説明

有床義歯の成形装置

【課題】筒体内で溶融した樹脂を射出することができ、製造コストを削減でき、品質の高い有床義歯を製造できる有床義歯の成形装置を提供する。
【解決手段】フラスコ2内に設けた空洞9と、フラスコ2の射出口5側に底面26を接続するアウターチューブ21と、アウターチューブ21の底面26に設けられ射出口5と連通する連通孔27と、アウターチューブ21の内部に配置され連通孔27を塞ぐ蓋体29と、射出口5に配置され該射出口5と連通孔27とを接続する接続筒14と、この接続筒14の先端に設けられ連通孔27からアウターチューブ21内に挿入されて連通孔27から蓋体29を外す挿入先端部15とを備える。アウターチューブ21を射出口5に接続すると、接続筒14の挿入先端部15が連通孔27からアウターチューブ21内に挿入され、挿入先端部15により連通孔27から蓋体29が外れ、アウターチューブ21内と射出口5が連通する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性樹脂により義歯床を成形する有床義歯の成形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、義歯床を樹脂により成形する有床義歯の製作方法が知られており、射出成形を用いる方法(例えば特許文献1)においては、高温で溶融された熱可塑性樹脂が石膏型内の空洞に射出されるため、樹脂が歯肉部分に入り易く、生産性にも優れたものとなる。
【0003】
そして、射出成形に用いる義歯床射出成形装置として、フラスコ内に形成された石膏型を用いて樹脂製の義歯床を作製するための義歯床射出成形装置において、溶融樹脂が封入された略筒形状のアウターチューブを起立状態で上部に保持する前記フラスコが載置されるテーブルと、前記テーブルを昇降させる、第1駆動源を含むテーブル昇降手段と、前記アウターチューブに封入された溶融樹脂を前記フラスコ内の石膏型の内部空洞に圧入するために前記アウターチューブの上から略垂直にピストンを降下させるエアシリンダと、前記シリンダのピストンを作動させる第2駆動源とを備える義歯床射出成形装置が提案され、この義歯床射出成形装置では、樹脂材料を有底円筒形状でアルミニウム製のインナーチューブ内に収容し、このインナーチューブの上面開口に蓋となる短手の有底アルミ筒を嵌挿し、このインナーチューブは1回の成形動作により破損するので、使い捨てであり、インナーチューブ及び蓋のアルミニウム板厚は200〜300μm程度である。そして、樹脂材料を封入したインナーチューブをアウターチューブ内に収納したままの状態で、加熱溶融装置を用いて樹脂材料を加熱することで該材料を軟化させて射出可能な状態とし、前記エアシリンダなどにより溶融樹脂を押し出すことにより射出成形が行われる。(例えば特許文献2)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公昭57−2023号公報
【特許文献2】特開2011−24602号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献2の義歯床射出成形装置では、アルミニウム板材からなるインナーチューブを加圧し、インナーチューブの底部を打ち破って溶融樹脂を射出するため、成形品内にアルミ片が混入する虞がある。また、装置の小型化及び低価格化のためにエアシリンダを用いており、そのエアシリンダが非力な空圧を使用しているにも係らず、アルミニウム板材からなるインナーチューブを押し潰すためにエネルギーを損出し、樹脂圧が低下するため、義歯床が大きい場合や微細形状がある場合には成形不良を起こす確立が高くなる。さらに、アルミニウム板材からなるインナーチューブは使い捨てのため、毎回消耗するインナーチューブのコスト分だけ製造コストが嵩む。
【0006】
そこで、本発明は上記した問題点に鑑み、筒体内で溶融した樹脂を射出することにより空圧等を十分に生かして良好な義歯を製造することができ、製造コストを削減できる有床義歯の成形装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、フラスコ内に設けた型の空洞と、前記フラスコの射出口側に底部を接続する筒体と、この筒体内の溶融樹脂を押し出して前記射出口から前記空洞内に射出する押出し手段とを備えた有床義歯の成形装置において、前記筒体の底部に設けられた連通孔と、前記筒体の内部に配置され前記連通孔を塞ぐ蓋体と、前記射出口に連通して配置され該射出口と前記連通孔とを接続する接続筒と、この接続筒の先端に設けられ前記底部の前記射出口側への接続により前記連通孔から前記筒体内に挿入されて前記連通孔から前記蓋体を外す挿入先端部とを備えることを特徴とする。
【0008】
また、請求項2に係る発明は、前記挿入先端部の側部に設けられ前記接続筒内と前記筒体内とを連通する連通部を備えることを特徴とする。
【0009】
また、請求項3に係る発明は、前記筒体を周方向において分割したことを特徴とする。
【0010】
また、請求項4に係る発明は、前記筒体が円筒状をなすことを特徴とする。
【0011】
また、請求項5に係る発明は、前記筒体の内周に平坦面を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の構成によれば、筒体底部の連通孔を蓋体により塞ぎ、その筒体の内部に樹脂を入れ、加熱して溶融する。この状態で連通孔は蓋体により塞がれているため、溶融樹脂が漏れることがない。そして、内部に溶融樹脂が入った筒体を射出口に接続すると、接続筒の挿入先端部が連通孔から筒体内に挿入され、挿入先端部により連通孔から蓋体が外れ、筒体内と射出口が連通する。この後、溶融樹脂を押出して型内に射出することができる。
【0013】
また、請求項2の構成によれば、挿入先端部の側部に連通部が設けられているため、挿入先端部の先端が蓋体により塞がれても、連通部が通路となり、溶融樹脂を射出することができる。
【0014】
また、請求項3の構成によれば、射出後、筒体を周方向に分解して筒体内に残った樹脂を取り除くことができる。
【0015】
また、請求項4の構成によれば、射出後、円筒状をなす筒体を周方向に分解して筒体内に残った樹脂を取り除くことができる。
【0016】
また、請求項5の構成によれば、内周に平坦面を有するため樹脂が付着し難くなり、樹脂を取り除き易くなる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施例1を示すフラスコと筒体の要部の断面図である。
【図2】同上、フラスコに接続した筒体の断面図である。
【図3】同上、筒体と接続筒の分解斜視図である。
【図4】同上、接続筒を示し、図4(A)は平面図、図4(B)は縦断面図である。
【図5】同上、成形装置本体の正面図である。
【図6】本発明の実施例2を示す筒体と接続筒の分解斜視図である。
【図7】同上、筒体周りを示し、図7(A)は筒体の平面図、図7(B)は筒体の縦断面図である。
【図8】同上、筒体の正面図である。
【図9】同上、上リング部を外した筒体の平面図である。
【図10】本発明の実施例2を示す筒体と接続筒の分解斜視図である。
【図11】同上、筒体の縦断面図である。
【図12】同上、筒体の底面図である。
【図13】同上、筒体の平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明における好適な実施の形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。各実施例では、従来とは異なる有床義歯の成形装置を採用することにより、従来にない有床義歯の成形装置が得られ、その有床義歯の成形装置を夫々記述する。
【実施例1】
【0019】
以下、本発明の水中構造物の据付装置を添付図面を参照して説明する。図1〜図5は、本発明の実施例1を示し、同図に示すように、有床義歯の成形装置1は、内部に空洞を設けたフラスコ2を使用する。まず、製作しようする樹脂製品と同型の模型(図示せず)をワックスまたは軟質樹脂またはワックスと軟質樹脂の合成ワックスのような熱融解性材料により形成する。前記模型には予め人工歯1Aを設ける。金属材料等からなる耐圧割型のフラスコ2は一方のフラスコ3と他方のフラスコ4とに分割形成され、両フラスコ3,4の接合面には射出口5が形成されている。前記模型を表面に形成した石膏台6を前記フラスコ4内に石膏6Aにより固定するとともに、注入した石膏6Aによりフラスコ4に一次埋没する。模型1と射出口5とを前記熱融解性材料のランナー7により連結する。フラスコ4にフラスコ3を被せてボルトナット(図示せず)で固定し、フラスコ2を適宜な固定具によりセットすると共に、フラスコ3内に注入口(図示せず)から石膏6Bを注入し二次埋没して埋没を終了する。石膏6A,6Bが硬化した後、フラスコ2を分解することにより、石膏の分割面8を介して一方の石膏型3Aと他方の石膏型4Aとに分割する。模型及びランナー7部分を溶融排出し熱湯で洗い流して両石膏型3A,4A間に空洞9を形成する。このようにして硬化した石膏6Bにより一方の石膏型3Aが形成され、石膏台6と硬化した石膏6Aとにより他方の石膏型4Aが形成される。尚、前記フラスコ2は、射出時には前記射出口5側を上面2Jにして使用される。
【0020】
図1に示すように、前記フラスコ2の上面2Jには、前記射出口5を中心とした円形の凹部11を形成し、この凹部11にはリング状の連結座12の下部が着脱可能に設けられる。この連結座12の中心には前記射出口5と連通する円形の孔13が穿設され、この孔13は射出口5より大きく形成されている。また、前記孔13には略円筒状の接続筒14が挿入され、この接続筒14の基端(下端)は前記凹部11の底面11Aに載置され、この載置状態でフラスコ2の外部に配置した接続筒14の内部が、前記射出口5と連通する。また、前記接続筒14の先端(上端)には挿入先端部15が一体に設けられており、この挿入先端部15は、基端を前記凹部11の底面11Aに載置した状態で、前記連結座12から上部に突出する。さらに、前記挿入先端部15は、側面に略U字状の連通部16が円周方向等間隔で4箇所設けられており、それら連通部16,16の間に尖鋭部17が設けられ、この尖鋭部17の外周面17Gは先端に向かって内側に向いている。すなわち、複数の尖鋭部17の外周面17Gの間隔は、先端に向かって狭くなるように形成されている。
【0021】
樹脂を溶融するために用いる筒体たるアウターチューブ21は、上下が開口したチューブ本体22と、このチューブ本体22の下端に螺着される下蓋体23とを備える。前記チューブ本体22の下端に雄螺子部24を設け、この雄螺子部24に螺合する雌螺子部25を、前記下蓋体23は有する。また、前記下蓋体23の底部たる底面26には、前記射出口5と連通する連通孔27を穿設し、この連通孔27は底面26の中心に設けられ、この底面26の上面には連通孔27の周囲に円形の凹部28が形成され、この凹部28に円形の蓋体29が着脱自在に設けられ、蓋体29を凹部28に配置することにより、該蓋体29が連通孔27を塞ぐ。尚、蓋体29はアルミニウム合金板材などにより形成されている。
【0022】
また、チューブ本体22の下端外周には、対向する位置に平坦面30,30が形成され、同様に、下蓋体23の下端外周には、対向する位置に平坦面31,31が形成されている。尚、円筒状の外周面に平坦面30,31を設けることにより、平坦面30,31を用いて部材を操作することができ、例えば平坦面31,31を用いて下蓋体23を回転して螺合操作を行うことができる。さらに、アウターチューブ21の上部には、運搬具を着脱可能に係止する係止溝32が周設されている。また、前記アウターチューブ21には、上蓋体33が移動可能に挿入されている。さらに、前記アウターチューブ21を案内する筒状の案内部材34を備え、この案内部材34は、下部が前記連結座12に外嵌してフラスコ2に位置決めされ、この位置決めされた案内部材34内に、アウターチューブ21を挿入することにより、フラスコ2にアウターチューブ21が接続される。
【0023】
前記アウターチューブ21の内面には剥離層が設けられている。この剥離層は無電解ニッケルメッキにより形成されたり、フッ素樹脂の塗膜により形成されたりする。そして、無電解ニッケルメッキとしては、カニボロン(登録商標 日本カニゼン株)やカニフロン(登録商標 日本カニゼン株)などが例示される。
【0024】
さらに、前記成形装置1は、前記アウターチューブ21内の溶融樹脂43を前記フラスコ2の空洞9に押し込む成形装置本体35を備える。この成形装置本体35は、下部に前記フラスコ2を載置するベース部36が設けられ、このベース部36はフラスコ2に対応する凹部37を有しており、前記ベース部36の凹部37にフラスコ2の下部を嵌合載置し、このフラスコ2に前記アウターチューブ21を接続し、このアウターチューブ21内の溶融樹脂43を前記空洞9に射出する押出し手段38を有する。この押出し手段38は、前記上蓋体33を押し下げる昇降杆39と、この昇降杆39を昇降する流体圧シリンダたるエアシリンダ39Aを備える。
【0025】
また、成形装置本体35は、エアシリンダ39の圧力を表示する圧力ゲージ40と、エアシリンダ39の上昇,降下を操作する操作スイッチ41と、そのエアシリンダ39の降下速度を調節する調節スイッチ42とを備える。そして、成形装置本体35は、コンプレッサから最大0.85MPaの空気圧を受け、前記エアシリンダ39により約1000kgfの射出力を得ることができ、電機回路を持たないシンプルな構造を採用している。
【0026】
次に、前記成形装置1の使用方法について説明する。凹部28に蓋体29を配置して連通孔27を塞いだ状態で、アウターチューブ21内に樹脂ペレットを入れ、樹脂溶解炉(図示せず)にアウターチューブ21を挿入し、約20分で略300度に加熱し、樹脂ペレットを溶融した溶融樹脂43が得られる。フラスコ2には、上述したように連結座12,接続筒14及び案内部材34をセットしておく。そして、係止溝32に係止した運搬具45を用いてアウターチューブ22を運搬し、フラスコ2にセットした案内部材34内にアウターチューブ22を挿入する。案内部材34に沿ってアウターチューブ22が降下すると、挿入先端部15が連通孔27に入り、上部の蓋体29が挿入先端部15により押し上げられ、接続筒14を介して連通孔27が開口し、アウターチューブ21内と射出口5とが連通する。また、押し上げられた蓋体29が挿入先端部15の上部に乗っても、挿入先端部15の側面の連通部16が溶融樹脂の通路となる。
【0027】
このようにして連通孔27から蓋体29が外れたら、昇降杆39を降下して上蓋体33により溶融樹脂43を押出し、射出口5から空洞9に溶融樹脂43を射出する。樹脂硬化後、フラスコ2を分割し、石膏型3A,4Aを破砕して有床義歯を取り出すものである。尚、空洞9内には射出前に樹脂剥離剤を注入することが好ましい。
【0028】
このように本実施例では、請求項1に対応して、フラスコ2内に設けた型たる石膏型3A,4Aの空洞9と、溶融樹脂43が充填されフラスコ2の射出口5側に底部たる底面26を接続する筒体たるアウターチューブ21と、このアウターチューブ21内の溶融樹脂43を押し出して射出口5から空洞9内に射出する押出し手段38とを備えた有床義歯の成形装置において、アウターチューブ21の底面26に設けられ射出口5と連通する連通孔27と、アウターチューブ21の内部に配置され連通孔27を塞ぐ蓋体29と、射出口5に連通して配置され該射出口5と連通孔27とを接続する接続筒14と、この接続筒14の先端に設けられ底面26の射出口5側への接続により連通孔27からアウターチューブ21内に挿入されて連通孔27から蓋体29を外す挿入先端部15とを備えるから、アウターチューブ21の底面26の連通孔27を蓋体29により塞ぎ、そのアウターチューブ21の内部に樹脂を入れ、加熱して溶融する。この状態で連通孔27は蓋体29により塞がれているため、溶融樹脂43が漏れることがない。そして、内部に溶融樹脂43が入ったアウターチューブ21を射出口5に接続すると、接続筒14の挿入先端部15が連通孔27からアウターチューブ21内に挿入され、挿入先端部15により連通孔27から蓋体29が外れ、アウターチューブ21内と射出口5が連通する。この後、溶融樹脂43を押出して型内に射出することができる。
【0029】
また、このように本実施例では、請求項2に対応して、挿入先端部15の側部に設けられ接続筒14内とアウターチューブ21内とを連通する連通部16を備えるから、挿入先端部15の先端が蓋体29により塞がれても、連通部16が通路となり、溶融樹脂を射出することができる。
【0030】
また、実施例上の効果として、連通部16,16の間に尖鋭部17が設けられ、この尖鋭部17の外周面17Gは先端に向かって内側に向いているから、挿入先端部15を連結孔27に挿入し易くなる。さらに、前記連結座12を中心に位置決めされる案内部材34を備えるから、案内部材34に沿ってアウターチューブ22が降下することにより、挿入先端部15を連通孔27に確実に案内することができ、さらに、溶融樹脂43の射出時にも案内部材34によりアウターチューブ22が安定して位置決めされる。また、円形の凹部11によりフラスコ2の上面2Jの分割面箇所に、該フラスコ2と別体の連結座12を位置決めすることができる。また、連通部16は円周方向に4箇所等間隔に設けられているから、溶融樹脂43の流れが安定したものになる。さらに、下蓋体23は取り外し可能であるから、付着した樹脂を簡便に取り除くことができる。
【0031】
また、実施例上の効果として、フラスコ2内に設けた型の空洞9と、溶融樹脂43が充填されフラスコ2の射出口5側に底部たる底面26を接続する筒体たるアウターチューブ21と、このアウターチューブ21内の溶融樹脂43を押し出して射出口5から空洞9内に射出する押出し手段38と、アウターチューブ21の底面26に設けられ射出口5と連通する連通孔27と、アウターチューブ21の内部に配置され連通孔27に被せて該連通孔27を塞ぐ蓋体29と、射出口5に連通して配置され該射出口5と連通孔27とを接続する接続筒14とを用い、融樹脂43が充填されたアウターチューブ21の底面26をフラスコ2の射出口5に接続した後、アウターチューブ21内の溶融樹脂43を射出口5から空洞9内に射出する有床義歯の成形方法にであって、アウターチューブ21の底面26を射出口5側への接続することにより、挿入先端部15を連通孔27からアウターチューブに挿入して連通孔27から蓋体29を外す製造方法であるから、アウターチューブ21内で溶融した溶融樹脂43を射出することができ、製造コストを削減することができる。
【実施例2】
【0032】
以下、本発明の実施例2を添付図面を参照して説明する。尚、上記実施例1と同一部分には同一符号を付し、その説明を省略する。
【0033】
図6〜図9に示すように、この例では、前記チューブ本体22を周方向において2分割し、分割チューブ本体22A,22Aを形成している。これら分割チューブ本体22A,22Aを組み立てたチューブ本体22は、上端に雄螺子部51を有し、この雌螺子部51に上リング体52の雌螺子部53を螺合し、また、チューブ本体22の下端の前記雌螺子部25に、前記下蓋体23の雄螺子部24を螺合し、このように上下の上リング体52と下蓋体23を螺合することにより、分割チューブ体22A,22Aを組み立てる。尚、この例では、チューブ本体22の上下に平坦面30,30が設けられ、また、上リング体52の上端外周には、対向する位置に平坦面54,54が形成されている。
【0034】
そして、組み立てたチューブ本体22を用いて、実施例1と同様に、溶融樹脂43を射出し、射出後、上リング体52と下蓋体23を外し、分割チューブ本体22A,22A内に残った樹脂を取り除くことができる。尚、この例でも、剥離層を設けることが好ましい。
【0035】
このように本実施例では、上記実施例1と同様な作用・効果を奏する。
【0036】
また、このように本実施例では、請求項3に対応して、筒体たるアウターチューブ21を周方向において分割したから、射出後、アウターチューブ21を周方向に分解してアウターチューブ21内に残った樹脂を取り除くことができる。
【0037】
また、このように本実施例では、請求項4に対応して、筒体たるアウターチューブ21が円筒状をなすから、射出後、円筒状をなすアウターチューブ21を周方向に分解して筒体内に残った樹脂を取り除くことができる。
【0038】
また、実施例上の効果として、分割チューブ本体22A,22Aの上下に上リング体52と下蓋体23を螺合することにより、分割及び組み立てを簡便に行うことができる。
【実施例3】
【0039】
以下、本発明の実施例3を添付図面を参照して説明する。尚、上記各実施例と同一部分には同一符号を付し、その説明を省略する。
【0040】
図10〜図13に示すように、この例のアウターチューブ21は、チューブ本体61が四つの側板部62,62,62,62を組み立てた角筒状をなし、内面に平坦面62A,62A,62A,62Aを有する。そして、平坦面62Aの端部に隣合う側板部62の端縁を付き合わせ、平坦面62の外面から複数のネジ63を挿通し、このネジ63を隣合う側板部62Aの端縁に螺合することにより組み立てられる。尚、ネジ63は工具係合部たる六角溝を形成した頭部を有する。
【0041】
また、底部たる下蓋体64の形状は、チューブ本体61の外径に対応して正方形であり、その下蓋体64の上面中央に前記チューブ本体61内に嵌合する嵌合凸部65を有し、この嵌合凸部65をチューブ本体61内に嵌合した状態で、下蓋体64の下面から複数のネジ63を挿通し、このネジ63をチューブ本体61の下端側の端縁に螺合することにより、チューブ本体61に下蓋体64が固定される。また、前記下蓋体64の下面には、前記連結座12が嵌入する円形の受け凹部66が設けられ、この受け凹部66の中心で前記下蓋体64に前記連通孔27が穿設され、この連通孔27の下部は下方に拡大するテーパー部27Aが形成され、その下蓋体64の上面には連通孔27の周囲に前記凹部28が形成され、この凹部28に蓋体29が着脱自在に設けられ、蓋体29を凹部28に配置することにより、該蓋体29が連通孔27を塞ぐ。
【0042】
また、前記アウターチューブ21には、平面方形の上蓋体67が移動可能に挿入されている。
【0043】
このように本実施例では、上記実施例1と同様な作用・効果を奏する。
【0044】
また、このように本実施例では、請求項5に対応して、筒体たるアウターチューブ21の内周に平坦面62Aを有するから、樹脂が付着し難くなり、樹脂を取り除き易くなる。
【0045】
また、実施例上の効果として、四つの側板部62,62,62,62は同一構成のものを用いているから、側板部62,62,62,62をどの位置に配置してもよく、その組み立てを簡便に行うことができる。さらに、連通孔27の下部には下方に拡大するテーパー部27Aを設けたから、このテーパー部27Aにより挿入先端部15を連通孔27に導くことができる。また、前記下蓋体64の下面には、前記連結座12が嵌入する円形の受け凹部66が設けられているから、連結座12と受け凹部66との嵌合により、フラスコ2側にアウターチューブ21が位置決めされる。さらに、アウターチューブ21の組立方法としては、嵌合凸部65に合わせて複数の側板部62,62,62,62を組み付けて精度の高い角孔を形成することができる。よって、アウターチューブ21と上蓋体67とのクリアランスを正確に保持できる。
【0046】
尚、本発明は、本実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、実施例では、尖鋭部を複数設けたが単数でもよい。また、押出し手段には、油圧など各種の流体圧シリンダを用いることができる。さらに、実施例3では、角筒状の筒体を4分割したが、略L字状に2分割してもよい。また、実施例2及び3では、ネジやボルトを用いずに締め付けベルトなどを用いてアウターチューブを組みたててもよい。
【符号の説明】
【0047】
1 成形装置
2 フラスコ
3A 石膏型
4A 石膏型
5 射出口
9 空洞
14 接続筒
15 挿入先端部
16 連通部
21 アウターチューブ(筒体)
26 底面(底部)
27 連通孔
29 蓋体
35 成形装置本体
38 押出し手段
39 昇降杆
39A エアシリンダ
43 溶融樹脂
62A 平坦面
63 ネジ
64 下蓋体(底部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フラスコ内に設けた型の空洞と、前記フラスコの射出口側に底部を接続する筒体と、この筒体内の溶融樹脂を押し出して前記射出口から前記空洞内に射出する押出し手段とを備えた有床義歯の成形装置において、前記筒体の底部に設けられた連通孔と、前記筒体の内部に配置され前記連通孔を塞ぐ蓋体と、前記射出口に連通して配置され該射出口と前記連通孔とを接続する接続筒と、この接続筒の先端に設けられ前記底部の前記射出口側への接続により前記連通孔から前記筒体内に挿入されて前記連通孔から前記蓋体を外す挿入先端部とを備えることを特徴とする有床義歯の成形装置。
【請求項2】
前記挿入先端部の側部に設けられ前記接続筒内と前記筒体内とを連通する連通部を備えることを特徴とする請求項1記載の有床義歯の成形装置。
【請求項3】
前記筒体を周方向において分割したことを特徴とする請求項1又は2記載の有床義歯の成形装置。
【請求項4】
前記筒体が円筒状をなすことを特徴とする請求項3記載の有床義歯の成形装置。
【請求項5】
前記筒体の内周に平坦面を有することを特徴とする請求項3記載の有床義歯の成形装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−249696(P2012−249696A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−122788(P2011−122788)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(399084177)東伸洋行株式会社 (2)
【Fターム(参考)】