説明

有害生物捕獲器及び有害生物捕獲器カバー

【課題】様々な場所に設置可能で、有害生物の捕獲性能や耐久性、堅牢性に優れた有害生物捕獲器を提供する。
【解決手段】有害生物捕獲器101は、有害生物捕獲器カバー102と粘着シート201とを備える。有害生物捕獲器カバー102の第1平板部105及び第2平板部107は、離間して対面している。第1支持部104及び第2支持部106は、互いに離間して対面し、それぞれが第1平板部105と第2平板部107とを連結している。第1支持部104及び第2支持部106のそれぞれには、折曲部110が設けられる。折曲部110は、第1支持部104及び第2支持部106を折り曲げて、第1平板部105と第2平板部107とを近接離反させる。粘着シート201は、第1支持部104と第1平板部105と第2支持部106と第2平板部107とで囲われる空間内に着脱自在に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネズミ、ゴキブリ等の有害生物を捕獲するための有害生物捕獲器、及び、これを構成する有害生物捕獲器カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、台所、水周り、居間等で発生するネズミ、ゴキブリ等の有害生物を捕獲するための有害生物捕獲器がある。有害生物捕獲器は、冷蔵庫の下、流し台の脇、居間の隅等、様々な場所に設置される。この有害生物捕獲器は、粘着シートを内部に有し、内部に侵入した有害生物をこの粘着シートによって捕獲する。
【0003】
有害生物捕獲器の一例は、特許文献1に記載の組立式粘着トラップである。この組立式粘着トラップは、略平坦な底板1と屋根板2とからなる筒状のトラップ本体と、これに挿入される粘着板3とを有する。この組立式粘着トラップでは、底板1に載置されている粘着板3の端を押さえる折り上げ突起6が、底板1の開放端部の少なくとも一箇所に設けられている。そして、特許文献1によれば、この組立式粘着トラップにおいて、粘着板3をトラップ本体に挿入して底板1に載置し折り上げ突起6の下にはさみ込むだけで、底板1に確実な固定をすることができる、とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平5―95282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
有害生物捕獲器には、捕獲性能の良さ、製造コストの低減、耐久性の向上等が求められる。
【0006】
例えば、有害生物捕獲器には、冷蔵庫の下や流し台の脇等の狭い場所にも設置できる構造が求められる。
【0007】
また、有害生物捕獲器において、粘着シートは、この上に有害生物を通過させて捕獲するために、粘着剤を上方に向けて配置される。しかしながら、粘着剤が上方に向いたままでいると、粘着剤の上にホコリが溜まり、粘着シートが有する有害生物の捕獲性能が減少する。このため、有害生物捕獲器には、粘着シートに対する防塵をなす構造も求められる。
【0008】
また、有害生物捕獲器は、床面に載置されてそのまま放置される。このため、有害生物捕獲器には、使用者の足が当たったり、椅子や机等の家具に接触したり、落下した食器が衝突したりすることがある。そこで、有害生物捕獲器には、使用者、家具及び食器を粘着シートに接触させなくするとともに、使用者、家具及び食器が接触しても破損しないような堅牢性が求められる。
【0009】
さらに、有害生物捕獲器に用いられる粘着シートは、交換可能なものを用いることが望ましい。このとき、粘着シートは、有害生物捕獲器に取り付けられた状態では外れにくく、かつ、使用者が交換しようとするときには取り替えやすいことが求められる。
【0010】
本発明は、上記の点を鑑みてなされたものであり、様々な場所に設置可能で、有害生物の捕獲性能や耐久性、堅牢性に優れた有害生物捕獲器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の有害生物捕獲器は、離間して対面する一対の平板部と、離間して対面し、それぞれが前記平板部同士を連結する平板状の一対の支持部と、各前記支持部に設けられ、当該支持部を折り曲げて前記平板部同士を近接離反させる折曲部と、いずれか一方の前記平板部の内側面に接しさせて各前記平板部と各前記支持部とで囲われる空間内に着脱自在に配置される台紙と、前記台紙における前記空間に向く面に設けられる粘着剤と、を備える粘着シートと、を備える。
【0012】
本発明の有害生物捕獲器カバーは、離間して対面する一対の平板部と、離間して対面し、それぞれが前記平板部同士を連結する平板状の一対の支持部と、各前記支持部に設けられ、当該支持部を折り曲げて前記平板部同士を近接離反させる折曲部と、を備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、有害生物捕獲器は折曲部によって小さくなり、様々な場所に設置可能になる。また、平板部は、粘着シートにホコリが落ちることを防ぎ、このために、使用者、家具及び食器が粘着シートに接触するが防がれる。すなわち、有害生物捕獲器における有害生物の捕獲性能が維持され、耐久性及び堅牢性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】有害生物捕獲器の斜視図である。
【図2】図1とは異なる方法で粘着シートを内部に位置付けた有害生物捕獲器の斜視図である。
【図3】有害生物捕獲器カバーの斜視図である。
【図4】ストッパと第2平板部とが取り付けられる前の板状部材の斜視図である。
【図5】粘着シートの平面図である。
【図6】(a)及び(b)は、床面に設置される有害生物捕獲器を示す正面図である。
【図7】(a)及び(b)は、床面に設置される有害生物捕獲器を示す正面図である。
【図8】(a)ないし(c)は、二枚の粘着シートを取り付けた有害生物捕獲器を示す正面図である。
【図9】板状部材の折り曲げ箇所の加工方法の変形例を拡大して示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
実施の一形態を、図1ないし図7に基づいて説明する。図1は、有害生物捕獲器101の斜視図である。有害生物捕獲器101は、有害生物捕獲器カバー102と、粘着シート201とを備える。有害生物捕獲器カバー102は、概ね扁平な矩形の箱型形状をなしている。有害生物捕獲器カバー102は、対面する二つの箇所に開口部301を有し、トンネル状のトンネル空間302を形成している。粘着シート201は、有害生物捕獲器カバー102の中に配置され、この有害生物捕獲器カバー102に対して着脱自在となっている。粘着シート201は、台紙202の一面に粘着剤203を設け、この粘着剤203に合成樹脂性誘引物204(図5参照)を取り付けて構成される。有害生物捕獲器101は、冷蔵庫の下や流し台の脇に設置される。そして、有害生物捕獲器101は、有害生物捕獲器カバー102の開口部301から侵入したネズミ等の有害生物(図示せず)を粘着シート201によって捕獲する。
【0016】
有害生物捕獲器カバー102は、ストッパ103と第1支持部104と第1平板部105と第2支持部106と第2平板部107とを有する。この有害生物捕獲器カバー102は、一枚の板状部材PPに複数の折り目を設けて折り曲げ加工し、ストッパ103と第2平板部107とを接着剤等で固定して筒状に形成される。ストッパ103は、第2平板部107において有害生物捕獲器カバー102の内側を向く面に取り付けられる。また、第1平板部105と第2平板部107とは、いずれも平板状であって、トンネル空間302を挟んで離間して対面する。また、第1支持部104と第2支持部106とは、いずれも平板状であって、トンネル空間302を挟んで離間して対面する。第1支持部104と第2支持部106とは、それぞれが第1平板部105と第2平板部107とを連結している。また、ストッパ103は、平板状の部材である。このストッパ103は、第2平板部107における内側面から、板状部材PPの厚さdだけトンネル空間302に向けて突出する。このストッパ103は、第2支持部106の内側面106aから離間している。
【0017】
粘着シート201は、図1に示すような配置状態で有害生物捕獲器カバー102内に配置可能である。より詳細に述べると、図1において、第1平板部105の外側面は、床面FLに接している。また、第2平板部107は、床面FLから離反している。この場合、粘着シート201は、折り曲げられることなく、開口部301から導入されて第1平板部105に台紙202を接しさせてこの第1平板部105の上に位置付けられる。この配置状態を、第1配置状態と呼ぶ。このとき、粘着シート201は、第2支持部106の内側面106aと第1支持部104の内側面104aとに挟まれて固定される。
【0018】
ここで、第2平板部107の外側面に滑止部材(図示せず)を取り付けてもよい。滑止部材は、一例として、半球形状に形成されたゴム素材であり、第2平板部107に接着剤によって接着されてもよいし、熱によって滑止部材の一部を溶かして接着されてもよい。この滑止部材は、有害生物捕獲器101が床面FL上を滑ることを防止する。
【0019】
図2は、図1とは異なる方法で粘着シート201を内部に位置付けた有害生物捕獲器101の斜視図である。また、粘着シート201は、粘着シート折曲部206(図5も参照)を有する。これにより、粘着シート201は、図2に示すような配置状態で有害生物捕獲器カバー102内に配置可能である。より詳細に述べると、第2平板部107を床面FLに接している。この場合、粘着シート201は、粘着シート折曲部206によって粘着剤203が内側を向くように折り曲げられた状態で開口部301から導入されて、ストッパ103の側面103aと第2支持部106の内側面106aとに挟まれ、第2平板部107に台紙202を接しさせて固定される。この粘着シート201の配置状態を、第2配置状態と呼ぶ。このとき、粘着シート201の一部は、第2支持部106に沿うようにストッパ103から立ち上がる。ここで、第1平板部105の外側面に滑止部材108が取り付けてもよい。
【0020】
図3は、有害生物捕獲器カバー102の斜視図である。有害生物捕獲器カバー102は、一枚の板状部材PPから形成される。板状部材PPの一例は、プラスチックダンボールである。以下、板状部材PPがプラスチックダンボールである場合について説明する。なお、当然のことながら、有害生物捕獲器101を構成する有害生物捕獲器カバー102を製造する素材は、板状の部材であれば良く、例えば、スチレンボードであってもよい。
【0021】
プラスチックダンボールは、ポリプロピレン、ポリカーボネート等の素材で形成され、ボール紙製のダンボールに比べて強度と耐久性、耐水性に優れている。プラスチックダンボールは、外側を向く平面を形成するライナーと、波状形状をなし二枚のライナーに挟まれてライナーを補強する中芯とを備える。そして、板状部材PPは、中芯によって形成される筋109の延びる方向を長辺とする長尺の平板部材である。有害生物捕獲器カバー102を形成するに際して、板状部材PPの短辺102aでは、カッター等によって二枚のライナーが切断されている。以下、このようにして切断された箇所を、切断箇所CAと呼ぶ。
【0022】
板状部材PPにおいて第1支持部104及び第2支持部106のそれぞれには、短辺102aに平行な短辺方向に延びる内側切れ込みCBが設けられる。内側切れ込みCBは、カッター等によって板状部材PPにおいて有害生物捕獲器カバー102の内側に向く一枚のライナーのみが切断されて設けられる。その結果、有害生物捕獲器カバー102の外側に向く残り一枚のライナーは、切断されない。このような内側切れ込みCBが設けられることによって、第1支持部104及び第2支持部106は、いずれも内側に折り曲げ可能となる。すなわち、第1支持部104及び第2支持部106のそれぞれに設けられる内側切れ込みCBは、第1支持部104及び第2支持部106を折り曲げて第1平板部105と第2平板部107とを近接離反させる折曲部110としての役目を果たす。
【0023】
板状部材PPには、内側切れ込みCBとは異なる外側切れ込みCCも設けられる。外側切れ込みCCは、いずれも短辺方向に延びていて、カッター等によって板状部材PPにおいて有害生物捕獲器カバー102の外側に向く一枚のライナーのみが切断されて設けられる。その結果、有害生物捕獲器カバー102の内側に向く残り一枚のライナーは、切断されない。このような外側切れ込みCCは、ストッパ103と第1支持部104との間、第1支持部104と第1平板部105との間、第1平板部105と第2支持部106との間、及び、第2支持部106と第2平板部107との間のそれぞれに設けられる。
【0024】
ところで、板状部材PPがプラクチックダンボールである場合、切断箇所CA、内側切れ込みCB及び外側切れ込みCCのそれぞれには、中芯によって形成される網目形状の開口が表れる。本実施の形態では、切断箇所CA、内側切れ込みCB及び外側切れ込みCCには加熱処理がなされており、板状部材PPの一部が溶けて網目形状の開口が封止されている。
【0025】
図4は、ストッパ103と第2平板部107とが取り付けられる前の板状部材PPの斜視図である。板状部材PPに対して、内側切れ込みCB及び外側切れ込みCCが設けられる箇所について、図4に基づいて説明する。
【0026】
まず、板状部材PPの一の短辺102aに対して長辺方向に距離L1だけ離れた箇所に、外側切れ込みCCが設けられる。この外側切れ込みCCを、符号「CC−1」で示す。外側切れ込みCC−1と短辺102aとの間の領域は、一方の平板部である第2平板部107となる。
【0027】
次いで、第2平板部107から離れる方向に外側切れ込みCC−1に対して長辺方向に距離L2(但し、L2<L1)だけ離れた箇所に、内側切れ込みCBが設けられる。この内側切れ込みCBを、符号「CB−1」で示す。そして、第2平板部107から離れる方向に内側切れ込みCB−1に対して長辺方向に距離L2だけ離れた箇所に、外側切れ込みCCが設けられる。この外側切れ込みCCを、符号「CC−2」で示す。外側切れ込みCC−1と外側切れ込みCC−2との間の領域は、一方の支持部である第2支持部106となる。また、内側切れ込みCB−1は、折曲部110となる。
【0028】
次いで、第2支持部106から離れる方向に外側切れ込みCC−2に対して長辺方向に距離L1だけ離れた箇所に、外側切れ込みCCが設けられる。この外側切れ込みCCを、符号「CC−3」で示す。外側切れ込みCC−2と外側切れ込みCC−3との間の領域は、他方の平板部である第1平板部105となる。
【0029】
次いで、第1平板部105から離れる方向に外側切れ込みCC−3に対して長辺方向に距離L2だけ離れた箇所に、内側切れ込みCBが設けられる。この内側切れ込みCBを、符号「CB−2」で示す。そして、第1平板部105から離れる方向に内側切れ込みCB−2に対して長辺方向に距離L2だけ離れた箇所に、外側切れ込みCCが設けられる。この外側切れ込みCCを、符号「CC−4」で示す。外側切れ込みCC−3と外側切れ込みCC−4との間の領域は、他方の支持部である第1支持部104となる。また、内側切れ込みCB−2は、折曲部110となる。
【0030】
次いで、板状部材PPにおいて、第1支持部104から離れる方向に長辺方向に距離L3(但し、L1>L3>L2)だけの領域を確保させて、ストッパ103が設けられる。
【0031】
すなわち、板状部材PPは、長辺方向にL1:L2:L2:L1:L2:L2:L3の長さの比率で内側切れ込みCB及び外側切れ込みCCで区分けされて、第2平板部107、第2支持部106の一部、第2支持部106の残りの一部、第1平板部105、第1支持部104の一部、第1支持部104の残りの一部、ストッパ103がこの順に長辺方向に並んで形成される。なお、当然のことながら、板状部材PPを、長辺方向にL3:L2:L2:L1:L2:L2:L1の長さの比率で区分けしてもよい。
【0032】
次いで、この板状部材PPにおいて、短辺102aと外側切れ込みCC−4とを一致させて、ストッパ103の外側面と第2平板部107の内側面とが貼り付けられる。その結果、このストッパ103は、第2支持部106の内側面106aから距離(L1−L3)だけ離間する(図2参照)。ここで、ストッパ103と第2平板部107とは、接着剤によって固定しても良いし、熱で板状部材PPの一部を溶かした上でこれらを貼り付けて固定しても良い。このように、ストッパ103と第2平板部107とが貼り付けられた結果、板状部材PPは、図1及び図2に示したような筒形状をなす有害生物捕獲器カバー102となって、トンネル空間302を形成する。
【0033】
図5は、粘着シート201の平面図である。粘着シート201を構成する台紙202は、概ね矩形形状の厚紙である。この台紙202の短辺の長さは、距離L1であり、第1平板部105及び第2平板部107の一辺の長さに等しい。台紙202の外周の四辺のそれぞれからは、折返部205が突出している。また、台紙202の上面には、粘着剤203が塗布される。粘着剤203は、ポリブデン、ゴム等の成分を含んで構成され、有害生物が通過した際にこの有害生物を捕獲し逃げ出さない程度の粘着性を有する。この粘着剤203は、台紙202に積層配置される。そして、折返部205は、折り曲げられて粘着剤203の上に覆い被さり、粘着剤203に接する。使用者は、台紙202の底面と折返部205とを指で挟んで、粘着シート201を掴むことができる。
【0034】
合成樹脂性誘引物204は、ポリプロピレン樹脂等の硬質合成樹脂原料に害獣害虫等の生物を誘引する香料を混入させて、短い円筒形状に形成される。この合成樹脂性誘引物204は、粘着剤203の上面に載置されて、台紙202の中央付近に位置付けられる。
【0035】
台紙202において粘着剤203が設けられる面とは反対側の面には、粘着シート折曲部206が設けられる。粘着シート折曲部206は、台紙202の長辺と平行に延びる折り目である。台紙202の長辺と粘着シート折曲部206とは、距離(L1−L3)である。この距離は、ストッパ103の側面103aと第2支持部106の内側面106aとの間の距離に等しい(図2参照)。
【0036】
図6(a)及び図6(b)は、床面FLに設置される有害生物捕獲器101を示す正面図である。上記のように構成される有害生物捕獲器101は、冷蔵庫の下、流し台の脇、居間の隅等、様々な場所に設置される。
【0037】
有害生物捕獲器101の設置方法の一例を、図6(a)に基づいて説明する。この一例は、前述した第1配置状態(図1参照)を基本とする。使用者は、粘着シート201を折り曲げずに開口部301から導入され、台紙202を第1平板部105に接しさせて有害生物捕獲器カバー102の内部に位置付ける。これにより、粘着剤203はトンネル空間302側に向く。続いて、使用者は、第1平板部105の外側面を床面FLに接しさせて、有害生物捕獲器101を床面FLに載置する。このとき、第1支持部104や第2支持部106は、第2平板部107を上方に位置付ける。そして、折曲部110では、板状部材PPの持つ弾性により、折り曲げられても元の板状の状態に戻ろうとする復元力が生じる。このため、第1支持部104及び第2支持部106は、このような復元力によって、第1平板部105と第2平板部107とを離反させる。その結果、トンネル空間302は、有害生物が通過するのに十分な大きさに広がる。
【0038】
有害生物捕獲器101の設置方法の別の一例を、図6(b)に基づいて説明する。この一例も、前述した第1配置状態(図1参照)を基本とする。使用者は、粘着シート201を折り曲げずに有害生物捕獲器カバー102の中に入れた状態で、第2平板部107を第1平板部105に近づけ、有害生物捕獲器101の全体の大きさを小さくする。このとき、第1支持部104及び第2支持部106はいずれも、折曲部110によって側面視「く」の字状に折り曲がる。この状態で、使用者は、有害生物捕獲器101を床面FLに載置される冷蔵庫RFと床面FLとの隙間に入れる。ここで重要なのは、有害生物捕獲器101は、床面FLと冷蔵庫RFとの間に位置付けられた場合、折曲部110で生じる復元力によって、第1支持部104及び第2支持部106はいずれも、第1平板部105を床面FLに、第2平板部107を冷蔵庫RFにそれぞれ押しつける。その結果、トンネル空間302は、床面FLと冷蔵庫RFとの間にいっぱいに広がって、有害生物が通過するのに十分な大きさになる。
【0039】
図7(a)及び図7(b)は、床面FLに設置される有害生物捕獲器101を示す正面図である。有害生物捕獲器101の設置方法のさらに別の一例を、図7(a)に基づいて説明する。この一例は、前述した第2配置状態(図2参照)を基本とする。使用者は、粘着シート201を粘着シート折曲部206で折り曲げて、台紙202を第2平板部107に接しさせて、有害生物捕獲器カバー102の内部に位置付ける。このとき、台紙202は、第2支持部106の内側面106aとストッパ103の側面103aとの間に挟まれて固定される。そして、粘着剤203はトンネル空間302側に向く。続いて、使用者は、第1支持部104を折曲部110によって折り曲げ、折れ曲がった状態の第1支持部104が開かないようにテープ111で固定する。なお、折れ曲がった状態の第1支持部104が開かないように固定するために、別の実施の形態として、有害生物捕獲器カバー102の外周を輪ゴム(図示せず)で固定するようにしてもよい。その結果、開口部301は二等辺三角形形状になる。
【0040】
続いて、使用者は、第2平板部107の外側面を床面FLに接しさせて、有害生物捕獲器101を床面FLに載置する。このとき、使用者は、折り曲げられた折曲部110を冷蔵庫RFと床面FLとの間の狭い隙間に差し込むことができる。また、折曲部110が折り曲げられて固定されることにより、有害生物はトンネル空間302において第2支持部106寄りの領域を通過するようになる。ここで重要なのは、粘着シート201は、折り曲げられて有害生物捕獲器カバー102内に配置されることにより第2支持部106の内側面106aに沿って立ち上がることになり、第2支持部106寄りの領域を通過する有害生物を捕獲しやすいということである。
【0041】
有害生物捕獲器101の設置方法のさらに別の一例を、図7(b)に基づいて説明する。この一例も、前述した第2配置状態(図2参照)を基本とする。使用者は、図7(a)に基づいて説明したものと同様に、有害生物捕獲器101の第1支持部104を折り曲げて固定し、粘着シート折曲部206で折り曲げた粘着シート201を第2支持部106の内側面106aとストッパ103の側面103aとの間に挟みこむ。続いて、使用者は、第2支持部106の外側面を床面FLに接しさせて、有害生物捕獲器101を床面FLに載置する。このとき、使用者は、有害生物捕獲器101を縦長の細い隙間、例えば冷蔵庫RFと流し台SKとの間に設置することができる。ここで、粘着シート折曲部206で折れ曲がった粘着シート201は、第2支持部106に内側面106aに沿って延びる。そして、有害生物は、開口部301から侵入して、内側面106aに沿う粘着シート201の粘着剤203の上を通過する。つまり、有害生物捕獲器101は、縦長の細い隙間にも設置可能である。
【0042】
さらに別の設置方法の例として、粘着シート201を粘着シート折曲部206で折り曲げ、台紙202を第2支持部106の内側面106aとストッパ103の側面103aとの間に挟ませて第2平板部107に接しさせ(第2配置状態)、テープ111で折れ曲がった第1支持部104を固定することなく、第2平板部107の外側面を床面FLに接しさせてもよい。
【0043】
図8(a)ないし図8(c)は、二枚の粘着シート201を取り付けた有害生物捕獲器101を示す正面図である。本実施の形態の有害生物捕獲器101には、トンネル空間302の天井となる面に、別の粘着シート201を装着することができる。
【0044】
より詳細には、使用者は、粘着シート201を粘着シート折曲部206で折り曲げ、台紙202を第2支持部106の内側面106aとストッパ103の側面103aとの間に挟ませて第2平板部107に接しさせる(第2配置状態)。続いて、使用者は、別の粘着シート201Aを、粘着シート201Aの粘着剤203Aをトンネル空間302に向けて折り曲げることなく開口部301から導入し、粘着シート201Aの台紙202Aを第1平板部105の内側面に接しさせる。続いて、使用者は、第1支持部104及び第2支持部106の両方を内側に突出するよう折り曲げる。このようにして二枚の粘着シート201,201Aを内部に取り付けた有害生物捕獲器101を、第2平板部107の外側面を床面FLに接しさせる向きに向けて床面FLに載置した場合(図8(a)参照)、粘着シート201Aは、第1支持部104と第2支持部106とに挟まれ、落下しない。
【0045】
別の方法として、使用者は、粘着シート201を折り曲げずに開口部301から導入し、台紙202を第1平板部105に接しさせる(第1配置状態)。続いて、使用者は、別の粘着シート201Aを、粘着シート201Aの粘着剤203Aをトンネル空間302に向けて折り曲げることなく開口部301から導入し、粘着シート201Aの台紙202Aを第2平板部107の内側面に接しさせる。続いて、使用者は、第1支持部104及び第2支持部106の両方を内側に突出するよう折り曲げる。このようにして二枚の粘着シート201,201Aを内部に取り付けた有害生物捕獲器101を、第1平板部105の外側面を床面FLに接しさせる向きに向けて床面FLに載置した場合(図8(b)参照)、粘着シート201Aは、第1支持部104と第2支持部106とに挟まれ、落下しない。
【0046】
なお、図8(a)に示した有害生物捕獲器101に対して、折れ曲がった状態の第1支持部104が開かないようにテープ111で固定してもよい(図8(c)参照)。
【0047】
図6(a)、図6(b)、図7(a)、図7(b)、図8(a)〜(c)のいずれの方法で設置された有害生物捕獲器101においても、粘着シート201は、合成樹脂性誘引物204に誘引されて開口部301から侵入した有害害虫を、粘着剤203によって捕獲する。とりわけ、図8(a)〜(c)に示したように二枚の粘着シート201を有害生物捕獲器101に取り付けた場合、粘着シート201が一枚の場合に比べ、粘着剤203,203Aがトンネル空間302の内周面の多くの部分を覆う。この場合、トンネル空間302に侵入した有害生物は、粘着剤203,203Aに接触しやすくなる。
【0048】
また、使用者は、必要に応じて、開口部301から粘着シート201を取り出し、別の新たな粘着シート201を開口部301から導入して有害生物捕獲器カバー102内に設置する。
【0049】
このように、本実施の形態の有害生物捕獲器101は、さまざまな形状の設置箇所に設置することができる。そして、有害生物捕獲器101では、有害生物捕獲器カバー102をどのような形状に変更しても粘着シート201の上方には有害生物捕獲器カバー102が位置し、粘着剤203にホコリが溜まるのを防ぐことができる。また、粘着シート201は有害生物捕獲器カバー102に覆われており、使用者、家具及び食器が粘着剤203に接触することが防がれている。さらに、有害生物捕獲器101では、粘着シート201は、第1平板部105の内側面に載置されたり、ストッパ103と第2支持部106との間に挟まれたりして有害生物捕獲器カバー102の内部に配置される。このため、使用者は、粘着シート201を交換しやすい。以上のように、本実施の形態の有害生物捕獲器101は、様々な場所に設置可能で、有害生物の捕獲性能や耐久性、堅牢性に優れている。
【0050】
図9は、板状部材PPの折り曲げ箇所の加工方法の変形例を拡大して示す斜視図である。一枚の板状部材PPを折り曲げ加工する場合、切断箇所CA、内側切れ込みCB及び外側切れ込みCCに対して、様々な加工を加えることができる。例えば、図9に示すように、切断して表れる網目形状の開口を封止する加熱処理を外側切れ込みCCに対してのみ行い、切断箇所CA及び内側切れ込みCBに対しては加熱処理を行わずに網目形状の開口が表れるようにしてもよい。また、図示はしないが、切断箇所CA、内側切れ込みCB及び外側切れ込みCCの全てに対して加熱処理を行わず、切断箇所CA、内側切れ込みCB及び外側切れ込みCCのいずれにおいても網目形状の開口が見えるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0051】
101 有害生物捕獲器
102 有害生物捕獲器カバー
103 ストッパ
104 第1支持部(他方の支持部)
105 第1平板部(他方の平板部)
106 第2支持部(一方の支持部)
107 第2平板部(一方の平板部)
201 粘着シート
202 台紙
203 粘着剤
206 粘着シート折曲部
302 トンネル空間
CB 内側切れ込み(折り目)
CC 外側切れ込み(折り目)
(L1−L3) 所定距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
離間して対面する一対の平板部と、
離間して対面し、それぞれが前記平板部同士を連結する平板状の一対の支持部と、
各前記支持部に設けられ、当該支持部を折り曲げて前記平板部同士を近接離反させる折曲部と、
いずれか一方の前記平板部の内側面に接しさせて各前記平板部と各前記支持部とで囲われる空間内に着脱自在に配置される台紙と、前記台紙における前記空間に向く面に設けられる粘着剤と、を備える粘着シートと、
を備える有害生物捕獲器。
【請求項2】
一方の前記平板部は、前記空間に向く面で一方の前記支持部の内側面から所定距離だけ離間した箇所に突出するストッパを有し、
前記台紙は、当該台紙の側辺から前記所定距離だけ離れた箇所に当該側辺に平行に延びる粘着シート折曲部を有する、
請求項1記載の有害生物捕獲器。
【請求項3】
一方の前記平板部と一方の前記支持部と他方の前記平板部と他方の支持部と前記ストッパとは、一枚の板状部材に当該板状部材の一辺に平行な複数の折り目を設けて折り曲げ加工して当該板状部材においてこの順に並ぶよう設けられ、
前記ストッパは、一方の前記平板部における前記空間側を向く面に貼り付けられる、
請求項2記載の有害生物捕獲器。
【請求項4】
離間して対面する一対の平板部と、
離間して対面し、それぞれが前記平板部同士を連結する平板状の一対の支持部と、
各前記支持部に設けられ、当該支持部を折り曲げて前記平板部同士を近接離反させる折曲部と、
を備える有害生物捕獲器カバー。
【請求項5】
一方の前記平板部は、各前記平板部と各前記支持部とで囲われる空間に向く面で一方の前記支持部の内側面から所定距離だけ離間した箇所に突出するストッパを有する、
請求項4記載の有害生物捕獲器カバー。
【請求項6】
一方の前記平板部と一方の前記支持部と他方の前記平板部と他方の支持部と前記ストッパとは、一枚の板状部材を当該板状部材の一辺に平行な複数の折り目を設けて折り曲げ加工して当該板状部材においてこの順に並ぶよう設けられ、
前記ストッパは、一方の前記平板部における前記空間側を向く面に貼り付けられる、
請求項5記載の有害生物捕獲器カバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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