説明

有効期限切れ通知システム、自動改札機及び上位装置

【課題】小児用ICカードが有効期限切れになった場合であっても自動改札機で継続使用可能な有効期限切れ通知システム、自動改札機及び上位装置を提供する。
【解決手段】ICカードを発行する定期券発行機又は窓口機などにおいて、ICカードに生年月日・名前などの個人情報と、Eメールアドレス・電話番号などの通知先情報及び小児用ICカードが有効期限切れの際、券種を小児から大人へ自動変更する自動券種変更フラグのオン、オフ情報を登録する。自動改札機において、小児用ICカードが有効期限切れで自動券種変更フラグがオン(自動変更する)の場合、券種を小児から大人に変更し、チャージ機能を有効にして乗車情報を判定し、当該乗車券の識別情報を上位サーバに送信する。上位サーバは、自動改札機から受信した識別情報をインデックスとして検索したEメールアドレス又は電話番号に有効期限切れメッセージを通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チャージ機能を有する非接触ICカード又はICチップ搭載型携帯電話機を乗車券として利用する場合の有効期限切れ通知システムに関し、特に小児乗車券の有効期限切れ通知システム、自動改札機及び上位装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、チャージ機能を有する非接触ICカード(以下、ICカードと称する。)又はICチップ搭載型形態電話機を乗車券として利用することが可能になってきた。このような乗車券として利用する場合の有効期限切れの通知方法に関し、以下に示す通知方法が知られている。
【0003】
第1の方法は、定期券の有効期限切れの前に有効期限切れの日又は警告を、利用する自動改札機に表示する方法である(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
第2の方法は、定期券の有効期限切れの場合の処理方法として、チャージから減額するかどうかを設定する制限情報をICカードに記憶しておき、定期券の有効期限切れの場合、当該制限情報を判別し、制限情報が含まれている場合には通行を阻止する方法である(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−21803号公報(第12−13頁、図8)
【特許文献2】特開2005−242939号公報(第6−7頁、図7)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した第1の方法は、利用客が警報に気が付かずに利用した結果、有効期限が過ぎてしまい、通行が阻止されてしまうという課題がある。
【0007】
また、Suica(登録商標)、PASMO(登録商標)などのICカードを小児乗車券に使用している場合、小児乗車券の期限切れが発生する12歳到達後の3月31日を過ぎて自動改札機で使用された場合には、当該自動改札機によって阻止される。
【0008】
小児乗車券が12才到達後の3月31日を過ぎて使用された場合、当該乗車券には大人料金が適用されるため、自動改札機による通行が一端拒絶される。当該小児乗車券にチャージ残額がある場合であっても通行を拒絶する運用を行っている。
【0009】
これは、小児料金の使用期限が切れたからといって、小児乗車券を使用して交通機関を利用する利用者の了解を得ずに大人料金体系に自動的に移行するようなことはせず、小児料金としての利用が出来ないことを利用者に通知し、その了解のもとに大人料金を適用する趣旨である。
【0010】
この場合、現行の運用では、当該乗車券を所持している利用者が駅改札窓口に行き、阻止された小児乗車券を駅係員に手渡す。駅係員は、定期券発行機または窓口機などを操作して、当該乗車券の券種を小児から大人に変更する変更作業を行っている。このように、小児乗車券の期限切れが発生すると必ず駅係員による手作業が発生するという課題があった。
【0011】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、小児用ICカードが有効期限切れになった場合、券種を小児から大人に変更してチャージ機能を有効にし、かつ、事前に登録した通知先に小児用ICカードの期限切れ情報を通知することができる有効期限切れ通知システム、自動改札機及び上位装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1記載の有効期限切れ通知システムは、小児乗車券として利用可能なICカードを発行するICカード発行手段と、このICカード発行手段によって発行されたICカードの乗車情報を判定することにより利用者の通行の可否を行う自動改札機と、前記ICカード発行手段及び前記自動改札機とネットワークを介して通信可能に接続された上位装置と、を有する有効期限切れ通知システムであって、前記ICカード発行手段は、個人情報若しくは乗車情報からなる第1の情報、通知先情報からなる第2の情報、又は自動券種変更情報からなる第3の情報を入力する操作画面及び当該操作画面の表示内容に基づいて情報を入力することのできる入力手段からなる操作表示手段と、を備え、前記自動改札機は、ICカードの前記第1の情報に基づく有効期限切れを判定する有効期限切判定手段と、この有効期限切判定手段による判定の結果、当該ICカードが有効期限切れの場合、さらに、第3の情報に基づく自動券種変更情報の有無を判定する自動券種変更判定手段と、この自動券種変更判定手段による判定の結果、自動券種変更フラグがオンのとき、前記ICカードの券種を小児から大人に変更する自動券種変更手段と、この自動券種変更手段による変更に基づき大人乗車券として当該自動改札機で乗車判定を行う乗車判定手段と、当該ICカードの識別情報を読み込み、読み込んだ識別情報を上位サーバに送信する識別情報送信手段と、を備え、前記上位装置は、前記自動改札機の識別情報送信手段から送信された識別情報を受信する受信手段と、この受信手段によって受信した識別情報をインデックスとして第2の情報に基づき通知先情報を検索する通知先情報検索手段と、この通知先情報にEメールアドレスが登録されている場合、当該Eメールアドレスにメール文章を送信する送信手段と、前記通知先情報にEメールアドレスが登録されていないが、電話番号が登録されている場合、当該電話番号先に自動音声案内を行う音声案内手段と、を備えたことを特徴とする。
【0013】
また、本発明の請求項3記載の自動改札機は、小児乗車券として利用可能なICカードを発行するICカード発行手段と、このICカード発行手段によって発行されたICカードの乗車情報を判定することにより利用者の通行の可否を行う自動改札機と、前記ICカード発行機及び前記自動改札機とネットワークを介して通信可能に接続された上位装置と、から構成された有効期限切れ通知システムの自動改札機であって、前記自動改札機は、ICカードの有効期限切れを判定する有効期限切判定手段と、この有効期限切判定手段による判定の結果、前記ICカードが有効期限切れの場合、さらに、自動券種変更フラグを判定する自動券種変更判定手段と、この記自動券種変更判定手段による判定の結果、自動券種変更フラグがオンのとき、前記ICカードの券種を小児から大人に変更する自動券種変更手段と、この自動券種変更手段による変更に基づき大人乗車券として当該自動改札機で乗車判定を行う乗車判定手段と、当該ICカードの識別情報を読み込み、読み込んだ識別情報を上位サーバに送信する識別情報送信手段と、を備えたことを特徴とする。
【0014】
さらに、請求項4記載の上位装置は、小児乗車券として利用可能なICカードを発行するICカード発行手段と、このICカード発行手段によって発行されたICカードの乗車情報を判定することにより利用者の通行の可否を行う自動改札機と、前記ICカード発行機及び前記自動改札機とネットワークを介して通信可能に接続された上位装置と、から構成された有効期限切れ通知システムの上位装置であって、前記上位装置は、前記自動改札機の識別情報送信手段から送信された識別情報を受信する受信手段と、この受信手段によって受信した識別情報をインデックスとして通知先情報を検索する通知先情報検索手段と、この通知先情報にEメールアドレスが登録されている場合、当該Eメールアドレスにメール文章を送信する送信手段と、前記通知先情報にEメールアドレスが登録されていないが、電話番号が登録されている場合、当該電話番号先に自動音声案内を行う音声案内手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
小児乗車券が有効期限切れになった場合、その旨が利用者に通知され、かつ、券種が小児から大人に変更され、チャージ機能が有効になるため、自動改札機で通行が拒否されることなく利用可能になる。その結果、利用者の利便性だけでなく、係員による券種変更操作が不要となることによる利便性が改善される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施例に係る有効期限切れ通知システム
【図2】図1に示す定期券発行機の操作表示部に表示された定期券情報入力画面
【図3】図2に示す定期券発行機の操作表示部に表示された通知情報入力画面
【図4】図2に示す定期券発行機の操作表示部に表示された自動券種変更画面
【図5】サーバに登録された通知先情報の一例
【図6】ICカードに記憶されたエンコード情報を示す図
【図7】自動券種変更「する」場合又は「しない」場合の通知情報
【図8】本発明に係る小児ICカード発行処理のフローチャート
【図9】自動改札機による券種変更処理のフローチャート
【図10】サーバによる券種変更処理
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の有効期限切れ通知システムは、定期券発行機又は窓口機など乗車券としてのICカードの読取・書込可能な装置と、これらの装置とネットワークを介して接続されたサーバと、利用者が利用する電話、携帯電話、及びPCなどの通信端末と通知可能な手段と、を、備え、有効期限切れ小児乗車券が自動改札機で使用された場合、当該ネットワークを介して期限切れ通知を行うと共に当該自動改札機で小児から大人への券種変更を行い自動改札機での通行を可能にする。本発明を実施するための形態は以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
【実施例】
【0018】
図1は、本発明の実施例に係るICカードの有効期限切れ通知システムの一例である。本実施例の有効期限切れ通知システム100は、3層構造を有するネットワークによって構成される。
【0019】
第1層のネットワーク40は、各駅に設置された構内ネットワーク(LAN)40であり、この構内ネットワーク40に定期券発行機(ICカード発行手段)10、自動改札機20a、20bからなる駅務機器及びサーバ30aが接続される。各駅務機器は、この構内ネットワーク40を介してサーバ30aと通信ができる。
【0020】
第2層のネットワーク140には、上記第1層のネットワークを管理する各駅のサーバ及び上位サーバ(上位装置)130が接続される。図示した例では、A駅のサーバ30a、B駅のサーバ30b、C駅のサーバ30c、、、はこのネットワーク140を介して上位サーバ130と通信ができる。
【0021】
第3層のネットワーク240には、有線・無線電話、Eメールなどの通信回線が含まれ、ICカード利用者が所有する通信端末は、このネットワーク240に接続される。
【0022】
ICカード利用者が所有する通信端末には、有線電話又は携帯電話などの無線電話、インターネット又はメール通信可能なPC(Personal Computer)が含まれる。
【0023】
以上説明した構成を以下に具体的に説明する。
【0024】
定期券発行機(ICカード発行手段)10は、本発明に係る非接触ICカード(以下、ICカードと称する。)Tを発行する装置で、操作表示部(操作表示手段)11、ICカード出入口12、磁気定期券出入口13、及び申込用紙出入口14が設けられている。この定期券発行機10は、構内ネットワーク(LAN)40を介してサーバ30aに接続されている。
【0025】
定期券発行機10は、構内ネットワーク(LAN)40を介してサーバ30aと通信可能に接続されているが、本発明は他の通信手段であっても達成することができるのは言うにおよばない。
【0026】
自動改札機20(自動改札機20a、20bの総称)は、駅改札口に設置され、利用者が携帯する上記ICカードTを当該自動改札機20にかざすことにより通行することができる装置であり、既に実用化されている。当該ICカードTを自動改札機20読取部(図示しない)にかざすと(又は接触すると)、ICカードTの識別情報、個人情報、乗車情報、自動券種変更情報が読み込まれる。
【0027】
識別情報は、ICカードTを識別するための識別番号(図6参照)であり、詳細は後述する。
【0028】
個人情報は、利用者個人を特定するための情報であり、名前、生年月日、住所、性別、国籍などがあるが、本実施例では、名前及び生年月日を個人情報としているが、これに限定するものではない。
【0029】
乗車情報は、有効期限、経路、発着駅、利用日付などからなり、ICカードを普通乗車券として又は定期券として利用する場合の乗車情報である。
【0030】
券種情報は、小児又は大人を区別するための情報で、小児料金又は大人料金の何れかを適用する場合の基本的な情報である。
【0031】
読み込まれた個人情報及び乗車情報は、サーバ30に送信され、当該乗車情報の判定が行われる。この判定の結果に基づいて自動改札機20の改札通路の通行を許可するか否かが決定される。
【0032】
サーバ30は、ネットワーク140を介して上位サーバ(上位装置)130に接続される。
【0033】
この上位サーバ(上位装置)130は、駅務情報の全てを管理する。例えば、料金改定、新駅開業などの駅務情報、ICカード発行又は変更の際の登録情報がデータベースとして保存されている。従って、例えば、各駅に設置されたサーバ30(サーバ30a、30b、、、、の総称)から登録データの照会又は乗車券の識別番号に係る登録情報の問合せがあると、当該問合せに係る登録情報をサーバ30に送信する。
【0034】
サーバ30は、上位サーバ130から受信した当該登録情報を役務機器である定期券発行機10、自動改札機20、窓口機(図示しない)などに送信する。
【0035】
自動改札機20は、当該登録情報を基に、利用者の所持する乗車券の券種、乗車期間、料金、などを判別する。この判別の結果に基づいて通行の可否を行う。
【0036】
通信端末300は、上位サーバ130からネットワーク240を経て通知情報が通知される端末機器である。この通信端末300には、電話301、携帯302及びPC303などが含まれる。上述した通りである。
【0037】
なお、本実施例に係る小児用ICカードTは、大人用ICカード同様に取り扱うことができるため、特に区別する場合は大人用ICカード、小児用ICカードと記載して説明するが、特に区別しない場合にはICカードとし、両方を含むものとして説明する。
【0038】
図2は、定期券発行機10の操作表示部11に表示された個人情報若しくは乗車情報からなる第1の情報を入力する定期券情報入力画面11dの一例である。なお、操作表示部11は、入力した情報を表示する入力画面11a、11bであって当該情報を入力するキーボードでもある。表示画面には必要に応じてソフトウェアキーボードが表示されるため、表示画面であると共に入力手段でもある。従って、特に区別した場合を除いて操作表示部11というときには、11a、11b及び項目選択釦11cの総称である。
【0039】
本実施例では、小児乗車券としての利用可能なICカードからなるSF(ストアードフェア(料金積み増し))乗車券(チャージ乗車券とも称する場合もある。)を定期券として使用する場合を示す。小児乗車券の場合、小児運賃が適用されるのは、12才到達後の3月31日までであり、その後は大人運賃が適用される。なお、ここでは、学生割引運賃などその他の割引運賃は、小児、大人という区分と別の運用であるため、考慮しない。
【0040】
係員はこの定期券情報入力画面11dに定期券の購入に必要な情報を入力する。従って、操作表示部11は、表示手段であり、また入力手段でもある。定期券情報の入力を終了した場合、次画面選択釦11eを押下することによって、後述する図3に示す通知先情報入力画面11cに切り換えることができる。
【0041】
以下、上述した小児用ICカード(SF乗車券)を定期券として使用する場合の個人情報及び乗車情報は以下の通りである。
名前 ヤマダ ハナコ
性別 :女
生年月日:平成08年10月10日
年齢 :12
乗車区間:川崎―東京
定期券種別:小児 一般
期間 :21年01月01日 から 21年03月31日
発行日 :20年10月01日
上述したデータは、利用者から提出された定期券申込用紙又はSF乗車券の購入申込用紙に記載されたデータに基づいて登録される。
【0042】
上記利用者(ヤマダ ハナコ)の場合、当該ICカードはSF乗車券として平成20年10月1日に発行され、小児乗車券として使用していたが、平成21年1月1日から3月31日まで川崎―東京間の小児定期券を購入した場合を示す。
【0043】
このICカードの場合、上述したように平成21年3月31日までは、小児乗車券として小児運賃による鉄道利用が可能である。また、平成21年1月1日から3月31日までは小児用定期券として川崎―東京間の鉄道利用が可能である。
【0044】
しかしながら、平成21年4月1日以降は、12才経過後の3月31日を経過しており、上記小児運賃による利用はできないため、現行の運用上は、小児用定期券はもとより、小児乗車券としても使用できない。
【0045】
従って、現行方式では、当該利用者(ヤマダ ハナコ)が当年4月1日に当該小児乗車券を自動改札機に使用した場合には通行が拒否される。この場合には、当該利用者は改札窓口に出向き、駅窓口に設置された窓口機又は上述した定期券発行機により乗車券種別を小児・一般から大人・一般に変更してもらう必要がある。
【0046】
図3は、図2に示す定期券発行機10の操作表示部11に表示された通知先情報からなる第2の情報を入力する通知先情報入力画面11fの一例である。この通知先情報入力画面11fは、SFカード又は定期券の購入者が定期券の購入と同時に提出した通知先情報に基づいて操作表示部11に表示された通知先情報入力画面11cである。係員は、この画面に通知先情報を入力する。なお、全画面選択釦11gを押下することによって、図2に示す定期券情報入力画面11dに切り換えることができる。
【0047】
このようにして、個人情報、乗車情報及び通知先情報の入力が終了したとき入力完了釦11hを押下することにより入力処理が終了する。
【0048】
また、以上の操作によって個人情報、乗車情報及び通知情報を変更することができるのは言うに及ばない。
【0049】
また、定期券としての使用を行わないSFカードとして使用する場合も、SFカード情報入力画面(図示しない)から、上記乗車区間の入力を必要としないだけであり、同様の操作によって発行することができる。
【0050】
図4は、図2に示す定期券発行機10の操作表示部11に表示された自動券種変更情報からなる第3の情報を入力する自動券種変更入力画面11iの一例である。この自動券種変更入力画面11iは、SFカード又は定期券の購入者が定期券の購入と同時に提出した通知先情報に基づいて操作表示部11に表示された自動券種変更入力画面である。係員は、この画面に自動券種変更を行うか否かの可否を入力する。
【0051】
この自動券種変更入力画面は、有効期限が切れた場合に自動で券種変更を行うかどうかを入力する。入力後は入力完了釦11jを押下する。なお、図示した例は、入力後の状態であるが、「自動変更する」又は「自動変更しない」の何れか選択された方が表示される。
【0052】
図5は、上位サーバ130に登録された通知先情報の一例である。サーバ30は、定期券発行機10からの要求に応じて個人情報、乗車情報及び通知先情報に共通な識別情報を付与する。なお、この識別情報は、センターシステムとしての上位サーバ130が駅務情報の全てを管理している場合には、上位サーバ130が発行した識別情報を受信し、その識別情報を付与する場合がある。本実施例では、上位サーバ130が個人情報、乗車情報及び通知先情報を管理することを前提に説明する。
【0053】
なお、この通知情報は、識別情報に関連付けられた名前、電子メールアドレス(Eメールアドレス)及び電話番号からなる通知先と、この通知先情報に通知されるメール文言及び音声案内用文言からなる通知文言で構成される。
【0054】
図示した本実施例の通知先情報は、個人を識別するための識別情報としての識別番号、名前、Eメールアドレス及び自動券種変更を「する」又は「しない」からなる情報によって構成され、この識別番号(識別情報)に関連付けて記憶手段に記憶される。従って、本実施例の場合、当該識別番号の数だけ登録可能である。このようにして登録されたデータによってデータベースが形成される。
【0055】
図示した例は、定期券の申込者である山田花子が申込用紙にEメールアドレス***@***、電話番号044−11−111、及び自動券種変更「する」を記載して申し込んだ場合の一例を示しており、識別番号0001が付与されて上位サーバ130に登録される。識別番号0002の場合には自動券種変更「しない」が上位サーバ130に登録される。他の識別番号の場合も同様である。
【0056】
図6は、ICカードに記憶されたエンコード情報を示す図である。このエンコード情報には、図5に示す識別番号及、名前、券種、カード有効期限、自動券種フラグ及びその他の情報で構成される。識別番号0001のエンコード情報は下記の通りである。
識別番号 :0001
名前 :山田花子
券種 :小児
カード有効期限:2009年3月31日
自動券種変更フラグ:ON(する)
となる。
【0057】
一方、識別番号0003のエンコード情報は、大人であるため、カード有効期限は無期限となり期限の限定がなく、従って自動券種変更フラグに関する情報もなく下記の通りである。
【0058】
識別番号 :0003
名前 :山本三郎
券種 :大人
識別番号0002は小児で自動券種変更フラグがOFF(しない)の場合のエンコード情報の一例であり、識別番号0004は小児で自動券種変更フラグがON(する)の場合のエンコード情報の一例である。
【0059】
図7は、自動券種変更「する」又は「しない」場合の通知情報の内容である。
(1)は自動券種変更する場合の通知情報としてのEメールの通知文章である。
(2)は自動券種変更する場合の通知情報としての電話音声による音声案内である。
(3)は自動券種変更しない場合の通知情報としてのEメールの通知文章である。
(4)は自動券種変更しない場合の通知情報としての電話音声による音声案内である。
【0060】
この情報は、以下に示すサーバによる券種変更処理の中で使用される。
【0061】
図8は、本発明に係る小児ICカード発行処理のフローチャートである。
【0062】
駅係員は、申込用紙に記載された定期券情報(個人情報)を入力する(S01)。次に、通知先情報を入力する(S02)。次に、自動券種変更を行うかどうかを入力する(S03)。次に、ICカード(乗車券)を発行する(S03)。次に、通知先情報を上位サーバ130(サーバ30を介して上位サーバ130に送信する。)に送信する。
【0063】
図9は、自動改札機による券種変更処理のフローチャートである。図8に示した小児ICカード発行処理に基づいて作成されたICカードを乗車券として使用し、自動改札機により券種変更処理が行われる場合の処理を説明する。
【0064】
小児用ICカードが有効期限切れであるか判定する(S1、有効期限切れ判定手段)。この判別の結果、小児用ICカードでない場合には(S1のNO)、処理が行われずにENDになる。
【0065】
ステップS1の判定の結果、小児用ICカードが有効期限切れの場合(S10のYes)、自動券種変更フラグがオン(自動券種変更を行う)かオフ(自動券種変更を行わない)か判定する(S11、自動券種変更判定手段)。この判定の結果、自動券種変更を行う場合(S11のYes)、ICカードの券種を小児から大人に変更する(S12、自動券種変更手段)。
【0066】
ICカードを大人に変更した場合には、大人のICカードの有効期限はない(いつまででも使える)ので、ICカードの有効期限をクリアする(S13)。
【0067】
上記自動券種変更手段による変更に基づき大人乗車券として当該自動改札機で乗車判定を行う(乗車判定手段)。この乗車判定手段により、自動改札機の通行の可否が行われる。
【0068】
次に、乗車券の識別情報を読み込む(S14)。読み込んだ識別情報を上位サーバ130に送信する(S15、識別情報送信手段)。なお、本実施例では、上述したように、サーバ30を介して上位サーバ130に送信することになる。
【0069】
図10は、上位サーバ130による券種変更処理である。
【0070】
自動改札の識別情報送手段から送信された識別情報を受信する(S20)。
【0071】
受信した識別情報をインデックスとして通知先情報を検索する(S21)。
【0072】
通知先情報にEメールアドレスが登録されているか確認する(S22)。この確認の結果、Eメールアドレスが登録されている場合(S22のYes)、自動券種変更を行うか確認する(S23)。
【0073】
自動券種変更を行う場合(S23のYes):
Eメールアドレスに通知情報として図7(1)記載のメール文章を送信する(S24)。
【0074】
自動券種変更を行わない場合(S23のNo):
Eメールアドレスに通知情報として図7(3)記載のメール文章を送信する(S25)。
【0075】
ステップS22において、Eメールアドレスが登録されていない場合(S22のNo)であって、通知先情報に電話番号が登録されているか確認する。この確認の結果、電話番号が登録されている場合(S26のYes)、自動券種変更を行うか確認する(S27)。
【0076】
自動券種変更を行う場合(S27のYes):
電話番号先に通知情報として図7(2)記載の自動音声案内を行う(S28)。
【0077】
自動券種変更を行わない場合(S27のNo):
電話番号先に通知情報として図7(4)記載の自動音声案内を行う(S29)。
【0078】
以上説明したように、本発明の実施例によれば、小児用ICカードが有効期限切れになった場合、当該自動改札機は、当該小児用ICカードの券種を小児から大人に変更してチャージ機能を有効にし、かつ、事前に登録した通知先に、小児用ICカードの期限切れ情報をEメール又は電話により通知することができるため、当該ICカードが有効期限切れになっても継続して使用することができる。その結果、駅係員が小児から大人への券種変更作業をする必要がなくなり、利用者及び駅係員の両方の使い勝手が向上する。
【符号の説明】
【0079】
T ICカード
10 定期券発行機
11 操作表示部
12 ICカード出入口
14 申込用紙出入口
20a、20b 自動改札装置
30a、30b、30c、30d サーバ
40 構内ネットワーク
130 上位サーバ
140 ネットワーク
240 ネットワーク
300 通信端末
301 電話
302 携帯
303 PC

【特許請求の範囲】
【請求項1】
小児乗車券として利用可能なICカードを発行するICカード発行手段と、このICカード発行手段によって発行されたICカードの乗車情報を判定することにより利用者の通行の可否を行う自動改札機と、前記ICカード発行手段及び前記自動改札機とネットワークを介して通信可能に接続された上位装置と、を有する有効期限切れ通知システムであって、
前記ICカード発行手段は、
個人情報若しくは乗車情報からなる第1の情報、通知先情報からなる第2の情報、又は自動券種変更情報からなる第3の情報を入力する操作画面及び当該操作画面の表示内容に基づいて情報を入力することのできる入力手段からなる操作表示手段と、
を備え、
前記自動改札機は、
ICカードの前記第1の情報に基づく有効期限切れを判定する有効期限切判定手段と、
この有効期限切判定手段による判定の結果、当該ICカードが有効期限切れの場合、さらに、第3の情報に基づく自動券種変更情報の有無を判定する自動券種変更判定手段と、
この自動券種変更判定手段による判定の結果、自動券種変更フラグがオンのとき、前記ICカードの券種を小児から大人に変更する自動券種変更手段と、
この自動券種変更手段による変更に基づき大人乗車券として当該自動改札機で乗車判定を行う乗車判定手段と、
当該ICカードの識別情報を読み込み、読み込んだ識別情報を上位サーバに送信する識別情報送信手段と、を備え、
前記上位装置は、
前記自動改札機の識別情報送信手段から送信された識別情報を受信する受信手段と、
この受信手段によって受信した識別情報をインデックスとして第2の情報に基づき通知先情報を検索する通知先情報検索手段と、
この通知先情報にEメールアドレスが登録されている場合、当該Eメールアドレスにメール文章を送信する送信手段と、
前記通知先情報にEメールアドレスが登録されていないが、電話番号が登録されている場合、当該電話番号先に自動音声案内を行う音声案内手段と、
を備えたことを特徴とする有効期限切れ通知システム。
【請求項2】
前記第1の情報は、
当該ICカードを利用する利用者の個人情報としての生年月日、名前、小児又は大人を示す券種情報と、
乗車区間及び乗車期間示す乗車情報と、を含み、
前記第2の情報は、
通知先情報としてのEメールアドレス及び電話番号を含み、
前記第3の情報は、
自動券種変更を行うか行わないかを示すフラグのオン、オフ情報を含む
ことを特徴とする請求項1記載の有効期限切れ通知システム。
【請求項3】
小児乗車券として利用可能なICカードを発行するICカード発行手段と、このICカード発行手段によって発行されたICカードの乗車情報を判定することにより利用者の通行の可否を行う自動改札機と、前記ICカード発行機及び前記自動改札機とネットワークを介して通信可能に接続された上位装置と、を有する有効期限切れ通知システムの自動改札機であって、
前記自動改札機は、
ICカードの有効期限切れを判定する有効期限切判定手段と、
この有効期限切判定手段による判定の結果、前記ICカードが有効期限切れの場合、さらに、自動券種変更フラグを判定する自動券種変更判定手段と、
この自動券種変更判定手段による判定の結果、自動券種変更フラグがオンのとき、前記ICカードの券種を小児から大人に変更する自動券種変更手段と、
この自動券種変更手段による変更に基づき大人乗車券として当該自動改札機で乗車判定を行う乗車判定手段と、
当該ICカードの識別情報を読み込み、読み込んだ識別情報を上位サーバに送信する識別情報送信手段と、
を備えたことを特徴とする自動改札機。
【請求項4】
小児乗車券として利用可能なICカードを発行するICカード発行手段と、このICカード発行手段によって発行されたICカードの乗車情報を判定することにより利用者の通行の可否を行う自動改札機と、前記ICカード発行機及び前記自動改札機とネットワークを介して通信可能に接続された上位装置と、を有する有効期限切れ通知システムの上位装置であって、
前記上位装置は、
前記自動改札機の識別情報送信手段から送信された識別情報を受信する受信手段と、
この受信手段によって受信した識別情報をインデックスとして通知先情報を検索する通知先情報検索手段と、
この通知先情報にEメールアドレスが登録されている場合、当該Eメールアドレスにメール文章を送信する送信手段と、
前記通知先情報にEメールアドレスが登録されていないが、電話番号が登録されている場合、当該電話番号先に自動音声案内を行う音声案内手段と、
を備えたことを特徴とする上位装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−113507(P2011−113507A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−272043(P2009−272043)
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】