膨張は次いで、中央セクション92からスリーブ915を引き離し、そして、ステント913の余白部をスリーブ915の下から解放する。そのように部分的に膨張されたとき、中央セクション92は、膨張されない、断面積の小さい構造で残り、そしてステント913は、拡張されない状態で残り、他方、コーンセクション94は、中央セクション92及びステント913の外径よりも大きく膨張された外径に拡張した。好ましくは、コーンは、膨張してバルーン90の中央セクション92を拡張された寸法に拡張し、そして体管腔に接触する。
【0047】
図11を参照すると、バルーン90が完全に膨張されたとき、中央セクション92は血管壁に対して拡張し、それにより、その上に固定されたステント913を拡張する。この位置において、ステント913はスリーブ915から解放され、完全に展開され、そして管腔905の開通性を維持することが可能である。
【0048】
有利には、そして、中央セクション92及び/又はステント913のどのような程度の拡張よりも前のコーンセクション94の優先的な拡張に少なくとも一部が起因して、さもなければ生じ得る、管腔905内のステント913のどのような位置偏移も低減又は除外され得、その結果、より堅牢なステント移送が得られ得る。更に、コーンセクション94の優先的な拡張は、スリーブ915からのステント913の解放を好都合に助ける。
【0049】
可撓性材料からなるステントの移送におけるステント移送システム900の使用は、このような可撓性ステントは、体内に導入されたとき典型的に拡張し、それにより、サック915からの解放を困難にするので、特に利点がある。しかしながら、ステント、バルーン及び、ステント移送システム900のバルーンカテーテルは、上記本文中に記載されたように、どのような材料からも形成され得る。
【0050】
スリーブ915は、どのような材料からも、そしてどのような公知方法によっても、形成され得る。スリーブ並びに、スリーブを造る材料及び方法の限定されない例は、米国特許第4950227号明細書、同第5944726号明細書及び同第5980530号明細書に開示されている。
【0051】
バルーン90、ステント913及びステント移送システム900は、上記本文中に記載されたような、どのような適する方法によっても製造され得る。更に、スリーブを含むステント移送システム及び、その製造方法は公知であり、そして例えば、米国特許第4950227号明細書に記載されており、その開示内容全体は、本明細書に参照として取り込まれている。
【0052】
コーン容積とバルーンの断面積との間の本明細書中に開示された比率の利点の発見は、本発明の特徴を具現するカテーテルバルーンに適用されたとき、制御可能な様式で拡張し得るカテーテルバルーンを与える。上記のように、本発明のカテーテルバルーンは、バルーンカテーテルシステム及びステント移送システムの構成要素として有利に用いられる。このようなシステムにおいて用いられたとき、本発明のバルーンは、バルーンの中央セクション及び/又はその上に固定されたステントの偏移を低減し、そしてスリーブ又はサックが本発明のステント移送システムにおいて用いられるとき、該スリーブ又はサックからのステントの解放性を向上させるという利点を与える。従って、本発明のバルーン、バルーンカテーテル及びステント移送システムは、患者を治療するために用いられたとき、利益を与える。その結果、本発明は更に、体管腔を拡張する方法、並びに、ステント又は他の補綴機器を移送する方法を提供する。
【0053】
本発明の管腔を拡張する方法は一般的に、本発明の特徴を具現するバルーン少なくとも一つを含むバルーンカテーテルを用意する段階を含む。バルーンカテーテルは管腔内に挿入され、そしてバルーンは、拡張されることが望まれる部位に進められる。その後、バルーンの半径方向の拡張及び管腔の拡張を起こすために、バルーンが膨張される。その後、バルーンは縮小され、そして管腔から引き出され得る。
【0054】
本発明の、ステント又は他の補綴機器を移送する方法は、一般的に、本発明の特徴を具現するバルーン少なくとも一つを含むステント移送機器を用意する段階を含む。ステント移送システムは管腔内に挿入され、そしてステントは、それが移送されることが望まれる部位に導かれる。一旦、そのように配置されると、バルーンが膨張され、その膨張の間、コーンセクションは、バルーンの中央セクションのどのような顕著な拡張よりも前に膨張する。中央セクション並びに、その上に固定されたステントは、その後、ステントが管腔壁に到達するまで拡張する。バルーンの中央セクション及び/又はその上に固定されたステントのどのような顕著な拡張の前にもコーンセクションが優先的に膨張するので、コーンセクションは、さもなければ生じ得る、望ましい移送部位からのステントのどのような偏移も低減し得る。一旦、そのように移送されると、ステントは、管腔壁の開通性を維持することが可能である。その後、バルーンは縮小され、そして体管腔から除去され得る。
【0055】
本発明のステント移送システムは、例えば、冠状動脈、末梢動脈及び内臓動脈に、並びに、胆管域、泌尿器域、呼吸器域、生殖器域又は胃腸域に、ステントを移送するために用いられ得る。更に、特にステントについて述べられているけれども、本発明の移送システムは、膨張可能な部材を用いて好適に移送されるどのような補綴機器を移送するためにも用いられ得る。
【0056】
本明細書に記載された、本発明の多数の特徴及び利点は、前記に述べられている。本発明の特定の形態又は実施態様が説明されたけれども、本発明の思想及び範囲を逸脱することなく、形状及び部材配列の変更などを包含する種々の変更が行われ得ることが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】図1は、本発明の特徴を具現するカテーテルバルーンの長手方向の断面図である。
【図2】図2は、本発明の特徴を具現する別のカテーテルバルーンの概略斜視図である。
【図2A】図2Aは、図2での、バルーンの1−1線と2−2線との間として提供され、且つA−A線にて断面が取られた、図2のカテーテルバルーンの長手方向の部分断面図である。
【図3】図3は、バルーンが膨張されていない状態の、本発明の特徴を具現するバルーンカテーテルの、部分的に破断された拡大図である。
【図4】図4は、部分的に膨張されたバルーンを表わす、図3に示されるバルーンカテーテルの断面図である。
【図5】図5は、完全に膨張されたバルーンを表わす、図3に示されるバルーンカテーテルの断面図である。
【図6】図6は、バルーンが膨張されていない状態の、本発明の特徴を具現するバルーンを用いるステント移送システムの断面図である。
【図7】図7は、部分的に膨張されたバルーンを表わす、図6に示されるステント移送システムの断面図である。
【図8】図8は、膨張されたバルーン及びステントを表わす、図6に示されるステント移送システムの断面図である。
【図9】図9は、バルーンが膨張されていない状態にあり、且つステント移送システムがスリーブを含む、本発明の特徴を具現する、バルーンを用いる他のステント移送システムの断面図である。
【図10】図10は、部分的に膨張されたバルーンを表わす、図9に示されるステント移送システムの断面図である。
【図11】図11は、膨張されたバルーン及びステントを表わす、図9に示されるステント移送システムの断面図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的に、医学分野における拡張及びステント移送手法において有用なカテーテルバルーンに関するものである。より特別には、本発明は、コーンセクションが、使用目的に応じて、カテーテルバルーンの中央セクションに対して優先的に拡張する能力を持つコーンセクションを提供し得るデザインを有する、カテーテルバルーンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
管腔形成術は、閉塞された管腔内経路が再開又は拡張されるところの、広範に用いられる治療処置である。典型的な手法において、バルーンのような膨張可能な部材を含むカテーテルが、動脈、静脈、気道等のような患者の管腔経路内に経皮的に挿入される。一旦挿入されると、バルーンは、望まれる処置部位に押し進められ、そこでバルーンは、管腔経路を拡張するために膨張され得る。特定の用途において、管腔経路内に、ステントのような血管プロテーゼを配置するために、バルーンカテーテルが使用され得、その後、管腔経路の開通性を維持するために、プロテーゼが作動することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
血管形成術及びステント処置は広範に用いられ且つ大きな成功を納めた手法であるが、それらに対する改良がいまだに行われ得る。例えば、拡張手法において、膨張可能な部材の位置を良好に制御するため、膨張可能な部材を制御可能に膨張させ、そして時には優先的に膨張させることが望ましい。血管内プロテーゼが移送されるべきところの手法において、補綴機器の移送における堅牢性を向上させることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は一般的に、利点のあるデザインを有するコーンセクションを包含するカテーテルバルーンに関するものである。特に、コーンセクションは、バルーンのより制御された膨張を提供し得る一つのコーンセクションの容積の、完全に膨張された中央セクションの横断面積に対する一定の比率を有する。バルーンを含むカテーテルからのプロテーゼの移送のような特定用途において、前記コーン構造は、バルーンの中央セクションより前の前記コーンの優先的拡張を助け得る。このような優先的拡張は更に、移植機器の位置を制御するために機能し得る。望ましくはサック又はスリーブが用いられるこのようなプロテーゼ移送システムにおいて、本発明バルーンの使用は、特に利点が有り得る。特に、中央セクションより前の本発明バルーンのコーンセクションの優先的拡張は、このようなサック又はスリーブからのステントの解放を助け得る。
【0005】
第一の観点において、本発明は、カテーテルバルーン及び、本発明のカテーテルバルーンの形成方法を提供する。前記カテーテルバルーンは一般的に、バルーンの中央セクションに対して近位及び遠位の、拡張可能なコーンセクションを有する。バルーンが完全に膨張されたとき、中央セクションは横断面積を有し、そしてそれぞれのコーンセクションは容積を有し、その結果、前記コーンセクションの何れかのmm3 による容積の、前記中央セクションのmm2 による横断面積に対する比率は、少なくとも2.1mmである。この比率及び、この比率を計算するために用いられた測定結果は、ミリメーターで表わされるけれども、前記測定結果又は得られた比率が、適切な換算係数を適用することによりミリメーター単位に換算される限り、前記測定結果は如何なる単位でも取られ得、比率が計算される。
【0006】
前述の利点のある比率を提供するために充分な容積を持つコーンセクションを提供する一つの方法は、多数のセクションを有する階段状構造であって、該構造において、セクションの少なくとも一つが、中央セクションに対して180度を越える内角を規定する構造を持つコーンセクションを提供することであることが今や発見された。従って、別の観点において、本発明は、バルーンの中央セクションに対して近位及び遠位のコーンセクションを有するカテーテルバルーンを提供する。前記コーンセクションの少なくとも一つは、多数のセクションであって、それらセクションの少なくとも一つが中央セクションに対して約180度を越える内角を規定する、多数のセクションを含む階段状構造を有する。
【0007】
別の観点において、本発明はバルーンカテーテル及びその製造方法を提供する。前記バルーンカテーテルは一般的に、カテーテルシャフトの遠位セクションに膨張可能なカテーテルバルーンを持つ細長いシャフトを有するカテーテルを含む。前記カテーテルバルーンは一般的に、該バルーンの中央セクションに対し近位及び遠位のコーンセクションを有する。バルーンが充分に膨張されたとき、中央セクションはmm2 による横断面積を有し、そしてそれぞれのコーンセクションはmm3 による容積を有し、その結果、前記コーンセクションの何れかの容積の、前記中央セクションの横断面積に対する比率は、少なくとも約2.1mmである。
【0008】
本発明の別の観点は、ステント移送システムを提供することであり、該ステント移送システムは一般的にバルーンカテーテルを含み、該バルーンカテーテルは、カテーテルシャフトの遠位セクションに膨張可能なバルーンを持つ細長いシャフトを有する。前記カテーテルバルーンは一般的に、バルーンの中央セクションの近位及び遠位に、拡張可能なコーンセクションを有する。バルーンが充分に膨張されたとき、中央セクションはmm2 による横断面積を有し、そしてそれぞれのコーンセクションはmm3 による容積を有し、その結果、前記コーンセクションの何れかの容積の、前記中央セクションの横断面積に対する比率は、少なくとも約2.1mmである。
拡張可能なステントは、カテーテルバルーンの中央セクションの少なくとも一部分の周囲に、操作可能に配置される。
【0009】
有利には、本発明のカテーテルバルーンは、スリーブ又はサックを含むステント移送システムにおいて、このようなスリーブ又はサックの後退の際に役立ち得る。従って、前記ステント移送システムは、所望により、このようなスリーブ又はサック少なくとも一つを更に含み得る。カテーテルバルーンに対して遠位の遠位シャフトセクションに固定された第一端及び、ステントとスリーブとの間の余白部を規定する第二端を有し、スリーブは、前記カテーテルバルーンが実質的に膨張されないとき、ステントと中央セクションとの間の余白部にオーバーレイ(overlie)している、スリーブが提供され得る。
【0010】
本発明のカテーテルバルーンは、管腔形成カテーテル又はステント移送システムの構成要素として用いられるとき、その向上した性能を提供する。例えば、ステント移送システムと組み合わせて使用されるとき、本発明のコーンデザインは、コーンセクションの優先的な拡張を助け得る。この優先的な拡張は、該拡張がなければ生じ得る、移送中のステントの如何なる偏移も低減し得る。結果として、本発明は更に、体管腔の拡張方法、又は、ステントの移送方法を提供する。前記方法は、本発明の特徴を具現するバルーンカテーテル又はステント移送システムを用意し、バルーンカテーテル又はステント移送システムを、場合に応じて、体管腔内に挿入し、そして、中央セクションが体管腔を拡張するために及び/又はステントを移送するために拡張するようにバルーンを膨張させる、各段階を含む。
【0011】
本発明のこれらの及びその他の利点は、本発明の下記の詳細な説明及び添付された例示図面から、より明らかになるであろう。
【0012】
本明細書に取り込まれ且つ本明細書の一部を構成する添付図面は、本発明の複数の観点を説明し、そして、詳細な実施例の記載と一緒になって、本発明の原理を説明するために役立つ。図面の簡単な説明は下記の通りである。
図1は、本発明の特徴を具現するカテーテルバルーンの長手方向の断面図であり、
図2は、本発明の特徴を具現する別のカテーテルバルーンの概略斜視図であり、
図2Aは、図2での、バルーンの1−1線と2−2線との間として提供され、且つA−A線にて断面が取られた、図2のカテーテルバルーンの長手方向の部分断面図であり、
図3は、バルーンが膨張されていない状態の、本発明の特徴を具現するバルーンカテーテルの、部分的に破断された拡大図であり、
図4は、部分的に膨張されたバルーンを表わす、図3に示されるバルーンカテーテルの断面図であり、
図5は、完全に膨張されたバルーンを表わす、図3に示されるバルーンカテーテルの断面図であり、
図6は、バルーンが膨張されていない状態の、本発明の特徴を具現するバルーンを用いる、ステント移送システムの断面図であり、
図7は、部分的に膨張されたバルーンを表わす、図6に示されるステント移送システムの断面図であり、
図8は、膨張されたバルーン及びステントを表わす、図6に示されるステント移送システムの断面図であり、
図9は、バルーンが膨張されていない状態にあり、且つステント移送システムがスリーブを含む、本発明の特徴を具現する、バルーンを用いる他のステント移送システムの断面図であり、
図10は、部分的に膨張されたバルーンを表わす、図9に示されるステント移送システムの断面図であり、そして
図11は、膨張されたバルーン及びステントを表わす、図9に示されるステント移送システムの断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に記載された本発明の実施態様は、全てを網羅することを、又は、下記の詳細な説明において開示された特別な実施態様に本発明を限定することを意図していない。むしろ、実施態様は、当業者が本発明の原理及び実施について理解することができるように記載されている。
【0014】
本発明は、有利なデザインを有するコーンセクションを含むカテーテルにおける使用のために適するバルーンを提供する。特に、本発明のカテーテルバルーンは、一つのコーンの容積(mm3 による)の、完全に膨張された中央セクションの横断面積(mm2 による)に対する比率が少なくとも約2.1mmであるような容積を有するコーンセクションを有する。この比率及び、この比率を計算するために用いられる測定結果は、ミリメーターで表わされるけれども、前記測定結果には如何なる単位でも取られ得、前記測定結果又は得られる比率が、適切な換算係数を適用することによりミリメーター単位に換算される限り、比率が計算される。
【0015】
このようなコーンセクションを有するカテーテルバルーンはより制御可能に膨張され得、そして特定の用途において、バルーンの中央セクションのどのような程度の膨張より前の、前記コーンセクションの優先的拡張を提供し得ることが今や発見された。このようなコーンデザインを有するバルーンは、バルーンカテーテル又はプロセーゼ移送システムにおいて用いられ得、この場合、前記能力は、該能力がなければ生じ得る、拡張及び移送の間のプロセーゼの如何なる偏移も低減するために機能し得る。
【0016】
本発明の特徴を具現するカテーテルバルーンの一例が図1に示されている。とりわけ、図1は、側断面図として、拡張された膨張可能なバルーン10を示している。膨張可能なバルーン10は、少なくとも三つの領域を有するものとして、本発明のデザイン特徴を説明するために記載されている。
【0017】
第一領域は、バルーン10の真ん中のセクション、又は、中央セクション12であり、そして、図1中、‘B’により示されている。膨張されたとき、中央セクション12は一般的に、血管壁のような患者の管腔経路、或いはステントの内径に平行し、且つ嵌合している。中央セクション12は膨張可能なバルーン10の長さの大部分を含み得、そして典型的には、バルーン10が完全に膨張されたとき、前記三つの領域のうち最大の直径を有する。
【0018】
バルーン10の第二領域は、バルーン10の第一端及び第二端上のウエスト16からなる。ウエスト16は、カテーテルシャフト1本又はそれより多く(図示されず)にバルーン10を接着するために使用されている。ウエスト16は、図1中、‘C’により示されている。
【0019】
図1中、‘A’により示されている第三領域は、中央セクション12とウエスト16との間に設けられた、バルーン10のコーンセクション14からなる。図1に示されるように、膨張可能なバルーン10は、単一の中央セクション12、近位及び遠位コーンセクション14並びに、近位及び遠位ウエスト16を包含する。しかしながら、他の構造も可能であり、そして本発明の範囲に含まれる。例えば、他の機能を実行するために、記載されたセクション12、14及び16の間に、他の領域が設けられ得る。
【0020】
コーンセクション14は、3−3線及び4−4線により規定される第一セクション20、2−2線及び3−3線により規定される第二セクション22、及び1−1線及び2−2線により規定される第三セクション24を包含する。第一セクション20は中央セクション12に近位であり、そして、中央セクション12に対して、第一角度αを形成する。第一角度αは、望ましくは、約90度と約180度との間にある。第二セクション22は第一セクション20に近位であり、そして示されるように、中央セクション20に対して、角度βを形成する。角度βは、望ましくは、約180度と約360度との間、典型的には約180度と約270度との間にある。第三セクション24は第二セクション22に近位であり、そして、第二セクション22に対して角度δを形成し、該角度δは、望ましくは、約30度と約180度との間にある。
【0021】
一つのコーンセクション14の容積の、完全に膨張された中央セクション12の横断面積に対する予め選択された比率を設けることにより、予め選択された比率を有しないバルーンよりもより制御可能な膨張を提供し得るカテーテルバルーン10が製造され得る。より特別には、一つのコーンセクション14の容積(mm3 による)の、完全に膨張された中央セクション12の横断面積(mm2 による)に対する比率が、少なくとも約2.1mm、好ましくは少なくとも約2.25mm、より好ましくは少なくとも約2.5mmのとき、本発明の利点が見出され得ることが今や発見された。勿論、上述の如く、容積及び横断面積の測定結果は、該測定結果又は計算された比率の両方又は何れかの単位が、適切な換算係数を適用することにより数学的にミリメーター単位に換算される限り、如何なる単位においても取られ且つ同様の比率が計算され得る。
【0022】
一般的に、より大きな比率はコーンセクション14のより制御可能な膨張を示唆するので、この比率に対する最大値は存在しないと信じられている。前記比率は、例えば、3.0mm、3.5mm、4.0mm、4.5mm、5.0mm等であり得る。しかしながら、説明の目的においてのみ、コーンセクション14の容積(mm3 による)の、完全に膨
張された中央セクション12の横断面積(mm2 による)に対する比率が、約2.1mmないし約4.0mm、より好ましくは約2.1mmないし約2.5mmのとき、本発明の相関関係は特に利点があると信じられている。
【0023】
中央セクション12の両側のコーンセクション14の容積及び/又は形状は、少なくとも一つのコーンセクションの容積を用いて特定の比率が達成され得る限り、同一である必要はない。即ち、図1に示されたバルーン10の実施態様は対称的であり、そして中央セクション12は前記バルーンの中央に位置しているけれども、特別な用途及び生体構造のために、別のバルーンデザインが使用され得る。加えて、一つのコーンセクション14の容積の、中央セクション12の横断面積に対する利点のある比率が提供される限り、どのような寸法のカテーテルバルーンに対しても、本発明の思想が適用され得る。
【0024】
最後に、コーンセクション14の形状又は構造は決定的なものではなく、そして階段状のコーン構造が図1に示されているけれども、コーンセクション14はこの構造を示す必要はない。むしろ、コーンセクション14は、一つのコーンセクション14の容積(mm3 による)の、完全に膨張された中央セクション12の横断面積(mm2 による)に対する比率が、少なくとも約2.1mmである限り、階段状、先細り状又は何らかの他の適する形状であり得る。
【0025】
この観点において、本発明の特徴を具現する更なる適するバルーン構造が図2及び図2Aに示されている。特に図2は、バルーンが、ウエスト16及び中央セクション12に加えて、‘突出した’コーンセクション14を包含するバルーンカテーテルを示す。特に、ウエスト16は、図2A中の‘C’により示されている。コーンセクション14は、図2A中の‘A’により示されており、そして、中央セクション12とウエスト16との間に設けられている。
【0026】
コーン容積及び断面積は、公知の数式に基づいて、コーン及びバルーン全ての構造に対して容易に計算され得、そして、中央セクション12又は、中央セクション12とコーンセクション14の一方若しくは両方が完全に膨張されたとき、バルーン10に基づいて計算される。本明細書中で使用され且つ議論されるとき、全ての測定結果及び計算は、ミリメーター単位により表わされ、そして行われた。例えば、コーンセクション14が先細り形状のとき、コーンセクションのコーン容積は、規定された幾何学的3D形状の容積の累積に基づいて計算される。一般的に、先細り形状のコーンセクション14は、式V=(1/3)πr2 hを適用することにより容積が計算され得るところの、正環状コーン構造を持つコーンセクションを提供する。図1に示されるように、コーンセクションが階段状であるとき、コーン容積は、介在角度により規定される二つの領域に適用されるところの、上記と同じ式を使用することにより計算される。即ち、1−1線と2−2線により、2−2線と3−3線により、そして3−3線と4−4線により規定されるコーンセクションのコーン容積が計算され、そして、バルーン10の一つのコーンセクション14の容積を得るために、加算される。コーンセクション14の容積は、コーンセクション14を水で満たし、次いでその水を秤量することにより、更に容易に決定され得る。
【0027】
中央セクション12の横断面積は、完全に膨張されたときの中央セクション12に基づいて計算され、そして、公知の数式A=πr2 を使用して計算され得る。
【0028】
更に、本発明に関して行われるとき、横断面積及びコーン容積は、一旦、バルーンが形成されたとき、コーンセクション14又は中央セクション12内に導入され得るどのような他の部材及び/又は物質に係わらず、上記のように計算される。即ち、図2に示されるように、カテーテルバルーン10がバルーンカテーテルに含まれて存在するとき、コーンセクション14の容積、又は、中央セクション12の横断面積は、一旦、バルーンカテー
テルが組み立てられたとき、例えば、内管部材及び外管部材(共に、図2に示されていない)により占有される容積及び断面積より計算された容積又は断面積を低減することなく、計算される。更に、バルーンの壁厚は無視し得るものと想定され、即ち、行われた断面積及び容積の計算は、それぞれのバルーンセクションの外径に基づいていた。
【0029】
本発明のカテーテルバルーンは、カテーテルバルーンを製造するための慣用の技術を包含するどのような好適な技術によっても、製造され得る。例えば、本発明の特徴を具現するカテーテルバルーンは、成形により形成され得る。図1に示されるバルーンを、又は、本発明の範囲内のどのような他のバルーンをも成形するため、押し出されたポリマー管が、高められた温度におけるバルーンの望ましい形状を一般的に有する成形型内で、半径方向に拡張され且つ軸方向に拡張され得る。得られたバルーンは、例えば、バルーンの収縮を低減するため、周知の如く、一回又はそれより多くの回数、熱処理され得る。バルーンを製造するための限定的でない例は、米国特許第4950239号明細書、同第4490421号明細書、同第5195969号明細書、同第5556383号明細書、同第6210364号明細書、同第5270086号明細書及び同第6168748号明細書に開示されている。
【0030】
カテーテルバルーン10は、カテーテルバルーンを形成するために典型的に使用されるどのような材料、又は、材料の組み合わせからも形成され得る。選択される特別な材料は、カテーテルバルーンの意図する用途に依存する。順応性材料が望まれる用途においては、低圧で、比較的柔軟な又は可撓性のあるポリマー状材料、例えば、熱可塑性ポリマー、熱可塑性エラストマー、ポリエチレン(高密度、低密度、中密度、直鎖状低密度)、ポリエチレンの種々のコポリマー及びブレンド、アイオノマー、ポリエステル、ポリウレタン及びポリウレタンコポリマー[例えば、ペレタン(登録商標)(Pellethane)のようなもの]、ポリカーボネート、ポリアミド[例えば、ナイロン(登録商標)(Nylon)12のようなもの]、ポリ塩化ビニル、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンコポリマー、ポリエーテル−ポリエステルコポリマー[例えば、ハイトレル(登録商標)(Hytrel)及びアーニテル(登録商標)(Arnitel)のようなもの]並びにポリエーテル−ポリアミドコポリマー[例えば、ペバックス(登録商標)(Pebax)のようなもの]が有用である。非順応性バルーン材料が望まれるとき、比較的剛性のある材料、例えば、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリイミド、熱可塑性ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリフェニレンスルフィド、ポリプロピレン及び硬質ポリウレタンが有用である。
【0031】
上述のように、カテーテルバルーン10は材料の組み合わせからなり得、そして共押出され得、単層化又は多層化され得る。カテーテルバルーン10は更に、望まれる場合には、どのような公知の好適なコーティングを用いても、コートされ得る。例えば、潤滑性のバルーン表面が望まれる場合において、このようなコーティングが望まれ得る。
【0032】
バルーン材料は更に、該材料の性質及び、特別な用途において望まれる特性に応じて、架橋されていてもよいし、又は、架橋されていなくてもよい。一般的に言えば、バルーン材料を架橋することは、最終的に膨張されたバルーン寸法全体にわたり、より大きな制御をもたらす。即ち、架橋、初期加圧、拡張及び予備収縮の後、そうして処理されたバルーンは、その後、付与された膨張圧に応じて、同一材料からなる架橋されていないバルーンに対してより制御された方法で、再現可能な直径に拡張され得る。望まれる場合には、例えば、熱処理及び/又は電子ビーム暴露のような何れかの慣用の方法により、架橋が行われ得る。
【0033】
一旦形成された後、図1に示されるバルーン壁18のどの部分の厚さも、望まれる場合には、変更され得る。バルーンの厚さを変更することは、例えば、望まれる小さい断面積
を達成するため、又は、種々のバルーン圧力水準を達成するため、カテーテルシャフトの周囲をバルーン10で覆うことを容易にするために、有用であり得る。望まれる結果を達成するため、材料が付加され、除去され、又はそれらが組み合わされ得る。典型的には、バルーン10の中央セクション12及び/又はコーンセクション14において、バルーン壁18の厚さを変更することが望ましい。バルーンのコーンセクションの厚さを変更する手段の例は、本件と同一出願人による米国特許第5733301号明細書に開示されており、従って、その全体は、本明細書において参照として取り込まれている。
【0034】
図3に、本発明の特徴及び利点を具現するバルーンカテーテルを示す。バルーンカテーテル300は一般的に、近位セクション302及び遠位セクション303を有する細長いカテーテルシャフト301、カテーテルシャフト301の遠位セクション303に配置された膨張可能なバルーン30、並びに、ガイドワイヤー311に沿って制御可能に摺動することを可能にするため及びシャフト301内への流体導入のため、シャフト301の近位セクション302に固定されたマニホールド304を包含する。放射線不透過性のマーカー314がカテーテルシャフト301上に、例えば、バルーン30の中央セクション32の近位端及び遠位端近傍の内管部材307上に、設けられ得る。図3において、バルーンカテーテル300は、患者の体管腔305内にあるバルーン30の膨張前の状態にて、即ち、患者の体内を進むために断面積の小さい、拡張されていない状態で、示されている。
【0035】
示された実施態様において、カテーテルシャフト301は外管部材306及び、外管部材306内に配置された、そして、外管部材306に沿って膨張管腔308を規定している管部材307を有する。膨張管腔308は、膨張可能なバルーン30の内部チャンバー309と流体接続している。内管部材307は、患者の体管腔305を通って進むために適するガイドワイヤー311を摺動可能に受けるためにそれを通って延びている内管腔310を有する。膨張可能なバルーン30の遠位端は、内管部材307の遠位端に封止されて固定されており、そして、バルーン30の近位端は、外管部材306の遠位端に封止されて固定されている。バルーン30は、例えば、膨張ポート312を通って注入されるか、又は、そうでなければ、膨張管腔308を通って供給される放射線不透過性のどのような液体によっても、或いは、カテーテルの特定のデザインに応じて、カテーテルシャフトの外側とバルーン30を形成している部材との間に形成された通路からのような他の手段により、膨張され得る。流体移送及びバルーン内への導入の詳細及び機構は、カテーテルの具体的なデザインにより変化し、そして、従来技術において周知である。
【0036】
バルーンカテーテルのための種々のデザインは従来技術において周知であり、そして、それら及び他の開発されたバルーンカテーテルの全てが、本発明のバルーンの特徴を取り込み得る。その例を少し挙げると、それらは、オーバー−ザ−ワイヤー(over−the−wire)カテーテル、シングルオペレーター又は急速交換カテーテル、及び固定ワイヤーカテーテルを包含する。更に、カテーテルシャフト301並びにその中に取り込まれた外管部材306及び内管部材307は、どのような慣用の拡張カテーテル又はステント移送カテーテル並びにその中に取り込まれた内管部材及び外管部材の寸法をも有し得る。慣用のカテーテルシャフトのシャフト直径は一般的に、例えば、約4フレンチ(French)ないし約15フレンチの範囲である。
【0037】
図4及び図5は、バルーンカテーテル300内に本発明のバルーン30を取り込み、その後、処置手法においてバルーンカテーテル300を用いることで見出され得る利点を示す。特に、図4は、体管腔305内に位置する病変38内に配置され、そして特に膨張された膨張可能なバルーン30を示す。図5は、体管腔305内の病変38を拡張するために完全に膨張された膨張可能なバルーン30を示す。
【0038】
特に図4を参照すると、バルーン30は、バルーン30の中央に位置する中央セクション32及び、中央セクション32の近位端及び遠位端に隣接するコーンセクション34を包含する。図示されるように、コーンセクション34は、結合ウエスト36に対して先細り又は湾曲しているが、しかし、どのような他の構造であってもよい。何らかの適する手段、例えば接着及び/又は溶融結合を使用して、中央セクション32に遠位のバルーン30のウエスト36は内管部材307に封止されて固定されており、他方、中央セクション32に近位のバルーン30のウエスト36は外管部材306に封止されて固定されている。
【0039】
さて図6ないし図8に注目すると、本発明の特徴を具現するステント移送システム600が示されている。示されたステント移送システムは、図2に関して上で議論したバルーンカテーテルと殆ど同じであり得、そして、同様の特徴及び特徴間の相関関係は、それらの記載が上記本文中に見出され得るので、更に議論しない。
【0040】
図6を特に参照すると、バルーン60は、ステント移送システム600を形成するためにその上に固定されたステント613を有する。ステント移送システム600は、患者の体内を進むために断面積の小さい、拡張されていない状態のバルーン60及びステント613を持つ、患者の体管腔605内にあるバルーン60の膨張の前の状態にて示されている。
【0041】
図7は、最初に低い圧力で部分的に膨張されたバルーン60を示す。バルーン60の部分的な膨張は、中央セクション62の又は中央セクション62に固定されたステント613の顕著な拡張を引き起こすことなく、コーンセクション64の膨張を引き起こす。そのように部分的に膨張されたとき、中央セクション62は、膨張されない、断面積の小さい構造で残り、他方、コーンセクション64は、中央セクション62及びステント613の外径よりも大きく膨張された外径に拡張した。
【0042】
図8に最もよく示されるように、膨張圧力が増加されるとき、中央セクション62は血管壁605に対して拡張し、それにより、その上に固定されたステント613を拡張する。この位置において、ステント613は充分に展開しており、そして、管腔605の開通性を維持することが可能である。有利には、そして、コーンセクション64の優先的な拡張に少なくとも一部が起因して、さもなければ生じ得る、管腔605内のステント613のどのような位置偏移も低減され得、その結果、より堅牢なステント移送が得られ得る。
【0043】
ステント613は、どのような公知方法によっても、例えば、ステント613を接触させることにより、バルーン60の周囲又は上を覆うか又は包むことにより、手動により又は圧接器具を用いることによりバルーン60上にステント613を圧接することにより、又は、どのような他の公知方法によっても、バルーン60上に固定され得る。ステント613は、該ステント613が拡張するときステント613の軸方向の長さが減少し、従って、ステント移送システム600からのステント613の解放性を向上させるような編まれていない材料からも形成され得る。更に、ステント613は、塑性変形可能な又は弾性変形可能なステントを包含する、どのような種類のステントであってもよく、或いは、超弾性的ステントであってもよい。最後に、ステント613は、異なる編み(knitting)パラメーター、壁厚、ループ寸法を用いて形成され得、又は、どのような種類のステント材料からも形成され得る。例えば、ステント613は、ステンレススチール、チタン、ニオブ、タンタル、ニッケル−チタン合金、何れかの他の適する金属合金、プラスチック材料、又は種々の他の材料からなり得る。ステント613は更に、望まれる場合には、フィルム又は膜で被覆され得る。
【0044】
図9ないし図11は、本発明の特徴を具現する別のステント移送システムを示す。ステ
ント移送システム900を形成するためステント913が固定されているバルーンカテーテルは、図3に関して議論したものと殆ど同じであり得、そして、図9ないし図11に関して、実質的に更に議論しない。
【0045】
図9を参照すると、ステント移送システム900は、どのような公知手法によってもカテーテルに装着され得るバルーン90を含むバルーンカテーテルを包含する。バルーン90は、その収縮された状態で図9に示されている。ステント913は、二つのスリーブ915により、バルーン90の中央セクション92の周囲の位置に保持されている。上述の如く、ステント913は、意図される用途に対して適するどのような適する材料、及び長さ並びに胴回りでも形成され得る。ステント913は、患者の体内に挿入し且つ体内を進むために適する圧縮された直径を与えるために、バルーン90の中央セクション92に対して半径方向に圧縮されている。スリーブ915は、例えば、接着、熱的結合等により、一端でカテーテルに軸方向に固定されており、そして他端で、ステント913のそれぞれの端又は余白部に対して、ステント913に重ね合わせられている。二つのスリーブ915を持って示されているけれども、ステント移送システム900は、一つのスリーブ915のみを与えられ得る。
【0046】
図10は、最初に低い圧力で部分的に膨張されたバルーン90を示す。最初の圧力は、中央セクション92又は中央セクション92に固定されたステント913の顕著な拡張を引き起こすことなく、コーンセクション94の膨張を引き起こす。コーンセクション94の膨張は次いで、中央セクション92からスリーブ915を引き離し、そして、ステント913の余白部をスリーブ915の下から解放する。そのように部分的に膨張されたとき、中央セクション92は、膨張されない、断面積の小さい構造で残り、そしてステント913は、拡張されない状態で残り、他方、コーンセクション94は、中央セクション92及びステント913の外径よりも大きく膨張された外径に拡張した。好ましくは、コーンは、膨張してバルーン90の中央セクション92を拡張された寸法に拡張し、そして体管腔に接触する。
【0047】
図11を参照すると、バルーン90が完全に膨張されたとき、中央セクション92は血管壁に対して拡張し、それにより、その上に固定されたステント913を拡張する。この位置において、ステント913はスリーブ915から解放され、完全に展開され、そして管腔905の開通性を維持することが可能である。
【0048】
有利には、そして、中央セクション92及び/又はステント913のどのような程度の拡張よりも前のコーンセクション94の優先的な拡張に少なくとも一部が起因して、さもなければ生じ得る、管腔905内のステント913のどのような位置偏移も低減又は除外され得、その結果、より堅牢なステント移送が得られ得る。更に、コーンセクション94の優先的な拡張は、スリーブ915からのステント913の解放を好都合に助ける。
【0049】
可撓性材料からなるステントの移送におけるステント移送システム900の使用は、このような可撓性ステントは、体内に導入されたとき典型的に拡張し、それにより、サック915からの解放を困難にするので、特に利点がある。しかしながら、ステント、バルーン及び、ステント移送システム900のバルーンカテーテルは、上記本文中に記載されたように、どのような材料からも形成され得る。
【0050】
スリーブ915は、どのような材料からも、そしてどのような公知方法によっても、形成され得る。スリーブ並びに、スリーブを造る材料及び方法の限定されない例は、米国特許第4950227号明細書、同第5944726号明細書及び同第5980530号明細書に開示されている。
【0051】
バルーン90、ステント913及びステント移送システム900は、上記本文中に記載されたような、どのような適する方法によっても製造され得る。更に、スリーブを含むステント移送システム及び、その製造方法は公知であり、そして例えば、米国特許第4950227号明細書に記載されており、その開示内容全体は、本明細書に参照として取り込まれている。
【0052】
コーン容積とバルーンの断面積との間の本明細書中に開示された比率の利点の発見は、本発明の特徴を具現するカテーテルバルーンに適用されたとき、制御可能な様式で拡張し得るカテーテルバルーンを与える。上記のように、本発明のカテーテルバルーンは、バルーンカテーテルシステム及びステント移送システムの構成要素として有利に用いられる。このようなシステムにおいて用いられたとき、本発明のバルーンは、バルーンの中央セクション及び/又はその上に固定されたステントの偏移を低減し、そしてスリーブ又はサックが本発明のステント移送システムにおいて用いられるとき、該スリーブ又はサックからのステントの解放性を向上させるという利点を与える。従って、本発明のバルーン、バルーンカテーテル及びステント移送システムは、患者を治療するために用いられたとき、利益を与える。その結果、本発明は更に、体管腔を拡張する方法、並びに、ステント又は他の補綴機器を移送する方法を提供する。
【0053】
本発明の管腔を拡張する方法は一般的に、本発明の特徴を具現するバルーン少なくとも一つを含むバルーンカテーテルを用意する段階を含む。バルーンカテーテルは管腔内に挿入され、そしてバルーンは、拡張されることが望まれる部位に進められる。その後、バルーンの半径方向の拡張及び管腔の拡張を起こすために、バルーンが膨張される。その後、バルーンは縮小され、そして管腔から引き出され得る。
【0054】
本発明の、ステント又は他の補綴機器を移送する方法は、一般的に、本発明の特徴を具現するバルーン少なくとも一つを含むステント移送機器を用意する段階を含む。ステント移送システムは管腔内に挿入され、そしてステントは、それが移送されることが望まれる部位に導かれる。一旦、そのように配置されると、バルーンが膨張され、その膨張の間、コーンセクションは、バルーンの中央セクションのどのような顕著な拡張よりも前に膨張する。中央セクション並びに、その上に固定されたステントは、その後、ステントが管腔壁に到達するまで拡張する。バルーンの中央セクション及び/又はその上に固定されたステントのどのような顕著な拡張の前にもコーンセクションが優先的に膨張するので、コーンセクションは、さもなければ生じ得る、望ましい移送部位からのステントのどのような偏移も低減し得る。一旦、そのように移送されると、ステントは、管腔壁の開通性を維持することが可能である。その後、バルーンは縮小され、そして体管腔から除去され得る。
【0055】
本発明のステント移送システムは、例えば、冠状動脈、末梢動脈及び内臓動脈に、並びに、胆管域、泌尿器域、呼吸器域、生殖器域又は胃腸域に、ステントを移送するために用いられ得る。更に、特にステントについて述べられているけれども、本発明の移送システムは、膨張可能な部材を用いて好適に移送されるどのような補綴機器を移送するためにも用いられ得る。
【0056】
本明細書に記載された、本発明の多数の特徴及び利点は、前記に述べられている。本発明の特定の形態又は実施態様が説明されたけれども、本発明の思想及び範囲を逸脱することなく、形状及び部材配列の変更などを包含する種々の変更が行われ得ることが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】図1は、本発明の特徴を具現するカテーテルバルーンの長手方向の断面図である。
【図2】図2は、本発明の特徴を具現する別のカテーテルバルーンの概略斜視図である。
【図2A】図2Aは、図2での、バルーンの1−1線と2−2線との間として提供され、且つA−A線にて断面が取られた、図2のカテーテルバルーンの長手方向の部分断面図である。
【図3】図3は、バルーンが膨張されていない状態の、本発明の特徴を具現するバルーンカテーテルの、部分的に破断された拡大図である。
【図4】図4は、部分的に膨張されたバルーンを表わす、図3に示されるバルーンカテーテルの断面図である。
【図5】図5は、完全に膨張されたバルーンを表わす、図3に示されるバルーンカテーテルの断面図である。
【図6】図6は、バルーンが膨張されていない状態の、本発明の特徴を具現するバルーンを用いるステント移送システムの断面図である。
【図7】図7は、部分的に膨張されたバルーンを表わす、図6に示されるステント移送システムの断面図である。
【図8】図8は、膨張されたバルーン及びステントを表わす、図6に示されるステント移送システムの断面図である。
【図9】図9は、バルーンが膨張されていない状態にあり、且つステント移送システムがスリーブを含む、本発明の特徴を具現する、バルーンを用いる他のステント移送システムの断面図である。
【図10】図10は、部分的に膨張されたバルーンを表わす、図9に示されるステント移送システムの断面図である。
【図11】図11は、膨張されたバルーン及びステントを表わす、図9に示されるステント移送システムの断面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
近位及び遠位端と、バルーンが膨張させられたときのmm2 による横断面積を有する中央セクション、並びに
前記中央セクションの前記近位端に対して近位の第一コーンセクション及び前記中央セクションの前記遠位端に対して遠位の第二コーンセクションであって、前記第一及び第二コーンセクションのそれぞれは、バルーンが膨張させられたときmm2 による横断面積を有する第一及び第二コーンセクション、
を含むカテーテルバルーンであって、
前記コーンセクションの何れかの容積と、前記中央セクションの前記横断面積との比率が少なくとも約2.1mmであるカテーテルバルーン。
【請求項2】
前記両コーンセクションの何れかの容積と、前記中央セクションの前記横断面積との比率が約2.1mmないし約4.0mmである、請求項1記載のカテーテルバルーン。
【請求項3】
前記両コーンセクションの何れかの容積と、前記中央セクションの前記横断面積との比率が約2.1mmないし約2.5mmである、請求項2記載のカテーテルバルーン。
【請求項4】
近位及び遠位端を有する中央セクション、並びに
前記中央セクションの前記近位端に対して近位の第一コーンセクション及び前記中央セクションの前記遠位端に対して遠位の第二コーンセクションであって、前記コーンセクションの少なくとも一方が、多数のセクションを含む階段状構造を有する第一及び第二コーンセクション、を含むカテーテルバルーンであって、且つ
前記コーンセクションの少なくとも一方が、前記中央セクションに対して180度を越える内角を規定しているカテーテルバルーン。
【請求項5】
近位端、遠位端及び、それらの少なくとも一つのセクションを通って延びる膨張管腔を有する細長いシャフト、並びに
前記膨張管腔と流体接続している、内部を有する遠位シャフトセクションに固定されたカテーテルバルーン、
を含むバルーンカテーテルであって、且つ更に、
近位及び遠位端及び、バルーンが膨張させられたときmm2 による横断面積を有する中央セクション、並びに
前記中央セクションの前記近位端に対して近位の第一コーンセクション及び前記中央セクションの前記遠位端に対して遠位の第二コーンセクションであって、前記第一及び第二コーンセクションのそれぞれは、バルーンが膨張させられたときmm3 による容積を有し、前記両コーンセクションの何れかの容積と、前記中央セクションの横断面積との比率が少なくとも約2.1mmである第一及び第二コーンセクション、
を含むバルーンカテーテル。
【請求項6】
前記両コーンセクションの何れかの容積と、前記中央セクションの前記横断面積との比率が約2.1mmないし約4.0mmである、請求項5記載のバルーンカテーテル。
【請求項7】
前記両コーンセクションの何れかの容積と、前記中央セクションの前記横断面積との比率が約2.1mmないし約2.5mmである、請求項6記載のバルーンカテーテル。
【請求項8】
前記カテーテルバルーンの前記中央セクションの少なくとも一部分の周囲に配置された拡張可能なステントを更に含む、請求項5記載のバルーンカテーテル。
【請求項9】
前記拡張可能なステントが、該ステントの端部と前記カテーテルバルーンの前記中央セ
クションとの間の余白部を規定する端部を有するバルーンカテーテルであって、該バルーンカテーテルは更にスリーブを含み、該スリーブは、前記カテーテルバルーンに対して遠位の前記遠位シャフトセクションに固定された第一端及び、前記ステントと該スリーブとの間の余白部を規定する第二端を含み、
前記スリーブが、前記ステントと前記カテーテルバルーンの前記中央セクションとの間の余白部にオーバーレイ(overlie)している、請求項5記載のバルーンカテーテル。
【請求項10】
前記カテーテルが固定ワイヤーカテーテルである、請求項5記載のバルーンカテーテル。
【請求項11】
前記カテーテルがオーバー−ザ−ワイヤー(over−the−wire)カテーテルである、請求項5記載のバルーンカテーテル。
【請求項12】
前記カテーテルが急速交換可能なカテーテルである、請求項5記載のバルーンカテーテル。
【請求項13】
(a)バルーンに形成する材料を選択すること、
(b)(i)近位及び遠位端及び、バルーンが膨張させられたときmm2 による横断面積を有する中央セクション、並びに
(ii)前記中央セクションの前記近位端に対して近位の第一コーンセクション及び前記中央セクションの前記遠位端に対して遠位の第二コーンセクションであって、前記第一及び第二コーンセクションのそれぞれは、バルーンが膨張させられたときmm3 による容積を有し、前記両コーンセクションの何れかの容積と、前記中央セクションの横断面積との比率が少なくとも約2.1mmである第一及び第二コーンセクション、
を含むようにバルーンを形成すること、
を含む、カテーテルバルーンの形成方法。
【請求項14】
前記両コーンセクションの何れかの容積と、前記中央セクションの前記横断面積との比率が約2.1mmないし約4.0mmである、請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記両コーンセクションの何れかの容積と、前記中央セクションの前記横断面積との比率が約2.1mmないし約2.5mmである、請求項13記載の方法。
【請求項16】
患者の体内の体管腔を拡張する方法であって、
(a)(i)近位端、遠位端及び、それらの少なくとも一つのセクションと共に延びる膨張管腔を有する細長いシャフト、並びに
(ii)前記膨張管腔と流体接続している内部を有する、遠位シャフトセクションに固定されたカテーテルバルーンであって、
前記バルーンは、
近位及び遠位端及び、バルーンが膨張させられたときmm2 による横断面積を有する中央セクション、並びに
前記中央セクションの前記近位端に対して近位の第一コーンセクション及び前記中央セクションの前記遠位端に対して遠位の第二コーンセクションであって、前記第一及び第二コーンセクションのそれぞれは、バルーンが膨張させられたときmm3 による容積を有し、前記両コーンセクションの何れかの容積と、前記中央セクションの横断面積との比率が少なくとも約2.1mmである第一及び第二コーンセクション、
を含むカテーテルバルーン、
を含むバルーンカテーテルを用意すること、
(b)前記バルーンカテーテルを、患者の体内の拡張しようとする体管腔内に挿入するこ
と、
(c)前記中央セクションが前記体管腔を拡張するために膨張するように、前記バルーンを膨張させること、
を含む方法。
【請求項17】
患者の体内の体管腔にステントを移送する方法であって、
(a)(i)近位端、遠位端及び、それらの少なくとも一つのセクションと共に延びる膨張管腔を有する細長いシャフト、並びに
(ii)前記膨張管腔と流体接続している内部を有する、遠位シャフトセクションに固定されたカテーテルバルーンであって、
前記バルーンは、
近位及び遠位端及び、バルーンが膨張させられたときmm2 による横断面積を有する中央セクション、並びに
前記中央セクションの前記近位端に対して近位の第一コーンセクション及び前記中央セクションの前記遠位端に対して遠位の第二コーンセクションであって、前記第一及び第二コーンセクションのそれぞれは、バルーンが膨張させられたときmm3 による容積を有し、前記両コーンセクションの何れかの容積と、前記中央セクションの横断面積との比率が少なくとも約2.1mmである第一及び第二コーンセクション、
を含むカテーテルバルーン、並びに
(iii)前記バルーンの前記中央セクションの少なくとも一部分の周囲に配置された拡張可能なステント、
を含むステント移送システムを用意すること、
(b)前記ステント移送システムを、患者の体の体管腔内に挿入すること、
(c)前記中央セクション及びその上に配置された前記ステントの半径方向の膨張を生じさせ、それにより、前記ステントを移送すること、
を含む方法。
【請求項18】
前記ステント移送システムが更にスリーブを含み、該スリーブは、前記カテーテルバルーンから遠い前記遠位シャフトセクションに固定された第一端及び、前記ステントと該スリーブとの間の余白部を規定する第二端を有する請求項17記載の方法であって、
前記スリーブは、前記カテーテルバルーンが実質的に膨張されないとき、前記ステントの間の余白部にオーバーレイ(overlie)しており、そして前記バルーンの膨張が更に、前記スリーブがもはや前記ステントを覆わないように該スリーブの第二端を後退させ、そして前記ステントを移送するところの方法。
【請求項1】
近位及び遠位端と、バルーンが膨張させられたときのmm2 による横断面積を有する中央セクション、並びに
前記中央セクションの前記近位端に対して近位の第一コーンセクション及び前記中央セクションの前記遠位端に対して遠位の第二コーンセクションであって、前記第一及び第二コーンセクションのそれぞれは、バルーンが膨張させられたときmm2 による横断面積を有する第一及び第二コーンセクション、
を含むカテーテルバルーンであって、
前記コーンセクションの何れかの容積と、前記中央セクションの前記横断面積との比率が少なくとも約2.1mmであるカテーテルバルーン。
【請求項2】
前記両コーンセクションの何れかの容積と、前記中央セクションの前記横断面積との比率が約2.1mmないし約4.0mmである、請求項1記載のカテーテルバルーン。
【請求項3】
前記両コーンセクションの何れかの容積と、前記中央セクションの前記横断面積との比率が約2.1mmないし約2.5mmである、請求項2記載のカテーテルバルーン。
【請求項4】
近位及び遠位端を有する中央セクション、並びに
前記中央セクションの前記近位端に対して近位の第一コーンセクション及び前記中央セクションの前記遠位端に対して遠位の第二コーンセクションであって、前記コーンセクションの少なくとも一方が、多数のセクションを含む階段状構造を有する第一及び第二コーンセクション、を含むカテーテルバルーンであって、且つ
前記コーンセクションの少なくとも一方が、前記中央セクションに対して180度を越える内角を規定しているカテーテルバルーン。
【請求項5】
近位端、遠位端及び、それらの少なくとも一つのセクションを通って延びる膨張管腔を有する細長いシャフト、並びに
前記膨張管腔と流体接続している、内部を有する遠位シャフトセクションに固定されたカテーテルバルーン、
を含むバルーンカテーテルであって、且つ更に、
近位及び遠位端及び、バルーンが膨張させられたときmm2 による横断面積を有する中央セクション、並びに
前記中央セクションの前記近位端に対して近位の第一コーンセクション及び前記中央セクションの前記遠位端に対して遠位の第二コーンセクションであって、前記第一及び第二コーンセクションのそれぞれは、バルーンが膨張させられたときmm3 による容積を有し、前記両コーンセクションの何れかの容積と、前記中央セクションの横断面積との比率が少なくとも約2.1mmである第一及び第二コーンセクション、
を含むバルーンカテーテル。
【請求項6】
前記両コーンセクションの何れかの容積と、前記中央セクションの前記横断面積との比率が約2.1mmないし約4.0mmである、請求項5記載のバルーンカテーテル。
【請求項7】
前記両コーンセクションの何れかの容積と、前記中央セクションの前記横断面積との比率が約2.1mmないし約2.5mmである、請求項6記載のバルーンカテーテル。
【請求項8】
前記カテーテルバルーンの前記中央セクションの少なくとも一部分の周囲に配置された拡張可能なステントを更に含む、請求項5記載のバルーンカテーテル。
【請求項9】
前記拡張可能なステントが、該ステントの端部と前記カテーテルバルーンの前記中央セ
クションとの間の余白部を規定する端部を有するバルーンカテーテルであって、該バルーンカテーテルは更にスリーブを含み、該スリーブは、前記カテーテルバルーンに対して遠位の前記遠位シャフトセクションに固定された第一端及び、前記ステントと該スリーブとの間の余白部を規定する第二端を含み、
前記スリーブが、前記ステントと前記カテーテルバルーンの前記中央セクションとの間の余白部にオーバーレイ(overlie)している、請求項5記載のバルーンカテーテル。
【請求項10】
前記カテーテルが固定ワイヤーカテーテルである、請求項5記載のバルーンカテーテル。
【請求項11】
前記カテーテルがオーバー−ザ−ワイヤー(over−the−wire)カテーテルである、請求項5記載のバルーンカテーテル。
【請求項12】
前記カテーテルが急速交換可能なカテーテルである、請求項5記載のバルーンカテーテル。
【請求項13】
(a)バルーンに形成する材料を選択すること、
(b)(i)近位及び遠位端及び、バルーンが膨張させられたときmm2 による横断面積を有する中央セクション、並びに
(ii)前記中央セクションの前記近位端に対して近位の第一コーンセクション及び前記中央セクションの前記遠位端に対して遠位の第二コーンセクションであって、前記第一及び第二コーンセクションのそれぞれは、バルーンが膨張させられたときmm3 による容積を有し、前記両コーンセクションの何れかの容積と、前記中央セクションの横断面積との比率が少なくとも約2.1mmである第一及び第二コーンセクション、
を含むようにバルーンを形成すること、
を含む、カテーテルバルーンの形成方法。
【請求項14】
前記両コーンセクションの何れかの容積と、前記中央セクションの前記横断面積との比率が約2.1mmないし約4.0mmである、請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記両コーンセクションの何れかの容積と、前記中央セクションの前記横断面積との比率が約2.1mmないし約2.5mmである、請求項13記載の方法。
【請求項16】
患者の体内の体管腔を拡張する方法であって、
(a)(i)近位端、遠位端及び、それらの少なくとも一つのセクションと共に延びる膨張管腔を有する細長いシャフト、並びに
(ii)前記膨張管腔と流体接続している内部を有する、遠位シャフトセクションに固定されたカテーテルバルーンであって、
前記バルーンは、
近位及び遠位端及び、バルーンが膨張させられたときmm2 による横断面積を有する中央セクション、並びに
前記中央セクションの前記近位端に対して近位の第一コーンセクション及び前記中央セクションの前記遠位端に対して遠位の第二コーンセクションであって、前記第一及び第二コーンセクションのそれぞれは、バルーンが膨張させられたときmm3 による容積を有し、前記両コーンセクションの何れかの容積と、前記中央セクションの横断面積との比率が少なくとも約2.1mmである第一及び第二コーンセクション、
を含むカテーテルバルーン、
を含むバルーンカテーテルを用意すること、
(b)前記バルーンカテーテルを、患者の体内の拡張しようとする体管腔内に挿入するこ
と、
(c)前記中央セクションが前記体管腔を拡張するために膨張するように、前記バルーンを膨張させること、
を含む方法。
【請求項17】
患者の体内の体管腔にステントを移送する方法であって、
(a)(i)近位端、遠位端及び、それらの少なくとも一つのセクションと共に延びる膨張管腔を有する細長いシャフト、並びに
(ii)前記膨張管腔と流体接続している内部を有する、遠位シャフトセクションに固定されたカテーテルバルーンであって、
前記バルーンは、
近位及び遠位端及び、バルーンが膨張させられたときmm2 による横断面積を有する中央セクション、並びに
前記中央セクションの前記近位端に対して近位の第一コーンセクション及び前記中央セクションの前記遠位端に対して遠位の第二コーンセクションであって、前記第一及び第二コーンセクションのそれぞれは、バルーンが膨張させられたときmm3 による容積を有し、前記両コーンセクションの何れかの容積と、前記中央セクションの横断面積との比率が少なくとも約2.1mmである第一及び第二コーンセクション、
を含むカテーテルバルーン、並びに
(iii)前記バルーンの前記中央セクションの少なくとも一部分の周囲に配置された拡張可能なステント、
を含むステント移送システムを用意すること、
(b)前記ステント移送システムを、患者の体の体管腔内に挿入すること、
(c)前記中央セクション及びその上に配置された前記ステントの半径方向の膨張を生じさせ、それにより、前記ステントを移送すること、
を含む方法。
【請求項18】
前記ステント移送システムが更にスリーブを含み、該スリーブは、前記カテーテルバルーンから遠い前記遠位シャフトセクションに固定された第一端及び、前記ステントと該スリーブとの間の余白部を規定する第二端を有する請求項17記載の方法であって、
前記スリーブは、前記カテーテルバルーンが実質的に膨張されないとき、前記ステントの間の余白部にオーバーレイ(overlie)しており、そして前記バルーンの膨張が更に、前記スリーブがもはや前記ステントを覆わないように該スリーブの第二端を後退させ、そして前記ステントを移送するところの方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2006−502799(P2006−502799A)
【公表日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−545224(P2004−545224)
【出願日】平成15年7月31日(2003.7.31)
【国際出願番号】PCT/US2003/024066
【国際公開番号】WO2004/035127
【国際公開日】平成16年4月29日(2004.4.29)
【出願人】(500238446)ボストン サイエンティフィック リミテッド (53)
【氏名又は名称原語表記】Boston Scientific Limited
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成15年7月31日(2003.7.31)
【国際出願番号】PCT/US2003/024066
【国際公開番号】WO2004/035127
【国際公開日】平成16年4月29日(2004.4.29)
【出願人】(500238446)ボストン サイエンティフィック リミテッド (53)
【氏名又は名称原語表記】Boston Scientific Limited
【Fターム(参考)】
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